JP4820444B2 - プレート上での測定対象分子の局在化方法、およびこれを用いた質量分析法 - Google Patents

プレート上での測定対象分子の局在化方法、およびこれを用いた質量分析法 Download PDF

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Description

本発明は、プレート上での測定対象分子の局在化方法に関する。より詳細には、本発明は、プレート上で生体試料から測定対象物のみを選択的に局在化することができる方法に関する。本発明は、このような方法を用い、測定対象分子の高いシグナル強度が得られる質量分析法に関する。
近年、生体高分子であるタンパク質および/または糖鎖の高感度な質量分析法の開発が盛んに行なわれており、当該分析法が生化学および医学の分野に急速に普及しつつある。このような質量分析法は、例えば、生体分子の発現およびその機能に関する解析、ならびにバイオマーカー探索等に用いられる。
生体高分子が含有される生体試料中には、測定対象分子の他に多数の夾雑分子が混在する。このため、微量の測定対象分子を含む生体試料を高度に精製した場合には、測定対象分子の質量分析感度が検出感度未満になるおそれがあり、ひいては質量分析において当該分子を見逃すおそれもある。また、夾雑分子が測定対象分子に比して高いイオン化効率を有する場合には、測定対象分子の検出は困難である。
このような事情を考慮して、質量分析の前段階としての生体試料のイオン化に関する技術として、例えば以下のようなものが開示されている。
非特許文献1には、表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)を用いて、チップ表面に官能基および/または抗体分子などを固定し、生体試料中の特定分子のみを捕捉、洗浄してレーザー照射によりイオン化を行なう技術が開示されている。
特許文献1には、例えば細胞培地またはこのような培地の精製フラクションにおける生体成分の表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)質量スペクトルプロフィルを作成することを含む、ターゲット分子の精製を監視する技術が開示されている。
特許庁ホームページ、試料室、標準技術集、一般、質量分析技術(マススペクトロメトリー)、2−1−3−1−1表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI)(http://www.jpo.go.jp/shiryou/index.htm参照) 特表2005−509173号公報
非特許文献1および特許文献1に示す各技術に開示されている、プレート上の生体試料に対して所定の洗浄により測定対象分子のみを残留させる手法(SELDI)を、質量分析に先立って採用する場合には、生体試料を洗浄する際に、測定対象分子の一部が洗い流される。このため、測定対象分子が微量である場合および/または結合が弱い場合は、プレート上での測定対象分子の残量が極めて少なくなり、質量分析に際して、その分析感度が所望の検出感度を遥かに下回るおそれがある。
また、SELDIを採用した後の質量分析は、測定対象分子が既知の場合には有効であるが、測定対象分子が未知の場合には当該分子がプレートから完全に除去されるおそれがあり有効でない。
さらに、SELDIを採用した後の質量分析では、所定のチップを選択し所定の洗浄を行うことによって、含量が最大の、もしくは結合が最強の特定の種類のみの測定対象分子に限定してしまう可能性があるが、実際の質量分析の現場においては、SELDI測定1回分に使用する生体試料の量で、複数の測定対象分子を同時に分析することが望ましい場合もある。
本発明の目的は、(a)測定対象分子を洗い流すことなくプレート上でその十分な残量を確保することができ、(b)未知の測定対象分子の質量分析に使用でき、(c)複数の種類の測定対象分子を同時に質量分析する場合にも使用できる、プレート上での測定対象分子の局在化方法を提供することにある。また、本発明の目的は、このような方法を用い、測定対象分子の高いシグナル強度が得られる質量分析法を提供することにある。
本発明は、(A)測定対象分子を局在化する少なくとも1種の化合物を結合させたプレートを用意する工程と、(B)上記プレート上に、少なくとも1種の測定対象分子を含む生体試料を載置する工程と、(C)上記生体試料にマトリックスを含む溶液を滴下、乾燥して、上記プレート上で上記測定対象分子を局在化する工程とを含む、プレート上での測定対象分子を局在化する方法に関する。ここで、プレート上に載置する生体試料には、少なくとも1種の測定対象分子が必ず含まれるものである。換言すれば、当該生体試料が夾雑分子のみからなる場合は除かれる。
このようなプレート上での測定対象分子の局在化方法においては、上記化合物が、アリール基、ジヒドロキシボリル基、アルキル基、アミノ基、またはヒドロキシル基を含むことが望ましい。これらのうち、上記アリール基は、フェニル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、キノリル基、インドリル基、アクリリジニル基、またはベンゾチアゾリル基とすることができる。また、上記アルキル基は、C4〜C18のアルキル基とすることができる。
当該局在化方法は、プレート上で単一の測定対象分子を局在化することができることは勿論、プレート上で複数の測定対象分子を局在化することもできる。即ち、上記生体試料が少なくとも2種の測定対象分子を含む場合に、上記工程(A)において、上記プレートの少なくとも2つの領域に異なる化合物を結合させ、上記工程(C)において、少なくとも2つの領域で異なる測定対象分子を局在化させることができる。
当該局在化方法は、測定対象分子の局在化のみならず、夾雑分子の局在化も併せて行うことができる。即ち、上記生体試料が少なくとも1種の夾雑分子をさらに含む場合に、上記工程(A)において、上記プレートの少なくとも2つの領域に異なる化合物を結合させ、上記工程(C)において、上記プレートの1つの領域では測定対象分子を、別の領域では夾雑分子を局在化させることができる。
このようなプレート上での測定対象分子の局在化方法においては、工程(B)および工程(C)の間に、(B’)上記生体試料を誘導体化する工程をさらに含ませることが望ましい。
なお、上記測定対象分子は、例えば、糖鎖(遊離糖鎖、糖ペプチド、糖タンパク質など)とすることができる。
本発明は、測定対象分子の質量分析方法であって、
(1)上記のいずれかの方法により、プレート上で生体試料中の測定対象分子を局在化する工程、および
(2)上記工程(1)で局在化された測定対象分子に対して、MSn測定を行なう工程であって、nは1以上の整数である工程
を含む質量分析法を包含する。
本発明は、(A1)第1プレート上に測定対象分子を局在化する第1の化合物を結合する工程と、(A2)第2プレート上に測定対象分子を局在化する、上記第1化合物とは異なる第2の化合物を結合する工程と、(B1)上記第1プレートおよび上記第2プレートの間に、少なくとも1種の測定対象分子を含む生体試料を挟み、乾燥する工程と、(B2)上記第1プレートおよび上記第2プレートを分離する工程と、(C)上記第1プレートおよび上記第2プレート上にマトリックスを含む溶液を滴下し乾燥して、上記第1プレートおよび前記第2プレートの少なくとも一方上で上記測定対象分子を局在化する工程とを含む、プレート上での測定対象分子の局在化方法に関する。ここで、プレート上に載置する生体試料には、少なくとも1種の測定対象分子が必ず含まれるものである。換言すれば、当該生体試料が夾雑分子のみからなる場合は除かれる。
このようなプレート上での測定対象分子の局在化方法においては、上記化合物が、アリール基、ジヒドロキシボリル基、アルキル基、アミノ基、またはヒドロキシル基を含むことが望ましい。これらのうち、上記アリール基は、フェニル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、キノリル基、インドリル基、アクリリジニル基、またはベンゾチアゾリル基とすることができる。また、上記アルキル基は、C4〜C18のアルキル基とすることができる。
当該局在化方法は、2枚のプレート上で異なる測定対象分子を局在化することができる。即ち、上記生体試料が少なくとも2種の測定対象分子を含む場合に、上記工程(C)において、第1プレートの測定対象分子とは異なる測定対象分子を上記第2プレートで局在化させることができる。
当該局在化方法は、2枚のプレートの各々において異なる測定対象分子を局在化することができるのみならず、2枚のプレートの各々において測定対象分子と夾雑分子の局在化を行うことができる。即ち、上記生体試料が少なくとも1種の夾雑分子をさらに含む場合に、上記工程(C)において、少なくとも1種の夾雑分子を上記第2プレートで局在化させることができる。
このようなプレート上での測定対象分子の局在化方法においては、工程(B2)および工程(C)の間に、(B’)上記生体試料を誘導体化する工程をさらに含ませることが望ましい。
なお、上記測定対象分子は、例えば、糖鎖(遊離糖鎖、糖ペプチド、糖タンパク質など)とすることができる。
測定対象分子の質量分析方法であって、
(1)上記のいずれかの方法により、上記第1プレート上の生体試料中の測定対象分子、および上記第2プレート上の生体試料中の測定対象分子の少なくとも一方を局在化する工程、および
(2)上記工程(1)で局在化された測定対象分子に対して、MSn測定を行なう工程であって、nは1以上の整数である工程
を含む質量分析法を包含する。
本発明のプレート上での測定対象分子の局在化方法は、生体試料を載置するプレートに予め所定の表面処理(所定の化合物の結合)を施すことで、測定対象分子とプレートとの親和性を他の夾雑分子とプレートとの親和性よりも高めることができる。このため、プレート上で測定対象分子を含む生体試料を単に乾燥するだけで、プレート上に測定対象分子を選択的に十分に残留させることができる。
また、本発明の局在化方法は、SELDIのように測定対象分子を洗い流すことなく、プレート上で乾燥する技法を採用するため、当然に未知の測定対象分子もプレート上に残留する。このため、当該方法は、質量分析を行う対象分子がたとえ未知であっても、適用することができる。
さらに、本発明の局在化方法は、SELDIのように測定対象分子を洗い流さないため、乾燥した生体試料中に複数の測定対象分子を残留させることができる。このため、当該方法は、質量分析を行う測定対象分子がたとえ複数であっても、適用することができる。
加えて、以上のような効果を奏する本発明の局在化方法を用いた質量分析によれば、測定対象分子の十分なシグナル強度を得ることができるとともに、未知の測定対象分子に対処でき、しかも複数の測定対象分子を同時に分析することができる。
図1は、実施例1に関し、得られた測定試料の写真である。 図2は、実施例1に関し、未標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2077)の分布を示す図である。 図3は、実施例1に関し、標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2582)の分布を示す図である。 図4は、図2,3中の点Aにおける質量スペクトルを示す図である。 図5は、図2,3中の点Bにおける質量スペクトルを示す図である。 図6は、比較例1に関し、未標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2077)の分布を示す図である。 図7は、比較例1に関し、標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2582)の分布を示す図である。 図8は、図6,7中の点Cにおける質量スペクトルを示す図である。 図9は、実施例2に関し、ペプチドイオン(m/z=1075)の分布を示す図である。 図10は、実施例2に関し、標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2582)の分布を示す図である。 図11は、図9,10中の点Dにおける質量スペクトルを示す図である。 図12は、図9,10中の点Eにおける質量スペクトルを示す図である。 図13は、実施例3において、ピレン標識を行わなかった場合のネガティブイオンのMSスペクトル(全測定点の平均)を示す図である。 図14は、実施例3において、ピレン標識を行った場合のネガティブイオンのMSスペクトル(全測定点の平均)を示す図である。 図15は、実施例3において、ピレン標識を行った場合のネガティブイオンのMSスペクトルを特定領域に関して示す図である。 図16は、実施例4において、分離した後のフェニルプレートの、ピレン標識を行わなかった場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。 図17は、実施例4において、分離した後のフェニルプレートの、ピレン標識を行った場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。 図18は、実施例4において、分離した後のC18プレートの、ピレン標識を行わなかった場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。 図19は、実施例4において、分離した後のC18プレートの、ピレン標識を行った場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。 図20は、実施例5において、分離した後のアミノプレートの、ピレン標識を行わなかった場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。 図21は、実施例5において、分離した後のアミノプレートの、ピレン標識を行った場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。 図22は、実施例5において、アミノプレートの、ピレン標識を行わなかった場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。 図23は、実施例5において、アミノプレートの、ピレン標識を行った場合のネガティブイオンのMSスペクトルを示す図である。
以下に、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるものではなく、当業者の通常の創作能力の範囲で適宜変更することができる。
<プレート上での測定対象分子の局在化方法(タイプ1)>
本発明のプレート上での測定対象分子を局在化する方法(タイプ1)は、(A)測定対象分子を局在化する少なくとも1種の化合物を結合させたプレートを用意する工程と、(B)上記プレート上に、少なくとも1種の測定対象分子を含む生体試料を載置する工程と、(C)上記生体試料にマトリックスを含む溶液を滴下、乾燥して、上記プレート上で上記測定対象分子を局在化する工程とを含む方法である。ここで、測定対象分子とは、当該局在化方法を実施した後に行なう質量分析法において測定対象とする分子を意味する。
[プレートを用意する工程]
(プレート)
プレートは、生体試料中の測定対象分子および夾雑分子の少なくとも一方を捕捉することが可能な官能基が結合されているものであれば特に限定されず、金属プレート、非金属膜のいずれとすることもできる。また、プレートはその表面を平面状、凹凸状等、いかなる形状とすることもでき、さらに多孔性とすることもできる。さらに、プレートには所定の官能基が直接結合されていなくてもよく、例えば、プレートと当該官能基との間のスペーサ部分またはポリマーが介在していてもよい。
プレート上で測定対象分子を捕捉する例(タイプ1−1)としては、アリール基を結合させたプレート、ジヒドロキシボリル基を結合させたプレート、アミノ基を結合させたプレート、またはヒドロキシ基を結合させたプレートを使用する例が挙げられる。これらのプレートは、測定対象分子との親和性が他の夾雑分子との親和性より高くなるようなプレートの一例である。特に、測定対象分子にピレン標識化を施す場合は、アリール基を結合させたプレートを使用することが、標識された測定対象分子とプレートとの高い親和性が実現され、局在化が良好に達成される点で好ましい。また、測定対象分子に糖鎖が含まれる場合は、ジヒドロキシボリル基を結合させたプレート、アミノ基を結合させたプレート、ヒドロキシ基を結合させたプレートなどを使用することが、糖鎖を含む測定対象分子とプレートとの高い親和性が実現され、局在化が良好に達成される点で好ましい。
これに対し、プレートの一部に、夾雑分子と親和性のある官能基(たとえばC4、C8、C18など)を結合させることにより、プレート上で任意選択的に誘導体化された夾雑分子を捕捉し、プレート上で測定対象分子と夾雑分子とを分離して、測定対象分子の局在化を図ることもできる(タイプ1−2)。
さらに、上記タイプ1,2の組み合わせとして、プレート上に測定対象分子と夾雑分子との双方を別々に捕捉し、プレート上で測定対象分子と夾雑分子とを分離して、測定対象分子の局在化を図ることもできる(タイプ1−3)。このような場合には、例えば、測定対象分子の誘導体化と夾雑分子の誘導体化に応じた所定の官能基を適宜選択して、各誘導体化分子と親和性のある当該官能基をプレートの別の領域に結合し、各分子の局在化領域を分離することができる。
なお、上記タイプ1−1〜1−3のいずれにおいても、プレート上で、複数種類の測定対象分子および/または複数種類の夾雑分子を捕捉し、所定の複数の測定対象分子の局在化を図ることもできる。このような場合には、所定の測定対象分子および/または夾雑分子に応じた異なる誘導体化を行うとともに、各分子と親和性のあるそれぞれの官能基をプレートに別々の結合し、それぞれ局在する領域を分離してもよい。あるいは、それぞれに親和性のある官能基を結合したプレートを用いて順番に挟んで、それぞれのプレートに分子ごとに捕捉して分離することもできる。
(プレートの作成方法)
以下に、このようなタイプ1−1〜1−3のプレートの一例として、アリール基を結合させたプレートの作成方法を説明する。
アリール基を結合させたプレートの作成方法は特に限定されないが、例えば以下のように作成することができる。即ち、プレートへのアリール基導入は、例えば、Micro・Contact・Printing法(Harvard大WhitesidesらLangmuir・Vol.10.1498−1511(1994)に従って行うことができる。具体的には、ポリジメチルシロキサン製の板材を準備し、この板材をベンジルメルカプタン [α−トルエンチオール]のエタノール希釈液に所定時間浸して風乾する。次いで、この板材を別途準備したAu基板に3秒間スタンプする。板材に存在する化合物のメルカプト基が、金表面と反応してAu−S結合を生じ、自己組織化単分子膜(SAMs)を形成する。最後に、Au基板をエタノールで洗浄、乾燥し、フェニル基を結合させたプレートを得ることができる。Au基板へのアリール基の塗布態様は、上記スタンプに限られず、スピンコート、ロールコート、スクリーン印刷等の各種塗布方法を採用することもできる。
ここで使用する基板の金属材料としては、チオールが吸着可能な金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、またはこれらの合金が使用可能である。これらの中でも、大気中で表面酸化が進行しない、安定に作製可能な金が実用上好ましい。
なお、アリール基をプレートの全面に均一に結合させる場合には、上記板材として、Au基板よりも大きなものを準備することが、アリール基がAu基板の端まで均一に導入されるという理由により肝要である。
このようなプレートへのアリール基の導入においては、アリール基をプレートの全面に均一に結合させることはもちろん、不均一に結合させることもできる。例えば、プレート上にアリール基をドット状に結合させ、またはアリール基をドーナツ状に結合させることができる。
本発明におけるアリール基は、フェニル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基などの単環式の基であってもよいし、またはナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、キノリル基、インドリル基、アクリリジニル基、ベンゾチアゾリル基などの縮合多環式の基であってもよい。また、一種類のアリール基のみでなく、複数種類のアリール基をプレートに導入することもできる。このような場合には、例えば、複数のアリール基を混合して導入してもよいし、アリール基の種類によってプレート上でのその導入領域を分けて偏在させてもよい。なお、アリール基には、COOH、SO3H、NH2、NO2、OH、COOCH3、CNなどの官能基が結合していてもよい。
さらに、アリール基と、他の化合物、例えばボロン酸とを混合して同一のプレートに存在させることもでき、これらを別領域に分けて導入してもよい。
プレートに導入する官能基は、アルキル基(例えばC4、C8、C18など)であってもよい。さらに、これらのアルキル基にCOOH、SO3H、NH2、NO2、OH、COOCH3、CNなどの官能基が結合していてもよい。
さらに、同一分子に2個以上の単一官能基または複数の官能基が結合したものを導入してもよい。
[測定対象分子を含む生体試料を載置する工程]
(測定対象分子)
「測定対象分子」とは、糖、糖鎖、タンパク質、核酸、複合糖質(糖タンパク質、糖脂質など)などであって、天然から調製する他、化学的または酵素学的に調製するものを含む。なお、本発明における用語「タンパク質」はペプチドを含み、本発明における用語「糖タンパク質」は糖ペプチドを含む。タンパク質は糖鎖、リン酸などを含めて修飾がなされていてもよい。また、生体に含まれる分子の部分構造を有するものまたは生体に含まれる分子を模倣して作製されたものを含む。
測定対象分子は、そのまま利用してもよいが、一部誘導体化することで、プレート上における各点での、誘導体化した測定対象物質と標識化していない測定対象物質との分布を比較した局在化確認により、質量分析を可能とすることができる。誘導体化はプレートに載置する前におこなってもよいし、プレートに測定対象分子を載置して乾燥した後に行ってもよい。また、誘導体化は標識化合物を用いた標識化であってもよい。以下、誘導体化について詳述する。
糖、糖鎖、または複合糖質から化学的あるいは酵素学的に遊離して得た糖鎖(以下糖鎖とする)は、還元末端にある糖のアルデヒド基と、アミノ基あるいはヒドラジド基(−CONHNH2)などを有する縮合多環炭化水素誘導体である標識化合物とを縮合反応させて標識化中間体を形成し、次いで該標識化中間体を還元することによって還元標識された分子を与える。縮合反応は、通常、メタノールまたはDMSOなどの有機溶媒中で、触媒としての酢酸などの存在下または非存在下において、糖鎖と標識化合物とを加温して行う。その後、NaCNBH3、NaBH4などの還元剤を加えて、加温または室温で還元反応を行う。あるいはまた、縮合反応溶液中に始めから還元剤を共存させる場合もある。還元末端の糖のアルデヒド基とPBHとを縮合させることにより標識する方法では、[M+Na]+あるいは[M−H]-などの親イオンの安定性が低く感度が劣っている。このため、還元反応をさらに行うことで親イオンを多く生成することができる。
また、糖、糖鎖または複合糖質の中でもシアル酸を含むものについては、アミノ基、ヒドラジド基、ジアゾメチル基などを有する縮合多環炭化水素誘導体を標識化合物として用いて、シアル酸のカルボキシ基と、標識化合物のアミノ基、ヒドラジド基、ジアゾメチル基などとを反応させることによって標識できる。この反応は、例えば、水溶性カルボジイミドおよびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド存在下で行う。
さらに、シアル酸を含む糖、糖鎖、または複合糖質は、シアル酸のC7-9位のみを選択的に過ヨウ素酸酸化してアルデヒド基を生じさせることができる。シアル酸のC7-9位の選択的酸化は、5mMのNaIO4水溶液中で0℃、10〜20分間にわたり反応させることによって実施することができる。アミノ基あるいはヒドラジド基などを有する縮合多環炭化水素誘導体である標識化合物を用いて、上記の選択的酸化により生じたアルデヒド基と、標識化合物のアミノ基あるいはヒドラジド基を前述のように縮合反応させて標識化中間体を形成し、次いで該標識化中間体を還元することによって還元標識された分子を得ることができる。
あるいは、多くの糖、糖鎖、または複合糖質は、非還元末端にガラクトースを含む。その非還元末端のガラクトースを特異的にガラクトースオキシダーゼによってC6位を酸化しアルデヒド基を生じさせることができる。酵素反応は、たとえば、中性の緩衝液中で、室温、2時間で行うことができる。アミノ基あるいはヒドラジド基などを有する縮合多環炭化水素誘導体である標識化合物を用いて、上記の酵素的酸化により生じたアルデヒド基と、標識化合物のアミノ基あるいはヒドラジド基を前述のように縮合反応させて標識化中間体を形成し、次いで該標識化中間体を還元することによって還元標識された分子を得ることができる。
ガラクトースに標識を行うこれらの方法を、糖タンパク質(糖ペプチドを含む)分子上のシアル酸、ガラクトースなどに適用することが可能である。その場合、糖タンパク質分子を標識できるので、該分子のイオン化効率が高くなる。
タンパク質(ペプチドを含む)および糖タンパク質(糖ペプチドを含む)は、その中に含まれるカルボキシ基、アミノ基、またはSH基を用いて標識することができる。カルボキシ基を用いて標識する場合には、アミノ基、ヒドラジド基、ジアゾメチル基などを有する縮合多環炭化水素誘導体を標識化合物として用い、それらの基と、タンパク質または糖タンパク質中のカルボキシ基とを反応させることによって標識された分子を得ることができる。一方、アミノ基を用いて標識する場合には、スクシニミジルエステル基、塩化スルホニル基などを有する縮合多環炭化水素誘導体を標識化合物として用い、それらの基と、タンパク質または糖タンパク質中のアミノ基とを反応させることによって標識された分子を得ることができる。さらに、タンパク質または糖タンパク質に含まれるシステイン残基のSH基を用いて標識する場合には、ヨード基(−I)などを有する縮合多環炭化水素誘導体を標識化合物として用い、それらの基と、タンパク質または糖タンパク質中のSH基とを反応させることによって標識された分子を得ることができる。
標識化合物は、芳香族化合物であっても、縮合多環炭化水素誘導体であってもよい。「芳香族化合物」とは、芳香族環部分と、分析対象の分子と結合することが可能である反応性官能基と、該芳香族環部分と反応性官能基とを連結するスペーサ部分とを有する化合物を含む。ここで、芳香族環部分は、ベンゼン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環などの単環式芳香族環、またはナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、キノリン環、インドール環、アクリジン環、ベンゾチアゾール環などの縮合芳香族環であってもよい。「縮合多環炭化水素誘導体」とは、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合多環炭化水素部分と、分析対象の分子と結合することが可能である反応性官能基と、該縮合多環炭化水素と該反応性官能基とを連結するスぺーサ部分とを有する化合物をいう。
本発明で用いる標識化合物は、好ましくはピレン誘導体化合物である。「ピレン誘導体化合物」とは、ピレン環と、分析対象の分子に結合することが可能である反応性官能基と、該ピレン環と該反応性官能基とを連結するスペーサ部分とを有する化合物をいう。具体的には、1−ピレニルジアゾメタン(1-pyrenyldiazomethane)、1−ピレンブタン酸ヒドラジド(1-pyrenebutanoic acid, hydrazide)、1−ピレン酢酸ヒドラジド(1-pyreneacetic acid, hydrazide)、1−ピレンプロピオン酸ヒドラジド(1-pyrenepropionic acid, hydrazide)、1−ピレン酢酸スクシニミジルエステル(1-pyreneacetic acid, succinimidyl ester)、1−ピレンプロピオン酸スクシニミジルエステル(1-pyrenepropionic acid, succinimidyl ester)、1−ピレンブタン酸スクシニミジルエステル(1-pyrenebutanoic acid, succinimidyl ester)、N−(1−ピレンブタノイル)システイン酸スクシニミジルエステル(N-(1-pyrenebutanoyl)cysteic acid, succinimidyl ester)、N−(1−ピレン)ヨードアセトアミド(N-(1-pyrene) iodoacetamide)、N−(1−ピレン)ヨードマレイミド(N-(1-pyrene) maleimide)、N−(1−ピレンメチル)ヨードアセトアミド(N-(1-pyrenemethyl) iodoacetamide)、1−ピレンメチルヨードアセテート(1-pyrenemethyl iodoacetate)、アミノピレン(aminopyrene)、1−ピレンメチルアミン(1-pyrenemethyl amine)、1−ピレンプロピルアミン(3-(1-pyrenyl)propylamine)、1−ピレンブチルアミン(4-(1-pyrenyl)butylamine)、1−ピレンスルホン酸クロリド(1-pyrenesulfonyl chloride)1−ピレニルジアゾメタンなどが挙げられる。これらの中でも、1−ピレニルジアゾメタンを用いることが、反応性が高い点で好ましい。
また、誘導体化の例として、芳香族基を含まない、アルキル化を行ってもよい。
(生体試料の載置方法)
生体試料の載置工程では、誘導体化後の測定分子または誘導体化しない測定分子を、適当な溶媒に溶解し、ピペットまたは自動スポッターなどの滴下装置でプレート上に滴下する。乾燥は、室温に放置しても、分子が変化しなければ加温してもよい。必要に応じて、引き続き誘導体化反応を行なう。
[プレート上で測定対象分子を局在化する工程]
(マトリックス)
事後的な質量分析におけるマトリックスの役割は、照射されたレーザーの光エネルギーを吸収しマトリックス自身がイオン化を起こして測定対象分子との間でプロトンまたは電子などを受け渡すというものである。マトリックスは、その種類によって固有の光エネルギー吸収帯があるので、照射するレーザーによって使用するマトリックスも異なる。また、マトリックスは、光エネルギーの吸収以外にも、測定対象分子を分子レベルで均一に分散させる分散剤としての役割も有する。このため、測定する分子の違い(タンパク質、核酸、糖類、脂質など)によってマトリックスを適宜選択することが重要である。
このようなマトリックスとしては、例えば、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)、シナピン酸(SA)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)、norharman、6−aza−2−thiothymine(6−ATT)、2,4,6−trihydroxyacetophenone等を使用することができる。高い局在化を達成するためには、マトリックス濃度を適宜選択することが好ましい。具体的には、マトリックス濃度は、測定試料によって選択する必要がある。マトリックス濃度は、例えば0.1〜20 mg/mlとすることが特に好ましく、2〜10mg/mlとすることが、結晶形を制御できる点で極めて好ましい。
(溶媒)
マトリックスを溶解する溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリル等、およびこれらと水との混液を使用することができる。特に、アセトニトリルと水との混液を使用することが、試料およびマトリックスとよく混和し、その後の局在化を実現する点で好ましい。高い局在化を達成するためには、溶媒濃度を適宜選択することが好ましい。具体的には、溶媒濃度は、測定試料によって選択する必要がある。溶媒濃度、例えば、アセトニトリル濃度は、0〜100%とすることが好ましく、特に、40〜90%とすることが、乾燥時間および/または乾燥過程を制御できる点で特に好ましい。
(測定対象分子の局在化方法)
マトリックスと溶媒との混合は、特に限定するものではなく、公知のいかなる技術を使用することもできる。例えば、DHBA(高純度マトリックス試薬、島津ジーエルシー製)5mgを、40%のアセトニトリルを含有する水0.5mlに溶解し、最終濃度10mg/ml溶液を用時調製する。この際、必要に応じて遠心分離した上清を用いる。
プレート上で前記測定対象分子を局在化する工程では、まず、測定試料を載置した部位を覆うようにマトリックス溶液をピペットまたは自動スポッターなどの滴下装置でプレート上に滴下する。この段階で、測定対象分子が再溶解してマトリックスとの混合溶液となる。
次に、混合溶液を乾燥することで、測定対象分子が再移動して局在化を実現する。具体的には、室温に放置しても、分子が変化しなければ加温してもよい。当該乾燥は、測定分子によるが、局在化が十分に起こる時間で行う。乾燥時間は、2分〜24時間とすることが好ましい。さらに、分析時間の短縮、試料および結晶形態などを変化させない観点から、5分〜30分とすることがさらに好ましい。
このようなプレート上での測定対象分子の局在化方法(タイプ1)によれば、上記生体試料が少なくとも2種の測定対象分子を含む場合に、工程(A)において、プレートの少なくとも2つの領域に異なる化合物を結合させ、工程(C)において、少なくとも2つの領域で異なる測定対象分子を局在化することができる。また、生体試料が少なくとも1種の夾雑分子を含む場合に、工程(A)において、プレートの少なくとも2つの領域に異なる化合物を結合させ、工程(C)において、プレートの1つの領域では測定対象分子を、別の領域では夾雑分子を局在化することができる。
<プレート上での測定対象分子の局在化方法(タイプ2)>
[プレートを用意する工程]
タイプ2において、プレートを用意する工程には、(A1)第1プレート上に測定対象分子を局在化する第1の化合物を結合する工程と、(A2)第2プレート上に測定対象分子を局在化する、第1化合物とは異なる第2の化合物を結合する工程とが含まれる。
本工程において用いるプレートの種類については、上記したタイプ1と同様である。ただし、第1プレートと第2プレートとでは、異なる化合物を結合させる。これにより、後述するように、異なるプレートで異種の測定対象分子を局在化させることができる。
[測定対象分子を含む生体試料を載置する工程]
タイプ2において、測定対象分子を含む生体試料を載置する工程には、(B1)第1プレートおよび第2プレートの間に、少なくとも1種の測定対象分子を含む生体試料を挟み、乾燥する工程と、(B2)第1プレートおよび第2プレートを分離する工程とが含まれる。
本工程において用いる測定対象分子の種類については、上記したタイプ1と同様である。第1プレートと第2プレートとにより測定対象分子を含む生体試料を挟む際には、重しなどを置いてよく密着させることが、局在化を高効率で行うことができる点で好ましい。また、生体試料の乾燥の際には、適当な時間をかけて乾燥し、さらに完全に乾燥することが、局在化を高効率に達成できる点で好ましい。例えば、室温〜45℃で、30分〜24時間かけて乾燥することが好ましい。
[プレート上で測定対象分子を局在化する工程]
タイプ2において、プレート上で測定対象分子を局在化する工程は、(C)第1プレートおよび第2プレート上にマトリックスを含む溶液を滴下し乾燥して、プレート上で測定対象分子を局在化する工程である。
本工程において用いるマトリックス、および溶媒の種類については、上記したタイプ1と同様である。
このようなプレート上での測定対象分子の局在化方法(タイプ2)によれば、生体試料が少なくとも2種の測定対象分子を含む場合に、工程(C)において、第1プレートの測定対象分子とは異なる測定対象分子を第2プレートで局在化することができる。また、生体試料が少なくとも1種の夾雑分子を含む場合に、工程(C)において、少なくとも1種の夾雑分子を第2プレートで局在化することができる。
<質量分析法(タイプ1)>
本発明の測定対象分子の質量分析方法は、
(1)プレート上での測定対象分子を局在化する方法(タイプ1)により、プレート上で測定対象分子を局在化する工程、および
(2)上記工程(1)で局在化された測定対象分子に対して、MSn測定を行なう工程であって、nは1以上の整数である工程
を含む方法である。
(工程(1))
工程1は、上記したプレート上での測定対象分子の局在化方法を行なう工程である。当該工程は、上述したとおりである。
(工程(2))
工程2は、工程1で局在化された測定対象分子に対して、MSn測定を行なう工程であって、nは1以上の整数である工程である。
「質量分析法」とは、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、レーザー脱離(LD)法、高速電子衝撃(FAB)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学(APCI)法などのイオン化方法によって分子を含む試料をイオン化し、次いで、飛行時間法(タイムオブフライト法、TOF法)、二重収束法、四重極集束法などを用いて、イオン化した分子を質量/電荷比(m/z)に従って分離し検出する方法である。
本発明においてイオン化法は限定されないが、好ましくは、LD法、FAB法、またはMALDI法であり、より好ましくは、MALDI法である。
MALDI法においては、メチル化または縮合多環炭化水素が分子に結合していることで、イオン化効率が高くなる。
糖、糖鎖、タンパク質、糖など修飾を含むタンパク質、核酸、糖脂質などの分子は、分子量および組成が同一の構造異性体が存在するので、縮合多環炭化水素誘導体による標識化後、プリカーサーイオンの生成を高めて、MSn(n>1)解析を行い、異性体に特異的なイオンを生成して構造情報を得ることができる。糖ペプチドまたは糖タンパク質の糖鎖部分に標識した分子をMSn(n>1)解析する場合、標識を含むプロダクトイオンを選択することによって、分子中の糖鎖結合位置を決定することができる。
当該タイプ1の質量分析方法においては、当該技術分野で通常用いられるいかなる方法を用いることもできる。
<質量分析法(タイプ2)>
本発明の測定対象分子の質量分析方法は、
(1)プレート上での測定対象分子を局在化する方法(タイプ2)により、プレート上で生体試料中の測定対象分子を局在化する工程、および
(2)前記工程(1)で局在化された測定対象分子に対して、MSn測定を行なう工程であって、nは1以上の整数である工程
を含む方法である。
(工程(1))、(工程(2))、および用語「質量分析法」等については、上記の、プレート上での測定対象分子を局在化する方法(タイプ1)と同様である。
当該タイプ2の質量分析方法においても、当該技術分野で通常用いられるいかなる方法を用いることもできる。
以下に、本発明の効果を実施例に基づいて実証する。
(実施例1)
1−1.フェニルプレートの作成
Micro・Contact・Printing法に従って、プレートへのフェニル基導入を行なった。具体的には、ポリジメチルシロキサン製の板材を準備し、ベンジルメルカプタン [α−トルエンチオール]のエタノール希釈液(2mM)に10分間浸して風乾した。次いで、別途準備したAu基板に3秒間スタンプした。その後、基板をエタノールで洗浄し、乾燥してフェニルプレートを得た。本例では、プレートにフェニル基を全面コートしたため、上記板材として、Au基板よりも大きなものを使用した。
1−2.測定対象分子の局在化および質量分析
上記のように事前に作成したプレート上に、糖鎖1(500fmol)を載置し、乾燥させた。その上に、1−ピレニルジアゾメタン500pmol含有DMSO溶液0.25μLを滴下し、25分にわたって40℃に加熱して乾燥させることにより、一部ピレン標識化された標識糖鎖1を得た。マトリックスとしてDHBA(10mg/ml溶液、40%アセトニトリル)0.5μLを、試料を覆うように滴下し室温で乾燥して、図1に示す標識糖鎖含有測定試料1を調製した。
得られた測定試料1を、X×Y=21×21の合計441の領域に分割し、質量分析計(AXIMA−QIT、島津製作所)のラスタースキャンによって各領域のネガティブイオンを測定した。ラスタースキャンによって得られた各領域の測定ファイルの情報を測定位置座標(x、y)、m/zおよびシグナル強度を含むテキストに変換した。当該テキスト変換したデータに基づいて、標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2582)の分布および未標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2077)の分布を、公開ソフトGraph−Rを用いて二次元に表示した。
図2に、標識糖鎖1由来脱プロトン化イオンのシグナル強度を示し、図3に、未標識糖鎖1由来脱プロトン化イオンのシグナル強度を示す。また、図4に、図2,3中の点Aにおける質量スペクトルを示す。また、図5に、図2,3中の点Bにおける質量スペクトルを示す。図4および5の縦軸は最大値が同一になるように示してある。
図2,3によれば、標識糖鎖イオンと未標識糖鎖イオンとの生成する領域が異なること、換言すれば標識糖鎖の局在化が実現できていることが判明した。また、図4,5によれば、図2,3の結果から所定の領域、即ち、図2,3の各点の中で図2の点の方が、色が濃い領域(例えば、点A)を選択した場合にのみ、所望のイオン(標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン)の他のイオンと比較した高いシグナル強度が選択的に得られることが判明した。
以上の効果は、プレートに所定の加工を施してアリール基(フェニル基)を結合させたプレートを使用したことによって奏されたものであり、これにより、本願の効果が実証された。
(比較例1)
フェニルプレートの代わりに一般に汎用されているステンレスプレートを用いて、実施例1と同様にスキャンを行なった。その結果を以下に示す。
図6に、標識糖鎖1由来脱プロトン化イオンのシグナル強度を示し、図7に、未標識糖鎖1由来脱プロトン化イオンのシグナル強度を示す。また、図8に、図6,7中の点Cにおける質量スペクトルのみを示す。
図6,7によれば、標識糖鎖イオンと未標識糖鎖イオンとの生成する領域が同一であること、換言すれば標識糖鎖の局在化が実現できていないことが判明した。また、図8では、図6,7中の点Cにおける質量スペクトルのみを表示したが、図6,7中の各点の色の濃さに差異がないことからすれば、どの点をとっても、図8の結果が得られることが予想される。
以上は、プレートに所定の加工を施さず従来のステンレスプレートを使用したことによって得られた結果であることが判る。
(実施例2)
市販の糖タンパク質前立腺特異抗原を電気泳動後、リジルエンドプロテアーゼCでゲル内消化し、ペプチドNグリコシダーゼF消化を行ない、さらにC18チップ素通り画分を得た。この画分を試料として実施例1で作成したフェニルプレートに載置し、以下実施例1と同様にスキャンを行なった。その結果を以下に示す。
図9に、ペプチドイオン(m/z=1075)のシグナル強度を示し、図10に、標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン(m/z=2582)のシグナル強度を示す。また、図11に、図9,10中の点Dにおける質量スペクトルを示す。また、図12に、図9,10中の点Eにおける質量スペクトルを示す。図11および12の縦軸は最大値が同一になるように示してある。
図9,10によれば、ペプチドイオンと標識糖鎖イオンとの生成する領域が異なること、換言すればペプチドイオンと標識糖鎖との局在化が実現できていることが判明した。また、図11,12によれば、図9,10の結果から所定の領域、即ち、図9,10の各点の中で図10の点の方が、色が濃い領域(例えば、点E)を選択した場合にのみ、所望のイオン(標識糖鎖1由来脱プロトン化イオン)の他のイオンと比較した高いシグナル強度が選択的に得られることが判明した。
以上の効果は、プレートに所定の加工を施して芳香族化合物を結合させたプレートを使用したことによって奏されたものであり、これにより、本願の効果が実証された。
さらに、従来、測定試料中にペプチドが糖鎖とともに混在していると、ペプチドがイオン化し易いため、質量分析において糖鎖イオンはほとんど検出できなかった。しかしながら、実施例2では、ペプチドが糖鎖とともに混在していても、微小領域での局在化による両物質の分離が実現され、生体試料由来の微量糖鎖でも質量分析により同定が可能であることが予想される。
(実施例3)
実施例3は、フェニルプレートを用いて糖ペプチドおよびペプチドの局在化を行った例である。まず、PSA−ACT由来糖ペプチドの精製は、以下のようにして行った。即ち、0.6mLチューブにPSA−ACT0.5μgを含む50mM重炭酸アンモニウム水溶液95μLと、10U/μLサーモライシン水溶液の5μLとを加えて混合溶液を撹拌し、56.5℃で一晩インキュベーションした。この混合溶液を遠心エバポレーターで乾燥して乾燥物を得、当該乾燥物に、0.8%トリフルオロ酢酸(TFA)を150μL加え、ヒートブロックを用い、80℃で40秒反応させてアシアロ化を行ったサンプルを得た。
次いで、当該サンプルに、H2Oを加えて繰り返し乾燥させた。具体的には、当該サンプルに、H2O20μL、エタノール20μL、ブタノール80μLの順で加えてよく撹拌し、洗浄・平衡化したSepharoseCL−4Bゲル浮遊液(1:1)を10μL加えてよく撹拌した後、1時間振盪した。SepharoseCL−4Bゲルの洗浄・平衡化は、50%エタノールで3回洗浄し、ブタノール/エタノール/水(4:1:1)の混合溶液で3回行った。振盪後、遠心して上清を捨て、これを繰り返して洗浄した。50%エタノール100μLを加えて30秒振盪し、遠心後上清を回収し、遠心エバポレーターで乾燥した。
最後に、フェニルプレートを用いた局在化およびMS測定を、実施例1と同様に行った。即ち、60%アセトニトリルに溶解した10mg/mLDHBAの1μLを滴下し、風乾させてAXIMA−QITで測定を行った結果、ネガティブイオンMSスペクトルを図13,14に示す。なお、図13は、ピレン標識を行わずにMS測定した結果を示し、図14は、ピレン標識を行ってMS測定した結果を示す。
図13,14によれば、ピレン標識を行わなかった場合には、ペプチドのシグナルaのみが検出された。これに対し、ピレン標識を行った場合には、糖ペプチドのシグナルb,c,dが特異的に検出されることが明らかになった。ポジティブイオンMSスペクトルにおいても同様の結果が得られた。
さらに、測定試料の特定の領域のMSスペクトルの例を図15に示す。図13,14に示した、全測定点の平均スペクトルに比較して、糖ペプチドのみのシグナル強度が相対的に高くなる測定点が明らかに存在する、すなわち局在化していることが示された。
(実施例4)
実施例4は、C18プレートとフェニルプレートとの間に、糖ペプチドおよびペプチドを挟んで局在化を行った例である。まず、C18プレートおよびフェニルプレートの作製は、以下のようにして行った。即ち、フェニルプレートは実施例1と同様に作成した。なお、測定試料溶液を保持させるために、直径3mmの穴の空いたPDMS(polydimethylsiloxane)樹脂製のシート(厚さ100μm、外形はフェニルプレートと略同形状)を作製し、貼り付けた。貼り付けは、PDMSシートの自己吸着により、接着剤等は用いていない。C18プレートについてもフェニルプレートと同様に作製した。ポリジメチルシロキサン製の板材を準備し、[1−オクタデカンチオール]のエタノール希釈液(2mM)に10分間浸して風乾した。次いで、別途準備したAu基板に3秒間スタンプした。その後、基板をエタノールで洗浄し、乾燥した。本例では、プレートにC18を全面コートしたため、上記板材として、Au基板よりも大きなものを使用した。
糖ペプチドの調製は実施例3と同様に行った。
さらに、C18プレートおよびフェニルプレートを用いた局在化およびMS測定は以下のようにして行った。即ち、乾燥したPSA−ACT由来糖ペプチドに5%アセトニトリルを12.5μL加えて溶解した。ペプチドとして、4pmol/μLの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)断片(Adrenocorticotropic Hormone Fragment 18-39 human, Sigma)を5%含むアセトニトリル溶液をPSA−ACT由来糖ペプチドと等量混合し、測定試料とした。穴の空いたPDMSシートを貼り付けたフェニルプレートに試料溶液0.5μLを滴下し、C18プレートを上にかぶせ、重しを載せて密着させた。この密着体を、ヒートブロックの上に乗せ、この状態のまま40℃で2.5時間放置し、溶媒を蒸発させた。フェニルプレートとC18プレートを剥がした後、PDMSシートをはがし、ピレン標識化のために、1−ピレニルジアゾメタン(PDAM)500pmolの0.25μLジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を滴下して、40℃で放置し反応させた。乾燥させた後一晩真空デシケーター中でさらに乾燥した。
この乾燥物に、60%アセトニトリルに溶解した10mg/mLの2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)を1μL滴下し、風乾させてAXIMA−QITで測定を行った結果、ネガティブイオンMSスペクトルを図16,17(フェニルプレートに関し)および18,19(C18プレートに関し)に示す。なお、図16,18にはピレン標識を行わずにMS測定した結果を示し、図17,19にはピレン標識を行ってMS測定した結果を示す。
図16〜19によれば、いずれのプレートにおいても、ピレン標識を行わなかった場合には、ペプチドのシグナルaのみが検出された。なお、図16によれば、ペプチドのシグナルが実施例3(図13)の1/2に低下していることが判る。
これに対し、ピレン標識を行った場合には、C18プレートには糖ペプチドのシグナルb,c,dが検出されないが、フェニルプレートには特異的に検出されることが判る。なお、ポジティブイオンMSスペクトルにおいても同様の結果が得られた。
これら(実施例3と4)の結果から、実施例4では、フェニルプレート上の測定試料中の夾雑分子であるペプチドは、その上に重ねたC18プレートに捕捉され、シグナル強度が低下したが、糖ペプチドはフェニルプレートに留まり局在化されてシグナルが低下しないことが判る。さらに、実施例4では、実施例3と比較してシグナル/ノイズ比が向上していることが示された。すなわち、実施例4は実施例3と比較してより効果的な局在化が実現されているといえる。なお、この効果は、同一プレート上にC18結合部分およびフェニル基結合部分を配したものにおいても得られると考えられる。
(実施例5)
アミノプレートに糖ペプチドおよびペプチドを載せて、または、C8プレートおよびアミノプレートの間に糖ペプチドおよびペプチドを挟んで局在化を行った。これらの例では、プレートの種類以外は実施例3および4と同様な操作を行った。実施例5において、C8プレートおよびアミノプレートの間に糖ペプチド等を挟んで局在化し、その後、これらのプレートを分離した後のアミノプレートに関する結果を、図20,21に示す。これに対し、実施例5において、アミノプレートに糖ペプチド等を載せて局在化し、その後、当該アミノプレートに関する結果を図22,23に示す。これらの図において、図20、22は、ピレン標識を行わずにMS測定した結果を示し、図21、23は、ピレン標識を行ってMS測定した結果を示す。
ピレン標識を行わないで測定した結果(図20、22)によれば、夾雑ペプチドのみが観測された。一方、ピレン標識を行って測定した結果(図21、23)によれば、C8を重ねずに局在化させたアミノプレートの場合(図23)と比較して、C8プレートを重ねた場合(図21)は、実施例4の場合と同等に、糖ペプチドのシグナル強度が優れた結果を示すことが判る。以上により、C8プレートとアミノプレートとを使用した場合にも、糖ペプチドとアミノプレートとの親和性が高く、夾雑ペプチド共存下であっても糖ペプチドのシグナルが観察されることが判明した。
本発明のプレート上での測定対象分子の局在化方法は、測定対象分子を洗い流すことなくプレート上でその十分な残量を確保することができるとともに、未知の測定対象分子の質量分析に使用でき、しかも複数の測定対象分子を同時に質量分析する場合にも使用できる。このため、当該方法は、生化学および医学等の分野で今後益々頻繁に使用されることが予想される、種々の分子の質量分析法に好適に適用することができる点で有望である。
上述のように本発明の一つ態様としては以下のものを挙げることができる。
1.(A)測定対象分子を局在化する少なくとも1種の化合物を結合させたプレートを用意する工程と、
(B)前記プレート上に、少なくとも1種の測定対象分子を含む生体試料を載置する工程と、
(C)前記生体試料にマトリックスを含む溶液を滴下、乾燥して、前記プレート上で前記測定対象分子を局在化する工程と、
を含むことを特徴とする、プレート上での測定対象分子を局在化する方法。
2.前記化合物が、アリール基、ジヒドロキシボリル基、アルキル基、アミノ基、またはヒドロキシル基を含むことを特徴とする、1に記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
3.前記アリール基が、フェニル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、キノリル基、インドリル基、アクリリジニル基、またはベンゾチアゾリル基であることを特徴とする、2に記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
4.前記アルキル基が、C4〜C18のアルキル基であることを特徴とする、2に記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
5.前記生体試料が少なくとも2種の測定対象分子を含み、前記工程(A)において、前記プレートの少なくとも2つの領域に異なる化合物を結合させ、前記工程(C)において、少なくとも2つの領域で異なる測定対象分子を局在化することを特徴とする、1〜4のいずれかに記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
6.前記生体試料が少なくとも1種の夾雑分子をさらに含み、前記工程(A)において、前記プレートの少なくとも2つの領域に異なる化合物を結合させ、前記工程(C)において、前記プレートの1つの領域では測定対象分子を、別の領域では夾雑分子を局在化することを特徴とする、1〜4のいずれかに記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
7.工程(B)および工程(C)の間に、
(B’)前記生体試料を誘導体化する工程
をさらに含むことを特徴とする、1〜6のいずれかに記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
8. 測定対象分子の質量分析方法であって、
(1)請求項1〜7のいずれかに記載の方法により、プレート上で生体試料中の測定対象分子を局在化する工程、および
(2)前記工程(1)で局在化された測定対象分子に対して、MSn測定を行なう工程であって、nは1以上の整数である工程
を含むことを特徴とする質量分析法。

Claims (7)

  1. (A1)第1プレート上に測定対象分子を局在化する第1の化合物を結合する工程と、
    (A2)第2プレート上に測定対象分子を局在化する、前記第1化合物とは異なる第2の化合物を結合する工程と、
    (B1)前記第1プレートおよび前記第2プレートの間に、少なくとも1種の測定対象分子を含む生体試料を挟み、乾燥する工程と、
    (B2)前記第1プレートおよび前記第2プレートを分離する工程と、
    (C)前記第1プレートおよび前記第2プレート上にマトリックスを含む溶液を滴下し乾燥して、前記第1プレートおよび前記第2プレートの少なくとも一方上で前記測定対象分子を局在化する工程と、
    を含むことを特徴とする、プレート上での測定対象分子の局在化方法。
  2. 前記第1化合物および第2化合物のそれぞれは、アリール基、ジヒドロキシボリル基、アルキル基、アミノ基、またはヒドロキシル基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
  3. 前記アリール基が、フェニル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、キノリル基、インドリル基、アクリリジニル基、またはベンゾチアゾリル基であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
  4. 前記アルキル基が、C4〜C18のアルキル基であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
  5. 前記生体試料が少なくとも1種の夾雑分子をさらに含み、前記工程(C)において、少なくとも1種の夾雑分子を前記第2プレートで局在化することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
  6. 工程(B2)および工程(C)の間に、
    (B’)前記第1プレート上の前記生体試料、および前記第2プレート上の前記生体試料の少なくとも一方を誘導体化する工程
    をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のプレート上での測定対象分子の局在化方法。
  7. 測定対象分子の質量分析方法であって、
    (1)請求項1〜6のいずれかに記載の方法により、前記第1プレート上の生体試料中の測定対象分子、および前記第2プレート上の生体試料中の測定対象分子の少なくとも一方を局在化する工程、および
    (2)前記工程(1)で局在化された測定対象分子に対して、MSn測定を行なう工程であって、nは1以上の整数である工程
    を含むことを特徴とする質量分析法。
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