JP2006515420A - 微粒子ベースの方法およびシステムならびにその用途 - Google Patents

微粒子ベースの方法およびシステムならびにその用途 Download PDF

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Abstract

微粒子ベースの分析方法、システムおよび用途を提供する。具体的には、粒子のアイデンティティと存在の一方または両方を測定し、場合により、1つもしくはそれ以上の特定の標的分析物の濃度を測定するための分析方法として、共鳴光散乱を利用することについて説明する。生物学的アッセイおよび化学的アッセイにおける、これらの微粒子ベースの方法の用途についても開示する。

Description

本発明は、広義には、粒子識別、分析物のアイデンティティおよび結合度の判定の各要素のうちの1つもしくはそれ以上を含んでなる、共鳴光散乱を利用して微粒子ベースの測定を行うための方法、システムおよび用途ならびに、生物学的および化学的な多重アッセイにおける上記方法の用途に関する。
小型化と多重化(多数の試料を同時に測定する機能)が進んだことで、生体分析化学の進歩がますます加速している。多くの場合は試料の大きさが限られているため、試料の量を減らしてそれまでより多くの分析物を測定しようとし、これが小型マイクロフルイディクスベースの試料操作系ならびにマイクロスケールの系における新規な分析方法を生むこととなった。一例として、既存のさまざまな生物学的測定法および化学的測定法、たとえば、DNAシーケンシング、タンパク質分析、単一ヌクレオチド多型(SNP)分析、高速・高解像度分離、ラボオンチップデバイスを利用したクロマトグラフィなどがあげられる。ここ10年ほどの間では、ゲノミクスやプロテオミクスの大規模な研究用や、ディスカバリー研究における高スループットでのスクリーニング向けの高度平行小型アッセイ系の開発に、ことさら重点がおかれている。一例として、2次元固定式の「バイオチップ」マイクロアレイがあげられ、ごく最近では、大きさがマイクロメートル台の識別可能な粒子があげられる。どちらの取り組みも、核酸間の塩基対ハイブリダイゼーションあるいは、水素結合、疎水性相互作用ならびにポリペプチド間の他の結合機序による、アレイまたは粒子表面の相補的プローブに対する分析物の特異的結合または捕捉に左右されるものである。
マイクロアレイとこれに伴うサポート技術は1990年代になって出てきたものであり、現在では確立された産業となっている。。たとえば、フォソグラフィ、固相化学、半導体製造手法を利用して二次元アレイ上に数十万のDNA配列プローブを構築する製造プロセスのひとつに、アフィメトリックス(Affymetrix)社のジーンチップ(GeneChip)(登録商標)技術がある。この技術については、たとえば、非特許文献1、非特許文献2、ゴールドバーグ(Goldberg),M.J.およびラヴァ(Rava),R.P.、「Method of manufacturing biological chips(特許文献1)(2001)、チー(Chee),M.ら、「Arrays of nucleic acid probes on biological chips」(特許文献2)(1998)に記載されている。また、ハイセック社(Hyseq, Inc.)、モレキュラーダイナミクス社(Molecular Dynamics, Inc.)、ナノジェン(Nanogen)、インサイトファーマシューティカルズ社(Incyte Pharmaceuticals, Inc.)ならびに従来技術において周知の他社によって、他のDNAマイクロアレイ技術も開発されている。
固定式アレイは、本願明細書では生物学的な系でのタンパク質の系統的研究として定義する、プロテオミクス用にも開発されている。たとえば、表面増強レーザ脱離/イオン化(SELDI)を利用したタンパク質のキャラクタリゼーションとクロマトグラフィを含むプロセスのひとつに、サイファージェンバイオシステムズ(Ciphergen Biosystems)社のプロテインチップ(ProteinChip)(登録商標)アレイ技術がある。これらの手法では、レーザによる分子量判定と化学的に活性なタンパク質チップアレイとを併用している。この技術については、たとえば、ハッチェンス(Hutchens),T.W.、「Use of retentate chromatography to generate difference maps」(特許文献3)(2001)、ハッチェンス(Hutchens),T.W.、「Methods and apparatus for desorption and ionization of analytes」(特許文献4)(1998)、(非特許文献3)に記載されている。また、アジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies, Inc.)、ザイオミックス社(Zyomyx, Inc.)、ケンブリッジアンティボディテクノロジー(Cambridge Antibody Technology)ならびに従来技術において周知の他社によって、多数の他のタンパク質アレイ技術も開発されている。
測定対象となる分析物のタイプとは関係なく、マイクロアレイは、アレイ内における定位置から各プローブのアイデンティティを求める機能に立脚している。一般に、それぞれのプローブは、基板またはチップの表面上のグリッドにおける既知の座標位置で合成またはスポットされる。これらの「バイオチップ」システムでは多数の分析を同時に行うことができるが、いくつかの欠点が知られている。たとえば、マイクロアレイには結合動態が不十分であるという固有の問題がある。一般的なバイオチップの場合、表面および立体空間(dimensions)での混合が甘いため、分析物を相補的プローブに結合させるには比較的大きな拡散距離をカバーする必要がある。このため、分析物が表面に達して表面上に拡散するのが遅く、結合反応が不完全であり、プロトコールに要する時間が実質的に長くなる。また、試料の適用とマイクロアレイ上での測定はもともとバッチプロセスであり、自動化にことさら良く適したものではない。マイクロアレイのタイプによっては、高価な上に実験またはアッセイでの必要性が生じた際にすみやかにカスタマイズするのが難しいことがある。マイクロアレイのばらつきが原因で再現性と精度が落ちることもあり、場合によっては測定に実質的な冗長性が必要になる。感度とダイナミックレンジについては、マイクロアレイデータの分析時に問題が生じる旨の報告が頻繁にある。また、固定式マイクロアレイでは、一般にリカバーやソート、ポストプロセスを行ったり、分析物上で以後の測定を行ったりすることができない。最後に、ほとんどのマイクロアレイ系では、分析物の結合を検出するのにフルオロフォアなどのレポーター基が必要である。利点もいくつか報告されてはいる(たとえば、カイェム(Kayyem),J.F.、「Cycling probe technology using electron transfer detection」(特許文献5)(2000)、非特許文献4を参照のこと)が、外部のレポーター基を使うには、未結合のレポーターからの干渉信号を排除するために、アレイを試料に曝露したらこれを洗浄する必要がある。よって、ほとんどのマイクロアレイ系で得られる測定値は端点測定値である。つまり、マイクロアレイでは分析物とプローブとの間の結合をリアルタイムに連続して測定することはできないのである。
微粒子を利用すると、主にマイクロアレイよりも結合動態の良い、十分に混合された少量の試料でアッセイを行えることから、2次元マイクロアレイの欠点の多くは解決される。試料が十分に混合されていると、固定式アレイの場合に見られるような場所に依存するばらつきがなくなる。さらに、小さな粒度と少ない試料量でプローブの局所的な濃度が増し、プローブに結合するまでに分析物が移動する拡散長が短くなるため、速度が増して結合反応の完了度も高くなる。微粒子の方が自動試料ハンドリングシステムで容易に操作できるため、二次元バイオチップフォーマットに比してカスタマイズや自動化がしやすい。
粒子ベースのアッセイのもうひとつ重要な利点に柔軟性がある。個々の粒子を追跡して操作できるため、原理上は粒子のサブセットで分析物を単離したり別の測定を行ったりすることができる。大きなマスターライブラリから目的に合った粒子のサブセットをすみやかに選択できることから、カスタムアッセイの作成が簡単になる。
しかしながら、結合検出の新機軸に対する要望は依然としてある。上述したように、固定式アレイ系での非標識結合の検出が報告されてはいるが、付随する問題は固定式アレイの場合と同じであるため、粒子ベースのアッセイに外部レポーター基を連続して使用することが依然として大きな欠点になっている。詳細については後述するように、本発明の主な目的は、粒子ベースのアッセイでレポーター基を使う必要性をなくし、プロトコールを単純化し、時間と費用を削減し、結合をリアルタイムで測定可能なようにすることにある。
一般的な粒子ベースのアッセイ系では、それぞれの微粒子の表面に一意なプローブの多くのコピーがある。微粒子は、用途によっては遊離懸濁液の状態で用いられることがあるため、このような場合は、固定式アレイで行っているような形でプローブのアイデンティティと定位置とを結びつけることができない。その代わりに、プローブのアイデンティティを粒子のアイデンティティと一意に結びつけなければならず、一意に決まる識別用の標識またはマーカーをそれぞれの粒子に持たせる必要がある。文献では、粒子の識別は一般に、着色した分子または蛍光分子、バーコード、あるいは他と区別できる蛍光信号を持つナノ粒子を取り込むことで行われている。よって、並列に実施できる粒子ベースのアッセイ数は、利用する具体的な標識を使って区別できる組み合わせの数(フルオロフォア数など)と場合によってはその相対的な豊富さに制限されてしまう。
蛍光ベースの粒子識別の一例に、ルミネックス社(Luminex Corporation)のフローメトリクス(FlowMetrix)(登録商標)系やラボラトリーマルチアナライトプロファイリング(Laboratory Multi−Analyte Profiling)(LabMAP(登録商標))技術がある。この系では、約100から1000までの分析物をフローサイトメトリーで連続して測定することができる。この技術では、2種類もしくはそれ以上の蛍光色素で内部的に標識されたミクロスフェアを利用している。これらのミクロスフェアはさらに、さまざまな組み合わせのフルオロフォアの強度でコードされる。また、このプロセスでは、コードされたミクロスフェアの表面での反応を定量化するために、3つ目の異なるフルオロフォアがレポーター分子に統合される。コードされたミクロスフェアと系の製造については、たとえば、チャンドラー(Chandler),V.S.ら、「Multiplexed analysis of clinical specimens apparatus and methods(特許文献6)(1999)に記載されている。多くのフルオロフォアは放出スペクトルが比較的広いため、このクラスの標識を用いて、一般に1000未満などそこそこの数のパターンを一意に区別することができる。
比較的狭い蛍光放出スペクトルでナノ粒子を用いること(たとえば、チャンドラー(Chandler),M.B.ら、「Microparticles attached to nanoparticles labeled with fluorescent dye」(特許文献7)(2001)、非特許文献5に記載されている)。電気化学的に積層させたコードなどの他の光学的マーカーで粒子をコードする(たとえば、非特許文献6および非特許文献7に記載されている)と、粒子ベースのアッセイが持つ操作上の利点を保ったままで、アッセイの多重性を改善することができる。
本発明では、物性と光学的特性が定義された粒子と光との相互作用に頼っている。具体的には、球形の粒子からの共鳴光散乱(本発明で用いる光と粒子との相互作用は、ミー理論で説明されているため、本願明細書では共鳴ミー散乱と同義に用いられる)を利用して、粒子のアイデンティティと粒子表面への標的種の結合度の一方または両方を求める。光と粒子の相互作用の理論は、非特許文献8、非特許文献9などの多くの参考文献に見られる。本発明が特に関連しているのは共鳴光散乱スペクトルにおける共鳴構造の処理であり、たとえば、非特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、および特許文献16に記載されている。散乱光から構造とプロパティ情報を導き出すための計算方法およびコンピュータアルゴリズムの開発について、たとえば、特許文献17、特許文献18、特許文献19、および特許文献20に記載がある。本発明の微粒子に特に関連があるのは、たとえば、特許文献21および特許文献22など、層になっている球の処理である。
実用上は、共鳴光散乱は粒度と屈折率の測定、大気中のエーロゾルや恒星間粒子の研究、他の測定などに利用されている。これについては、非特許文献11および非特許文献14の上記にて引用した2つの文献を参照のこと。また、非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26ならびに、これらの文献に引用されている参考文献も参照のこと。これらの参考文献では、散乱光スペクトルで共鳴の細かい特徴を正確に検出するにはスペクトル解像度の高い検出方法が必要であることが示されている。チレク(Chylek)ら(1983)などの最初の頃の報告では、一般的な実験でのピークの波長位置の測定時における相対誤差は10で約1部である。最近になって、たとえば非特許文献24では、ピーク判定の相対精度は2×10で約1部から2×10で1部である。
非特許文献27には、抗体被覆ミクロスフェアをその蛍光スペクトルにおける共鳴の特徴で測定した大きさに基づいて区別するための手法が説明されている。この文献に報告されている手法では、少数(報告されている例では2)の粒子部分集団を区別することができた。各部分集団には公称の平均直径があるが、2つの部分集団の平均直径には比較的大きな開きがあった(6.5マイクロメートルと10マイクロメートル)。要するに、粒径を識別用の標識として利用し、観察された共鳴パターンに理論的な計算値をフィットさせて直径を測定した。上記の文献に開示されているように、直径「標識」で区別できるのは、実質的に平均直径の異なる2つの部分集団だけであった。この取り組みを極めて似通った微粒子からなる大きくて異なる集団の識別に応用することについては、上記の開示には何ら教示されていない。さらに、本発明の方法およびシステムは、非特許文献27の開示内容に教示されている方法およびシステムとは実質的に異なるものである。この開示には、入射光の波長を一定にし、走査した蛍光スペクトルに光共鳴が生じる蛍光検出方法が教示されている。これとは対照的に、本発明の好ましい実施形態では蛍光には頼らず、走査した入射波長を利用し、非特許文献27らに開示されているものとは実質的に異なる手段によって散乱光スペクトルを検出する。
非特許文献28には、粒子の光共鳴のシフトに基づいて誘電性微粒子へのタンパク質の結合を検出することについて記載されている。共鳴は、浸食された(eroded)光ファイバへのエバネッセント結合によって励起され、ファイバを伝搬する光の強度が落ちることから検出されていた。この開示に記載のある検出方法は光散乱の測定を利用したものではない。さらに、光共鳴を粒子識別に利用できる可能性については、非特許文献28は教示していない。
上記ハイタワー(Hightower),R.L.およびリチャードソン(Richardson),C.Bは、理論モデリングを利用して、入射する線形偏光平面波に対する大きな層状の球の共振応答を計算した。これらの計算結果に基づいて、彼らは、不混和性流体、吸着層、コーティング、ベシクルの研究に、散乱光スペクトルのはっきりとした一意な特徴を利用できることを示唆している。しかしながら、共鳴光散乱スペクトルを微粒子の識別または生物学的および化学的アッセイの検出に利用することは、この開示には教示されていない。
非特許文献29には、光ファイバへのエバネッセント結合を利用して励起される固体ミクロスフェアの共鳴光散乱の測定について記載されている。この開示の著者らは、これらの光散乱共鳴の測定を利用して、ミクロスフェア表面に結合した種と周囲の溶液に含まれる試薬との間の極めて感受性の高い吸着および反応の測定ができるとしている。しかしながら、このような測定をどうやって行うことができるかについては、同開示には教示されていない。さらに、光共鳴を粒子識別に利用できる可能性についても、非特許文献29は教示していない。
アーノルド(Arnold)らの特許文献8には、センサのミクロスフェア内で軌道を描いて移動するフォトンの共鳴シフトに基づいて、物質を検出するための方法およびシステムが記載されている。ファイバへのエバネッセント結合によってミクロスフェアが励起されるような形で、ミクロスフェアを少なくとも1つの光ファイバに結合する。光ファイバを伝搬する光の強度が落ち込ることから共鳴を検出する。この開示に記載のある検出方法は光散乱の測定を利用したものではない。この開示には、複数のミクロスフェアを利用して多数の分析物を検出できることも教示されている。しかしながら、ここに開示の方法では、ミクロスフェアは光ファイバに付着した定位置で維持される。粒子ならびに、結果として付着しているプローブを追跡する上での粒子識別の信号として光共鳴を利用できる可能性については、アーノルド(Arnold)らは教示もしていなければ示唆もしていない。
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文献での報告内容とは対照的に、本発明における微粒子識別の基本は共鳴光の散乱パターンに固有の極めて豊富な情報内容を効率的に利用することにある。詳細については本願明細書にて後述するが、共鳴光の散乱パターンは、ピーク位置、ピーク幅、ピーク次数、次数の異なるピーク間の間隔、偏光依存性スペクトルの特性を含むがこれに限定されるものではない、異なる変数の集合が特徴になる場合がある。散乱パターンに影響するメインパラメータすなわち、構造、組成、粒子寸法のうちの1つもしくはそれ以上を粒子ごとに変えることで、同様の微粒子で構成される大きな集合のメンバから区別可能な共鳴光の散乱パターンを実現できる。よって、本発明によれば、同様の微粒子で構成される大きな集団のメンバから極めて豊富かつ異なる集合の散乱パターンが生成され、これが個々の微粒子を区別して識別するための手段となる。
既存の標識手法の主な欠点として、多様性に限りがあるすなわち、識別用の一意な特徴の組み合わせ数に限りがあること、コードされた粒子の用意が難しいこと、デコードの速度および精度、さらに場合によってはコストがあげられる。したがって、そこそこの数から多数までの分析物について結合動態の粒子ベースの測定を同時並列処理するための方法が必要とされている。具体的には、(1)外部のレポーター部分を必要とせずに結合を測定する機能、(2)標的分析物の結合をリアルタイムで定量的に求める機能、(3)場合により、結合信号を増幅する機能、(4)個々の微粒子を識別し、場合により追跡する機能という属性のうちの1つもしくはそれ以上を呈する方法が必要である。その各々で、現状と比して明らかに改善がなされ、全体を総合すれば、既存のアッセイの速度と精度の改善、コストの削減だけでなく、かつては不可能であった新たな応用が可能になる。
本発明は、高い多様性が可能である上に性能の点で現状よりも優れ、高信頼度かつ容易に製造可能な、コスト効率のよい粒子識別・結合検出方法を提供することで、上記の問題を解決するものである。本発明では、散乱スペクトルの決まった特徴を一意な識別パターンまたは光信号として利用して、高解像度の光散乱を新規な応用の仕方で用いて微粒子を識別する。具体的には、本発明では、粒子のアイデンティティの判定と存在の判定の両方に、また場合により粒子の表面への結合度の判定用の分析方法として、共鳴ミー散乱としても知られる共鳴光散乱を利用する。これらの方法については、最先端の技術よりも実質的に改善されたアッセイを提供する目的で、それぞれを併用してもよいし単独で使用してもよい。
本発明は、粒子を識別する一意な光散乱共鳴パターンと、結合前後のこれらのパターンの差とに基づいて、粒子に結合された分析物を識別する方法を提供するものである。よって、本発明は、
(a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
(b)少なくとも2つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
(c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
(d)第1の分析波長範囲で(c)の粒子各々を1回もしくはそれ以上走査して、各粒子を一意に識別する第1の基準共鳴光散乱信号を、(c)の粒子各々について少なくとも1つ生成し、
(e)少なくとも1つの捕捉プローブと識別された(d)の粒子各々とを相関させ、
(f)(e)の粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、ここで、前記試料中に分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、
(g)第2の分析波長範囲で(f)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(f)の粒子各々について第2の結合共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、ここで、
1)少なくとも1つの第1の基準共鳴光散乱信号と少なくとも1つの第2の結合共鳴光散乱信号とは、同一であっても異なっていてもよく、
2)少なくとも第1の分析波長範囲と第2の分析波長範囲とは、同一であっても異なっていてもよく、
(h)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブに対する少なくとも1種の分析物の結合を検出し、そして
(i)ステップ(e)で得た相関と少なくとも1つの第2の結合共鳴光散乱信号とに基づいて、1種もしくはそれ以上の結合された分析物を識別する
ことを含んでなる、分析物を識別するための方法を提供するものである。
別の実施形態において、本発明は、
(a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
(b)少なくとも2つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
(c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
(d)各々が定義されたローカスを有する(c)の粒子を定義済みの空間配列に付加し、
(e)場合により、分析波長範囲で(d)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(d)の粒子各々について第1の基準共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
(f)(e)の粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、ここで、分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、
(g)分析波長範囲で(f)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(f)の粒子各々について第2の結合共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
(h)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブに対する少なくとも1種の分析物の結合を検出し、そして
(i)付加された粒子ローカスに基づいて、1種もしくはそれ以上の結合された分析物を識別する
ことを含んでなる、分析物を識別するための方法を提供するものである。
同様に、本発明は、
(a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
(b)少なくとも2つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
(c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
(d)分析波長範囲で(c)の粒子各々を1回もしくはそれ以上走査して、各粒子を一意に識別する第1の基準共鳴光散乱信号を、(c)の粒子各々について少なくとも1つ生成し、
(e)少なくとも1つの捕捉プローブと識別された(d)の粒子各々とを相関させ、
(f)(e)の粒子と、検出可能な標識を含んでなる分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料と、を接触させ、ここで、分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、そして
(g)ステップ(e)の相関と分析物の検出可能な標識とに基づいて、1種もしくはそれ以上の分析物を識別する
ことを含んでなる、分析物を識別するための方法を提供するものである。
他の実施形態において、本発明は、
(a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
(b)少なくとも1つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
(c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
(d)場合により、分析波長範囲で(c)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(c)の粒子各々について第1の基準共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
(e)(d)の粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、ここで、分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、
(f)分析波長範囲で(e)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(e)の粒子各々について第2の結合共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、そして
(g)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブに対する少なくとも1種の分析物の結合を検出する
ことを含んでなる、捕捉プローブに対する分析物の結合を検出するための方法を提供するものである。
別の実施形態において、本発明は、
(a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
(b)1)粒子に付加される少なくとも1つの捕捉プローブと、
2)少なくとも1つの捕捉プローブに結合された少なくとも1種の分析物と、を含んでなる、実質的に球形の識別可能な粒子を少なくとも1つ準備し、
(c)分析波長範囲で(b)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、前記粒子について第1の基準共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
(d)ステップ(c)の粒子の少なくとも1つの捕捉プローブから少なくとも1種の分析物を解離させ、
(e)分析波長範囲で(d)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、粒子各々について第2の解離共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、そして
(f)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブからの少なくとも1種の分析物の解離を検出する
ことを含んでなる、捕捉プローブからの分析物の解離を検出するための方法を提供するものである。
さらに、本発明は、
(a)実質的に球形の芯と、
(b)粒子の外面に付加される捕捉プローブと、を含んでなり、
1)約275ナノメートルから約1900ナノメートルの光学波長範囲で約1から約20ナノメートルの分析波長範囲での走査時における一意な共鳴光散乱信号を特徴とし、
2)直径約100マイクロメートル以下であり、
3)分析波長範囲で屈折率約1.6から約2.1の間であり、そして
4)分析波長範囲で実質的に非蛍光発光性である、識別可能な粒子を提供するものである。
特定の実施形態において、本発明は、
(a)実質的に球形の芯と、
(b)粒子の外面に付加される捕捉プローブと、を含んでなり、
1)約275ナノメートルから約1900ナノメートルの光学波長範囲で約1から約20ナノメートルの分析波長範囲での走査時における一意な共鳴光散乱信号を特徴とし、
2)直径約100マイクロメートル以下であり、
3)分析波長範囲で屈折率約1.6から約2.1の間であり、そして
4)分析波長範囲で実質的に非蛍光発光性である粒子であって、
i)厚さが約50ナノメートルから約20マイクロメートルの間である光学的に活性な層1つもしくはそれ以上と、
ii)厚さが約1ナノメートルから10マイクロメートルの生物学的に活性または化学的に活性な実質的に透明な外側の層1つもしくはそれ以上と、を含んでなり、前記層が(i)の層と重なる、粒子を提供するものである。
また、本発明は、
(a)溶液中に少なくとも1つの実質的に球形の識別可能な粒子を含んでなるシステムであって、これらの粒子は各々、
(a)粒子の外面に付加される捕捉プローブを含んでなり、
1)粒子は、約275から約1900ナノメートルの光学波長範囲で約1から約20ナノメートルにわたるウィンドウのある分析波長範囲での走査時における一意な共鳴光散乱信号を特徴とし、
2)粒子の直径は約75マイクロメートル以下であり、
3)粒子の屈折率は分析波長範囲で約1.45および約2.1であり、
前記システムはまた、
(b)分析波長範囲で粒子を走査するための走査光源と、
(c)散乱光を検出するのに適した位置と適した環境に粒子を提示するための光学セルと、
(d)粒子を光学セルに配置するための粒子ハンドリング手段と、
(e)走査された粒子からの光を検出して前記光を電気信号に変換するための検出手段と、を含んでなる、微粒子ベースの測定システムを提供するものである。
配列の説明
本件出願の一部をなす以下の詳細な説明、図面、添付の配列の説明から、本発明についてなお一層完全に理解することができる。
以下の配列は米国特許施行規則第1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の開示を含む特許出願の要件−配列規則」)に準拠し、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)、EPOおよびPCTの配列表要件(施行規則5.2および49.5(a−bis)ならびに実施細則第208号および附属書C)に従ったものである。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データに用いる記号および形式は米国特許施行規則第1.822に記載の規則に準拠している。
配列番号1は、実施例9で説明する合成手足口病標的のヌクレオチド配列である。
配列番号2は、実施例9で説明するJBPオリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列である。
配列番号3は、実施例9で説明する修飾JBP S2SP3Bオリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列である。
配列番号4は、実施例9で説明するN−JBCオリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列である。
配列番号5は、実施例9で説明するフルオレセイン標識オリゴヌクレオチド標的JBC−Fのヌクレオチド配列である。
配列番号6は、実施例9で説明するフルオレセイン標識オリゴヌクレオチド標的対照Lac2−Fのヌクレオチド配列である。
配列番号7は、実施例9および11で説明するフルオレセイン標識オリゴヌクレオチド標的JBP−Fのヌクレオチド配列である。
配列番号8は、実施例10で説明する手足口病PCR断片JBのヌクレオチド配列である。
配列番号9は、実施例10で説明するLac2−511 PCR非特異的標的断片のヌクレオチド配列である。
配列番号10〜13は、実施例10で説明するようなPCR標的断片の増幅に用いるオリゴヌクレオチドプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号14は、実施例11で説明するペプチド核酸プローブJBP2Cのヌクレオチド配列である。
配列番号15は、実施例11で説明する修飾ペプチド核酸プローブJBP2BCのヌクレオチド配列である。
配列番号16は、実施例12で説明するJB PCR産物の相補体のヌクレオチド配列である。
配列番号17は、実施例13で説明するフルオレセイン標識オリゴヌクレオチドプローブJBP−S2SP3Fのヌクレオチド配列である。
本発明は、高い多様性で並列分析が可能であり、性能の点で現行の方法よりも優れている、特定の分析物の検出および粒子識別を行うための高信頼度かつ容易に製造可能な、コスト効率のよい方法を提供するものである。本発明では、散乱スペクトルの決まった特徴を一意な識別パターンまたは光信号として利用して、高解像度の光散乱を新規な応用の仕方で用いて微粒子を識別する。具体的には、本発明では、粒子のアイデンティティの判定と存在の判定の両方に、また場合により粒子の表面への結合度の判定用の分析方法として、共鳴光散乱を利用する。本発明によれば、分析物が特定の微粒子に結合すると、対象となる分析物と微粒子を識別できる機能が保たれたまま、結合度の判定ができるような形でその微粒子の光学的特性が変化する。
本発明は、(1)粒子の構造、物性、機能性、(2)外部のレポーター部分を必要とせずに結合を測定する機能、(3)粒子を識別する手段、(4)標的分析物の結合をリアルタイムで定量的に求める機能、(5)場合により、結合信号を増幅する機能の点で特徴的なシステムを提供することで、従来技術の先を行くものである。
本願明細書では以下の定義を使用し、特許請求の範囲および明細書を解釈するにあたって参照すべきものとする。
本願開示で使用する場合、単数形「a」、「an」、「the」は、特に明記しない限り複数の物も示すことがある。よって、たとえば、「粒子(a particle)」の製造、誘導体化または処理方法というときは、1個もしくはそれ以上の混合物も含み得る。さらに、「ビーズ」、「粒子」、「微粒子」および「ミクロスフェア」など、文法的に何かと等価な表現が使われている場合についても、それぞれの文脈で特に明記しない限り、これらの用語同士の違いを示すことを想定しているわけではない。
「粒子」、「微粒子」、「ビーズ」、「ミクロスフェア」ならびに、文法的にこれらと等価な表現は、好ましくは実質的に球形で、直径が約100マイクロメートル未満、好ましくは約75マイクロメートル未満、一層好ましくは約50マイクロメートル未満である、互いに分離された小さな粒子を示す。
「識別可能な微粒子」という用語は、識別でき、場合により追跡できる微粒子を示す。
「スペクトルの特徴」、「光共鳴構造」、「識別の特徴」、「散乱共鳴」、「共鳴光散乱信号」という用語は、ピーク位置、ピーク幅、ピーク次数、次数の異なるピーク間の間隔,および偏光依存性スペクトルの特性を含むがこれに限定されるものではない、粒子の識別に利用できる共鳴光散乱スペクトルの特徴を示すものとして、本願明細書では同義に用いられる。
「タンパク質」、「ペプチド」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」という用語は、2つもしくはそれ以上の共有結合された、自然界に存在するか合成製造されるアミノ酸を示すものとして、本願明細書では同義に用いられる。
「分析物」という用語は、本発明の方法による検出またはアッセイ対象となる物質を示す。一般的な分析物としては、タンパク質、ペプチド、核酸、ペプチド核酸、抗体、受容体、分子、生物細胞、微生物、細胞小器官、細胞膜断片、バクテリオファージ、バクテリオファージ断片、全ウイルス、ウイルス断片、結合対の一メンバがあげられるが、これに限定されるものではない。
「標的」および「標的分析物」という用語は、アッセイの標的となる分析物を示すことになる。標的の基原は一般に、生物、ウイルスや細菌などの病原体から、あるいは、たとえば、皮膚、血漿、血清、髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、血球、臓器、腫瘍、さらにはインビトロでの細胞培養成分の試料(細胞培地での細胞の増殖によって得られる条件培地、組換え細胞、細胞成分を含むがこれに限定されるものではない)を含むがこれに限定されるものではない個体から単離される。また、標的は合成基原由来のものであってもよい。
「結合対」という用語には、抗原/抗体、抗原/抗体断片またはハプテン/抗ハプテン系などの免疫タイプの結合対のクラスのいずれをも含み、また、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸塩結合タンパク質、ホルモン/ホルモン受容体、レクチン/特定の炭水化物、酵素/酵素、酵素/基質、酵素/阻害剤またはビタミンB12/内因子などの非免疫タイプの結合対のクラスのいずれをも含む。また、相補的核酸断片(DNA配列、RNA配列、ペプチド核酸配列を含む)ならびにプロテインA/抗体またはプロテインG/抗体、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド結合タンパク質もあげられる。結合対には、マレイミドおよびハロアセチル誘導体をはじめとするスルフヒドリル反応性基、イソチオシアナート、スクシンイミジルエステル、カルボジイミド、ハロゲン化スルホニルなどのアミン反応性基など、共有結合を形成するメンバが含まれることもある。
「捕捉プローブ」、「プローブ」、「結合因子」、「生物活性因子」、「結合配位子」という用語または文法的にこれらと等価な表現は、試料中の複数の分析物に対して非特異的に結合または特定の分析物または分析物群に対して優先的に結合させるのに使用できる、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗体または抗体断片、生物細胞、微生物、細胞小器官、細胞膜断片、バクテリオファージ、バクテリオファージ断片、全ウイルス、ウイルス断片、有機配位子、有機金属配位子など、あらゆる化学的または生物学的構造または部分を示す。
「プローブ結合微粒子」という用語は、捕捉プローブが表面に付着した微粒子を示す。
「配位子」または「反応配位子」という用語は、抗体、レクチン、受容体、結合タンパク質、核酸または化学物質を含むがこれに限定されるものではない、結合対の一メンバとして作用できる化学的部分または「標識」を示す。
「標識」という用語は、核酸、タンパク質または結合対のメンバに付着できる原子または分子を示す。標識については、化学的に反応性の基を介して結合対または核酸に結合させられる。また、標識を化学合成時にオリゴヌクレオチドに付着させてもよいし、標識したヌクレオチドに核酸複製時に取り込むようにしてもよい。標識としては、蛍光部分、化学発光部分、粒子、酵素、放射活性タグ、量子ドット、発光部分、吸光部分、ヨウ化プロピジウム(PI)および臭化エチジウム(EB)を含むインターカレート色素、シアニン色素(たとえば、米国特許第5,563,037号明細書を参照のこと)があげられるであろうが、これに限定されるものではない。
「レポーター」という用語は、検出可能な(好ましくは定量化可能な)シグナルを提供するための「標識」として用いられ、核酸、タンパク質または結合対のメンバに付着できる原子または分子を示す。レポーターは、蛍光、化学発光、放射活性、比色分析、X線回折または吸収、磁気、酵素活性などによって検出可能なシグナルを提供できる。
「レポーターコンジュゲート」という用語は、分析物に結合可能な抗体、レクチン、受容体または結合タンパク質または他の部分などの結合対の一メンバに結合された「レポーター−標識」を含んでなるコンジュゲートを示す。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含む)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、プリンまたはピリミジン塩基または修飾プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドからなるリボ糖リン酸骨格である、あらゆるポリヌクレオチドを示す。「核酸」、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」の長さに意図した区別はない。
「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、核酸(DNAおよびRNA)の糖リン酸骨格ではなく偽ペプチド骨格を有するDNAの類縁体を示す。PNAはDNAの挙動を模倣し、相補的核酸鎖と結合する。
「オリゴマー」という用語は、2つもしくはそれ以上のモノマーで構成されるプローブまたは標的を示し、本願明細書では、本発明との関連で利用される核酸、ペプチド、ペプチド核酸またはポリマーの構造を説明するのに用いられる。この用語の好ましい使い方は、核酸のリボ糖リン酸骨格を模倣する偽ペプチド骨格上に「核酸塩基」部分の配列を含む、「オリゴヌクレオチド」に似ているペプチド核酸(PNA)の構造に関連した使い方にある。
「核酸塩基」という用語は、DNA、RNAまたはPNAのプリンまたはピリミジン部分を示す。
「プライマー」という用語は一般に、核酸の「複製」プロセスまたは「増幅」プロセスを開始するよう機能する配列結合オリゴヌクレオチドを意味するものとして用いられる。
「複製」という用語は、核酸分子の核酸鎖の相補鎖がポリメラーゼ酵素によって合成されるプロセスを示す。「プライマーによる」複製では、このプロセスには複製を開始するのに二重「プライマー」の末端ヌクレオチドの(デオキシ)リボース部分の3’位に水酸基(OH)が必要である。
「増幅」という用語は、核酸配列のコピー数が線形または対数的に増えるようにして、周期的なプロセスで「複製」が繰り返されるプロセスを示す。このような複製プロセスとしては、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)または他の同様の酵素反応があげられるが、これに限定されるものではない。
「プライマーによる核酸増幅」または「プライマーによる増幅」という表現は、プライマーを利用して、核酸分子の線形または対数的な増幅における核酸配列の複製を助ける、従来技術において周知の方法を示す。本願出願人らは、プライマーによる増幅については、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)または鎖置換増幅(SDA)を含むがこれに限定されるものではない、従来技術において周知のいくつかのスキームのうちいずれかを用いて行い得るものと考えている。
「相補鎖」という用語は、逆平行な会合で配列の5’末端が他の配列の3’末端と対になるような形で標的核酸の1本の鎖の核酸配列とアライメントされたときに、安定した二本鎖が形成される核酸配列鎖またはペプチド核酸配列鎖を示す。相補性は必ずしも完全でなくてもよい。ミスマッチしたヌクレオチドで安定した二本鎖を形成することができる。
「断片」は、特定領域のDNA配列またはRNA配列の画分をなす。「該当する核酸断片」とは、標的核酸配列に取り込まれるか、標的核酸配列の一部であり、診断要素として有用な断片を示す。
「特異的結合」または「特異的分析物結合」という用語は、結合対のメンバである分析物に対する結合対試薬の親和性を示す。
「非特異的結合」という用語は、試料マトリクス成分に対するプローブ−微粒子の非特異的親和性を示す。本発明に関しては、標的分析物が存在する場合に試料マトリクス成分に対してプローブ−微粒子が非特異的親和性を示すことで生じる共鳴シフトとして、「非特異的結合」を求めることができる。
「試料マトリクス成分」という用語は、標的分析物以外の試料マトリクスの成分を示す。試料マトリクス成分としては、タンパク質、脂質、塩、核酸、炭水化物があげられるがこれに限定されるものではなく、一般に分析物を含有する生物試料の天然成分である。
「ストリンジェンシー」という用語は、核酸二本鎖の安定性または形成に影響するパラメータの厳密な制御を示す。これには、温度(Tm)、カチオン濃度([Na]、[K]、[Mg2+]、[Mn2+])、二本鎖の組成およびヌクレオチド数あるいは、ホルムアミドなどの二本鎖不安定化剤の濃度があり得る。
「分析物の識別」という表現は、アイデンティティが分かっている捕捉プローブへの結合に基づいて分析物のアイデンティティを求めるためのプロセスを示す。
「分析波長範囲」という用語は、本発明の微粒子を走査して共鳴光散乱信号を生成する波長ウィンドウを示す。このウィンドウは一般に、光学波長約275から約1900ナノメートル、好ましくは約600から約1650ナノメートルの場合で、約1から約20ナノメートルにおよぶ。一層好ましくは、分析波長範囲は、約770から約780ナノメートルで10ナノメートルのウィンドウである。分析物または分析物の結合を識別するプロセスでは、本発明の粒子を何回でも走査することができるが、走査は毎回(アッセイの具体的な対象によって実際の範囲は走査ごとに違ってくる場合があると考えられるが)「分析波長範囲」で行われる。
「走査光源」という用語は、分析波長範囲で波長を変えることのできる光源を示す。走査光源には、走査用ダイオードレーザおよびチューナブル色素レーザ、発光ダイオードなどの一定範囲の波長の光を出力する多色光源、波長選択手段との併用でのランプなど、分析波長範囲で可変の光を出力する光源が含まれる。
「基準共鳴光散乱信号」という用語は、捕捉プローブを粒子に被着した後あるいは、捕捉プローブからの分析物の解離を検出する場合は分析物を捕捉プローブに結合させた後に、本発明の粒子を分析波長範囲で走査して生成される共鳴光散乱信号を示す。基準共鳴光散乱信号を利用すれば、粒子とこれに付着したプローブを識別することができ、また、この信号を分析物結合検出の基線として用いることができる。タイミングを変えて粒子を走査すると、多数の基準共鳴信号を得られる。
「結合共鳴光散乱信号」という用語は、粒子を分析物と接触させた後に、本発明の粒子を分析波長範囲で走査して生成される共鳴光散乱信号を示す。結合をリアルタイムでフォローする一連の結合共鳴光散乱信号が得られる。結合の判定については、結合共鳴光散乱信号のうちのいずれかを基準共鳴光散乱信号のうちのいずれかと比較するか、複数の結合共鳴光散乱信号のうちのいずれかを同じシリーズの前の結合共鳴光散乱信号と比較することによって行われる。
「識別用共鳴光散乱信号」という用語は、捕捉プローブを粒子に被着する前に本発明の粒子を分析波長範囲で走査して生成される共鳴光散乱信号を示す。識別用共鳴光散乱信号を利用すると、既知の捕捉プローブを付着させ、そのアイデンティティを識別された粒子と相関させることができるように、粒子を識別することができる。
「解離共鳴光散乱信号」という用語は、分析物を捕捉プローブから解離させた後に、本発明の粒子を分析波長範囲で走査して生成される共鳴光散乱信号を示す。解離をリアルタイムでフォローする一連の解離共鳴光散乱信号が得られる。解離の判定については、解離共鳴光散乱信号のうちのいずれかを基準共鳴光散乱信号のうちのいずれかと比較するか、解離共鳴光散乱信号のうちのいずれかを同じシリーズの前の第2の解離共鳴光散乱信号と比較することによって行われる。
「光学的に活性である」という表現は、粒子の層についていう場合、その層が粒子に関する光散乱共鳴がその層によって新しく生成されるか、あるいはその層によって光散乱共鳴に変化が生じることを意味する。
「生物学的に活性である」という表現は、粒子の層についていう場合、生物学的部分間での相互作用にその層が関与できることを意味する。
「化学的に活性である」という表現は、粒子の層についていう場合、化学的部分間の結合相互作用を含むがこれに限定されるものではない化学的部分間での相互作用にその層が関与できることを意味する。このような層は、捕捉プローブに付着するために特定のリンカー化学を持つことになるか、およびまたは粒子表面での捕捉プローブの直接合成用に誘導体化できると考えられる。
本発明は、微粒子ベースの分析方法、システム、用途を提供するものである。本発明の主な目的は、1種もしくはそれ以上の特定の標的分析物(たとえば、特定のヌクレオチド配列あるいは、抗体または抗原などの特定のタンパク質)の存在、場合によりその濃度を検出し、外部のレポーター基または標識を利用することなく測定を行うための改善された方法を提供することにある。具体的には、本願発明者らは、結合の検出、粒子識別、アッセイの多様性、粒子の調製、本発明の最終用途に関する従来技術の改良について説明する。
本発明の基本要素のひとつは、生物学的アッセイまたは化学的アッセイに必要な測定に合わせて最適化した特定の物性と化学的特性を持つ微粒子を調製し、これを使用することにある。たとえば、該当する分析物に対する特異的捕捉プローブとして機能する化学官能基を微粒子群のメンバの外面に被着することができる。「捕捉プローブ」、「結合因子」、「生物活性因子」、「結合配位子」または文法的にこれらと等価な表現は、試料中で複数の分析物に対して非特異的に、あるいは特定の分析物または分析物群に対して優先的に結合させるのに利用できるタンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗体または抗体断片、有機配位子、有機金属配位子などの化学構造または部分を意味する。本発明の一般的な用途では、1つもしくはそれ以上で表面に相補的捕捉プローブが露出した微粒子の集合を適宜構築し、これに該当する分析物を曝露する。分析物の結合が起こり、詳細については本願開示の後半で説明する感受性の高い新規な方法で、これを検出する。
本発明によって提供される、従来技術の大きな進歩のひとつに、共鳴光散乱を新規な形で応用して、標的の結合を測定し、かつ粒子のアイデンティティを判定するための方法がある。この統合された測定のやり方では、共鳴光散乱を粒子のアイデンティティの測定と結合の測定の両方に利用するが、これは本発明に独特なものである。しかしながら、本発明の実用性は、共鳴光散乱によるアイデンティフィケーションの判定と結合判定の組み合わせに限られるものではない。本発明は、さまざまな用途、たとえば、共鳴光散乱による粒子識別の利用のみ、共鳴光散乱による粒子識別と他の手段による結合検出との併用、他の手段による粒子識別と共鳴光散乱による結合検出との併用などを可能にするものである。
これらの新規な要素を組み合わせた本発明の一実施形態では、それぞれの粒子に、その一意な共鳴光散乱スペクトルに基づいて識別コードまたは標識を割り当てる。微粒子の調製時、各微粒子のアイデンティティとその微粒子に対する特異的捕捉プローブの結合との相関を持たせる。この相関によって、混合試料中の1種もしくはそれ以上の分析物の存在を識別することができる。特定の標的部分のその相補的プローブへの結合については、あらかじめ識別された、表面に相補的プローブのあることが分かっている粒子または複数の粒子の共鳴光散乱スペクトルの変化を利用して測定する。
本発明の別の実施形態では、結合の検出と粒子のアイデンティティの判定を独立して行うことができる。たとえば、既知の捕捉プローブで微粒子を誘導体化し、実験中に変化しない特定の定位置におくことができる。特定の粒子のアイデンティティ、よって、その表面に露出しているプローブは、その位置から求められる。詳細については本願開示にて後述する共鳴光散乱手法を利用して、結合を測定することができる。
さらに別の実施形態では、粒子のアイデンティティの判定や追跡を行わないコンビナトリアルな方法で微粒子を誘導体化できる。この場合、共鳴光散乱を利用してスクリーニング法でアッセイの「ヒット」を見つけだし、たとえば質量分析法、蛍光、吸光度、放射活性、表面プラズモン共鳴、あるいは、蛍光部分、化学発光部分、粒子、酵素、放射活性タグ、量子ドット、発光部分、吸光部分、インターカレート色素、結合対のメンバなどの検出可能な標識を利用する従来技術において周知の他の方法で、プローブのアイデンティティを独立して判定することが可能である。この方法のバリエーションとして、詳細については後述する共鳴光散乱または従来技術において周知の他の方法のいずれかによって、コンビナトリアルプロセスの最初から最後まで粒子のアイデンティティを追跡することがあげられる。
本発明のさらに別の実施形態では、共鳴光散乱法によって微粒子を識別および/または追跡し、蛍光部分、化学発光部分、粒子、酵素、放射活性タグ、量子ドット、発光部分、吸光部分、インターカレート色素、結合対のメンバなどの検出可能な標識を利用して、結合を測定することができる。
粒子構造、特性、製造
「粒子」、「微粒子」、「ビーズ」、「ミクロスフェア」ならびに、文法的にこれらと等価な表現は、本願明細書において、互いに分離された小さな粒子を意味する。好ましくは、この粒子は実質的に球形である。「実質的に球形である」という表現は、本願明細書で使用する場合、粒子の形状が約10%を超えて完全な球から外れないことを意味する。一般に、粒子を走査すなわち、光学波長範囲内の分析波長範囲でさまざまな波長の光を粒子に照射して、共鳴光の散乱パターンの測定を行い、粒子の識別に利用する識別用共鳴光散乱信号を得る。続いて、下記の捕捉プローブと粒子ライブラリのセクションで説明するように、周知のさまざまなプローブを粒子に被着し、プローブのアイデンティティを粒子の識別用共鳴光散乱信号と相関させることができる。原理的には、本発明の測定にはどのような光学波長範囲でも適用できる。好ましくは、光学波長範囲が約275から約1900ナノメートル、一層好ましくは約600から約1650ナノメートルである。好ましくは、分析波長範囲が約1ナノメートルから約20ナノメートルの間、一層好ましくは約10ナノメートル幅である。一層好ましくは、分析波長範囲が約770から約780ナノメートルで10ナノメートルの幅である。
好ましい一実施形態において、粒子は分析波長範囲で実質的に非蛍光発光性である。「実質的に非蛍光発光性」であるという表現は、本願明細書において使用する場合、粒子の平均蛍光シグナルが、分析波長範囲で平均弾性散乱光シグナルすなわち、入射光と同一波長の散乱光の約10%未満であることを意味する。
これらの粒子は一般に、実質的に球形の芯と場合により1つもしくはそれ以上の層とで構成される。詳細については後述するように、芯の大きさと組成は用途によって変わり得る。芯だけでなく、粒子には該当する用途に適した機能性を持たせるための層が1つもしくはそれ以上あってもよい。層が含まれる場合、その厚さと屈折率は、具体的な用途での需要と必要な測定値を得るために用いる光の波長とによって変わり得る。たとえば、別の散乱光共鳴の特徴を生み出したり、特徴の相対的な波長位置を変えたりといった有用な光学的特性を、層によって持たせることができる。光学的特性に合わせて用いられる、これらの層を、本願明細書では「光学的に活性な」層と呼び、一般にその厚さの範囲は、全体の所望の粒径によって約0.05マイクロメートル(50ナノメートル)から約20マイクロメートルであるかそれを上回る。
また、本願明細書では化学的に活性な層または生物学的に活性な層と呼ぶ層によって、化学的または生物学的な機能を持たせることもでき、これらの機能を得るには、単一の層または複数の層の厚さは一般に約0.001マイクロメートル(1ナノメートル)から約10マイクロメートルであるかそれを上回る(所望の粒径に依存)範囲にすることができる。これらの層は一般に、粒子の外面に形成される。また、これらの層には、生物学的に活性な多孔性構造も含み得る。ここに開示の例では、粒度は、可視光から近赤外線の範囲の光の波長を用いる一般的な生体分析アッセイに適しているが、これらの例の条件は本発明を限定することを意味するものではない。入射波長約775ナノメートルで、粒径は好ましくは約100マイクロメートル以下である。
芯と層の組成ならびに、結果として屈折率も可変である。好ましい実施形態では、組成は、いわゆる「火面」の外にあたる粒子の領域(たとえば、ロール(Roll),G.およびシュヴァイガー(Schweiger),G.、「Geometrical optics model of Mie resonances、J. Opt. Soc. Am. A 17、1301〜1311(2000)を参照のこと)が、該当する波長で光に対して実質的に透過性となるような組成である。本願明細書において使用する場合、「実質的に透過性」とは、構造的共鳴が生じる粒子の領域内での光の吸収が十分に小さく、分析波長範囲で粒子に光を照射したときに、共鳴が観察されたまま残ることを意味する。理論的な計算では、粒子または光学的に活性な層の屈折率の虚成分(「k」で示す)が分析波長範囲で約0.1以下であるときに、粒子内での光の吸収が共鳴を観察できる程度に小さくなるとみられる。770から780ナノメートルの分析波長範囲でk値が0.1以下だということは、吸収係数約1.6μm−1以下に相当する。
さらに好ましい実施形態では、該当する波長での透明度に加えて、粒子の屈折率は、粒子が実質的に水性媒質中にあるときに、該当する波長で共鳴光散乱(詳細については後述する)が明らかになるような屈折率である。好ましくは、結合部分の付着などの意図した用途に必要あるいは、化学的または物理的な分解を有意に引き起こすことなくバイオアッセイ反応を得るのに必要な条件に耐えられる程度に、粒子をでこぼこにしておく。また、光学的な理由から、芯は実質的に剛性で、粒子の取り扱い時とアッセイ条件で形状が維持されるものであると好ましい。
芯に適した材料としては、(該当する波長で)実質的に透明なプラスチックおよび他のポリマー、セラミック、ガラス、鉱物などがあげられる。一例として、上記にて開示した好ましい物性および光学的特性を条件として、標準ガラスおよび特殊ガラス、シリカ、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、フルオロポリマー、シリコーン、セルロース、シリコンなどの半導体材料、吸光性材料、金および銀などの金属、ルビーなどの鉱物、金ナノ粒子および量子ドットなどのナノ粒子、コロイド粒子、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物、酸化鉄などの磁性材料、これらの複合体などがあげられるが、これに限定されるものではない。芯は均質な組成物からなるものであってもよいし、所望の物性および光学的特性に応じて2つもしくはそれ以上のクラスの材料の複合材料であってもよい。
この芯は本発明を有用なものとする多数の機能を果たし得る。たとえば、芯を光吸収性材料で構成することができるが、これは、共鳴光散乱には無関係であって、吸収されなければ微粒子で屈折して迷光と望ましくないバックグラウンドシグナルになる、特定の光線を吸収する機能をもたせられる。芯があることで得られる別の有用性の例として、磁性材料の利用があげられるが、これは、外部磁力によって粒子を回収し、篩にかけ、移動し、あるいは操作できるように、粒子に磁気的な特性を持たせるものである。役立つ可能性のある実施形態として、たとえば粒子を懸濁させるか水性媒体中で容易に移動したいが、層材料が実質的に水よりも密度の高いものである場合に、芯が中空の粒子を利用することがある。この場合、芯を中空にしておくことで粒子全体の密度を低くできる。
好ましい実施形態では、微粒子は、均一なガラスミクロスフェアを含んでなる芯で構成される。さらに好ましい実施形態では、微粒子は、上記にて開示した該当する波長で屈折率が約1.45から2.1、一層好ましくは約1.6から2.1である光学品質のガラスミクロスフェアで構成される。好適な粒子は、たとえばMo−Sci Inc.(ミズーリ州ローラ(Rolla))から市販されている。
詳細については後述ならびに実施例で説明するように、芯の屈折率を変えることで望ましい光学的特性または物性を持たせることができる。したがって、別の好ましい実施形態において、たとえば中心からの半径方向の距離など位置によって屈折率または他の特性が異なる芯にすることができる。
本願開示にて上述したように、微粒子には、芯だけでなく、1つもしくはそれ以上の層を含み得る。微粒子に層を含むことの目的は変わり得る。層によって、生物活性因子または化学的結合部位を含む化学官能基の付加、非特異的結合の低減、芯の物理的完全性および化学的完全性の保護に適した表面が得られる。外側の生物学的に活性または化学的に活性な層を形成することに関する詳細については、本願開示の「捕捉プローブと粒子ライブラリ」のセクションに示してある。詳細については後述するように、層を用いることで、粒子集団の識別パターンの多様性を高めるための光学的なインタフェースをさらに増やすこともできる。
上述したように、層を用いる場合、その寸法、組成と屈折率については望ましい機能に応じて変えられる。好ましい実施形態では、層の組成および屈折率を、該当する波長ですべての層が光に対して実質的に透過性になるように定める。層を用いる場合にその厚さは、好ましくは約1ナノメートルから20マイクロメートルである。
したがって、別の好ましい実施形態において、微粒子は芯に1つもしくはそれ以上の層を加えたものからなり、層が兼ね合わせる機能としては、本願開示の「捕捉プローブと粒子ライブラリ」のセクションで説明するように、たとえば生物活性因子を含む化学官能基の付与に好適な表面を提供することがあげられる。
別の好ましい実施形態では、詳細については後述するように、分析波長範囲で粒子を走査した場合に別の光共鳴構造が明らかになるか、光共鳴構造同士の相対位置が変わるようにして、少なくとも1つの層が構成される。
別の好ましい実施形態では、微粒子は別の識別の特徴を持たせるか、識別の特徴を変える機能のある層と、1つもしくはそれ以上の別の層とを芯に加えたものからなり、別の層が兼ね備える機能としては、本願開示の「捕捉プローブと粒子ライブラリ」のセクションで説明するように、たとえば生物活性因子を含む化学官能基の付与に好適な表面を提供することがあげられる。
さらに別の好ましい実施形態では、微粒子は、芯と、さまざまな屈折率の領域を芯の表面または表面付近に含んでなる、識別の特徴を別に加えるか変化させる層を加え、さらに1つもしくはそれ以上の外側の層を加えたものからなり、別の層が兼ね備える機能としては、本願開示の「捕捉プローブと粒子ライブラリ」のセクションで説明するように、たとえば生物活性因子を含む化学官能基の付与に好適な表面を提供することがあげられる。
層を用いる場合に、それに適した材料としては、該当する波長での透明度などの層の所望の機能による制約(constraint)を条件として、芯について列挙したあらゆるクラスの材料ならびに、ナトリウムポリ(スチレンスルホネート)およびポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)などの高分子電解質があげられる。さらに、それぞれの層は組成が均一であっても組成の異なるものであってもよい。
層については、当業者間で周知のさまざまな方法で微粒子の表面に生成可能である。一例として、アイラー(Iler),R.K.、「Chemistry of Silica」、John Wiley & Sons(1979)、ブリンカー(Brinker),C.J.およびシェーラー(Scherer),G.W.、「Sol−gel Science」、Academic Press(1990)に記載されているようなゾルゲル化学法があげられる。粒子表面に層を生成する別のやり方として、パーチ(Partch),R.およびブラウン(Brown),S.、「Aerosol and solution modification of particle−polymer interfaces」、J. Adhesion 67、259〜276(1998)、ペカレック(Pekarek),K.ら、「Double−walled polymer microspheres for controlled drug release」、Nature 367、258(1994)、ハンプラソプワッタナ(Hanprasopwattana),A.、「Titania coatings on monodisperse silica spheres」、Langmuir 12、3173〜3179(1996)、デイヴィス(Davies),R.、「Engineered particle surfaces」、Advanced Materials 10、1264〜1270(1998)、上記文献における参考文献に記載されているような表面化学および封入手法があげられる。蒸着手法も利用できる。たとえば、ゴルマン(Golman),B.およびシノハラ(Shinohara),K.、「Fine particle coating by chemical vapor deposition for functional materials」、Trends in Chem. Engineering 6、1〜6(2000)、コールター(Coulter),K.E.ら、「Bright metal flake based pigments」、米国特許第6,387,498号明細書(2002)を参照のこと。さらに他の取り組みとして、スホルコフ(Sukhorukov),G.B.ら、「Stepwise polyelectrolyte assembly on particle surfaces: a novel approach to colloid design」、Polymers for Advanced Technologies 9(10〜11)、759〜767(1998)、カルーソー(Caruso),F.ら、「Electrostatic self−assembly of silica nanoparticle−polyelectrolyte multilayers on polystyrene latex particles、Journal of the American Chemical Society 120(33)、8523〜8524(1998)、カルーソー(Caruso),F.ら、「Investigation of electrostatic interactions in polyelectrolyte multilayer films: binding of anionic fluorescent probes to layers assembled onto colloids、Macromolecules 32(7)、2317〜2328(1999)、カルーソー(Caruso),F.、「Protein multilayer formation on colloids through a stepwise self−assembly technique、Journal of the American Chemical Society 121(25)、6039〜6046(1999)、マーゲル(Margel),S.およびバムノルカー(Bamnolker),H.、米国特許第6,103,379号明細書および上記文献に記載の参考文献に記載されているような、層ごとの自己集合法があげられる。
微粒子の多様性を利用することで本発明の有用性が高まる。一実施形態において、たとえば一連の管、溝、チャネルまたは基板の他の構造にて組織化することで、微粒子を二次元形態で分布させることができ、あるいは特別な構造がなくても表面で自己集合させることもできる。このような形態では、アッセイ中をとおして粒子の相対位置が維持される場合、位置によってアイデンティティが確立されるため、パターンまたは標識に基づいて個々の粒子を識別することは任意にできる。しかしながら、一般には、粒子は相対位置が変わる用途に利用されることがある。この場合、詳細については後述するように、共鳴光散乱法あるいは、蛍光、吸光度、放射活性および表面プラズモン共鳴などの従来技術において周知の他の手法で粒子のアイデンティティを確立できる。
本発明の目的は、生物学的アッセイおよび化学的アッセイで利用するのに適した、識別可能な微粒子の集団を容易かつコスト効率よく生成する手段を提供することにある。どの粒子生成プロセスにおいても、芯と層の寸法や光学的特性には粒子ごとに本来ばらつきがある。よって、本発明の目的は、こうした本来のばらつきを利用し、場合により、ばらつきを生みだして、粒子を識別するための新規な基礎を作ることにある。微粒子を有用なものとするために、このばらつきを制御するか、あるいは粒子をその物性と光学的特性とに応じて適宜スクリーニングする必要がある。よって、好ましい実施形態では、芯および/または層(用いる場合)の寸法と光学的特性のばらつきを、単一の粒子について上記にて開示した好ましい範囲内におさめる。これは、粒子生成プロセスを正しく制御するか、本発明において開示したような形で利用するのに適した粒子だけを選択する品質管理したスクリーニングを含むようにするなど、いくつかの方法で達成可能である。
捕捉プローブと粒子ライブラリ
捕捉プローブは、該当する具体的な測定内容に応じて、さまざまな化学的分類を含んでなり得る。一般に、これらは、試料中の標的分子との相互作用に必要な機能を提供する有機分子または生物学的分子であるか、あるいはその分子断片である。従来技術において周知のように、プローブは、たとえばDNAプローブとその標的との間で完全な塩基対相補体から、ストリンジェンシーの低めの塩基対マッチングまで、さまざまな度合いの特異性を持ち得る。同様に、抗体または合成ペプチドなどのペプチド標的またはタンパク質標的のプローブは、プローブの構造とアッセイ条件とによって、極めて特異性が高いこともあればそうでもないこともある。後述の説明において、「プローブ」または「捕捉プローブ」という言葉が用いられている場合、これは特異性の高い化学的または物理的なエンティティあるいは、特異性の異なる1つもしくはそれ以上のエンティティを示すことがある。本発明のプローブ結合微粒子は、該当する捕捉プローブを微粒子の表面に被着して形成できるものである。プローブについては、表面でプローブを直接合成するか、自然界に存在するプローブまたは合成・生成したプローブを付加する方法で、粒子に対して被着することができ、あるいは、詳細については後述するように、従来技術において周知の方法を利用して表面に別々に単離することもできる。
上述したように、各々の表面に1つもしくはそれ以上の一意な捕捉プローブが露出した一組の微粒子を利用することで、本発明の有用性が高まる。このような組は、通常、微粒子またはプローブの「ライブラリ」と呼ばれる。従来技術において周知のように、粒子ベースの生物学的アッセイでは、通常は特異的捕捉プローブと特定の粒子とを関連付ける必要がある。これは一般に、現状では標識(フルオロフォア、クロモフォア、ナノ粒子、エッチングした「バーコード」など)をそれぞれの粒子に付与するか粒子に取り込むことでなされている。こうした従来の取り組みを本発明の共鳴光散乱による結合の検出と併用してもよい。しかしながら、本発明は、それぞれの粒子の識別にも共鳴光散乱を用いることで、文献に記載の方法とは実質的に異なる新規かつ効率的な別の粒子識別方法を提供するものである。
捕捉プローブのクラスはタンパク質を含んでなる。「タンパク質」とは、2つもしくはそれ以上の共有結合されたアミノ酸を意味する。よって、「ペプチド」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」という用語ならびに、従来技術において同様に用いられている用語はいずれも、本願開示では類義語として解釈される。アミノ酸は、相対的な順序(relative order)と豊富さ(abundance)を問わず自然界に存在するものおよび/または合成製造されたものであればよい。この実施形態では、水素結合、静電結合、親水性相互作用および同様の非共有結合による結合機序を利用して、選択された標的に対する結合親和性を高めることができる。結合の特異性を高めるには、従来技術において周知のように、特に3次元構造が好ましい。
好ましい一実施形態では、捕捉プローブはタンパク質またはその断片である。本発明で用いる微粒子の外側の生物活性層の作成には、たとえばリンカー化学などを利用して表面に適切なプローブが付着するように微粒子を誘導体化することを含み得る。タンパク質捕捉プローブライブラリを作製し、プローブを表面に付着させるための方法は従来技術において周知であり、たとえば、ジョンソン(Johnsson),K.およびジー(Ge),L.、「Phage display of combinatorial peptide and protein libraries and their applications in biology and chemistry」、Current Topics in Microbiology and Immunology 243、87〜105(1999)、ルヴォ(Ruvo),M.およびファッシナ(Fassina),G.、「Synthesis and characterization of peptide libraries」、Combinatorial Chemistry Technology、デッカー(Dekker)、ニューヨーク、第7〜21ページ(1999)、ワーグナー(Wagner),P.ら、「Arrays of protein−capture agents and methods of use thereof」、米国特許第6,365,418号明細書(2002)、ワーグナー(Wagner),P.ら、「Protein arrays for high−throughput screening」、米国特許第6,406,921号明細書(2002)、マクヒュー(McHugh),T.M.、「Flow Microsphere Immunoassay for the Quantitative and Simultaneous Detection of Multiple Soluble Analytes」、Methods in Cell Biology 42、Academic Press、1994、コルヴィン(Colvin)ら、Microspheres: Medical and Biological Applications、1〜13、CRC Press、イルム(Illum),L.ら、「Attachment of Monoclonal Antibodies to Microspheres」、Methods in Enzymology 112、Academic Press、1985、上記文献に記載の参考文献を参照のこと。タンパク質捕捉プローブのライブラリについては、たとえば植物または動物の細胞抽出物から作製できる。特に有用で好ましいのは、ヒトの抗体などヒトタンパク質のライブラリである。
タンパク質捕捉プローブは、自然界に存在するポリペプチド、合成ポリペプチドまたはこれら2つのタイプの組み合わせを含んでなり得る。好ましい一実施形態では、捕捉プローブを、コンビナトリアルバイオロジーや、たとえばブラックマン(Brackmannn),S.およびジョンソン(Johnsson),K.編、Directed Molecular Evolution of Proteins、John Wiley & Sons(2002)、ショート(Short),J.M.およびフライ(Frey),J.F.「End selection in directed evolution」、米国特許第6,358,709号明細書(2002)、スチュアート(Stuart),W.D.、「Methods and compositions for combinatorial−based discovery of new multimeric molecules」、米国特許第5,683,899号明細書(1997)、上記文献に記載の参考文献に記載の定向進化法などの従来技術において周知の手法で、アミノ酸配列が部分的または完全にランダム化するように合成する。
別の好ましい実施形態において、捕捉プローブは、部分的に自然界に存在するアミノ酸配列と部分的にランダム化されたアミノ酸配列とを含んでなるタンパク質である。
別の好ましい実施形態では、ランダム化を含むタンパク質捕捉プローブの作製を本発明の微粒子で行う。これにより、インデックス化したプローブライブラリを作製する特に効率的なやり方が得られる。
タンパク質の結合ライブラリの最適なサイズまたは多様性は、実際の用途に応じて変更できる。特定の試料について統計的に有意な数の結合イベントが起こる場合に、資料を一意的に特徴付けできるため、ライブラリが最も有用なものとなる。たとえば、既知の抗原のほとんどに相互作用できる程度の親和性を持つ組み合わせを少なくとも1つ得るには、抗体10から10種類の多様性があれば十分であるとされる(たとえば、ウォールト(Walt),D.R.およびミシェル(Michael),K.L.、「Target analyte sensors utilizing microspheres」、米国特許第6,327,410号明細書(2001)を参照のこと)。抗体スクリーニングに用いられるタンパク質およびペプチドライブラリは一般に、その作製に用いる方法に応じて、メンバ数10から10であるかこれを上回る(たとえば、ガヴィロンド(Gavilondo),J.V.およびラリック(Larrick),J.W.、「Antibody Engineering at Millennium」、BioTechniques 29、128〜145(2000)、ヘインズ(Hanes),J.およびプラクスン(Pluckthun),A.、「In vitro selection methods for screening of peptide and protein libraries」、Curr. Topics Microbiol. Immunol. 243、107〜122(1999)を参照のこと)。よって、好ましい一実施形態では、少なくとも10、一層好ましくは10、最も好ましくは10またはこれを上回る異なる捕捉プローブを利用して、抗原の存在をスクリーニングする。一方、結合ライブラリの多様性については、測定の目的が少数の特定の分析物の存在を判定することにある場合は、これを小さくするようにしてもよい。HIV、肝炎、癌などの疾患状態における限られた数の特定のバイオマーカーのアッセイが従来技術において周知である(たとえば、ペトリコイン(Petricoin),E.F.ら、「Use of proteomic patterns in serum to identify ovarian cancer」、Lancet 359、572〜577(2002)を参照のこと)。通常は、このような状態のスクリーニングには、大規模なゲノムマッピングやプロテオームマッピングの場合よりも必要なプローブの数は少なくてすむ。
別のクラスの捕捉プローブは、核酸あるいは核酸変異体(後述するペプチド核酸など)を含んでなり、これらは「DNA断片」、「RNA断片」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「遺伝子プローブ」、「DNAプローブ」ならびに、従来技術において用いられている同様の用語で知られる場合もあり、いずれも本願開示では類義語とみなす。核酸プローブは、自然界に存在する遺伝子断片、クローニングにより得られた遺伝子断片、合成ポリヌクレオチドまたはこれらのあらゆる組み合わせに由来するヌクレオチド配列を含有し得る。合成ポリヌクレオチドの塩基配列については、オリゴ(Oligo)TM 4.0または6.0(ナショナルバイオサイエンス社(National Biosciences Inc.)、マサチューセッツ州プリマス(Plymouth))、ベクターNTI(インフォマックス(Informax)TM、メリーランド州フレデリック(Frederick))などの市販のソフトウェアあるいは、オリゴヌクレオチド配列および構造の設計を助ける他のコンピュータプログラムを利用して、特定の核酸標的に合わせて設計できる。従来技術において周知のように、ヌクレオチドには、自然界に存在する糖ホスホジエステル骨格またはその化学的修飾が含まれることがあり、これらの修飾があることで、自然界に存在する遺伝子または遺伝子断片には見られない新規な化学的部分を用いることができる。
さらに、捕捉プローブはペプチド核酸(PNA)プローブであってもよい。PNAは、核酸(DNAおよびRNA)の糖リン酸骨格ではなく偽ペプチド骨格を有するDNAの類縁体である。PNAはDNAの挙動を模し、相補的核酸鎖に結合する。PNAオリゴマープローブは、核酸塩基へのアセチルリンカーを有するアミノエチルグリシン骨格をベースにするものであってもよい。これらは、Boc/Cbzモノマーを用いるBocまたはFmoc化学または固相合成のいずれかで生成される(ドゥホルム(Dueholm),K.L.ら、J. Org. Chem. 59,5767〜5773(1994)、クリステンセン(Christensen),L.ら J. Peptide Sci. 3、175〜183(1995)、トムソン(Thomson),S.A. Tetrahedron Lett. 22、6179〜6194(1995)、ガネッシュ(Ganesh),K.N. Curr. Org. Chem. 4、931〜943(2000))。PNAプローブは、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)(カリフォルニア州フォスターシティ(Foster City))から購入できる。PNAオリゴマーについては、核酸プローブに官能性を与える末端修飾因子を用いて設計してもよい。修飾因子はPNAの分析物特異的可変捕捉配列の内部のものであってもよい。
粒子表面でのPNAなどの核酸プローブまたは偽核酸プローブの作製方法は周知である。代表的な参考文献として、たとえばフルトン(Fulton),R.J.、「Methods and compositions for flow cytometric determination of DNA sequences」、米国特許第6,057,107号明細書(2000)、チャンドラー(Chandler),M.B.ら、「Microparticles attached to nanoparticles labeled with fluorescent dye」、米国特許第6,268,222号明細書(2001)、チャンドラー(Chandler),V.S.ら、「Multiplexed analysis of clinical specimens apparatus and methods」、米国特許第5,981,180号明細書(1999)、マンデッキ(Mandecki),W.、「Multiplex assay for nucleic acids employing transponders」、米国特許第6,361,950(2002);マンデッキ(Mandecki),W.「Three−dimensional arrays of microtransponders derivatized with oligonucleotides. Proceedings from the IBC Biochip Technologies Conference、サンフランシスコ、1998年6月、D&MD Library Series publication #1941, Drug & Market Development Publications, Southborough, MA 01772、第179〜187ページ(1999)、ブレンナー(Brenner),S.ら、「Gene expression analysis by massively parallel signature sequencing (MPSS) on microbead arrays」、Nature Biotechnology 18、630〜634(2000)、ブレンナー(Brenner),S.ら、「In vitro cloning of complex mixtures of DNA on microbeads: Physical separation of differentially expressed cDNAs」 Proc. Nat. Acad. Sciences USA 97、1665〜1670(2000)ならびに、上記文献における参考文献があげられる。あるいは、核酸プローブについては、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)(カリフォルニア州フォスターシティ(Foster City))から入手可能なものなどの市販のDNAオリゴヌクレオチド合成剤を利用して、標準的なβ−シアノエチルホスホラミダイトカップリング化学で細孔性ガラス担体表面にて作製することもできる(ビューケージ(Beaucage)ら、Tetrahedron Lett. 22、1859(1981))。続いて、従来技術において周知のように、共有結合または非共有結合でのカップリングによって合成核酸プローブを微粒子に結合する。オリゴヌクレオチドプローブの5’末端、3’末端またはその両方を、核酸プローブの末端に官能性を与えるβ−シアノエチルホスホラミダイト修飾因子を用いて誘導体化できる。これらの修飾因子としては、アミノ修飾因子、チオ修飾因子、ジチオ修飾因子、カルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、分子スペーサ修飾因子、親和性反応配位子または免疫反応配位子があげられるが、これに限定されるものではない。修飾因子の目的は、分子スペーシング(molecular spacing)、識別可能な微粒子のプローブへの共有結合による架橋または親和性捕捉ができるような機能を核酸プローブに持たせることにある。架橋または結合機能によって、核酸プローブが微粒子表面にコンジュゲートできる。従来技術において周知の多くの異なる化学的方法を利用できる。これらの方法では一般に、アミンまたはスルフヒドリル基などの求核性残基に対して容易に結合できる反応性の求電子性中間体を利用する。これらの基としては、(a)マレイミドおよびハロアセチル誘導体を含むがこれに限定されるものではない、スルフヒドリル反応性基と共有結合を形成するメンバ、(b)イソチオシアナート、スクシンイミジルエステルおよびハロゲン化スルホニル含むがこれに限定されるものではない、アミン反応性基、(c)アミノおよびカルボキシル基を含むカルボジイミド反応性基、(d)抗原/抗体またはハプテン/抗ハプテン系などの免疫タイプの結合対のクラスのいずれか、(e)ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸塩結合タンパク質またはビタミンB12/内因子などの非免疫タイプの結合対のクラスのいずれか、(f)相補的核酸セグメントの基のいずれか(DNA配列、RNA配列、ペプチド核酸配列)、(g)プロテインAまたはGなどの免疫グロブリン結合タンパク質の基のいずれかがあげられる。カップリングの特性と官能部分の属性に加えて、分子修飾因子をアッセイ信号シグナル(signature signal)の生成または増幅の一助とすることも可能である。
本発明に有用な微粒子の表面調製には、たとえば、リンカー化学、ハイブリダイゼーションまたはビオチン/アビジン親和性による親和性捕捉、コンビナトリアル化学、他の従来技術において周知のものを含み得る。通常は、標的の結合が測定可能なイベントであり、試料のキャラクタリゼーションまたはスクリーニングに寄与するような形で、標的配列に対して相補的なヌクレオチド配列が得られるよう核酸プローブを設計する。この場合、結合は相補的な塩基ペアリングによるものであり、完全でなくてもよい。従来技術において周知のように、このような結合のストリンジェンシーはアッセイ条件を変えることで制御可能なものである。タンパク質について上述したように、核酸プローブも、特異的アッセイの需要に応じて配列の全部または一部をランダム化できる可能性のある自然界に存在するヌクレオチド配列と合成ヌクレオチド配列のどのような組み合わせからなるものであってもよい。
好ましい一実施形態において、捕捉プローブは、自然界に存在するヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドまたはペプチド核酸、クローニングした遺伝子または遺伝子断片などである。
別の好ましい実施形態において、捕捉プローブは、部分的に自然界に存在するヌクレオチド配列と部分的にランダム化したヌクレオチド配列とを含んでなるポリヌクレオチドまたはペプチド核酸である。
別の好ましい実施形態において、捕捉プローブは、さまざまなタイプのバイオセンサに役立つ、より一層一般的な有機化学構造、有機/無機配位子、有機金属配位子または同様の複合体を含んでなり得るものであり、たとえば、フィッツジェラルド(Fitzgerald),D.A.、The Scientist 16、38(2002)、クラヴァット(Cravatt),B.F.およびソーレンセン(Sorensen) E.J.「Chemical strategies for the global analysis of protein function」、Curr. Opin. Chem. Biol. 4、663〜668、2000、ハージェンロザー(Hergenrother),P.J.ら、「Small−Molecule Microarrays: Covalent Attachment and Screening of Alcohol−Containing Small Molecules on Glass Slides、J. Amer. Chem. Soc. 122(32)、7849−7850(2000)、コーベル(Korbel),G.A.ら、「Reaction Microarrays: A Method for Rapidly Determining the Enantiomeric Excess of Thousands of Samples」、J. Amer. Chem. Soc. 123(2)、361〜362(2001)、マクベアス(MacBeath),G.ら、「Printing Small Molecules as Microarrays and Detecting Protein−Ligand Interactions en Masse」、J. Amer. Chem. Soc. 121(34)、7967〜7968(1999)および上記文献に記載の参考文献を参照のこと。これらのプローブ構造は、コンビナトリアル化学、直接合成、組織からの抽出などを含むさまざまな方法で誘導体化できるものである。
尿、脳髄液、血清、血漿などの複雑な生物流体におけるアッセイなど(下記「アッセイ」というタイトルのセクション参照)用途によっては、微粒子を処理して試料マトリクス成分の非特異的結合を防止または低減しなければならないことがある。異種アッセイでの多種多様な固体担体に対する非特異的結合を低減する方法は従来技術において周知であり、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、脱脂粉乳などのタンパク質での処理を含むがこれに限定されるものではない。これらの処理は通常、潜在的な非特異的結合部位をブロックする目的で、捕捉プローブを微粒子に付着させた後かつアッセイ前に行われる。さらに、単一の成分または複数成分の混合物からなる合成ポリマー、自然界に存在するポリマーまたは自己集合単層膜を含んでなる薄膜を表面にコーティングすることで、非特異的結合が起こらない表面を形成することが可能である。この薄膜については、吸着撥水部分で変性させ、非特異的結合をさらに減らすようにしてもよい。たとえば、この薄膜を、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、デキストランまたは多糖などの親水性ポリマーにしてもよいし、末端官能基が親水性であって、水素結合アクセプタを含有するが水素結合ドナーは含有せず、全体として電気的に中性の自己集合単層膜としてもよい(オストゥーニ(Ostuni),E.ら、「A Survey of Structure−Property Relationships of Surfaces that Resist the Adsorption of Protein」、Langmuir、17、5605〜5620,(2001))。このやり方では通常、非特異的結合耐性層を担体上に形成した上で化学的に活性化し、捕捉プローブの付着ができるようにする。たとえば、ホアン(Huang)による同時係属中の米国特許出願第60/451068号明細書(本願明細書に援用)に記載の方法を利用し、本発明の微粒子への非特異的吸着を低減することができる。この開示に記載の方法では、ポリエチレングリコールアルキルアクリレートの薄膜を、表面開始原子移動ラジカル重合によって固体担体すなわち微粒子の表面で成長させる。この方法については、以下の実施例7で詳細に説明する。要するに、微粒子をまず開始分子で処理して開始剤被覆微粒子を調製し、これを溶液中にて触媒の存在下で少なくとも1種のポリエチレングリコールアルキルアクリレートモノマーと接触させる。こうして得られるポリエチレングリコールアルキルアクリレートコーティングをさらに活性化し、トリクロロ−s−トリアジン(アブチョウスキ(Abuchowski),A.ら、J. Bio. Chem. 252、3578〜3581および3582〜3586(1977))、N,N’−カルボニルジイミダゾール(バートリング(Bartling),G.J.ら Nature(London)、243、342〜344(1973))、塩化トシルおよび塩化トレシルなどの有機塩化スルホニル(ニルソン(Nilsson),K.およびモスバッハ(Mosbach),K. Methods in Enzymology、1984、104、第56〜69ページ)を使用することを含むがこれに限定されるものではない従来技術において周知のさまざまな方法で捕捉プローブにコンジュゲートすることもできる。
タンパク質ライブラリについて上述したように、核酸または有機分子ライブラリの多様性は、最終利用者の具体的な用途によってかなりまちまちになり得る。好ましい実施形態では、ライブラリに含まれるそれぞれの粒子が異なる捕捉プローブ、捕捉プローブのクラスまたは捕捉プローブの定義された混合物を持つことになる。しかしながら、同じ捕捉プローブを持つ粒子を2つ以上ライブラリに入れることでライブラリに冗長性を持たせることも可能である。このようにすると、適度に冗長なライブラリ(プローブ1つあたり3〜5コピー)での特定の分析物の存在測定の確実さが統計的に大きくなるため好ましいことがある。冗長性に対する需要は標的分析物の濃度、利用できる試料をはじめとして、さまざまな要因によって変わる。
よって、既知の捕捉プローブを事前に付着させてあらかじめ製造した微粒子で商業的に有用なライブラリを構成したり、あるいは、微粒子を特定の表面化学で処理して利用者が特に興味のあるライブラリをカスタム合成できるようにすることができる。プローブについては、別途作製しておいて、従来技術において周知のリンカー化学、架橋化学または他の手法を用いて別のステップで付着させればよい。架橋基の例としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド、アミドならびに、スルホネートおよびスルフェートなどの硫黄含有基があげられるが、これに限定されるものではない。架橋化学の例としては、トリアジンおよびビスエポキシドを含むヒドロキシ反応性基、マレイミドおよびハロアセチル誘導体を含むスルフヒドリル反応性基、イソチオシアナート、スクシンイミジルエステルおよびハロゲン化スルホニルなどのアミン反応性基、カルボジイミドなどのカルボキシル反応性基があげられるが、これに限定されるものではない。
別のやり方では、捕捉プローブを本発明の粒子の表面で直接合成することができる。粒子で直接合成できるプローブとしては、核酸(DNAまたはRNA)、ペプチド核酸、ポリペプチドおよびその分子ハイブリッドがあげられるが、これに限定されるものではない。直接合成のやり方では、プローブを粒子で直接化学的または生化学的に合成するのに用いる反応性残基によって誘導体化される粒子を利用する。反応性残基の化学的な連結は、合成後の脱保護および最終的なプローブ結合微粒子のクリンアップ時に微粒子から切断可能なものであってはならない(ロールマン(Lohrmann)ら、DNA 3、1222(1984);カドナガ(Kadonaga),J.T.、Methods of Enzymology 208、10〜23(1991)、ラーソン(Larson)ら、Nucleic Acid Research 120、3525(1992)、アンドレアディス(Andreadis)ら Nucleic Acid Res. 228、e5(2000)、クリシー(Chrisey)ら、WO/0146471)。このやり方を使うと、大量生産ならびにライブラリのアセンブリが可能になる。
要するに、ライブラリを製造するための手段は、実施対象となるアッセイ、ライブラリのタイプ、ライブラリの多様性、冗長性、リンカー化学のタイプ、その他の要因に左右される。有用な粒子ライブラリに対する一般的な要件としては、粒子のアイデンティティと捕捉プローブのアイデンティティとの間に相関があることがあげられる。この相関は、コンビナトリアル法、直接的な自動合成、手作業による合成または他の方法のいずれを用いている場合であっても、ライブラリをどのように合成したか、また相関をいつどのようにして求めたかとは無関係に保存しておくべきものである。
通常、ライブラリの微粒子はそれぞれ、特異的捕捉プローブまたは捕捉プローブの定義された混合物のコピーを複数持っている。捕捉プローブの最適な表面密度は用途や反応条件によって変わり得る。たとえば、固定化されたDNAプローブに対するDNAハイブリダイゼーション動態が調査されている(チャン(Chan)ら、「The biophysics of DNA hybridization with immobilized oligonucleotide probes」、Biophysical Journal 69、2243〜2255(1995)、リヴシット(Livshits),M.A.、Theoretical analysis of the kinetics of DNA hybridization with gel−immobilized oligonucleotides、Biophysical Journal 71、2795〜2801(1996))。タンパク質−タンパク質相互作用についても同様の研究が実施されている(ステンバーグ(Stenberg),M.およびニグレン(Nygren),H.、「Kinetics of antigen−antibody reactions at solid−liquid interfaces」、Journal of Immunological Methods 113、3(1998)。通常、2次元表面アレイと標的分析物を含有する溶液との界面は混ざり方が甘い。2次元固定アレイで効率的な特異的結合を行うためには、通常は最初に表面で非特異的結合を若干生じさせた上で、表面に沿った2次元拡散を続け、これによってハイブリダイゼーションまたは結合を引き起こす。2次元拡散が必要であるがゆえに、プローブの表面密度、結合率に限度が生じ、結果として特定の時間内で生成できるシグナル全体にも限りが出る。これとは対照的に、十分に混合された環境(たとえば、遊離懸濁液またはマイクロ流体デバイスで得られる流体フィールドなど)でなされる粒子ベースのアッセイでは、界面の境界層が連続的に補充されプローブ表面密度が高くなればなるほど望ましい。このようにすることで、結合率が上がり、結合信号が潜在的に大きくなり、プローブ密度が高くなり、感受性が増し、特異性が改善され、非特異的結合の干渉が低減される。本発明では、微粒子表面でのプローブ密度が高いほど、特異的結合に悪影響を及ぼすことなく非特異的結合を低減しやすくなる。粒子ベースのアッセイ、特に本発明のシステムの別の利点として、アッセイに必要な試料の量を原理的に低減できる点があげられる。固定アレイ系では、反応動態をドライブして拡散長が長い問題をなくすためには、分析物をプローブに比して実質的に過剰にしなければならない。一般に、分析物分子のごく一部だけが固定アレイの相補的プローブと相互作用することができる。十分に混合された系で拡散長が短くなるため、すべてのプローブ結合部位にすべての分析物を等しく利用できる。これによって、感受性が増して反応時間が短くなり、アッセイの応答時間も短くなる。
本発明の好ましい実施形態では、表面化学または捕捉プローブを別途使用することなく、多様な識別可能な微粒子としての微粒子ライブラリが得られる。このようなライブラリは、コンビナトリアル合成用の担体の標識を含むがこれに限定されるものではない多くの目的に利用でき、また、カスタムメイドのスクリーニングライブラリ用の開始材料として利用される。
別の好ましい実施形態では、特定のリンカー化学、直接合成または捕捉プローブを付着させるための他の手段に適した誘導体化粒子表面を持つ微粒子ライブラリが得られる。このようにしておくと、最終利用者は自己の特定のアッセイの需要に応じたプローブでライブラリを独自に調整することができる。
さらに別の好ましい実施形態では、粒子のアイデンティティの一覧と相関させた既知の捕捉プローブを持つ粒子で微粒子ライブラリを作製する。このようにしておくと、最終利用者は、自己の特定のアッセイの需要に応じて提供時のライブラリ全体を利用するか、あるいはライブラリをソートして部分集合を形成することができる。
さらに別の好ましい実施形態では、たとえばコンビナトリアル法で作製した未知の捕捉プローブを持つ粒子で微粒子ライブラリを作製する。このようにしておくと、最終利用者は、共鳴光散乱手によって特定の標的に対する「ヒット」でライブラリをスクリーニングし、従来技術において周知の手法で対応するプローブを特徴付けすることができる。
アッセイ
本発明で実施する化学的または生物学的アッセイでは、結合対すなわち微粒子の表面にある対の一メンバ(「プローブ」、「結合パートナー」、「受容体」または文法的に同様の用語でも呼ばれる)と試料中に存在する他のメンバ(「標的」、「分析物」または文法的に同様の用語でも呼ばれる)との特定の相互作用を利用できる。通常は、分析物には少なくとも1つのいわゆる「決定基」または「エピトープ」部位があり、これは分析物ごとに一意で相補的プローブ部位に対する結合親和性が高い。
本発明で可能なアッセイタイプの性質はかなりまちまちである。たとえば、プローブ/標的結合対であれば、抗原と特定の抗体、抗原と特定の抗体断片、葉酸と葉酸塩結合タンパク質、ビタミンB12と内因子、プロテインAと抗体、プロテインGと抗体、ポリヌクレオチドと相補的ポリヌクレオチド、ペプチド核酸と相補的ポリヌクレオチド、ホルモンとホルモン受容体、ポリヌクレオチドとポリヌクレオチド結合タンパク質、ハプテンと抗ハプテン、レクチンと特定の炭水化物、酵素と酵素酵素/基質、酵素/阻害剤または;ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジン、そのハイブリッド、従来技術において周知の他のものの組み合わせのうちいずれからでも選択できるが、ここで対のいずれかのメンバがプローブ、他のメンバが分析物である。結合対はまた、マレイミドおよびハロアセチル誘導体を含むスルフヒドリル反応性基、イソチオシアナート、スクシンイミジルエステル、ハロゲン化スルホニルなどのアミン反応性基、カルボキシルおよびアミノ基などのカルボジイミド反応性基など、共有結合を形成するメンバをも含み得る。
結合アッセイの具体例としては、抗体、抗原、酵素、免疫グロブリン(Fab)断片、レクチンの他、細胞、ハプテン、全細胞、細胞断片、細胞器官、バクテリオファージ、ファージタンパク質、ウイルスタンパク質、ウイルス粒子などの表面に見られるさまざまなタンパク質をはじめとする自然界に存在する標的用のアッセイがあげられる。これには、アレルゲン、汚染物質、自然界に存在するホルモン、成長因子、自然界に存在する薬物、合成薬、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、オリゴペプチド、化学的中間体なども含み得る。このようなアッセイの実用的な用途としては、たとえば、健康状態の監視、乱用薬物の検出、妊娠中および出産後の検査、移植時のドナーマッチング、治療用量の監視、癌抗原や病原体などの疾病の検出、バイオディフェンスセンサ、医療および非医療診断試験ならびに、従来技術において周知の同様の用途があげられる。
タンパク質は、血液型判定、細胞集団の検出、病原体のスクリーニング、病原体、免疫複合体、レクチン、単糖および多糖、生理流体、空気、プロセス流、水などの試料中におけるアレルゲンおよびハプテンの存在に対する免疫反応のスクリーニングなど、多くの診断試験で関心の的である。同様に、核酸またはポリヌクレオチドをプローブとして利用することには、試料中の相補鎖の検出、遺伝子発現用のmRNAの検出、ゲノムおよびプロテオームマイクロアレイでの用途、PCR産物の検出、DNAシーケンシング、臨床診断、メディカルスクリーニング、多形スクリーニング、法医学的スクリーニング、核酸に特異的に結合するタンパク質の検出、従来技術において周知の他の工程などで、多くの用途が考えられる。
さまざまな特定のプロトコールを用いてアッセイを行うことが可能である。一般的なプロトコールの概略図を図1に示す。分析物の検出または定量にあたって、一般には試料113と微粒子110、111などを含む溶液とを組み合わせる。ここで、特定のアッセイでの必要に応じて、インキュベーション、洗浄、種々雑多な試薬の添加などのさまざまな別のステップを行うことができる。該当する分析物が存在し、相補的捕捉プローブを持つ微粒子が1つもしくはそれ以上ある場合は、その分析物は、微粒子114および115で示すように、これらの微粒子に結合することになる。逆に、図1によれば、特定の微粒子に対して相補的な分析物が存在しないときは、たとえば微粒子116のように、その粒子では結合は起こらない。
本発明の一実施形態では、下記の「粒子識別方法およびシステム」というセクションで説明するように、アッセイでの粒子識別のみに共鳴光散乱を利用する。検出については、蛍光、化学発光、ナノ粒子タグならびに、従来技術において周知の他の手法を含むがこれに限定されるものではない従来の検出方法で行う。この実施形態では、結合対のメンバに標識を付加して検出を可能にすることができる。あるいは、微粒子に付着したプローブで標的分析物を捕捉するサンドイッチアッセイを利用してもよい。次に、標識が付加された第2の結合パートナーを利用して捕捉分析物と結合させる。
別の実施形態では、下記の「粒子ベースの結合測定というセクションで説明するように、結合の検出のみに共鳴散乱を利用する。この実施形態では、粒子識別については、粒子を定位置に残したままにするか、チャンドラー(Chandler)ら、米国特許第5,981,180号明細書に説明されているような蛍光色素またはチャンドラー(Chandler)ら、米国特許第6,268,222号明細書に説明されているようなナノ粒子標識を微粒子に付着させて利用するなどの他の手段で行う。さらに、アッセイで1種類のプローブ微粒子しか使用しないのであれば、粒子の識別は必要ない。
好ましい実施形態では、粒子識別と結合検出の両方を共鳴散乱を利用して行う。結合された分析物の検出と識別については、本開示の「粒子識別方法およびシステム」というセクションと「粒子ベースの結合測定」というセクションで詳細に説明する。これらの章でさらに例示するように、現状では、未結合のレポーター基からの干渉が生じる可能性があるため結合しなかった試料成分を微粒子から分離しなければならないのに対し、本発明では、このステップは任意である。
本発明の粒子を用いたアッセイを、尿、腹膜液、脳髄液、滑液、細胞抽出液、胃液、糞便、血液、血清、プラズマ、リンパ液、間質液、羊膜液、組織ホモジネート、さらには潰瘍、水ぶくれ、膿瘍、唾液、涙、粘液、汗、乳、精子、膣分泌物からの流体、正常な組織、悪性組織および被疑組織の生検試料をはじめとする組織抽出物、従来技術において周知の他の流体など、分離された生物流体または未濾過の生物流体を含む多岐にわたる試料マトリクスで実施することができる。試料については、土壌、水または空気などの環境基原から、あるいは、廃棄物流、生産ライン、リアクター、発酵装置、細胞培地、消費財、食品から採取するなどの工業基原から得ることも可能である。手法については当業者間で周知のアッセイの細かい内容に応じて、使用前に被検試料を前処理しても構わない。
粒子識別方法およびシステム
本発明によれば、共鳴光散乱スペクトルにおける高解像度の特徴は、微粒子集団の各メンバについての一意な識別パターンを得る上で有用である。散乱光スペクトルには、特定の波長で特定の幅と形状を持つ共鳴の形としての情報がある。従来技術において周知のように、共鳴特徴の位置、幅、相対強度はいずれも、粒子の粒度と屈折率によって変わる。通常は、共鳴特徴は相応に広い粒度と屈折率の範囲で認められる。しかしながら、本発明で有用な共鳴は一般に、これらの粒子特性の特定の範囲内で形成される。さらに、屈折率の異なる層および/または領域を芯粒子に加えると、大きさと屈折率の特定のパラメータ範囲内で、共鳴光の散乱パターンがさらに豊かなものになると考えられる。さらに、微粒子製造プロセスの如何を問わず、共鳴光の散乱パターンを定義するキーパラメータすなわち粒子の寸法と屈折率には、もともとばらつきがあるか、必要な場合は意図的にばらつきを生じている点は容易に理解できよう。このようなばらつきがあることで、微粒子の大きな集団を作り、その各々に粒子の識別子として利用可能な他とは異なる共鳴光の散乱パターンを持たせることができる。
本発明による一般的な微粒子を図2に示す。同図には、半径rで屈折率nの均一な芯100が示されている。また、図2には、外側の半径r・・・rおよび屈折率n・・・nの任意数mの層101..103も示されている。層の数mは0でもよく、0よりも大きい場合は、一般に約5未満である。これに関して、「層」という用語には、屈折率のはっきりとした境界のある領域あるいは、はっきりとした境界なしで屈折率が可変の領域を含み得る。いずれの場合も、屈折率と層の寸法のばらつきがゆえに、共鳴光散乱スペクトルが豊かになり、これを利用して粒子の識別に役立てることができる。
波長λの光が照射されると、粒子はその光の一部を強度I(λ)で検出器に向かって散乱させる。入射波長の走査時すなわち、入射波長を分析波長範囲で変化させると、波長の関数としての「散乱パターン」または「散乱スペクトル」が得られる。本発明による粒子から共鳴光散乱スペクトルを測定するには、測定のあいだ粒子を入れておく好適な検出セルが必要である。図3に、微粒子からの高解像度共鳴光散乱スペクトルの測定に役立つ光学セル014の一実施形態を示す。図4は、光学セル014、光検出器008、微粒子からの高解像度共鳴光散乱スペクトルの測定に用いられる関連のサポート設備を含む関連の実験装置の一実施形態を示している。このような測定の詳細については実施例1に示し、そこにまとめておく。
実施例1の微粒子は直径約40マイクロメートルで、波長約775ナノメートルでの屈折率は約1.9である。従来技術において周知のように、共鳴波長で散乱する光は、粒子の内部で生じるものであり、散乱される前に必ず粒子の外側の光学領域を介して伝搬されることになる。このため、粒子の外側の光学領域(芯の火面より外側の部分)は該当する波長で実質的に透過性でなければならない。下記の説明では、図3および図4を参照する。Delrin(登録商標)およびテフロン(登録商標)AF 2400で構成された光学セル014の水性懸濁液中に微粒子を保持する。テフロン(登録商標)AF 2400は、屈折率が水の屈折率に極めて近く、水とセルのウィンドウとの界面での反射や屈折による光学バックグラウンドとこれに伴うノイズを低減できるため、好ましい材料のひとつである。テフロン(登録商標)AF 1000はテフロン(登録商標)AF 2400よりも屈折率が水に近く、別の好ましい材料である。さらに別の好ましい材料として、一般にフォトレジスト材料で利用されているフルオロアクリレートがあるが、その屈折率は該当する波長で約1.38である。当業者であれば、入射光によって粒子を効率よく照射し、散乱光を最低限に抑え、セルの寸法が本発明の意図した用途に合うような設計と材料である限り、他の光学セル構成も可能であることは理解できよう。
中央に1本の励起用ファイバ004と、これを六角形のパターンで囲む6本の検出用ファイバ007とを含んでなるマルチファイバ光プローブ005が粒子の上にあり、その一端は水層の中まで延在している。励起用ファイバは、走査用ダイオードレーザ006の出力に接続されている。チューナブル色素レーザならびに、ガスディスチャージランプ、発光ダイオード、白熱ランプなどの多色光源といった別の入射光源を利用してもよいことは、当業者であれば理解できよう。波長選択性の高い入射光を生成するには、所望のスペクトル解像度を達成するために、通常は多色光源に非分散型要素(固定波長帯域通過フィルタ、チューナブル波長帯域通過フィルタ、ホログラフフィルタなど)または分散型要素(モノクロメータ、プリズム、格子など)などの波長選択手段を1つもしくはそれ以上連結する必要がある。
レンズ、鏡、プリズム、ファイバオプティック装置、ビーム拡大器、他の従来技術において周知の手段などの異なる光カップリング手段で、光を光学系にカップリングしてもよい。
散乱光の検出については、さまざまな方法で行い得る。実施例に示されるように、微粒子からの散乱光を検出するための好ましい実施形態のひとつに、入射波長を走査して、波長選択性ではないすなわち、波長の異なる光を区別するのには適さない検出器または画像形成装置で光を検出する方法がある。また、原理的には、粒子に多色光を当て、非分散型要素(固定波長帯域通過フィルタ、チューナブル波長帯域通過フィルタ、ホログラフフィルタ、カラーデジタルカメラなどの波長選択性画像形成装置など)または分散型要素(モノクロメータ、プリズム、格子など)などの波長選択性検出手段で散乱光を検出可能であることは、当業者であれば理解できよう。
レーザを波長で走査すると、その光の一部が粒子と相互作用して散乱する。粒子と相互作用しない光はセルの下にあるウィンドウ015を通って外に出る。粒子からあらゆる方向に散乱する光もあるが、好ましい一方向は入射光線からみて180度前後であり、これはときとして「後方散乱」光と呼ばれることもある。後方散乱光は6本の検出用ファイバ007に入り、一緒にされてシリコン光検出器、光電子倍増管などの好適な光検出手段に送られる。この例ではダイオードレーザ006内に設けられたチョッパーが入射光を変調する。続いて、検出器出力からの電気信号が、変調シグナルと一緒にロックイン増幅器009に送られる。ロックイン増幅器の出力と、入射波長に比例する「ランプ」シグナルとが、パーソナルコンピュータ010の中に示したデータ捕捉ボードに送られる。レーザ走査と散乱光スペクトルの取得および表示はソフトウェアによって制御する。共鳴ピーク位置は検出角依存ではないため、ピーク位置を利用して散乱パターンを定義することは、他の検出ジオミトリにおいても同じように有効である点に注意されたい。
本発明を説明するにあたり、特定の粒子のスペクトルを、このスペクトルにおける共鳴特徴の位置と幅で特徴付けると有用である。これらの特徴は、分析および特徴付けが可能なスペクトルパターンを含んでなる。スペクトルについては、ピークの検出、畳み込み、ピークフィット、パターン認識ならびに従来技術において周知の他の方法などの多数の方法で分析でき、これらの方法を自動化・コンピュータ化することができる。
本発明による粒子識別の背景原理を示すには、たとえば図5に示すような単一ロットの微粒子で得た同様の粒子からなる群の散乱スペクトルを考えるとよい。上述したように、それぞれのロット内で、大きさと屈折率にはもともとのばらつきがあり、これを有利に利用して本発明による一意な散乱光スペクトルを得ることができる。ここで、同一ロットから得た6個の粒子(無作為選択)では、一意に区別できる散乱光スペクトルが得られ、これらのスペクトルに基づいて簡単に粒子を識別できることは、容易に判断できる。当業者であれば、自動スペクトル分析法(スペクトルコーディング、パターン認識、フィルタリングなど)を散乱光スペクトルに適用し、ピーク位置、ピーク幅、ピーク次数、次数の異なるピーク間の間隔を含むがこれに限定されるものではないスペクトルの特徴や、粒子集団のそれぞれの粒子ごとに一意な識別「タグ」または「キー」の生成に有用な偏光依存性スペクトルの特性を抽出できることも理解できよう。
未処理の市販微粒子を一定の目的で修飾すれば、散乱光スペクトルの組み合わせの多様性と豊富さをさらに増やせる点に注意されたい。たとえば、散乱共鳴特徴を増やすまたは変化させることで、識別コードの組み合わせを増やせる可能性を各々が持つ別の層101・・・103を利用することができる。同様に、屈折率、厚さまたはその両方についての、自然に存在するばらつき、あるいは目的をもって作り出したばらつきによって、散乱スペクトルの有用なばらつきが得られる。これらのばらつきによって、直径だけのばらつきの場合のようなスペクトルパターンのシフトではなく、完全に異なるスペクトルパターンが生成される点に注意されたい。共鳴光散乱スペクトルの豊富さを高める目的で層を加えるという概念を実施例14〜19に示す。
本発明による微粒子の識別に役立つものとするには、芯と層の寸法と屈折率が、光散乱の基本的ミー理論によって得られる限界値内になければならない。端的に言えば、事実上あらゆる大きさと屈折率の粒子がある程度は光と相互作用するが、特定の波長範囲だけについて言えば、これらのパラメータの特定の組み合わせで本発明による識別に役立つスペクトルが得られる。また、該当するアッセイのほとんどが水性媒質中で行われことになるため、分析用の波長は水による光の吸収が原因で生じる干渉が最小限になるように選択しなければならない。さらに、選択する波長は、アークランプ、レーザまたはダイオードレーザなどの入手可能な光源で得られるようなものとする。
本願発明者らは、コンピュータモデルの利用と以後の実験室での測定をとおして、いくつかの重要なパラメータについての有用な範囲を求めた。以下では、(1)光共鳴特徴を増やすか特徴を変化させる層すなわち、その波長位置が互いに位置的に変化するもの(いわゆる「光学的に活性な」層)と、(2)芯の完全性を保存するか、捕捉プローブの付着または非特異的結合の抑制のために化学的または生物学的に好適な担体として機能するだけの層(「化学的に活性な」層または「生物学的に活性な」層)とを区別する。また、ひとつの層が両方の機能を果たすことも可能であるが、この場合は「光学的に活性である」と同時に好適な化学的または生物学的担体になる。光学的に活性な層の代表的ではあるが限定するものではない一例に、厚さ約50から20,000ナノメートル(20マイクロメートル)の層がある。
したがって、識別可能な微粒子の好ましい一実施形態は、直径約100マイクロメートル以下、好ましくは約75マイクロメートル以下、一層好ましくは約50マイクロメートル以下であり、波長約600から1650ナノメートルで屈折率が約1.45から約2.1、好ましくは約1.6から2.1である、実質的に球形の透明ガラス芯を含んでなる。
識別可能な微粒子の別の好ましい実施形態は、(1)直径約100マイクロメートル以下、好ましくは約75マイクロメートル以下、一層好ましくは約50マイクロメートル以下であり、波長約600から1650ナノメートルで屈折率が約1.45から約2.1、好ましくは約1.6から2.1である実質的に球形かつ実質的に透明なガラス芯と、(2)別の共鳴光散乱特徴をサポートまたは既存の特徴を変化させることのできる実質的に透明かつ光学的に活性な層を1層とを含んでなる。
識別可能な微粒子のさらに別の好ましい実施形態は、(1)直径約100マイクロメートル以下、好ましくは約75マイクロメートル以下、一層好ましくは約50マイクロメートル以下であり、波長約600から1650ナノメートルで屈折率が約1.45から約2.1、好ましくは約1.6から2.1である実質的に球形かつ実質的に透明なガラス芯と、(2)別の共鳴光散乱特徴をサポートするか既存の特徴を変化させることの一方または両方が可能な実質的に透明かつ光学的に活性な層を1層と、(3)上記の「捕捉プローブと粒子ライブラリ」というセクションで説明した手順に役立つ、厚さ約1ナノメートルから10マイクロメートルである化学的または生物学的に活性で実質的に透明な層を1層もしくはそれ以上と、を含んでなる。
識別可能な微粒子のさらに別の好ましい実施形態は、(1)直径約100マイクロメートル以下、好ましくは約75マイクロメートル以下、一層好ましくは約50マイクロメートル以下であり、波長約600から1650ナノメートルで屈折率が約1.45から約2.1、好ましくは約1.6から2.1である実質的に球形かつ実質的に透明なガラス芯と、(2)各々が別の共鳴光散乱特徴をサポートするか既存の特徴を変化させることの一方または両方が可能な実質的に透明かつ光学的に活性な層を2層もしくはそれ以上と、(3)上記の「捕捉プローブと粒子ライブラリ」というセクションで説明した手順に役立つ、厚さ約1ナノメートルから10マイクロメートルである化学的または生物学的に活性かつ実質的に透明な層を1層もしくはそれ以上と、を含んでなる。
本発明の別の好ましい実施形態は、識別可能な微粒子の集団または多様性であり、このような集団は、生物学的または化学的アッセイなどの多数の用途において有用である。具体的な用途に合わせて選択される微粒子のタイプ(すなわち、芯と層の数ならびに組成)は、試料の性質とスクリーニングまたは検出の対象となる分析物数に左右されることになる。候補薬物を求めるための高スループットのスクリーニングまたは疾病バイオマーカーのスクリーニングなどの多くの用途では、本発明による識別可能な微粒子の集団の有用性は、その集団に含まれる一意な微粒子の数に直結する。通常、この数が多くなればなるほど好ましい。上記の実施形態では、芯の半径、層厚およびそれぞれの屈折率を同じ集団内で変え、粒子識別子として利用する極めて豊富な散乱パターンの組を得ることができるため、微粒子の集団の識別に利用できる散乱パターンの考え得る組み合わせ数を極めて大きくすることが可能である(約10を上回る数を容易に実現できる)。バイオマーカーのスクリーニングまたは特定の疾病診断などの他の用途では、これよりも少ない数の一意な微粒子があれば十分であろう。
上述し、かつ図2および図3に示した検出システムおよび方法は、一度に1個の粒子で高解像度散乱光スペクトルを測定するのに適している。この装置は、本発明の原理を示す上で効果的なものではあるが、単一の粒子を光プローブと整列させる必要があり、通常はこれは手作業で行われるため幾分時間を要する。
単一粒子検出手段に対する改善策のひとつに、担体に設けたチューブや一連のチャネル、くぼみ、溝などの中に粒子を制限して、直線または矩形のアレイにすることがあげられる。このようにした後で、レーザ光線を粒子から粒子へすみやかに動かすか、あるいは粒子を保持している担体を動かすことで、既知の順番で粒子を走査することができる。この場合、最初に粒子のアイデンティティとそのプローブとをスペクトル散乱パターンによって(または他の何らかの手段によって)確立した後、チューブ、溝、くぼみまたはチャネルに既知の順序で粒子を仕込む。実施例では、粒子の取扱をピペットを用いた手作業で行う。自動または半自動のマイクロフルイディクスデバイスを利用したり、ポンプ、注射器、制御弁などの流体制御装置を併用するなど、他の粒子ハンドリング手段が適していることもある点は、当業者であれば理解できよう。粒子を適所においたら、以後はそれらの粒子のアイデンティティをチャネル内の相対的な位置によって維持し、場合により散乱パターンで確認する。同様に、アッセイ時に微粒子を静置しておく、二次元ではあるがそれ以外は何ら構造化していない形では、粒子のアイデンティティをそれぞれの相対位置によって維持する。
さらに効率的な検出手段のひとつに、共鳴光散乱画像形成を利用したものがある。この方法では、複数の粒子のある視野から、カメラなどの画像形成手段によって共鳴光散乱スペクトルを同時に検出する。このカメラは、入射波長の走査のたびに粒子を繰り返し画像化し、一般に走査時の波長ステップ1回ごとに1枚の画像を取得する。それぞれの画像には、特定の波長での画像内にある各粒子からの散乱強度情報が含まれる。このようにして得られた画像全部の組を適宜処理すれば、それぞれの粒子からの散乱光スペクトルを導出できる。このカメラは、当該用途に必要な速度および感受性が可能なものであれば、どのような画像形成装置であってもよい。カメラは、好ましくはデジタルカメラであり、一層好ましくは二次元CCD(電荷結合素子)またはこれと等価な画像形成手段を利用したものである。好ましくは、カメラの機能とデータの取得を、カメラおよび走査光源に作動的に接続されたコンピュータで制御する。前記コンピュータは、これらの目的に適したソフトウェアを有する。さらに、このコンピュータは、データ分析手段、すなわち、ピークの検出、畳み込み、ピークフィット、パターン認識、従来技術において周知の他の方法を含むさまざまな方法を、粒子の識別、結合の検出、分析物または分析物群の識別に利用するソフトウェアを含み得る。代表的な実験用セットアップを図6および図7に概略で示す。図6は、本発明によるスペクトル画像形成に役立つ画像形成光学セル019を示している。図7は、測定を行う上で必要な関連の構成要素を示している。方法およびシステムの詳細については実施例2に示し、そこでまとめておく。微粒子の集団を画像形成光学セル019で単離して、走査用ダイオードレーザ022を光源として利用して顕微鏡021で画像化する。粒子については、ランダムに分布させることもできるし、チューブに入れたり、担体に設けた溝、チャネルまたはくぼみの中に制限して、直線または矩形のアレイにするなどの形で、順に分布させておいても構わない。該当する粒子を同時に画像化できるように倍率を設定する。視野内の粒子からの後方散乱光を回収し、デジタルカメラ026の平面上の対物レンズ020ならびに関連の光学系で画像化する。レーザ波長の走査時、各波長ステップでデジタル画像が取得され、保存される。このため、完全な波長走査によって、インターバル1回につき1枚ですべての粒子の一連のデジタル画像が得られる。特定波長の粒子からの散乱の強度が、その粒子のその波長での散乱画像の輝度に関連している。よって、適切なコンピュータ画像処理とスペクトル分析を利用すれば、すべての粒子の完全な散乱スペクトルを、走査時に得られた一組の画像から抽出することができる。このような一組の画像から抜き出した代表的な画像1枚の例を図8に示す。該当する光(散乱光)106は、粒子の縁に沿った光の輪または区切られた輪から発生している(この作用についての説明すなわち、リンチ(Lynch),D.K.およびリビングストン(Livingston),W.、Color and Light in Nature、ケンブリッジ大学出版(Cambridge University Press)(2001)などを参照のことが明らかである。実施例2で利用する入射光線と散乱光線は独立に偏光され、その2本の偏光軸は互いに平行である。これにより、図8の中央の画像にそれぞれ数字12、3、6、9で示すように、円の12:00、3:00、6:00、9:00の位置を中心とした散乱光のセクターが得られる。「12」と「6」の領域からの散乱光スペクトルが等しく「3」と「9」の領域からの散乱光スペクトルが等しいことが、理論で予測され、結果で確認されている。さらに、2対のセクターのスペクトルは互いに異なっている。これにより、単一のスペクトルではなく、2つの実質的に独立したスペクトルの組み合わせで粒子を識別する機能が得られ、識別可能な粒子の多様性が増し、識別の精度も高くなる。
たとえば画素101の部分集合からの画像の強度を測定し、その波長シリーズで同じことを各画像102・・・105について繰り返して、上記の輪からの光を画像処理法で測定する(図9参照)。画素の部分集合については、平均強度閾値、シグナル/ノイズまたは他のスペクトル特性閾値、幾何学的特徴、中心を基準にした半径方向位置または方位位置、デジタルフィルタリングなどを含む多種多様な手段で選択できる。画像の強度についても、従来技術において周知のように、画素平均化、画素の部分集合から最大値を取る方法、シグナル/ノイズ比などの統計的規準による加重平均などを含む多種多様な手段で算出できる。複数の粒子のうちの1つについて、実施例2で説明するような特定の選択規則を適用して得られたこのような散乱光スペクトル150の例を、図9に示す。この実施例を拡張すれば、微粒子の大きな集団から迅速かつ効率的に散乱スペクトルを測定できよう。これは、薬物の送達、高スループットのバイオメディカルスクリーニング、ゲノムマッピングなどを含む用途で、生物学的または化学的アッセイにおいて文献に報告のある方法に比して特に都合がよい。
分析物の有用な検出を行うためには、粒子と試薬および分析物とを効果的に接触させるのに適した手段が必要とされる。実験のあいだをとおして、どのような順序と回数で粒子と試薬および分析物とを接触させてもよい形が好ましい。このため、検出セルには、試薬と分析物をセルに送るための少なくとも1つのポート、好ましくは2つもしくはそれ以上のポートと、試薬または分析物と流量の選択を可能にする好適なフロー制御要素が必要である。この用途の実施例では、ピペットを使って手作業で検出セルに粒子を導入し、可撓性の管材でセルに接続された蠕動ポンプまたはシリンジポンプによって試薬と分析物を2つのポート(「流入口」および「流出口」)経由で検出セルに送達する。ポンプと関連のフロー制御弁、チェック弁、流量測定装置などを手で操作するか、あるいはコンピュータ制御して自動操作することができる。得られるシステムにおいて粒子と試薬および分析物とを好適な形で接触させることができるのであれば、ポート、ポンプ、管材、フロー制御要素に対して考え得るさまざまな配置構成を使用できることは、当業者であれば分かるであろう。
したがって、本発明による微粒子を識別するシステムの好ましい実施形態は、(1)走査用ダイオードレーザ光源と、(2)分光散乱光画像形成および迷光除去に適した光学セルと、(3)微粒子と分析物および試薬とを接触させるための手段と、(4)該当する粒子の集団を含む視野の画像形成に適した光学成分を有する顕微鏡と、(5)デジタルカメラおよびモニタと、(6)デジタル画像取得ハードウェアと、(7)必要に応じて構成要素と作動的に接続されたコンピュータと、(8)構成要素を制御し、データを捕捉し、このデータを処理するのに適したソフトウェアと、を含む画像形成システムを含んでなる。
微粒子を識別する方法の好ましい実施形態は、(1)微粒子の集団を視野内におき、顕微鏡の焦点をその粒子に合わせ、(2)データ捕捉ソフトウェアを初期化し、(3)開始波長から終了波長までダイオードレーザを走査すると同時に、(4)走査時の各波長ステップごとに視野内のすべての粒子から散乱光を表すデジタル画像を捕捉し、(5)それぞれの粒子について散乱光スペクトルが生成されるように、上記デジタル画像を処理し、(6)スペクトル処理法を適用し、それぞれの粒子について一意な識別用マーカーまたはコードを生成することをさらに含んでなる。
分析物を識別するための方法
アイデンティティが分かっている捕捉プローブへの結合の検出に基づいて、分析物のアイデンティティを判定できる。試料中に分析物が存在しないことも同じ方法で判定できる。共鳴光散乱の測定を利用した分析物の識別では、さまざまな方法が可能である。
好ましい一実施形態において、1つもしくはそれ以上の既知の捕捉プローブを粒子に被着した後、第1の分析波長範囲で粒子を走査して第1の基準共鳴光散乱信号を生成し、これを利用してそれぞれの粒子を識別するとともに、捕捉プローブのアイデンティティを識別された粒子と相関させる。何回か走査を繰り返すことで、同じ粒子について多数の第1の基準共鳴光散乱信号を得られる。たとえば、プローブ結合微粒子の製造時に第1の基準共鳴光散乱信号1つを取得し、粒子をアッセイに利用する直前に第2の第1の基準共鳴光散乱信号を得ることができる。第1の基準共鳴光散乱信号のうちのいずれかを利用すれば、微粒子とこれに付着したプローブを識別できる。しかしながら、最も後から得られた第1の基準共鳴光散乱信号を基準信号として利用し、結合を検出すると好ましい。あるいは、第1の分析波長範囲で粒子を走査して、それぞれの粒子について識別用共鳴光散乱信号を生成した上で捕捉プローブを被着する。次に、1つもしくはそれ以上の既知のプローブを粒子に被着する。プローブのアイデンティティを、当該プローブが被着された粒子の識別用共鳴光散乱信号と相関させる。いずれの場合も、粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、分析物が存在する場合、捕捉プローブと分析物との間で結合が生じる。第2の分析波長範囲で粒子を走査して第2の結合共鳴光散乱信号を生成する。結合の検出に利用する第2の分析波長範囲は、粒子の識別に利用する第1の分析波長範囲と同一であっても異なっていてもよい。たとえば、特定のピークまたは他のスペクトルの特徴に対応する、第1の分析波長範囲の一部のみを第2の分析範囲として利用して結合を検出しても構わない。粒子を連続して走査すれば、一連の第2の結合共鳴光散乱信号が生成され、結合をリアルタイムでフォローすることができる。結合の検出は、第2の結合共鳴光散乱信号のうちのいずれかと第1の基準共鳴光散乱信号のうちのいずれか、好ましくは最も後で得られたものとを比較するか、第2の結合共鳴光散乱信号のうちのいずれかを同じシリーズで前の第2の結合共鳴光散乱信号と比較して行われる。分析物が試料中に存在しない場合は、比較の対象となった2つの共鳴信号の間には、実験誤差の範囲でしか違いはない。続いて、上述したようにして求められた粒子のアイデンティティとの相関と、少なくとも1つの第2の結合共鳴光散乱信号とに基づいて、結合された各分析物のアイデンティティを判定することができる。必要であれば、比較の対象となった2つの共鳴光散乱信号の差、具体的には、結合時に観察された散乱パターンのシフトの度合いを比較することで、結合された分析物の量(適切な条件下で試料中の分析物の量に直結する)を判定することもできる。こうして、従来技術において周知のように、周知の標準を用いて作製した較正曲線から試料中の分析物の量を判定することができる。
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの捕捉プローブを粒子に被着し、これをチューブ内あるいは、担体に形成された一連のチャネル、くぼみまたは溝内などの定義された空間配列に加える(ここで、それぞれの粒子に定義されたローカスがある)。この場合、加えられた粒子のローカスによって、粒子とこれに付着したプローブのアイデンティティを判定する。次に、粒子を場合により分析波長範囲で1回もしくはそれ以上走査し、上述したような少なくとも1つの基準共鳴光散乱信号を生成する。粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、粒子を分析波長範囲で1回もしくはそれ以上走査して、それぞれの粒子について少なくとも1つの第2の結合共鳴光散乱信号を得る。結合については上述したようにして検出する。加えられた粒子のローカスに基づいて、結合した分析物それぞれが識別される。試料中に存在する分析物の量については、上述のように、比較の対象とした2つの共鳴光散乱信号の差を比較して判定できる。
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの捕捉プローブを粒子に被着し、この粒子を分析波長範囲で走査して、上述のようにそれぞれの粒子について少なくとも1つの第1の基準共鳴光散乱信号を得る。捕捉プローブを上述のように識別された各粒子と相関させる。これらの粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させるが、この分析物は、蛍光部分、化学発光部分、粒子、酵素、放射活性タグ、量子ドット、発光部分、吸光部分、インターカレート色素などの検出可能な標識を含んでなる。上述した相関に基づいて、従来技術において周知の方法でそれぞれの分析物と分析物の検出可能な標識が識別される。
粒子ベースの結合または解離測定
先に開示したように、本発明の目的は、改良された粒子、生物学的および化学的アッセイにおけるプローブと標的との間の結合を検出する方法およびシステムを提供することにある。これについて、粒子ベースのアッセイに関する現状の方法に対する本発明の改良点には、基本として、共鳴散乱パターンが粒子の表面またはその近辺での屈折率の変化に影響されやすいという現象が含まれる。従来技術において周知(たとえば、ハイタワー(Hightower),R.L.およびリチャードソン(Richardson),C.B.、「Resonant Mie scattering from a layered sphere」、Appl. Optics 27、4850〜4855(1988)ならびに上記文献における参考文献を参照のこと)のように、微粒子表面での屈折率が変わると、共鳴が起こる条件(特に波長)も変わり、共鳴の形状および強度も変わる可能性がある(これらは測定可能な現象である)。水性懸濁液中での微粒子表面への標的分析物の結合は、水の分子が通常は水とは屈折率の異なる化学種で置き換わる際に観察できる。結合分子または構造は通常、水よりも屈折率が大きい。本願発明者らが開発した理論モデルでは、直径約40マイクロメートルの代表的な微粒子についてみると、タンパク質または核酸層の結合によって、基準または未結合の状態に対する波長で散乱光パターン全体がシフトし、このシフトの量は厚さ約50ナノメートルまでは結合層の厚さに比例することが分かる。上述したように、厚めの層すなわち約10マイクロメートルまでの層は利用できるが、厚さが約50ナノメートルを超える層だと元の共鳴が変化し、場合によってはシフトだけでなく別の光散乱共鳴が生じる。この現象では、レポーター基を用いる必要はなく、既存の粒子ベースのアッセイ技術に対する実質的な改善になる点に注意されたい。また、結合時に発生し得る粒子表面付近での他の変化、たとえば、プローブまたは標的のコンホメーションの変化などがあると、化学的または物理的な群が相対的に移動し、表面付近で質量分布に変化が起こるため、シフトが生じる可能性がある点に注意されたい。従来技術において周知のように、散乱光スペクトルはエバネッセント光波と表面付近での質量分布との相互作用に影響されるため、質量分布に変化が生じるとスペクトルも変化する可能性がある。標的部分結合時のエバネッセント光波に対する正味質量分布の変化は、プローブ、標的、表面電荷、イオン環境および他の要因の具体的な性質によって、粒子表面から離れる方向または粒子表面に近付く方向のいずれかになり得る。このため、得られる共鳴光散乱スペクトルのシフトは、実施するアッセイ次第で「正」(波長の長い方に向かう)か「負」(波長の短い方に向かう)のいずれかになる。
通常、共鳴光散乱法によって分析物の結合を判定する場合、上述のように粒子を分析物に曝露する前に1回(基線の確立)と粒子を分析物に曝露した後の2回の測定を行う。結合の判定については2つの信号を比較して行うため、一般に「差次的な」測定である。具体的には、捕捉プローブへの分析物の結合を検出するには、少なくとも1つの捕捉プローブを本発明の粒子に被着する。これらの粒子を場合により分析波長範囲で1回もしくはそれ以上走査し、上述のようにそれぞれの粒子について少なくとも1つの第1の基準共鳴散乱信号を生成する。続いて、これらの粒子と分析物を含有する可能性のある試料とを接触させる。さらに、粒子を1回もしくはそれ以上走査して、それぞれの粒子について少なくとも1つの第2の結合共鳴光散乱信号を生成する。分析物の結合の検出については、第2の結合共鳴光散乱信号のうちのいずれかと第1の基準共鳴光散乱信号のうちのいずれか、好ましくは最も後で得られたものとを比較するか、あるいは第2の結合共鳴光散乱信号のうちのいずれかを同じシリーズの前の第2の結合共鳴光散乱信号と比較して行う。試料中の分析物の量は上述のように判定できる。
また、同様の差次的測定で捕捉プローブからの分析物の解離を検出することも可能である。解離を検出するには、プローブ結合微粒子と少なくとも1種の分析物とを接触させ、分析物がプローブに結合できるようにした後、粒子を分析波長範囲で1回もしくはそれ以上走査して、それぞれの粒子について少なくとも1つの第1の基準共鳴光散乱信号を得る。続いて、従来技術において周知の何らかの手段で分析物を粒子の捕捉プローブから解離させる。分析物をプローブから解離させるのにどの手段を用いるかは、分析物と捕捉プローブの性質によって決まる。たとえば、核酸またはペプチド核酸結合対であれば、温度を上げて二本鎖を溶融させるか、塩基での処理によって解離できるであろう。抗体−抗原結合対であれば、酸または塩基あるいは、尿素、グアニジン塩酸塩またはチオシアン酸ナトリウムなどのカオトロピック剤での処理によって、分析物を解離できよう。解離後、粒子を分析波長範囲で1回もしくはそれ以上走査して、それぞれの粒子について少なくとも1つの第2の解離共鳴光散乱信号を生成する。解離については、第2の結合共鳴光散乱信号のいずれかと第1の基準共鳴光散乱信号のいずれかと比較するか、あるいは第2の結合共鳴光散乱信号のうちのいずれかを同じシリーズの前の第2の結合共鳴光散乱信号と比較することで検出される。
理想的には、発生するシフトはいずれも標的分析物分子の結合または解離によるものである。本発明で利用する光学作用は、微粒子の環境(温度、イオン強度、媒質の屈折率など)におけるばらつきの影響を受けやすいことがあるため、これらのパラメータの望ましくないばらつきは、それが散乱光パターンを変化させる一因となり得る場合に、「ノイズ」となる。したがって、本発明においては、このような作用を参照して相殺し、分析物による実際の結合によるシフトだけを「シグナル」として残す手段を提供するとよい。これは、たとえば、いくつかの粒子を基準粒子として利用し、これにはプローブを付着させず、必要に応じて非特異的結合を最小限に抑えるように処理しておくことで達成できる。これらの基準粒子で測定されるシフトは、主に環境の変化によって生じるものであり、捕捉プローブを含む粒子から測定されるシフトの相殺に利用できる。
さらに、共鳴光散乱スペクトルのシフトを測定する場合、取得した散乱スペクトルの波長成分が高い精度で分かることが絶対的に必要である。レーザ走査の起動とコンピュータによるデータ取得の開始との間のタイミングの不確かさが原因で、実際のシフトは起こっていないときにデータに見かけのスペクトルシフトが生じる可能性がある。したがって、スペクトルデータを補正し、偽りの「タイミング」シフトを除去しなければならない。どれだけ大きな波長補正が必要であるか判断するには、波長登録用に特徴が既知でなおかつ安定している基準スペクトルを記録する必要がある。波長補正/登録を十分な精度で行うには、基準スペクトルにおけるスペクトルの特徴がかなりはっきりとしていることがさらに重要である。この補正を、詳細については以下の実施例3で説明するように、エタロン(分光法で半分が銀色で互いに平行な2枚のガラスまたは石英板間の複数の反射によって生じる干渉作用による波長の測定に利用される装置)を利用して行い、極めて正確にアライメントできる波長基準シグナルを生成することができる。
図10〜図16に、本発明によるエタロン補正を利用した、直径40マイクロメートルの微粒子でのタンパク質層の検出を示す。詳細については実施例3〜6にあげておく。
本発明の有意な利点のひとつに、粒子ベースのアッセイで結合関連のレポーター基を排除できる可能性がある点があげられる。非標識結合法のなかには、固定アレイ用に開発されたものもあれば、固定表面用のものもある(たとえば、ラルソン(Larsson),A.およびペルソン(Persson),B.、「Method for nucleic acid analysis」、米国特許第6,207,381号明細書、リオン(Lyon),L.A.ら、「An improved surface plasmon resonance imaging apparatus」、Rev. Scientific Instruments 70、2076〜2081(1999)、ティール(Thiel),A.J.ら、「In situ surface plasmon resonance imaging detection of DNA hybridization to oligonucleotide arrays on gold surfaces」、Anal. Chem. 69、4948〜4956(1997)による平面状のバイオセンサで表面プラズモン共鳴を利用)。しかしながら、このような標識を利用しない方法は粒子ベースのアッセイでは存在しない。粒子ベースのアッセイ、フルオロフォア、クロモフォア、ナノ粒子または他のレポーター基に関する文献に記載の方法は、標的に結合させるか、あるいは何らかの形で結合イベントに関連しているかのいずれかである。よって、代表的な測定対象のひとつは、標的と会合することで粒子に結合するレポーターの量になる。測定を行う前に、余分な未結合レポーターを洗い流し、バックグラウンドの高い測定値を排除しなければならない。これには時間がかかり、動的な測定の機会が損なわれる。というのは、基本的に端点だけが検出されるためである。
本発明では、結合材料だけを散乱光スペクトルにおける波長シフトによって検出するため、いずれにしても未結合標的の存在が測定の邪魔になることはない。本発明にはレポーター基は必要ないが、標的と会合する種を利用して、結合時の粒子表面付近での屈折率の摂動を増やしてアッセイの感受性を高めることはできる。このようなシグナル増幅手段は、好ましくは二酸化チタンまたはシリカのナノ粒子などの分析物に付着する小さな誘電性粒子である。この粒子は、プローブと標的との間の結合に干渉しない程度に小さくなければならず、また散乱光共鳴の検出にも干渉しない程度に小さくなければならない。一般に、このような粒子は大きさが数ナノメートルから数十ナノメートルのものである。
シグナルを増幅する別のやり方に、酵素反応、抗体/抗原反応あるいは、ローリングサイクル型増幅などのインサイチュ核酸増幅法といった化学反応を利用するやり方がある。このような方法では特に、特定の標的の結合が生じるときにだけ粒子表面に質量が加わる。シグナル増幅種を利用するか否かを問わず、文献に記載の方法で必要な洗浄ステップが任意になり、最も重要なこととして、結合測定を実験の間に依然としてリアルタイムにできる点がある。本発明のこの特徴があることで、完全に新しいクラスの粒子ベースのアッセイ測定、すなわち、それぞれ表面に既知の捕捉プローブのある識別可能な微粒子の大きな集団で時間依存性結合の迅速かつ大規模な並列判定が可能になる。薬物標的のスクリーニング、プロテオミクス、遺伝子またはタンパク質の発現分析といった多岐にわたるエリアでこの技術を応用する大きな機会を、当業者であれば理解できよう。
これとは別の本発明の利点に、粒子のアイデンティティの判定と分析物の結合度の判定の両方に統合された検出方法およびシステムを利用できることがある。粒子のアイデンティティはスペクトルの特徴の相対的なパターンで含まれ、その特徴の絶対的な位置で含まれるわけではない点に注意されたい。標的が結合すると、相対的なパターン(すなわち粒子のアイデンティティ)が保存され、パターンのシフトは分析物結合の度合いを示すことになる。統合された検出方法を用いることで、現在の方法と比較して全体としてのシステムが単純になり、試薬数が減り、ハードウェアも少なくなり、プロトコールが簡単になることから、現在よりも高速で低コストかつ自動化しやすいシステムが得られる。
特定の分析物の存在および場合により濃度を求める最終ステップは、特定のプローブまたは捕捉プローブと散乱スペクトルがシフトした微粒子との関連付けである。上述したように、本発明の好ましい実施形態では、この関連付けを、共鳴光散乱スペクトルの特徴のパターンに反映される微粒子の一意なアイデンティティによって提供できる。この方法によれば、特定の標的が結合しているだけでなく、定義された条件下での結合動態をも含む複合試料の結合特性を、1回の実験で判定することが可能である。あるいは、以下の実施例で示すように、特定の分析物の存在および場合により濃度については共鳴光散乱で判定するが、プローブおよび分析物のアイデンティティについては従来技術においてすでに周知の他の手法で判定してもよい。
以下の実施例において本発明をさらに定義する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、例示目的であげたものにすぎない点を理解されたい。当業者であれば、上記の説明および以下の実施例から本発明に不可欠な特徴を把握することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変更および改変を施してこれをさまざまな用途および条件に合わせることができる。
基本方法
実施例で用いる標準的な組換えDNAおよび分子クローニング法は従来技術において周知であり、サムブルック(Sambrook),J.、フリッチ(Fritsch),E.F.およびマニアティス(Maniatis),T.著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、コールドスプリングハーバーラボラトリー出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)(1989)(マニアティス(Maniatis))およびT.J.シルハヴィ(Silhavy)、M.L.ベンナン(Bennan)およびL.W.エンキスト(Enquist)著、Experiments with Gene Fusions、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)(1984)ならびに、オースベル(Ausubel),F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology、グリーンパブリッシングアソシエーツアンドウィレイ−インターサイエンス(Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience)、ニューヨーク州ニューヨーク(1987)に記載されている。
略号の意味は以下のとおりである。「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「Å」はオングストロームを意味し、「mM」はミリモル(millimolar)を意味し、「M」はモル(molar)を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmol」はマイクロモルを意味し、「pmol」はピコモルを意味し、「nmol」はナノモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「V」はボルトを意味し、「dc」は直流を意味し、「g」は引力定数を意味し、「W」はワットを意味し、「mW」はミリワットを意味し、「PBS」はリン酸緩衝生理食塩水を意味し、「rpm」は1分あたりの回転数を意味し、「PEGM」はポリ(エチレングリコール)メタクリレートを意味する。
以下の実施例に記載の共鳴光散乱スペクトルのシフトは、平均±標準偏差として得たものである。
実施例1
共鳴光散乱による個々のガラス微粒子の識別
本実施例の目的は、光プローブ系を利用して共鳴光散乱スペクトルで個々のガラス微粒子を識別することについて示すことにあった。
屈折率約1.9、直径約35〜40μmの球形のガラス微粒子(ミズーリ州ローラ(Rolla)のMO−Sci社(MO−Sci Corp.)、製品番号GL−0175、ロット7289552−S1)を、さらに処理することなく利用した。粒子約0.5gを蒸留水約10mLに入れ、マグネチックスターラーバーを用いて懸濁液を生成した。この懸濁液約0.1mLの試料を図3に示すような厚さ約2mmの頂部テフロン(登録商標)AF 2400(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン社(DuPont Co.))ウィンドウ001に載せた。場合により懸濁液をテフロン(登録商標)AF 2400のカバーフィルム(厚さ約0.05から0.13mm)003で覆い、ガラス微粒子002を頂部ウィンドウ001の上面で自然に落ち着かせた。続いてセルをスクリューで密閉した。このセルを図4の検出装置の移行ステージにおいた。マルチファイバ光プローブ005(バージニア州ウィリアムズバーグ(Williamsburg)のロマック社(RoMack,Inc.))の中心にある励起用ファイバ004をチューナブルダイオードレーザ光源006(モデルAQ4321、メリーランド州ジャーマンタウン(Germantown)の安藤電気株式会社(Ando Electric Co. Ltd.))に接続した。レーザコントローラ内のチョッパーを利用して、レーザ光を変調した。外側の6本の収集用ファイバ007を光学的に組み合わせ、この組み合わせを光検出器008(モデル2011、カリフォルニア州サンノゼ(San Jose)のニューフォーカス社(New Focus Inc.))に接続した。チョッパーを用いて同期検出モードにしたロックイン増幅器009(モデル5301A、テネシー州オークリッジ(Oak Ridge)のEG&Gプリンストンアプライドリサーチ(EG&G Princeton Applied Research))に、シグナル出力を送った。ロックイン増幅器の出力については、パーソナルコンピュータ010(デルプレシジョン(Dell Precision) 420ワークステーション、テキサス州ラウンドロック(Round Rock)のデルコンピュータ社(Dell Computer Corporation))内に示したデータ取得ボード(PCI−6110E、テキサス州オースチン(Austin)のナショナルインスツルメンツ(National Instruments))に送った。カスタムソフトウェアを書いてレーザ走査を制御し、散乱光強度を取得して波長の関数として表示した。
単一の粒子から散乱光スペクトルを取得するには、セルの下に装着した顕微鏡付きビデオカメラ012(モデルKP−M2RNのCCDカメラ、カリフォルニア州サンノゼ(San Jose)の日立インスツルメンツ(Hitachi Instruments)をイリノイ州バノックバーン(Bannockburn)のレイカマイクロシステムズ(Leica Microsystems)のワイルドマクロズーム(Wild Makrozoom)タイプ246634の顕微鏡013を接続したもの)を活用して、光学セル014を含む移行ステージ011を動かすことで、ファイバオプティクスプローブ005を1つの粒子の上の中心に合わせた。ファイバオプティクスプローブの視野の画像をビデオモニタ017に表示した。別の水層016を利用して、検出プローブと試料微粒子とを光カップリングした。プローブと1個の粒子とを整列させたら、特定の波長(一般に1570から1620nmで20秒)でダイオードレーザ006を走査した。得られた散乱光スペクトルを取得し、表示し、ディスクに保存した。このプロセスを繰り返して試料中の他の粒子からのスペクトルを得た。代表的なスペクトルの組を図5に示す。それぞれの粒子が一意な散乱スペクトルを持つことが分かる。それぞれの粒子を一意に識別する特徴を抽出するために、これらのスペクトルをさらに自動スペクトル分析法にかけることができる。
実施例2
共鳴光散乱画像形成によるガラス微粒子の多様性の識別
本実施例の目的は、スペクトル画像形成システムを利用した共鳴光散乱によるガラス微粒子の多様性の識別について示すことにあった。
図7に示すスペクトル画像形成システムを利用して、複数のガラスミクロスフェアからの共鳴光散乱スペクトルを同時に取得・処理した。頂部のテフロン(登録商標)AF 2400ウィンドウの下に入れた水の代わりに、蒸留水100部に対してインク(ヒギンズファウンテンペンインディアインク(Higgins Fountain Pen India Ink)、品番46030〜723、イリノイ州ベルウッド(Bellwood)のサンフォード社(Sanford Co.))1部からなるインクアブソーバ溶液018を利用して図3の光学セルを図6に示すように変更した。このインク溶液は、ミクロスフェアと相互作用しなかった入射光を吸収することで、散乱および後方反射からの光学ノイズを低減する機能を果たした。実施例1と同様にして画像形成用光学セル019にガラス微粒子002を入れ、対物レンズ020を装着した市販光学顕微鏡021(モデルDMRXE、レイカマイクロシステムズ(Leica Microsystems))のステージにおいた。屈折率が約1.9の粒子がこの実施例の粒子の約70%を占め、屈折率約1.7の粒子が約30%を占めていた。
粒子とその液体環境を光学系から分離するのに利用したテフロン(登録商標)AF フィルム003は任意であり、分析結果には影響しなかった。このようなフィルムまたはこれと等価なものを使用するかどうかは、実験の長さ、温度、粒子を囲む溶液からの蒸発損失率、実験のタイムスケールなどの要因によって判断した。フィルム003を用いる場合は、フィルムと光プローブとの間に別の水層を加え、シグナルを効率よく光カップリングできるようにした。ダイオードレーザ022(モデルVelocity 6312、ニューフォーカス社(New Focus,Inc.))を光源として利用して、顕微鏡013を明視野照明にセットアップした。レーザ出力を直径4mmのプラスチックファイバ023にカップリングし、このファイバの出力を、標準光源に代えて顕微鏡の照明用オプティカルトレイン(optical train)においた。DC約3Vで駆動されるミニチュア「ブザー」モータ024(フロリダ州レイクパーク(Lake Park)のマーリン(Marlin) P. ジョーンズアンドアソシエーツ社(Jones & Assoc. Inc.)、品番12342−MD)のシャフトをファイバに直接取りつけることで、ファイバを機械的に振動させた。この振動によって、画像データの取得と分析に干渉しかねない照明視野内のレーザのスペックルパターンを除去することができた。画像の干渉フリンジをさらに除去するために、顕微鏡の製造業者が付けた標準的なビームスプリッタをペリクルタイプのビームスプリッタ025(エドマンドインダストリアルオプティクス(Edmund Industrial Optics)、ニュージャージー州バーリントン(Barrington)、品番A39−481)に交換した。
多様な粒子から同時に散乱スペクトルを取得するために、まず一組の粒子を顕微鏡の視野内におき、対物レンズ020の焦点を合わせた。ダイオードレーザの波長によっては、レーザ自体あるいは、ヘリウムネオンレーザなどのレーザと一時的に交換した別の光源で試料に光線を照射することで、これを実現した。視野内で該当する粒子に焦点を合わせたら、一般に770から780nmの波長で20秒間レーザを走査した。この走査の間、デジタルカメラ026(モデルKP−M2RN、日立インスツルメンツ(Hitachi Instruments))で各波長での視野の完全な散乱光画像を取得した。それぞれの画像をパーソナルコンピュータ010(デルプレシジョン(Dell Precision) 420ワークステーション)にインストールした画像捕捉ボード027(IMAC PCI−1409、ナショナルインスツルメンツ(National Instruments))で捕捉した。カスタムソフトウェアを書いてそれぞれの画像を保存した。波長の走査によって、走査波長それぞれについて一組のリンク画像が得られた。典型的な画像を図8に示す。
一組の波長リンク画像から視野内のそれぞれの粒子の散乱スペクトルを判定するために、たとえば、図8の画像に見られるようなそれぞれの粒子中心の反射光107の明るい点を囲む輪の形をした散乱光画像106の一部など、各粒子に対応する画像の代表的な領域を識別するソフトウェアを書いた。この実施例では、入射光線と散乱光線を独立に偏光したが、その2本の偏光軸は互いに平行である。これにより、図8の中央の画像にそれぞれ数字12、3、6、9で示すように、円の12:00、3:00、6:00、9:00の位置を中心とした散乱光のセクターが得られる。「12」と「6」の領域からの散乱光スペクトルが等しく「3」と「9」の領域からの散乱光スペクトルが等しいことが、理論で予測され、結果で確認されている。さらに、2対のセクターのスペクトルは互いに異なっている。これにより、単一のスペクトルではなく、2つの実質的に独立したスペクトルの組み合わせで粒子を識別する機能が得られ、識別可能な粒子の多様性が増し、識別の精度も高くなる。
単一の粒子について偏光依存性スペクトルの概念を図9に示す。「12」と「3」の位置の領域は、粒子の散乱スペクトルを表すために画素を選択した該当領域として識別された。画素については以下のようにして選択した。まず、画像の領域(たとえば、図9の12:00)を大きな画像から選択した。選択したエリア内で、それぞれの画像を単一の波長で取得する、画像L1、L2、L3 ・・・ Lnのスタックの各画素で表されるスペクトルを、ソフトウェアで計算した。次に、選択アルゴリズムを利用して、対応するスペクトルが選択規準を満たすかこれを超える画素を選び出した。この実施例では、量(Max−Min)/Min(式中、Maxはスペクトル強度の最大値、Minはスペクトル強度の最小値である)が最高になる(Min=0の場合、ソフトウェアがMin=1に設定)選択エリアで10から20画素を選ぶことを規準とした。これらの画素のスペクトルを平均した。このようなスペクトルの例を図9の右側に示す。図示されているのは、「12」の領域と「3」の領域のスペクトルである。上述したように、これらの領域のスペクトルは異なっている。
上記の画素選択規準は例示にすぎず、スペクトルピークと下にあるスペクトル基線との間のコントラストの一測定結果を表している。他の規準または規準の組み合わせを利用して大きな集合から特定の画素を選択することも可能であろう。
多様な粒子を識別するのに一意なスペクトルを用いることについて、以下の例に示す。対のスペクトル(それぞれの粒子で一方を「12」の領域、他方を「3」の領域から)を、上述したようにして87個の異なる粒子から得た。それぞれのスペクトルには波長770nmから780nmで1500個のデータ点が含まれていた。これらのスペクトルを「指紋」として利用し、粒子を識別した。各粒子の「12」のスペクトルを同じ集合内の他のすべての粒子の「12」のスペクトルと比較した。定量的に、相関係数の二乗(Rの二乗)をそれぞれの粒子の「12」のスペクトルと他のすべての粒子の「12」のスペクトルとの間で計算した。これと同じ相関計算をそれぞれの粒子の「3」のスペクトルと同じ集合内の他のすべての「3」のスペクトルとの間でも行った。いずれかの粒子(粒子nとする)が同じ集合内の他のいずれかの粒子(粒子mとする)と十分似ているように見えるか否かを次のアルゴリズムに従って判断し、それぞれの粒子の「指紋」の一意性の度合いを判定した。
IF R−Squared(Pn, Pm, 12) > T AND R−Squared(Pn, Pm,3) > T THEN Particle_match = True
Otherwise: Particle_match = False
式中、
R−Squared(Pn, Pm, 12)=散乱光画像の「12」の位置から得た粒子nと粒子mの散乱光スペクトルの間の相関係数の二乗
R−Squared(Pn, Pm, 3)=散乱光画像の「3」の位置から得た粒子nと粒子mの散乱光スペクトルの間の相関係数の二乗
T=閾値
粒子同士が同じアイデンティティを持つとされた場合はParticle_match=True、それ以外はFalse
画素選択と粒子類似性の規準を発展させる目的は、ある集合内ですべての粒子を一意に識別するための効果的な手段を開発することにあった。スペクトルが十分に一意であって、閾値が適切に選択されている場合に、上記のアルゴリズムでどの粒子のマッチも存在しない形が理想である。この実施例では、Tを0.75から1.0の間に設定することで、87個の粒子すべてについて完全に一意なスペクトル信号が得られた。これは、「偽陽性」がまったくなかった、すなわち、マッチするものとして割り当てられた2個の粒子がまったくなかったことを意味する。Tを0.60まで減らすと、マッチのストリンジェンシーが低くなり、若干似ている粒子同士が同一であるとして受け入れられるため、4950組のうち10件の偽陽性が生じた(精度が100%から99.8%に落ちた)。よって、この実施例では、偽陽性をなくす上で閾値0.75が適切であった。
また、「偽陰性」すなわち、異なる環境条件下または画素選択規準の光のばらつきがある状態で、違うタイミングで行う同一粒子の2回の走査が、選択したアルゴリズムでマッチしないかどうかを試験する必要もあった。このようなばらつきとは関係なく粒子を忠実に識別する機能を以下のようにして試験した。4個の粒子で、同一粒子に対してタイミングを変えるか画素選択規準のばらつきを小さくして行った、独立した別々のスペクトルスキャンを画像データソースとして利用した。これらの粒子について合計で13種類のばらつきを利用した。繰り返すが、設定をT=0.75としたところ、偽陰性のない状態で完全なマッチが得られた。Tを0.90まで上げると、4950組のうち7件の偽陰性が生じ(精度が100%から99.9%に落ち)、T=0.95で精度は100%から99.7%に落ちた(4950組のうち偽陰性14件)。これは、極めて高いストリンジェンシー要件を利用すると、わずかに異なる条件で同一粒子から得たスペクトルの小さなばらつきが、マッチしない結果につながる場合があるという事実を反映している。しかしながら、この実施例では、代表的な粒子集合では、極めて高い精度の粒子識別結果が得られるような形で画素選択規準と類似性規準を定義可能だということが、明らかに示されている。
ここに示す実施例は例示目的のものにすぎず、簡単に拡張および自動化してさらに多くの粒子を識別・追跡することが可能であろう。たとえば、当業者であれば、一歩進んだ画素選択規準、パターン認識手法、スペクトルコーディング方法を開発し、多くの粒子のある視野内でそれぞれの粒子の位置を定めて識別することができよう。
実施例3
共鳴光散乱を利用したビオチニル化微粒子でのアビジン結合の検出
本実施例の目的は、共鳴光散乱を利用してビオチニル化ガラス微粒子へのアビジン結合の検出について示すことにあった。シラン化学を利用してガラス微粒子の表面にアミン基を導入した。続いて、これらの微粒子をスルホ−NHS−SSビオチンとの反応によってビオチニル化した。共鳴光散乱を利用してビオチニル化微粒子へのアビジン結合を検出した。粒子からのアビジン切断時の結合信号の可逆性についても示した。
A.微粒子の表面調製
まず最初に、高屈折率ガラス微粒子(ミズーリ州ローラ(Rolla)のMo−Sci社(Mo−Sci Corp.)、製品番号GL−0175、ロット7289552−S1、屈折率約1.9)を0.5M HNOで室温にて5分間洗脱して清浄した。これらのガラス粒子を以下の一連のステップで処理した。脱イオン水でのすすぎ、5〜10%NaOHで室温にて30分間の処理、水でのすすぎ、真空オーブンにて110℃で一晩の乾燥。
清浄後のガラス微粒子を、無水トルエン中にて24時間還流することで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ(Aldrich)、製品番号440140、ロット番号20515DA)でシラン化し、粒子の表面にアミン基を導入した。反応混合物を濾過し、シラン化微粒子を単離した。続いて、シラン化微粒子をトルエンおよびアセトンで順にすすいだ後、0.5〜1時間空気乾燥させ、オーブンにて4時間から一晩の時間をかけて110〜120℃で硬化させた。
シラン化微粒子におけるアミン基の表面占有率を滴定によって判定した。滴定前、1%酢酸溶液1mLを含有する蒸留水50mLにシラン化微粒子0.3gを分散させた。酢酸を利用してガラス微粒子を軟化し、すべてのアミン基に滴定剤が行き渡るようにした。微粒子分散液を攪拌し、4時間で40℃まで加熱した後、室温まで冷ました上で滴定を行った。続いて、希釈した過塩素酸(0.0259N)を滴定剤として用いて、微粒子表面のアミン基を滴定した。表面アミン占有率は微粒子1グラムあたり0.045mmolであることが分かった。これらのシラン化微粒子をESCA(化学分析用の電子分光)でも分析した。ESCAの結果から、シラン化微粒子表面要素の約5%がアミン基由来の窒素原子であることが分かった。
B.微粒子表面のビオチニル化
pH7.4、0.1Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に濃度25mg/mLで溶解させた2倍モル過剰のスルホスクシンイミジル−2−(ビオチンアミド)エチル−1,3−ジチオプロピオネート(スルホ−NHS−SS−ビオチン)(イリノイ州ロックフォード(Rockford)のピアースバイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology Inc.)、製品番号21331、ロット番号DD53927)中にてシラン化微粒子をインキュベートすることで、ビオチニル化を実施した。このとき、微粒子を上記溶液中で0.5〜1時間室温にてインキュベートした。表面のアミン基は中性pH値以上でN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)と反応し、ビオチンと微粒子表面との共有結合が生じる。マイクロ濃縮器(セントリプラス(Centriplus)(登録商標)遠心フィルタ、モデルYM−100、マサチューセッツ州ベッドフォード(Bedford)のミリポア社(Millipore Corporation))を使用して、緩衝液での洗浄によって未反応のスルホ−NHS−SS−ビオチンを除去した。続いてビオチニル化微粒子を真空中室温にて一晩乾燥させた。
C.ビオチン−アビジン結合
実施例2に基づく手順を利用して、微粒子の散乱光スペクトルを測定した。パートBの手順で調製したビオチニル化微粒子をpH7.4、0.4M(0.1Mリン酸ナトリウム、0.3M NaCl)PBS緩衝液に分散させた。この懸濁液のアリコートを光学セルに入れた。この実験のために、図6に示すセル019から上側のテフロン(登録商標)AF フィルム003を取り除き、セル側面に流体流入口と流出口のポートを取り入れて、フローセルとして利用できるように変更した。多数の微粒子が含まれる視野を選択した。続いて、770および780nmでダイオードレーザ光源022を50秒間走査した。各波長間隔で、視野内にあるすべての粒子からの散乱光のデジタル画像を画像捕捉ボード027で取得し、パーソナルコンピュータ010にインストールしたソフトウェアでデータを格納および分析した。視野内のいくつかの微粒子を、たとえば図10Aに示すように後の詳細なスペクトル分析用に選択した。図10Aは、波長走査時に波長ステップ1回あたり1枚ずつ得られた1500枚の散乱光画像のうちの1枚である。実施例2で説明したようにして波長依存性散乱光画像全体を分析することで、この粒子の散乱光スペクトルを得た。図10A左上の微粒子からの散乱光スペクトルを図10Bに示す。
アビジンをビオチニル化表面に結合させるために、フルオレセインイソチオシアナート標識アビジン(FITC−アビジン)(ミシガン州セントルイス(St.Louis)のシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品番号A2050、ロット091K4842、FITC/タンパク質モル比=3.9)56μg/mLをpH7.4、0.4M PBS緩衝液に加えたものからなる溶液を、流量約1.45mL/分で15分間ビオチニル化微粒子の間に流した。次に、試料セルを純粋なPBS緩衝液でフラッシュし、結合前に使用したものと同じ媒質で共鳴光散乱を測定できるようにした。フルオレセイン標識の蛍光検出によって結合を独立に確認した。
散乱光スペクトル間の絶対波長シフトを正確に測定するには、レーザ走査トリガータイミングにおけるばらつきを明らかにする必要がある。ここでは、2つのエタロンを利用し、極めて正確に整合させることが可能な波長基準シグナルを生成して、走査タイミングのばらつきを補正することでこれを実現した。このエタロン参照手法の詳細については、下記のセクションE.で説明する。アビジン結合前後の波長整合スペクトル比較の一例を図10Cに示す。FITC−アビジン結合前と後のスペクトルの相互相関係数の二乗(Rの二乗)をスペクトル間の誘導波長シフトの関数として算出することで、シフトを定量化した。2つのスペクトルのうちの一方を他方に対して人工的に波長シフトさせ、両者間のRの二乗値を算出した。次に、スペクトルを再度シフトさせ、Rの二乗値を再計算するといった具合にして、シフトと相関との関係を生成した。Rの二乗値は、FITC−アビジンを微粒子に加えると誘導される自然なシフトに対応する波長シフトで、最大になると思われた。この分析の結果を図11に示す。同図では、エタロン相関の最大値と散乱スペクトル相関の最大値との差としてシフトを示してある。スペクトル整合後、アビジン結合によって誘導された波長シフトは、独立した粒子4個について2日間で得た、54件の独立したレーザ走査比較結果からなるデータセットで、0.034±0.007nmであった。
上記と同一のプロトコールを用いて、別の日に別の実験工程で得た上記に匹敵するデータセットでは、アビジンの特異的結合時に波長シフトが0.038±0.010(N=測定36回、粒子1個)となったことから、スペクトルシフト測定の日による再現性が良好であることが明らかになった。
タンパク質判定用のブラッドフォード(Bradford)法(ブラッドフォード(Bradford)、Anal. Biochem. 72、248〜254(1976))を利用して、ビオチニル化微粒子でのアビジンの結合も定量化した。ビオチニル化試薬スルホ−NHS−SS−ビオチンでビオチン微粒子リンケージにジスルフィド結合を加えると、2−メルカプトエタノールまたはジチオトレイトール(DTT)などの還元剤によってアビジン−ビオチンコンジュゲート全体を微粒子から切断することが可能である。アビジン結合微粒子を50mM DTT(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品番号D−9779、ロット番号072K0916)中、pH7.4、0.4M PBSで40分インキュベーションした後、ブラッドフォード(Bradford)法を利用してどれだけのアビジンがインキュベーション上清に放出されたかを判定した。結果は、微粒子でアビジンがほぼ単層膜を占有している状態に相当する、微粒子1グラムあたりアビジン2.28nmolであった。
D.DTT切断
DTT処理により微粒子からビオチン/アビジン複合体を除去して、アビジン結合によって生じる共鳴光散乱スペクトルシフトの可逆性を試験した。DTTによって、ステップBで得られた微粒子に対するビオチンリンケージのジスルフィド結合が減少した。50mM DTTを、pH7.4、0.4M PBSに加えたもの約40mLを光学セルに通すとともに微粒子の表面を流した後、15分間のインキュベーションを行った。続いて、pH7.4、0.4M PBSで試料セルをフラッシュし、共鳴光散乱スペクトルを得た。DTT処理の前と後の散乱スペクトルを図12に示し、上述したような自己相関関数で測定した相対シフトを図13に示す。複数回の実験と異なる微粒子で、DTT処理によって誘導される逆シフトを確認し、平均を取ったところ−0.034±0.007nmであったことから、微粒子からビオチン/アビジン複合体が除去されたことが分かった。
これらの結果は、共鳴光散乱を利用して多様な微粒子でのタンパク質の結合と放出を検出可能であることを示している。
E.エタロンを利用した波長整合
共鳴光散乱スペクトルのシフトを測定する場合、取得した散乱スペクトルの波長成分が高い精度で分かることが絶対的に必要である。レーザ走査の起動とコンピュータによるデータ取得の開始との間のタイミングの不確かさが原因で、実際のシフトは起こっていないときにデータに見かけのスペクトルシフトが生じる可能性がある。したがって、スペクトルデータを補正し、偽りの「タイミング」シフトを除去しなければならない。どれだけ大きな波長補正が必要であるか判断するには、波長登録用に特徴が既知でなおかつ安定している基準スペクトルを記録する必要がある。波長補正/登録を十分な精度で行うには、基準スペクトルにおけるスペクトルの特徴がかなりはっきりとしていることがさらに重要である。
本願発明者らは、エタロンの平面スペクトルを基準スペクトルとして用いることにした。エタロンとは、分光法で半分が銀色で互いに平行な2枚のガラスまたは石英板間の複数の反射によって生じる干渉作用による波長の測定に利用される装置のことである。本願発明者らは、厚さが異なる2枚のガラス板(具体的には、厚さ1mmと0.15mmのホウケイ酸ガラス)を利用して、干渉パターンの高周波成分と低周波数成分とを得た。理想的なエタロンの透過量についての数式すなわちエアリ関数は以下のとおりとなる。
Figure 2006515420
式中、
T=透過量
R=鏡の反射率
Φ=光線の往復の位相変化
鏡の表面で無視される位相変化がある場合は、次のようになる。
Figure 2006515420
式中、
λ=光の波長
n=鏡と鏡の間にある材料の屈折率
d=鏡と鏡との距離
θ=入射光線の角度
厚さが異なり、異なるスペクトル周波数(あるいは比較的「広い」干渉フリンジと「狭い」干渉フリンジ)が得られる2つのエタロンを直列で使用して、偽の「タイミング」シフトが狭い干渉フリンジ1つを上回る場合にデータが誤って整合される可能性を排除した。レーザの走査を行う都度、エタロンスペクトルを共鳴光散乱スペクトルと一緒に取得した。比較対象となる2回のレーザ走査の基準エタロンスペクトルを自己相関アルゴリズムで分析し、偽スペクトルシフトがある場合にその大きさを判定して、これを利用して共鳴光散乱データを補正した。2つのスペクトルは互いに波長増分的にシフトし、両者間の自己相関係数を各波長増分ごとにコンピュータで求めた。スペクトルが最もよい状態で整合したときに自己相関係数が最大になり、基準エタロンスペクトルの相関が最大になったときに相当する波長シフトを利用して、対応する共鳴光散乱スペクトルの見かけ上のシフトを補正した。
スペクトルシフトの比較対象となる2つの散乱光スペクトルの一例を図14Aに示す。図示のように、これらのスペクトルは波長整合されていないため、真のスペクトルシフトは未知である。各波長の走査時、入射光の一部を同時にエタロンに送り、その走査での波長スケールが正確に反映された干渉パターンを生成する。比較対象となる2つの散乱光スペクトルに関連した2つのエタロンスペクトルの一例を図14Bに示す。次に、オリジナルのスペクトル対(図14A)同士とエタロンのトレース(図14B)同士の相関分析を行った。このような分析の一例を図14Cに示す。この図は、オリジナルのスペクトルが0.185nmシフトし、エタロンのスペクトルが0.145nmシフトしたことを示している。したがって、結合による散乱光スペクトルの正味のシフト量はこれら2つのシフトの差すなわち0.040nmになる。波長を補正したスペクトルを図14Dに示す。
実施例4
共鳴光散乱を利用したビオチン−アビジンベースのサンドイッチアッセイにおける複数のタンパク質層の結合の検出
本実施例の目的は、共鳴光散乱を利用して、ガラス微粒子でのビオチン−アビジンの相互作用に基づく複数のタンパク質層の結合を測定することについて示すことにあった。ビオチニル化ガラス微粒子を、アビジン、ビオチニル化抗−ウシIgG、ウシIgGと順に反応させた。共鳴光散乱を利用して各ステップの後の結合を検出した。
A.表面調製および微粒子表面ビオチニル化
実施例3(ステップAおよびB)で説明したものと同じ高屈折率ガラス微粒子と同じ微粒子表面ビオチニル化プロトコールを利用した。
B.ビオチン−アビジン結合
共鳴光散乱を利用したインサイチュでの結合の検出を行うために、実施例3で説明したものと同じ手順を利用した。アビジン結合前に、pH7.4、0.15M(0.01Mリン酸ナトリウム、0.14M NaCl)PBS中にてビオチニル化微粒子での共鳴光散乱スペクトルを得た。続いて、アビジン(卵白由来、シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品番号A9275、ロット番号22K7017)75μg/mLを、pH7.4、0.4M(0.1Mリン酸ナトリウム、0.3M NaCl)PBS緩衝液に加えたものからなる溶液20mLを、ビオチニル化微粒子を仕込んだ試料セルに、約1.5mL/分の流量で流した。続いて、純粋なpH7.4、0.15M PBSでセルをフラッシュし、結合前に使用したものと同じ媒質で共鳴光散乱を測定できるようにした。
C.アビジン−ビオチニル化抗体結合
ステップBの後、ビオチニル化抗−ウシ免疫グロブリンG(IgG)[H+L][ヤギ](ペンシルバニア州ギルバーツビル(Gilbertsville)のロックランド社(Rockland Inc.)、製品番号601−1602、ロット番号1040、IgG分子全体にビオチニル化部位をランダムに分布させたもの、IgG分子1個あたりビオチニル化部位約10〜20)50μg/mLを、pH7.4、0.15M PBSに加えたものからなる溶液20mLを、流量約1.5mL/分で試料セルに通した。続いて、微粒子をビオチニル化抗−ウシIgG溶液中にて1時間インキュベートした。その後、同じPBSで試料セルをフラッシュし、複数の共鳴光散乱スペクトルを得た。
D.抗体−抗原結合
ステップCの後、ウシIgG(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品番号I−5506、ロット番号042K9023)50μg/mLを、pH7.4、0.15M PBSに加えたものからなる溶液20mLを、流量約1.5mL/分で試料セルに通した。続いて、微粒子をウシIgG溶液中にて1時間インキュベートした。その後、同じPBSで試料セルをフラッシュし、複数の共鳴光散乱スペクトルを得た。
ステップB〜Dで得られたスペクトルの例を図15に示す。すべてのスペクトルを実施例3で説明したようにしてエタロン補正値と整合させた。ステップB、C、Dのスペクトルシフトを自己相関法(N=18での測定の全平均)で基準(未結合の)状態と比較したところ、それぞれ0.031±0.005nm、0.069±0.007nm、0.077±0.008nmであった。これらの結果から、アビジン、抗−IgG、IgGの連続的な結合を個々に測定可能であることが明らかに分かる。ウシIgGの結合によって誘導されるシフトの増大量はアビジンの結合やビオチニル化抗−ウシIgGの結合によって誘導される場合に比して小さかった。ランダムな配向でアビジンに結合したビオチニル化抗−ウシIgG分子ならびにその抗原結合端が、ウシIgG分子の結合に最適な形で整合・露出しなかった可能性が最も高い。
E.DTT切断
実施例3で説明したものと同じDTT処理を実施して、ビオチン/アビジン/抗−IgG/IgG複合体を微粒子から切断した。別々の実験と微粒子すべてで逆スペクトルシフトが観察され、開始条件に対する平均シフトは0.026±0.008nm(N=18での測定)であった。これらの結果から、結合していたタンパク質層のほとんどがDTT処理で微粒子から放出され、第1のビオチン/アビジン層の一部だけが表面に残ったことが分かる。
実施例5
共鳴光散乱を利用したプロテインGベースのサンドイッチアッセイにおける複数のタンパク質層の結合の検出
本実施例の目的は、共鳴光散乱を利用してガラス微粒子での配向を制御した複数のタンパク質層の結合を測定することについて示すことにあった。プロテインG’を二官能基架橋剤でアミン誘導体化微粒子にカップリングした。プロテインG’微粒子に対するマウスIgG、さらには抗−マウスIgGの結合を共鳴光散乱で検出した。
A.微粒子表面でのプロテインG’の表面調製および誘導体化
実施例3(ステップA)で説明したものと同じ高屈折率ガラス微粒子(RI=1.9、Mo−Sci GL−0175)と同じアミノシラン化プロトコールを利用して、微粒子表面でアミン基を導入した。このような微粒子を本願明細書ではアミン微粒子と呼ぶ。プロテインGは、G Streptococcal株の群から調製された細菌膜タンパク質である。このタンパク質は、哺乳動物IgG分子の定常領域(Fc)に特異的に結合できる。よって、プロテインGを利用してIgG分子の配向を制御することができる。プロテインG’は、Fc結合部位は保持されているが、アルブミン、Fab、膜結合部位の欠如した切断タンパク質である。このため、天然の形態よりもIgGに対する特異性が高い。プロテインG’を二官能基リンカーであるジメチルピメリミデート・2HCL(DMP)でアミン微粒子にカップリングした。プロテインG’(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)製品P−4689、ロット042K15451)をトリス−HCl緩衝液から凍結乾燥させ、架橋緩衝液(pH8.0、0.1M PBS)に緩衝液交換する必要があった。プロテインG’(1mg)を脱イオン水0.5mLに溶解させ、セントリプラス(Centriplus)(登録商標)YM−10マイクロ濃縮器(マサチューセッツ州ビレリカ(Billerica)のミリポア社(Millipore Corp.))を用いて緩衝液塩を除去した。このプロセスを3回繰り返し、pH8.0のPBS0.5mLでプロテインG’を再構成した。同時に、DMP(イリノイ州ロックフォード(Rockford)のピアースバイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology Inc.)、製品番号20666、ロットDH55682)約10mgをpH8.0、0.1M PBS 1mLに溶解させた後、アミン微粒子0.6gをDMP溶液に加えた。この混合物をボルテックスした後、室温にて約0.5時間インキュベートした。その後、マイクロ濃縮器を利用してPBS緩衝液で余分なDMPを洗い流し、DMP反応微粒子をプロテインG’溶液に移した。この微粒子懸濁液をボルテックスした後、ローテーターに入れたまま約1.5時間インキュベートした。続いて、上清を除去し、pH8.5、0.2Mトリス緩衝液を加えて反応物を急冷し、この溶液を1時間インキュベートした。続いて、水平ローターを用いて微粒子をPBS緩衝液で3回遠心洗浄し、微粒子を回収した。
直接ELISA(酵素結合免疫反応吸着測定法)を利用してプロテインG’微粒子を試験し、プロテインG’が微粒子にうまく結合していることを確認し、プローブ密度を判定した。ELISA試験では、正確に秤量した一連のプロテインG’微粒子と対照微粒子(プロテインG’を含有しない)をウサギ抗−ニワトリIgY、(H+L)、ペルオキシダーゼコンジュゲート(ピアース(Pierce)、カタログ番号31401、ウサギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート)中にて異なる濃度でインキュベートした。続いて、微粒子を7回洗浄した。OPD基質(ピアース(Pierce)、カタログ番号34006)溶液をプロテインG’微粒子試料および対照微粒子試料それぞれに加え、これらの試料を15分間インキュベートした。このインキュベーション後、各試料に停止溶液(1M硫酸)を加えた。ペルオキシダーゼコンジュゲート標準を同じようにして処理した。各微粒子試料から得た上清と同容量の標準溶液とを96ウェルのマイクロタイタープレートに移し、吸光度を測定した。対照微粒子試料では極めて低い吸光度であった。プロテインG’微粒子で高酵素コンジュゲート濃度にて得られた飽和吸光度を用いて、プロテインG’の表面密度を算出した。プロテインG’の算出表面密度は微粒子1グラムあたり0.44pmolであり、プロテインG’の各分子が2個のIgG分子と結合した(アケルストローム(Akerstrom),B.およびブジョルク(Bjorck)L.、J. Biol. Chem.、261、10240〜10247(1986))と仮定された。溶液中の遊離酵素の活性と比較して、固定化された酵素の活性は小さくなる場合があった。このように、ELISAの結果は遊離酵素から得た標準曲線に基づく不正確なものであるため、酵素活性抑制係数を求めて活性の補正に利用した。余分なプロテインG’微粒子をウサギ抗−ニワトリIgY、(H+L)、ペルオキシダーゼコンジュゲートの極めて薄い希釈溶液に加えた中でインキュベーションを行って、結合実験を実施した。プロテインG’微粒子への結合前と後のペルオキシダーゼコンジュゲート溶液の酵素活性の差から、粒子が占めた酵素活性を求めた。続いて粒子での酵素活性を測定した。粒子で測定された酵素活性に対するプロテインG’粒子に占めた酵素活性の比として、酵素活性抑制係数を算出した。この酵素活性抑制係数を判定したところ、3回の試験でそれぞれ26、19、18であった。活性抑制係数の中央値を19にしてプロテインG’表面密度を補正し、微粒子1グラムあたりの補正プロテインG’表面密度である8.36pmolを得た。
プローブ表面密度の判定には、別のやり方も利用した。プロテインG’をDMPでアミン微粒子にカップリングしたときと同じようにして、プロテインG、Alexa Fluor488 コンジュゲート(モレキュラープローブス(Molecular Probes)、カタログ番号P−11065)を、切断可能な二官能基リンカーである3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP、ピアース(Pierce)、カタログ番号21578)でアミン微粒子にカップリングした。続いて、プロテインG、Alexa Fluor488 コンジュゲートを50mM DTTで37℃にて一晩切断し、完全に切断されるようにした。切断物からの上清を分光光度計で検査し、製造業者が提示している消光係数71,000cm−1−1で、494nmでの吸光度をAlexa Fluor488色素の濃度の算出に利用した。続いて、製造業者が求めたタンパク質1モルあたり色素2.3モルの比から、プロテインGの濃度を算出した。この結果から、プロテインGの密度は微粒子1グラムあたり1.3nmolであり、補正ELISAでの結果と比して約150倍であることが分かった。この結果から、微粒子でのプロテインGプローブ密度の判定用にELISAの結果を補正するには、酵素活性抑制係数では不十分な場合があることが示唆された。しかしながら、全リンキング化学(all linking chemistry)で調製された微粒子にELISA試験を適用することは可能であり、この開示の誘導体化微粒子のほとんどでプローブ密度測定に用いられた。バッチごとのプローブ導出効率の比較にはELISAでの結果は有効であるが、プローブ密度の絶対数の判定には適さないことがある。
B.マウスIgGの結合
実施例3で説明したものと同じ手順を、共鳴光散乱によるインサイチュでの結合の検出に利用した。マウスIgGの結合前に、pH7.2、25mM(10mMリン酸ナトリウム、15mM NaCl)PBS緩衝液中のプロテインG’微粒子で基準スペクトルとして共鳴光散乱スペクトルを得た。続いて、マウスIgG(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品番号I5381、ロット番号042K9027)50μg/mLを同じpH7.2のPBS緩衝液に加えたものからなる溶液15mLを、プロテインG’微粒子の入った試料セルに、流量約1.5mL/分で循環させながら0.5時間通した。続いて、試料セルを純粋なpH7.2のPBS緩衝液でフラッシュし、結合前に使用したものと同じ媒質で共鳴光散乱を測定できるようにした。
C.抗マウスIgG結合
ステップBの後、Fab特異的ヤギ抗−マウスIgG(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)製品M6898、ロット012K4811)40μg/mLを、pH7.2、25mM PBSに加えたものからなる溶液15mLを、試料セルに流量約1.5mL/分で循環させながら0.5時間通した。その後、同じPBSで試料セルをフラッシュし、複数実験の共鳴光散乱スペクトルを得た。
相関結果から、ステップB(プロテインG’微粒子でのマウスIgGの結合)後の共鳴シフトは基準(未結合の)状態に対して0.054±0.007nmであり、ステップC(マウスIgGへの抗マウスIgGの結合)後のシフトは基準(未結合の)状態に対して0.111±0.016nmであることが分かった。したがって、IgG分子の配向を制御しておくと、シフトは結合分子の大きさに比例した。
実施例6
共鳴光散乱を利用したリアルタイムでの結合の検出
本実施例の目的は、共鳴光散乱を利用してガラス微粒子でのタンパク質の結合をリアルタイムで検出することについて示すことにあった。プロテインG’微粒子に対するマウスIgGの結合を時間の関数として測定した。
A.ガラス微粒子でのプロテインG’の表面調製および誘導体化
実施例5(ステップA)で説明したものと同じ高屈折率ガラス微粒子(RI=1.9、Mo−Sci GL−0175)と同じプロテインG’導出プロトコールを利用して、プロテインG’微粒子を生成した。
B.マウスIgGの結合のリアルタイムでの検出
共鳴光散乱を利用したインサイチュでの結合の検出を行うために、実施例3で説明したものと同じ手順を利用した。マウスIgG結合前に、pH7.2、25mM(10mMリン酸ナトリウム、15mM NaCl)PBS緩衝液中にて、基準スペクトルとしてプロテインG’微粒子での共鳴光散乱スペクトルを得た。続いて、マウスIgG(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品番号I5381、ロット番号042K9027)15mLを同じpH7.2のPBS緩衝液に加えたものを、プロテインG’微粒子を仕込んだ試料セルに、流量約1.5mL/分で循環させながら約30〜60分間通した。5分ごとに、循環を停止させ、共鳴光散乱スペクトルを得た上で循環を再開した。このため、結合動態をリアルタイムにフォローすることができた。インキュベーション終了時、純粋なpH7.2のPBS緩衝液で試料セルをフラッシュし、結合前に使用したものと同じ媒質で共鳴光散乱を測定した。これらのリアルタイム結合検出実験を、マウスIgG濃度10μg/mL、50μg/mL、500μg/mLで実施した。自己相関分析を利用して共鳴波長のシフトを得た。
試験したマウスIgG濃度で共鳴シフトの経時変化が認められる、この研究の結果を、表1にまとめるとともに図16に示しておく。各データ点は3〜4個の異なる微粒子での平均であり、誤差指示線は測定の標準偏差を示す。これらのデータから明らかなように、試験したマウスIgG濃度が高くなればなるほど、共鳴シフトが時間の経過につれて大きくなったことから、結合率が高くなった。また、これらのデータでは、マウスIgG濃度が50μg/mLを超えると共鳴シフトならびに結果として結合が最大に達したが、一方、濃度10μg/mLだと飽和結合レベルの約70%しか観察されなかったことも分かる。このように、共鳴光散乱の検出は準単一層結合検出の影響を受けやすい。
Figure 2006515420
このプロセスには混合の関与する余地がなかったため、図16に示す結合動態は拡散限定結合率を反映しただけのものである。実際の生物学的結合動態については、物質移動速度を高めるためのマイクロ流体混合装置を用いて、リアルタイムで測定できる。
緩衝液でのフラッシュ後に測定した共鳴シフトは、インキュベーション終了時ではあるが緩衝液でのフラッシュ前に得られたものと同じであった。この結果から、緩衝生理食塩水中の低濃度のタンパク質分子は、スペクトルを得た媒質のスペクトルにほとんど何の影響もおよぼさなかったことが分かる。したがって、本願発明者らは、純粋な緩衝液にて得たスペクトルを、マウスIgG溶液で得たダイナミックデータに対する開始点および0シフト基準として利用することができた。タンパク質と核酸の濃度が高い、血清または細胞抽出物などの実際の生物試料では、共鳴光散乱スペクトルは単に媒質が変わっただけの理由でシフトする。こういった場合は、その生物試料の開始点をリアルタイム検出用の0シフトの基準点として利用することになろう。
実施例7
共鳴光散乱検出を利用した血清バックグラウンドでのタンパク質結合アッセイ
本実施例の目的は、共鳴光散乱を利用した血清バックグラウンドでの特異的結合の検出について示すことにあった。微粒子にポリ(エチレングリコール)メタクリレート(PEGM)を被覆して非特異的結合を減らし、続いて蛍光色素であるAlexa Fluor(登録商標)488をPEGMコーティングの水酸基とカップリングした。蛍光色素をカップリングした粒子に対する抗Alexa Fluor(登録商標)488抗体の結合を、希釈したウサギ血清中にて共鳴光散乱を利用して検出した。
A.表面開始ATRP(原子移動ラジカル重合)を利用した微粒子での非特異的結合耐性層の形成
血清および細胞抽出物などの実際の生物試料では、通常は高濃度のタンパク質バックグラウンドに分析物が含まれる。微粒子に対してバックグラウンドタンパク質が非特異的に結合することで、偽の診断結果が得られてしまうため、これを防ぐ必要がある。本願発明者らは、表面開始ATRPによって形成したポリ(エチレングリコール)メタクリレート(PEGM)コーティングの層を利用して、微粒子への非特異的結合を低減した。
ハッセマン(Husseman)ら(Macromolecules 32、1424〜1431(1999))が説明している合成手順を利用して、開始剤である5−トリクロロシリルペンチル2−ブロモ−2−メチルプロピオネートを調製した。続いて、後述するようにして、この開始剤を清浄済みのガラス微粒子と反応させた。実施例3(ステップA)で説明したものと同じ高屈折率ガラス微粒子(RI=1.9、Mo−Sci GL−0175)と同じ清浄手順を利用して、微粒子を使用前に真空オーブンにて110℃で一晩乾燥させた。ガラス製品をすべて清浄し、オーブンにて110℃で2時間から一晩かけて乾燥させた。乾燥トルエン(EM サイエンス(Science)、製品番号TX0732−6)100ミリリットルを、250mL容の丸底フラスコに入れ、ピリジン(アルドリッチ(Aldrich)、製品番号P57506、バッチ番号03012LA、使用前に4Åモレキュラーシーブで一晩乾燥)45μLを加えた。続いて、乾燥させた清潔な微粒子8gと5−トリクロロシリルペンチル2−ブロモ−2−メチルプロピオネート開始剤250μLとを加えた。このフラスコをガラス栓で密閉し、室温にて強く攪拌しながら4時間反応を進めた。微粒子を濾過により単離し、トルエン100mLおよびアセトン100mLで順次すすいだ。続いて、微粒子を回収し、乾燥させ、オーブンにて110℃で2時間から一晩かけて硬化させた。
これで、この開始剤付き粒子は重合できる状態になった。水溶液中、室温にてATRPを行った。ホアン(Huang)、同時係属中の米国特許出願第60/451068号明細書(本願明細書に援用)に記載の開示内容に基づいて、上記の組成物を最適化した。ポリ(エチレングリコール)メタクリレート(PEGMモノマー、アルドリッチ(Aldrich)、製品P409537、バッチ15304BC、平均Mn=360)46グラムと脱イオン水120mLとを、250mL容の丸底フラスコに加えた。この溶液を窒素下で0.5時間攪拌した。続いて、ビピリジル(アルドリッチ(Aldrich)、製品D216305、バッチ08015CO)0.46gとCuCl(アルドリッチ(Aldrich)、製品203149、ロット04907EA)28mgとを加えたところ、無色の溶液が明るい青色に変わった。続いて、CuCl(アルドリッチ(Aldrich)224332、ロット08319 JA)140mgを加えたところ、溶液が暗い褐色に変化した。窒素パージをさらに15分間継続し、続いて、開始剤付き微粒子2gを加えた。反応物を窒素雰囲気で密閉し、4時間放置した。その時間経過後、微粒子を濾過により単離し、色が洗い流されるまで大量の脱イオン水ですすいだ。続いて、微粒子を回収し、真空中、室温にて一晩乾燥させた。
微粒子におけるPEGMコーティングの存在を、ESCA(化学分析用の電子分光)とToF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)画像形成法で確認した。ESCAでは、試料表面の一番上100Åにおける元素組成が得られる。PEGM被覆微粒子および裸のガラス微粒子の表面の元素比率をESCAで求めたものを表2に示す。この表のデータから明らかなように、Ba、Ti、B、Ca、Siなど、裸のガラス微粒子に含まれるほとんどのバルク元素は、Cが主要な元素であるPEGM被覆微粒子の表面では検出されなかったか、そうでなければ有意に低いレベルで存在していることが明らかになった。この結果から、微粒子表面でのPEGMコーティングの占有率が良いことが分かる。ToF−SIMS画像形成では、表面にある化学種の空間分布を得られ、これを利用して個々の微粒子におけるPEGMコーティングの均一性をチェックすることができる。ToF−SIMS画像形成の結果から、表面にはバルク金属イオンの小さな点がいくつかある以外、ほとんどの微粒子の表面がPEGMコーティングで覆われたことが明らかになった。
アビジン−FITCコンジュゲート(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品番号A2050、ロット091K4842)50μg/mLをpH7.4、0.4M PBS緩衝液に加えたものからなる溶液に粒子を曝露することで、PEGM被覆微粒子へのタンパク質の非特異的吸着を試験した。裸の微粒子についても同じようにして処理して対照とした。微粒子の蛍光顕微鏡検査を行ったところ、PEGM被覆微粒子では対照に比してアビジンの非特異的吸着量が有意に減少したことが分かった。非特異的結合の減少は、PEGM被覆微粒子と対照微粒子の両方を、アビジン−FITC溶液への曝露前に0.25%BSAブロックステップで処理した後で大きくなった。
Figure 2006515420
B.PEGM被覆微粒子の活性化と、これに対する蛍光色素プローブのカップリング
トリクロロ−s−トリアジン(アブチョウスキ(Abuchowski),A.ら、J. Bio. Chem. 252、3578〜3581および3582〜3586(1977))、N,N’−カルボニルジイミダゾール(バートリング(Bartling),G.J.ら Nature(London)、243、342〜344(1973))、塩化トシルおよび塩化トレシルなどの有機塩化スルホニル(ニルソン(Nilsson),K.およびモスバッハ(Mosbach),K. Methods in Enzymology、1984、104、第56〜69ページ)をはじめとする、多くの異なる化学的な方法を利用して、PEGMコーティングをさらに活性化し、生物配位子にコンジュゲートすることが可能である。このプロセスは一般に、PEGM鎖の水酸基と反応させることで、タンパク質分子中のアミンまたはスルフヒドリル基などの求核性残基と容易にカップリングできる反応性求電子性中間体を生成して行われる。中性pH、おだやかな条件でカップリング生成物の収率が高くなり、結果の安定性が良好であることから、塩化トレシルを選択した。
Alexa Fluor(登録商標)488を配位子例として利用した場合の、PEGM被覆微粒子の活性化と配位子カップリング向けのプロトコールは以下のとおりとした。上述したようにして用意しておいた乾燥PEGM被覆ガラス微粒子(2g)を、アセトン:水(v/v)30:70および70:30、アセトンで2回、乾燥アセトン(アセトン1リットルあたりモレキュラーシーブ25gの比で4Åモレキュラーシーブにて一晩乾燥させたもの)で3回を各々50mLで連続的に洗浄した。続いて、このPEGM被覆ガラス微粒子を、乾燥アセトン7mLと、使用前に4Åモレキュラーシーブで一晩乾燥させた乾燥ピリジン350μLとが入った乾燥したフラスコに移した。この混合物をマグネティックスターラーで攪拌し、氷/水浴に入れた。塩化トレシル(360μL)(アルドリッチ(Aldrich)、製品番号324787、バッチ番号01910AB)を10分の時間をかけて懸濁液に滴下して加えた。続いて、攪拌しながら氷/水浴中にて反応を1.5時間継続させた。反応の終了時、微粒子を濾過により単離し、アセトン;アセトン中5mM HCl30%、50%、70%(v/v);最後に、1mM HClをそれぞれ50mLずつで2回洗浄した。活性化微粒子を真空中で室温にて軽く乾燥させ、デシケーター内で4℃にて保管した。
以下の手順を使用して、カップリング緩衝液としての0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.2中、トレシル化微粒子にAlexa Fluor(登録商標)488色素をカップリングした。Alexa Fluor(登録商標)488ヒドラジド、ナトリウム塩(オレゴン州ユージーン(Eugene)のモレキュラープローブス社(Molecular Probes,Inc.)、製品番号A−10436、ロット34C1)1ミリグラムをカップリング緩衝液2mLに溶解させた。マイクロ濃縮器を利用して上述のようにトレシル化微粒子(0.5g)を冷たいカップリング緩衝液で軽く洗浄し、続いてAlexa Fluor(登録商標)488溶液に移した。36時間4℃にて攪拌しながらカップリング反応を進行させた。続いて上清をピペットで取り出し、0.1Mトリス−HCl、pH8.5緩衝液中0.1Mメルカプトエタノールで5時間反応物を急冷した。0.2M酢酸ナトリウム−0.5M NaCl、pH3.5緩衝液、0.5M NaCl溶液、蒸留水、0.2M、pH7.5 PBS緩衝液で順に微粒子を洗浄した。微粒子を室温にて軽く乾燥させ、後で使用するために冷蔵庫で保管した。
直接ELISAでAlexa Fluor(登録商標)488微粒子を試験してカップリングがうまくいっていることを確認するとともに、実施例5のステップAで説明したものと同じ手順でプローブ密度を判定した。EZ−LinkTMプラス活性化ペルオキシダーゼキット(ピアース(Pierce)、カタログ番号31489)とモレキュラープローブス(Molecular Probes)(カタログ番号A−11094)から入手した抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgGとを利用して、抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgGペルオキシダーゼコンジュゲートを調製した。対照微粒子試料で観察された吸光度は極めて低かったため、Alexa Fluor(登録商標)488微粒子での高い酵素コンジュゲート濃度で得られた飽和吸光度を利用してAlexa Fluor(登録商標)488表面密度を算出した。算出した表面密度は微粒子1グラムあたり0.42pmolであった。この場合、Alexa Fluor(登録商標)488表面密度を補正する酵素活性抑制係数の判定には何もしなかった。
C.血清バックグラウンドにおける抗体結合の検出
モレキュラープローブス社(Molecular Probes,Inc.)から抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgG画分(製品番号A−11094、ロット番号7581)を入手し、ウサギ血清10mg/mLを用いて50μg/mLの濃度まで希釈して、ステップBで説明したようにして調製したAlexa Fluor(登録商標)488色素結合微粒子への結合を試験した。タンパク質50mg/mLを含有するウサギ血清(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)製品R9133、ロット041K9089)を、pH7.2、25mM(10mMリン酸ナトリウム、15mM NaCl)PBS緩衝液で希釈し、タンパク質濃度を10mg/mLにした。共鳴光散乱での結合検出の前に、Alexa Fluor(登録商標)488色素結合微粒子約50mgを10mg/mLウサギ血清溶液1.5mL中にて1時間インキュベートし、非特異的結合部位をさらにブロックした。Alexa Fluor(登録商標)488色素結合微粒子をPBS緩衝液で2回洗浄した後、PBS緩衝液に分散させた。これらの分散Alexa Fluor(登録商標)488色素結合微粒子を結合実験のために試料セルに仕込んだ。共鳴光散乱を利用したインサイチュでの結合の検出を行うために、実施例3で説明したものと同じ手順を利用した。ウサギIgGの結合前に、基準スペクトルとして、pH7.2、25mM(10mMリン酸ナトリウム、15mM NaCl)PBS緩衝液中でAlexa Fluor(登録商標)488色素結合微粒子の共鳴光散乱スペクトルを得た。続いて、同じpH7.2のPBS緩衝液中、ウサギ血清タンパク質10mg/mLを含有する溶液12mLを、試料セルに流量約1.5mL/分で循環させながら0.5時間通し、非特異的結合を試験した。続いて、純粋なpH7.2のPBSで試料セルをフラッシュし、基準スペクトルを得たものと同じ媒質で共鳴光散乱を測定した。その後、ウサギ血清10mg/mL中抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgG 50μg/mLを含有する溶液10mLを、試料セルに流量約1.5mL/分で循環させながら0.5時間通した。インキュベーション終了時、純粋なpH7.2のPBSで試料セルをフラッシュし、基準スペクトルを得たものと同じ媒質で共鳴光散乱を測定した。
自己相関分析を利用して、血清バックグラウンド試験ステップおよび抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgG結合ステップ用に共鳴波長のシフトを得た。バックグラウンド試験ステップとウサギIgG結合ステップの平均シフトはそれぞれ、0.004±0.004nmおよび0.037±0.006nmであった。これらの値は、3個の異なる微粒子と9つの異なるレーザ走査前後の実験対の平均である。波長シフトの結果から、バックグラウンド試験ステップではシフトがほとんどないことが分かり、非特異的結合に対する耐性が良好であろうと思われた。ウサギIgG結合ステップでの波長シフトは、おそらく異なる系での結合強度が低いことから、プロテインG’−マウスIgG結合(実施例5)で観察されたものよりかなり小さかった。
実施例8
共鳴光散乱検出を利用したE. coli細胞抽出物バックグラウンドにおける複数タンパク質の結合アッセイ
本実施例の目的は、E. coli細胞抽出物バックグラウンドにおける2種類のプローブ微粒子混合物での共鳴光散乱を利用した多重アッセイについて示すことにあった。Alexa Fluor(登録商標)488とマウスIgG微粒子との混合物を多重アッセイに利用し、それぞれの対応する抗体に対する粒子の結合を共鳴光散乱で検出した。
A.Alexa Fluor(登録商標)488微粒子およびマウスIgG微粒子の調製
PEGMコーティングは同一であるが捕捉配位子が異なる、すなわち、Alexa Fluor(登録商標)488とマウスIgGである、2種類のプローブ微粒子を、実施例7(ステップAおよびステップB)で説明した手順に従って調製した。PEGMコーティングを利用して高タンパク質濃度のバックグラウンドにおける非特異的結合を防止した。PEGMコーティング、塩化トレシル活性化、Alexa Fluor(登録商標)488の活性化微粒子へのカップリングで利用する手順については、実施例7で説明する。マウスIgGを塩化トレシル活性化微粒子に同じようにしてカップリングした。PBS緩衝液(0.2M、pH8.2)をカップリング緩衝液として利用した。マウスIgG(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)、製品I 5381)10ミリグラムをカップリング緩衝液に溶解させ、1mg/mLの溶液を生成した。塩化トレシル活性化微粒子(0.5g)を冷カップリング緩衝液で軽く洗浄し、マウスIgG溶液5mLに移した。微粒子懸濁液を約36時間4℃で攪拌した。続いて上清をピペットで取り出し、0.1Mトリス−HCl、pH8.5緩衝液中0.1Mメルカプトエタノール(アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company,Inc.)製品M3701)からなる溶液5mLで5時間反応物を急冷した。続いて、0.2M酢酸ナトリウム−0.5M NaCl、pH3.5緩衝液、0.5M NaCl溶液、蒸留水、さらには0.2M、pH7.5PBS緩衝液で微粒子を連続洗浄した。微粒子を室温にて軽く乾燥させ、使用するまで冷蔵庫で保管した。
B.E. coli細胞抽出物の調製
E. coli細胞抽出物を、多重アッセイデモンストレーション用の競合タンパク質バックグラウンドとして利用した。E. coli細菌細胞(0.5mL、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)のインビトロジェン社(Invitrogen Co.)、DH10BTM細胞、カタログ番号18290−015、ロット1172474)を250mLのミラーLBブロス(ヴァージニア州ハーンドン(Herndon)のメディアテック社(Mediatech Inc.)、カタログ番号46−050CM ロット46050009)に接種し、振盪インキュベーターにて37℃、225rpmで一晩、培養をインキュベートした。5,000×gで15分間の遠心分離を利用して細胞を回収した。細胞ペレットの量は約1.0gであった。細胞ペレットから上清を除去し、CelLyticTM B細菌細胞溶解試薬(シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)製品B3553、ロット052k9319)15mLを加え、懸濁液を十分に混合して細胞を完全に再懸濁させた。この細胞抽出懸濁液を振盪しながら室温にて15分間インキュベートして細胞を完全に抽出し、25,000×gで20分間遠心分離して不溶物をペレット化した。可溶性タンパク質を含有する上清を慎重に除去した。可溶性タンパク質の約90〜95%がこの画分で認められた。ブラッドフォード(Bradford)法(上記ブラッドフォード(Bradford))で総タンパク質濃度を求めたところ、4.4mg/mLであった。
C.E. coli細胞抽出物のバックグラウンドにおける抗体結合の検出
共鳴光散乱を利用した多重アッセイについて示すために、ステップAで調製したAlexa Fluor(登録商標)488微粒子とマウスIgG微粒子とを同じ重量で混合した。この微粒子混合物を、10mM、pH7.4のPBS緩衝液中1%BSA(シグマ(Sigma)、製品B4287)1.5mLで室温にて3時間インキュベートし、非特異的結合部位をさらにブロックした。このインキュベーションに続いて、PBS緩衝液1.5mLで2回洗浄し、PBS緩衝液に再懸濁させた。続いて、懸濁させた微粒子を結合実験用に試料セルに仕込んだ。どの微粒子がAlexa Fluor(登録商標)488で標識されたかを判定するために、488nmのArイオンレーザ(25mW、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)のオムニクローム社(Omnichrome Corp.))を用いて蛍光色素を励起させ、励起カットオフ高域通過フィルタを出力光路に挿入して蛍光の放出を調べた。蛍光発光性微粒子と非蛍光発光性微粒子の両方を含むフィールドを共鳴光散乱実験用に選択した。蛍光発光性微粒子はAlexa Fluor(登録商標)488標識微粒子であり、非蛍光発光性微粒子はマウスIgG−標識微粒子であると思われた。この図の蛍光画像とプレーンな画像を比較のために図17に示す。この研究では、共鳴光散乱を識別できるようにする上で必要な自動パターン認識ソフトウェアを利用できなかったため、蛍光を使って粒子を識別した点に注意されたい。実験のあいだ微粒子は適所に保たれたため、その位置を利用して微粒子を追跡した。しかしながら、必要なソフトウェアがあれば、実施例1および2に示すような粒子の識別と追跡ならびに結合の検出に、共鳴光散乱を利用することも可能であろう。
共鳴光散乱を利用したインサイチュでの結合の検出を行うために、実施例3で説明したものと同じ手順を利用した。まず、基準スペクトルとして、pH7.2、25mM(10mMリン酸ナトリウム、15mM NaCl)PBS緩衝液中で選択した微粒子の共鳴光散乱スペクトルを得た。続いて、3回の結合ステップの測定を実施し、競合バックグラウンドタンパク質からの非特異的結合があるか否かをチェックするとともに、Alexa Fluor(登録商標)488プローブとウサギ抗−マウスIgGとの間ならびに、マウスIgGプローブと抗Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgGとの間に交叉反応があるかどうかを試験した。ステップ1では、バックグラウンドの試験として、同じPBS緩衝液中E .coli細胞抽出タンパク質2.2mg/mLからなる溶液12mLを、試料セルに流量約1.5mL/分で循環させながら0.5時間通した。ステップ2では、抗−Alexa 488ウサギIgG(モレキュラープローブス社(Molecular Probes,Inc.)製品番号A−11094、ロット番号7581)をステップ1で用いたものと同じ細胞抽出物溶液に加え、作業濃度を50μg/mLとし、この溶液を試料セルに流量約1.5mL/分で循環させながら0.5時間通して微粒子に対する抗−Alexa 488ウサギIgGの結合を試験した。ステップ3では、ウサギ抗−マウスIgG(H+L)(非結合、ピアース(Pierce)、製品31188、ロットEE761527)をステップ2で使った溶液に加えて作業濃度を50μg/mLとし、この溶液を試料セルに流量約1.5mL/分で循環させながら0.5時間通して微粒子に対する抗−マウスIgGの結合を試験した。各ステップの後にはPBS緩衝液での洗浄を行い、それぞれの洗浄ステップの後にスペクトルを得た。
細胞抽出物バックグラウンド試験ステップ、抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgG結合ステップ、ウサギ抗−マウスIgG結合ステップの後に、自己相関分析を利用してAlexa Fluor(登録商標)488微粒子とマウスIgG微粒子の両方について共鳴波長のシフトを得た。結果を表3にまとめておく(シフトはいずれも開始時に得たスペクトルを基準にしたものである)。以下の表に示す値は、3個の異なる微粒子と9つの異なるレーザ走査前後の実験対の平均である。
Figure 2006515420
表3のデータから明らかなように、両方のタイプの微粒子でのバックグラウンド試験ステップでの平均シフトはほぼ0であったことから、バックグラウンドタンパク質の非特異的結合がないことが分かった。Alexa Fluor(登録商標)488微粒子では、第2のステップでの抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgG結合時に0.034±0.006nmで対応する共鳴波長のシフトが認められ、そのシフトが第3のステップでほぼ変化しないまま保たれた。マウスIgG微粒子では、第2のステップでシフトがほぼ0、第3のステップでのシフトは0.056±0.007nmであった。これらの結果から、Alexa Fluor(登録商標)488プローブに対する抗−Alexa Fluor(登録商標)488ウサギIgGの結合とマウスIgGプローブに対する抗−マウスIgGの結合を除いて、2つの抗体と2つの配位子の間には交叉反応がなかったことが明白である。これらの結果は、多重アッセイでの検出に共鳴光散乱が役立つことを示している。
実施例9
共鳴光散乱を利用した特異的DNA分析物検出用のDNAプローブ結合微粒子
本実施例の目的は、核酸プローブに結合した微粒子を利用して核酸分析物を特異的に検出するのに共鳴光散乱を利用することについて示すことにあった。蛍光標識分析物をアッセイ対照として用いて、DNAプローブ−微粒子に対する分析物の特異的結合を確認した。
A.微粒子の調製
高屈折率ガラス微粒子(カタログ番号GL−0175、ミズーリ州ローラ(Rolla)のMo−Sci社(Mo−Sci Corp.))を実施例3で説明したようにして調製した。核酸オリゴマープローブへのカップリングについて実施例3で説明したように、清浄済みのガラス微粒子をシラン化して表面反応性アミン基を生成した。このアミン誘導体化ガラス微粒子を、スルホスクシンイミジル(NHS)4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)をアミン基にカップリングすることで、さらにマレイミド基で誘導体化した。アミン誘導体化ガラス微粒子400mgのアリコートを、130mM炭酸塩/重炭酸塩緩衝液、pH9.6、スルホ−SMCC(イリノイ州ロックフォード(Rockford)のピアースバイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology Inc.)、製品番号22322)13.3mg/mLと33.3%ジメチルホルムアミド(DMF)とからなる反応混合物に加えた。この混合物を1.5mL容の丸底チューブに入れ、これを室温にて1時間回転させて表面のアミンをスルホ−SMCCのNHS基と反応させた。マレイミド誘導体化微粒子を、100mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl緩衝液、pH7.2(PBS)500μLで室温にて洗浄した。ソーバルマイクロスピン(Sorvall Microspin)微量遠心機(コネチカット州ニュータウン(Newtown)のケンドロラボラトリープロダクツ(Kendro Laboratory Products))にて12,000rpmで室温にて、マイクロ濃縮器(Microcon(登録商標)100、マサチューセッツ州ベバリー(Beverley)のアミコンAmicon, W.R. Grace Co.)を用いて、懸濁微粒子を遠心分離して緩衝液を除去した。マイクロ濃縮器を用いて微粒子をPBS緩衝液で2回洗浄した。マレイミド誘導体化微粒子ペレットを1.5mL容の第2の丸底反応管に移し、4℃で保管した。
実施例7で説明したようなPEGMコーティングを使用して、非特異的結合耐性層のある第2の微粒子セットを生成した。実施例7で説明したように、チオ活性化オリゴヌクレオチドとのコンジュゲーションのために、PEGM表面を塩化トレシルで活性化させた。
B.オリゴヌクレオチドプローブとオリゴヌクレオチドプローブ結合微粒子の調製
エバーソール(Ebersole)らによる同時係属中の米国特許出願第60/434974号明細書(本願明細書に援用)に記載されている、配列番号1として示す手足口病(FMD)合成標的核酸配列を特異的に検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ配列を設計した。アッセイに利用したFMDオリゴヌクレオチドプローブ特異的配列(JBP)は、配列番号2で示す5’ TCAACCAGATGCAGGAGGACATGTCAACAAAACACGGACCCGACTTAA 3’であった。この配列を後述するようにして5’末端と3’末端で修飾し、配列番号3で示す修飾FMDプローブ(JBP S2SP3B):C−S−S(Sp)−TCAACCAGATGCAGGAGGACATGTCAACAAAACACGGACCCGACTTAA−B 3’を得た。「B」はDNA合成時に、β−シアノエチルホスホラミダイト合成化学(ビオチン(Biotin) CPG、ヴァージニア州スターリング(Sterling)のグレンリサーチ(Glen Research))に用いられる細孔ガラス固体担体に付着させた3’カップリング試薬として配列に加えた、3’ビオチン基である。「Sp」は、18原子スペーサーアームホスホラミダイト、18−O−ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール,1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイト(ヴァージニア州スターリング(Sterling)のグレンリサーチ(Glen Research))を示す。β−シアノエチル化学を利用して、これらのスペーサー部分のうちの2つをプローブ配列とプローブ架橋部分との間の5’末端にカップリングし、分子スペーサとして機能させた。「C−S−S」(1−O−ジメトキシトリチルヘキシル−ジスルフィド、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイト、ヴァージニア州スターリング(Sterling)のグレンリサーチ(Glen Research))は、架橋チオール修飾因子として用いたジスルフィド部分である。
マレイミド誘導体化微粒子へのカップリング用の修飾JBP S2SP3Bプローブを調製するために、0.2Mトリス緩衝液、pH8.3中100mMジチオトレイトール(DTT)400μLを用いて、70nmolのプローブからジスルフィド修飾因子を切断し、チオール活性化プローブを作製した。3M酢酸ナトリウム、pH5.4を100μLと100%エタノール1000μLとを加えて十分に混合することで、エタノール沈殿を利用して上記のチオール活性化プローブをC6−チオ基およびDTTから精製した。DNA沈殿物をソーバルマイクロスピン(Sorvall Microspin)微量遠心機にて12,000rpmで室温での遠心分離により遠心してペレット化した。このオリゴヌクレオチドペレットを70%エタノールで2回洗浄し、2回蒸留水200μLに溶解させた。
パートAで説明したようにして調製した、マレイミド誘導体化微粒子(400μg)を、チオール活性化JBP S2SP3Bプローブとのカップリング用に、1.5mL容の丸底反応管に移した。上述のように調製したチオール活性化JBP S2SP3Bプローブ(70nmol)を反応管に加えた。続いて、PBS500μL、pH7.4を加えて反応管を回転させ、微粒子を混合して再懸濁させる目的で室温にて2時間、表面のマレイミド基をチオール活性化プローブと反応させた。DNAプローブ結合微粒子を室温にてPBS500μLで洗浄した。ソーバルマイクロスピン(Sorvall Microspin)微量遠心機にて12,000rpmで室温にて、Microcon(登録商標)100マイクロ濃縮器を用いて、懸濁微粒子を遠心分離してPBSを除去した。微粒子をPBS緩衝液で2回洗浄し、続いてJBP S2SP3Bプローブ結合微粒子ペレットを1.5mL容の微量遠心管に移し、4℃で保管した。
もうひとつのプローブすなわち、配列番号4で示すN−JBC(5’ NH−TTAAGTCGGGTCCGTGTTTTGTTGACATGTCCTCCTGCATCTGGTTGA−B 3’)は、MWG バイオテック社(Biotech,Inc.)(ノースカロライナ州ハイポイント(High Point))によって合成された。このプローブには、5’アミン基と3’ビオチン基とが含まれていた。このプローブを5’アミンによってトレシル活性化PEGM微粒子にカップリングした。具体的には、100μM N−JBC DNA 100μLを、0.2M PBS緩衝液、pH8.2中、トレシル化PEGM微粒子40mgと一緒に3日間室温にてインキュベートした。続いて、このN−JBCプローブ結合微粒子を、Microcon(登録商標)100マイクロ濃縮器を用いて0.1M PBS、pH7.2中にて2回洗浄した。微粒子ペレットを1.5mL容の微量遠心管に移した。このN−JBCプローブ結合微粒子をJBC−PEGMとし、4℃で保管した。
C.蛍光を利用したDNAプローブ結合微粒子へのFMDオリゴヌクレオチド標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の検出
3’フルオレセインタグ(JBC−F)、具体的には、JBPプローブ配列(配列番号2および配列番号3)と相補的である、配列番号5で示す5’ TTAAGTCGGGTCCGTGTTTTGTTGACATGTCCTCCTGCATCTGGTTGA−F 3’で標識したFMD特異的DNAオリゴヌクレオチド標的を利用して、微粒子プローブの機能性を試験した。JBP S2SP3Bプローブに対して相補的な配列を持たない第2のオリゴヌクレオチドを設計し、フルオレセイン標識非特異的標的対照(Lac2−F)すなわち、配列番号6で示す5’ TGAATTTGATTGCGAGTGAGATATTTATGCCAGCCAGCCAGACGCAGAC−F 3’として作用させた。
JBP S2SP3Bプローブ修飾微粒子(2μL)を、0.3M NaCl、PBS緩衝液20μL中、10μM JBC−F(配列番号5)またはLac2−F(配列番号6)2μLと混合し、ローリングミキサにて室温で1時間ハイブリダイズした。チューブを軽く遠心して微粒子をペレット化し、上清を除去した。続いて、軽くボルテックスおよび遠心分離しながら、アッセイ微粒子を、0.3M NaCl、PBS緩衝液のアリコート200μLで3回洗浄した。最終洗浄後、微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液50μLに懸濁させた。各試料から得た懸濁微粒子1マイクロリットルを、ベクタシールド(VECTASHIELD)(登録商標)マウンティングメディウム(Mounting Medium)(カリフォルニア州バーリンゲーム(Burlingame)のベクターラボラトリーズ社(Vector Laboratories, Inc.))2μLにてスライドガラスにのせた。スポットRTKE CCDカメラ(ミシガン州スターリングハイツ(Sterling Heights)のダイアグノスティックインスツルメンツ社(Diagnostic Instruments, Inc.))を取りつけた蛍光顕微鏡(Zeiss Axioskop 40、カールツァイスマイクロイメージング社(ニューヨーク州ソーウッド(Thorwood)のCarl Zeiss Microimaging, Inc.))下で試料を観察した。
得られた蛍光顕微鏡写真から、JBC−F DNA標的はJBP S2SP3B−結合微粒子に捕捉されるが、Lac2−F非特異的対照標的は捕捉されないことが分かった。標的のないJBP S2SP3B−結合微粒子のバックグラウンドの自己蛍光についても試験した。自己蛍光は、フルオレセイン標識JBC−F標的の結合による蛍光よりも弱かった。これらの結果から、JBP S2SP3B−結合微粒子がJBC−F標的配列に特異的であることが分かった。
D.共鳴光散乱を利用したDNAプローブ結合微粒子へのFMDオリゴヌクレオチド標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の検出
次に、共鳴光散乱を利用して、DNAプローブ結合微粒子へのDNA標的の結合を検出した。使用した手順は実施例2および3で説明したものと同様とした。パートAおよびBで説明したようにして調製したJBP S2SP3Bプローブ結合微粒子を、0.3M NaCl、0.1M ナトリウムリン酸緩衝液、pH7.4(0.3M NaCl、PBS緩衝液)に分散させた。この懸濁液の2μLのアリコートを、実施例3で説明して図6に示した事例と同様にして光学フローセルに入れた。少数(2〜6)の微粒子が含まれる視野を選択した。アッセイのバックグラウンドスペクトルを判定するために「予備走査」測定値を得た。実施例3で説明したように、続いて770から780nmの間で50秒間ダイオードレーザ光源を走査し、1500枚の画像を捕捉して、画素スタックファイルとして格納し、システムのパーソナルコンピュータにインストールしたソフトウェアで分析した。実施例3で説明して図8に示した事例と同様にして、視野内のいくつかの微粒子を以後の詳細なスペクトル分析用に選択した。実施例2で説明したようにして波長依存性散乱光画像の全セットを分析することで、この粒子からの散乱光スペクトルを得た。JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子から得た散乱光スペクトルは、実施例2で説明して図9に示した事例と同様であった。
共鳴光散乱アッセイを後述のように実施し、各インキュベーション/洗浄ステップ後にスペクトル測定値を得た。0.3M NaCl、PBS緩衝液中、濃度1μMの対照Lac2−F標的DNA約5mLを、JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子に流量約1mL/分で連続して流し、廃棄物として回収した。続いて、廃液チューブを元の試料に戻し入れ、標的DNAの残りの5mLを閉ループシステムで1時間再循環させた。続いて、JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液10mLで洗浄し、廃液を破棄した。洗浄後に、JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子の共鳴光散乱スペクトルスキャンを得た。続いて、0.3M NaCl、PBS緩衝液中、プローブ特異的JBC−Fオリゴヌクレオチド標的の1μM試料約5mLをフローセルに加え、微粒子に1時間連続して流した。続いて、0.3M NaCl、PBS緩衝液10mLで上記の微粒子を洗浄した。繰り返すが、洗浄後にJBP S2SP3Bプローブ結合微粒子の共鳴光散乱スペクトルスキャンを得た。
結果を表4に示す。微粒子に対するLac2−F標的オリゴヌクレオチドの非特異的結合時に、共鳴光の散乱パターンにおける負のシフトが観察された。また、JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子に対する特異的JBC−F標的オリゴヌクレオチドの結合時に、共鳴光の散乱パターンにおける有意な負のシフトが観察された。これらの結果から、非特異的または特異的オリゴヌクレオチド標的に対するオリゴヌクレオチドプローブ結合微粒子の結合によって、粒子の共鳴光散乱スペクトルに負の共鳴波長シフトが生じることが分かる。また、これらの結果は、共鳴光散乱を用いて微粒子にカップリングした特異的DNAオリゴヌクレオチドプローブへのオリゴヌクレオチドDNA標的の結合を検出することについても示している。
Figure 2006515420
E.蛍光を利用したDNAプローブ結合PEGM被覆微粒子へのFMDオリゴヌクレオチド標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の検出
配列番号7で示す、3’フルオレセインタグ(JBP−F)(5’ TCAACCAGATGCAGGAGGACATGTCAACAAAACACGGACCCGACTTAA−F 3’)で標識されたFMD特異的DNAオリゴヌクレオチド標的を用いて、微粒子プローブの機能性を試験した。フルオレセイン標識非特異的標的(Lac2−F)配列番号6を対照として用いた。
N−JBCプローブ結合PEGM被覆微粒子(JBC−PEGM)2マイクロリットルを0.3M NaCl、PBS緩衝液20μL中10μM JBP−FまたはLac2−F(配列番号6)2μLと混合し、ローリングミキサで室温にて1時間ハイブリダイズした。微粒子を遠心分離により軽くペレット化し、上清を除去した。続いて、軽くボルテックスおよび遠心しながら、微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液200μLで3回洗浄した。続いて、0.3M NaCl、PBS緩衝液50μLに微粒子を懸濁させた。各試料から得た懸濁微粒子1マイクロリットルをスライドガラスにのせ、蛍光顕微鏡下で上述のように観察した。
得られた蛍光顕微鏡写真から、特異的JBP−F DNA標的は微粒子に捕捉されたがLac2−F非特異的対照標的は捕捉されなかったことが分かる。これらの結果は、N−JBCプローブ結合PEGM被覆微粒子がJBP−F標的DNAに対して特異的であったことを示している。
F.共鳴光散乱を利用したDNAプローブ結合PEGM被覆微粒子へのFMDオリゴヌクレオチド標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の検出
共鳴光散乱を利用して、N−JBCプローブ結合PEGM被覆微粒子への標的DNAの結合を検出した。使用した手順は実施例2および3で説明したものと同様とした。JBC−PEGM微粒子を0.3M NaCl、0.1Mナトリウムリン酸緩衝液、pH7.4(0.3M NaCl、PBS緩衝液)に分散させた。この懸濁液のアリコート2μLを光学的フローセルに入れた。「予備走査」測定結果を得てアッセイのバックグラウンドスペクトルを判定し、実施例3にて上述し、図8に示したものと同様に、視野内のいくつかの微粒子を以後の詳細なスペクトル分析用に選択した。JBC−PEGM微粒子から取得した散乱光スペクトルは実施例2にて説明し、図9に示したものと同様であった。
共鳴光散乱アッセイを後述のように実施し、各インキュベーション/洗浄ステップ後にスペクトル測定値を得た。0.3M NaCl、PBS緩衝液中、濃度1μMの対照Lac2−F標的DNA約5mLを流量約1mL/分でJBC−PEGM微粒子に連続して流し、廃棄物として回収した。続いて、廃液チューブを元の試料に戻し入れ、標的DNAの残りの5mLを閉ループシステムで1時間再循環させた。続いて、微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液10mLで洗浄し、廃液を破棄した。洗浄後に微粒子の共鳴光散乱スペクトルスキャンを得た。
前の微粒子をセルから取り出し、新しいJBC−PEGM微粒子と交換した。繰り返すが、アッセイのバックグラウンドスペクトルを「予備走査」測定によって判定した。続いて、0.3M NaCl、PBS緩衝液中プローブ特異的JBP−Fオリゴヌクレオチド標的の1μMの試料約5mLをフローセルに加え、微粒子に連続して流した。続いて、廃液チューブを元の試料に戻し入れ、標的DNAの残りの5mLを閉ループシステムで1時間再循環させた。続いて、微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液10mLで洗浄した。繰り返すが、洗浄後に微粒子の共鳴光散乱スペクトルスキャンを得た。
結果を表4に示す。JBC−PEGM微粒子に対するLac2−F標的オリゴヌクレオチドの非特異的結合時に、共鳴光の散乱パターンに有意ではない負のシフトが観察された。共鳴光の散乱パターンにおける有意な負のシフトは、JBC−PEGM微粒子への特異的JBP−F標的オリゴヌクレオチド結合で観察された。これらの結果から、DNAプローブ結合PEGM被覆微粒子は上述の未被覆のDNAプローブ結合微粒子と挙動は同様であるが、非特異的標的のバックグラウンド共鳴が少ないことが分かる(表4)。
実施例10
共鳴光散乱を利用したDNAプローブ結合微粒子へのPCR産物標的のハイブリダイゼーション捕捉の検出
本実施例の目的は、核酸プローブに結合した微粒子を利用したPCR産物DNA分析物の検出に共鳴光散乱を用いることについて示すことにあった。
A.微粒子の調製とオリゴヌクレオチドプローブのカップリング
JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子を実施例9で説明したようにして調製した。
B.PCR標的の調製
配列番号8として示す206bpの増幅FMD DNA断片(JB)と、配列番号9で示す511bpの増幅LacIQ断片(Lac2−511)とを、標準的なPCRプロトコールを使用して以下のように生成した。配列番号10で示すフォワードプライマーであるP2FWD、5’ GAGTCCAACCCTGGGCCCTTCTTCTTC 3’を2pmolと、配列番号11で示すリバースプライマーであるP33−4、5’ ATGAGCTTGTACCAGGGTTTGGC 3’を20pmolとを用いて、pCR4−TOPOプラスミドベクター(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)のインヴィトロジェン(Invitrogen))にクローニングした516bpの合成FMD標的(配列番号1)インサートから206bpのPCR断片を非対称PCR産物として生成した。続いて、この産物5マイクロリットルをP2FWD 5pmolおよびP33−4 50pmolの存在下にて再増幅した。
配列番号12で示すフォワードプライマーであるLac1pst、5’ ATACTGCAGAACGCGTCAGTGGGCTGATCA 3’を2pmolと、配列番号13で示すリバースプライマーであるLac4eco、5’ ACAGAATTCCATGAGCTGTCTTCGGTATCGTCGTA 3’を20pmolとを用いて、pCR4−TOPOプラスミドベクターにクローニングしたE. coli LacIQインサートから511bpのPCR断片を非対称PCR産物として生成した。続いて、この産物5マイクロリットルをLac1pst 5pmolとLac4eco 50pmolの存在下にて再増幅した。非対称PCR反応混合物には、最終容量50μLのPCR緩衝液(10×:100mM KCl、100mM(NHSO、200mMトリス−HCl pH8.75、20mM MgSO、1%トリトンX−100、1mg/mL BSA)中、200μM dNTPと2.5単位のPfu Turbo DNAポリメラーゼ(カリフォルニア州ラホーヤ(La Jolla)のストラタジーン(Stratagene))が含まれていた。ジーンアンプ(GeneAmp)(登録商標)9600サーマルサイクラー(コネチカット州ノーウォークのパーキンエルマー社(Perkin−Elmer Corp.))で増幅を行った。試料を94℃で2分間変性させた後、94℃で20秒間の変性、55℃で20秒間のアニーリング、72℃で1分間の伸張を35サイクル行った。増幅サイクル終了後、最終的な鎖伸張を72℃で5分間行った。続いて、試料を4℃まで勾配し、試料分析までその温度で維持した。
この増幅DNA産物を非対称増幅産物の収率についてアガロースゲル電気泳動で分析した。臭化エチジウム0.5μg/mLを含有する0.5×TBE緩衝液(メリーランド州シルバースプリング(Silver Spring)のダイジーンダイアグノスティクス社(Digene Diagnostics, Inc.))中、1.5%SeaKem(登録商標)LEアガロース(メイン州ロックランド(Rockland)のFMC バイオプロダクツ(BioProducts))上でPCR産物を分離した。増幅試料から得た4μLのアリコートをゲルローディング緩衝液1μLと混合し、アガロースゲルにロードした。ゲルに100V(または5.9V/cm)を印加して、ゲル電気泳動を1時間実施した。臭化エチジウム染色DNAバンドを可視化し、イーグルアイ(Eagle Eye II)スチルビデオシステム(カリフォルニア州ラホーヤ(La Jolla)のストラタジーン(Stratagene))を使ってデジタル的に記録した。
共鳴光散乱を利用したDNAプローブ結合微粒子へのFMD PCR産物標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の検出
実施例3および9で説明し、図9に示したようにして、共鳴光散乱の検出を行った。各インキュベーション/洗浄ステップ後に共鳴光散乱測定値を得た。実施例9で説明したように、JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子懸濁液の2から3μLのわずかなアリコートを光学セルに入れた。少数(2から6)の微粒子を含む図8に示したものと同様の視野を選択した。アッセイのバックグラウンドを記録するために、予備走査測定値を得た。非特異的対照PCR標的断片であるLac2−511 DNA(0.3M NaCl、PBS緩衝液5mL中PCR産物5pmol)約5.0mLを流量約1mL/分で微粒子に連続して流し、閉ループシステムで1時間再循環させた。続いて、JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液10mLで洗浄し、廃液を破棄した。洗浄後に、JBP S2SP3Bプローブ結合微粒子の共鳴光散乱スペクトルスキャンを得た。特異的JB PCR標的断片(0.3M NaCl、PBS緩衝液5mL中5pmol)約5.0mLを微粒子に1時間連続して流した後、10mLを0.3M NaCl、PBS緩衝液で洗浄した。繰り返すが、洗浄後にJBP S2SP3Bプローブ結合微粒子の共鳴光散乱スペクトルスキャンを得た。
これらの結果を表5に示す。共鳴光の散乱パターンにおける負のシフトは微粒子に対するLac2−F PCR断片の非特異的結合時に観察された。特異的PCR標的であるJB PCR産物を分析物として使用した場合は、共鳴光の散乱パターンにおける有意な負のシフトがJBP S2SP3Bプローブ結合微粒子への結合時に観察された。これらの結果から、オリゴヌクレオチドプローブ結合微粒子は、PCR特異的分析物への結合時にその共鳴光散乱スペクトルに負の共鳴波長のシフトを呈することが分かる。また、これらの結果は、微粒子に結合した共鳴光散乱およびDNAオリゴヌクレオチドプローブを使用し、PCR生成DNA分析物を検出することについても示している。
Figure 2006515420
実施例11
共鳴光散乱によるPNAプローブ結合微粒子へのDNA結合の検出
本実施例の目的は、ペプチド核酸(PNA)プローブに連結した微粒子への核酸分析物の結合を共鳴光散乱を用いて検出することについて示すことにあった。PNAは、核酸(DNAおよびRNA)の糖リン酸骨格ではなく偽ペプチド骨格を持つDNAの類縁体である。PNAはDNAの挙動を模倣し、相補的核酸鎖を結合する。PNAに特有の化学的・物理的・生物学的特性を利用して、強力な生体分子ツール、アンチセンスおよび抗遺伝子薬、分子プローブ、バイオセンサを生成した。ニュートラルなペプチド様骨格によって、塩濃度とは独立した標的核酸への一層強力かつ特異的な結合が得られる。このため、本願発明者らは、PNAプローブ結合微粒子を利用したDNA分析物のハイブリダイゼーション捕捉の実現可能性に踏み込んでみたかった。蛍光標識オリゴヌクレオチド分析物をアッセイ対照として利用し、PNA微粒子へのDNA分析物の特異的結合を確認した。
A.微粒子の調製
高屈折率ガラス微粒子(カタログ番号GL−0175、ミズーリ州ローラ(Rolla)のMo−Sci社(Mo−Sci Corp.))を実施例3で説明したようにして調製した。清浄済みのガラス微粒子をシラン化し、PNAオリゴマープローブとのカップリング用の表面反応性アミン基を生成した。このアミン誘導体化ガラス微粒子を、実施例9で説明したようにしてマレイミド基でさらに誘導体化した。マレイミド誘導体化微粒子ペレットを第2の1.5mL容の丸底反応管に移し、4℃で保管した。
B.微粒子へのPNAオリゴマープローブのカップリング
PNAオリゴマーを共鳴光散乱アッセイプローブとして利用することについて示す目的で、実施例9および10で説明したFMD配列を特異的に検出するためのPNAプローブ塩基配列を設計した。選択した配列は、配列番号14で示す5’ TCCGTGTTTTGTTGAC 3’(JBP2C)であった。この実施例で用いた修飾JBP2CPNAオリゴマープローブ配列すなわち、配列番号15で示す5’ B−OO−TCCGTGTTTTGTTGAC−Cy 3’(JBP2BC)については、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)(カリフォルニア州フォスターシティ(Foster City))が合成した。JBP2BC PNAオリゴマーを5’末端(N−末端)でビオチン部分(B)で修飾した。「OO」はPNAオリゴマーとビオチン部分との間のリンカーを示す。システイン残基(Cy)アミノ酸部分を利用してJBP2BC PNAオリゴマーを3’末端(C−末端)で修飾した。システインの遊離チオール基を利用してPNAオリゴマーをマレイミド誘導体化微粒子にカップリングした。
PNAオリゴマープローブを微粒子にカップリングするにあたり、100μM JBP2BC PNAオリゴマー20μLをpH7.4のPBS中マレイミド誘導体化微粒子40mgに加えた。反応混合物をローリングミキサで室温にて2時間インキュベートした。ソーバルマイクロスピン(Sorvall Microspin)微量遠心機にて12,000rpmで室温にてMicrocon(登録商標)100マイクロ濃縮器を利用し、懸濁微粒子を遠心分離して未反応のJBP2BC PNAオリゴマーおよびPBSを除去した。微粒子をPBSで2回洗浄した。JBP2BC PNAプローブ結合微粒子ペレットを1.5mL容の微量遠心管に移し、4℃で保管した。
C.蛍光を利用したPNAプローブ結合微粒子へのFMDオリゴヌクレオチド標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の検出
3’フルオレセインで標識したFMD特異的DNAオリゴヌクレオチド標的(JBP−F)すなわち、JBP2BC PNAプローブに相補的な配列である、配列番号7で示す5’ TCAACCAGATGCAGGAGGACATGTCAACAAAACACGGACCCGACTTAA−F 3’を利用して、PNAプローブ結合微粒子の機能性を試験した。JBP2BC PNAプローブに相補的な配列を含まない、実施例9で説明したフルオレセイン標識Lac2−Fオリゴヌクレオチド(配列番号6)を、非特異的対照として利用した。
JBP2BC PNAプローブ結合微粒子(2μL)を、0.3M NaCl、PBS緩衝液20μL中10μM JBP−Fアッセイ標的2μLまたはLac2−F対照標的10μMと混合し、ローリングミキサで室温にて1時間ハイブリダイズした。実施例9で説明したように、微粒子をペレット化し、0.3M NaCl、PBS緩衝液200μLで3回洗浄した。最終洗浄後、微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液50μLに懸濁させた。試料(1μL)をベクタシールド(VECTASHIELD)(登録商標)マウンティングメディウム(Mounting Medium)(カリフォルニア州バーリンゲーム(Burlingame)のベクターラボラトリーズ社(Vector Laboratories, Inc.))2μLにてスライドガラスにのせた。試料を実施例9で説明したように蛍光顕微鏡下で観察した。
蛍光顕微鏡写真から、特異的JBP−Fアッセイ標的がPNAプローブ結合微粒子に捕捉され、Lac2−F非特異的対照標的は捕捉されないことが分かった。標的のないPNAプローブ結合微粒子のバックグラウンドの自己蛍光についても試験した。自己蛍光は、フルオレセイン標識JBC−F標的の結合による蛍光よりも弱かった。これらの結果から、JBP2BC PNAプローブ結合微粒子がそれぞれの標的JBP−F配列に特異的であったことが分かる。
D.PNAプローブ結合微粒子を利用した共鳴光散乱の検出
PNAプローブ結合微粒子に対するDNA標的の共鳴光散乱を利用して結合を検出した。使用した手順は実施例2、3および9で説明したものと同様とした。パートAおよびBで説明したようにして調製したJBP2BC PNAプローブ結合微粒子を0.3M NaCl、PBS緩衝液、pH7.4に分散させ、得られた微粒子懸濁液の少量のアリコート(2から3μL)を、実施例3で説明して図6に示したものと同様の光学セルに入れた。図8に示し、実施例9で説明したものと同様で、少数(2から6)の微粒子を含む視野を選択した。画像を捕捉し、画素スタックファイルとして保存し、システムのパーソナルコンピュータにインストールしたソフトウェアで分析した。実施例9で説明したように、予備走査測定値を得てアッセイのバックグラウンドを記録した。
0.3M NaCl、PBS緩衝液中1μM Lac2−F非特異的標的DNA約5mLをJBP2BC PNAプローブ結合微粒子に流量約1mL/分で連続して流し、回収し、閉ループシステムで1時間再循環させた。続いて、このJBP2BC PNAプローブ結合微粒子を0.3M、PBS緩衝液10mLで洗浄し、廃液を破棄した。洗浄後に共鳴光散乱測定値を得た。続いて、0.3M NaCl、PBS緩衝液中1μM JBP−F特異的標的DNA約5mLをフローセルに加え、微粒子に1時間連続して流した後、10mLを0.3M NaCl、PBS緩衝液で洗浄した。繰り返すが、実施例3で説明したような共鳴光散乱スペクトルスキャンを洗浄後にJBP2BC PNAプローブ結合微粒子から得た。
これらの結果を表6に示す。共鳴光の散乱パターンにおける負のシフトは微粒子に対するLac2−F標的オリゴヌクレオチドの非特異的結合時に観察された。また、これらの結果から、JBP2BC PNAプローブ結合微粒子への特異的JBP−FオリゴヌクレオチドDNA標的の結合時に共鳴光の散乱パターンにさらに大きな負のシフトが観察されたことも分かり、PNAオリゴマー結合微粒子へのDNAオリゴヌクレオチド結合を検出する目的での共鳴光散乱の有用性が示される。非特異的分析物または特異的分析物のいずれかとして、オリゴヌクレオチドDNA標的がPNAオリゴマー結合微粒子に結合すると、共鳴光散乱スペクトルに負の共鳴波長のシフトが観察された。
Figure 2006515420
実施例12
共鳴光散乱を利用したPNAプローブ結合微粒子へのPCR産物標的のハイブリダイゼーション捕捉の検出
本実施例の目的は、共鳴光散乱を利用してPNAプローブ結合微粒子でPCR産物分析物を検出することについて示すことにあった。
A.微粒子の調製とオリゴヌクレオチドプローブのカップリング
JBP2BC PNAプローブ結合微粒子は実施例11で用いたものと同一とした。
B.PCR標的の調製
JBP2BC PNAプローブ結合微粒子に対する非特異的PCR試験標的は、実施例10でJBP S2SP3Bプローブ結合微粒子の試験に用いた511bpの増幅Lac2−511非対称PCR産物(配列番号9)と同一とした。特異的試験標的は、フォワードプライマー(P2FWD、配列番号10)を20pmolとリバースプライマー(P33−4、配列番号11)を2pmolで用いたこと以外は実施例10と同様にして増幅した、配列番号16で示す206bpの増幅JB非対称PCR産物の相補体(compliment)とした。続いて、この産物5マイクロリットルを、フォワードプライマー50pmolとリバースプライマー5pmolの存在下で再増幅した。
C.共鳴光散乱を利用したJBP2BC PNAプローブ結合微粒子へのFMD PCR産物標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の検出
実施例10で説明したように、JBP2BC PNAプローブ結合微粒子懸濁液2から3μLの少量のアリコートを光学セルに入れた。図8に示し、実施例9、10および11で説明したものと同様で、少数(2から6)の微粒子を含む視野を選択した。実施例10で説明したようにして共鳴光散乱の検出を実施し、各インキュベーション/洗浄ステップ後にスペクトル測定値を得た。Lac2−511 PCR断片とJB PCR標的断片をそれぞれ対照およびアッセイ標的として用いた。
表7の結果から、JBP2BC PNAプローブ結合微粒子に対するJB PCR産物の結合時に共鳴光の散乱パターンに有意な負のシフトが観察されたことが分かり、PNAオリゴマー結合微粒子に結合した特異的PCR DNA標的を検出する目的での共鳴光散乱が示される。
Figure 2006515420
実施例13
共鳴光散乱を利用した微粒子からのDNAプローブの切断の検出
本実施例の目的は、DNAプローブ結合微粒子へのDNA標的分析物の捕捉時に観察される負の共鳴光散乱スペクトルシフトが、DNAプローブへの核酸の結合によるものである点を示すことにある。蛍光標識分析物をアッセイ対照として利用し、核酸結合微粒子への分析物の特異的結合を確認し、形成されたハイブリダイゼーション複合体がカップリング架橋剤の切断時に除去されることも確認した。
A.微粒子の調製
実施例3、9および10で説明したようにして、高屈折率ガラス微粒子を調製し、シラン化して表面反応性アミン基を生成した。これらのアミン誘導体化ガラス微粒子を、チオール修飾オリゴヌクレオチドプローブにカップリングするピリジルジチオ基でさらに誘導体化し、後述するようなジスルフィド結合を形成した。このジスルフィド結合はDTTで切断可能であり、これを微粒子からのオリゴヌクレオチドプローブまたは核酸ハイブリダイゼーション複合体の除去に利用できる。
ピリジルジチオ基での微粒子の修飾に使用したカップリング剤は、スルホスクシンイミジル6−[3’−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエート(スルホ−LC−SPDP)(イリノイ州ロックフォード(Rockford)のピアースバイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology Inc.))であった。このカップリング剤には、微粒子表面のアミン基にスルホ−LC−SPDP架橋剤をカップリングするNHS基が分子の一端にある。アミン誘導体化ガラス微粒子の100μgのアリコートを、100mM炭酸塩/重炭酸塩緩衝液、pH9.6、スルホ−LC−SPDP122mg/mL、25%ジメチルホルムアミド(DMF)からなる反応混合物に加えた。この混合物を1.5mL容の丸底チューブに入れ、これを室温にて2時間回転させて表面のアミンをスルホ−LC−SPDPのNHS基と反応させた。得られたピリジルジチオ誘導体化微粒子を500μLのpH7.4のPBSで室温にて洗浄した。ソーバルマイクロスピン(Sorvall Microspin)微量遠心機にて12,000rpmで室温にて、Microcon(登録商標)100マイクロ濃縮器を用いて懸濁微粒子を遠心分離し、緩衝液とスルホ−LC−SPDPを除去した。微粒子をPBS緩衝液で2回洗浄した。ピリジルジチオ誘導体化微粒子ペレットを第2の1.5mL容の丸底チューブに移し、4℃で保管した。
B.オリゴヌクレオチドプローブ
オリゴヌクレオチドプローブは、実施例9で説明し、配列番号2で示したJBP S2SP3Bとした。JBP S2SP3Bをピリジルジチオ誘導体化微粒子に後述のようにしてカップリングした。また、ピリジルジチオ誘導体化微粒子には、配列番号17で示す3’標識フルオレセインプローブ(JBP S2SP3F)C−S−S(Sp)−TCAACCAGATGCAGGAGGACATGTCAACAAAACACGGACCCGACTTAA−F 3’もカップリングした。このプローブについては、誘導体化微粒子のピリジルジチオ基と反応させるためにジスルフィド部分で5’末端でも修飾した。
修飾JBPプローブすなわち、ピリジルジチオ誘導体化微粒子へのカップリング用のJBP S2SP3FおよびJBP S2SP3Bを作製するにあたり、ジスルフィド修飾因子を別々の反応混合物中で各JBPプローブで切断した。反応混合物には、PBS緩衝液600μL中に一方のJBPプローブ70nmolと、100mMジチオトレイトール(DTT)とが含まれていた。チオール修飾オリゴヌクレオチドをC6−チオ基およびDTTからエタノール沈殿によって精製した。3M酢酸ナトリウム、pH5.4を100マイクロリットルと、100%エタノール1000μLとを各反応に加え、溶液を十分に混合した。DNA沈殿物をソーバルマイクロスピン(Sorvall Microspin)微量遠心機にて12,000rpmで室温にて遠心分離してペレット化した。JBPプローブペレットを70%エタノールで2回洗浄した後、別々の反応管で2回蒸留水200μLに溶解させた。pH7.4のPBSを500μL加え、室温にて2時間回転させて表面のピリジルジチオ基をチオール活性化JBPプローブと反応させることで、両方のオリゴヌクレオチドを1.5mL容の丸底チューブにてピリジルジチオ誘導体化微粒子100μgにカップリングした。両タイプのJBPプローブ結合微粒子の調製物を室温にて500μLのPBSで洗浄した。ソーバルマイクロスピン(Sorvall Microspin)微量遠心機にて12,000rpmで室温にてMicrocon(登録商標)100マイクロ濃縮器を用いて、懸濁微粒子を遠心分離し、PBS、DTT、未反応のJBPプローブを除去した。微粒子をPBSで2回洗浄した。JBPプローブ結合微粒子ペレットを1.5mL容の微量遠心管に移し、4℃で保管した。
C.DNA−プローブ結合微粒子へのJBPオリゴヌクレオチド標的DNAのハイブリダイゼーション捕捉の蛍光検出
スルホ−LC−SPDPを利用した微粒子へのJBPプローブの架橋によって形成されるジスルフィド結合が切断可能であることを示すために、ジスルフィド結合をDTTで還元した。pH7.4のPBS緩衝液中JBP S2SP3Fプローブ結合微粒子のアリコート50μLを、0.2M DTT 50μLで10分間処理した。続いて、ツァイス(Zeiss)蛍光顕微鏡下にて、実施例9で説明したようにして微粒子を観察した。得られた蛍光顕微鏡写真から蛍光微粒子はすでに蛍光性ではないことが分かり、ピリジルジチオ交換反応によって生成されたジスルフィド結合がDTTで切断されたことが示された。
実施例9で説明したように、JBP特異的JBC−F(配列番号5)標的と非特異的対照Lac2−F(配列番号6)とを利用して、スルホ−LC−SPDP架橋剤を用いた場合の微粒子に対するJBPプローブの結合すなわち、上述のJBP S2SP3Bプローブ結合微粒子がJBC−F DNA標的に特異的に結合できるか否かを試験した。
実施例9で説明したようにして現像した顕微鏡写真から、JBC−F DNA標的が蛍光JBPプローブ/JBC標的ハイブリダイゼーション複合体を形成することでJBPプローブ結合微粒子に捕捉されたことが分かった。Lac2−F対照標的は捕捉されなかった。これらの結果から、JBP/ジスルフィド結合微粒子はJBC−F標的配列に特異的であることが分かる。続いて、JBPプローブ/JBC標的ハイブリダイゼーション複合体を0.2M DTTで上述のように微粒子から切断した。得られた顕微鏡写真から、ハイブリダイゼーション複合体切断微粒子の方が蛍光性がかなり低いことが分かり、ハイブリダイゼーション複合体の少なくとも一部がJBP結合微粒子から切断されたことが示された。
JBPプローブ結合(w/スルホ−LC−SPDP)微粒子を利用した共鳴光散乱の検出
共鳴光散乱を利用して、JBP結合微粒子に対するJBC−F(配列番号5)標的DNAの結合を検出した。手順は実施例2、3および9で説明したものと同様とした。上記のパートAおよびBで説明したようにして調製したJBP結合微粒子を、0.3M NaCl、PBS緩衝液、pH7.4に分散させ、得られた微粒子懸濁液の少量のアリコート(2〜3μL)を、実施例3で説明し、図6に示したものと同様の光学セルに入れた。図8に示したものと同様に、少数(2から6)の微粒子が含まれる視野を選択した。画像を捕捉し、画素スタックファイルとして保存し、システムのパーソナルコンピュータにインストールされたソフトウェアで分析した。実施例9と同様に、予備走査測定値を得てアッセイのバックグラウンドを記録した。
特異的標的JBC−F DNA(0.3M NaCl、PBS、pH7.4中1μM)約5mLを微粒子に流量約1mL/分で連続して流し、閉ループシステムで1時間再循環させた。続いて、微粒子を0.3M NaCl、PBS、pH7.4 10mLで洗浄し、廃液を破棄した。洗浄後に共鳴光散乱スペクトル測定値を得た。続いて、還元剤(0.1Mリン酸緩衝液pH8.4中0.1M DTT)を30分間加えた後、10mLを0.3M NaCl、PBS、pH7.4で洗浄した。繰り返すが、洗浄後に共鳴光散乱スペクトル測定値を得た。
表8に示す結果から、DNA標的を加えた後の共鳴光の散乱パターンにおける有意な負のシフトならびに、微粒子からプローブ標的複合体を切断した後の別の負のシフトが認められる。これらのデータから、負のように見えるシフトはDNA(核酸)プローブが架橋剤によって微粒子に結合して生じたものだということが分かる。これらのデータから、微粒子にカップリングした核酸の影響は、共鳴光散乱アッセイでの核酸分析物の結合時に生成された共鳴波長のシフトが負になるようなものであるように見える。
Figure 2006515420
実施例14
高屈折率の芯プラス1層を有する微粒子の予測共鳴光散乱スペクトル、1組の共鳴
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、高屈折率の均質な芯の他に層を1層有する微粒子の共鳴光散乱スペクトルを予測することにあった。10nm厚のタンパク質層による作用も予測する。
球形の多層微粒子から得た共鳴光散乱のコンピュータモデルを利用して、シミュレーションを構成した。使用したモデルは、カイザー(Kaiser),T.およびシュヴァイガー(Schweiger),G.、Computers in Physics 7(6)、682〜686(1993)などの参考文献に記載の周知の概念と式を拡張したものである。これらのモデルでは、直径(芯)または厚さ(層)と屈折率(RI)に最大10層まで指定できる。シミュレーションでは以下のパラメータを用いた。
媒質の屈折率(RI):1.33
開始波長:770
終了波長:780
散乱角:180度
検出全受光角:21.7度
芯の直径と屈折率ならびに層の厚さと屈折率を変えた。微粒子の外側に屈折率1.45の均一な10nm厚の層を加えることで、タンパク質層の結合をモデル化した。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図18のDCore)、芯の屈折率(図18のRICore)、層1の厚さ(図18のT1)、層1の屈折率(図18のRIL1)と一緒に表9に一覧で示す。
Figure 2006515420
予測散乱パターンを図18〜図19に示す。芯径と層のばらつき、芯と層の屈折率(RI)のばらつきによって、粒子(粒子1〜7)の識別用マーカーとして利用するのに適した散乱パターンにばらつきが生じる。これらの結果は、均質な芯プラス1層を識別可能な微粒子の有用性を示すものである。
10nm厚のタンパク質層を加えると、標的タンパク質の結合を検出するのに適した全体としての散乱パターンにシフトが生じる(粒子8)。タンパク質層を含む粒子の散乱プロットと基準粒子の散乱プロットとを比較することで、図19に示すように結合による効果が可視的に分かる。便宜上、結合vs.未結合の粒子を比較する2つのプロットを示してあり、一方では結合時に生じるパターンのシフトが分かりやすいように波長スケールを拡大してある。この比較では基準粒子に対する結合しか示されていないが、実施例の他の粒子でも同じ作用が認められる。
実施例15
低屈折率の芯プラス1層を有する微粒子の予測共鳴光散乱スペクトル、1組の共鳴
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、低屈折率の均質な芯の他にこれよりも屈折率が高い層を1層有する微粒子の共鳴光散乱スペクトルを予測することにあった。10nm厚のタンパク質層による作用も予測する。
実施例5で説明したようにして、媒質のRI、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いて、シミュレーションのスペクトルを算出した。芯の直径と屈折率ならびに層の厚さと屈折率を変えた。微粒子の外側に屈折率1.45の均一な10nm厚の層を加えることで、タンパク質層の結合をモデル化した。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図20のDCore)、芯の屈折率(図20のRICore)、層1の厚さ(図20のT1)、層1の屈折率(図20のRIL1)と一緒に表10に一覧であげておく。この実施例では、粒子1は均質な芯のみで、これを基準とした。残りの粒子では、全体の粒度が粒子1と同じになるように芯および層厚を定める。粒子2にはタンパク質を加えるため、タンパク質結合の検出について示す目的で、粒子2を基準粒子にするものとする。
Figure 2006515420
予測散乱パターンを図20〜図21に示す。これらの結果は、低屈折率の均質な芯プラスこれよりも屈折率の高い1層の識別可能な微粒子としての有用性を示している。このような微粒子では、層と媒質との間の高/低屈折率遷移によって生成される一組の散乱共鳴が生じる。火面外側の芯径のばらつき(火面の定義については、たとえば、ロール(Roll),G.およびシュヴァイガー(Schweiger),G.、J. Opt. Soc. Am. A 17(7)、1301〜1311(2000)を参照のこと)、層厚のばらつき、芯および層の屈折率(RI)のばらつきによって、粒子(No.1〜7)の識別用マーカーとして利用するのに適した散乱パターンにばらつきが生じる。10nm厚のタンパク質層を加えると、図21に示すように標的タンパク質の結合を検出するのに適した全体としての散乱パターンにシフトが生じる(No.8)。
実施例16
高屈折率のコアプラス1層を有する微粒子の予測共鳴光散乱スペクトル、2組の共鳴
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、高屈折率の均質な芯の他にこれよりも屈折率が低い層を1層有する微粒子の共鳴光散乱スペクトルを予測することにあった。10nm厚のタンパク質層による作用も予測する。
実施例5で説明したようにして、媒質のRI、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いて、シミュレーションのスペクトルを算出した。芯の直径と屈折率ならびに層の厚さと屈折率を変えた。微粒子の外側に屈折率1.45の均一な10nm厚の層を加えることで、タンパク質層の結合をモデル化した。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図22のDCore)、芯の屈折率(図22のRICore)、層1の厚さ(図22のT)、層1の屈折率(図22のRIL1)と一緒に表11に一覧であげておく。この実施例では、粒子1は均質な芯のみで、これを基準とした。残りの粒子では、全体の粒度が粒子1と同じになるように芯および層厚を定める。粒子2にはタンパク質を加えるため、タンパク質結合の検出について示す目的で、粒子2を基準粒子にするものとする。
Figure 2006515420
予測散乱パターンを図22〜図23に示す。これらの結果は、高屈折率の均質な芯プラスこれよりも屈折率の低い1層の識別可能な微粒子としての有用性を示している。このような微粒子では、実施例6の粒子と比較して別の散乱共鳴が生じる。これらの別の共鳴は、芯と層との間の高/低屈折率遷移によって生成されるが、これは上記の遷移が2組目の共鳴を生むだけの十分なものであるためである。芯径と層のばらつき、芯と層の屈折率(RI)のばらつきによって、粒子(No.1〜7)の識別用マーカーとして利用するのに適した散乱パターンにばらつきが生じる。10nm厚のタンパク質層を加えると、図23に示すように標的タンパク質の結合を検出するのに適した全体としての散乱パターンにシフトが生じる(No.8)。
実施例17
低屈折率の芯プラス2層を有する微粒子の予測共鳴光散乱スペクトル、2組の共鳴
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、低屈折率の均質な芯の他に、一方が他方よりも屈折率の高い2層を有する粒子の共鳴光散乱スペクトルを予測することにあった。10nm厚のタンパク質層による作用も予測する。
実施例5で説明したようにして、媒質のRI、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いて、シミュレーションのスペクトルを算出した。微粒子の外側に屈折率1.45の均一な10nm厚の層を加えることで、タンパク質層の結合をモデル化した。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図24のDCore)、芯の屈折率(図24のRICore)、層1および2の厚さ(それぞれ図24のTおよびT)、層1および層2の屈折率(それぞれ図24のRIL1およびRIL2と一緒に表12に一覧であげておく。この実施例では、粒子1は均質な芯のみで、これを基準とした。残りの粒子では、全体の粒度が粒子1と同じになるように芯および層厚を定める。粒子2にはタンパク質を加えるため、タンパク質結合の検出について示す目的で、粒子2を基準粒子にするものとする。
Figure 2006515420
予測散乱パターンを図24に示す。これらの結果は、低屈折率の均質な芯プラス2層(一方が他方よりも屈折率が高い)の識別可能な微粒子としての有用性を示している。このような微粒子では、第2の層と媒質との間の高/低屈折率遷移と、芯と第1の層との間の高/低屈折率遷移によって生成される複数の散乱共鳴が生じる。芯径と層のばらつき、芯および層の屈折率(RI)のばらつきによって、粒子の識別用マーカーとして利用するのに適した散乱パターンにばらつきが生じる。この実施例では、基準粒子だけを示してある。5つのパラメータを単独でまたはその2つ以上を一度に変えると、上述した実施例と同様に一意なスペクトルが生成される。10nm厚のタンパク質層を加えると、標的タンパク質の結合を検出するのに適した全体としての散乱パターンにシフトが生じる。簡単にするために、基本的な事例だけを示してある。どの組み合わせでもパラメータを変えると散乱光パターンが変化することから、粒子集団に対する識別用マーカーの多様性を高めることの有用性が示される。
実施例18
中心の黒い芯を有する微粒子の予測共鳴光散乱スペクトル
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、芯が2つの部分からなる粒子の共鳴光散乱スペクトルを予測することにあった。内側の部分は光学的に不透明な球であり、外側の部分は光学的に透明な殻である。10nm厚のタンパク質層による作用も予測する。
実施例5で説明したようにして、媒質のRI、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いて、シミュレーションのスペクトルを算出した。微粒子の外側に屈折率1.45の均一な10nm厚の層を加えることで、タンパク質層の結合をモデル化した。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図25のDInnerCore)、外芯径(図25のDOuterCore)、外芯の屈折率(図25のRIOuterCore)と一緒に表13に一覧であげておく。この実施例では、粒子1は均質な芯のみで、これを基準とした。残りの粒子では、全体の粒度が粒子1と同じになるように芯の内径および外径を定める。粒子11にはタンパク質を加えるため、タンパク質結合の検出について示す目的で、粒子11を基準粒子にするものとする。
Figure 2006515420
予測散乱パターンを図25〜図27に示す。図26では、芯径約29μm未満で、吸収芯が存在しても何の影響も観察されないことが分かる。これらの芯の直径は火面の直径よりも小さい。吸収芯の直径が火面の直径に達したときに光共鳴の消失が示されている。この実施例では、火面は直径31から32μmである。芯径が増えるにつれて影響速度が非常に高くなる。芯が31μmの粒子ではいくつか共鳴構造が認められる。この芯が32μmになると、共鳴は実質的に破壊される。内側の吸収芯が大きくなるにつれて、事実上粒子の大半を含んでなる。吸収芯径の値によっては、共鳴パターンにゆっくりと変化する波状構造を生じるが、先の実施例で見られた鋭利な共鳴構造は戻ってこない。図27は、2層芯の外側でのタンパク質結合の検出について示すものであり、この芯は吸収球を含んでなる。この実施例では、芯の直径は火面の直径よりも小さいため、これが共鳴の特徴の生成に干渉することはない。
この実施例の結果から、火面の内側にある構造は光共鳴の生成に干渉しないことが分かる。よって、たとえば、内側の粒子の直径を火面の直径未満にして、磁気ミクロスフェアまたは着色ミクロスフェアなどの光吸収性の高い内側の粒子で芯を構成できる。内側の吸収芯の直径が火面の直径と同じになると、この実施例の13〜18の粒子で示されるように、共鳴散乱の特徴を生成できなくなる。これについては、物理的に、共鳴散乱の特徴を生じている光線が、全反射によってトラップされる粒子外面のすぐ内側の軌道を伝搬するからだと分かれば理解できよう。火面は粒子の物理的な外面の内側にあり、光線が伝搬する領域を画定している。吸収芯がこの領域に入り込む程度に大きくなると、それによって光線が吸収されて共鳴を生じる機能が破壊される。
「中心の黒い」2層微粒子の表面でのタンパク質層の結合は、共鳴を生成できる程度に芯が小さい粒子の散乱パターンのシフトとして検出される
実施例19
半径方向に屈折率が異なる芯を有する微粒子の予測共鳴光散乱スペクトル
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、中心からの距離の関数として芯の屈折率が変わる粒子の共鳴光散乱スペクトルを予測することにあった。10nm厚のタンパク質層による作用も予測する。
実施例5で説明したようにして、媒質のRI、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いて、シミュレーションのスペクトルを算出した。芯の他に半径によって層の屈折率を変えた9層で屈折率のばらつきをモデル化した。半径によっていくつかのタイプの屈折率のばらつきを用いて、線形のばらつきと非線形のばらつきを示した。微粒子の外側に屈折率1.45の均一な10nm厚の層を加えることで、タンパク質層の結合をモデル化した。
粒子ごとの仕様
粒子1すなわち基準粒子を除いて、粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯の屈折率(図28のRICore)、層1、2、3、・・・9の屈折率(それぞれ図28のRIL1〜RIL9)と一緒に表14に一覧であげておく。この実施例では、粒子1は均質な芯のみで、これを基準とした。残りの粒子では、全体の粒度が粒子1と同じになるように芯および層厚を定める。粒子5にはタンパク質を加えるため、タンパク質結合の検出について示す目的で、粒子5を基準粒子にするものとする。簡単にするために、図面には全部の層を示したわけではない点に注意されたい。粒子1すなわち均質な構造の基準粒子は芯径40μmで芯のRIが1.8である。粒子2〜8は、芯径が8μmで層厚は2μmであり、粒子2〜8の全体の直径が粒子1と同じ40μmになるようにしてある。
Figure 2006515420
予測散乱パターンを図28〜図29に示す。これらの結果は、中心からの距離の関数として屈折率が変化する芯の有用性を示している。この実施例の結果は、半径方向に屈折率が変わるように粒子を製造することで、識別可能な微粒子の集団を構成できる可能性を示している。このような粒子の集団では、どのような生成方法でも自然なばらつきが生じ、こうしたばらつきがゆえに、光散乱パターンによって一意に区別できる粒子が得られる。半径方向に変化する芯の表面でのタンパク質層の結合は、散乱パターンのシフトとして検出される。
実施例20
媒質の屈折率が共鳴光散乱スペクトルに及ぼすと予測される影響
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、微粒子を入れる媒質の屈折率が変わることで共鳴光散乱スペクトルにどのような影響がおよぶかを予測することにあった。この実施例では、光学的に活性な層を加えていない均質な球について考える。媒質の屈折率を変えることによる影響をタンパク質層の結合による影響と比較する。
実施例5で説明したようにして、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いてシミュレーションのスペクトルを算出した。媒質の屈折率については変化させた。微粒子の外側に屈折率1.45の均一な10nm厚の層を加えることで、タンパク質層の結合をモデル化した。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図30のDCore)、芯の屈折率(図30のRICore)、媒質の屈折率(RI)と一緒に表15に一覧であげておく。
Figure 2006515420
予測散乱パターンを図30〜図31に示す。図31(一番上と下のスペクトルのペア)に示すように、媒質の屈折率が変わると相対ピーク強度ならびに一貫した波長のシフトに変化がある。図31(中段のスペクトルのペア)に示すように、タンパク質層を基準粒子に加えると、相対ピーク強度は変化せずにスペクトルにだけシフトが認められる。
実施例21
屈折率2.5の材料を用いた場合にシグナル増幅が及ぼすと予測される影響
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、標的分子に付着させた高屈折率の構造(TiOナノ粒子など)を微粒子表面への標的の結合時における波長シフトの増大に用いることの影響を予測することにあった。
実施例5で説明したようにして、媒質のRI、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いて、シミュレーションのスペクトルを算出した。タンパク質層を加えてある2層微粒子の外側に、厚さがナノ粒子の特定の質量に対応する高屈折率材料からなる薄層を加えることで、増幅作用をモデル化した。この実施例では、増幅構造の屈折率を2.5にした。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図32のDCore)、芯の屈折率(図32のRICore)、層1の厚さ(図32のT)、層1の屈折率(図32のRIL1)、タンパク質層の厚さ(図32のT)、タンパク質層の屈折率(図32のRIL2)、増幅層の厚さ(図32のT)、増幅層の屈折率(図32のRIL3)と一緒に表16に一覧であげておく。
Figure 2006515420
増幅層の厚さの増加の効果が図32〜33に示されている。さらに増幅材料が加えられるにつれて、波長のシフトが、増幅材料を使わない場合に比べて、増加しているこれらの結果は、標的分子に付着させた高屈折率の構造(TiOナノ粒子など)を微粒子表面への標的の結合時における波長シフトの増大に用いることの有用性を示している。これは、結合信号の微粒子での増幅に関する一般的な概念である。結合した標的だけを測定するため、付着させた増幅構造のない未結合標的分子が散乱スペクトルに対して干渉作用を持つことはない点に注意されたい。
実施例22
屈折率2.2の材料を用いた場合にシグナル増幅が及ぼすと予測される影響
本実施例の目的は、コンピュータシミュレーションを利用して、標的分子に付着させた高屈折率の構造(ナノ粒子の金属または金属酸化物または他の組成物)を微粒子表面への標的の結合時における波長シフトの増大に用いることの影響を予測することにあった。
実施例5で説明したようにして、媒質のRI、開始波長ならびに終了波長、散乱角、検出の全受光角について当該実施例の場合と同一の値を用いて、シミュレーションのスペクトルを算出した。タンパク質層を加えてある2層微粒子の外側に、厚さがナノ粒子の特定の質量に対応する高屈折率材料からなる薄層を加えることで、増幅作用をモデル化した。この実施例では、増幅構造の屈折率を実施例12の場合よりもわずかに低い2.2にした。
粒子ごとの仕様
粒子番号を、シミュレーションで利用したパラメータすなわち、芯径(図34のDCore)、芯の屈折率(図34のRICore)、層1の厚さ(図34のT)、層1の屈折率(図34のRIL1)、タンパク質層の厚さ(図34のT)、タンパク質層の屈折率(図34のRIL2)、増幅層の厚さ(図34のT)、増幅層の屈折率(図34のRIL3)と一緒に表17に一覧であげておく。
Figure 2006515420
増幅層の厚さを増すことによる影響を図34〜37に示す。増幅材料を足せば足すほど、増幅材料を使用した場合に比して波長シフトが大きくなる。実施例12の屈折率の高い材料よりも実施例13の屈折率の低い材料の方が、増幅作用がわずかに小さいことが認められる。
これらの結果は、標的分子に付着させた高屈折率の構造(ナノ粒子の金属、金属酸化物または他の組成物の層など)を微粒子表面への標的の結合時における波長シフトの増大に用いることの有用性を示している。これは、結合信号の微粒子での増幅に関する一般的な概念である。結合した標的だけを測定するため、付着させた増幅構造のない未結合標的分子が散乱スペクトルに対して干渉作用を持つことはない点に注意されたい。
スペクトルの狭い共鳴ピークの形と強度は、計算に利用する波長ステップの大きさに影響される場合がある点に注意されたい。上記のコンピュータシミュレーションによる実施例すなわち実施例5〜13ではいずれも、波長ステップを2000とした。場合によっては、ステップの大きさを小さくすることで、表示対称となる別の狭い共鳴を生成できることもあったが、しかしながら、これは上記の実施例に示した結果を実質的に何ら変化させないものであった。実際の測定では、粒子の識別と結合の測定にどの共鳴を利用するかは、検出設備で得られる解像度によって決まる。
多分析物試料から選択した標的の捕捉と、プローブのうちのひとつに対して相補的ではない標的の非結合を示す、本発明による粒子ベースの特異的結合アッセイの概略図である。 任意の数mの層で被覆された芯を示す層状微粒子の図である。芯と各層は半径Rと屈折率nで特徴付けられる。Rとnの粒子ごとのばらつきによって、本発明によるそれぞれの粒子の識別に利用可能な一意な散乱光パターンが生じる。 微粒子を保持するための光学セルと、微粒子を照明するとともに散乱光の強度を測定するための光プローブの概略図である。 微粒子からの散乱光の測定に利用される光プローブ検出システムの概略図である。構成要素については一定の縮尺で示されているわけではない。 本発明による一意な粒子のアイデンティティを構築可能な異なる微粒子から得た一組の散乱光スペクトルである。 微粒子を保持するための光学セルと、粒子を同時に画像形成するとともに散乱光の強度を測定するための顕微鏡レンズの概略図である。 本発明による多様な微粒子からの散乱光の測定に利用する画像形成検出システムの概略図である。構成要素については一定の縮尺で示されているわけではない。 入射光の単一の波長で図7の画像形成検出システムによって取得した、微粒子群からの散乱光のデジタル画像である。入射光と散乱光の両方を偏光させた。偏光方向は平行とした。12、3、6、9の数字は、明細書で説明したそれぞれの粒子の散乱光画像の領域を示す。 単一粒子から得た一組の波長関連散乱光画像と、該当する2つの領域(偏光12および偏光3)から得た抽出散乱光スペクトルである。 実施例3によるビオチニル化ガラス微粒子から得た散乱光のデジタル画像である。 実施例3によるビオチニル化微粒子の散乱光スペクトルである。 実施例3によるビオチニル化微粒子でのアビジン結合前と後の散乱光スペクトルの比較を示す。 実施例3で説明したように、図10Cのエタロンデータと散乱スペクトルの自己相関関数を示す。 実施例3で説明したように、図10Cの同じ微粒子でDTT処理後に得られるスペクトルシフトである。 実施例3で説明したように、図12のエタロンデータと散乱スペクトルの自己相関関数を示す。 分析物の結合の前と後に得られた2つの散乱光スペクトルの例を示す。波長スケールはまだ正確には整合していない。 図14Aのスペクトル走査時に得られた2つのスタックしたエタロンからの干渉パターンを示す。 散乱光スペクトル(強度)とエタロンパターン(エタロン)の相関分析について示す。 実施例3で説明したように、エタロンが整合した状態での分析物結合前後における波長補正散乱光スペクトルを示す。 実施例4で説明したように、サンドイッチアッセイの連続的な結合ステップと、その後のDTTによる切断での単一微粒子の散乱スペクトルを示す。 実施例6で説明したように、プロテインG’微粒子へのIgG結合時の共鳴波長の経時変化を示す。 実施例8で説明したように、蛍光微粒子を示すためのアルゴンイオンレーザ照明下での微粒子群の画像(A)と、同じエリアの平面図を示すためのダイオードレーザ照明下での微粒子群の画像(B)を示す。 実施例14に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例15に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例16に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例17に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例18に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例19に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例20に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例21に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。 実施例22に説明されている微粒子の予測共鳴光散乱スペクトルを示す。
【配列表】
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Claims (70)

  1. (a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
    (b)少なくとも2つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
    (c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
    (d)第1の分析波長範囲で(c)の粒子各々を1回もしくはそれ以上走査して、各粒子を一意に識別する第1の基準共鳴光散乱信号を、(c)の粒子各々について少なくとも1つ生成し、
    (e)少なくとも1つの捕捉プローブと識別された(d)の粒子各々とを相関させ、
    (f)(e)の粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、ここで、前記試料中に分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、
    (g)第2の分析波長範囲で(f)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(f)の粒子各々について第2の結合共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、ここで、
    1)少なくとも1つの第1の基準共鳴光散乱信号と少なくとも1つの第2の結合共鳴光散乱信号とは、同一であっても異なっていてもよく、
    2)少なくとも第1の分析波長範囲と第2の分析波長範囲とは、同一であっても異なっていてもよく、
    (h)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブに対する少なくとも1種の分析物の結合を検出し、そして
    (i)ステップ(e)で得た相関と少なくとも1つの第2の結合共鳴光散乱信号とに基づいて、1種もしくはそれ以上の結合された分析物を識別する
    ことを含んでなる、分析物を識別するための方法。
  2. (a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
    (b)少なくとも2つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
    (c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
    (d)各々が定義されたローカスを有する(c)の粒子を定義済みの空間配列に付加し、
    (e)場合により、分析波長範囲で(d)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(d)の粒子各々について第1の基準共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
    (f)(e)の粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、ここで、分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、
    (g)分析波長範囲で(f)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(f)の粒子各々について第2の結合共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
    (h)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブに対する少なくとも1種の分析物の結合を検出し、そして
    (i)付加された粒子ローカスに基づいて、1種もしくはそれ以上の結合された分析物を識別する
    ことを含んでなる、分析物を識別するための方法。
  3. (a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
    (b)少なくとも2つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
    (c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
    (d)分析波長範囲で(c)の粒子各々を1回もしくはそれ以上走査して、各粒子を一意に識別する第1の基準共鳴光散乱信号を、(c)の粒子各々について少なくとも1つ生成し、
    (e)少なくとも1つの捕捉プローブと識別された(d)の粒子各々とを相関させ、
    (f)(e)の粒子と、検出可能な標識を含んでなる分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料と、を接触させ、ここで、分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、そして
    (g)ステップ(e)の相関と分析物の検出可能な標識とに基づいて、1種もしくはそれ以上の分析物を識別する
    ことを含んでなる、分析物を識別するための方法。
  4. (a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
    (b)少なくとも1つの実質的に球形の識別可能な粒子を準備し、
    (c)粒子の表面に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、少なくとも1種の分析物に対して親和性のある少なくとも1つの捕捉プローブを、(b)の粒子に被着し、
    (d)場合により、分析波長範囲で(c)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(c)の粒子各々について第1の基準共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
    (e)(d)の粒子と分析物を少なくとも1種含有する可能性のある試料とを接触させ、ここで、分析物が存在する場合、少なくとも1つの捕捉プローブと少なくとも1種の分析物との間で結合が生じ、
    (f)分析波長範囲で(e)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、(e)の粒子各々について第2の結合共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、そして
    (g)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブに対する少なくとも1種の分析物の結合を検出する
    ことを含んでなる、捕捉プローブに対する分析物の結合を検出するための方法。
  5. (a)分析波長範囲全体にわたり光を生成する走査光源を準備し、
    (b)1)粒子に付加される少なくとも1つの捕捉プローブと、
    2)少なくとも1つの捕捉プローブに結合された少なくとも1種の分析物と、を含んでなる、実質的に球形の識別可能な粒子を少なくとも1つ準備し、
    (c)分析波長範囲で(b)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、前記粒子について第1の基準共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、
    (d)ステップ(c)の粒子の少なくとも1つの捕捉プローブから少なくとも1種の分析物を解離させ、
    (e)分析波長範囲で(d)の粒子を1回もしくはそれ以上走査して、粒子各々について第2の解離共鳴光散乱信号を少なくとも1つ生成し、そして
    (f)少なくとも1つの第1の基準光散乱信号のうちのいずれかと、少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかと、よりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで、少なくとも1つの捕捉プローブからの少なくとも1種の分析物の解離を検出する
    ことを含んでなる、捕捉プローブからの分析物の解離を検出するための方法。
  6. 捕捉プローブを被着する前に分析波長範囲で粒子を走査して、識別用共鳴光散乱信号を生成する請求項1または3のいずれかに記載の方法。
  7. 分析波長範囲が、約275から約1900ナノメートルの範囲の光学波長内で約1から約20ナノメートルにわたるウィンドウである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 分析物が、場合により分析方法によって識別される請求項4に記載の方法。
  9. 分析方法が、質量分析法と、蛍光と、吸光度放射活性と、表面プラズモン共鳴と、よりなる群から選択される請求項8に記載の方法。
  10. 分析方法が、蛍光部分、化学発光部分、粒子、酵素、放射活性タグ、量子ドット、発光部分、吸光部分、インターカレート色素および結合対のメンバよりなる群から選択される検出可能な標識を含んでなる請求項8に記載の方法。
  11. 結合された分析物の量が、第1の基準光散乱信号と少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかよりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで測定される請求項1、2または4のいずれか1項に記載の方法。
  12. 解離した分析物の量が、第1の基準光散乱信号と少なくとも1つの第2の光散乱信号のうちのいずれかよりなる群から選択される共鳴光散乱信号間の差を比較することで測定される請求項5に記載の方法。
  13. 検出可能な標識が、蛍光部分、化学発光部分、粒子、酵素、放射活性タグ、発光部分、吸光部分、インターカレート色素および結合対のメンバよりなる群から選択される請求項3に記載の方法。
  14. 光学波長が約600から約1650ナノメートルの範囲である請求項7に記載の方法。
  15. 光学波長が約770から約780ナノメートルの範囲である請求項7に記載の方法。
  16. 粒子の直径が約100マイクロメートル以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  17. 粒子の直径が約75マイクロメートル以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  18. 粒子の直径が約50マイクロメートル以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  19. 粒子が分析波長範囲で光に対して実質的に透過性である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  20. 粒子が、
    a)実質的に球形の芯と、
    b)芯に重なる1つもしくはそれ以上の層と、を含んでなり、
    1つもしくはそれ以上の層が、分析波長範囲で光に対して実質的に透過性である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  21. 1つもしくはそれ以上の層が光学的に活性である請求項20に記載の方法。
  22. 1つもしくはそれ以上の層が生物学的に活性である請求項20に記載の方法。
  23. 1つもしくはそれ以上の層が化学的に活性である請求項20に記載の方法。
  24. 層の厚さが約1ナノメートルから約10マイクロメートルの範囲である請求項22または23のいずれかに記載の方法。
  25. 芯が吸光性である請求項21に記載の方法。
  26. 1つもしくはそれ以上の層の厚さが約1ナノメートルから約20マイクロメートルである請求項20に記載の方法。
  27. 1つもしくはそれ以上の層の厚さが約50ナノメートルから約20マイクロメートルである請求項21に記載の方法。
  28. 芯が、ガラス、シリカ、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、フルオロポリマー、シリコーン、セルロース、半導体材料、吸光性材料、金属、磁性材料、鉱物、ナノ粒子、コロイド粒子、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物およびこれらの複合体よりなる群から選択される材料で構成されるものである請求項20に記載の方法。
  29. 磁性材料が酸化鉄である請求項28に記載の方法。
  30. 芯が中空である請求項20に記載の方法。
  31. 層が、ガラス、シリカ、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、フルオロポリマー、シリコーン、セルロース、高分子電解質、鉱物、ナノ粒子、コロイド粒子、金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物およびこれらの複合体よりなる群から独立して選択される材料で構成されるものである請求項20に記載の方法。
  32. 粒子が、分析波長範囲での屈折率が約1.45から約2.1のガラスで構成されるものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  33. 少なくとも1つの捕捉プローブが、タンパク質、核酸、ペプチド核酸、結合対の一メンバ、抗体、生物細胞、微生物、細胞膜断片、細胞小器官、受容体、ウイルス、ウイルス断片、バクテリオファージ、バクテリオファージ断片、有機配位子および有機金属配位子よりなる群から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  34. 少なくとも1種の分析物が、試料マトリクス成分を含んでなる試料中に存在する請求項33に記載の方法。
  35. 少なくとも1種の分析物が、タンパク質、核酸、ペプチド核酸、生物細胞、微生物、細胞膜断片、細胞小器官、抗体、受容体、ウイルス、ウイルス断片、バクテリオファージ、バクテリオファージ断片および結合対の一メンバよりなる群から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  36. 結合対の一メンバが、抗原/抗体、抗原/抗体断片、プロテインA/抗体、プロテインG/抗体、ハプテン/抗ハプテン、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸塩結合タンパク質;ホルモン/ホルモン受容体、レクチン/炭水化物、酵素/酵素補助因子、酵素/基質と、酵素/阻害剤、ペプチド核酸/相補的核酸、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド結合タンパク質、ビタミンB12/内因子;相補的核酸セグメント;スルフヒドリル反応性基を含んでなる対、カルボジイミド反応性基を含んでなる対およびアミン反応性基を含んでなる対からなる結合対の組み合わせから選択される請求項10に記載の方法。
  37. 結合対の一メンバが、抗原/抗体、抗原/抗体断片、プロテインA/抗体、プロテインG/抗体、ハプテン/抗ハプテン、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸塩結合タンパク質;ホルモン/ホルモン受容体、レクチン/炭水化物、酵素/酵素補助因子、酵素/基質と、酵素/阻害剤、ペプチド核酸/相補的核酸、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド結合タンパク質、ビタミンB12/内因子;相補的核酸セグメント;スルフヒドリル反応性基を含んでなる対、カルボジイミド反応性基を含んでなる対およびアミン反応性基を含んでなる対からなる結合対の組み合わせから選択される請求項33に記載の方法。
  38. 結合対の一メンバが、抗原/抗体、抗原/抗体断片、プロテインA/抗体、プロテインG/抗体、ハプテン/抗ハプテン、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸塩結合タンパク質;ホルモン/ホルモン受容体、レクチン/炭水化物、酵素/酵素補助因子、酵素/基質、酵素/阻害剤、ペプチド核酸/相補的核酸、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド結合タンパク質、ビタミンB12/内因子;相補的核酸セグメント;スルフヒドリル反応性基を含んでなる対、カルボジイミド反応性基を含んでなる対およびアミン反応性基を含んでなる対からなる結合対の組み合わせから選択される請求項35に記載の方法。
  39. 捕捉プローブが粒子の表面で合成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  40. 捕捉プローブが、天然の基原から単離されたものであるか、粒子の表面に付加される前に別途合成されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  41. 捕捉プローブを粒子に被着した後に、この粒子を処理して試料マトリクス成分の非特異的結合を防止する請求項34に記載の方法。
  42. 粒子を薄膜で被覆して試料マトリクスの成分の非特異的結合を防止した後、薄膜コーティングを活性化して捕捉プローブを付着させる請求項34に記載の方法。
  43. 第1の基準共鳴光散乱信号または第2の結合共鳴光散乱信号のいずれかが、ピーク波長位置、ピーク幅、ピーク間の波長間隔、ピーク振幅および偏光依存性特性よりなる群から選択されるスペクトルの特徴を含んでなる請求項1および3のいずれか1項に記載の方法。
  44. 基準共鳴光散乱信号および結合共鳴光散乱信号が、ピーク波長位置、ピーク幅、ピーク間の波長間隔、ピーク振幅および偏光依存性特性よりなる群から選択されるスペクトルの特徴に基づいて比較される請求項1、2、4および5のいずれか1項に記載の方法。
  45. 粒子が、光学的活性度のさらに高い層のうちの1層を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  46. 粒子が、生物学的活性度のさらに高い層のうちの1層を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  47. 粒子が、化学的活性度のさらに高い層のうちの1層を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  48. (a)実質的に球形の芯と、
    (b)粒子の外面に付加される捕捉プローブと、を含んでなり、
    1)約275ナノメートルから約1900ナノメートルの光学波長範囲で約1から約20ナノメートルの分析波長範囲での走査時における一意な共鳴光散乱信号を特徴とし、
    2)直径約100マイクロメートル以下であり、
    3)分析波長範囲で屈折率約1.6から約2.1の間であり、そして
    4)分析波長範囲で実質的に非蛍光発光性である、識別可能な粒子。
  49. 場合により、芯に重なる1つもしくはそれ以上の層を有する請求項48に記載の粒子。
  50. 1つもしくはそれ以上の層が光学的に活性である請求項49に記載の粒子。
  51. 1つもしくはそれ以上の層が生物学的に活性である請求項49に記載の粒子。
  52. 1つもしくはそれ以上の層が化学的に活性である請求項49に記載の粒子。
  53. 層の厚さが約1ナノメートルから約10マイクロメートルの範囲である請求項51または52のいずれかに記載の粒子。
  54. 1つもしくはそれ以上の層の厚さが約50ナノメートルから約20マイクロメートルである請求項49に記載の粒子。
  55. (a)実質的に球形の芯と、
    (b)粒子の外面に付加される捕捉プローブと、を含んでなり、
    1)約275ナノメートルから約1900ナノメートルの光学波長範囲で約1から約20ナノメートルの分析波長範囲での走査時における一意な共鳴光散乱信号を特徴とし、
    2)直径約100マイクロメートル以下であり、
    3)分析波長範囲で屈折率約1.6から約2.1の間であり、そして
    4)分析波長範囲で実質的に非蛍光発光性である識別可能な粒子であって、
    i)厚さが約50ナノメートルから約20マイクロメートルの間である光学的に活性な層1つもしくはそれ以上と、
    ii)厚さが約1ナノメートルから10マイクロメートルの生物学的に活性または化学的に活性な実質的に透明な外側の層1つもしくはそれ以上と、を含んでなり、前記層が(i)の層と重なる、識別可能な粒子。
  56. 芯が、ガラス、半導体材料、吸光性材料、金属、磁性材料およびこれらの複合体よりなる群から選択される材料で構成されるものである請求項48に記載の粒子。
  57. 捕捉プローブが、タンパク質、核酸、ペプチド核酸、結合対の一メンバ、抗体、生物細胞、微生物、細胞膜断片、細胞小器官、受容体、ウイルス、ウイルス断片、バクテリオファージ、バクテリオファージ断片、有機配位子および有機金属配位子よりなる群から選択される請求項48に記載の粒子。
  58. 結合対の一メンバが、抗原/抗体;プロテインA/抗体、プロテインG/抗体、ハプテン/抗ハプテン、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸塩結合タンパク質;ホルモン/ホルモン受容体、レクチン/炭水化物、酵素/酵素補助因子、酵素/基質、酵素/阻害剤、ペプチド核酸/相補的核酸、ポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド結合タンパク質、ビタミンB12/内因子;相補的核酸セグメント;スルフヒドリル反応性基を含んでなる対、カルボジイミド反応性基を含んでなる対およびアミン反応性基を含んでなる対からなる結合対の組み合わせから選択される請求項57に記載の粒子。
  59. 請求項48に記載の識別可能な粒子の集団。
  60. (a)溶液中に少なくとも1つの実質的に球形の識別可能な粒子を含んでなる微粒子ベースの測定システムであって、これらの粒子は各々、
    (a)粒子の外面に付加される捕捉プローブを含んでなり、
    1)粒子は、約275から約1900ナノメートルの光学波長範囲で約1から約20ナノメートルにわたるウィンドウのある分析波長範囲での走査時における一意な共鳴光散乱信号を特徴とし、
    2)粒子の直径は約75マイクロメートル以下であり、
    3)粒子の屈折率は分析波長範囲で約1.45および約2.1であり、
    前記システムはまた、
    (b)分析波長範囲で粒子を走査するための走査光源と、
    (c)散乱光を検出するのに適した位置と適した環境に粒子を提示するための光学セルと、
    (d)粒子を光学セルに配置するための粒子ハンドリング手段と、
    (e)走査された粒子からの光を検出して前記光を電気信号に変換するための検出手段と、を含んでなる、微粒子ベースの測定システム。
  61. 場合により、粒子を試薬および分析物と接触させるための手段を含んでなる請求項60に記載のシステム。
  62. 場合により、前記検出手段によって生成される前記電気信号の取得と分析のために走査光源および検出手段に作動的に接続されたコンピュータを含んでなる請求項60に記載のシステム。
  63. 場合により、前記電気信号を粒子のアイデンティティに変換し、場合により、粒子に対する分析物または分析物群の結合の存在または度合いに変換する、データ分析手段を含んでなる請求項60に記載のシステム。
  64. 場合により、前記分析物または分析物群の結合を検出または識別するためのデータ分析手段を有する請求項60に記載のシステム。
  65. 走査光が、走査用ダイオードレーザ、チューナブルダイオードレーザおよび多色光源よりなる群から選択される光源によって生成される請求項60に記載のシステム。
  66. 走査光源が波長選択装置と併用される請求項65に記載のシステム。
  67. 走査光源が、ファイバオプティクス光カップリング手段を用いて改質したものである請求項60に記載のシステム。
  68. 前記波長選択装置は、場合により、分散型要素、非分散型要素、モノクロメータ、チューナブルフィルタ、プリズム、格子および固定フィルタよりなる群から選択される構成要素を含んでなる請求項66に記載のシステム。
  69. 1つもしくはそれ以上の粒子からの散乱光が画像形成手段で検出される請求項60に記載のシステム。
  70. 画像形成手段が、
    (a)走査用ダイオードレーザ光源と、
    (b)分光散乱光画像形成および迷光除去に適した光学セルと、
    (c)微粒子を分析物および試薬と接触させるための手段と、
    (d)顕微鏡と、
    (e)デジタルカメラおよびモニタと、
    (f)デジタル画像取得ハードウェアと、
    (g)必要に応じて(a)〜(f)の要素に作動的に接続されたコンピュータと、
    (h)(a)〜(f)の要素を制御し、データを捕捉し、データを処理するのに適したソフトウェアと、を含んでなる請求項66に記載の微粒子ベースの測定システム。
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