JP5037196B2 - 高分子型燃料電池用電極電解質およびその用途 - Google Patents
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Description
プロトン伝導性を上げるためにスルホン酸濃度を上げると、高温高湿条件下で、吸水に
よる膨潤が大きく、ガス流路を閉塞して、発電性能が低下する問題がある。
[1]下記一般式(1’)で表される構成単位を有することを特徴とするポリアリーレン系
重合体:
−SO2−または−SO−を示す。nは2〜5の整数を示す。]
を含んでなることを特徴とする高分子型燃料電池用電極電解質。
ることを特徴とする[1]の高分子型燃料電池用電極電解質。
、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(
CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR’’2−(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニ
リデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ
素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示し、sおよびtはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。]
[3]上記一般式(1’)が下記一般式(1’a)で表される構成単位である[1]または[2]の
高分子型燃料電池用電極電解質。
は2〜5の整数を示す。]
[4][1]〜[3]の電解質と触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
極。
[6][5]の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質は、特定の構成単位をポリアリーレンに導入して得られた強酸性セグメントを含んだポリアリーレン系重合体を含む。
本発明で使用されるポリアリーレン系重合体は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有する。
Zは直接結合または−CO−または−SO2−または−SO−を示し、直接結合が好ましい。nは2〜5の整数を示し、好ましくは2〜3である。]
このような一般式(1’)で表される構成単位としては、以下のものが例示される。
<スルホン化ポリアリーレン系共重合体>
本発明に係るポリアリーレン系重合体は、上記式(1')で表される構成単位の単独重
合体であってもよく、通常、一般式(4)で表される構成単位を含むことが望ましい。このような構成単位を含んでいると、重合体の強度や耐水性を向上させることができる。
R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部もしくはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
上記ハロゲン化アルキル基としては、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。
sおよびtは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
(1)s=1およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフル
オレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1およびt=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−
であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフル
オレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニトリ
ル基である構造が挙げられる。
いう)は、たとえば、特開2004−137444号公報に記載の方法を参照することに
より合成することができる。
重合体が挙げられる。
記したとおりである。
共重合体中、上記一般式(1’)で表される繰り返し構造単位(すなわちxのユニット)を0.5〜100モル%(ただし100モル%は含まない)、好ましくは10〜99.99
9モル%の割合で、(4)で表される繰り返し構造単位(すなわちyのユニット)を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有することが望ましい。
(電極ペースト)
本発明の電極ペーストは、上記の電極電解質、触媒粒子、溶媒からなり、必要に応じて分散剤、炭素繊維などの他の成分を含んでいてもよい。
触媒粒子は、触媒が、カーボン、金属酸化物の担体に担持されたもの、または、触媒の単体からなる。
上記触媒を担持する担体としては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。また、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
本発明の電極ペーストの溶媒としては、前記電解質を溶解または分散しうる溶媒であればよく、特に限定されるものではない。また1種類のみでなく、2種以上の溶媒を用いることもできる。
メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル1−プロパノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、などのアルコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール類、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタールなどのエーテル類、
アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノンなどのケトン類、
γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル
、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類、
ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、テトラメチル尿素などの非プロトン性極性溶媒、
トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系溶媒、を挙げることができ、これらは1種類以上を組み合わせて用いることもできる。
必要に応じて含まれてよい分散剤としては、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のアニオン界面活性剤、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等のカチオン界面活性剤、および
ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω-フルオロアクカノイルーN−エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリ
ウム、N−[3-(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N−ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤、およびヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル、等の非イオン界面活性剤、およびラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等の両性界面活性剤などを挙げることができる。
炭素繊維
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに触媒が担持されていない炭素繊維を添加することができる。
維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、好ましくは、気相成長炭素繊維である。
本発明に係る電極ペーストでは、必要に応じてさらに他の成分を添加することができる。例えば、フッ素系ポリマーやシリコン系ポリマーなどの撥水剤を添加してもよい。撥水剤は生成する水を効率よく排出する効果をもち、発電性能の向上に寄与する。
本発明に係るペースト中の触媒粒子の使用割合は、重量比で1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%であることが望ましい。また、電極電解質の使用割合は、重量比で0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%であることが望ましい。さらに、溶剤の使用割合は、重量比で5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜90重量%であることが望ましい。
で0重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。(なお、合計で100重量%を超えることはない)
触媒粒子の使用割合が、上記範囲未満であると、電極反応率が低下することがある。また、上記範囲より大きいと、電極ペーストの粘度が増加し、塗工時に塗りむらが発生することがある。
分散剤の使用割合が、上記範囲内にあると保存安定性に優れた電極ペーストが得られる。炭素繊維の使用割合が、上記範囲未満であると、電極中の細孔容積の増加効果が低い。また、上記範囲より大きいと、電極反応率が低下することがある。
本発明に係る電極ペーストは、例えば上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
(電極および膜-電極接合体)
以上のような本発明に係る電極ペーストを、転写基材上に塗布し、溶媒を除去すると本発明の電極が得られる。このような電極を高分子電解質の少なくとも片面に形成することで、本発明の膜-電極接合体が得られる。
転写基材上に塗布された電極を、乾燥して溶媒を除去したのち、固体高分子電解質膜の少なくとも片面に転写させると、本発明の膜-電極接合体が得られる。
たとえば、Nafion(DuPont社製)、Flemion(旭硝子製)、Aciplex(旭化成製)などのパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる電解質膜、
パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーに、ポリテトラフルオロエチレンの繊維や多孔質膜と複合化した補強型電解質膜、
ポリテトラフルオロエチレングラフトスルホン化ポリスチレンなどの部分フッ素化スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルニトリル、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリベンズオキサゾール、スルホン化ポリベンズチアゾールなど
の芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
スルホン化ポリスチレン、スルホン酸含有アクリル系ポリマーなどの脂肪族スルホン化ポリマーからなる電解質膜、
これらを多孔質膜と複合化した細孔フィリング型電解質膜、
ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールなどのポリマーにリン酸、硫酸などを含浸させた酸含浸型ポリマーからなる電解質膜、などがあげられる。これらのうち、芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜が好ましい。
電極を固体高分子電解質膜に転写するには、ホットプレス法を用いることができる。ホットプレス法では、カーボンペーパーまたは離型シートに前記電極ペーストを塗布したもものの、電極ペースト塗布面と電解質膜とを圧着する方法である。ホットプレスは、通常、50〜250℃の温度範囲で、1分〜180分の時間、10〜500kg/cm2の圧力をかけて行う。
塗布、乾燥を繰り返す方法がある。塗布や乾燥の順序に特に制限はない。
例えば、PETフィルム等の基材上に、電解質膜の溶液を塗布し乾燥して、電解質膜を作
成した後、この上に本発明の電極ペーストを塗布する。次に基材をはがして、もう一方の面に電極ペーストを塗布する。最後に溶媒を除去すると膜-電極接合体(なお、かかる膜-電極接合体を触媒付電解質膜ということもある)が得られる。塗布方法は上記と同様の方法をあげることができる。
必要に応じて、電解質膜を水浸漬して、溶媒を除去してもよい。水温は5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求め
た。
重合体の分子量は、GPCによってポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として臭化リチウムを添加したN−メチル−2−ピロリドンを用いた。
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去して十分に洗浄し、乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
まず、短冊状の試料膜(40mm×5mm)の表面に、白金線(φ=0.5mm)を5mm間隔に5本押し当て、恒温恒湿装置((株)ヤマト科学製「JW241」)中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定により交流抵抗を求めた。測定は、抵抗測定装置として(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用いて、85℃、相対湿度を変化させた環境下、交流10kHzの条件で、線間距離を5〜20mmに変化させて行った。次いで、線間距離と抵抗の勾配から膜の比抵抗Rを下記式に従って算出し、比抵抗Rの逆数からプロトン伝導度を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
(耐水性試験)
まず、2×3cmに切削した試料膜の長辺と短辺の長さを精密に測定した。同試料膜を耐熱性樹脂容器に入れ、十分な量の水を加えて密栓した後、オーブンまたはプレッシャークッカー試験機を用い、それぞれ95℃、120℃で24時間加熱処理した。加熱終了後、室温まで放冷し、試料膜を取出し、表面の水滴を軽く拭き取った後、各辺の長さ及び膜厚、重量を測定した。得られた数値を用い、試料の耐水性について以下の通り算出した。寸法変化率(%)=(試験後の長辺(cm)/試験前の長辺(cm))+(試験後の短辺(cm)/試験前の短辺(cm))/2×100
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去後、十分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点から、イオン交換容量を求めた。
動的粘弾性測定装置により、スルホン化ポリマーのガラス転移温度を測定した。
(膜抵抗の測定)
膜を濃度1mol/lの硫酸を介して上下から導電性カーボン板ではさみ、室温でカーボン板間の交流抵抗を測定し、下記の式で求めた。
膜抵抗(Ω・cm2)=膜をはさんだカーボン間の抵抗値(Ω)−ブランク値(Ω)×接
触面積(cm2)
<合成例1>
(1)ブロモベンゼン−2,4−ジスルホン酸ネオペンチルの合成
滴下ロート、温度計、ジムロートを取り付けた四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でクロロスルホン酸186g(1.2mol)を取り、撹拌下ブロモベンゼン31.4g(0.2mol)を滴下ロートから約30分かけて滴下した。120℃で6時間反応させた後、反応液を氷水に注ぎ、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、エバポレーターを用いて溶媒を留去し、ブロモベンゼン−2,4−ジスル
ホニルクロリドの粗生成物70gを得た。
パノール17.4g(0.198mol)を加え、0℃まで冷却した。上記で得られたスルホニルクロリドの粗生成物を、この溶液に徐々に加えた。
(2)4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ベンゼンボロン酸−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールエステルの合成
ディーンスターク管、温度計を取り付けた三口フラスコに、トルエン300mlを取り、2,5−ジクロロ−4'−ブロモベンゾフェノン115.5g(0.35mol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール60.5g(0.58mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物6.66g(0.04mol)を加え、130℃で加熱還流して生成する水を除きながら反応させた。約20時間後、理論量(約6.3g)の水を回収したことを確認し、反応液を1Lのビーカーに移した。塩氷浴で反応液を冷却し、析出した結晶をろ過回収した後、エタノールですすぎ、白色結晶120gを得た。
5℃まで冷却した。n−ブチルリチウムの10Mヘキサン溶液を10.5ml(0.105mol)シリンジを用いてゆっくりと滴下し、−65℃で1時間反応させた。ついでほう酸トリメチル15.5g(0.15mol)を滴下し、−60℃で1時間反応させた。その後冷却浴を取り除き、室温までゆっくりと昇温した。次に反応溶液に塩酸溶液を加えて70℃に加熱して反応させた。冷却後、アセトンを加えて撹拌した後、エバポレーターで溶媒を除き、析出した粗結晶をろ過で回収した。酢酸エチル/ヘキサン溶液から再結晶し、目的物の白色結晶23gを得た。
(3)4’−(2,5−ジクロロベンゾイル)ビフェニル−2,4−ジスルホン酸ネオペンチルの合成
ジムロート、温度計を取り付けた三口フラスコにトルエン77mlをとり、ブロモベンゼン−2,4−ジスルホン酸ネオペンチル14.0g(0.03mol)、テトラキスト
リフェニルホスフィンパラジウム1.06g(0.9mmol)を加え撹拌した。さらに2mol/l炭酸カリウム水溶液32gを加えた後、4−(2,5−ジクロロベンゾイル
)−ベンゼンボロン酸−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールエステルをエタノール16mlに分散させたものを加え、加熱還流して6時間反応させた。反応溶液に30%過酸化水素水1.8gを加え1時間撹拌後、反応液に酢酸エチルを加え抽出した。有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を留去、得られた粗結晶をアセトン/ヘキサン溶液から再結晶し、下記式(I)に示される構造の目的物12gを得た。得られた化合物のNMRチャートを図1に示す。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル54.5g(86.8mmol)、下記構造式(II)で示すMn11,200の疎水性ユニット34.3g(3.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.77g(3.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.41g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル54.4g(86.8mmol)、下記構造式(IV)で示すMn8,200の疎水性ユニット34.3g(4.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.38g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.41g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.55g(36.4mmol)、亜鉛14.3g(218mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
w)は235,000であった。得られた重合体は式(III)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル54.0g(86.0mmol)、下記構造式(VI)で示すMn9,000の疎水性ユニット35.6g(4.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.36g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.40g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル53.3g(85.0mmol)、下記構造式(VIII)で示すMn7,000の疎水性ユニット35.6g(5.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.36g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.40g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル53.3g(85.0mmol)、下記構造式(X)で示すMn7,
000の疎水性ユニット35.6g(5.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.36g(3.6mmol)、ヨウ化ナトリウム0.40g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、下記構造式(XII)
で示す4’−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ビフェニル−4−スルホン酸ネオペンチル68.8g(144mmol)、上記構造式(II)で示したMn11,200の疎水性ユニット11.0g(1.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド3.79g(5.8mmol)、ヨウ化ナトリウム0.65g(4.4mmol)、トリフェニルホスフィン15.2g(58.0mmol)、亜鉛22.75g(348mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、下記構造式(XIV)
で示す4’−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ビフェニル−2',4−ジスルホン酸ネオペンチル54.5g(86.8mmol)、上記構造式(II)で示したMn11,200の疎水性ユニット34.3g(3.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.77g(3.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.41g(2.7mmol)、トリフェニルホスフィン9.44g(36.0mmol)、亜鉛14.1g(216mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
合成例1〜6および比較合成例1,2で得られたポリマーをそれぞれ濃度14〜16%でN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ガラス板上にキャストした後、乾燥して膜厚40μmのフィルムを得た。
(評価)
得られたフィルムを用い、耐水性試験およびプロトン伝導度の測定を実施した。結果を表1に示す。
[実施例1〜5]
[ペースト1〜5の調製]
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、(田中貴金属工業株式会社製:TEC10E50E)1.51g、蒸留水0.88g、合成例2〜6で
合成したスルホン化ポリマーの15%水−1,2−ジメトキシエタン溶液(重量比10:90)3.23g、1,2−ジメトキシエタン13.97gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度50cp(25℃)のペーストを得た。なお、実施例1では合成例2、実施例2では合成例3、実施例3では合成例4、実施例4では合成例5、実施例5では合成例6の重合体をそれぞれ使用した。
〔ガス拡散層の作製〕
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE粒子=4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布し、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなる拡散層3を二つ作製した。
[ガス拡散電極の作製]
上記で作製した拡散層上に、ペースト1を白金塗布量が0.5mg/cm2になるよう
にドクターブレードを用いて塗布した。これを95℃で10分間加熱乾燥し、ガス拡散電極層を形成させた。
[膜−電極接合体の作製]
合成例2のスルホン化ポリマーからなる電解質膜(膜厚30μm)の電解質膜を1枚用意し、上記で作製した一対のガス拡散電極層で挟み、圧力100kg/cm2下で、16
0℃×15minの条件でホットプレス成形して、膜−電極接合体を作成した。
〔発電評価〕
上記で得た膜―電極接合体の両側にガス流路を兼ねるセパレータを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成させた。これを単セルとして、一方を酸素極として空気を供給し、一方は燃料極として純水素を供給して発電させた。発電条件は、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量4L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量1L/minで初期発電特性評価を行った。電流密度1.0A/cm2時の出力電圧を表2に示す。初期特性評価後、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量1.2L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量0.6L/minで、電流密度を0.1A/cm2に保持し、500時間連続発電を行った。500時間後、初期発電特性評価条件と同条件で、電流密度1.0A/cm2時の出力電圧を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の電極ペースト作成時のポリマーをNafion溶液(Dupont社製2020CS、20.1wt%溶液)に変更した以外は、同様の方法で電極ペースト、ガス拡散層、ガス拡散電極、膜−電極接合体を作成し、同様の条件で発電評価を行った。
Claims (6)
- 前記ポリアリーレン系共重合体が、さらに、一般式(2)で表される構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載の高分子型燃料電池用電極電解質。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質と触媒粒子および溶媒を含むことを特徴とする電極ペースト。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質と触媒粒子とを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
- 請求項5に記載の電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。
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