JP5037196B2 - 高分子型燃料電池用電極電解質およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の構造単位からなる重合体を含む固体高分子型燃料電池用電極電解質、電極ペースト、電極、および膜−電極接合体に関する。
固体高分子型燃料電池は、高出力密度が得られ、低温で作動可能であることから小型軽量化が可能であり、自動車用動力源、定置用発電電源、携帯機器用発電電源などとして実用化が期待されている。
固体高分子型燃料電池はプロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、純水素あるいは改質水素を燃料ガスとして一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤としてもう一方の電極(空気極)へ供給し、発電を行うものである。
かかる燃料電池の電極は触媒成分が分散した電極電解質から構成され(このため電極は、電極触媒層ということもある)、燃料極側の電極触媒層は、燃料ガスから、プロトンと電子を発生させ、空気極側の電極触媒層で酸素とプロトンと電子とから水を生成し、固体高分子電解質膜はプロトンをイオン伝導させる。そして、かかる電極触媒層を通して電力が取り出される。
従来、固体高分子型燃料電池では、電極触媒層の電解質として、Nafion(商標)に代表されるパーフルオロアルキルスルホン酸系高分子が使用されている。この材料は優れたプロトン伝導性を有しているが、非常に高価であり、また分子内にフッ素原子を大量に有していることから、燃焼性が小さく、電極触媒に用いられる白金などの高価な貴金属の回収再利用を非常に困難にしている問題がある。
一方これにかわる材料として、種々の非パーフルオロアルキルスルホン酸系高分子の検討も行われている。特に発電効率の高い、高温条件で用いることを狙い、耐熱性の高い芳香族スルホン酸系高分子を電解質として用いることが試みられている。
たとえば、特開2005−50726号公報(特許文献1)には、スルホン化ポリアリーレン重合体を電極電解質として用いることが開示されており、さらに、特開2004−253267号公報(特許文献2)には、特定のスルホン化ポリアリーレンを用いることが開示されている。
特開2005−50726号公報 特開2004−253267号公報
しかしながらこれらの従来より電解質として知られていた材料は、高温下ではスルホン酸基の可逆的な脱離反応やスルホン酸が関与する架橋反応が発生することがあった。これにより、プロトン伝導性が低下したり、膜の脆化等が生じたりして、燃料電池の発電出力の低下や、膜が破断することにより発電不能に至る問題があった。
また、このような問題をできるだけ回避するために、現状、燃料電池発電時の上限温度を限定し使用しており、発電出力に制限があった。
プロトン伝導性を上げるためにスルホン酸濃度を上げると、高温高湿条件下で、吸水に
よる膨潤が大きく、ガス流路を閉塞して、発電性能が低下する問題がある。
また、ナフィオンをはじめとする従来より使用されていた電解質膜は、メタノール水溶液中で膨潤しやすく、十分なメタノール耐性を有さないことなどから、ダイレクトメタノール型燃料電池に利用する電解質膜としてはまだ不十分であった。
すなわち、本発明の課題は、前述のような、価格的な問題や、触媒金属の回収に関する問題を解決するとともに、プロトン伝導性や寸法安定性、熱水耐性、機械的特性に優れた、固体高分子型燃料電池用電極電解質を提供し、さらに該電解質を含む、電極ペースト、電極、触媒付電解質膜を提供するものである。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。すなわち、スルホン酸基の導入量を増加させても高い電気的性質を付与でき、高温加湿条件下でも優れた膨潤抑制効果を有し、かつ高温低加湿条件下でも優れた電気的性質を有した膜を与えることが可能な重合体を使用することによって、プロトン伝導度の高い材料設計が可能となり、しかも高温条件下でのスルホン酸基の安定性を向上できるとともに、共重合体中のスルホン酸基を有さないユニットの組成比を増加させても、高いプロトン伝導性の共重合体が合成でき、熱水耐性や機械的特性に優れた材料設計が可能となり、上記問題を解決することを見出した。
さらにこの重合体は、フッ素原子を含まないか、あるいは含んでもその含有量が大幅に低減されており、前述のような触媒金属の回収再利用に対する問題の解決が可能できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]下記一般式(1’)で表される構成単位を有することを特徴とするポリアリーレン系
重合体:
Figure 0005037196
[式(1’)中、Yは−CO−または−SO2−を示す。Zは直接結合または−CO−または
−SO2−または−SO−を示す。nは2〜5の整数を示す。]
を含んでなることを特徴とする高分子型燃料電池用電極電解質。
[2]前記ポリアリーレン系共重合体が、さらに、一般式(2)で表される構成単位を有す
ることを特徴とする[1]の高分子型燃料電池用電極電解質。
Figure 0005037196
[式(2)中、A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2
、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(
CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR’’2−(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニ
リデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ
素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、sおよびtはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。]
[3]上記一般式(1’)が下記一般式(1’a)で表される構成単位である[1]または[2]の
高分子型燃料電池用電極電解質。
Figure 0005037196
[式(1’a)中、Zは直接結合または−CO−または−SO2−または−SO−を示す。n
は2〜5の整数を示す。]
[4][1]〜[3]の電解質と触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
[5][1]〜[3]の電解質と触媒粒子とを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電
極。
[6][5]の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。
本発明によれば、複数のスルホン酸基を側鎖の末端部にのみ有する芳香族ユニットと、スルホン酸基を有さないユニットとを有する共重合体、高いプロトン伝導率と向上した機械的強度を有する電極電解質が得られる。また、本発明によればスルホン化してスルホン酸基を導入する必要がないので、煩雑な工程を必要とせず、安価で、触媒金属の回収が容易であり、プロトン伝導性や寸法安定性に優れ、熱水耐性や機械的特性に優れた、固体高分子型燃料電池用電極電解質が提供される。さらに該電解質を含む、電極ペースト、電極、触媒付電解質膜を提供し、固体高分子型燃料電池の発電性能向上に寄与するものである。
(電極電解質)
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質は、特定の構成単位をポリアリーレンに導入して得られた強酸性セグメントを含んだポリアリーレン系重合体を含む。
なお、本明細書において重合体における繰り返し単位を「ユニット」といい、以下、疎水性を有する繰り返し単位を「疎水ユニット」、スルホン酸基を有する構造単位を「スルホン酸ユニット」ということもある。
ポリアリーレン系重合体
本発明で使用されるポリアリーレン系重合体は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有する。
Figure 0005037196
[式(1’)中、Yは−CO−または−SO2−を示し、−CO−が好ましい。
Zは直接結合または−CO−または−SO2−または−SO−を示し、直接結合が好ましい。nは2〜5の整数を示し、好ましくは2〜3である。]
このような一般式(1’)で表される構成単位としては、以下のものが例示される。
Figure 0005037196
このような構成単位を含んでいると、スルホン酸基の導入量を増加して高い電気的性質を付与でき、高温加湿条件下でも優れた膨潤抑制効果を有し、かつ高温低加湿条件下でも優れた電気的性質を有した膜を与えることができる。
このような構成単位は、下記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から誘導される。
Figure 0005037196
[式(1)中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2CH3および−OSO2CF3からなる群より選ばれる原子または基を示し、ハロゲン原子が好ましい。Y、Z、nは前記式(1’)と同様である。
Rは独立に炭素数4〜20の炭化水素基を示す。具体的には、t−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、アダマンチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基などが挙げられる。
なお、重合体としたのち、SO3Rは加水分解反応により、SO3Hに転換される。
<スルホン化ポリアリーレン系共重合体>
本発明に係るポリアリーレン系重合体は、上記式(1')で表される構成単位の単独重
合体であってもよく、通常、一般式(4)で表される構成単位を含むことが望ましい。このような構成単位を含んでいると、重合体の強度や耐水性を向上させることができる。
Figure 0005037196
式(4)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基およびフルオレニリデン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を示す。これらの中では、直接結合、−O−、−CO−、−SO2−、−CR’2−、シクロヘキシリデン基およびフルオレニリデン基が好ましい。R’としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、エチルヘキシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、これらの置換基中の水素原子の一部もしくはすべてがハロゲン化された置換基などが挙げられる。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部もしくはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
上記アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
上記ハロゲン化アルキル基としては、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。
上記アリル基としては、たとえば、プロペニル基などが挙げられる。上記アリール基としては、たとえば、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
sおよびtは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
上記構成単位(4)の好ましい構造としては、上記式(4)において
(1)s=1およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフル
オレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1およびt=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2
であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフル
オレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニトリ
ル基である構造が挙げられる。
上記構成単位(4)となりうるモノマーもしくはオリゴマー(以下「化合物(4’)」とも
いう)は、たとえば、特開2004−137444号公報に記載の方法を参照することに
より合成することができる。
このような本発明で使用されるポリアリーレン系重合体としては下記(V)で表される共
重合体が挙げられる。
Figure 0005037196
式中、A、B、Ra、Ma、k、A、D、B、R1〜R16、s、t、r、mおよびZは前
記したとおりである。
共重合体中、上記一般式(1’)で表される繰り返し構造単位(すなわちxのユニット)を0.5〜100モル%(ただし100モル%は含まない)、好ましくは10〜99.99
9モル%の割合で、(4)で表される繰り返し構造単位(すなわちyのユニット)を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有することが望ましい。
このようなスルホン化ポリアリーレンの重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で、1万〜100万、好ましくは2万〜50万、より好ましくは10万〜40万である。
ポリアリーレン系重合体のイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
特に、アノード電極中のイオン伝導性ポリマーとしては、イオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。芳香族スルホン酸誘導体の含有量が0.3meq/g未満の場合、プロトン伝導性が低下する。一方、5.0meq/gを超える量のイオン交換容量では、親水性が増し、耐溶剤性が大幅に低下することがある。
このようなポリアリーレン系重合体は、複数のスルホン酸基を側鎖の末端部にのみ有する芳香族ユニットの効果により、スルホン酸基を有さない芳香族ユニットとの共重合体中においても、複数のスルホン酸基を側鎖の末端部にのみ有する芳香族ユニットの主鎖部分の疎水性が十分に発揮される。このため、高いスルホン酸濃度の共重合体が合成できることによる、高いプロトン伝導性の付与と、高温加湿条件下でも膨潤抑制された材料設計が可能となる。さらに、同一の芳香環に複数のスルホン酸が結合していることにより、スルホン酸の酸性度が向上する上、親水部のスルホン酸密度が高いために高温低湿環境でも優れたプロトン伝導性を維持することが可能となる。
また、共重合体中のスルホン酸基を有さないユニットの組成比を増加させても、高いスルホン酸濃度の共重合体が合成でき、熱水耐性や機械的特性に優れた材料設計が可能となる。このような重合体は、燃料電池のプロトン伝導膜、電極電解質、結着剤として好適に使用できる。また、このようなポリアリーレン系重合体を含む電極電解質は、膜電極接合体としても好適である。
本発明に係る電極電解質は、上記した重合体を含むものであればよく、このため、上記重合体のみから構成されるものであっても、さらに他の電解質を含んでいてもよい。他の電解質としては、従来より用いられていたNafion、Flemion、Aciplexも代表されるパーフルオロカーボン重合体、ポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子に、スルホン酸基またはリン酸基を導入したポリマーなどの有機系ポリマーが挙げられる。他の電解質を含む場合、その使用割合は、全電極電解質中に50重量%以下、好適には30重量%であることが望ましい。
(電極ペースト)
本発明の電極ペーストは、上記の電極電解質、触媒粒子、溶媒からなり、必要に応じて分散剤、炭素繊維などの他の成分を含んでいてもよい。
触媒粒子
触媒粒子は、触媒が、カーボン、金属酸化物の担体に担持されたもの、または、触媒の単体からなる。
触媒としては、白金または白金合金が用いられる。白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。このような白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、コバルト、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズから選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
触媒は、単体でも、担体に担持された状態でも、触媒粒子を形成している。
上記触媒を担持する担体としては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。また、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
これらのカーボンの形態としては、粒子状のほか、繊維状も用いることができる。また、カーボンに担持される触媒の量としては、有効に触媒活性が発揮できる量であれば特に制限されるものではないが、担持量がカーボン重量に対して、0.1〜9.0g-metal/g-carbon、好ましくは0.25〜2.4g-metal/g-carbonの範囲である。
また、担体としては、カーボンの他に、金属酸化物、たとえば、チタニア、酸化亜鉛、シリカ、セリア、アルミナ、アルミナスピネル、マグネシア、ジルコニアなどであってもよい。
溶媒
本発明の電極ペーストの溶媒としては、前記電解質を溶解または分散しうる溶媒であればよく、特に限定されるものではない。また1種類のみでなく、2種以上の溶媒を用いることもできる。
具体的には、水、
メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル1−プロパノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、などのアルコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール類、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタールなどのエーテル類、
アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノンなどのケトン類、
γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル
、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類、
ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、テトラメチル尿素などの非プロトン性極性溶媒、
トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系溶媒、を挙げることができ、これらは1種類以上を組み合わせて用いることもできる。
分散剤
必要に応じて含まれてよい分散剤としては、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のアニオン界面活性剤、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等のカチオン界面活性剤、および
ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω-フルオロアクカノイルーN−エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリ
ウム、N−[3-(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N−ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤、およびヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル、等の非イオン界面活性剤、およびラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等の両性界面活性剤などを挙げることができる。
これらは1種単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。これらのなかでも、好ましくは、塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性もしくは、カチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは、分子量5千〜3万の界面活性剤である。
電極ペーストに上記の分散剤を添加すると、保存安定性および流動性に優れ、塗工時の生産性が向上する。
炭素繊維
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに触媒が担持されていない炭素繊維を添加することができる。
本発明で必要に応じて用いられる炭素繊維しては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊
維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、好ましくは、気相成長炭素繊維である。
電極ペーストに炭素繊維を添加すると、電極中の細孔容積が増加することにより、燃料ガスや酸素ガスの拡散性が向上し、また、生成する水によるフラッディング等を改善でき、発電性能が向上する。
その他の添加物
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに他の成分を添加することができる。例えば、フッ素系ポリマーやシリコン系ポリマーなどの撥水剤を添加してもよい。撥水剤は生成する水を効率よく排出する効果をもち、発電性能の向上に寄与する。
組成
本発明に係るペースト中の触媒粒子の使用割合は、重量比で1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%であることが望ましい。また、電極電解質の使用割合は、重量比で0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%であることが望ましい。さらに、溶剤の使用割合は、重量比で5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜90重量%であることが望ましい。
必要に応じて用いられる分散剤の使用割合は、重量比で0重量%〜10重量%、好ましくは0重量%〜2重量%であり、必要に応じて用いられる炭素繊維の使用割合は、重量比
で0重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。(なお、合計で100重量%を超えることはない)
触媒粒子の使用割合が、上記範囲未満であると、電極反応率が低下することがある。また、上記範囲より大きいと、電極ペーストの粘度が増加し、塗工時に塗りむらが発生することがある。
電解質の使用割合が、上記範囲未満であると、プロトン伝導度が低下する。さらに、バインダーとしての役割を果たせなくなり、電極を形成できない。また、上記範囲より大きいと、電極中の細孔容積が減少する。
溶剤の使用割合が、上記範囲内にあると、発電に必要な電極中の細孔容積が十分確保できる。また上記範囲にあれば、ペーストとしてのハンドリングに好適である。
分散剤の使用割合が、上記範囲内にあると保存安定性に優れた電極ペーストが得られる。炭素繊維の使用割合が、上記範囲未満であると、電極中の細孔容積の増加効果が低い。また、上記範囲より大きいと、電極反応率が低下することがある。
ペーストの調製
本発明に係る電極ペーストは、例えば上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えば全ての成分を混合して一定時間攪拌を行うか、分散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤を添加して一定時間攪拌を行うことが好ましい。また、必要に応じて、溶媒の量を調整して、ペーストの粘度を調整してもよい。
(電極および膜-電極接合体)
以上のような本発明に係る電極ペーストを、転写基材上に塗布し、溶媒を除去すると本発明の電極が得られる。このような電極を高分子電解質の少なくとも片面に形成することで、本発明の膜-電極接合体が得られる。
転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーからなるシート、または表面を離型剤処理したガラス板や金属板、ポリエチレンテレフタレート(PET)のシートなども用いることができる。
塗布方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などがある。
転写基材上に塗布された電極を、乾燥して溶媒を除去したのち、固体高分子電解質膜の少なくとも片面に転写させると、本発明の膜-電極接合体が得られる。
本発明の膜電極接合体に用いられる、固体高分子電解質膜は、プロトン伝導性の固体高分子膜であれば、特に限定されない。
たとえば、Nafion(DuPont社製)、Flemion(旭硝子製)、Aciplex(旭化成製)などのパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる電解質膜、
パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーに、ポリテトラフルオロエチレンの繊維や多孔質膜と複合化した補強型電解質膜、
ポリテトラフルオロエチレングラフトスルホン化ポリスチレンなどの部分フッ素化スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルニトリル、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリベンズオキサゾール、スルホン化ポリベンズチアゾールなど
の芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリスチレン、スルホン酸含有アクリル系ポリマーなどの脂肪族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
これらを多孔質膜と複合化した細孔フィリング型電解質膜、
ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールなどのポリマーにリン酸、硫酸などを含浸させた酸含浸型ポリマーからなる電解質膜、などがあげられる。これらのうち、芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜が好ましい。
また、上記電極用電解質を構成する重合体を固体高分子電解質として使用することもできる。
電極を固体高分子電解質膜に転写するには、ホットプレス法を用いることができる。ホットプレス法では、カーボンペーパーまたは離型シートに前記電極ペーストを塗布したもものの、電極ペースト塗布面と電解質膜とを圧着する方法である。ホットプレスは、通常、50〜250℃の温度範囲で、1分〜180分の時間、10〜500kg/cm2の圧力をかけて行う。
本発明の膜-電極接合体を得るための別の方法として、電極層と電解質膜とを段階的に
塗布、乾燥を繰り返す方法がある。塗布や乾燥の順序に特に制限はない。
例えば、PETフィルム等の基材上に、電解質膜の溶液を塗布し乾燥して、電解質膜を作
成した後、この上に本発明の電極ペーストを塗布する。次に基材をはがして、もう一方の面に電極ペーストを塗布する。最後に溶媒を除去すると膜-電極接合体(なお、かかる膜-電極接合体を触媒付電解質膜ということもある)が得られる。塗布方法は上記と同様の方法をあげることができる。
溶媒の除去は、乾燥温度20℃〜180℃、好ましくは50℃〜160℃、乾燥時間5分〜600分、好ましくは30分〜400分で行う。
必要に応じて、電解質膜を水浸漬して、溶媒を除去してもよい。水温は5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
また上記の方法とは逆に、先に電極ペーストを塗布し、電極層を形成したあとに、電解質膜の溶液を塗布して、電解質膜を作成し、次にもう一方の電極層(触媒層ともいう)を同様に形成して触媒付電解質膜としてもよい。
電極層の厚さは、特に制限されるものではないものの、触媒として担持された金属が、単位面積あたり、0.05〜4.0mg/cm2、好ましくは0.1〜2.0mg/cm2の範囲にあることが望ましい。この範囲にあれば、十分に高い触媒活性が発揮され、また効率的にプロトンを伝導することができる。
電極層の細孔容積は、0.05〜3.0ml/g、好ましくは0.1〜2.0ml/gの範囲にあることが望ましい。なお電極層の細孔容積は、水銀圧入法、ガス吸着法などの方法により測定される。
電解質膜の厚さとしては、特に制限されるものではないが、厚くなると発電効率が低下したり軽量化が困難となったりするので、10〜200μm程度の厚さであればよいが、この限りではない。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求め
た。
(分子量)
重合体の分子量は、GPCによってポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として臭化リチウムを添加したN−メチル−2−ピロリドンを用いた。
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去して十分に洗浄し、乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
(プロトン伝導度)
まず、短冊状の試料膜(40mm×5mm)の表面に、白金線(φ=0.5mm)を5mm間隔に5本押し当て、恒温恒湿装置((株)ヤマト科学製「JW241」)中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定により交流抵抗を求めた。測定は、抵抗測定装置として(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用いて、85℃、相対湿度を変化させた環境下、交流10kHzの条件で、線間距離を5〜20mmに変化させて行った。次いで、線間距離と抵抗の勾配から膜の比抵抗Rを下記式に従って算出し、比抵抗Rの逆数からプロトン伝導度を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
(耐水性試験)
まず、2×3cmに切削した試料膜の長辺と短辺の長さを精密に測定した。同試料膜を耐熱性樹脂容器に入れ、十分な量の水を加えて密栓した後、オーブンまたはプレッシャークッカー試験機を用い、それぞれ95℃、120℃で24時間加熱処理した。加熱終了後、室温まで放冷し、試料膜を取出し、表面の水滴を軽く拭き取った後、各辺の長さ及び膜厚、重量を測定した。得られた数値を用い、試料の耐水性について以下の通り算出した。寸法変化率(%)=(試験後の長辺(cm)/試験前の長辺(cm))+(試験後の短辺(cm)/試験前の短辺(cm))/2×100
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去後、十分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、イオン交換容量を求めた。
(ガラス転移温度)
動的粘弾性測定装置により、スルホン化ポリマーのガラス転移温度を測定した。
(膜抵抗の測定)
膜を濃度1mol/lの硫酸を介して上下から導電性カーボン板ではさみ、室温でカーボン板間の交流抵抗を測定し、下記の式で求めた。
膜抵抗(Ω・cm2)=膜をはさんだカーボン間の抵抗値(Ω)−ブランク値(Ω)×接
触面積(cm2
<合成例1>
(1)ブロモベンゼン−2,4−ジスルホン酸ネオペンチルの合成
滴下ロート、温度計、ジムロートを取り付けた四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でクロロスルホン酸186g(1.2mol)を取り、撹拌下ブロモベンゼン31.4g(0.2mol)を滴下ロートから約30分かけて滴下した。120℃で6時間反応させた後、反応液を氷水に注ぎ、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、エバポレーターを用いて溶媒を留去し、ブロモベンゼン−2,4−ジスル
ホニルクロリドの粗生成物70gを得た。
三口フラスコにピリジン118.9g(1.5mol)、2,2−ジメチル−1−プロ
パノール17.4g(0.198mol)を加え、0℃まで冷却した。上記で得られたスルホニルクロリドの粗生成物を、この溶液に徐々に加えた。
氷浴で5℃以下を保ちながら4時間反応させた後、氷浴を取り除き室温までゆっくりと昇温させた。反応液を500mlの塩酸水溶液に注ぎ、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機層を塩酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム溶液、ついで飽和食塩水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターを用いて溶媒を留去し、得られた粗生成物を酢酸エチル/ヘキサン溶液から再結晶し、目的物の粗結晶72gを得た。
(2)4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ベンゼンボロン酸−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールエステルの合成
ディーンスターク管、温度計を取り付けた三口フラスコに、トルエン300mlを取り、2,5−ジクロロ−4'−ブロモベンゾフェノン115.5g(0.35mol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール60.5g(0.58mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物6.66g(0.04mol)を加え、130℃で加熱還流して生成する水を除きながら反応させた。約20時間後、理論量(約6.3g)の水を回収したことを確認し、反応液を1Lのビーカーに移した。塩氷浴で反応液を冷却し、析出した結晶をろ過回収した後、エタノールですすぎ、白色結晶120gを得た。
三口フラスコに窒素雰囲気下で脱水テトラヒドロフラン500mlを取り、上記白色結晶41.2g(0.1mol)を加えて溶解させた後、ドライアイス/アセトン浴で−7
5℃まで冷却した。n−ブチルリチウムの10Mヘキサン溶液を10.5ml(0.105mol)シリンジを用いてゆっくりと滴下し、−65℃で1時間反応させた。ついでほう酸トリメチル15.5g(0.15mol)を滴下し、−60℃で1時間反応させた。その後冷却浴を取り除き、室温までゆっくりと昇温した。次に反応溶液に塩酸溶液を加えて70℃に加熱して反応させた。冷却後、アセトンを加えて撹拌した後、エバポレーターで溶媒を除き、析出した粗結晶をろ過で回収した。酢酸エチル/ヘキサン溶液から再結晶し、目的物の白色結晶23gを得た。
(3)4’−(2,5−ジクロロベンゾイル)ビフェニル−2,4−ジスルホン酸ネオペンチルの合成
ジムロート、温度計を取り付けた三口フラスコにトルエン77mlをとり、ブロモベンゼン−2,4−ジスルホン酸ネオペンチル14.0g(0.03mol)、テトラキスト
リフェニルホスフィンパラジウム1.06g(0.9mmol)を加え撹拌した。さらに2mol/l炭酸カリウム水溶液32gを加えた後、4−(2,5−ジクロロベンゾイル
)−ベンゼンボロン酸−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールエステルをエタノール16mlに分散させたものを加え、加熱還流して6時間反応させた。反応溶液に30%過酸化水素水1.8gを加え1時間撹拌後、反応液に酢酸エチルを加え抽出した。有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去、得られた粗結晶をアセトン/ヘキサン溶液から再結晶し、下記式(I)に示される構造の目的物12gを得た。得られた化合物のNMRチャートを図1に示す。
Figure 0005037196
<合成例2>
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル54.5g(86.8mmol)、下記構造式(II)で示すMn11,200の疎水性ユニット34.3g(3.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.77g(3.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.41g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)270mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc480mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム23g(260mmol)を加えた。7時間攪拌後、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体70gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は235,000であった。得られた重合体は式(III)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0005037196
<合成例3>
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル54.4g(86.8mmol)、下記構造式(IV)で示すMn8,200の疎水性ユニット34.3g(4.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.38g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.41g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.55g(36.4mmol)、亜鉛14.3g(218mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)270mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc480mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム23g(260mmol)を加えた。7時間攪拌後、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体70gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(M
w)は235,000であった。得られた重合体は式(III)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0005037196
<合成例4>
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル54.0g(86.0mmol)、下記構造式(VI)で示すMn9,000の疎水性ユニット35.6g(4.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.36g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.40g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)290mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc500mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム22.4g(258mmol)を加えた。7時間攪拌後、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体68gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は250,000であった。得られた重合体は式(VII)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0005037196
<合成例5>
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル53.3g(85.0mmol)、下記構造式(VIII)で示すMn7,000の疎水性ユニット35.6g(5.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.36g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.40g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)290mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc500mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム22.1g(255mmol)を加えた。7時間攪拌後、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体68gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は250,000であった。得られた重合体は式(IX)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0005037196
<合成例6>
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル53.3g(85.0mmol)、下記構造式(X)で示すMn7,
000の疎水性ユニット35.6g(5.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.36g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.40g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)290mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc500mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム22.1g(255mmol)を加えた。7時間攪拌後、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体68gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は250,000であった。得られた重合体は式(XI)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0005037196
<比較合成例1>
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、下記構造式(XII)
で示す4’−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ビフェニル−4−スルホン酸ネオペンチル68.8g(144mmol)、上記構造式(II)で示したMn11,200の疎水性ユニット11.0g(1.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド3.79g(5.8mmol)、ヨウ化ナトリウム0.65g(4.4mmol)、トリフェニルホスフィン15.2g(58.0mmol)、亜鉛22.75g(348mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)255mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc480mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム37.5g(432mmol)を加えた。7時間攪拌後、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体70gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は335,000であった。得られた重合体は式(XIII)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0005037196
<比較合成例2>
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、下記構造式(XIV)
で示す4’−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ビフェニル−2',4−ジスルホン酸ネオペンチル54.5g(86.8mmol)、上記構造式(II)で示したMn11,200の疎水性ユニット34.3g(3.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.77g(3.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.41g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)270mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc480mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム23g(260mmol)を加えた。7時間攪拌後、イオン交換水7Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、アセトン、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体70gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は240,000であった。得られた重合体は式(XV)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 0005037196
(評価用フィルムの作製)
合成例1〜6および比較合成例1,2で得られたポリマーをそれぞれ濃度14〜16%でN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ガラス板上にキャストした後、乾燥して膜厚40μmのフィルムを得た。
(評価)
得られたフィルムを用い、耐水性試験およびプロトン伝導度の測定を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0005037196
表1に示すとおり、合成例1の誘導体を用いて合成されたスルホン化ポリマー(合成例2〜6)からなる膜は、高温加湿環境化における寸法安定性が優れており、高温低湿度環境下でのプロトン伝導性の低下も低く抑えられ、優れた電気的特性を発揮している。
[実施例1〜5]
[ペースト1〜5の調製]
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、(田中貴金属工業株式会社製:TEC10E50E)1.51g、蒸留水0.88g、合成例2〜6で
合成したスルホン化ポリマーの15%水−1,2−ジメトキシエタン溶液(重量比10:90)3.23g、1,2−ジメトキシエタン13.97gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度50cp(25℃)のペーストを得た。なお、実施例1では合成例2、実施例2では合成例3、実施例3では合成例4、実施例4では合成例5、実施例5では合成例6の重合体をそれぞれ使用した。
〔ガス拡散層の作製〕
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE粒子=4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布し、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなる拡散層3を二つ作製した。
[ガス拡散電極の作製]
上記で作製した拡散層上に、ペースト1を白金塗布量が0.5mg/cm2になるよう
にドクターブレードを用いて塗布した。これを95℃で10分間加熱乾燥し、ガス拡散電極層を形成させた。
[膜−電極接合体の作製]
合成例2のスルホン化ポリマーからなる電解質膜(膜厚30μm)の電解質膜を1枚用意し、上記で作製した一対のガス拡散電極層で挟み、圧力100kg/cm2下で、16
0℃×15minの条件でホットプレス成形して、膜−電極接合体を作成した。
〔発電評価〕
上記で得た膜―電極接合体の両側にガス流路を兼ねるセパレータを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成させた。これを単セルとして、一方を酸素極として空気を供給し、一方は燃料極として純水素を供給して発電させた。発電条件は、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量4L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量1L/minで初期発電特性評価を行った。電流密度1.0A/cm時の出力電圧を表2に示す。初期特性評価後、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量1.2L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量0.6L/minで、電流密度を0.1A/cmに保持し、500時間連続発電を行った。500時間後、初期発電特性評価条件と同条件で、電流密度1.0A/cm時の出力電圧を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の電極ペースト作成時のポリマーをNafion溶液(Dupont社製2020CS、20.1wt%溶液)に変更した以外は、同様の方法で電極ペースト、ガス拡散層、ガス拡散電極、膜−電極接合体を作成し、同様の条件で発電評価を行った。
Figure 0005037196
図1は合成例1で得られた化合物のNMRチャートを示す。

Claims (6)

  1. スルホン酸基を有する構成単位が下記一般式(1')で表される構成単位のみからなるポリアリーレン系重合体:
    Figure 0005037196
    [式(1')中、Yは−CO−または−SO2−を示す。Zは直接結合または−CO−または−SO2−または−SO−を示す。nは2〜5の整数を示す。]
    を含んでなることを特徴とする高分子型燃料電池用電極電解質。
  2. 前記ポリアリーレン系共重合体が、さらに、一般式(2)で表される構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載の高分子型燃料電池用電極電解質。
    Figure 0005037196
    [式(2)中、A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR''2−(R''は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、sおよびtはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。]
  3. 上記一般式(1')が下記一般式(1'a)で表される構成単位であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子型燃料電池用電極電解質。
    Figure 0005037196
    [式(1'a)中、Zは直接結合または−CO−または−SO2−または−SO−を示す。nは2〜5の整数を示す。]
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質と触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質と触媒粒子とを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
  6. 請求項5に記載の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。
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