JP2007014916A - 新規固相担体及びその利用 - Google Patents

新規固相担体及びその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP2007014916A
JP2007014916A JP2005201134A JP2005201134A JP2007014916A JP 2007014916 A JP2007014916 A JP 2007014916A JP 2005201134 A JP2005201134 A JP 2005201134A JP 2005201134 A JP2005201134 A JP 2005201134A JP 2007014916 A JP2007014916 A JP 2007014916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase carrier
solid phase
support
compound
biological substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005201134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5148818B2 (ja
Inventor
Yasuo Ifuku
康夫 井福
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2005201134A priority Critical patent/JP5148818B2/ja
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to PCT/JP2005/017330 priority patent/WO2006038456A1/ja
Priority to US11/575,259 priority patent/US8183057B2/en
Priority to CN2005800309353A priority patent/CN101019027B/zh
Priority to EP05785879A priority patent/EP1813946B1/en
Priority to EP11162983.8A priority patent/EP2339342B1/en
Publication of JP2007014916A publication Critical patent/JP2007014916A/ja
Priority to US13/239,985 priority patent/US9297800B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP5148818B2 publication Critical patent/JP5148818B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
    • G01N33/54313Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals the carrier being characterised by its particulate form
    • G01N33/54346Nanoparticles

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

【課題】 固相担体上に従来よりも多量の生体関連物質を安価に精度良く固定化する。
【解決手段】 生体関連物質、該生体関連物質と結合可能な化合物、及び支持体を含むマトリックスが表面に形成された固相担体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生体関連物質、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物、及び支持体を含むマトリックスが表面に形成された固相担体、該固相担体の製造方法、及びその利用に関する。
生体関連物質が固定化された固相担体は、例えば、医療・診断、遺伝子解析、プロテオミクス、マイクロエレクトロニクス、膜分離等の分野、特に、DNAチップ、蛋白チップ等のバイオチップやバイオセンサチップの分野へ応用されている。
このような生体関連物質が固定化された固相担体を製造する方法、即ち、固相担体表面に生体関連物質を固定化する方法については、これまでに幾つかの報告がされている。
例えば、生体関連物質を固相担体に固定化するにあたって、まず親水性高分子化合物で固相担体の表面を被覆することで固相担体表面に高分子膜を形成し、その高分子膜を構成する高分子鎖にリガンド等となる生体関連物質を結合させる方法がある。これにより、固相担体表面を親水性高分子化合物で被覆しない場合よりも、単位面積あたりの生体関連物質の導入量(固定化量)を向上させることができるという利点から、この方法は、上記のような広範囲の分野に応用されている。
また、例えば、特許文献1には、電荷を有する官能基を導入した親水性高分子膜による被覆方法が記載されている。上述したような固相担体上の高分子膜内にリガンド等の生体関連物質を固定化する方法では、生体関連物質の高分子膜に対する浸透のために、高密度に固定化することが困難であった。しかし、特許文献1記載の方法においては、生体関連物質の表面電荷を高分子膜の電荷を有する官能基の反対電荷になるように溶液のpHを制御することで、静電的相互作用により生体関連物質の高分子膜への固定化反応を促進させることができ、生体関連物質を高密度に固定化することが可能になる。
特許文献1記載の方法を利用した製品としては、金で被覆したガラスプレート上にCM−デキストラン膜で表面処理を施したものが市販されている(BIACORE社製 SensorChip CM5)。
また、固相担体であるスライドガラスを、ポリアクリルアミドの膜で被覆したものも市販されている(パーキンエルマー社製 HydroGel Coated Slide)。この製品は、水分を含有し膨潤したポリアクリルアミドゲルを使用するため、乾燥が懸念されるナノリットルオーダーのサンプルを滴下することに適しており、さらにポリアクリルアミドに生体関連物質を吸着するため活性化を不要とする利点を有する。
さらに、例えば、特許文献2には、ポリウレタンベースのポリマーと生体関連物質とを有機溶媒中で混合し、さらに縮合剤を混合することによりポリマーを重合させた上で、基板の表面にそれを結合させる方法が記載されている。この方法は、従来の煩雑な方法を使用せず、簡便に生体関連物質を含有した膜を固相担体表面に形成することができるため、生体関連物質を簡単に固相担体に固定化することができるという利点を有する。
また、例えば、特許文献3には、固相担体上から活性エステル基を有するモノマーを重合することで、高分子鎖を伸長させることにより、固相担体上にブラシ状の高分子鎖を構築し、その高分子鎖に生体関連物質を結合する方法が記載されている。本方法によれば、リガンド等の生体関連物質を固定化できることに加え、高分子鎖を活性化することなく、固相担体上に導入(固定化)することが可能になる。
以上のように、固相担体上に親水性高分子膜を構築するという従来技術は、個々に利点を有している。
一方、例えば、非特許文献1には、生体関連物質を固相担体に固定化するにあたって、予め多孔性の形状を持つ固相担体(マイクロチャンネルウェハ)を利用し、表面積を増大させることにより、より多くの生体関連物質を結合させる方法が記載されている。本方法によれば、固相担体表面が平坦な場合よりも、単位面積あたりの生体関連物質の導入量(固定化量)を向上させることができるという利点から、この方法は上記と同様、広範囲な分野に応用されている。
米国特許第5242828号明細書 米国特許第6174683号明細書 国際公開第02/056021号パンフレット Brandy J.Cheek,et al., Anal.Chem., 2001, 73, 5777-5783
しかしながら、上述した特許文献1〜3、非特許文献1等に記載の従来の技術では、固相担体上に固定化できる生体関連物質の導入量が充分でなかったり、固定化ムラができ、精度良く一様に固定化できなかったりして、バイオセンサー等において充分な性能を得ることができなかった。また、固定化に際し高価で特殊な固相担体が必要であったり、固定化のために特別な機器や固定化方法が必要であった。
特に、生体関連物質と検出対象物質の組み合わせとして、抗原と抗体、タンパク質とリガンド等を用いる場合には、これらの間に生じる抗原抗体反応等は微弱な生物学的反応であるので、固定化量が十分なだけでなく、固定化された物質の生物学的活性が維持されていて、さらに反応にあずかれるように表面に露出している必要がある。しかし、従来用いられている固相担体では、多量の生体関連物質が固定化されて十分な膜厚を確保できたとしても、膜中に埋没して含まれる生体関連物質の反応性は十分でなく、前記抗原抗体反応のような微弱な反応の検出が必要とされるバイオセンサーや診断デバイス等に利用可能なものではなかった。
そのため、固相担体上への生体関連物質の導入量を、生体関連物質の反応性(活性)を損なわずに増加させ、かつ安価に精度良く固相担体を作製できる技術が要望されていた。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたもので、固相担体上に、生体関連物質の反応性を保ったまま、従来よりも多量の生体関連物質が精度良く固定化された固相担体であって、安価で簡便に作製できるものを提供することを目的とする。また、該固相担体の製造方法、該固相担体を含むバイオセンサー、診断デバイス、生体関連物質固定化キット、並びに該固相担体を利用したイムノアッセイ等の測定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、溶媒の存在下、支持体、生体関連物質、及び該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物を共存させた混合物を固相担体表面に供給した後、該溶媒を除去することによりマトリックスを形成させれば、生体関連物質の反応性を保ったまま、従来よりも多量の生体関連物質が精度良く固定化された固相担体を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、
(1)生体関連物質、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物、及び支持体を含むマトリックスが表面に形成されていることを特徴とする固相担体
が提供される。
また、この発明の好ましい態様によれば、
(2)生体関連物質が、該生体関連物質と結合可能な化合物によって架橋されていることを特徴とする上記(1)に記載の固相担体、
(3)マトリックス中に空隙を有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の固相担体、
(4)マトリックスが、溶媒の存在下、支持体、生体関連物質、及び該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物を共存させた混合物を固相担体表面に供給した後、該溶媒を除去することにより形成されるものであることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の固相担体、
(5)溶媒が水であることを特徴とする上記(4)に記載の固相担体、
(6)マトリックスの空隙率が5%以上であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の固相担体、
(7)マトリックスの膜厚が乾燥状態で20nm以上であることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の固相担体、
(8)化合物が、1分子中に2箇所以上の結合官能基を有するものであることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の固相担体、
(9)化合物が高分子化合物であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の固相担体、
(10)化合物が、水に混和しうると共に、少なくとも1種の有機溶媒に混和しうることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の固相担体、
(11)支持体が、約10nm〜100μmの平均径を有する粒子であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の固相担体
が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、
(12)溶媒の存在下、支持体、生体関連物質、及び該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物を共存させた混合物を固相担体表面に供給した後、該溶媒を除去することによりマトリックスを形成することを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の固相担体の製造方法
が提供される。さらに別の態様によれば、
(13)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の固相担体を製造するための生体関連物質固定化キットであって、少なくとも支持体と、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物とを含むことを特徴とするキット、
(14)生体関連物質、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物、及び支持体を含むマトリックスが、少なくとも2種以上、固相担体上の別々の領域に配置されていることを特徴とする生体関連物質のアレイ、
(15)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の固相担体及び/又は上記(14)に記載のアレイを含むバイオセンサー、
(16)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の固相担体及び/又は上記(14)に記載のアレイを含む診断デバイス
が提供される。また、
(17)検体中の少なくとも1種の分析物についてアッセイする方法であって、以下の工程(a)及び(b):
(a)該検体を、該分析物と反応し得る生体関連物質を少なくとも1種含む上記(1)〜(11)のいずれかに記載の固相担体及び/又は上記(14)に記載のアレイに送達する工程;および
(b)該生体関連物質と該分析物との相互作用、又は、該分析物と反応する標識物質を加えることにより生じる反応を検出することにより、該分析物の存在もしくは量について検出する工程
を有することを特徴とする方法、
(18)少なくとも検体が流体であって、該検体の送達がフローにより行われることを特徴とする上記(17)に記載の方法、
(19)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の固相担体及び/又は上記(14)に記載のアレイ上に設けられた参照領域における反応を検出し、アッセイの成否判定、又は、検出された分析物の存在もしくは量の校正を行う工程をさらに有することを特徴とする上記(17)又は(18)に記載の方法、
(20)2種以上の分析物を並行してアッセイするために、さらに以下の工程(c):
(c)少なくとも2種以上の分析物の存在もしくは量と、特定の症状とを関連づける工程
を有することを特徴とする上記(17)〜(19)のいずれかに記載の方法
が提供される。
本発明の固相担体及び該固相担体の製造方法によれば、固相担体上に、生体関連物質の反応性を保ったまま、従来よりも多量の生体関連物質が精度良く固定化された固相担体であって、安価で簡便に作製でき、保存安定性にも優れたものが提供される。これにより、医療・診断、遺伝子解析、プロテオミクスの分野で使用可能な、従来よりも精度の良い高感度な診断デバイスやバイオセンサーを作製することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態や例示物などに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の固相担体は、生体関連物質が固定化された固相担体(以下適宜、「本発明の生体関連物質固定担体」という)であって、固相担体表面に、マトリックス(以下適宜、「本発明のマトリックス」という)を有する。ここで、本発明のマトリックスは、生体関連物質、上記生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物(以下適宜、「固定化用化合物」という)、及び、支持体を含むマトリックスである。即ち、本発明のマトリックスは、図1に模式的に示すように、生体関連物質と固定化用化合物と支持体とを含み、その骨格が、支持体を核として生体関連物質と固定化用化合物とが支持体に結合し、鎖状、網目状、及び/又は、ブロック状等の形状で結合した構造を有するマトリックスである。なお、図1は、本発明のマトリックスの構造を説明するため、本発明の生体関連物質固定担体の一例の断面を拡大して示す模式図である。また、図1において、塗りつぶされた円形部分が生体関連物質を表わし、線状部分が固定化用化合物を表わし、白抜きの円形部分が支持体を表し、それ以外の空白部が空隙層を表す。
また、本発明のアレイは、上記本発明のマトリックスが、少なくとも2種以上、固相担体上の別々の領域に配置されることにより作製されていることを特徴とする。該アレイは、少なくとも約10個の該マトリックスを含むアレイ、少なくとも約100個の該マトリックスを含むアレイ、少なくとも約103個の該マトリックスを含むアレイ、少なくとも約104個の該マトリックスを含むアレイを含み、またこれらのマトリックスの集積度が、該マトリックスの各々によって被覆された生体関連物質固定担体の領域が、約25mm2以下であるアレイ、該マトリックスの各々によって被覆された生体関連物質固定担体の領域が、約100μm2と約4mm2との間であるアレイ、該マトリックスの各々によって被覆された生体関連物質固定担体の領域が約20cm2以下の領域内に含まれるアレイであることを含む。
このようなアレイの表面においては、混合溶液が供給される別々の領域の周囲を疎液性(周囲疎液性)表面にしても良く、また、該領域が凹凸構造の凹部であるウェル状(図2(a))であっても凸部であるパイル状(図2(b))であっても良い。
[I.製造方法]
本発明の生体関連物質固定担体は、溶媒の存在下、支持体、生体関連物質、及び該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物を共存させた混合物を固相担体表面に供給した後、該溶媒を除去することによりマトリックスを形成させる工程を経て製造される。
(1.固相担体)
固相担体は、表面に本発明のマトリックスを形成するための基体となるものであり、固相担体の表面に本発明のマトリックスを形成したものが、本発明の生体関連物質固定担体である。本発明で用いる固相担体に制限は無く、本発明のマトリックスを形成する対象となるものであれば、任意の材質、形状、寸法のものを用いることができる。
固相担体の材質の例を挙げると、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル系樹脂等の各種樹脂材料、ガラス、アルミナ、炭素、金属等の無機材料などが挙げられる。なお、固相担体の材質は1種を単独で用いたものでもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用したものであっても良い。また、測定に蛍光法を用いる場合には自己蛍光が少ない材質を選択する等、用いる測定法や装置等に適したものを適宜選択すればよい。
また、固相担体の形状の例を挙げると、平板状、ビーズ状、繊維状、フィルター状、膜状、シート状、ウェル状などが挙げられる。具体例としては、多数の生体関連物質を配列させることができるチップ(基板)、ウェルチップ(ウェル基板)、パイルチップ(パイル基板)、周囲疎水性チップ(周囲疎水性基板)あるいはクロマトグラフィ担体や診断薬としてのビーズ、表面積を増加させることを目的として利用されている中空糸繊維やニトロセルロース膜等の多孔質構造体などが挙げられる。
さらに、上記固相担体は、そのまま使用してもよいが、何らかの表面処理を施してから表面にマトリックスを形成するようにしても良い。例えば、金属や金属酸化物などの被覆
材料で表面を被覆してからマトリックスを形成するようにしても良い。さらに、固相担体とマトリックスとを結合させるために、固相担体に官能基を導入しても良い。その官能基は任意であるが、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基、アミノアルデヒド基、ヒドラジド基、カルボニル基、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、スクシンイミド基、マレイミド等の、化学結合により固相担体とマトリックスとを結合させる官能基が挙げられる。また、本発明の生体関連物質固相担体製造時に溶媒として水を用いる場合には、アルキル基、フェニル基等の疎水相互作用による物理吸着によって固相担体とマトリックスとを結合させる官能基を用いることもできる。
また、これらの固相担体表面において、混合溶液が供給される該固相担体表面の別々の既知の領域の周囲を疎液性(周囲疎液性)表面にしても良い。
表面処理の具体例を挙げると、例えば固相担体表面に対して、金で被覆する表面処理を行なった場合には、
などを金表面に固定する処理が挙げられる。ただし、上記の構造式において、n1,n2はそれぞれ独立に2以上の整数を表わす。
また、被覆処理を行なってもよい固相担体の具体例としては、金属被覆チップ、スライドガラス、ファイバースライド、シート、ピン、マイクロタイタープレート、キャピラリーチューブ、ビーズ等が挙げられる。
(2.支持体)
支持体は、表面に本発明のマトリックスを形成するための核となるものであり、固相担体の表面に本発明のマトリックスを形成したものが、本発明の生体関連物質固定担体である。本発明で用いる支持体に制限は無く、本発明のマトリックスを形成する対象となるものであれば、任意の材質、形状、寸法のものを用いることができる。
このとき、該生体関連物質と該支持体と該化合物との結合は、鎖状、網目状、ブロック状等の形状で結合してなるものであり、これらの複数の構造を併せ持つものでもよい。例えば、該生体関連物質に対して該化合物が結合部位によって結合することで形成されたものが更に該支持体に結合したもの、該化合物が支持体及び生体関連物質に結合することにより結合されたもの、もしくは、予め支持体に結合された生体関連物質に化合物が結合することにより形成されたもの等である。したがって、マトリックスは該支持体の周りを該化合物によって橋架け構造にある該生体関連物質が取り囲み、これらが更に1つ以上の集合体を形成することにより、形成される。
支持体の材質の例を挙げると、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル系樹脂等の各種樹脂材料、ガラス、アルミナ、炭素、金属等の無機材料などが挙げられる。また、支持体は蛍光エネルギー移動(FRET)を起こすことが知られている物質を含有していても良く、フェライト、グラファイト、カーボンナノチューブ等導電性物質を含有していても、金、銀等電磁気共鳴を与えることが知られている金属を含有していても良い。なお、支持体の材質は1種を単独で用いたものでもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用したものであっても良い。
また、支持体の形状の例を挙げると、粒子状、繊維状などが挙げられる。また、形成されたマトリックスに十分な空隙と膜厚を与えるものであれば、異形性のものでもよい。具体例としては、クロマトグラフィ担体やラテックス診断薬としてのラテックス粒子、金コロイドなどが挙げられる。
この中でも、特に好ましくはラテックス粒子が用いられる。ラテックス粒子は、材質や粒径等は任意であって、用いる目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリスチレンラテックス、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体、アクリル酸とスチレンの共重合体、スチレンとマレイン酸の共重合体、スチレンとメタクリル酸の共重合体、スチレンとアクリル酸とアルキルアクリレートなどの共重合体、酢酸ビニルとアクリル酸の共重合体等のラテックスが挙げられる。粒径としては、本発明のマトリックスが形成されるものであればいかなる大きさでもよいが、粒径が小さすぎると十分な空隙や膜厚が得られず、大きすぎると十分な膜の強度が得られなくなることがある等の支障をきたすので、用いる条件等に応じて適当なものを選択する。例えば、10nm〜100μm程度であって、好ましくは100nm〜10μmである。また、異なる粒径を有するラテックス粒子を混合して用いることもできる。このようにして条件を調整することにより、形成されるマトリックスの空隙率、膜厚等を最適化することができる。
さらに、上記支持体は、そのまま使用してもよいが、何らかの表面処理を施してから使用しても良い。例えば、ポリエチレングリコール等の親水性高分子や牛血清アルブミン等のタンパク質等で表面を親水性化しても良い。適当な表面処理を選択することにより、該支持体と、生体関連物質及び/又は化合物との結合の程度を調整することができ、該支持体への非特異吸着反応等の副反応を抑制することもできる。
また、マトリックスを強固に形成させるために、官能基を支持体表面に導入しても良い。その官能基は任意であるが、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基、アミノアルデヒド基、ヒドラジド基、カルボニル基、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、スクシンイミド基、マレイミド基等の、化学結合によりマトリックスを形成させる官能基が挙げられる。
さらに、上記支持体に予め、生体関連物質及び/又は固定化用化合物を固定化したものを用いても良く、例えば、ラテックス粒子に生体関連物質を固定化した粒子を支持体として用いる場合、ラテックス粒子表面に存在するカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基等と生体関連物質の結合官能基とを結合させればよい。この内、カルボキシル基が結合官能基と結合する場合、生体関連物質の結合官能基の具体例としてはアミノ基等が挙げられ、カルボジイミド等を用いてアミド結合を形成させればよい。一方、例えば、ラテックス粒子と生体関連物質との間に疎液相互作用や静電的相互作用等が存在する場合は、これらの物理的相互作用によって生体関連物質をラテックス粒子表面に固定させることができる。
また、支持体は無電荷であることが望ましい。本発明の生体関連物質固定担体を用いて、選択的生体関連物質間相互作用を検出しようとする時、検体中の検出対象物質が支持体及び/又は固定化用化合物と同じ電荷を有していて静電的反発力が過度に強い場合には、生体関連物質との間の特異的な相互作用が妨げられる虞がある。また、検出対象物質と支持体及び/又は固定化用化合物とが反対の電荷を有していた場合、検出対象物質と支持体及び/又は固定化用化合物とが非特異吸着等の非特異的相互作用を生じることが推測されるためである。
(3.生体関連物質)
生体関連物質は、固相担体に固定化する物質であり、その目的に応じて、任意の物質を用いることができる。具体例を挙げれば、酵素、抗体、レクチン、レセプター、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、糖タンパク質等のタンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、核酸、糖、オリゴ糖、多糖、シアル酸誘導体、シアル化糖鎖等の糖鎖、脂質、低分子化合物、上述以外の高分子有機物質、無機物質、若しくはこれらの融合体、または、ウイルス、若しくは細胞を構成する分子などの生体分子が挙げられる。また、このほか、例えば細胞等の生体分子以外の物質を生体関連物質として用いることもできる。
なお、本発明の生体関連物質固定担体を分析に用いた場合には、これら生体関連物質は、検体中の検出対象物質(分析物)と生体関連物質との相互作用(結合性等)を測定する際の標的物質となる。
分析物は、通常、生体関連物質と特異的に相互作用する物質(以下適宜、「作用物質」という)である。ここで、生体関連物質と作用物質との「相互作用」とは、特に限定されるものではないが、通常は、共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び静電力による結合のうち少なくとも1つから生じる物質間に働く力による作用を示す。ただし、本明細書に言う「相互作用」との用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。共有結合としては、配位結合を含有する。また静電力による結合とは、静電結合の他、電気的反発も含有する。また、上記作用の結果生じる結合反応、合成反応、分解反応も相互作用に含有される。
相互作用の具体例としては、抗原と抗体との間の結合及び解離、タンパク質レセプターとリガンドとの間の結合及び解離、接着分子と相手方分子との間の結合及び解離、酵素と基質との間の結合及び解離、アポ酵素と補酵素との間の結合及び解離、核酸とそれに結合する核酸又はタンパク質との間の結合及び解離、情報伝達系におけるタンパク質同士の間の結合及び解離、糖タンパク質とタンパク質との間の結合及び解離、糖鎖とタンパク質との間の結合及び解離などが挙げられるが、この範囲に限定されるものではない。さらに、
例えば、イムノグロブリンやその派生物であるF(ab′)2、Fab′、Fab、レセ
プターや酵素とその派生物、核酸、天然あるいは人工のペプチド、人工ポリマー、糖質、脂質、無機物質あるいは有機配位子、ウイルス、細胞、薬物等が挙げられる。
また、上記の生体関連物質の例の中でも、タンパク質としては、タンパク質の全長であっても、結合活性部位を含む部分ペプチドであってもよい。また、アミノ酸配列、及びその機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、あるいはcDNAライブラリー等から適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的物質として用いることができる。合成されたペプチド鎖は、これに糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。これらのうち好ましくは、精製されたタンパク質である。
さらに、核酸としては、特に制限はなく、DNA、RNAの他、アプタマー等の核酸塩基、PNA等のペプチド核酸を用いることもできる。また、塩基配列あるいは機能が、既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。好ましくは、タンパク質に結合能力を有する、核酸としての機能及び塩基配列が既知のものか、あるいは、ゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いることができる。
また、糖鎖としては、その糖配列あるいは機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列あるいは機能が既知の糖鎖が用いられる。
また、低分子化合物としては、相互作用する能力を有する限り、特に制限はない。機能が未知のものでも、あるいはタンパク質に結合する能力が既に知られているものでも用いることができるが、医薬候補化合物等が好適に用いられる。
なお、生体関連物質を用意する際、通常は何らかの溶媒に生体関連物質を溶解又は分散させた溶液や分散液として生体関連物質を用意するが、この場合に生体関連物質を希釈させる溶媒や分散媒は、生体関連物質の活性や構造の安定性等を考慮して調整することが好ましい。
また、生体関連物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、生体関連物質、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物、及び支持体を含むマトリックスが、少なくとも2種以上、固相担体上の別々の領域に配置されることにより作製されることを特徴とする生体関連物質のアレイの場合、配置されている生体関連物質の全てが機能的に関連している作用物質と相互作用する生体関連物質のアレイであっても、構造的に関連している作用物質と相互作用する生体関連物質のアレイであっても、同じファミリーのメンバーである作用物質と相互作用する生体関連物質のアレイであっても良い。
なお、上記機能的に関連している作用物質の具体例としては疾患別作用物質が挙げられ、例えば、代謝機能、内科領域疾患、消化器領域、循環器領域、内分泌領域、腫瘍領域、感染症領域、アレルギー領域のマーカーの組み合わせ等が挙げられる。このような特定の疾患に関連する作用物質の組み合わせとの相互作用を並行してアッセイすることは、疾患との関連付けを総合的に行う「パネル検査」や「プロファイル検査」等において非常に有用である。
上記ファミリーの具体例としては、例えば、成長因子レセプター、ホルモンレセプター、神経伝達物質レセプター、カテコールアミンレセプター、アミノ酸誘導体レセプター、サイトカインレセプター、細胞外マトリックスレセプター、抗体、レシチン、サイトカイン、セルピン、プロテアーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ras−様GTPase、ヒドロラーゼ、ステロイドホルモンレセプター、転写因子、熱ショック転写因子、DNA結合タンパク質、ジンクフィンガータンパク質、ロイシンジッパータンパク質、ホメオドメインタンパク質、細胞内シグナル伝達モジュレーターおよびエフェクター、アポトーシス関連因子、DNA合成因子、DNA修復因子、DNA組換え因子、細胞表面抗原、C型肝炎ウイルス(HCV)プロテアーゼ、ならびにHIVプロテアーゼからなる群等が挙げられる。
(4.固定化用化合物)
生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物(以下適宜、「固定化用化合物」という)は、上記生体関連物質及び/又は支持体と結合しうる化合物であれば、任意の化合物を用いることができる。したがって、固定化用化合物としては、上記生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な官能基(以下適宜、「結合官能基」)を有する化合物を任意に用いることができる。ここで、結合官能基としては、上記の生体関連物質や支持体に結合可能な官能基であれば他に制限はなく、任意の官能基を用いることができる。通常は、生体関連物質の種類や本発明の生体関連物質固定担体の用途などに応じて適当なものを選択することが好ましい。なお、結合官能基は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いても良い。
結合官能基は、通常、反応性基として共有結合を介して生体関連物質及び/又は支持体と結合するものと、非共有結合を介して生体関連物質及び/又は支持体と結合するものとに大別される。共有結合により結合する場合、結合官能基の具体例としては、スクシンイミド基、エポキシ基、アルデヒド基、マレイミド基等が挙げられる。
以下、生体関連物質との結合について具体的に説明する。結合官能基と結合する生体関連物質としては、例えば、タンパク質、核酸、糖等が挙げられる。
生体関連物質がタンパク質である場合、タンパク質の表層に存在するアミノ基、ヒドロキシル基、チオール基等と固定化用化合物の結合官能基とが結合する。この際、アミノ基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはスクシンイミド基、エポキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはエポキシ基等が挙げられる。さらに、チオール基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはマレイミド基等が挙げられる。
また、生体関連物質が核酸である場合、核酸の末端に導入されるアミノ基、ヒドロキシル基、チオール基等と固定化用化合物の結合官能基とが結合する。この際、アミノ基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはスクシンイミド基、エポキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはエポキシ基等が挙げられる。さらに、チオール基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはマレイミド基等が挙げられる。
また、生体関連物質が糖である場合、糖の側鎖に存在するアミノ基、ヒドロキシル基、チオール基等と固定化用化合物の結合官能基とが結合する。この際、アミノ基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはスクシンイミド基、エポキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはエポキシ基等が挙げられる。さらに、チオール基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはマレイミド基等が挙げられる。
一方、非共有結合により結合する場合、例えば錯体を形成させて結合させる場合には、結合官能基の具体例としてはボロン酸基などが挙げられる。また、例えば生体関連物質間相互作用により結合させる場合には、アビジン−ビオチン相互作用などを用いることができ、その時に用いる結合官能基の具体例としてはビオチン基が挙げられる。また、例えば生体物質としてウイルスを結合させる場合、結合官能基の具体例としては糖や多糖が挙げられる。さらに、例えば生体関連物質が疎液領域を有している場合には、疎液相互作用による結合も可能である。
また、支持体との結合について具体的に説明する。なお、支持体に予め上記生体関連物質が固定されている場合は、支持体は生体関連物質を介して上記と同様に固定化用化合物に結合する。
例えば、支持体がラテックス粒子である場合、ラテックス粒子表面に存在するアミノ基、ヒドロキシル基、チオール基等と固定化用化合物の結合官能基とが結合する。このとき、アミノ基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としては、スクシンイミド基、エポキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはエポキシ基等が挙げられる。さらに、チオール基が結合官能基と結合する場合、結合官能基の具体例としてはマレイミド基等が挙げられる。
また、例えば、支持体と固定化用化合物間に疎液相互作用や静電的相互作用等が存在する場合には、これらの相互作用によって結合させることができる。
固定化用化合物が結合官能基を有する場合、固定化用化合物は、1分子中に通常2箇所以上、好ましくは3箇所以上、生体関連物質及び/又は支持体との結合官能基を有しているものが好ましい。また、該化合物は複数種を混合して用いることもできるが、前記のような複数の結合箇所を有するものを少なくとも1種以上含むことが好ましい。このような構成とすれば、本発明のマトリックスの構造を形成しやすくするためである。具体例を挙げると、1分子中に2箇所以上の結合官能基を有する化合物を用いることにより、濃縮を行なった場合等にマトリックスを確実に形成させることができるようになる。
さらに、固定化用化合物としては、通常は、水と混和しうるものを用いることが望ましい。マトリックス作製時に用いる溶媒は任意であるが、通常は、溶媒として水を用いる。この際、水の存在下で固定化用化合物を支持体及び/又は生体関連物質と混合することにより該化合物を支持体及び/又は生体関連物質に結合させるので、そのような場合に支持体及び/又は生体関連物質と固定化用化合物とを均一に混合し、結合反応をスムーズに行なわせるためである。なお、本明細書においては、混和の形態としては、溶解していても良いし分散していても良い。
また、固定化用化合物は、少なくとも1種の有機溶媒に混和しうることが好ましい。これにより、固定化用化合物の合成時に用いる溶媒の選択の幅を広げることができ、マトリ
ックスの構造を様々に設計することができる。例えば、固定化用化合物が有機溶媒に混和できれば、固定化用化合物の合成時に結合官能基を保護することを目的として合成を有機溶媒中で行なうことができるようになる。
さらに、固定化用化合物が水と有機溶媒との両方に混和できれば、本発明の生体関連物質固定担体を使用する際に何らかの溶媒を用いる場合に、その用いることができる溶媒の種類を増やすことができるため、用途を広げることができる。
また、固定化用化合物は無電荷であることが望ましい。本発明の生体関連物質固定担体を用いて、選択的生体関連物質間相互作用を検出しようとする時、検体中の検出対象物質が支持体及び/又は固定化用化合物と同じ電荷を有していて静電的反発力が過度に強い場合には、生体関連物質との間の特異的な相互作用が妨げられる虞がある。また、検出対象物質と支持体及び/又は固定化用化合物とが反対の電荷を有していた場合、検出対象物質と支持体及び/又は固定化用化合物とが非特異吸着等の非特異的相互作用を生じることが推測されるためである。
なお、固定化用化合物が無電荷であるかどうかを確認する方法に制限は無いが、例えば、混合物を調製する前に固定化用化合物を溶液として用意する場合には、その溶液中において固定化用化合物が無電荷であれば、本発明の生体関連物質固定担体に使用される固定化用化合物は無電荷であるとして扱うことができる。
固定化用化合物の例としては、例えば、有機化合物、無機化合物、有機無機ハイブリッド材料などが挙げられる。また、固定化用化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
固定化用化合物として用いられる有機化合物は、低分子化合物でも、高分子化合物でもよい。低分子化合物の具体例としては、グルタルアルデヒド、ジエポキシブタン、ジエポキシヘキサン、ジエポキシオクタン、ビスマレイミドヘキサン、ビススルホスクシミジルスベレイト、ジスクシミジルグルタレイド、エチレングリコールビススクシミジルスクシネイト、スルホエチレングリコールビススクシミジルスクシネイト、スクシミジル4−N−マレイミドメチルシクロヘキサン1−カルボキシレイト、スクシミジル4−N−マレイミドメチルシクロヘキサン1−カルボキシレイト、スルホスルホスクシミジル4−p−マレイミドフェニルブチレイト、スクシミジル4−p−マレイミドフェニルブチレイト、スルホm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシミドエステルなどが挙げられる。
一方、固定化用化合物として高分子化合物を用いる場合、高分子化合物は合成高分子化合物であっても良く、天然高分子化合物であっても良い。
固定化用化合物として合成高分子化合物を用いる場合、上記の条件を満たす合成高分子化合物であれば任意のものを用いることができる。ただし、通常は、生体関連物質及び/又は支持体と結合することのできるモノマーを有していることが望ましい。また、通常は、合成高分子化合物が水に混和できるようにするために、親水性モノマーを有していることが好ましい。さらに、好ましくは、上記の生体関連物質及び/又は支持体と結合することができるモノマーと親水性モノマーとを共重合させた合成高分子化合物を用いることが望ましい。即ち、合成高分子化合物の合成には、少なくともモノマー種として、生体関連物質及び/又は支持体と反応してできるコンジュゲートを形成することができ、且つコンジュゲート間で結合し、鎖状及び/又は網目状、ブロック状等に結合した構造を構築するための結合官能基を有するモノマーと、親水性又は両親媒性の官能基を有するモノマーとを用いて共重合させることが好ましい。さらに、合成高分子化合物の溶液中で形成するミセル等の構造体及び広がりを制御する目的で疎水性モノマーを共重合してもよい。
合成高分子化合物を構成するモノマーの具体例を挙げると、ラジカル重合において用いられるモノマーとしては、スチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等の重合性不飽和芳香族類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸等の重合性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸等の重合性不飽和スルホン酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−(メタ)アクリロイロキシスクシンイミド、エチレングリコール−ジ−(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、2−(メタ)アクリル酸グリコシロキシエチル、2−メタクリロイロキシエチルホスホリルコリン、等の重合性カルボン酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、3−アクリルアミドフェニルボロン酸、N−アクリロイル−N′−ビオチニル−3,6−ジオキサオクタン−1,9−ジアミン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルモルファリン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の不飽和カルボン酸アミド類、重合性不飽和ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、共役ジエン類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のマクロモノマー類、などが挙げられる。
また、合成高分子化合物のモノマーとしては、付加重合で用いられるようなモノマーも使用できる。付加重合に用いられるモノマーの具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、ジシクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート等の脂肪族又は芳香族イソシアナート類、ケテン類、エポキシ基含有化合物類、ビニル基含有化合物類などが挙げられる。また、上記化合物群と反応させるモノマーとしては、活性化水素を有する官能基、具体例としては水酸基又はアミノ基を有する化合物などが挙げられ、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチレングリコシド、しょ糖、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンのようなポリオール類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N′−ジイソプロピルメチレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン等のポリアミン類;オキシム類などが挙げられる。
さらに、合成高分子化合物には、上記モノマーの他、架橋剤となりうる多官能性化合物を共存させても良い。多官能性化合物としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、ビニル芳香族酸のN−アルキロールアミド(例えばN−メチロール−p−ビニルベンズアミド等)、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド等が挙げられる。さらに、上述したモノマーのうち、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジプロペニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコール、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー類は、架橋剤としても使用することが出来る。
また、前述の支持体及び/又は生体関連物質と結合しうる結合官能基を有するモノマーとしては、スクシンイミド基、エポキシ基、アルデヒド基、マレイミド基等を有するモノマーの例として、N− (メタ)アクリロイロキシスクシンイミド、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクロレイン、マレイミドアクリレート等が挙げられる。また、結合官能基としてボロン酸基を有するモノマーの例としては、3−アクリルアミドフェニルボロン酸等が挙げられる。さらに、結合官能基としてビオチン基を有するモノマーの例としては、N−アクリロイル−N′−ビオチニル−3,6−ジオキサオクタン−1,9−ジアミン等が挙げられる。また、結合官能基として糖や多糖を有するモノマーの例としては、2−(メタ)アクリル酸グリコシロキシエチル等が挙げられる。
さらに、親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸、スルホン酸、スルホン酸ソーダ、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルファリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−アセトアミド、ポリエチレングリコールモノ−(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−メタクリロオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
また、固定化用化合物は、前述のとおり無電荷のものが好ましい。したがって、固定化用化合物として用いる合成高分子化合物を無電荷にする場合、この無電荷の合成高分子化合物に使用するモノマーは無電荷であれば特に限定されないが、具体例を挙げると、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルファリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−アセトアミド、ポリエチレングリコールモノ−(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
また、モノマーをラジカル重合させて合成高分子化合物を合成する場合、通常はラジカル重合開始剤を混合することにより重合を開始させるが、ここで用いるラジカル系重合開始剤の例としては、2,2′-アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(2
−メチルプロパンニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2′−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1′−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾ(アゾビスニトリル)タイプの開始剤、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過硫酸塩(例えば過硫酸アンモニウム)、過酸エステル(例えばt−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレート及びt−ブチルペルオクテート)等の過酸化物タイプの開始剤などが挙げられる。
さらにレドックス系開始剤を混合することにより重合を開始させてもよい。レドックス系開始剤としては、例えば、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキシ二硫酸ナトリウム、第三ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、第三ブチルヒドロペルオキシド/Naヒドロキシメタンスルフィン酸が挙げられる。なお、個々の成分、例えば還元成分は、混合物、例えばヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩と二亜硫酸ナトリ
ウムとの混合物であってもよい。
また、合成高分子化合物は、開環重合等で合成される高分子を使用してもよい。その具体例としては、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
さらに、高分子化合物は加水分解等により合成される高分子を使用しても良い。その具体例としては、ポリ酢酸ビニルを加水分解等することにより合成されるポリビニルアルコールなどが挙げられる。
また、高分子化合物には、光反応性高分子を使用しても良い。その具体例としては、例えば、光反応性ポリアリルアミン(Bioconj.Chem.,9,277(1998)等)、光反応性ポリアクリル酸(Langmuir, 14, 6610,(1998)等)などが挙げられ、これらを用いる場合は、支持体、生体関連物質とのマトリックスの形成において、紫外線等の光を照射することによりマトリックスを形成させればよい。
上述した合成高分子化合物は、化学修飾により、前述の生体関連物質及び/又は支持体と結合する官能基を修飾することにより合成してもよい。
さらに、この他、固定化用化合物として、市販の合成高分子化合物を用いることができる。その具体例を挙げると、日本油脂社製のSUNBRITシリーズ DE−030AS、DE−030CS、DE−030GS、PTE−100GS、PTE−200GS、HGEO−100GS、HGEO−200GSなどが挙げられる。
一方、固定化用化合物として天然高分子化合物を用いる場合、その具体例としては、デキストラン、カルボキシメチル−デキストラン、でんぷん、セルロース、アガロース、アラビアゴム、アルギン酸等の多糖類、ペクチン、アルブミン、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク質、DNA、RNA、核酸などが挙げられる。これらの天然化合物は、そのまま使用しても良いし、また、化学修飾してから使用しても良い。
上記した化合物のうち、本発明においては、生体関連物質を架橋する能力を有する化合物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、側鎖に架橋性官能基を持つモノマーと両親媒性モノマーの組み合わせで合成される合成高分子等が好ましく用いられる。その中でも、例えば、N−アクリロイロキシスクシンイミドとN−アクリロイルモルフォリン、N−アクリロイロキシスクシンイミドとジメチルアクリルアミド等の組み合わせで合成される合成高分子等が好ましく用いられる。
なお、合成高分子化合物及び天然高分子化合物などの高分子化合物を固定化用化合物として用いる場合、その高分子化合物の形態は任意である。例えば、水溶液中で溶解していても良いし、ミセルやエマルションのような会合体でもかまわない。
さらに、固定化用化合物として用いられる有機無機ハイブリッドとしては、例えば、金属コロイドを高分子で被覆したもの(例えば、金、銀、白金等の粒子を保護コロイドで被覆したもの)、クレイに高分子を吸着させたものなどが挙げられる。なお、これらの有機無機ハイブリッドは公知の方法で合成することが可能である(ポリマー系ナノコンポジット、工業調査会、中條澄著などを参照)。 さらに、これらの有機無機ハイブリッドに生体関連物質を結合官能基を修飾することによって、固定化用化合物として用いることもできる。
また、固定化用化合物の分子量や構造等は特に制限は無く任意であり、例えば低分子量の化合物を用いても良いが、その場合、固定化しようとする一つの生体物質内で架橋してしまい、マトリックス構造を形成できなくなる虞がある。これを防止する観点からは、固定化用化合物の分子量としては、通常1000以上、好ましくは10000以上、また、通常100万以下、好ましくは50万以下が望ましい。なお、固定化用化合物として合成又は天然の高分子化合物を用いる場合、重量平均分子量が上記範囲に収まることが好ましい。この範囲を下回ると効果的にマトリックスが形成できなくなる虞があるためである。
さらに、固定化用化合物が有する結合官能基の量は、固定化用化合物に対して、重量%で、通常0.1%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、また、通常90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。この範囲を下回ると固定化用化合物が支持体や生体関連物質と効率よく結合できない虞があり、上回ると溶媒に混和できなくなる虞があるためである。
(5.溶媒)
本発明の生体関連物質固定担体を製造する際には、溶媒の存在下、少なくとも上述した支持体、生体関連物質、及び固定化用化合物を共存させた混合物を固相担体に供給する。
溶媒中において、支持体と生体関連物質と固定化用化合物は溶媒に混和できればその混和状態は任意であり、溶解していても分散していてもよいが、支持体と生体関連物質と固定化用化合物とが安定して結合するためには、生体関連物質及び固定化用化合物は溶解していることが好ましい。支持体は十分に混和、分散されていればよい。
溶媒は、生体関連物質及び/又は支持体と固定化用化合物とが結合する反応媒となるものであり、前記支持体、生体関連物質、及び固定化用化合物が混和しうるものであれば他に制限はなく、任意の液体を用いることができる。支持体と生体関連物質と固定化用化合物の活性や構造の安定性、機能性などを考慮して選択することが好ましいが、通常は、溶媒として水を用いる。水の存在下で固定化を行なうことにより、生体関連物質の活性を十分に保つことが可能となるほか、支持体、生体関連物質、及び固定化用化合物それぞれの選択の幅が広がり、適用範囲の拡大が期待できる。
また、溶媒としては、水以外の溶媒を用いても良く、例えば、有機溶媒を用いることができる。さらに、有機溶媒の中でも、両親媒性溶媒、即ち、水に混和しうる有機溶媒が好ましい。 水のほかの溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒の他に、THF、DMF、NMP、DMSO、ジオキサン、アセトニトリル、ピリジン、アセトン、グリセリンなどが挙げられる。
また、これら溶媒には塩を加えても良い。塩の種類は任意であるが、具体例としては、NaCl、KCl、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。また、用いる塩の量に制限は無く、用途に応じて任意の量の塩を用いることができる。
さらに、溶媒に水を用いる場合、水としては、純水のほか、生体物質や固定化用化合物以外の媒質を溶解した水溶液を用いることもできる。その例としては各種緩衝液を挙げることができ、その具体例としては、炭酸バッファー、リン酸バッファー、酢酸バッファー、HEPESバッファーなどが挙げられる。
なお、溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(6.混合物)
混合物は、溶媒の存在下、支持体、生体関連物質、及び、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物を共存させたものである。具体的には、上述した溶媒中に、支持体、生体関連物質、及び固定化用化合物が共存している混合物である。また、混合物中において支持体と生体関連物質及び固定化用化合物は溶媒に混和していることが好ましい。
前記の混合物中において、支持体と生体関連物質と固定化用化合物との比率は任意であって、本発明のマトリックスが形成される比率であれば良い。ただし、上述のとおり、生体関連物質と化合物は溶媒に溶解していることが好ましく、支持体は混和、分散していることが好ましい。例えば、支持体として前記ラテックス粒子を用いる場合には、混合物中に懸濁されているラテックス粒子の濃度は、0.5〜10%[w/w]程度である。
さらに、この混合物を調製する方法に制限は無く、任意である。例えば、支持体の分散液と、生体関連物質の溶液(水溶液など)又は分散液と、固定化用化合物の溶液(水溶液など)又は分散液とを混合すればよく、予め、これらの溶液のうち2種類を混合した溶液に他の溶液を加えても良い。
なお、上記の混合物には、支持体、生体関連物質、固定化用化合物、及び溶媒の他、任意の添加剤を共存させても良い。添加剤の例としては、例えば、塩、酸、塩基、バッファー、グリセリン等の保湿剤、生体関連物質の安定剤としての亜鉛等の金属イオン、消泡剤、変性剤などを挙げることができる。
(7.供給)
本発明の生体関連物質固定担体を製造する際には、上述した混合物を、固相担体に供給する。即ち、上述した混合物を固相担体に接触した状態にさせる。その具体的な操作は任意であるが、例えば、あらかじめ混合物を用意してその混合物を固相担体に接触させてもよいし、混合物の各成分を別々に用意し、固相担体上でそれらを混合させて混合物を調製し、固相担体に混合物を接触させるようにしてもよい。具体的には、例えば、支持体を含む分散液と生体関連物質を含む溶液(水溶液等)と化合物を含む溶液(水溶液等)とを固相担体上に各々供給した後に固相担体上で両溶液を混合する等により行なうことができる。また、予め混合物を用意しておく場合、供給前の混合物中で後述するコンジュゲート及び/又はマトリックスを作製しておき、その後、混合物を固相担体に供給するようにしても良い。
(8.マトリックスの形成)
次いで、固相担体表面に、支持体と生体関連物質と化合物との結合が、該支持体を核として、該生体関連物質及び/又は該支持体に対して該化合物が結合部位によって結合することで形成させることにより、鎖状、網目状、ブロック状等の形状で結合してなるマトリックスを形成させる。混合物を調製すると、混合物中において支持体と生体関連物質と固定化用化合物とが結合し、これら3種類が任意の比率で含まれて構成されるコンジュゲートが生成される。このコンジュゲートは、支持体と生体関連物質と固定化用化合物とが結合したもので、支持体と生体関連物質と固定化用化合物とを溶媒中で混合し、互いの分子を接触させるだけで作製することができる。したがって、固相担体に供給された混合物内には、通常、コンジュゲートが存在している。
コンジュゲートは、乾燥等により溶媒の一部もしくは全部が除去される工程において、コンジュゲート同士が集合し、互いが有する支持体、生体関連物質、及び固定化用化合物が結合することにより、鎖状、網目状、ブロック状等の形状で結合した構造を有するマトリックスを構成する。したがって、固相担体に供給された混合物を固相担体に接触させることにより、例えば混合物中のコンジュゲートが固相担体表面に集積されたり、混合物中でコンジュゲート同士が結合して生成したマトリックスが固相担体に結合したり、混合物中の支持体、生体関連物質、及び固定化用化合物が固相担体表面に結合することによりコンジュゲート及び/又はマトリックスが生成したりすることで、固相担体表面にマトリックスを形成することができる。
混合物中の溶媒の量が多い場合などにおいては、混合物中にコンジュゲートやマトリックスが生成しにくい、又は、生成しない場合がある。この場合には、混合物を濃縮することで、コンジュゲートを効率的に形成させることができる。もちろん、上記のように固相担体に供給された混合物がコンジュゲート及び/又はマトリックスを含んでいる場合においても、コンジュゲート及び/又はマトリックスを更に生成させるため、濃縮を行なってもよい。ただし、均一なマトリックスを形成するためには、混合物調製の初期の段階においては、溶媒中で支持体と生体関連物質と固定化用化合物とを均一に混合することが好ましい。したがって、一旦比較的大量の溶媒中に支持体と生体物質及び固定化用化合物を共存させ、それを濃縮することによりコンジュゲートを生成させることが好ましい。
なお、通常は、混合物を乾燥させる過程において混合物が濃縮されるので、濃縮と乾燥とを一連の操作として行なうことができる。混合物を乾燥、濃縮する方法は任意であるが、例えば、限外濾過、減圧乾燥などが挙げられる。また、このほか、単に常圧下での蒸発により乾燥や濃縮を行なうようにしてもかまわない。
本発明の固相担体は、好ましくは、上述のように溶媒の一部もしくは全部を除去することにより形成される空隙をマトリックス中に有するものである。溶媒の除去は、上述のとおり、乾燥により行われることが好ましい。この乾燥の工程を経ることによって、前記コンジュゲートが強固なマトリックスを形成し、さらにマトリックス中に空隙が生成される。
例えば、混合物を乾燥、濃縮する際の温度条件は、生体関連物質の変性等を避ける観点から、通常37℃以下、好ましくは25℃以下で行なうことが望ましい。 また、混合物を乾燥、濃縮する際の湿度、圧力条件も、マトリックスの形成状態やマトリックス中の空隙の形成状態に鑑みて適宜設定可能である。
なお、マトリックスを固相担体に十分に固定化するために、混合物の供給後、所定の時間だけ固相担体を静置することが望ましい。静置の時間は任意であるが、通常24時間以下、好ましくは12時間以下が望ましい。すなわち、固相担体に前記混合物を供給した後、一定時間静置して十分にコンジュゲートの形成と担体表面への固定化を促進させてから、乾燥等による溶媒の除去を行えばよい。このような工程を経ることにより、十分な空隙と膜厚を有する本発明のマトリックスが固相担体上に強固に形成された本発明の固相担体を作製することができる。
上記記載のマトリックスの形成工程の一例を図3(a)〜(c)に模式的に示す。図3に示すように、生体関連物質と固定化用化合物と支持体を含んだ混合物が固相担体に供給され(図3(a))、これら3種類が任意の比率で構成されるコンジュゲートを形成し(図3(b))、その後、溶媒が除去されることにより、支持体を核として生体関連物質と固定化用化合物とが支持体に結合し、鎖状及び/又は網目状及び/又はブロック状に結合した構造を有する空隙層を持ったマトリックスが形成される(図3(c))。なお、図3は、本発明のマトリックスの構造を説明するため、本発明の生体関連物質固定担体の一例の断面を拡大して示す模式図である。また、図3において、塗りつぶされた円形部分が生体関連物質を表わし、線状部分が固定化用化合物を表わし、白抜きの円形部分が支持体を表し、斜線部は溶媒を表し、空白部が空隙層を表す。
(8.その他の工程)
以上のように、上記の方法は、溶媒中に支持体と生体関連物質と固定化用化合物とが共存した混合物を固相担体に接触させるだけで、固相担体表面にマトリックスを形成させることができ、これにより、本発明の生体物質固定担体を製造することができる、即ち、固相担体上に生体関連物質を固定化することができるという、非常に簡便な方法である。
ところで、本発明の生体物質固定担体を製造する際には、上記の工程のほかの工程を行なってもよい。
例えば、マトリックス中の生体関連物質に、さらに異なる生体関連物質を結合させるようにしても良い。これを利用すれば、生体物質固定担体の製造後、マトリックス中の生体関連物質に特定的に結合するように修飾した別の生体関連物質を後から結合させ、結果として、固相担体に上記の別の生体関連物質を高密度に固定化することができる。具体例を挙げると、生体関連物質としてアビジンを用いて、このアビジンと支持体と固定化用化合物とを結合させてマトリックスを形成し、生体物質固定担体を製造する。その後、ビオチンで修飾した別の生体関連物質を用いて、アビジン−ビオチン相互作用により上記の別の生体関連物質を固定化することができる。また、同様にヒスチジンタグもしくはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ等を介して、生体関連物質を固定することも可能である。
[II.生体関連物質固定担体]
本発明の生体関連物質固定担体は、上述した方法により製造されるものである。また、本発明の生体関連物質固定担体が有するマトリックスは、支持体を核として上記のコンジュゲートが多数結合して構成されたものであり、通常は、図1に示される様な、生体関連物質と固定化用化合物とが鎖状及び/又は網目状、ブロック状に結合した形状を有する構造体である。
さらに、本発明のマトリックスは、上記の支持体を核として生体関連物質及び固定化用化合物からなる主鎖を有する構造体である。なお、ここで本発明のマトリックスの主鎖はマトリックスの骨格を構成するもので、具体的には支持体の周りを生体関連物質と固定化用化合物が取り囲み、これらが更に一つ以上の集合体を形成することにより形成されるものであり、詳しくは、支持体及び/又は生体関連物質に対して固定化用化合物が結合官能基等によって結合して橋架け構造をとり、その構造の繰り返しによって鎖状及び/又は網目状、ブロック状の構造を形成されたものである。
したがって、本発明のマトリックスは、固定化用化合物同士の間に生体関連物質若しくは支持体が存在する橋架け構造を少なくとも一部に有しており、生体関連物質及び化合物の両方によって、支持体を核としたマトリックスの主鎖が構成されている。よって、本発明のマトリックスは、その作製時に系内に支持体、生体関連物質及び固定化用化合物の全てが存在する際に形成される。
さらに、本発明の生体関連物質固定担体は、好ましくは、上述のように溶媒の一部もしくは全部を除去することにより形成される空隙をマトリックス中に有するものである。溶媒の除去は、上述のとおり、乾燥により行われることが好ましく、この乾燥の工程を経ることによって、前記コンジュゲートが強固なマトリックスを形成し、さらにマトリックス中に空隙が生成される。
本発明のマトリックスが支持体を核とした生体関連物質と固定化用化合物とからなる主鎖を有していることは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡による観察等の手法で確認することができる。また、該マトリックス中に形成されている空隙や膜厚についても、同様に確認できる。
ここで、空隙としては、本発明のマトリックス中に立体的に空間が形成されていればよく、マトリックスが有する鎖状、網目状、もしくはブロック状等の形状の間に空間を生じているものである。好ましくは、クラック(裂け目、割れ目)様の空隙、多孔性物質等が有するマイクロポア様の空隙等であるが、これを用いたときに十分な反応性が確保できるものであればいかなるものでも良い。なお、これらの空隙の形状は、例えば、電子顕微鏡等により確認することができる。
空隙率とは、本発明のマトリックス中の空隙が占める割合を示す値である。空隙率を求める方法としては、例えば、電子顕微鏡写真を用いて画像解析を行う方法、ガス吸着法、Hgポロシティー法等が挙げられる。
空隙率は目的に応じて任意であるが、例えば、マトリックスが乾燥した状態において、SEM又はTEM像の断面図を画像解析することにより得られる空隙率が、5%以上であることが好ましい。画像解析の方法としては、それ自体公知の画像処理方法を適宜選択して応用することができるが、例えば、取得したSEM写真をスキャナーで取り込み、ノイズ除去を行った後に、背景画像を作成してシェーディング補正を行い、粒子領域を設定して設定された閾値において画像を二値化してこれらの面積比を求める方法等が挙げられる。
空隙率が低すぎると、マトリックス中への作用物質の拡散が抑えられたり、固定化されている生体関連物質が表面に露出している度合いが低下することにより、生体関連物質と作用物質間の反応効率が低くなることがある。また、洗浄効率が低下することによる非特異反応の上昇等の問題もある。逆に、空隙率が高すぎると、十分な膜の強度を保持することができない等の問題が生じることがある。このような問題点も、上述したように本発明のマトリックスを形成させる条件を最適化することにより、調整することができる。
マトリックスの膜厚についても任意であるが、例えば、マトリックスが乾燥した状態においてSEM又はTEMで測定した膜厚が、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。膜厚が小さすぎると、マトリックスの膜厚を均一にすることが難しく、さらに、さらに再現性良く多量の生体関連物質の固定化を行なうことが困難になる場合があるためである。なお、本発明のマトリックスの膜厚とは、本発明の生体関連物質固定担体の断面において、固相担体との接触面から固定担体表面までの厚さである。
本発明のマトリックスの構造において、上述したような空隙の形状、空隙率、膜厚等は、目的に応じて適切な生体関連物質と結合可能な化合物及び支持体を選択し、これらの構成比率、固定化条件、溶媒除去の条件等を適宜選択することによって最適化することができる。
[III.効果]
本発明の生体関連物質固定担体は、生体関連物質が従来よりも多量に精度良く安価に固定化されているものである。
固定化量を増加させるための手法としては、例えば、高濃度の生体関連物質を含む溶液を直接固相担体にスポッティングする方法が繁用されている。しかし、この方法では、滴下された溶液(液滴)が乾燥する過程において、液滴からの蒸気Fluxが場所によって一定ではなく、液滴の外側からのFluxが大きいことが知られている。すなわち、液滴の内部を考えたとき、液滴の中心から端部へ溶液のFluxが生じており、それに伴って溶質である生体関連物質も中心から端部へと流れていくので、溶媒の蒸発に伴って生体関連物質が液滴の端部で析出し、スポット周辺部に局在して高濃度の生体関連物質が固定化され、結果的にリング状のスポットを形成してしまうことが知られている。このリング状のスポットは、特に反応後の測定工程において大きな問題となり、CV値を上昇させて測定精度を低下させる原因のひとつとなる。
特許文献1〜3のような従来技術では、固相担体表面に形成された高分子膜(ポリマー膜)に生体関連物質を結合させていた。しかし、この場合、ポリマー鎖で形成された主鎖に対して、生体関連物質が高分子鎖の先端に結合したり高分子鎖にグラフト状に結合したりすることで、生体関連物質を固相担体に結合させていたため、主鎖としてポリマー鎖を形成させる必要があり、固定化する生体関連物質に対して一定以上のポリマーを使用しなくてはならず、生体関連物質の固定化量に限界があった。 また、膜の表面に生体関連物質が偏ってしまい、高分子膜中に作用物質が進入できる空隙がなくなって、反応性が低下することがしばしばであった。さらに、主鎖が親水性ポリマーのみで構築される従来の技術では、親水性ポリマー鎖が排除体積効果及びポリマー鎖の運動により、生体関連物質への作用物質の接近を妨げることが推測される(生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法−BIACOREを中心に,編集 永田和宏・半田宏,発行所 シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社,第258頁、医療用高分子材料の開発と応用,シーエムシー,第19頁)。
また、例えば非特許文献1のような従来技術では、固相担体が多孔性であるため表面積が大きく、多くの生体関連物質を結合させることができるが、直孔フィルターや特別な固定化設備等を利用して固相担体に特殊な形状を持たせる必要があり、固相担体自体が高価かつ限定された担体になってしまうという問題点があった。
さらに例えば、生体関連物質と化合物のみを用いてマトリックスを形成させた場合は、生体関連物質のみを担体に結合させるよりも多くの生体関連物質を固定化可能ではあるが、通常は十分な膜厚や空隙を形成することが難しく、また、スポッティングを行った場合にスポットがリング状になり、十分な精度を得ることが困難である。たとえ多量の生体関連物質を固定化させて十分な膜厚を確保できたとしても、空隙が十分に形成されていないと、膜中に含まれる生体関連物質の反応性が損なわれたり、これと反応すべき作用物質が十分に拡散しなかったりして反応効率が低下することがある。特に、例えば、生体関連物質と検出対象物質の組み合わせとして、抗原と抗体、タンパク質とリガンド等を用いる場合には、これらの間に生じる抗原抗体反応等は微弱な生物学的反応であるので、固定化量が多量であって、さらに固定化された物質の生物学的活性が維持されおり、かつ、反応にあずかれるように表面に露出している必要がある。
本発明の生体関連物質固定担体はこれらの従来技術における問題点を解決し得るものであって、生体関連物質、該生体関連物質と結合可能な化合物、及び支持体の3つを含むことによって、従来法に比べて強固で十分な膜厚を有するマトリックスを形成することができ、十分な固定化量が得られる上に、空隙も設けることができる点で、非常に優位である。すなわち、生体関連物質を、固相担体上に三次元的にほぼ均一な状態で大量に固定することができる。該空隙は、固定化された生体関連物質が反応するための反応場となり得るので、本発明の生体関連物質固定担体をバイオセンサーや診断デバイス等に利用したときに、十分な反応性と感度を確保することができる。
また、本発明の生体関連物質固定担体は、混合物の濃度(各構成要素の混合比率)、マトリックス形成時の温度、湿度、圧力等の条件を最適化することにより、任意の性質のマトリックスをムラなく精度良く形成させ、簡便に作製することができる点においても優位である。従来の方法では、生体物質を高密度に固定化するためには多くの工程を要していた。具体的には、従来は、固相担体上にあらかじめ高分子膜を形成し、その高分子膜に生体物質を固定化して固相担体上にリガンドを含んだマトリックスを構築したり、多孔性担体の様な特別な構造を必要とした。しかし、これらの方法では、固相上に高分子膜を作製する際に、高分子の分子量や固相担体への導入密度を適切にコントロールする必要があり、操作が非常に煩雑であり再現性良く固定化を行なうことが困難であったり、多孔性担体の場合は固定化の際に多孔性担体中での生体関連物質の拡散による影響が生じたりする問題があった。特に、特許文献3の方法では、固相担体表面からブラシ状に高分子鎖を構築することが技術的に難しく、大量生産には不向きであった。
これに対し、本発明の生体関連物質固定担体は、溶媒中に支持体と生体関連物質と固定化用化合物とが共存した混合物を固相担体に接触させるだけで、固相担体状にマトリックスを形成させること、即ち、生体関連物質を固定化することができるという、非常に簡単に製造可能なものである。また、特許文献2記載の技術のように、生体関連物質固定担体の製造に用いる溶媒を有機溶媒に限定され、それにより使用できる生体物質を制限されることがないため、固定化する生体関連物質の選択範囲を広げることが可能となる。
また、本発明の生体関連物質固定担体に形成されたマトリックスは、管理された温度、湿度、圧力条件下で、支持体と生体関連物質と固定化化合物の量、比率、および/または支持体の形状を変化させることにより、マトリックスの形成状態、膜厚や空隙率を任意に制御することができる。従来技術では、通常は、マトリックスの膜厚をサブミクロンレベルから数ミクロンレベルまで任意にコントロールすることは非常に困難であった。しかし、本発明によればマトリックスの膜厚を上記のような精密なレベルで制御することが可能であり、マトリックス構造の設計の自由度を高めることができる。
例えば、イムノアッセイを行なう場合には、固定するために用いる膜の膜厚は、生体関連物質が大量に固定化されかつ非特異的反応を抑制させる必要があり、その材質によって最適な膜厚が存在する。また、例えば、医療用器具、再生医療担体の表面処理を行なう場合、充分な強度及び被覆を実現させるためには、その表面処理に用いる膜にはミクロオーダーの膜厚が要求される。さらに、例えばDDS(ドラッグデリバリーシステム)のための薬剤の表面処理を行なう場合には、ドラッグリリースの制御のためにその表面処理に用いる膜の膜厚を厳密に制御することが要求される。このように、生体物質の固定化に何らかの膜を利用する場合には、その膜厚制御が重要であることは知られていたが、従来技術では非常に困難であった。本発明によれば、目的の用途に応じた膜厚を、混合物の濃度、量、反応条件(温度や時間等)などを調製することにより、任意に調製することができる。
さらに、本発明の生体関連物質固定担体では、生体関連物質と作用物質とを相互作用させるべく本発明の生体関連物質固定担体を使用した場合に、生体関連物質以外のマトリックス構成要素に起因する非特異的相互作用を抑制することができる。これはマトリックス中における生体関連物質の比率を高め、生体関連物質以外の物質に非特異的相互作用を抑制する物質を使用することにより達成できる。
また、特に、固定化用化合物として無電荷のものを用いた場合には、電荷により生じる非特異的相互作用をより一層抑制することも可能となる。即ち、例えば特許文献1記載の方法においては、高分子膜が荷電を有しているために、用いる緩衝溶液のpHやイオン強度が生体物質の反応に大きく影響し、さらに、荷電を有するタンパク質は静電気的相互作用による非特異吸着を避けられなかった(ナノテクノロジー基礎シリーズ バイオナノテクノロジー 堀池靖浩・片岡一則(共編)第186頁を参照)。しかし、固定化用化合物として無電荷のものを用いれば、そのような問題を回避可能であり、特定の相互作用を選択的に生じさせることが可能となる。このことにより、より一層測定の感度を高めることができる。
[IV.生体関連物質固定化キット]
上述した生体関連物質固定担体を製造するためには、少なくとも支持体及び固定化用化合物をキット化した生体関連物質固定化キットを用いても良い。該生体関連物質固定化キットを用いれば、固相担体上に上記マトリックスを簡単に作製でき、本発明の生体関連物質固定担体を簡単に製造できるため、生体関連物質を固相担体上へ簡単且つ大量に固定化することが可能となる。
生体関連物質固定化キットに備えられる支持体は、上述したものと同様である。また、生体物質固定化キットにおいて、支持体はどのような状態で備えられていても良く、例えば、任意の溶媒に溶解した溶液、任意の分散媒に分散した分散液、粉末状や塊状の固体など、その存在状態は任意である。
また、生体関連物質固定化キットに備えられる固定化用化合物は、上述したものと同様である。また、生体物質固定化キットにおいて、固定化用化合物はどのような状態で備えられていても良く、例えば、任意の溶媒に溶解した溶液、任意の分散媒に分散した分散液、粉末状や塊状の固体など、その存在状態は任意である。
さらに、生体関連物質固定化キットには、必要に応じて他の要素が備えられていても良い。
例えば、溶媒をさらに備えていてもよい。溶媒としては、生体関連物質固定担体の製造に用いる溶媒として上述した溶媒と同様である。さらに、生体関連物質固定化キットにおいて、この溶媒は、上記支持体、固定化用化合物と別に備えられていても良く、支持体や固定化用化合物の溶媒や分散媒等として支持体や固定化用化合物と一体に備えられていても良い。
例えば、マトリックスの製造を促進する試薬などをさらに備えていても良い。具体例としては、固定化用化合物としてポリアクリル酸を用いる場合には、ポリアクリル酸のカルボニル基を活性させるために1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(略称:EDC)を試薬として備えるようにしてもよい。
[V.用途]
本発明の生体関連物質固定担体は、産業上の広い範囲において用いることが可能である。具体的な用途に制限は無く、任意の用途に用いることができるが、通常は、生体関連物質と、その生体関連物質と特異的に相互作用する作用物質(分析物)との「相互作用」を利用した用途に用いて好適である。
例えば、本発明の生体関連物質固定担体は、生体関連物質と相互作用する作用物質を分析物として検出するバイオセンサーとして好適に使用できる。上記のバイオセンサーは、例えば、いわゆるDNAアレイもしくはDNAチップ、または、プロテインアレイもしくはプロテインチップ等と呼ばれる、DNAまたはタンパク質を固定化したセンサチップを用いて、相互作用を解析するものであるが、本発明の生体関連物質固定担体は、このセンサチップに適用することができる。即ち、センサチップに生体関連物質を固定化する場合に、上述した方法によりセンサチップ本体にマトリックスを形成して、センサチップを本発明の生体関連物質固定担体として用いることができる。
このように、本発明の生体関連物質固定担体を適用することができるバイオセンサーの具体例としては、蛍光法、化学発光法、RI法、FRET法、SPR(表面プラズモン共鳴)法、QCM(水晶発振子マイクロバランス)法、ピエゾ方式カンチレバー法、レーザー方式カンチレバー法、質量分析法、電極法、電界効果トランジスタ(FET)法、カーボンナノチューブを利用したFET及び/又は単一電子トランジスタ法、電気化学的方法によるセンサなどが挙げられる。この中でも、化学発光法による検出は、検体を高感度で分析することができるため、好適に用いられる。
例えば、化学発光法に本発明の生体関連物質固定担体を適用する場合、センサチップ本体の表面にマトリックスを強固に結合するためには、センサチップ本体の表面が官能基を有していることが好ましい。この場合、官能基は任意であるが、例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基、アミノアルデヒド基、ヒドラジド基、カルボニル基、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、スクシンイミド基等が挙げられる。
また、例えば、蛍光法に本発明の生体関連物質固定担体を適用する場合、固相担体、支持体、固定化化用化合物は自己蛍光の影響が少ない材質を使用することが望ましく、自己蛍光が生じる場合には時間分解蛍光法を採用することが好ましい。
また、例えば、本発明の生体関連物質固定担体は、上記バイオセンサーとしての性質を利用して診断デバイス等に好適に用い得る。診断デバイスの場合には、例えば、抗体、抗原、酵素等のタンパク質や、DNA、RNA等の核酸、薬物や抗生物質等の低分子化合物等を検出対象とすることが多く、その測定方法としては、好ましくは化学発光法、蛍光法、RI法等が用いられる。
本発明の生体関連物質固定担体は、例えば上記したようなバイオセンサー等として、検体中の分析物のアッセイに好適に用いられる。本発明の分析物をアッセイする方法は、検体中の少なくとも1種の分析物についてアッセイする方法であって、(a)該検体を、該分析物と反応し得る生体関連物質を少なくとも1種含む本発明の固定担体及び/又はアレイに送達し、(b)該生体関連物質と該分析物との相互作用、又は、該分析物と反応する標識物質を加えることにより生じる反応を検出することにより、該分析物の存在もしくは量について検出することを特徴とする方法である。
ここで、検体とは、分析物を含むか又は含む可能性があるものであればよいが、好ましくはヒト等の生体由来の試料である。そのような試料としては、例えば、血液、血清、血漿、尿、糞便、鼻汁、唾液などの体液、細胞、組織や、それらの抽出液等が挙げられる。分析物については、前述のとおりである。
以下に、化学発光法を用いて抗原抗体反応を検出する場合を例に挙げて、本発明の生体関連物質固定担体を用いたアッセイ方法についてさらに具体的に説明する。
分析物である抗原に対する抗体(1次抗体)が支持体及び固定化用化合物と共に固定化された生体関連物質固定担体と、検体中の該抗原とを、一定時間反応させる。次に、洗浄等により未反応の抗原及び抗原以外の共存物質を除去し、酵素により標識された該抗原に対する抗体(標識2次抗体)を一定時間反応させて、さらに洗浄等により余剰な標識2次抗体を除去する。これにより、1次抗体、抗原、酵素標識2次抗体間にサンドイッチを形成させる(サンドイッチ法)。なお、抗原抗体反応を利用して検出対象物をアッセイする方法はサンドイッチ法に限られず、インヒビッション法等広くイムノアッセイの領域で用いられている方法を使用することができる。
反応後、該酵素に対応する化学発光基質を加えることにより、分析物である抗原の存在または量に基づいて化学発光を生じさせ、試験領域から発せられる光信号を検出器により検出する。
このとき用いられる酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)やアルカリ性ホスファターゼ(ALP)等が挙げられ、基質としては、HRPを用いた場合にはルミノール、ALPを用いた場合には1,2−ジオキセタン等が用いられる。
また、検出器としては、電荷結合素子(CCD)カメラ、光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード(PD)等が用いられ、2種以上の生体関連物質が1次元又は2次元に固定されたアレイの場合、検出器としてはCCDカメラ、フォトダイオードアレイ、スイッチング式PMTが好ましい。
また、この様なアッセイ法は、本発明の生体関連物質固定担体もしくはアレイへの検体等の送達をフローの条件下で行うこともできる。このとき、少なくとも検体が流体であることが好ましく、さらに好ましくは、他の試薬も流体のものを用いる。まず、分析物である抗原に対する抗体(1次抗体)が支持体及び固定化用化合物と共に固定化された生体関連物質固定担体を含むセル(フローセル)を作製し、該セルへ検体等をフローにて送達させて、検体中の該抗原を一定時間反応させる。次に、該フローセルに同じくフローにて洗浄液を送達することにより、未反応の抗原及び抗原以外の共存物質を除去する。その後、該フローセルに酵素により標識された該抗原に対する抗体(標識2次抗体)を含む溶液を、一定時間、同じくフローにて送達することによって反応させる。再度、該フローセルに洗浄液をフローにて送達し、余剰な標識2次抗体を除去して、1次抗体、抗原、酵素標識2次抗体間にサンドイッチを形成させる(サンドイッチ法)。用いられる方法、酵素、検出器等に関しては、前記したものと同様のものが用いられる。
なお、いずれの場合においても、予め本発明の生体関連物質固定担体上に参照領域を設けておき、この参照領域における反応を検出して、比較することにより、アッセイの成否を判定したり、検出された分析物の存在又は量についての校正を行うことができる。例えば、予め既知濃度に調製された分析物である抗原を、生体関連物質が固定化された固相担体上の既知の領域(参照領域)に固定化させておき、上記と同様の方法にてアッセイを行った後、この参照領域についても化学発光を生じさせ、該参照領域から発せられる光信号を上記の検出器により検出し、これを検体中の分析物による反応から発せられる光信号と比較することにより、分析物の濃度の算出あるいは校正を行うことができる。また、この参照領域から発せられる光信号は予め期待される発光強度が把握できるため、この光信号の強度より、アッセイの成否を判定することもできる。
また、上記したような本発明のアッセイ方法において2種以上の分析物を並行してアッセイする方法であって、測定された分析物の存在もしくは量と、特定の症状とを関連づける方法も好ましく用いられる。このような方法は、例えば、「パネル検査」や「プロファイル検査」等として非常に有用である。パネル検査とは、複数の検査マーカーを組み合わせることによって、ある疾患や症状についてより詳細な検査を行うことを意味する。例えば、癌の診断を行う場合に、ある一つの腫瘍マーカーの数値が高いということだけではどこの癌であるかを特定するのは困難であるが、複数の腫瘍マーカーを調べることにより、腫瘍の種類や部位を絞り込んでいくことができる。また、「プロファイル検査」とは、疾患治療における予後や治療効果の判定において、従来の検査マーカーを含む複数の検査マーカーを測定し、得られた結果の多変量解析等を用いて患者ごとに異なる基準値を設定し、その変動を詳細に解析するものである。このような解析結果は、些細な病態の変化も見逃すことなく適切な処置を施したり、投薬の際に副作用等を回避するための知見として有用である。
このような検査の具体例として、例えば、心筋梗塞を診断する際に急性冠症候群の患者の危険度の階層化のために行われる検査として、独立に変動する3種類のマーカー、すなわち、神経ホルモンマーカーであるB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、虚血マーカーであるトロポニンT若しくはI、炎症マーカーであるC−反応性タンパク質(CRP)の全てを測定することにより、予後の判定に生かす手法が考えられている。このほかにも種々の検査マーカーを組み合わせた検査方法が提案されつつあり、このような検査において、本発明の生体関連物質固定担体、アレイ、及びアッセイ方法は非常に好適に用いられる。
さらに、本発明の生体関連物質固定担体は、DDS(ドラッグデリバリーシステム)のための薬剤の表面処理、再生医療担体の表面処理、人工臓器の表面処理、カテーテルなどの表面処理等に適用可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、実施例の説明において、特に断らない限り、%は重量%を表わす。
[ポリマー(固定化用化合物)の合成]
まず最初に、本発明の生体関連物質固定担体を作製するための、生体関連物質と結合可能な化合物として、ポリマーA及びBの2種類を合成した。
[製造例1:ポリマーAの合成]
モノマーであるN−アクリロイルモルホリン(NAM、KOHJIN社製)0.564重量部とN−アクリロイロキシスクシンイミド(NAS、ACROS ORGANICS社製)0.169重量部と、溶媒である脱水ジオキサン(和光純薬工業株式会社製)8.75重量部とをよく混合し、50mLの四つ口フラスコにそそぎ入れ、室温で30分間窒素にて脱気を行ない、モノマー溶液を調製した。このモノマー溶液をオイルバスにて60℃に昇温し、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、キシダ化学株式会社製)0.008重量部を脱水ジオキサン0.5gに溶かした溶液を入れることにより、重合を開始した。重合は窒素雰囲気下、8時間行なった。
重合後、ポリマーが生成した溶液は、0.5Lのジエチルエーテル(国産化学株式会社製)に滴下することにより再沈殿させた後、溶媒を除去することにより粉末化し、ポリマーAを得た。
得られたポリマーAについて、標準ポリスチレンで校正されたSEC測定を行なった結果、重量平均分子量(Mw)が約86000と見積もられた。
また、得られたポリマーAに含まれるNASとNAMとのモル比(NAS/NAM)は、NMR測定からNAS/NAM=30/70と見積もられた。
[製造例2:ポリマーBの合成]
モノマーとして、NAM及びNASに代えてジメチルアクリルアミド(DMAA、KOHJIN社製)0.793重量部、及び、NAS 0.338重量部を用い、溶媒である脱水ジオキサンの使用量を18.37重量部とし、重合開始剤であるAIBNの使用量を0.00164重量部とした以外は、製造例1(ポリマーAの合成)と同様にして、ポリマーBを得た。
得られたポリマーBについて、標準ポリスチレンで校正されたSEC測定を行なった結果、重量平均分子量(Mw)が約26000と見積もられた。
また、ポリマーBに含まれるNASとDMAAとのモル比(NAS/DMAA)は、NMR測定からNAS/DMAA=43/57と見積もられた。
[センサチップの表面処理]
次に、本発明の生体関連物質固定担体の基体となる固相担体を調製した。
[製造例3:センサチップA]
測定用センサチップには、大きさが縦2.5cm×横2.5cm×厚さ1.2mmの 平滑、平板状プラスチックの基体表面に、厚さ約80nmで金を蒸着した金被覆センサチップを用いた。
この金被覆センサチップを、10mMの16−メルカプトヘキサデカン酸(16−MELCAPTOHEXADECANOIC ACID;ALDEICH社製)エタノール溶液に浸漬させ、60℃で2時間反応させ、表面処理を行なった。反応終了後、金被覆センサチップをエタノール及び脱塩水で洗浄した。この表面処理は、金被覆センサチップ表面に金−チオール結合を介してカルボキシル基を導入するものである。
次に、0.1MのN−ヒドロキシスクシイミド(NHS、和光純薬工業社製)水溶液1mLと0.4Mの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC、同仁化学研究所製)水溶液1mLとを混合し、さらに脱塩水18gで希釈した溶液に、カルボキシル基を導入した金被覆センサチップを浸漬させ15分間反応させた。ここで得られた、スクシイミド基を導入された金被覆センサチップをセンサチップAとした。
[支持体の作製]
以下の方法により、本発明の生体関連物質固定担体を作製するための支持体を調製した。
[製造例4:牛血清アルブミン固定化ラテックス]
10%ポリスチレンラテックス水溶液(日本合成ゴム社製、粒径0.101μm)200μLと0.1%牛血清アルブミン(SIGMA社製)、0.15M塩化ナトリウム含有0.1Mリン酸バッファー(pH7.4:以下リン酸希釈バッファー)800μLとを混合し、室温にて30分間、撹拌した後、遠心して上清を除去した後、沈殿物に0.1%牛血清アルブミン(SIGMA社製)、0.15M塩化ナトリウム含有0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)200μLを加え、10%牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(支持体)とした。
[測定用センサチップの作製]
以下に記載のとおり、本発明の生体関連物質固定担体としてバイオセンサチップ1〜6を調製した。また、比較用バイオセンサチップ1〜4を調製した。
[製造例5:バイオセンサチップ1]
バイオセンサチップ1は、前記センサチップAに、ポリマーA(生体関連物質と結合可能な化合物)、1%マウスIgG(生体関連物質)、及びラテックス(支持体)を混合したものを滴下して固定化させて作製した。
まず、上記10%牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(粒径0.101μm:支持体)10μLに、上記ポリマーA(固定化用化合物)を0.1Mのリン酸バッファー(pH7.2)を用いて、1%に調製したポリマーA水溶液10μLと、1%マウスIgG(LAMPiREBIOLOGICAL LABORATORIES社製;生体関連物質)水溶液100μLとを混合し、その混合液0.5μLを、上記センサチップAに滴下し、37℃、飽和水蒸気圧下で30分間固定化させた。その後、溶媒を室温にて自然乾燥により15時間乾燥させることにより、マトリックスを形成させた後、3%牛血清アルブミン(SIGMA社製)含有0.5Mエタノールアミン塩酸塩(SIGMA社製,pH8.5)水溶液に30分間振とう下、浸漬させて未反応スクシンイミド基をブロッキングし、さらに、脱塩水を用いて基板を洗浄後乾燥し、本発明の生体物質固定担体としてのバイオセンサチップ1とした。
[製造例6:バイオセンサチップ2]
バイオセンサチップ2は、バイオセンサチップ1と同様にして作製したが、ラテックス濃度を4段階に設定し、バイオセンサチップ2(a)〜(d)の4種類を作製した。
まず、上記牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(粒径0.101μm:支持体)を上記リン酸希釈バッファーを用いて0%、2%、10%、40%にそれぞれ調製した水溶液10μLと上記ポリマーA(固定化用化合物)を上記リン酸バッファーを用いて1%に調製した水溶液10μLとを、上記マウスIgGを上記のリン酸バッファーを用いて1%にそれぞれ調製した水溶液100μLとそれぞれ混合し、その混合液0.5μLを、上記センサチップAに滴下し、37℃、飽和水蒸気圧下で30分間固定化させた。その後、製造例5(バイオセンサチップ1の作製)と同様にして自然乾燥、ブロッキング及び洗浄を行ない、バイオセンサチップを作製した。こうして作製された本発明の生体物質固定担体としてのバイオセンサチップを、バイオセンサチップ2とした。
[製造例7:バイオセンサチップ3]
バイオセンサチップ3は、前記センサチップAに、ポリマーA、マウス抗体F(ab’)2(生体関連物質)、及びラテックスを固定化させたものである。ポリマーA及びラテックスはそれぞれ2種類の濃度を設定し、バイオセンサチップ3(a)〜(d)の4種類を作製した。
まず、上記牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(粒径0.101μm:支持体)を上記リン酸希釈バッファーを用いて0%、10%にそれぞれ調製した水溶液10μLと上記ポリマーA(固定化用化合物)を上記リン酸バッファーを用いて1%に、3.8%にそれぞれ調製した水溶液10μLとを、マウス抗体F(ab’)2(自社製,生体関連物質)を上記のリン酸バッファーを用いて1%にそれぞれ調製した水溶液100μLにそれぞれ混合し、その混合液0.5μLを、上記センサチップAに滴下し、37℃、飽和水蒸気圧下で30分間固定化させた。その後、製造例5(バイオセンサチップ1の作製)と同様にして自然乾燥、ブロッキング及び洗浄を行ない、バイオセンサチップを作製した。こうして作製された本発明の生体物質固定担体としてのバイオセンサチップを、バイオセンサチップ3とした。
[製造例8:バイオセンサチップ4]
バイオセンサチップ4の作製は、上記製造例5に記載のバイオチップ1の作製方法と同様にして行ったが、支持体として用いるラテックスとして、2種類の粒径のものを混合して用いた。
ポリスチレンラテックス水溶液として、20%牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(日本合成ゴム社製、粒径0.101μm)7.5μLと、40%牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(日本合成ゴム社製、粒径3.26μm)2.5μLとの混合ラテックス溶液を用いた。40%牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(粒径3.26μm)の作製は、製造例4において20%牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液(日本合成ゴム社製、粒径0.101μm)を作製した方法と同様にして行った。
その他は、製造例5(バイオセンサチップ1の作製)と同様にして、バイオセンサチップ4を作製した。
[製造例9:バイオセンサチップ5]
バイオセンサチップ5は、上記製造例8に記載のバイオチップ4の作製と同様にして行ったが、化合物としては、ポリマーBを用いた。
固定化用化合物として、ポリマーAに代えて前記ポリマーBを用いた他は、すべて製造例8(バイオセンサチップ4の作製)と同様にして、バイオセンサチップ5を作製した。
[製造例10:バイオセンサチップ6]
バイオセンサチップ6は、前記センサチップAに、ポリマーA、抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体F(ab’)2(生体関連物質)、及びラテックスを混合したものを用いて作製した。
生体関連物質としては、マウスIgG水溶液の代わりに抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体F(ab’)2(自製)を前記リン酸バッファーを用いて1%水溶液に調整して100μL用いた。また、前記ポリマーA水溶液の濃度を1%とした。その他は、製造例5(バイオセンサチップ1の作製)と同様にして、バイオセンサチップ6を作製した。
[比較製造例1:比較用バイオセンサチップ1]
比較用バイオセンサチップ1は、化合物及び支持体を用いず、1%マウスIgG(生体関連物質)のみを直接前記センサチップAに固定化したものである。
牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液、ポリマーA水溶液、及びマウスIgG水溶液の混合液の代わりに、1%マウスIgG水溶液(生体関連物質水溶液)0.5μLのみを用いた他は、製造例5(バイオセンサチップ1の作製)と同様にしてバイオセンサチップを作製した。こうして作製したバイオセンサチップを比較用バイオセンサチップ1とした。
[比較製造例2:比較用バイオセンサチップ2]
比較用バイオセンサチップ2は、支持体を用いず、1%マウスIgG(生体関連物質)及びポリマーAを混合して、前記センサチップAに固定化して作製した。
牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液、ポリマーA水溶液、及びマウスIgG水溶液の混合液の代わりに、1%ポリマーA水溶液10μLと、1%マウスIgG水溶液100μLとを混合し、その混合液0.5μLを用いて、製造例5(バイオセンサチップ1の作製)と同様にしてバイオセンサチップを作製した。こうして作製したバイオセンサチップを比較用バイオセンサチップ2とした。
[比較製造例3:比較用バイオセンサチップ3]
比較用バイオセンサチップ3は、化合物を用いず、1%マウスIgG(生体関連物質)及びラテックス溶液(支持体)を混合して、前記センサチップAに固定化して作製した。
10%ポリスチレンラテックス水溶液(日本合成ゴム社製、粒径0.101μm)200μL、0.1%マウスIgG(LAMPiREBIOLOGICAL LABORATORIES社製;生体関連物質)、及び0.15M塩化ナトリウム含有0.1Mリン酸バッファー(pH7.4:以下リン酸希釈バッファー)800μLを混合し、室温にて30分間撹拌した後、遠心して上清を除去した。得られた沈殿物に0.1%牛血清アルブミン(SIGMA社製)、0.15M塩化ナトリウム含有0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)200μLを加え、10%マウスIgG固定化ラテックス溶液とした。
牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液、ポリマーA水溶液、及びマウスIgG水溶液の混合液の代わりに、上記10%マウスIgG固定化ラテックス溶液10μLと、0.1Mリン酸バッファー(pH7.2)100μLとを混合し、その混合液0.5μLを用いた他は、製造例5(バイオセンサチップ1の作製)と同様にしてバイオセンサチップを作製した。こうして作製したバイオセンサチップを比較用バイオセンサチップ3とした。
[比較製造例4:比較用バイオセンサチップ4]
比較用バイオセンサチップ4は、支持体を用いず、抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体F(ab’)2(生体関連物質)及びポリマーAを混合して、前記センサチップAに固定化して作製した。
牛血清アルブミン固定化ラテックス溶液とポリマーA水溶液と抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体F(ab’)2水溶液との混合液の代わりに、1%に調製したポリマーA水溶液10μLと、1%抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体F(ab’)2水溶液100μLとを混合し、その混合液0.5μLを用いた他は、製造例10に記載のバイオチップ6の作製方法と同様にしてバイオセンサチップを作製した。こうして作製したバイオセンサチップを比較用バイオセンサチップ4とした。
[実施例1:化学発光法によるマウスIgGの測定]
製造例5(バイオセンサチップ1)〜8(バイオセンサチップ4)、及び、比較製造例1(比較用バイオセンサチップ1)〜3(比較用バイオセンサチップ3)で作製したバイオセンサチップを用いて、マウスIgG−抗マウスIgG間の抗原抗体反応を検出する化学発光測定を行った。
検体(分析物、作用物質)としては、ビオチンでラベル化したウサギ抗マウスIgG(イムノプローブ社製)を用いた。ウサギ抗マウスIgGのビオチン化は次のようにして行った。まず、EZ−LinkTMSulfo−NHS−LC−Biotin(PIERCE社製)をMilliQ水にて1mg/mLに調製したビオチン水溶液100μLに、0.05M炭酸バッファー(pH8.5)にて1mg/mLに調製されたウサギ抗マウスIgG1mLを加え、氷水中にて2時間反応させた。反応後、この溶液に1Mグリシンバッファー(pH8.0)を100μL添加し、氷水中にて2時間反応させた後、0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)に対して4℃で一晩透析を行うことにより、未反応のラベル化試薬を除去して、ビオチン化ウサギ抗マウスIgGを得た。
上記のビオチン化抗マウスIgGを上記リン酸希釈バッファーを用いて所定の濃度に調製した溶液4mLに、それぞれのバイオセンサチップを浸し、振とう下、常温にて30分間反応させた後、0.01%Tween20含有0.01Mリン酸バッファー(pH7.4:以下洗浄バッファー)及びMilliQ水にてバイオセンサチップを洗浄した。このチップは、リン酸希釈バッファーにて50ng/mLに調整されたNeutra−Avidin−HRP(PIERCE社製)水溶液4mLに浸し、振とう下、常温にて30分間反応させた後、洗浄バッファー及びMilliQ水にてバイオセンサチップを洗浄して、乾燥させた。これにSuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Substrate(PIERCE社製)を1mL加え、CCDカメラ(ORCAII−ER:浜松ホトニクス社製)を用い積算時間60秒にて、撮像する事により化学発光量を測定した。
[実施例2:化学発光法によるHBs抗原の測定]
製造例10及び比較製造例4で作製したバイオセンサチップを用いて、HBs抗原−抗HBs抗体間の抗原抗体反応を検出する化学発光測定を行なった。
検体(分析物、作用物質)としては、組換えHBs抗原(サブタイプadw:自製)を用い、HBs抗原測定用ラベル体としてビオチンでラベル化したウサギ抗HBs抗原F(ab’)2(イムノプローブ社製)を用いた。ウサギ抗HBs抗原F(ab’)2のビオチン化は、実施例1のウサギ抗マウスIgGの代わりにウサギ抗HBs抗原F(ab’)2を用いた以外は全て同様にして作製した。
上記の組換えHBs抗原を上記リン酸希釈バッファーを用いて所定の濃度に調製した溶液4mLに、それぞれのバイオセンサチップを浸し、振とう下、常温にて60分間反応させた後、洗浄バッファー及びMilliQ水にてバイオセンサを洗浄した。これを前記ビオチン化ウサギ抗HBs抗原F(ab’)2をリン酸希釈バッファーにて2μg/mLに調整された水溶液4mLに浸し、振とう下、常温にて30分間反応させた後、洗浄バッファー及びMilliQ水にてバイオセンサチップを洗浄した。次に、Neutra−Avidin−HRP(PIERCE社製)をリン酸希釈バッファーにて50ng/mLに調整された水溶液4mLに、バイオセンサチップを浸し、振とう下、常温にて30分間反応させた後、洗浄バッファー及びMilliQ水にてバイオセンサチップを洗浄して、乾燥させた。これにSuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Substrate(PIERCE社製)を1mL加え、CCDカメラ(ORCAII−ER:浜松ホトニクス社製)を用い積算時間60秒にて、撮像する事により化学発光量を測定した。
[化学発光測定結果1:化学発光法によるマウスIgGの測定:本発明のバイオセンサチップの解析]
バイオセンサチップ1と比較用バイオセンサチップ1〜3を用いて測定した化学発光測定結果を表1に示す。これらの結果より、バイオセンサチップ1は比較用バイオセンサチップ1、2、3の何れのチップと比較しても、発光強度が高く、再現性が高い(CV値が小さい)ことが確認された。
なお、各発光強度はチップ毎にそれぞれの混合液をそれぞれ異なる領域に8ヶ所滴下した8スポットの平均値であり、CVは8スポットのCVである。
また、図4(a)、(b)に、ビオチン化抗マウスIgG濃度1ng/mLにおける化学発光測定時のCCDカメラの画像を示す。図4(a)は化学発光測定時のバイオセンサチップ1を写したもの、図4(b)は化学発光測定時の比較用バイオセンサチップ2を映したものである。なお、図4(a)、(b)において、白い部分が化学発光を発している部分である。この図からも分かるように、化学発光測定において比較用バイオセンサチップ2はリング状の発光を示し、発光にムラが見られるのに対し、バイオセンサチップ1はリング状の発光は見られず、発光にムラが少ないことが分かる。このことからも本法によって作製されたバイオチップは精度が高いことが分かる。
[化学発光測定結果2:化学発光法によるマウスIgGの測定:本発明のバイオセンサチップにおける支持体濃度依存性の解析]
製造例6で作製した支持体濃度が異なるバイオセンサチップ2(a)〜(d)を用いて、支持体濃度の変化による影響を調べた。化学発光測定の結果を表2に示す。
これらの結果より、支持体の濃度が高くなるに従い、発光強度が高く、再現性(CV)が高くなることが確認されたが、濃度が高すぎるとブランク値(ビオチン化抗マウスIgG濃度が0ng/mLのときの発光強度)も上昇してしまうので、最適な支持体濃度が存在することが分かった。
なお、各発光強度はチップ毎にそれぞれの混合液をそれぞれ異なる領域に8ヶ所滴下した8スポットの平均値であり、CVは8スポットのCVである。
[化学発光測定結果3:化学発光法によるマウスF(ab’)2の測定:本発明のバイオセンサチップにおける化合物濃度依存性の解析]
製造例7で作製したバイオセンサチップ3(a)〜(d)を用いて、支持体の有無及び固定化用化合物の濃度変化による影響を調べた。その化学発光測定の結果を表3に示す。
支持体が存在しない場合、固定化用化合物濃度が高くなるに従い、発光強度が高くなるが、再現性(CV)が低いことが確認された。支持体が存在する場合には、固定化用化合物濃度が高くなるに従って発光強度は若干高くなり、再現性(CV)も良くなることが確認された。これらの結果より、最適な支持体、固定化化合物濃度が存在することが分かった。
なお、各発光強度はチップ毎にそれぞれの混合液をそれぞれ異なる領域に8ヶ所滴下した8スポットの平均値であり、CVは8スポットのCVである。
[化学発光測定結果4:化学発光法によるマウスIgGの測定:支持体の粒径による影響の解析]
製造例8で作製した粒径の異なるラテックス粒子を用いたバイオセンサチップ4の化学発光測定結果を表4に示す。この結果より、バイオセンサチップ4は、比較用バイオセンサチップ1と比較して発光強度が高く、再現性(CV)が高いことが確認された。
なお、各発光強度はチップ毎にそれぞれの混合液をそれぞれ異なる領域に8ヶ所滴下した8スポットの平均値であり、CVは8スポットのCVである。
[化学発光測定結果5:化学発光法によるマウスIgGの測定:異なるポリマーにより作製されたバイオチップの解析]
製造例8で作製したバイオセンサチップ4と製造例9で作製したバイオセンサチップ5を用いて、固定化用化合物がブランク値(ビオチン化抗マウスIgG濃度0ng/mLでの発光強度)に及ぼす影響を調べた。バイオセンサチップ4はポリマーAを用いて作製されたものであり、バイオセンサチップ5はポリマーBを用いて作製されたものである。その化学発光測定結果を表5に示す。
ポリマーBはポリマーAに比べてブランク値が低く、その結果、S/N比(=ビオチン化抗マウスIgG濃度1ng/mLでの発光強度/ブランク値)が高くなることがわかった。これらの結果より、適宜目的にあわせて化合物を選択して用いることにより、ブランク値を抑制したり、S/N比を上昇させることができることが分かった。
なお、各発光強度はチップ毎にそれぞれの混合液をそれぞれ異なる領域に8ヶ所滴下したすポットの平均値であり、CVは8スポットのCVである。
[化学発光測定結果6:化学発光法によるHBs抗原の測定]
製造例10で作製したバイオセンサチップ6と、比較製造例4で作製した比較用バイオセンサチップ4を用いて、HBs抗原に対する抗原抗体反応(相互作用)の化学発光測定を行なった。その化学発光測定結果を表6に示す。
これによると、バイオセンサチップ6は比較用バイオセンサチップ4と比較して発光強度が高く、再現性(CV)も高いことが確認された。このことにより、生体関連物質や測定系が異なっても本法が有効であることが確認された。
なお、各発光強度はチップ毎にそれぞれの混合液をそれぞれ異なる領域に8ヶ所滴下したすポットの平均値であり、CVは8スポットのCVである。
[実施例3:SEMによる観察]
製造例5で作製したバイオセンサチップ1と、製造例7で作製したバイオセンサチップ3(b)、製造例8で作製したバイオセンサチップ4のマトリックス構造を、上記実施例における評価後にSEMを用いて観察した。また、得られた電子顕微鏡写真を用いて、バイオセンサチップ1の膜厚及び空隙率を算出した。
SEMにより観察されたバイオセンサチップ1の表面を表わす写真(倍率×4000、及び、×60000)を図5、断面を表わす写真(倍率×50000、及び、×5000)を図6及び7に示す。また、バイオセンサチップ4の断面写真(倍率×5000)を図8に、バイオセンサチップ3(b)の断面写真(倍率×50000)を図9に示す。
これらの写真において、白く見える部分がマトリックス骨格である。
(1)膜厚の算出
図7の断面図から、バイオセンサチップ1の乾燥状態での膜厚を算出した。その結果、バイオセンサチップ1の膜厚は約3μmであった。また、2種類の粒径のラテックスを混合して用いることにより膜厚を変化させたバイオセンサチップ4の断面図を図8から算出したところ、バイオセンサチップ4の膜厚は約9μmであった。
このことから、粒径の異なる粒子を支持体として用いることで、膜厚が異なるバイオセンサチップを作製できることがわかり、任意の膜厚を有するバイオセンサチップを作製できることが示された。
(2)空隙率の算出
図6のバイオセンサチップ1の断面図、及び、図9のバイオセンサチップ3(b)(支持体10%、固定化用化合物3.8%の場合)の断面図を用いて、イメージプログラマ(MEDIA CYBERNETICS社製:Image-Pro-Plus ver. 4.0)を用いた画像解析を行った。画像の濃淡情報に基づき、それぞれのバイオセンサチップ乾燥状態での空隙率の測定を行った。
(2−1)画像入力
上記SEM写真をスキャナーより240DPIで入力した。画像の大きさは1019×764Pixel、較正値 は2.17nm/Pixelであった。
(2−2)画像処理
メディアンフィルタ3×3を5回使用し、ノイズ除去を行った。背景画像を作成(背景画像作成条件:「明るい」「オブジェクト幅・20」)し、シェーディング補正(除算による補正)を行った。
(2−3)面積比の計測
粒子領域を設定して、固定閾値(濃度30%)により画像を二値化し、その後、モルフォロジー処理(接続5×5、1回、穴埋め)により穴の形状を修正し、面積比を計測した。
この解析結果から、バイオセンサチップ1の空隙率は23.2%となった。また、固定化用化合物の濃度を3.8倍にしたバイオセンサチップ3(b)(支持体10%、固定化用化合物3.8%の場合)の空隙率は約16.3%であることが分かった。
上記(1)及び(2)の結果から、支持体、固定化用化合物、生体関連物質の濃度を適宜変化させることにより、膜厚や空隙率を適宜変更させることができ、性質の異なるバイオセンサチップを任意に作製できることが示された。
本発明の生体物質固定担体、及び、本発明の生体物質固定担体の製造方法は、産業上の任意の分野に用いることができるが、中でも、例えばバイオセンサーや診断デバイス等に好適に用いられる。
本発明のマトリックスの構造の一例の断面図を拡大して示す模式図である。 (a)は固相担体表面が凹部であるウェル状担体の模式図、(b)は凸部であるパイル状担体の模式図である。 本発明のマトリックス構造の形成過程を示す模式図である。 化学発光測定結果1において得られた化学発光測定時のCCDカメラによる画像を示す。(a)はバイオセンサチップ1を写したもの、(b)は比較用バイオセンサチップ2を写したものである。 製造例5で作製した本発明のバイオセンサチップ1のマトリックスの表面をSEMにより観察した写真を示す。(a)は倍率4000倍、(b)は60000倍の時の写真である。 本発明の製造例5で作製した本発明のバイオセンサチップ1のマトリックスの断面をSEMにより観察した写真を示す。倍率は50000倍である。 本発明の製造例5で作製した本発明のバイオセンサチップ1のマトリックスの断面をSEMにより観察した写真を示す。倍率は5000倍である。 本発明の製造例8で作製した本発明のバイオセンサチップ4のマトリックスの断面をSEMにより観察した写真を示す。倍率は5000倍である。 本発明の製造例7で作製した本発明のバイオセンサチップ3(b)のマトリックスの断面をSEMにより観察した写真を示す。倍率は50000倍である。

Claims (20)

  1. 生体関連物質、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物、及び支持体を含むマトリックスが表面に形成されていることを特徴とする固相担体。
  2. 生体関連物質が、該生体関連物質と結合可能な化合物によって架橋されていることを特徴とする請求項1に記載の固相担体。
  3. マトリックス中に空隙を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の固相担体。
  4. マトリックスが、溶媒の存在下、支持体、生体関連物質、及び該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物を共存させた混合物を固相担体表面に供給した後、該溶媒を除去することにより形成されるものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の固相担体。
  5. 溶媒が水であることを特徴とする請求項4に記載の固相担体。
  6. マトリックスの空隙率が5%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固相担体。
  7. マトリックスの膜厚が乾燥状態で20nm以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の固相担体。
  8. 化合物が、1分子中に2箇所以上の結合官能基を有するものであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の固相担体。
  9. 化合物が高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の固相担体。
  10. 化合物が、水に混和しうると共に、少なくとも1種の有機溶媒に混和しうることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の固相担体。
  11. 支持体が、約10nm〜100μmの平均径を有する粒子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固相担体。
  12. 溶媒の存在下、支持体、生体関連物質、及び該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物を共存させた混合物を固相担体表面に供給した後、該溶媒を除去することによりマトリックスを形成することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の固相担体の製造方法。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の固相担体を製造するための生体関連物質固定化キットであって、少なくとも支持体と、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物とを含むことを特徴とするキット。
  14. 生体関連物質、該生体関連物質及び/又は支持体と結合可能な化合物、及び支持体を含むマトリックスが、少なくとも2種以上、固相担体上の別々の領域に配置されていることを特徴とする生体関連物質のアレイ。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載の固相担体及び/又は請求項14に記載のアレイを含むバイオセンサー。
  16. 請求項1〜11のいずれかに記載の固相担体及び/又は請求項14に記載のアレイを含む診断デバイス。
  17. 検体中の少なくとも1種の分析物についてアッセイする方法であって、以下の工程(a)及び(b):
    (a)該検体を、該分析物と反応し得る生体関連物質を少なくとも1種含む請求項1〜11のいずれかに記載の固相担体及び/又は請求項14に記載のアレイに送達する工程;および
    (b)該生体関連物質と該分析物との相互作用、又は、該分析物と反応する標識物質を加えることにより生じる反応を検出することにより、該分析物の存在もしくは量について検出する工程
    を有することを特徴とする方法。
  18. 少なくとも検体が流体であって、該検体の送達がフローにより行われることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 請求項1〜11のいずれかに記載の固相担体及び/又は請求項14に記載のアレイ上に設けられた参照領域における反応を検出し、アッセイの成否判定、又は、検出された分析物の存在もしくは量の校正を行う工程をさらに有することを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
  20. 2種以上の分析物を並行してアッセイするために、さらに以下の工程(c):
    (c)少なくとも2種以上の分析物の存在もしくは量と、特定の症状とを関連づける工程
    を有することを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の方法。

JP2005201134A 2004-09-14 2005-07-11 新規固相担体及びその利用 Expired - Fee Related JP5148818B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005201134A JP5148818B2 (ja) 2005-07-11 2005-07-11 新規固相担体及びその利用
US11/575,259 US8183057B2 (en) 2004-09-14 2005-09-14 Biomaterial construct, its producing method, biomaterial support, target material purifying method, affinity chromatography container, separation chip, analyzing method and analyzing separator for target material, biomaterial complex, and its support, sensor chip, solid support with biomaterial fixed thereon
CN2005800309353A CN101019027B (zh) 2004-09-14 2005-09-14 生物材料结构体、其制造方法及应用
EP05785879A EP1813946B1 (en) 2004-09-14 2005-09-14 Biomaterial structure, method of producing the same and uses thereof
PCT/JP2005/017330 WO2006038456A1 (ja) 2004-09-14 2005-09-14 生体物質構造体及びその製造方法、生体物質担持体、対象物質の精製方法、アフィニティークロマトグラフィー用容器、分離用チップ、対象物質の解析方法、対象物質の解析用分離装置、生体物質複合体、生体物質複合体担持体、センサーチップ、生体物質が固定化された固相担体及びその製造方法、生体物質固定化キット、新規固相担体及びその製造方法、並びに、その利用
EP11162983.8A EP2339342B1 (en) 2004-09-14 2005-09-14 Biomaterial structure, method of producing the same and uses thereof
US13/239,985 US9297800B2 (en) 2004-09-14 2011-09-22 Biomaterial construct, its producing method, biomaterial support, target material purifying method, affinity chromatography container, separation chip, analyzing method and analyzing separator for target material, biomaterial complex, and its support, sensor chip, solid support with biomaterial fixed thereon

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005201134A JP5148818B2 (ja) 2005-07-11 2005-07-11 新規固相担体及びその利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007014916A true JP2007014916A (ja) 2007-01-25
JP5148818B2 JP5148818B2 (ja) 2013-02-20

Family

ID=37752521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005201134A Expired - Fee Related JP5148818B2 (ja) 2004-09-14 2005-07-11 新規固相担体及びその利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5148818B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008133148A1 (ja) * 2007-04-17 2008-11-06 The Noguchi Institute プレート上での測定対象分子の局在化方法、およびこれを用いた質量分析法
JP2008304427A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Sumitomo Bakelite Co Ltd バイオデバイスおよびその製造方法、並びにバイオセンサー
JP2009042209A (ja) * 2007-07-13 2009-02-26 Fujifilm Corp 担体およびその製造方法並びにバイオリアクター
JP2009186361A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Tokyo Metropolitan Univ 三次元構造体及びこれを用いた生体関連分子担持体並びに三次元構造体の製造方法
JP2013166129A (ja) * 2012-02-16 2013-08-29 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 目的金属イオン吸着剤及びその製造方法
JP2014052204A (ja) * 2012-09-05 2014-03-20 Mitsubishi Rayon Co Ltd 生体関連物質を検出するためのマイクロアレイ及びその製造方法並びに生体関連物質の検出方法
US8693299B2 (en) 2011-03-14 2014-04-08 Seiko Epson Corporation Media processing system, control method for media processing system, and media processing device
US8887007B2 (en) 2011-03-23 2014-11-11 Seiko Epson Corporation Media processing system, control method for media processing system, and media processing device

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03120467A (ja) * 1989-09-26 1991-05-22 W R Grace & Co 改善された固体アツセイ支持体系
JP2002102338A (ja) * 2000-09-27 2002-04-09 Toray Ind Inc インターフェロンガンマ除去材料、インターフェロンガンマ除去カラム、およびインターフェロンガンマ除去方法
JP2003510065A (ja) * 1999-09-27 2003-03-18 アレイ バイオサイエンス コーポレイション 分析物検出のためのレセプターを有する粒子構造体
JP2004045120A (ja) * 2002-07-10 2004-02-12 Toray Ind Inc 液体クロマトグラフ用カラム材料
JP2005517957A (ja) * 2002-02-21 2005-06-16 サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) 認識部位を有する不可逆コロイド鎖

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03120467A (ja) * 1989-09-26 1991-05-22 W R Grace & Co 改善された固体アツセイ支持体系
JP2003510065A (ja) * 1999-09-27 2003-03-18 アレイ バイオサイエンス コーポレイション 分析物検出のためのレセプターを有する粒子構造体
JP2002102338A (ja) * 2000-09-27 2002-04-09 Toray Ind Inc インターフェロンガンマ除去材料、インターフェロンガンマ除去カラム、およびインターフェロンガンマ除去方法
JP2005517957A (ja) * 2002-02-21 2005-06-16 サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) 認識部位を有する不可逆コロイド鎖
JP2004045120A (ja) * 2002-07-10 2004-02-12 Toray Ind Inc 液体クロマトグラフ用カラム材料

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008133148A1 (ja) * 2007-04-17 2008-11-06 The Noguchi Institute プレート上での測定対象分子の局在化方法、およびこれを用いた質量分析法
JPWO2008133148A1 (ja) * 2007-04-17 2010-07-22 財団法人野口研究所 プレート上での測定対象分子の局在化方法、およびこれを用いた質量分析法
JP4820444B2 (ja) * 2007-04-17 2011-11-24 公益財団法人野口研究所 プレート上での測定対象分子の局在化方法、およびこれを用いた質量分析法
JP2008304427A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Sumitomo Bakelite Co Ltd バイオデバイスおよびその製造方法、並びにバイオセンサー
JP2009042209A (ja) * 2007-07-13 2009-02-26 Fujifilm Corp 担体およびその製造方法並びにバイオリアクター
JP2009186361A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Tokyo Metropolitan Univ 三次元構造体及びこれを用いた生体関連分子担持体並びに三次元構造体の製造方法
US8693299B2 (en) 2011-03-14 2014-04-08 Seiko Epson Corporation Media processing system, control method for media processing system, and media processing device
US8887007B2 (en) 2011-03-23 2014-11-11 Seiko Epson Corporation Media processing system, control method for media processing system, and media processing device
JP2013166129A (ja) * 2012-02-16 2013-08-29 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 目的金属イオン吸着剤及びその製造方法
JP2014052204A (ja) * 2012-09-05 2014-03-20 Mitsubishi Rayon Co Ltd 生体関連物質を検出するためのマイクロアレイ及びその製造方法並びに生体関連物質の検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5148818B2 (ja) 2013-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8183057B2 (en) Biomaterial construct, its producing method, biomaterial support, target material purifying method, affinity chromatography container, separation chip, analyzing method and analyzing separator for target material, biomaterial complex, and its support, sensor chip, solid support with biomaterial fixed thereon
JP5148818B2 (ja) 新規固相担体及びその利用
Lee et al. Multiplexed immunoassay using post-synthesis functionalized hydrogel microparticles
JP4939019B2 (ja) 生体物質が固定化された固相担体、及び生体物質が固定化された固相担体の製造方法、生体物質固定化キット並びにセンサーチップ
JP2006201091A (ja) 捕捉ビーズ用マイクロ粒子およびそれを用いた捕捉ビーズならびにバイオチップ
JP2005528612A (ja) 生体分子の相互作用をモニターするための新規方法
JP7130919B2 (ja) 生体物質固定化方法
JP4497903B2 (ja) タンパク質チップおよびそれを用いたバイオセンサー
JP2005037331A (ja) 生体由来物検出用基板及びその製造方法
Marquette et al. Protein microarrays enhanced performance using nanobeads arraying and polymer coating
JP2007279028A (ja) 孔を有する生体物質構造体及びその製造方法、並びに、それを用いた生体物質担持体、対象物質の精製方法、アフィニティークロマトグラフィー用容器、分離用チップ、対象物質の解析方法、対象物質の解析用分離装置、及びセンサーチップ
KR100794186B1 (ko) 생체분자 고정용 점착성 비드 및 이를 이용한 바이오칩의제조방법
JP2011069646A (ja) 定量分析方法
US20060216728A1 (en) Method of fabricating biochip
JP4230126B2 (ja) 生物学的素材チップ
JP2010032504A (ja) 組成物、粒子及びその製造方法
JP2009520982A (ja) バイオセンサ装置
JP7231923B2 (ja) 複合体の検出方法、並びにそれに用いる担体及び検出キット
JP2019509497A (ja) アミノシランを用いるマイクロ及びナノコンタクトプリンティング:多重バイオアッセイのためのマイクロ流体デバイスのパターニング表面
JP2007101520A (ja) 生体物質複合体、並びに、生体物質複合体担持体、対象物質の精製方法、アフィニティークロマトグラフィー用容器、分離用チップ、対象物質の解析方法、対象物質の解析用分離装置及びセンサーチップ
JP4866112B2 (ja) 生体物質構造体及び生体物質構造体の製造方法、並びに、生体物質担持体、対象物質の精製方法、アフィニティークロマトグラフィー用容器、分離用チップ、対象物質の解析方法、対象物質の解析用分離装置、及び、センサーチップ
JP6076500B2 (ja) 標的物質の検出方法
WO2009119082A1 (ja) 物質固定用基板、物質固定化基板および分析方法
JP2011007785A (ja) 標的分子相互作用物質固定化担体
RU2283496C2 (ru) Способ регистрации макромолекул при проведении протеомных исследований и биочип, используемый при их регистрации

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080201

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090624

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20110531

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110531

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110627

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120313

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5148818

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees