JP2006344480A - 固体高分子型燃料電池用電極電解質 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記一般式(1)で表される構造単位を有し、かつスルホン酸基を有する重合体を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極電解質。
【化1】
[式中、Aは独立に−CO−または−SO2−のいずれかを示し、Bは独立に酸素原子ま
たは硫黄原子を示し、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子、アルキル基、フェニル基を示し、aは0または、1から4の整数を示す。]
【選択図】 なし
Description
この重合体を電極電解質として用いた場合、通常の重合体では膨潤の著しい高温高湿条
件下においても燃料ガス流路となる細孔が確保され、触媒での反応が妨げられることなく、発電性能を向上させることができる。さらにこの重合体は、分子内にフッ素原子を含まないか、あるいは含んでもその含有量が大幅に低減されており、前述のような触媒金属の回収再利用に対する問題の解決が可能できることを見出し、本発明を完成するに至った。[1]下記一般式(1)で表される構造単位を有し、かつスルホン酸基を有する重合体を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極電解質。
たは硫黄原子を示し、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子、アルキル基、フェニル基を示し、aは0または、1から4の整数を示す。]
[2]重合体が上記一般式(1)で表される構造単位とともに、下記一般式(2)で表される構造単位とを有することを特徴とする前記(1)の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基
を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。]
[3]上記一般式(1)で表される構造単位が、下記一般式(1a)で表される[1]または[2]の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
ニル基を示す。]
[4]前記[1]〜[3]の電解質と触媒担持カーボンおよび溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の電解質と触媒担持カーボンとを含む固体高分子型燃料電池用電極。
[6]前記[5]の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に接合した構造からなる膜−電極接合体。
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質は、下記一般式(1)で表される構造単位を有し、かつスルホン酸基を有する重合体を含む。かかる構造単位として含んでいると、重合体に疎水性を付与するとともに、構造自体が屈曲性構造を有するため、重合体の靭性、その他の機械的強度などを向上させる作用を有する。また、共重合体を構成する他のユニットへのスルホン酸基の導入量を増大させても、疎水性が高いので、優れた耐熱水性を発揮する。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示す。
R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なっていてもよく、水素
原子、アルキル基、フェニル基を示す。
前記式(1)で表される構造単位は、以下のものがより好適である。
ニル基を示す。]
上記一般式(1)で示される構造単位として、以下のものをあげることができる。
O−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、−CO−、−SO2−が好ましい。
、−O−が好ましい。
換基(pは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。
芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。−SO3
Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基(pは1〜12の整数を示す)は、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上置換していることが好ましい。
m、nの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)m=0、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有
するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
せたり、または(2)式に構造の割合を増やせばよい。
本発明で使用されるポリアリーレン系重合体のイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがある。
<ポリマーの製造方法>
スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造には、上記構造(1)を誘導する芳香族化合物(1')を使用して、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いるこ
とができる。
0または1から4独立に酸素原子または硫黄原子を示す。
Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示す。Xが反応時に外れて、前記した構造(1)を構成する。上記一般式(1')で表される化合物は、例えば次のような反応によって合
成することができる。まず、フルオレン骨格を有するビスフェノールを、対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、極性溶媒中で、アルカリ金属、水素化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。次いで、上記ビスフェノールのアルカリ金属塩と特定のジハロゲン化芳香族化合物とを反応させる。この反応で、アルカリ金属とハロゲンとが塩となって脱離し、ビスフェノール環とジハロゲン化芳香族化合物とが-O-を介し
て結合する。また、ビスフェノールの代わりに、ビスチオフェノールを使用して同様に反応させれば、ビスチオフェノール環とジハロゲン化芳香族化合物とが-S-を介して結合す
る。
(A法)
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記一般式(2)で表される構造となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(1')で表
されるモノマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンを合成する。
(B法)
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法で、上記一般式(2)で表される骨格を有するが、スルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記一般式(1')で表されるモノマーとを共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用い
てスルホン化することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンを合成する。
(C法)
一般式(2)において、Arが−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特願2003−295974号に記載の方法で、上記一般式(2)で表される構造となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(1')で表されるモノマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素
置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
ているジハロゲン化物を挙げることができる。
(B法)の場合、前駆体のポリアリーレンに、特開2001−342241などの公知の方法に従い、スルホン酸基を導入する。
(電極ペースト)
本発明の電極ペーストは、上記の電極電解質、触媒担持カーボン、溶媒からなり、必要に応じて分散剤、炭素繊維などの他の成分を含んでいてもよい。
カーボンに担持された触媒としては、白金、パラジウム、金、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属が用いられる。また触媒は、2種以上の貴金属の合金、混合物などであってもよい。
オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、
ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン製ケッチェンブラックEC、三菱化学製#3150、#3250などがあげられ、アセチレンブラックとしては電気化学工業製デンカブラックなどの商標で市販されているものがあげられる。
触媒貴金属の粒径は0.01nm〜50nmの範囲にあることが好ましく、0.1nm〜10nmの範囲にあることがより好ましい。
本発明の電極ペーストの溶媒としては、前記電解質を溶解または分散しうる溶媒であればよく、特に限定されるものではない。また1種類のみでなく、2種以上の溶媒を用いることもできる。
メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル1−プロパノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノー
ル、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、などのアルコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール類、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタールなどのエーテル類、
アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノンなどのケトン類、
γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル
、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類、
ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、テトラメチル尿素などの非プロトン性極性溶媒、
トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系溶媒、を挙げることができ、これらは1種類以上を組み合わせて用いることもできる。
必要に応じて含まれてよい分散剤としては、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩
、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエ
ステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のアニオン界面活性剤、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エ
トオキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシル
アミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステア
ラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等のカチオン界面活性剤、およびジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω-フルオロアクカノイルーN−エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウ
ム、N−[3-(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N−ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤、およびヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイ
ン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル、等の非イオン界面活性剤、およびラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等の両性界面活性剤などを挙げることができる。これらは1種単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。これらのなかでも、好ましくは、塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性もしくは、カチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは、分子量5千〜3万の界面活性剤である。
生産性が向上する。
炭素繊維
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに触媒が担持されていない炭素繊維を添加することができる。
維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、好ましくは、気相成長炭素繊維である。
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに他の成分を添加することができる。例えば、フッ素系ポリマーやシリコン系ポリマーなどの撥水剤を添加してもよい。撥水剤は生成する水を効率よく排出する効果をもち、発電性能の向上に寄与する。
本発明に係るペースト中の触媒担持カーボンの使用割合は、重量比で1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%であることが望ましい。また、電極電解質の使用割合は、重量比で0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%であることが望ましい。さらに、溶剤の使用割合は、重量比で5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜90重量%であることが望ましい。
触媒が担持されたカーボンの使用割合が、上記範囲未満であると、電極反応率が低下することがある。また、上記範囲より大きいと、電極ペーストの粘度が増加し、塗工時に塗りむらが発生することがある。
分散剤の使用割合が、上記範囲内にあると保存安定性に優れた電極ペーストが得られる。炭素繊維の使用割合が、上記範囲未満であると、電極中の細孔容積の増加効果が低い。また、上記範囲より大きいと、電極反応率が低下することがある。
本発明に係る電極ペーストは、例えば上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
ペーストの粘度を調整してもよい。
(電極および触媒付電解質膜)
以上のような本発明に係る電極ペーストを、転写基材上に塗布し、溶媒を除去すると本発明の電極が得られる。
転写基材上に塗布された電極を、乾燥して溶媒を除去したのち、固体高分子電解質膜の両面に転写させると、本発明の触媒付電解質膜が得られる。
たとえば、Nafion(DuPont社製)、Flemion(旭硝子製)、Aciplex(旭化成製)などのパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる電解質膜、
パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーに、ポリテトラフルオロエチレンの繊維や多孔質膜と複合化した補強型電解質膜、
ポリテトラフルオロエチレングラフトスルホン化ポリスチレンなどの部分フッ素化スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルニトリル、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリベンズオキサゾール、スルホン化ポリベンズチアゾールなどの芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリスチレン、スルホン酸含有アクリル系ポリマーなどの脂肪族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
これらを多孔質膜と複合化した細孔フィリング型電解質膜、
ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールなどのポリマーにリン酸、硫酸などを含浸させた酸含浸型ポリマーからなる電解質膜、などがあげられる。これらのうち、芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜が好ましい。
電極を固体高分子電解質膜に転写するには、ホットプレス法を用いることができる。ホットプレス法では、カーボンペーパーまたは離型シートに前記電極ペーストを塗布したもものの、電極ペースト塗布面と電解質膜とを圧着する方法である。ホットプレスは、通常、50〜250℃の温度範囲で、1分〜180分の時間、10〜500kg/cm2の圧
力をかけて行う。
例えば、PETフィルム等の基材上に、電解質膜の溶液を塗布し乾燥して、電解質膜を作
成した後、この上に本発明の電極ペーストを塗布する。次に基材をはがして、もう一方の面に電極ペーストを塗布する。最後に溶媒を除去すると触媒付電解質膜が得られる。塗布方法は上記と同様の方法をあげることができる。
分〜600分、好ましくは30分〜400分で行う。
必要に応じて、電解質膜を水浸漬して、溶媒を除去してもよい。水温は5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
(分子量)
重合体の分子量は、GPCによって、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として臭化リチウムを添加した、N−メチル−2−ピロリドンを用いた。
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去後、十分に洗浄し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
(プロトン伝導度の測定)
得られた重合体を、キャスティング法により製膜し、膜厚約50μmの膜を試料とした。
(熱水耐性)
上記の膜を、120℃の熱水中に24時間浸漬し、取り出した直後の膜の重量と寸法を、浸漬前の膜と比較し、含水率と寸法変化率を求めた。
(発電評価)
触媒付電解質膜をカーボンペーパーに挟んで、圧力100kg/cm2下で、160℃
×15minの条件でホットプレス成形して、膜電極接合体(MEA)を作成した。このMEAを2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の燃料電池を組み立てた。
芳香族化合物の合成
攪拌器、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管を取り付けた1L三口フラスコに、9,9−ビスフェノールフルオレン20.0g(57mmol)、2,4’−ジクロロベンゾフェノン43.1g(171mmol)、炭酸カリウム10.3g(74mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン243ml、トルエン121mlを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を130℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃にあげ、15時間攪拌を続けたあと、2,4’−ジクロロベンゾフェノン43.1g(171mmol)を加え、さらに8時間反応させた。
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた3Lの三口フラスコに、上記得られた式(1)で表される化合物97.5g(125mmol)、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル150.5g(375mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド9.81g(15mmol)、ヨウ化ナトリウム2.3g(15mmol)、トリフェニルホスフィン52.5g(200mmol)、亜鉛78.4g(1200mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)580mLを加え、反応温度を80℃に保ちながら、3時間攪拌を続けた後、DMAc600mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。
子量は80,000であった。得られた重合体は式(4)で表されるスルホン化ポリマーであると推定される。この重合体のイオン交換容量は、1.9meq/gであった。
[ペーストAの調製]
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、(田中貴金属工業株式会社製:TEC10E50E)1.51g、蒸留水0.88g、実施例1の重合
体の15%水−1,2ジメトキシエタン溶液(重量比10:90)3.23g、1,2−ジメトキシエタン13.97g、気相法炭素繊維(商品名:VGCF、昭和電工社製)0.1gおよび分散剤(商品名:DA234、楠本化成株式会社製)0.028gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度50cp(25℃)のペーストAを得た。
離型剤処理したPETフィルム上に、ペーストAを白金塗布量が0.5mg/cm2になるようにドクターブレードを用いて塗布した。これを95℃で10分間加熱乾燥し、電極層を形成させた。
下記一般式で表される構造の重量平均分子量(Mw)170,000の重合体からなる
膜厚50μmの電解質膜を1枚用意し、2枚の電極層で挟み、圧力100kg/cm2下
で、160℃×15minの条件でホットプレス成形して、触媒付電解質膜を作成した。
[ペーストBの調製]
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式
会社ニッカトー製)25gを入れ、実施例2と同じ白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持)1.51g、蒸留水0.88g、実施例1のスルホン化ポリアリーレンの15%水−N−メチル−2−ピロリドン溶液(重量比10:90)3.23g、N−メチル−2−ピロリドン(bp.202、δ11.17 )13.97g、気相法炭素繊維(商品名:VGCF、昭和電工社製)0.1gおよび分散剤(商品名:DA234、楠本化成株式会社製)0.028gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度65cp(25℃)のペーストBを得た。
離型剤処理したPETフィルム上に、ペーストBを白金塗布量が0.5mg/cm2になる
ようにドクターブレードを用いて塗布した。これを95℃で10分間加熱乾燥し、電極層を形成させた。
実施例2で用いたものと同様の電解質膜を1枚用意し、2枚の電極層で挟み、圧力100kg/cm2下で、160℃×15minの条件でホットプレス成形して、触媒付電解
質膜を作成した。
電極電解質としてイオン交換容量が1.5meq/gのスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(s−PEEK)を用い、実施例2と同様の方法で電極ペーストおよび電極付電解質膜を作成した。
[評価]
各電解質の熱水耐性とプロトン伝導度の測定結果を表1に示す。本発明の電解質は、高いプロトン伝導度を有するとともに、熱水による含水率や寸法変化率が非常に小さく、電極電解質として、高温高湿下でも電極中の細孔容積の保持に有利な特性を有していることがわかる。
Claims (6)
- 重合体が上記一般式(1)で表される構造単位とともに、下記一般式(2)で表される構造とを有することを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基
を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。] - 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質と触媒担持カーボンおよび溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質と触媒担持カーボンとを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
- 請求項5に記載の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に接合した構造からなる膜−電極接合体。
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