JP2006342242A - フルオレンユニットを有する芳香族化合物およびスルホン化ポリアリーレン - Google Patents

フルオレンユニットを有する芳香族化合物およびスルホン化ポリアリーレン Download PDF

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Abstract

【課題】スルホン酸基の導入量を増加しても優れた耐熱水性を有するスルホン化ポリマー、および該スルホン化ポリマーからなるプロトン伝導度が高く、発電性能に優れたプロトン伝導膜を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されてなるフルオレンユニットを有する芳香族化合物を出発原料とするスルホン化ポリアリーレン、並びに該スルホン化ポリアリーレンからなるプロトン伝導膜。
Figure 2006342242

[式中、Aは−CO−または−SO2−を示し、BはOまたはSを示し、XはFを除くハロゲン原子、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる基を示す。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、フルオレンユニットを有する芳香族化合物および該化合物から誘導されるスルホン化ポリアリーレンに関する。
電解質は、従来、(水)溶液(すなわち電解液)で用いられることが多い。しかし、近年、これを固体系に置き替えていく傾向が高まってきている。その第1の理由としては、例えば、上記の電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、第2の理由としては、軽薄短小・省電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物からなるもの、有機物からなるものの両方が知られている。
無機物としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルを使用したものが例示されるが、これらの無機化合物からなるプロトン伝導性材料は加工性に乏しく、電極層を接合した場合にも電極層との界面の密着性が十分でない場合が多く、こうした界面でのプロトン伝導性が不十分で、発電性能が低下する問題がある。
一方、有機物としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ナフィオン(商品名、デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマーなどの有機系ポリマーを使用したものが例示される。(非特許文献1:Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.7, p.2490〜2492 (1993)、非特許文献2:Polymer Preprints, Japan, Vol.43, No.3, p.735〜736 (1994)、非特許文献3:Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.3, p.730 (1993))
これら有機系ポリマーは、通常、フィルム状のプロトン伝導性材料として用いられる。また、有機系ポリマーは溶媒に可溶性であること、または熱可塑性であることを利用し、電極上に伝導膜を接合加工できるという無機物とは異なる利点を有している。
さらに、米国特許第5,403,675号(特許文献1)では、スルホン化された剛直ポリフェニレンからなる固体高分子電解質が提案されている。このポリマーはフェニレン連鎖からなる芳香族化合物を重合して得られるポリマー(同カラム9記載の構造)を主成分とし、これをスルホン化剤と反応させてスルホン酸基を導入している。
Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.7, p.2490〜2492 (1993) Polymer Preprints, Japan, Vol.43, No.3, p.735〜736 (1994) Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.3, p.730 (1993) 米国特許第5,403,675号
しかしながら、これら有機系ポリマーの多くは、プロトン伝導度がまだ十分でないことに加え、耐久性や高温(100℃以上)でプロトン伝導性が低下してしまうこと、また力学的性質、特に弾性率が大きく低下することや、湿度条件下での依存性が大きいこと、あるいは電極との密着性が十分満足いくものとはいえなかったり、含水ポリマー構造に起因する稼動中の過度の膨潤により、強度の低下や形状の崩壊に至るという問題があった。したがって非特許文献1〜3に記載された有機系ポリマーは、上記の電気・電子材料などに
応用するには種々問題がある。
さらに、特許文献1では、スルホン酸基の導入量を増加することによって、プロトン伝導性も向上するものの、同時に得られるスルホン化ポリマーの機械的性質、例えば破断伸び、耐折曲げ性等の靭性や耐熱水性は著しく損なわれるという問題点があった。
このため本発明の課題は、スルホン酸基の導入量を増加しても優れた耐熱水性を有するスルホン化ポリマー、および該スルホン化ポリマーからなるプロトン伝導度が高く、発電性能に優れた固体高分子電解質を提供することにある。
このような状況のもと、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フルオレン骨格を有する芳香族ユニットを、スルホン酸基を有しかつフェニレン結合を形成するユニットと組み合わせることで、スルホン酸基の導入量を増加させても優れた耐熱水性を有するポリアリーレンが得られることを見出した。
すなわち、本発明によれば、以下の芳香族化合物、該化合物から導かれる構造単位と、スルホン酸基を有する構造単位とを含むスルホン化ポリアリーレンを提供することにより、上記課題を解決することができる。
[1]下記一般式(1)で表される芳香族化合物。
Figure 2006342242
[式中、Aは独立に−CO−または−SO2−を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原
子を示し、Xはフッ素を除くハロゲン原子、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる基を示し、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子、アルキル基、フェニル基を示し、aは0または、1から4の整数を示す。]
[2]上記一般式(1)で表される芳香族化合物が、下記一般式(1a)で表される芳香族化合物。
Figure 2006342242
[式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、R9、R14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子
、アルキル基、フェニル基を示す。]
[3]下記一般式(1’)で表される構造単位を含む重合体。
Figure 2006342242
[式中、Aは独立に−CO−または−SO2−のいずれかを示し、Bは独立に酸素原子ま
たは硫黄原子を示し、R1〜R24は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ
素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、aは0または、1から4の整数を示す。]
[4]上記一般式(1’)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを有するポリアリーレン系重合体。
Figure 2006342242
[式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基
を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。]
[5]上記一般式(1’)で表される構造単位が、下記一般式(1’a)で表される前記重合体。
Figure 2006342242
[式中、R9、R14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、フェ
ニル基を示す。]
[6][4]または[5]に記載の重合体からなるプロトン伝導膜。
[7]上記一般式(1’)で表される構造単位が、上記一般式(1a’)からなることを特徴とする[6]に記載のプロトン伝導膜
本発明によれば、フルオレン骨格を有する芳香族化合物、該化合物から誘導されるフルオレン骨格を有する芳香族ユニットと、スルホン酸基を有しかつフェニレン結合を形成するユニットとを有する共重合体を提供される。かかるポリマーは、熱水耐性が高く、スルホン酸濃度を上げることができるため、プロトン伝導度が高く、しかも機械的特性においても優れているので、発電性能に優れた固体高分子電解質(プロトン伝導膜)を提供することができる。
以下、本発明の芳香族化合物、重合体、スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体について詳細に説明する。
[芳香族化合物]
本発明に係る芳香族化合物は、下記一般式(1)で表される。このような化合物は、かかる化合物から誘導されるユニットを構造単位として含む共重合体に疎水性を付与するとともに、構造単位自体が屈曲性構造を有するため、重合体の靭性、その他の機械的強度などを向上させる作用を有する。また、共重合体を構成する他のユニットへのスルホン酸基の導入量を増大させても、疎水性が高いので、優れた耐熱水性を発揮する。
Figure 2006342242
式中、Aは独立に−CO−または−SO2−を示す。このうち、−CO−であることが
好ましい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示す。
Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示す。
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なっていてもよく、水素
原子、アルキル基、フェニル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられる。
aは0または1から4の整数である。
特に、下記式(1a)で示される芳香族化合物は、プロトン伝導膜を作製したときに、重合体の靭性、その他の機械的強度などの点で好適である。
Figure 2006342242
[式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、R9、R14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子
、アルキル基、フェニル基を示す。]
上記一般式(1)で示される芳香族化合物の具体的な例として、以下のものをあげることができる。
Figure 2006342242
Figure 2006342242
Figure 2006342242
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば次のような反応によって合成することができる。
まず、フルオレン骨格を有するビスフェノールを、対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。アルカリ金属はフェノールの水酸基に対し過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2当量、好ましくは1.2〜1.5当量で使用する。このとき、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、アニソールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、反応の進行を促進させることが好ましい。
使用されるフルオレン骨格を有するビスフェノールとしては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス
(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソブチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
次いで、上記ビスフェノールのアルカリ金属塩と特定のジハロゲン化芳香族化合物とを反応させる。この反応で、アルカリ金属とハロゲンとが塩となって脱離し、ビスフェノール環とジハロゲン化芳香族化合物とが-O-を介して結合する。また、ビスフェノールの代
わりに、ビスチオフェノールを使用して同様に反応させれば、ビスチオフェノール環とジハロゲン化芳香族化合物とが-S-を介して結合する。
反応させるジハロゲン化芳香族化合物としては、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(3−クロロフェニル)スルホン、ビス(2−クロロフェニル)スルホン、3−クロロフェニル−4−クロロフェニルスルホン、2−クロロフェニル−4−クロロフェニルスルホン、4−クロロフェニル−4−フルオロフェニルスルホン、2−クロロフェニル−4−フルオロフェニルスルホン、3−クロロフェニル−4−フルオロフェニルスルホン、4−クロロフェニル−2−フルオロフェニルスルホン、4−クロロフェニル−3−フルオロフェニルスルホン、1,4−ビス(4−クロロスルホニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−クロロスルホニル)ベンゼン、1,2−ビス(4−クロロスルホニル)ベンゼンなどのスルホン類が挙げられる。
さらに、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジクロロベンゾフェノン、2,2’−ジクロロベンゾフェノン、3,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、3−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−クロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、4−クロロ−3’−フルオロベンゾフェノン、1,4−ビス(4-クロロベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン
、1,2−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−クロロベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−クロロベンゾイル)ベンゼン、1,2−ビス(3−クロロベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(2−クロロベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(2−クロロベンゾイル)ベンゼン、1,2−ビス(2−クロロベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−クロロベンゾイル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼンなどのベンゾフェノン類を挙げることができる。
さらにまた、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2−クロロ−6−フルオロベンゾニトリル、2−クロロ−5−フルオロベンゾニトリル、2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル、4−クロロ−2−フルオロベンゾニトリル、5−クロロ−2−フルオロベンゾニトリルなどのベンゾニトリル類を挙げることができる。
これらのうち、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−クロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリルが好ましい。
上記ジハロゲン化芳香族化合物は、ビスフェノールに対し2.0倍モル以上、好ましくは、2.1〜5倍モルの量で用いられる。このように、ビスフェノールに対して、ジハロ
ゲン化芳香族化合物を2.0倍モル以上加えることで、一般式(1)に示される構造の芳香族化合物を得ることができる。
反応は、反応温度が60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲、反応時間が15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲で行われる。
ジハロゲン化芳香族化合物として、クロロ基とフルオロ基を有する化合物を用いる場合には、仕込み比や反応温度、反応時間を調整して、フルオロ基のみがビスフェノールと反応する条件の設定を行う。
得られた反応生成物は、再沈殿、再結晶などの方法で精製することができる。
上記の反応の進行、および生成した芳香族化合物は、公知の方法で同定される。たとえば、NMR、IRなどにより同定される。
IRスペクトルにおいては、3650〜3584cm-1付近のフェノール性水酸基に由来する吸収が消失し、1275〜1200cm-1付近および、1075〜1020cm-1付近のエーテル結合に由来する吸収が顕著になることで確認できる。NMRスペクトルにおい
ては、11〜9ppm付近のフェノール水酸基の水素原子に由来するシグナルの消失によって確認できる。
[ポリアリーレン系重合体]
本発明に係るポリアリーレン系重合体は、上記式(1)から誘導される下記一般式(1’)で表される構造単位のみから構成される単独重合体でもよいし、構造単位(1’)と他の構造単位とから構成される共重合体でもよい。
Figure 2006342242
式中、Aは独立に−CO−または−SO2−のいずれかを示す。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示す。
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なっていてもよく、水素
原子、アルキル基、フェニル基を示す。
aは、0または1から4の整数を示す。
上記式(1')で表される構造単位のなかでも、下記式(1'a)で示されるものが、靭性や機械的強度とともの製造のしやすさという点で好適である。
Figure 2006342242
[式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、R9、R14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子
、アルキル基、フェニル基を示す。]
本発明のポリアリーレン系重合体を構成する上記構造単位(1’)以外の他の構造単位としては、下記一般式(2)で表される構造単位が好ましい。このような構造単位を有するものはプロトン伝導性が高く、プロトン伝導膜として好適である。
Figure 2006342242
一般式(2)において、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−CO
O−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、−CO−、−SO2−が好ましい。
Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち直接結合、−O−が好ましい。
Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置
換基(pは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。
芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。−SO3
Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基(pは1〜12の整数を示す)は、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上置換していることが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
m、nの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)m=0、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有
するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
プロトン伝導性を高めるためには、(2)式の構造単位に含まれる−SO3Hの量を増
加させたり、または(2)式に構造単位の割合を増やせばよい。
<ポリマーの製造方法>
(1')式および(2)式の構造単位から構成される、スルホン酸基を有するポリアリ
ーレンの製造には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法)
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記一般式(2)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(1)で表されるモノマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンを合成する。
(B法)
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法で、上記一般式(2)で表される骨格を有するが、スルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記一般式(1)で表されるモノマーとを共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用いてスルホン化することによりスルホン酸基を有するポリアリーレンを合成する。
(C法)
一般式(2)において、Arが−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特願2003−295974号に記載の方法で、上記一般式(2)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(1)で表されるモノマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(A法)において用いることのできる、上記一般式(2)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーの具体的な例として、特開2004−137444号公報、特開2004−345997公報、特開2004−346163号公報に記載されている芳香族スルホン酸エステル類を挙げることができる。
(B法)において用いることのできる、上記一般式(2)で表される構造単位となりうるが、スルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
(C法)において用いることのできる、上記一般式(2)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特願2003−275409号に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。具体的には、2,5−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンをあげることができる。またこれらの化合物のヒドロキシル基をテトラヒドロピラニル基などで保護した化合物をあげることができる。またヒドロキシル基がチオール基にかわったもの、塩素原子が、臭素原子、ヨウ素原子におきかわったものも挙げることができる。
これらの触媒成分の具体的な例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物を挙げることができる。
たとえば、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好適に使用され、
また、配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン、2,2′−ビピリジンが好適に使用される。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2′ビピリジン)が好適に使用される。還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。「塩」としては、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。反応には重合溶媒を使用してもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドンなどが好適に使用される。
本発明のスルホン酸基を有するポリアリーレンは、この前駆体のポリアリーレンを、スルホン酸基を有するポリアリーレンに変換して得ることができる。この方法としては、下記の3通りの方法がある。
(A法)の場合、前駆体のポリアリーレン中のスルホン酸エステル基を、特開2004−137444に記載の方法で脱エステル化する。
(B法)の場合、前駆体のポリアリーレンに、特開2001−342241などの公知の方法に従い、スルホン酸基を導入する。
(C法)の場合、前駆体のポリアリーレンに、特願2003−295974号に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。C法では、例えば、前駆体のポリアリーレンのヒドロキシル基と、プロパンスルトン、ブタンスルトンなどを反応させることで導入することができる。
上記のような方法により製造される、スルホン酸基を有するポリアリーレンの、イオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがある。
なお、本発明のプロトン伝導膜用ポリアリーレンでは、式(1')で表される構造単位
を有しているので、屈曲性構造を有するため重合体の靭性、その他の機械的強度などを向上させる作用を有する。また、イオン交換容量を高めるためにスルホン酸基の導入量を増加させても、疎水性が高いので、耐水性が低下することがない。
上記のイオン交換容量は、例えば一般式(2)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(1)で表されるモノマーの種類、使用割合、導入されるスルホン酸基の量、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
このようにして得られるスルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
<プロトン伝導膜およびその製造法>
このような本発明に係る重合体のうち、特にスルホン酸基を有する共重合体(具体的には(1')と(2)の構造単位を含むもの)は、プロトン伝導膜(固体高分子電解質)として好
適に使用される。プロトン伝導膜は、前記共重合体と必要に応じて添加剤を、有機溶剤に溶解させた組成物を基材上に流延し、フィルム状に成形する方法(溶剤キャスト法)などにより、成形される。
基材としては、通常の溶液キャスト法に用いられる基材であれば特に限定されず、プラ
スチック製、金属製などの基体が用いられ、さらにはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基材が用いられる。
なお、溶液粘度は、ポリマーの分子量、ポリマー濃度にもよるが、通常、2,000〜
100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sでの範囲とす
ればよい。
かかる製膜方法で用いられる溶媒としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらの中では、溶解性および溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)が特に好ましい。上記非プロトン系極性溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記溶媒として、上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いてもよい。このようなアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられる。これらの中では、幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があることから、メタノールが特に好ましい。アルコールは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記アルコールの他に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
製膜する際の溶液のポリマー濃度は、通常5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。ポリマー濃度が5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい傾向にある。一方、ポリマー濃度が40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、通常2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000
〜50,000mPa・sである。溶液粘度が2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、溶液粘度が100,000
mPa・sを超えると、粘度が高過ぎるため、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記のようにして成膜した後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬すると、未乾燥フィルム中の有機溶剤を水と置換することができ、得られるプロトン伝導膜の残留溶媒量を低減することができる。なお、未乾燥フィルムを水に浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを、通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルム(予備乾燥後のフィルムも含む。以下同じ。)を水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式でもよく、基板フィルム(たとえば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、または基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方式でもよい。また、バッチ方式の場合は、処理後のフィルム表面に皺が形成されるのを抑制するために、未乾燥フィルムを枠にはめるなどの方法で、水に浸漬させることが好ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の使用量は、未乾燥フィルム1重量部に対して、10重量部以上、好ましくは30重量部以上、より好ましくは50重量部以上の割合である。水の使用量が上記範囲であれば、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を少なくする
ことができる。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を低減することに有効である。さらに、プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが効果的である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、置換速度および取り扱いやすさの点から、通常5〜80℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。高温ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面状態が悪化することがある。また、フィルムの浸漬時間は、初期の残存溶媒量、水の使用量および処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下において、0.5〜24時間真空乾燥することにより、プロトン伝導膜を得ることができる。
上記のようにして得られたプロトン伝導膜の残存溶媒量は、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下にまで低減される。
得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmであり、この厚さは基材(枠型)の厚さを調整することによって制御が可能である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
(分子量)
重合体の分子量は、GPCによって、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として臭化リチウムを添加した、N−メチル−2−ピロリドンを用いた。
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去後、十分に洗浄し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
実施例1
攪拌器、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管を取り付けた1L三口フラスコに、9,9−ビスフェノールフルオレン20.0g(57mmol)、2,4’−ジクロロベンゾフェノン43.1g(171mmol)、炭酸カリウム10.3g(74mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン243ml、トルエン121mlを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を130℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃にあげ、15時間攪拌を続けたあと、2,4’−ジクロロベンゾフェノン43.1g(171mmol)を加え、さらに8時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン100mlを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩をろ過し、ろ液をメタノール2lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mlに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末をろ過、乾燥し、目的物41gを得た。得られた化合物は、式[1]
で表される化合物であることを確認した。
Figure 2006342242
実施例2
実施例1の、9,9−ビスフェノールフルオレン20.0g(57mmol)を9,9−ビスクレゾールフルオレン21.6g(57mmol)、2,4’−ジクロロベンゾフェノン43.1g(171mmol)を4,4’−ジクロロベンゾフェノン43.1g(171mmol)にかえたほかは、同様に反応を行い、目的物44gを得た。得られた化合物は、式[2]で表される化合物であることを確認した。
Figure 2006342242
実施例3
実施例1の、9,9−ビスフェノールフルオレン20.0g(57mmol)を9,9−ビス(2−フェニルフェノール)フルオレン28.7g(57mmol)、2,4’−ジクロロベンゾフェノン43.1g(171mmol)を4−クロロ−4’−フルオロベンゾフェノン40.2g(171mmol)にかえたほかは、同様に反応を行い、目的物51gを得た。得られた化合物は、式[3]で表される化合物であることを確認した。
Figure 2006342242
実施例4
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた3Lの三口フラスコに、実施例1で得られた式[1]で表される化合物97.5g(125mmol)、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル150.5g(375mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド9.81g(15mmol)、ヨウ化ナトリウム2.3g(15mmol)、トリフェニルホスフィン52.5g(200mmol)、亜鉛78.4g(1200mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)580mLを加え、反応温度を80℃に保ちながら、3時間攪拌を続けた後、DMAc600mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。
得られたろ液を、攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた3Lの三口フラスコに入れ
、115℃に過熱攪拌し、臭化リチウム71.7g(830mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン5Lに注いで、生成物を沈殿させた。次いで、1N塩酸、純水の順に洗浄後、乾燥して目的のスルホン化ポリマー178gを得た。得られた重合体の重量平均分子量は80,000であった。得られた重合体は式[4]で表されるスルホン化ポリマーであると推定される。この重合体のイオン交換容量は、1.9meq/gであった。
Figure 2006342242
この重合体をN−メチルピロリドンに溶解し、キャスティング法により膜厚50μmのフィルムを作成した。得られた膜を120℃の熱水に24時間浸漬したところ、膜の形態を維持していた。
実施例5
実施例4において、実施例1で得られた式[1]で表される化合物97.5g(125mmol)を、実施例2で得られた式[2]で表される化合物101.0g(125mmol)に変えたほかは、実施例4と同様に反応を行い、目的のスルホン化ポリマー177gを得た。得られた重合体の重量平均分子量は76,000であった。得られた重合体は式[5]で表されるスルホン化ポリマーであると推定される。この重合体のイオン交換容量は、1.9meq/gであった。
Figure 2006342242
この重合体をN−メチルピロリドンに溶解し、キャスティング法により膜厚50μmのフィルムを作成した。得られた膜を120℃の熱水に24時間浸漬したところ、膜の形態を維持していた。
実施例6
実施例4において、実施例1で得られた式[1]で表される化合物97.5g(125mmol)を、実施例3で得られた式[3]で表される化合物116.5g(125mmol)に変えたほかは、実施例4と同様に反応を行い、目的のスルホン化ポリマー197gを得た。得られた重合体の重量平均分子量は83,000であった。得られた重合体は式[6]で表されるスルホン化ポリマーであると推定される。この重合体のイオン交換容量は、1.8meq/gであった。
Figure 2006342242
この重合体をN−メチルピロリドンに溶解し、キャスティング法により膜厚50μmのフィルムを作成した。得られた膜を120℃の熱水に24時間浸漬したところ、膜の形態を維持していた。
比較例1
実施例1の、9,9−ビスフェノールフルオレン20.0g(57mmol)をビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン11.4g(57mmol)にかえたほかは、同様に反応を行い、目的物32gを得た。得られた化合物は、式[7]で表される化合物であることを確認した。
Figure 2006342242
次に、実施例4の式[1]で表される化合物97.5g(125mmol)のかわりに、上記の式[7]で表される化合物78.7g(125mmol)を用いたほかは、実施例4と同様の反応を行い、スルホン化ポリマー161gを得た。得られた重合体の重量平均分子量は74,000であった。得られた重合体は、式[8]で表されるスルホン化ポリマーであると推定される。この重合体のイオン交換容量は1.9meq/gであった。
Figure 2006342242
この重合体をN−メチルピロリドンに溶解し、キャスティング法により膜厚50μmのフィルムを作成した。得られた膜を120℃の熱水に24時間浸漬したところ、膜は著しく膨潤し、初期の形状を維持できなかった。
以上のことから、フルオレン骨格を有する芳香族ユニットと、スルホン酸基を有しかつフェニレン結合を形成するユニットとを有する、本発明の共重合体は、同等のイオン交換容量であっても熱水に対する耐性が非常に優れていることがわかる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されてなる芳香族化合物。
    Figure 2006342242
    [式中、Aは独立に−CO−または−SO2−を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原
    子を示し、Xはフッ素を除くハロゲン原子、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる基を示し、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なって
    いてもよく、水素原子、アルキル基、フェニル基を示し、aは0または、1から4の整数を示す。]
  2. 上記一般式(1)で表される芳香族化合物が、下記一般式(1a)で表されることを特徴とする請求項1に記載の芳香族化合物。
    Figure 2006342242
    [式中、Xはフッ素を除くハロゲン原子、または−OSO2CH3、−OSO2CF3から選ばれる原子または基を示し、R9、R14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子
    、アルキル基、フェニル基を示す。]
  3. 下記一般式(1’)で表される構造単位を含む重合体。
    Figure 2006342242
    [式中、Aは独立に−CO−または−SO2−のいずれかを示し、Bは独立に酸素原子ま
    たは硫黄原子を示し、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フェニル基、ニトリル基を示し、R9〜R24は互いに同一でも異なっ
    ていてもよく、水素原子、アルキル基、フェニル基を示し、aは0または、1から4の整数を示す。]
  4. 上記一般式(1’)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを
    有するポリアリーレン系重合体。
    Figure 2006342242
    [式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
    −(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基
    を有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。]
  5. 上記一般式(1’)で表される構造単位が、下記一般式(1’a)で表されることを特徴とする請求項3または4に記載の重合体。
    Figure 2006342242
    [式中、R9、R14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アル
    キル基、フェニル基を示す。]
  6. 請求項4または5に記載の重合体からなることを特徴とするプロトン伝導膜。
  7. 上記一般式(1’)で表される構造単位が、上記一般式(1a’)からなることを特徴とする請求項6に記載のプロトン伝導膜
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