JP2007012507A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エネルギー密度を向上させると共に、充放電効率を向上させることができる電池を提供する。
【解決手段】 正極21と負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を備える。完全充電時の開回路電圧は、4.25V以上6.00V以下の範囲内である。電解液には、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、α−ピロンあるいはジケテンなどのラクトンを含んでいる。これにより、完全充電時の開回路電圧が高く設定されても、充放電効率が改善される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ラクトンを含む電解質を用いた電池に関する。
近年の携帯電子技術のめざましい発達により、携帯電話やノートブックコンピューターなどの電子機器は高度情報化社会を支える基盤技術として認識されている。これらの電子機器の高機能化に関する研究開発は精力的に進められており、高機能化による消費電力の増加に伴い、駆動時間の長期化が課題とされてきた。一定水準以上の駆動時間を確保するためには、駆動電源として用いられる二次電池の高エネルギー密度化が必須条件であり、例えばリチウムイオン二次電池などの高機能性二次電池では更なる高エネルギー密度化が望まれている。
従来のリチウムイオン二次電池では、正極にはコバルト酸リチウム、負極には炭素材料が使用されており、作動電圧が4.2Vから2.5Vの範囲内で用いられている。このように単電池において、端子電圧を4.2Vまで上げられるのは、非水電解質材料やセパレータなどの優れた電気化学的安定性によるところが大きい。
ところで、従来の最大4.2Vで作動するリチウムイオン二次電池では、正極に用いられるコバルト酸リチウムなどの正極活物質は、その理論容量に対して6割程度の容量を活用しているに過ぎない。このため、更に充電圧を上げることにより、残存容量を活用することが原理的には可能である。実際に充電時の電圧を4.25V以上にすることにより高エネルギー密度化が実現することが知られている(特許文献1参照)。
国際公開第WO03/019713号パンフレット
しかしながら、充電電圧を4.2Vを超えて設定した電池では、電解液が分解し易くなり、充放電効率が低下してしまうという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、充電電圧を高く設定しても、充放電効率を向上させることができる電池を提供することにある。
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、電解質は、ラクトンを含む電解液を含有するものである。
本発明の電池によれば、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また、電解質にラクトンを含む電解液を含有するようにしたので、電極の表面に良好な被膜を形成することができ、充放電効率を向上させることができる。
特に、ラクトンとして、4員環のラクトン環を有する化合物,6員環のラクトン環を有する化合物,7員環のラクトン環を有する化合物および炭素原子間の多重結合を有する化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、または電解液におけるラクトンの含有量を0.1質量%以上2質量%以下の範囲内とするようにすれば、または電解液にハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な正極材料の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてのグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物,リチウムリン酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましく、中でも、遷移金属元素として、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn)および鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、化1,化2あるいは化3に示した層状岩塩型のリチウム複合酸化物、化4に示したスピネル型のリチウム複合酸化物、または化5に示したオリビン型のリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302 、Lia CoO2 (a≒1)、Lib NiO2 (b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22 (c1≒1,0<c2<1)、Lid Mn2 4 (d≒1)あるいはLie FePO4 (e≒1)などがある。
(化1)
Lif Mn(1-g-h) Nig M1h (2-j) k
(式中、M1は、コバルト,マグネシウム(Mg),アルミニウム,ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄,銅(Cu),亜鉛(Zn),ジルコニウム(Zr),モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f,g,h,jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0. 5、0≦h≦0. 5、g+h<1、−0. 1≦j≦0. 2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
(化2)
Lim1Ni(1-n1)M2n1(2-p1)q1
(式中、M2は、コバルト,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。m1,n1,p1およびq1は、0.8≦m1≦1.2、0. 005≦n1≦0. 5、−0. 1≦p1≦0. 2、0≦q1≦0. 1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、m1の値は完全放電状態における値を表している。)
(化3)
Lir1Co(1-s1)M3s1(2-t1)u1
(式中、M3は、ニッケル,マンガン,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。r1,s1,t1およびu1は、0.8≦r1≦1.2、0≦s1<0.5、−0.1≦t1≦0.2、0≦u1≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、r1の値は完全放電状態における値を表している。)
(化4)
Liv1Mn2-w1M4w1x1y1
(式中、M4は、コバルト,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。v1,w1,x1およびy1は、0.9≦v1≦1.1、0≦w1≦0.6、3.7≦x1≦4.1、0≦y1≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、v1の値は完全放電状態における値を表している。)
(化5)
Liz M5PO4
(式中、M5は、コバルト,マンガン,鉄,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,ニオブ(Nb),銅,亜鉛,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,タングステンおよびジルコニウムからなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、これらの他にも、MnO2 ,V2 5 ,V6 13,NiS,MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層21Bと同様の結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素,易黒鉛化性炭素,黒鉛,熱分解炭素類,コークス類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、マグネシウム,ホウ素,アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛,ハフニウム(Hf),ジルコニウム,イットリウム,パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、酸化鉄,酸化ルテニウム,酸化モリブデン,酸化タングステン,酸化チタンあるいは酸化スズなどの酸化物、硫化ニッケルあるいは硫化モリブデンなどの硫化物、または窒化リチウムなどの窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒としては、例えば、比誘電率が30以上の高誘電率溶媒と、粘度が1mPa・s以下の低粘度溶媒とが挙げられ、これらを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
高誘電率溶媒としては、例えば、炭酸エチレン,炭酸プロピレン、炭酸ブチレン,炭酸ビニレンあるいはビニル炭酸エチレンなどの環式炭酸エステル、あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体、またはN−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム、またはN−メチル−2−オキサゾリジノンなどの環式カルバミン酸エステル、またはテトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物が挙げられる。中でも、ハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体が好ましい。電解液の分解反応を抑制することができるからである。このような環式炭酸エステル誘導体について具体的に例を挙げれば、化6(1)に示した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1, 3−ジオキソラン−2−オン、4−ジフルオロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、化6(2)に示した4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、特に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが望ましい。より高い効果を得ることができるからである。高誘電率溶媒には、1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
Figure 2007012507
また、低粘度溶媒としては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルあるいは炭酸エチルメチルなどの鎖式炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルあるいはトリメチル酢酸エチルなどの鎖式カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖式アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチルあるいはN,N−ジエチルカルバミン酸エチルなどの鎖式カルバミン酸エステル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランあるいは1,3−ジオキソランなどのエーテルが挙げられる。低粘度溶媒には1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 ),四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 ),六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 ),六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6 ),過塩素酸リチウム(LiClO4 ),四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4 )などの無機リチウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(CF3 SO3 Li),リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド((CF3 SO2 2 NLi),リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミド((C2 5 SO2 2 NLi),リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド((CF3 SO2 3 CLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウムリチウム塩が挙げられる。電解質塩には1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
この電解液は、更に、添加剤として、ラクトンを含んでいる。電極の表面に良好な被膜を形成することができ、電解液の分解反応を抑制することができるからである。
このようなラクトンとしては、例えば、化7に示した化合物あるいは化8に示した化合物が挙げられる。
Figure 2007012507
(式中、R1は、Cm 2m-nn 、Cp 2p-q-2q 、またはCr 2r-s-4s を表す。m,n,p,q,r,sは、1≦m≦5,0≦n≦2m,2≦p≦5,0≦q≦2p−2,3≦r≦5,0≦s≦2r−4の範囲内の整数を表す。)
Figure 2007012507
(式中、R2は、Ct 2t-uu 、Cv 2v-w-2w 、またはCx 2x-y-4y を表す。t,u,v,w,x,yは、0≦t≦4,0≦u≦2t,1≦v≦4,0≦w≦2v−2,2≦x≦4,0≦y≦2x−4の範囲内の整数を表す。)
具体的に例を挙げれば、化9(1)に示したβ−プロピオラクトン,化9(2)に示したβ−ブチロラクトン,化9(3)に示したジケテン,化9(4)に示したγ−ブチロラクトン,化9(5)に示したγ−バレロラクトン,化9(6)に示したγ−クロトノラクトン,化9(7)に示した2−クマラノン,化9(8)に示したフタリド,化9(9)に示したδ−バレロラクトン,化9(10)に示したδ−カプロラクトン,化9(11)に示したα−ピロン,化9(12)に示したクマリン,化9(13)に示した3,4−ジヒドロクマリン,化9(14)に示したε−カプロラクトン、またはこれらのアルキル置換体などの誘導体がある。
Figure 2007012507
中でも、β−プロピオラクトン,β−ブチロラクトンあるいはジケテンなどの4員環のラクトン環を有する化合物(β−ラクトン)、またはδ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、α−ピロン、クマリンあるいは3,4−ジヒドロクマリンなどの6員環のラクトン環を有する化合物(δ−ラクトン)、またはε−カプロラクトンなどの7員環のラクトン環を有する化合物(ε−ラクトン)、またはγ−クロトノラクトン、2−クマラノンあるいはフタリドなどの炭素原子間の多重結合(不飽和結合)を有する化合物が好ましい。電解液の分解反応を更に向上させることができるからである。なお、ラクトン環は、−CO−O−を有する環をいう。
これらのラクトンの含有量は、電解液全体に対して0.1質量%以上2質量%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内で特に高い効果が得られるからである。
この二次電池は、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上6.00V以下の範囲内になるように設計されている。例えば、同じ正極活物質であっても、開回路電圧が4.20Vの電池よりも、リチウムの放出量を多くしており、この放出されたリチウムが析出しないように負極22が設計されている。これにより高いエネルギー密度が得られるようになっている。また、この二次電池では、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上4.6V以下の範囲内になるように設計した場合に、特に上述したラクトンを含む効果が高くなるようになっている。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を形成する。
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次いで、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が形成される。
この二次電池では、充電を行うと、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して、負極活物質層22Bに吸蔵される。次いで、放電を行うと、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。その際、電解液には、ラクトンが含まれているので、電極表面に良好な被膜が形成され、完全充電時における開回路電圧を高くしても、電解液の分解反応が抑制される。
このように、本実施の形態では、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また、電解液にラクトンを含むようにしたので、電極の表面に良好な被膜を形成することができ、充放電効率を向上させることができる。
特に、ラクトンとして、4員環のラクトン環を有する化合物,6員環のラクトン環を有する化合物,7員環のラクトン環を有する化合物および炭素原子間の多重結合を有する化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、または電解液におけるラクトンの含有量を0.1質量%以上2質量%以下の範囲内とするようにすれば、または電解液にハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、高い効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、一対の正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bの側が正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、第1の実施の形態に係る二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体,ポリテトラフルオロエチレン,ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリフォスファゼン,ポリシロキサン,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,ポリメタクリル酸メチル,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸,スチレン−ブタジエンゴム,ニトリル−ブタジエンゴム,ポリスチレンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極33および負極34のそれぞれに、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、必要に応じて重合開始剤あるいは重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3および図4に示した二次電池を組み立てる。
この二次電池の作用および効果は、第1の実施の形態に係る二次電池と同様である。
更に、本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する
(実施例1−1〜1−3)
図5に示したコイン型の二次電池を作製した。この二次電池は、正極51と、負極52とを電解液を含浸させたセパレータ53を介して積層し、外装缶54と外装カップ55との間に挟み、ガスケット56を介してかしめたものである。まず、正極活物質としてリチウム・マンガン・コバルト・ニッケル複合酸化物(LiMn0.3 Co0.2 Ni0.5 2 )94質量部と、導電剤としてグラファイト3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合したのち、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを添加し正極合剤スラリーを得た。次いで、得られた正極合剤スラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体51Aに均一に塗布し乾燥させて厚み70μmの正極活物質層51Bを形成した。そののち、正極活物質層51Bが形成された正極集電体51Aを直径15mmの円形に打ち抜き、正極51を作製した。
また、負極活物質として黒鉛97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合したのち、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを添加し負極合剤スラリーを得た。次いで、得られた負極合剤スラリーを、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aに均一に塗布し乾燥させて厚み70μmの負極活物質層52Bを形成した。その際、正極活物質の量と負極活物質の量とを調整し、完全充電時における開回路電圧(すなわち、電池電圧)が実施例1−1では4.25V、実施例1−2では4.5V、実施例1−3では4.6Vになるように設計した。そののち、負極活物質層52Bが形成された負極集電体52Aを直径16mmの円形に打ち抜き、負極52を作製した。
次いで、正極51と負極52とを厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ53を介して積層したのち、セパレータ53に電解液0.1gを注液して、これらをステンレスよりなる外装カップ55と外装缶54との中に入れ、それらをかしめることにより、図5に示した二次電池を得た。電解液は、高誘電率溶媒として炭酸エチレンと、低粘度溶媒として炭酸ジメチルと、電解質塩として六フッ化リン酸リチウムとを、炭酸エチレン:炭酸ジメチル:六フッ化リン酸リチウム=42:42:16の質量比で混合し、更に、添加剤としてラクトンを添加することにより作製した。その際、ラクトンは、化9(14)に示したε−カプロラクトンとし、電解液におけるε−カプロラクトン含有量は1質量%とした。
実施例1−1〜1−3に対する比較例1−1,1−2として、完全充電時における開回路電圧が4.2Vになるように設計したことを除き、他は実施例1−1〜1−3と同様にして二次電池を作製した。その際、比較例1−1では実施例1−1〜1−3と同様にε−カプロラクトンを添加した電解液を用いた。また、比較例1−2では、ε−カプロラクトンを添加しない電解液、すなわち、炭酸エチレンと炭酸ジメチルと六フッ化リン酸リチウムとを炭酸エチレン:炭酸ジメチル:六フッ化リン酸リチウム=42:42:16の質量比で混合した電解液を用いた。
また、比較例1−3〜1−5として、ε−カプロラクトンを添加しなかったことを除き、すなわち、炭酸エチレンと炭酸ジメチルと六フッ化リン酸リチウムとを炭酸エチレン:炭酸ジメチル:六フッ化リン酸リチウム=42:42:16の質量比で混合した電解液を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−3と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例1−1〜1−3および比較例1−1〜1−5の二次電池について、1.77mAで4.2V、4.25V、4.5Vまたは4.6Vを上限として12時間充電し、その後10分間休止して1.77mAで3.0Vに達するまで放電するという充放電を繰り返し、50サイクル目の放電容量維持率を求めた。50サイクル目の放電容量維持率は、(50サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)として計算した。結果を表1および図6に示す。
Figure 2007012507
表1および図6から分かるように、ε−カプロラクトンを添加した実施例1−1〜1−3によれば、これを添加しなかった比較例1−3〜1−5よりも、それぞれ、放電容量維持率について高い値が得られた。また、電池電圧を4.2Vとした比較例1−1,1−2では、ε−カプロラクトンを添加する効果は観られたが、その効果は小さかった。
すなわち、完全充電時のおける開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内の電池において、電解液にラクトンを含むようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−28)
ラクトン、または高誘電率溶媒、またはそれらの両方の種類を代えたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。その際、ラクトンは、実施例2−1,2−16では化9(9)に示したδ−バレロラクトンとし、実施例2−2,2−17では化9(10)に示したδ−カプロラクトンとし、実施例2−3,2−18では化9(1)に示したβ−プロピオラクトンとし、実施例2−4,2−19では化9(2)に示したβ−ブチロラクトンとし、実施例2−5,2−20では化9(3)に示したジケテンとし、実施例2−6,2−21では化9(6)に示したγ−クロトノラクトンとし、実施例2−7,2−22では化9(7)に示した2−クマラノンとし、実施例2−8,2−23では化9(8)に示したフタリドとし、実施例2−9,2−24では化9(11)に示したα−ピロンとし、実施例2−10,2−25では化9(12)に示したクマリンとし、実施例2−11,2−26では化9(13)に示した3,4−ジヒドロクマリンとし、実施例2−12,2−27では化9(4)に示したγ−ブチロラクトンとし、実施例2−13,2−28では化9(5)に示したγ−バレロラクトンとし、実施例2−14,2−15ではε−カプロラクトンとした。また、高誘電率溶媒は、実施例2−1〜2−13では炭酸エチレンとし、実施例2−14ではハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、実施例2−14〜2−28ではハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとした。
実施例2−1〜2−28に対する比較例2−1,2−2として、高誘電率溶媒として、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用い、ラクトンを添加しなかったことを除き、他は実施例2−1〜2−28と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例2−1〜2−28および比較例2−1,2−2の二次電池について、実施例1−2と同様にして50サイクル目の放電容量維持率を求めた。結果を実施例1−2および比較例1−4の結果と共に表2,3に示す。なお、充電は、1.77mAで4.5V上限として12時間行い、放電は1.77mAで3.0Vに達するまで行った。
Figure 2007012507
Figure 2007012507
表2,3から分かるように、他のラクトンを添加した実施例2−1〜2−13においても、実施例1−2と同様に放電容量維持率が向上し、特に、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ジケテン、γ−クロトノラクトン、2−クマラノン、フタリド、α−ピロン、クマリン、3,4−ジヒドロクマリンを添加した場合に高い値が得られた。すなわち、他のラクトンを添加しても、サイクル特性を向上させることができ、特に、4員環のラクトン環を有する化合物、6員環のラクトン環を有する化合物、7員環のラクトン環を有する化合物、あるいは炭素原子間の多重結合を有する化合物を用いることが好ましいことが分かった。
また、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンまたは4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、ラクトンとを用いた実施例2−14〜2−28によれば、ラクトンを用いていない比較例2−1,2−2よりも高い容量維持率が得られた。更に、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンまたは4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いることにより、実施例1−2,2−1〜2−13よりもそれぞれ放電容量維持率が向上した。すなわち、電解液に更にハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
(実施例3−1,3−2)
電解液におけるε−カプロラクトンの含有量を2質量%または0.1質量%としたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例3−1,3−2の二次電池について、実施例1−2と同様にして50サイクル目の放電容量維持率を求めた。結果を実施例1−2および比較例1−4の結果と共に表4に示す。なお、充電は、1.77mAで4.5V上限として12時間行い、放電は1.77mAで3.0Vに達するまで行った。
Figure 2007012507
表4から分かるように、電解液におけるε−カプロラクトンの含有量を0.1質量%以上2質量%以下とした実施例1−2,3−1,3−2において、高い放電容量維持率が得られた。
すなわち、電解液におけるラクトンの含有量を0.1質量%以上2質量%以下の範囲内とするようにすれば、好ましいことが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例においては、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1A族元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの2A族元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、負極活物質などには、上記実施の形態で説明したような負極材料などを同様にして用いることができる。
また、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液あるいはゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを含むもの用いることができる。
更に、上記実施の形態および実施例においては、巻回構造を有する二次電池あるいはコイン型の二次電池について説明したが、本発明は、正極および負極を折り畳んだりあるいは複数積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、いわゆるボタン型あるいは角型などの二次電池についても適用することができる。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図3で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。 実施例において作製した二次電池の構成を表す断面図である。 実施例において作製した二次電池の電池電圧と、放電容量維持率との関係を表す特性図である。
符号の説明
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17,56…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33,51…正極、21A,33A,51A…正極集電体、21B,33B,51B…正極活物質層、22,34,52…負極、22A,34A,52A…負極集電体、22B,34B,52B…負極活物質層、23,35,53…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、54…外装缶、55…外装カップ。

Claims (5)

  1. 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
    一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、
    前記電解質は、ラクトンを含む電解液を含有する
    ことを特徴とする電池。
  2. 前記ラクトンは、4員環のラクトン環を有する化合物,6員環のラクトン環を有する化合物,7員環のラクトン環を有する化合物および炭素原子間の多重結合を有する化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 前記電解液における前記ラクトンの含有量は、0.1質量%以上2質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の電池。
  4. 前記電解液は、ハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  5. 一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上4.6V以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の電池。
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