JP2006507664A - 任意ガススイッチング法を用いた高アスペクト比/深いエッチングの側壁平滑化 - Google Patents

任意ガススイッチング法を用いた高アスペクト比/深いエッチングの側壁平滑化 Download PDF

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Abstract

本発明は、ガスを交互プラズマエッチング/デポジション室に導入する改良された方法を提供する。デポジション及びエッチングガス供給装置がオン及びオフにスイッチされた時、交互エッチング/デポジション室への圧力パルスの導入を最小にするために、マスフローコントローラーを用いて、相対的に一定のガス流量を供給する。交互エッチング/デポジション室へのガス導入口が閉じられた時、マスフローコントローラーからガスの流れに代替経路を提供するように、ガスのバイパス又はガスの排出口を設けてある。バイパス又は排出口の設置は、マスフローコントローラーから受け入れるガスの圧力を実質的に一定の水準に維持する。ガスの圧力パルスの消滅又は最小化は、交互エッチング/デポジション室でシリコン基板にエッチングした高アスペクト比機構を有する壁の平滑性を高めることに役立つ。

Description

(関連出願の説明)
この出願は、2002年8月16日に出願された「任意(discrete)ガススイッチング法を用いた高アスペクト比/深いエッチングの側壁平滑化」という名称の同一所有権者の米国仮特許出願に基づいて優先権を主張するものであり、かつそれに関連するものであって、この仮特許出願を本明細書に参考として援用する。
本発明は、一般的には半導体製造分野に関するものである。より具体的には、本発明の好適な実施形態は、プロセスガスをデポジション/エッチング室に交互に導入し、かつ室をバイパスさせるために調節可能な迅速任意ガススイッチングを用いることにより、時分割多重化デポジション/エッチングプロセスを改良する方法を対象にする。
シリコン中で高アスペクト比機構の二次加工は、微小電気機械システム(MEMS)デバイスの製造に広範囲に用いられる。このような機構は、しばし数10から数百μmの範囲の深さになる。生産性を確保するために、エッチングプロセスは、高速度で作動して合理的なスループットを維持しなければならない。適切なデバイス性能を確保するためには、側壁の平滑性がしばしば重要な要件になる。
従来の、単一のプラズマエッチングプロセスは、それらのニーズを同時に満たすことができない。その結果として、デポジションプロセスとエッチングプロセスが連続的に交互に行われる時間分割多重化プロセスが研究された。シリコンエッチングに対する時分割多重化(TDM)手法は、Laermerらにより述べられている(米国特許第5,501,893号、「ボッシュ」プロセスとして知られている)。通常、このTDMエッチングプロセスは、高密度プラズマ源、典型的には誘導結合プラズマ(ICP)源とともに高周波(RF)バイアス基板電極を設けた反応装置内で行われる。シリコンのTDMエッチングプロセスに用いられる最も普遍的なプロセスガスは、六フッ化硫黄及びオクトフルオロシクロブタンである。通常、六フッ化硫黄(SF)はエッチングガスとして、オクトフルオロシクロブタン(C)はデポジションガスとして用いられる。エッチングステップでは、SFがシリコン(Si)の自発的かつ等方性エッチングを容易にし、デポジションステップでは、Cがエッチング構造の側壁及び底面に保護ポリマー層の堆積を容易にする。TDM交互エッチング/デポジション又は「ボッシュ」プロセスは、エッチングとデポジションプロセスのステップを周期的に交互に行い、マスクされたシリコン基板内に形成される高アスペクト比構造を可能にする。エッチングステップに存在する、強力かつ方向性のイオン衝撃に基づいて、エッチングされた構造の底面に塗布され直前のデポジションステップで形成されたポリマーフィルムが除去されて、次ステップのエッチングのためにシリコン表面を露出させるであろう。側壁上のポリマーフィルムは残るであろうが、そのわけは、このフィルムが直接的なイオン衝撃を受けることがなく、それによる横方向のエッチングを抑えるからである。TDMプロセスは多重エッチング−デポジションのサイクルから成り立つが、このサイクルのエッチング又はデポジションのいずれかの部分(又は双方)は、更に多段階のセグメントに分割されてもよい。このTDM手法の使用は、高いSiエッチング速度でシリコン基板に高アスペクト比の機構を形成する。
従来のTDMエッチングプロセスの過程で、プロセスの調節(当業界ではプロセスモーフィング(morphing)として知られる)が、特により高いアスペクト比のために、垂直機構のプロフィールを維持するために必要であることが知られる。Bhardwajら(米国特許第6,051,503号)及びLaermerら(米国特許第6,284,148号)は、この問題に対する解法としてプロセスの初期にデポジション速度の増加及び/又はエッチング速度の減少を教示する。Bhardwajは、このデポジション/エッチング速度の調節が、TDMプロセス内でサイクルからサイクルにわたって、プロセスのガスの流れを変更することにより行い得ることを教示している。
従来のTDMエッチング装置では、プロセス室へのガスの導入は、マスフローコントローラー(MFC)及び隔離(isolation)弁の組み合わせにより制御される。エッチングがセグメント化する間、SFが「オン」になり、(SFがプロセス室に供給され)デポジションガス(C)をプロセス室から排除することが、しばしば有益である(必須ではない)。同様に、デポジションステップでは、Cが「オン」になり、(Cがプロセス室に供給され)プロセス室からエッチングガス(SF)を排除することが、しばしば有益になる(必須ではない)。
プロセスのステップの初期にMFCをオンにすることは、MFCが安定化し設定値に達するまで、室内に弱い圧力「バースト」を生むことが知られている。より長いステップ時間のプロセスでは、プロセスに及ぼす圧力「バースト」の影響は重要ではない。しかし、プロセスのステップ時間が減少するにつれ、圧力「バースト」が原因で、プロセスの圧力がセグメントプロセス時間の重要な部分に従わなくなる。TDMエッチングプロセスでは、セグメント時間はセグメント当たり約5秒であり、反復の圧力バーストはプロセスの生産性及び安定性に悪影響を及ぼす。また、ゼロ流動に代わり、MFCを「オフ」状態で、いくらか低い設定値(約1sccm)に保持することが、安定性を改善することは知られている。しかし、それでも、ガス制御システムに対して、迅速な反復的ガス組成変更を必要とするプロセスにおいて、安定的システム操作を促進するニーズが存在する。
エッチングに対するTDMの1つの限界は、粗い機構の側壁である。この限界は、TDMエッチングプロセスで用いられる周期的エッチング/デポジション方式によるものであり、当業界では側壁「スカロッピング」(scalloping)として知られている。多くのMEMSデバイス用途では、この側壁粗さ又はスカロッピングを最小にすることが望まれる。TDMエッチングプロセスでのスカロッピングの程度は、通常は、スカロップの長さ及び深さとして測定される。スカロップ長さは、側壁粗さのピークピーク距離であり、一エッチングサイクル間に達成されるエッチング深さに直接関係がある。スカロップ深さは、側壁粗さのピークバリー距離であり、個々のエッチングステップの異方性の程度に関係する。スカロップ形成の程度は、各エッチング/デポジションのサイクル時間を短縮すること(より高周波で反復される、より短いエッチング/デポジションサイクル)によるか、又は各エッチングステップを本質的により異方性にすること(即ち、エッチングステップでエッチング剤及び少量の不動態化剤を共存させること)により、最小化することができる。
また、より平滑な機構の側壁に加えて、より速い総TDMエッチング速度を達成することが望ましい。TDMエッチングプロセスの総エッチング速度は、各エッチングサイクルに費やされる時間を速める又はエッチングサイクル内の効率を高めることにより速めることができる。これら両手法は、より大きなスカロップ形成及び究極的により粗い側壁をもたらす。従来のTDMエッチングプロセスでは、より速いエッチング速度は、より粗い側壁の犠牲ではじめて達成できる。したがって、より平滑な機構の壁面をもつ高速TDMエッチングプロセスに対するニーズがある。
1999年の刊行物で、AYONらは、支援情報を提供することなく、「一般的に、高い電力対圧力の比率及び短いエッチングサイクルは、この(スカロップ)発生を低減する傾向がある」と述べた。一定のプラズマ電力の水準で、低いSFの圧力は、低エッチング速度を生み、かつ低いCの圧力は、ポリマー堆積量を増やし、次いでこれが低エッチング速度をもたらしていることは、よく理解される。AYONは、短いサイクル時間を示唆したが、報告された結果は、6秒以上のデポジションサイクル時間及び10秒以上のエッチングサイクル時間からなるプロセス時間を報告しているに過ぎず、より速い時間スケールでプロセスガスを制御する方法を開示していない。
従来のTDMエッチング反応装置では、「オフ」状態で、ガスMFCが低い設定値に保持されている時であっても、個々のMFCの応答時間は、実際のプロセスセグメント時間を2秒より長い時間に制限される。したがって、より短いプロセスセグメント時間を達成するために、TDMエッチングにおいて、より速いガススイッチングに対するニーズが存在する。
多くのグループは、TDMエッチング手法を用いて深いシリコンエッチングの成果を報告した。これらのグループにより報告されたプロセスは、全て4秒以上のデポジションサイクル時間を用いたが、一方、報告されたエッチング時間は10秒以上であった。Blauwらは、高速マスフローコントローラーの使用により、短いサイクル時間とTDMプロセスを報告している。Blauwは、2秒のデポジションサイクルと共に5秒のエッチングサイクルを用いたプロセスを報告している。しかし、Blauwは、TDMプロセスのデポジション及びエッチングセグメントの間に、マスフローコントローラーにほぼ一定のエッチング及びデポジションガス流量を維持させるガススイッチング方法を開示していない。
また、等方性エッチングステップを異方性エッチングステップに置き換えることにより、深いシリコンエッチングにおけるスカロッピングの大きさを最小にすることが知られている。例えば、このエッチングセグメントにおいて、SFガスに酸素(O)又は窒素(N)の添加は、エッチングサイクルの間に側壁のエッチング速度(横方向エッチング速度)を低下させるであろう。この低減した横方向エッチングは、シリコン側壁上に酸化ケイ素又は窒化ケイ素が形成されたことに由来する。この手法はスカロッピングを低減するが、それは全体の機構のプロフィールを犠牲にしている。この形成された酸化物又は窒化物の不動態化層は、典型的には、制御がより困難なプロセスに帰着する数単分子層の厚さに過ぎないことに留意されたい。米国特許第6,303,512号(Laermerら)は、SiF/O系の交互プロセス化学処理によりこれを制御することを提案している。この技術の欠点の1つは、所望の総エッチング速度を得るためには、プラズマへの酸素捕捉剤ガス(CHF、C、CFなど)の添加が、エッチング先端から底面にかけて酸化物の形成を最小にしなければならないことである。この第6,303,512号特許は、TDMサイクル時間をセグメント当たり5秒より速くすること、及びプロセスガスのバイパスラインを使用してプロセスセグメントサイクル時間を5秒より短くすることを開示していない。
ガススイッチングは、時分割多重化エッチング特許(Laermerらの米国特許第5,501,893号)に開示された。この第5,501,893号特許は、プロセスセグメント当たり約1分の時間スケールでガススイッチングすることを教示するが、しかし、エッチングとデポジションステップ間でプロセスガスを迅速にスイッチする手段として、ガスバイパスラインを用い、閉止(shut−off)弁で排出することを教示していない。
また、スズキらは、TDMプロセスのためにガススイッチングする方法を開示している(米国特許第4,579,623号)。スズキは、ニードル弁と共に閉止弁を使用してガスをパルス化し、一定のガス流量を維持することを教示している。閉止弁は、ガスをプロセス室に導入するか又はニードル弁と室閉止弁間で圧力上昇を避けるためにガスを放出する。ガススイッチングにニードル弁を用いた結果、スズキの開示は、一定のガス流量プロセスに限定されるもので、「モーフィング」を容認するものではない。スズキは、TDMプロセスのために使用できる、ガス流量がサイクル内又はサイクルからサイクルにわたって変更されるガススイッチングを教示していない。
また、スズキは、ガスが真空室に導入されない時間(ガスがプロセスに導入されない「オフ」サイクル)に、ニードル弁と閉止弁間のガスを放出することを教示している。この放出は、ニードル弁と閉止弁間で圧力増加を阻止する。スズキは、「オフ」サイクル中に反応領域の同じ室の下流にガスを放出して、プロセスガスが常に循環するようにポンピングシステムにより均一な負荷を与えることを教示していない。
さらに、スズキは、循環的かつ反復的であるプラズマ表面処理プロセスに対してガススイッチングを考慮するが、スズキは、交互エッチング及び重合ステップから成るTDMプロセスに対するガススイッチングを教示していない。
マスフローコントローラー(MFC)で閉止弁を使用したガスパルシング(pulsing)は、Heineckeらにより開示された(米国特許第4,935,661号)。Heineckeのグループは、プロセスガスのMFCの後に閉止弁を用いて、プロセスガスをパルスすることを教示している。Heineckeは、「オフ」状態で、プロセスガス用のバイパス経路を設けていない。Heineckeは、閉止弁が「オフ」位置である時にMFCを「オン」に残し、かつMFCとこの弁間のラインの圧力を高めることを教示している。この方法では、この弁が、そのガスを用いる次プロセスサイクルのために開放される時、そのガスの圧力「バースト」は、プロセス室に向けて解放される。Heineckeは、プロセスガスが「オフ」状態にある(プロセス室に導入されない)時に、MFCが「オン」に残りライン中の圧力を増大させないようにバイパス経路を使用することを教示していない。加えて、Heineckeは、循環的エッチング/デポジションプロセスのためにガスパルシングを使用することを教示していない。
Bhardwajら(米国特許第6,051,503号)は、ガス流量がサイクル内又はサイクルからサイクルにわたって変更されるTDMエッチングプロセスに対するガススイッチングを教示している。Bhardwajは、エッチングとデポジションステップ間でプロセスガスを迅速にスイッチする手段として、ガスバイパスラインを用い、閉止弁で排出することを教示していない。
Van Suchtelenら(米国特許第4,916,089号)は、エピタキシャルデポジションのためのガスパルシングを教示している。Van Suchtelenは、ガスのバイパスラインと共にマスフローコントローラーを用いてガススイッチングを教示するが、彼らは、エッチングプロセス、プラズマ系プロセス、又は循環的エッチング/デポジションプロセスのためにガスパルシングの使用を教示していない。
本発明の好ましい実施形態は、デポジション及びエッチングプロセスのために用いられる室にガスを供給する装置を対象にする。この装置は、エッチングガスを室に供給するための関連ガス導入口、及び反応領域の同じ真空システム下流にあるエッチングガス排出のための関連ガス出口を設けたエッチングガス供給装置を含む。関連ガス導入口を設けたデポジションガス供給装置は、デポジションガスを室に供給し、かつ関連ガス出口は、同じ真空系の反応領域の下流にデポジションガスを排出する。ガス導入口が閉じられた時に、ガス排出口からガスが流出するようにガス導入口及びガス排出口が配置されているので、ガスコントロールスイッチは、エッチングガス供給装置及びデポジションガス供給装置を制御する。このガスコントロールスイッチは、室へのガスの流動が開始した時に圧力パルスが発生しないように、関連ガス導入口から室へのエッチングガス及びデポジションガスの流量を制御する。したがって、関連ガス導入口から室へのガスの流量は、ガスが実質的に一定した圧力で室に導入されるように制御される。特に好ましい実施形態では、ガス排出装置は、ガス排出装置から流出するガスを室のガス排出口に導く。
本発明の別の実施形態は、半導体製造のために用いるデポジション/エッチング室にガスを供給するガス供給システムを対象にする。このガス供給システムは、ガスの流れを供給するためのマスフローコントローラーを含む。ガス導入口は、マスフローコントローラーからデポジション/エッチング室にガスを導く。ガスのバイパスは、ガス導入口が閉ざされた時、マスフローコントローラーからガスを受け入れる。このガスは、エッチングガス又はデポジションガスのいずれでもよい。個々のガススイッチは、マスフローコントローラーからのガスの流れがガス導入口とガスバイパス間で交互にパルスされるように、マスフローコントローラーからのガスの流れを制御する。
本発明の別の実施形態は、シリコン基板内のエッチングされたトレンチ側壁の平滑性を最大にするために、マスフローコントローラーから半導体製造室へのガスの流れを制御する方法を対象にする。この方法によれば、実質的に一定のガス流量がマスフローコントローラーから供給される。ガスがオン状態の時に、マスフローコントローラーからのガスの流れは室に供給される。ガスがオフ状態の時には、マスフローコントローラーから室へのガスの流れは、マスフローコントローラーから供給されたガスの圧力が相対的に一定になるようにコースを変更される。
本発明の別の実施形態は、平滑な側壁をもち横方向に明確な凹部構造を実現するために、室でシリコンを異方性プラズマエッチングする方法を対象にする。この方法によれば、反応性エッチングガスのパルスが、ポリマー層を堆積するための反応性重合性ガスのパルスと交互して、シリコンエッチング室に供給される。反応性エッチングガス及び反応性重合性ガスは、マスフローコントローラーから実質的に一定の速度で送り込まれる。エッチングステップで、シリコン表面が、反応性エッチングガスとの接触によりプラズマエッチングされて、シリコン表面から物質を除去し、露出された表面を提供する。重合ステップで、少なくとも1種のポリマーが、反応性重合性ガスとの接触によりシリコン表面に重合させられ、この時先行エッチングステップで露出された表面が、ポリマー層により被覆されて、一時的にエッチング停止する。エッチングステップ及び重合ステップは、交互に反復される。好ましくは、反応性エッチングガス及び重合性ガスは、オン−ガスパルス状態及びオフ−ガスパルス状態の時に実質的に一定の圧力で維持される。これは、反応性ガスがパルスオフされた時に、反応性ガスに反応領域をバイパスさせるガスのバイパスを設けることにより達成された。
前記の本発明の実施形態は、先行技術に多くの改良を提供する。本発明の実施形態は、プロセス室に導入されたエッチングガス及びデポジションガスの圧力変化を最小化することにより、シリコン基板内にエッチングされた機構の側面にスカロッピング形成を最小にする。加えて、導入された圧力パルスの減少は、交互エッチング/デポジションプロセスのプロセスサイクル時間を実質的に減少させる。プロセス時間の減少は、プロセスの生産性を高め、それにより最終製品のコストを下げる。したがって、本発明は、先行技術に関する実質的改良である。
図1(a−b)は、本発明の好ましい実施形態に従うガスバイパス経路の操作を説明するグラフである。
図2(a−d)は、スカロップの大きさ及びシリコンエッチングプロセスで用いられるガスサイクル時間の減少に伴うスカロップの大きさの漸進的減少を説明する絵画図である。
図3は、本発明の好ましい実施形態で達成された図2(d)に示された減少したスカロッピングを説明する高解像度の絵画図である。
図4(a−b)は、総シリコンエッチング速度のガスサイクル時間への依存度及びスカロップの大きさのガスサイクル時間への依存度をそれぞれ説明するグラフ図である。
本発明の好ましい実施形態は、プロセスガスを導入するために、調節可能な迅速任意ガススイッチを用いて、時分割多重化エッチングプロセスを改良する手段を対象にする。この構成は、スカロッピングの最小化により側壁平滑性を改良し、一方で高エッチング速度を維持する。
プロセス室に供給されるプロセスガス組成を迅速に変更するためには、MFC設定値の大幅な変更を避ける必要がある。本発明の好ましい実施形態の新規に提案されたガス送出機構において、MFC設定値をエッチングとデポジションプロセスの段階でほぼ一定の水準に保持することができ、一方でプロセスのステップ内で、MFC水準を変更する自由度を維持している(図1を参照)。この新規構成において、MFC11で計量された第一のガス(ガスA)10は、ガスA(10)室の導入口弁4を開き、かつガスA(10)の室バイパス弁2を閉じることによりプロセス室14に導かれる。ガスA(10)が必要であり、かつガスB(12)が不必要であるプロセスの段階では、ガスBの室バイパス弁8を開き、かつガスBの室導入口弁6を閉じることにより、MFC13で計量されたガスB(12)が排出口20に直結される(図1(a)を参照)。室排出口は、室内の反応領域の外にある任意の適切な低圧シンク(sink)である。室の反応領域は、プロセスガスが基板と反応する室容積である。
図1(b)の回路図は、ガスB(12)がプロセス室に必要であり、かつガスA(10)が不必要であるプロセスの段階の実施例を示す。このガス送出機器の配置を用いて、ガスAの室バイパス弁2及びガスBの室導入口弁6を同時に開き、一方でガスAの室導入口弁4及びガスBの室バイパス弁8を同時に閉じることにより、室14内でプロセスガスA(10)からプロセスガスB(12)にスイッチすることができる。プロセスガス10又は12は、室14を通して又はバイパス16及び18を通して、常に排出の経路を有するので、ガス10及び12を供給するMFCは、プロセスガスが「オフ」(バイパスされた)状態でいる間も、ガスライン10及び12に背面圧力を形成することなく、特定のプロセス設定値に留まることができる。図1の実施例が、室排出口20に応答する室バイパスガスの流れ16及び18を示す時、室バイパスガスの流れ16及び18が任意の適切な低圧ガスシンク(sink)に交互にコースを変更できることに留意することは重要である。TDMエッチングプロセスでは、それぞれのガス10及び12に対するガス使用率は1−99%の範囲であり、総サイクル時間は1秒未満〜数10秒の範囲である。
本発明の別の実施形態では、ガススイッチングの周波数はプロセスの過程で変更できる。周波数の変更は、プロセスの1つ以上の任意の点か、又はTDMプロセスの至る所で連続的に行うことができる。また、本発明が図1に提示された2種のガスの場合に限定されないことに留意することは重要である。本発明を用いて、同一のバイパス及び排気の原理を用い任意の数のガスをパルスすることができる。
別の実施形態では、本発明は、プロセスガスの流れの少なくとも1つがプロセスでパルスされない多重ガスを使用するプロセスに応用することができる。本発明を用いて少なくとも1種のガスがパルスされる限りは、連続的に流されたガスの流量は、プロセスを通して一定に保持することができるか、又は従来のMFCを用いて任意に又はプロセスの至る所で連続的に変更できる。連続的に流されたガスは、パルスされたガスの1種と同一であってもよい。
プロセスサイクルのエッチング又はデポジション(又は両者の)部分を多数のセグメントに分けることはこの業界では知られている。1つの実施例は、このサイクルのエッチング部を2つのセグメントに分割することである。このエッチングサイクルの第一セグメントは、先行デポジション部から水平表面上の保護ポリマーフィルムを除去するために最適化可能であり(典型的にはより高い高周波バイアス電源の使用により)、一方エッチングサイクルの第二セグメントは、速いSi除去速度に対して最適化できる(典型的には、より高いエッチングプロセス圧、より多い反応ガス流量、又はより高いプラズマ濃度により)。したがって、本発明は、時分割多重化プロセスで有利に使用することができ、パルスされたプロセスガスのMFCの流量は、セグメント内で及び/又はセグメント間で変更される。
また、本発明は、その他の時分割多重化パラメーターと共に用いることができる。例えば、高周波電力、圧力、又は任意のその他のプロセスパラメーターは、相内又は相外のいずれかで、任意のガススイッチングにより時分割多重化され得る。その他の時分割多重化パラメーターは、ガススイッチング周波数に捉われない。
本発明を用いれば、プロセスガス組成物は、隔離弁の使用により1秒未満でスイッチすることができる。本発明では、弁の応答時間ではなくて、プロセス室の滞留時間が、TDMエッチングできる最小セグメント時間を決めるであろう。室の滞留時間は、プロセス圧力を減少させること、プロセスガス流量を増加させること、又は室容積を減少させることにより低減可能である。また、ガス連結管の滞留時間は、隔離弁をプロセス室ガスの吐出口近くに配置することにより最小にできる。隔離弁とプロセス室間の連結管容積を最小にすることは、ガス連結管滞留時間を最小にする。
本発明の別の利点は、総体のガスの流れが、市場で入手できるプラズマエッチング装置に比較して、一層安定していることである。ガスが常に「オン」であるから、MFCのガスの背後に圧力上昇が起きない。これは、ガス組成が変化する時の圧力「バースト」を排除し、プラズマの制御性及び安定性を向上させる。
本明細書で説明する本発明は、ICP(誘導結合プラズマ)、ECR(電子サイクロトロン共鳴)などの高密度プラズマエッチングプロセス、又は反応性イオンエッチング(RIE)などの低密度システムのいずれかで実施できる。このガススイッチ法は、1種以上のガスが常時変更させられる必要があるエッチングプロセスにも適用できる。また、この方法は、深いSiエッチングを用いて説明されたが、これは、誘電体材料及び金属などのその他の材料のエッチングであって、鋭い組成変更を伴うプロセスが短時間のスケールで必要になるエッチングに対しても実施され得ることに留意することが重要である。
ここで図2(a−d)を参照する。本発明の好ましい実施形態に従い、25sccmのC、80sccmのSF、20WのRIE及び1200WのICPのエッチング手法を用いて、シリコン基板をエッチングした。この実施例では、MFCのガス流の設定、プロセス圧力、温度及びRF電力が、プロセス全体を通して一定に保持された。使用率は50%で一定に維持された。実際のガススイッチング時間は、図2(a)で10秒エッチング/10秒デポジション、図2(b)で5秒エッチング/5秒デポジション、図2(c)で2.5秒エッチング/2.5秒デポジション及び図2(d)で1.5秒エッチング/1.5秒デポジションであった。比較的長いデポジション/エッチングサイクルが用いられた時には、図2(a)及び図2(b)に示されるように、高いアスペクト比のトレンチ34の側壁32のスカロッピング30が明らかであり、一方本発明の迅速ガススイッチングが用いられた時には、図2(c)及び(d)に示されるように、スカロッピング30が大きく減少している。図3に示された高解像度拡大SEM画像は、図2(d)に示された1.5秒エッチング/1.5秒デポジションプロセスについて、最大スカロップ40のピークピーク長さが150nm以下であり、ピークバリー深さが約30nmであることを示す。
プロセスで得られる高いエッチング速度50が、図4で示されるように、ガススイッチ時間52が室のガス滞留時間に接近するまで、保持されることが顕著である。10秒エッチング/10秒デポジションのサイクル時間56から2.5秒エッチング/2.5秒デポジションのサイクル時間にかけて、スカロップの大きさ54は3倍を超えて減少するが、エッチング速度50は3μm/分でほぼ一定している。1.5秒エッチング/1.5秒デポジションを用いたプロセスは、エッチング速度50が50%低下するので例外である。プロセス室の計算値は、これらの実験に対するガス滞留時間が約1.5秒であることを示した。ガススイッチサイクル時間52がこの水準に接近する時、デポジション及びエッチングステップの両者の影響が折り合うようである。
3μm/分のエッチング速度50が、C及びSFの低流量で達成されたことは留意に値する。シリコンエッチング速度50は、一定の使用率で、ガススイッチング周波数に関係なく、ガス流量が高くなるにつれて増加すると知られている。
本明細書に示しかつ説明した本発明の特定の実施形態が、単に代表例に過ぎないことは理解されるであろう。多くの変動、変更、置換及び同等のものは、本発明の精神及び範囲から離れることなく、すぐにでも当業者に浮かぶであろう。したがって、本明細書に記載されかつ付随する図面に示された内容が、単に具体例として見なされるもので、これに限定する意味がなく、かつ本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって専ら決められるものと思考する。
ガスバイパス経路の操作を示した説明図である。 スカロップの大きさ及びエッチングプロセスのガスサイクル時間の減少に伴うスカロップの大きさの漸進的減少を示した説明図である。 最小化したスカロップを示した説明図である。 エッチング速度及びスカロップの大きさのガスサイクル時間への依存度を示した説明図である。
符号の説明
2 バイパス弁
4 導入口弁
6 導入口弁
8 バイパス弁
10 ガスA
11 MFC
12 ガスB
14 室
16 バイパス
18 バイパス
20 排出口

Claims (20)

  1. 改良されたガススイッチング装置であって、
    プラズマ室、
    前記プラズマ室内にプラズマを発生させる少なくとも1つのプラズマ源、
    前記プラズマ室内に配置された基板ホルダー、
    前記プラズマ室にエッチングガスを供給するための関連ガス導入口及び前記エッチングガスを排出するための関連ガスバイパスを設けたエッチングガス供給装置、
    前記プラズマ室にデポジションガスを供給するための関連ガス導入口及び前記デポジションガスを排出するための関連ガスバイパスを設けたデポジションガス供給装置、及び
    前記エッチングガス供給装置及び前記デポジションガス供給装置の少なくとも1つを制御するガスコントロールスイッチであって、前記の少なくとも1つのガス供給装置の前記ガス導入口及び前記ガスバイパスが、前記ガス導入口が閉じられた時にガスの流れが室をバイパスするように、構成されているガスコントロールスイッチを具備する装置。
  2. 室をバイパスする前記エッチングガス供給装置及び前記デポジションガス供給装置の少なくとも1つが、前記室排出口に導びかれる請求項1に記載の装置。
  3. 半導体を製造するために用いられる交互デポジション/エッチング室にガスを供給するためのガス供給システムであって、
    ガスの流れを供給するためのマスフローコントローラー、
    前記マスフローコントローラーから前記デポジション/エッチング室にガスを導びくためのガス導入口、及び
    前記ガス導入口が閉じられた時に前記マスフローコントローラーからのガスを排出するためのガスバイパスを具備するガス供給システム。
  4. ガスがエッチングガスを更に含む請求項3に記載のガス供給システム。
  5. ガスがデポジションガスを更に含む請求項3に記載のガス供給システム。
  6. マスフローコントローラーからのガスの流れが、ガス導入口とガスバイパスの間を交互にスイッチされるように、マスフローコントローラーからのガスの流れを制御するための任意ガススイッチを更に具備する請求項3に記載のガス供給システム。
  7. シリコン基板のエッチングされたトレンチ側壁の平滑性を最大にするために、マスフローコントローラーから半導体製造室へのガスの流れを制御する方法であって、
    マスフローコントローラーから特定のガスの流れを供給すること、
    ガスがオン状態の間、マスフローコントローラーから室へガスの流れを供給すること、及び
    ガスがオフ状態の間、マスフローコントローラーからのガスの流れのコースを変更することを含む方法。
  8. マスフローコントローラーの出口でガス圧力が相対的に一定になるように、ガスがオフ状態の間、ガスの流れが室からコースを変更される請求項7に記載の方法。
  9. 平滑な側壁をもち横方向に明確な凹部構造を形成するために、室内でシリコンを異方性プラズマエッチングする方法であって、
    前記室にシリコンエッチング用の反応性エッチングガスのパルスと、ポリマー層堆積用の反応性重合性ガスのパルスを交互に供給すること、
    少なくとも1つのエッチングステップで、前記反応性エッチングガスと接触させてシリコン表面をプラズマエッチングして、シリコン表面から物質を除去して露出された表面を供給すること、
    少なくとも1つの重合ステップで、前記反応性重合性ガスと接触させてシリコン表面上に少なくとも1種のポリマーを重合し、この間に前記先行エッチングステップで露出された表面が、ポリマー層により被覆されて、それにより一時的なエッチング停止を行うこと、及び
    エッチングステップ及び重合ステップを交互に繰り返すことを含む方法。
  10. 反応性エッチングガスのパルスが、エッチングステップで任意にパルスされる請求項9に記載の方法。
  11. 反応性重合性ガスのパルスが、デポジションステップで任意にパルスされる請求項9に記載の方法。
  12. オン−ガスパルス状態及びオフ−ガスパルス状態である間、反応性エッチングMFCの出口で、前記反応性エッチングガスを実質的に一定の圧力に維持することを更に含む請求項9に記載の方法。
  13. オン−ガスパルス状態及びオフ−ガスパルス状態である間、反応性重合性MFCの出口で、前記反応性重合性ガスを実質的に一定の圧力に維持することを更に含む請求項9に記載の方法。
  14. 反応性エッチングMFCの出口で、反応性エッチングガスを実質的に一定の圧力に維持するステップが、反応性エッチングガスのバイパスを設けることを更に含み、反応性エッチングガスがパルスオフされる時、反応性エッチングガスに室をバイパスさせる請求項12に記載の方法。
  15. 反応性重合性MFCの出口で、反応性重合性ガスを実質的に一定の圧力に維持するステップが、反応性重合性ガスのバイパスを設けることを更に含み、反応性重合性ガスがパルスオフされる時、反応性重合性ガスに室をバイパスさせる請求項13に記載の方法。
  16. 室内におけるシリコンの異方性プラズマエッチングが、1つ又はそれ以上の下記パラメータを変更することを更に含む請求項9に記載の方法:ガス流量、室圧力、プラズマ電力、基板バイアス、エッチング速度、デポジション速度、サイクル時間、及びエッチング/デポジション時間比。
  17. 1つ又はそれ以上のパラメータの変更が、プロセスサイクルからプロセスサイクルに至る請求項16に記載の方法。
  18. 1つ又はそれ以上のパラメータの変更が、プロセスサイクル内である請求項16に記載の方法。
  19. マスフローコントローラーから実質的に一定の流量で反応性エッチングガスを送り込むステップを更に含む請求項9に記載の方法。
  20. マスフローコントローラーから実質的に一定の流量で反応性重合性ガスを送り込むステップを更に含む請求項9に記載の方法。
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