JP2006342787A - 内燃機関システムの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アイドリングストップ車、ハイブリッド車など自動始動、自動停止される内燃機関を備えたシステムにおいて、自動始動時の走行性能を考慮して運転を最適に行う。
【解決手段】 少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構48と、所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、自動停止中から自動始動する際の車両への加速要求度を推定する加速要求度推定手段と、推定した加速要求度に応じて吸気弁36の閉じタイミングを制御するバルブタイミング制御手段と、を備える。加速要求度に応じた最適なタイミングで吸気弁を閉じることが可能となるため、自動始動の際に早いエンジン始動が可能となり、また、自動始動の際に騒音又は振動を低減することが可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】 少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構48と、所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、自動停止中から自動始動する際の車両への加速要求度を推定する加速要求度推定手段と、推定した加速要求度に応じて吸気弁36の閉じタイミングを制御するバルブタイミング制御手段と、を備える。加速要求度に応じた最適なタイミングで吸気弁を閉じることが可能となるため、自動始動の際に早いエンジン始動が可能となり、また、自動始動の際に騒音又は振動を低減することが可能となる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、内燃機関システムの制御装置に関し、特にアイドリングストップ車、ハイブリッド車などに搭載されるシステムに適用して好適である。
従来、例えば特開2003−184585号公報には、アイドリングストップ機能を備えた車両での自動始動の際に、内燃機関または車両の状態(停止回数、停止時間、水温、吸気温、油温等)に基づいて、自動始動時の目標バルブ開閉条件を算出して制御する方法が記載されている。
しかしながら、上記従来の技術では、内燃機関または車両の状態のみに基づいてバルブ開閉条件を算出しているため、具体的な運転者の要求が自動始動時に反映されず、自動始動時に所望の走行性能が得られなくなるという問題が生じる。
例えば、制限速度の高い幹線道路などで信号待ちをする場合、発進直後に幹線道路に合流する場合、右折レーンで停止している場合などには、発進時により早くエンジンを始動させて、短時間で加速することが望ましい。しかし、上記従来の技術では、自動始動時にこのような運転者の意向が反映されないため、自動始動時に運転者の要求に応じた最適な運転を行うことは困難である。
また、運転者が早いエンジン始動を望まない場合は、自動始動時の騒音、振動を低減して、ドライバビリティを向上させることが望ましい。しかし、上記従来の技術では、自動始動時の騒音、振動を考慮していないため、自動始動時の騒音、振動が必要以上に大きくなる場合が生じる。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、アイドリングストップ車など自動始動、自動停止される内燃機関を備えたシステムにおいて、自動始動時の走行性能を考慮して運転を最適に行うことを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構と、所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、自動始動する際の早期始動要求度を推定する推定手段と、推定した前記早期始動要求度に応じて前記吸気弁の閉じタイミングを制御するバルブタイミング制御手段と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記推定手段は、車両への加速要求度に基づいて前記早期始動要求度を推定することを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記バルブタイミング制御手段は、前記加速要求度が所定値よりも大きい場合は前記吸気弁の閉じタイミングを進角することを特徴とする。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記推定手段は、運転者の加速意思に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする。
第5の発明は、第2又は第3の発明において、前記推定手段は、車両走行中のアクセル操作情報及び/又は前記内燃機関を自動始動する際のアクセル操作情報の履歴に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする。
第6の発明は、第2又は第3の発明において、前記推定手段は、走りを優先するモードを設定するスイッチ、若しくは前記内燃機関を自動始動する際の振動又は騒音を低減するモードを設定するスイッチの操作状態に応じて前記加速要求度を推定することを特徴とする。
第7の発明は、第2又は第3の発明において、前記推定手段は、道路情報に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする。
第8の発明は、第7の発明において、前記推定手段は、登坂路で前記内燃機関を自動始動する場合は前記加速要求度が通常時よりも大きいと判断することを特徴とする。
第9の発明は、第7又は第8の発明において、前記推定手段は、制限速度が高い道路で前記内燃機関を自動始動する場合は前記加速要求度が通常時よりも大きいと判断することを特徴とする。
第10の発明は、第7〜第9の発明のいずれかにおいて、前記推定手段は、交差点での右折時に前記内燃機関を自動始動する場合は前記加速要求度が通常時よりも大きいと判断することを特徴とする。
第11の発明は、第2又は第3の発明において、前記推定手段は、車重に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする。
第12の発明は、第1〜第11の発明のいずれかにおいて、前記バルブタイミング制御手段は、前記内燃機関の自動停止前に前記吸気弁の閉じタイミングを次の自動始動時における閉じタイミングに制御することを特徴とする。
第13の発明は、第1〜第12の発明のいずれかにおいて、前記内燃機関の駆動力との併用により車両を駆動するモータと、前記内燃機関を自動始動した際に、前記モータの駆動力により制振制御を行う制振制御手段と、を更に備えたことを特徴とする。
第14の発明は、第13の発明において、前記モータに電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリーの充電量を取得する充電量取得手段と、を備え、前記制振制御手段は、前記充電量に基づいて前記制振制御を行うことを特徴とする。
前記バッテリーの充電量を取得する充電量取得手段と、を備え、前記制振制御手段は、前記充電量に基づいて前記制振制御を行うことを特徴とする。
第15の発明は、第14の発明において、前記制振制御手段は、前記充電量のレベルが大きいほど、前記制振制御に用いる前記モータの駆動力を増加することを特徴とする。
第16の発明は、第14の発明において、前記制振制御手段は、前記充電量のレベルが大きいほど、前記制振制御を実施する時間を長くすることを特徴とする。
第17の発明は、第14の発明において、前記制振制御手段は、前記充電量のレベルが所定のしきい値以下の場合は、前記制振制御を行わないことを特徴とする。
第18の発明は、上記の目的を達成するため、少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構と、所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、前記内燃機関を自動始動する際の始動時間が所定値以内となる条件下で、前記吸気弁の閉じタイミングを遅角側へ可変するバルブタイミング制御手段と、前記バルブタイミング遅角手段で設定されたバルブタイミングの値を学習値として記憶する学習値記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
第19の発明は、上記の目的を達成するため、少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構と、所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、前記内燃機関を自動始動する際に発生する振動又は騒音が所定値以内となる条件下で、前記吸気弁の閉じタイミングを進角側へ可変するバルブタイミング制御手段と、前記バルブタイミング進角手段で設定されたバルブタイミングの値を学習値として記憶する学習値記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
第1の発明によれば、自動始動する際の早期始動要求度に応じて吸気弁の閉じタイミングを制御するため、運転者による早期始動の要求度に応じた最適なタイミングで吸気弁を閉じることが可能となる。これにより、自動始動の際に早いエンジン始動が可能となり、また、自動始動の際に騒音又は振動を低減することが可能となる。
第2の発明によれば、車両への加速要求度に基づいて早期始動要求度を推定するため、運転者による早期始動の要求度を確実に推定することが可能となる。
第3の発明によれば、加速要求度が所定値よりも大きい場合は吸気弁の閉じタイミングを進角するため、内燃機関への吸入空気量を増加することができ、自動始動時により早いエンジン始動が可能となる。従って、自動始動の指令が出された後、非常に短時間で車両を発進加速することが可能となる。
第4の発明によれば、運転者の加速意思に基づいて加速要求度を推定することができるため、吸気弁の閉じタイミングを運転者の加速意思に応じた最適なタイミングに設定することができる。
第5の発明によれば、車両運転中のアクセル操作情報及び/又は自動始動時のアクセル操作情報の履歴に基づいて運転者の加速要求度を推定するため、吸気弁の閉じタイミングを運転者のアクセル操作に応じた最適なタイミングに設定することができる。
第6の発明によれば、走りを優先するモードを設定するスイッチ、または自動始動時の振動又は騒音を低減するモードを設定するスイッチの操作状態に応じて加速要求度を推定することで、吸気弁の閉じタイミングをこれらのスイッチの操作状態に応じた最適なタイミングに設定することができる。
第7の発明によれば、道路情報に基づいて加速要求度を推定することで、吸気弁の閉じタイミングを道路情報に応じた最適なタイミングに設定することができる。
第8の発明によれば、登坂路で自動始動する場合は、運転者がブレーキペダルからアクセルペダルへの踏み換えを行う間の車両の後退を最小限に抑える必要があるため、通常時よりも加速要求度が大きいと判断することで、吸気弁の閉じタイミングを登坂路での加速要求度に応じた最適なタイミングに設定することができる。従って、吸気弁の閉じタイミングを加速要求度に応じて進角させることで、登坂路での自動始動の際に早いエンジン始動を行うことが可能となる。
第9の発明によれば、制限速度が高い道路で自動始動する場合は速やかに加速を行う必要があるため、通常時よりも加速要求度が大きいと判断することで、吸気弁の閉じタイミングを制限速度が高い道路での加速要求度に応じた最適なタイミングに設定することができる。これにより、制限速度が高い道路での自動始動の際に早いエンジン始動を行うことが可能となる。
第10の発明によれば、交差点での右折時に自動始動する場合は速やかに加速を行う必要があるため、通常時よりも加速要求度が大きいと判断することで、吸気弁の閉じタイミングを交差点での右折時における加速要求度に応じた最適なタイミングに設定することができる。これにより、交差点での右折時における自動始動の際に早いエンジン始動を行うことが可能となる。
第11の発明によれば、車重が重い場合は大きな加速力が必要となるため、車重に基づいて加速要求度を推定することで、吸気弁の閉じタイミングを車重に応じた最適なタイミングに設定することができる。
第12の発明によれば、自動停止前に吸気弁の閉じタイミングを次の自動始動時における閉じタイミングに制御するため、自動始動時に吸気弁の閉じタイミングを制御する必要がなくなり、自動始動をより短時間で行うことが可能となる。また、自動停止時に吸気弁の閉じタイミングを検出する必要が無いため、自動停止時に吸気弁の閉じタイミングを検出するためのセンサが不要となり、装置構成をより簡素にすることが可能となる。
第13の発明によれば、内燃機関の駆動力とモータの駆動力を併用して車両を駆動するシステムにおいて、内燃機関を自動始動した際にモータの駆動力により制振制御を行うため、機関始動時の振動を低減することができ、ドライバビリティを向上することが可能となる。また、制振制御により機関始動時の振動を低減するため、より早いエンジン始動が可能となり、エンジン出力の立ち上がりを早く行うことが可能となる。
第14の発明によれば、バッテリーの充電量に基づいて制振制御を行うため、充電量に基づいて制振制御を最適な状態で行うことが可能となる。
第15の発明によれば、バッテリーの充電量のレベルが大きいほど制振制御に用いるモータの駆動力を増加するため、ドライバビリティを向上するとともに、早いエンジン始動、早いエンジン出力の立ち上げが可能となる。また、充電量のレベルが小さい場合ほど制振制御に用いるモータ駆動力を低下させることで、充電量の低下を最小限に抑えることができる。
第16の発明によれば、バッテリーの充電量のレベルが大きいほど制振制御を実施する時間を長くするため、機関始動時の振動の発生を確実に抑えることができ、早いエンジン始動、早いエンジン出力の立ち上げが可能となる。
第17の発明によれば、バッテリーの充電量のレベルが所定のしきい値以下の場合は、制振制御を行わないため、充電量の低下を確実に抑止することができる。
第18の発明によれば、吸気弁の閉じタイミングを遅角側に可変することで、自動始動時に振動又は騒音が低減する方向に吸気弁の閉じタイミングを可変することが可能となる。また、自動始動する際の始動時間が所定値以内となる条件下で吸気弁の閉じタイミングを遅角するため、振動又は騒音を低減するとともに、早いエンジン始動を行うことが可能となる。
第19の発明によれば、吸気弁の閉じタイミングを進角側に可変することで、自動始動時にエンジン始動がより早くなる方向に吸気弁の閉じタイミングを可変することが可能となる。また、自動始動する際の振動又は騒音が所定値以内となる条件下で吸気弁の閉じタイミングを進角するため、早いエンジン始動を行うとともに、振動又は騒音を低減することが可能となる。
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る内燃機関システムの制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。なお、図1に示す構成は、実施の形態2〜4においても同様である。内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組みつけられている。また、排気通路14には排気浄化触媒31が配置されている。
図1は、本発明の実施の形態1に係る内燃機関システムの制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。なお、図1に示す構成は、実施の形態2〜4においても同様である。内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組みつけられている。また、排気通路14には排気浄化触媒31が配置されている。
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24と、スロットルバルブ22が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ26とが配置されている。スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。
内燃機関10には、燃焼室内(筒内)に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁30が設けられている。なお、燃料噴射弁30は吸気ポートに燃料を噴射するものであっても良い。また、内燃機関10は、吸気バルブ36および排気バルブ38を備えている。吸気バルブ36には、吸気バルブ36のリフト量、及び/又は作用角を可変するための可変動弁機構(VVT; Variable Valve Timing)48が接続されている。また、燃焼室内に噴霧された燃料に点火するため、内燃機関10の筒内には点火プラグが設けられている。更に、筒内には、その内部を往復運動するピストン44が設けられている。
図1に示すように、本実施形態の制御装置はECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した各種センサに加え、走り優先スイッチ50、NV優先スイッチ52、地図情報取得手段54が接続されている。更に、ECU40には、内燃機関10の運転状態を把握すべく、ノッキングの発生を検知するKCSセンサや、スロットル開度、機関回転数、排気温度、冷却水温度、潤滑油温度、触媒床温度などを検出するための各種センサ(不図示)が接続されている。また、ECU40には、上述した燃料噴射弁30、可変動弁機構48などの各アクチュエータが接続されている。
このように構成された本実施形態のシステムは、アイドリングストップ車、ハイブリッド車など所定の場合に内燃機関10の運転を間欠的に自動停止する車両に搭載されている。アイドリングストップ車は、例えば信号待ちなどの車両停止時に内燃機関10の運転を自動停止し、運転者が車両を発進させるためにアクセルを踏むと、クランキングが行われて内燃機関10を自動始動するものである。また、ハイブリッド車は、内燃機関10の動力とモータの動力とを併用して駆動されるものである。ハイブリッド車においても、車両停止時には基本的に内燃機関10の運転が自動停止され、運転者が車両を発進させるためにアクセルを踏むと、要求負荷に応じて内燃機関10が自動始動される。
そして、本実施形態のシステムでは、車両停止時などに内燃機関10の運転が停止した後、内燃機関10を自動始動させる際に、運転者の走行要求に応じて自動始動時の吸気バルブ36の駆動条件を変更する。例えば、自動始動時の運転者の加速要求度が高く、運転者が早いエンジン始動を要求している場合は、内燃機関10への吸入空気量を通常よりも増加させるように制御が行われる。なお、エンジン始動の早さはエンジン始動開始から所定のエンジン回転数に到達するまでの到達時間で表され、エンジン始動が早い場合ほど、エンジン始動開始から所定のエンジン回転数に到達するまでの到達時間が短くなる。通常、運転者の加速要求度が高い場合は、運転者により早いエンジン始動が要求されていると考えることができる。
運転者の走行要求の判定は、自動始動時のアクセル開度速度、アクセル開度、などのパラメータに基づいて行う。具体的には、過去一定時間(例えば10分)において、アクセル開度速度が所定のしきい値を超えた回数がある判定値を超えている場合、運転者の加速要求度が高く、運転者が走り優先の運転を望んでいると考えられるため、自動始動時に早いエンジン始動が要求されていると判断することができる。また、過去一定回数の自動始動時において、アクセル開度が所定のしきい値を超えた回数がある判定値を超えている場合も、運転者の加速要求度が高く、運転者が走り優先の運転を望んでいると考えられるため、早いエンジン始動が要求されていると判断することができる。
また、本実施形態のように走り優先スイッチ50、NV優先スイッチ52を備えている場合は、これらのスイッチのオン/オフ状態に基づいて運転者の走行要求を判定することができる。ここで、走り優先スイッチ50は、自動始動時に発進加速性能を優先して運転が行われるように運転条件を設定するスイッチである。また、NV優先スイッチ52は、自動始動時にNV(騒音(noise)、振動(vibration))の低減を優先して運転が行われるように運転条件を設定するスイッチである。走り優先スイッチ50がオンの場合は、運転者が走り優先の運転を望んでいるため、運転者の加速要求度が高く、早いエンジン始動が要求されているものと判断される。また、NV優先スイッチ52がオフの場合は、運転者がNVの低減を要求していないため、やはり運転者の加速要求度が高く、運転者により早いエンジン始動が要求されているものと判断できる。
また、運転者の走行要求の判定は、地図情報取得手段54で得られた道路情報に基づいて行っても良い。ここで、地図情報取得手段54はカーナビゲーションなどから構成され、走行地点付近の地図情報を取得することができる。例えば、登り坂で停止している状態でエンジンを自動始動する場合は、平坦路よりも加速要求度が高くなり、運転者がブレーキペダルからアクセルペダルへの踏み換えを行う間の車両の後退を最小限に抑えるため、早いエンジン始動を行う必要がある。また、制限速度が高い道路での停止時には、発進時に大きな加速力が必要となるため、運転者の加速要求度が高く、早いエンジン始動を行う必要がある。更に、右折レーンでの停止時、もしくは発進時に交通の流れの多い道路に合流する場合など右ウインカーがオンとなる場合には、発進時に大きな加速力が必要となるため、運転者の加速要求度が高く、早いエンジン始動が必要となる。
更に、運転者の走行要求の判定は、車両状態に基づいて行っても良い。例えば、車両への乗車人数が一定人数以上である場合など車重が一定値以上の場合は、通常時よりも加速要求度が高くなり、発進時に速やかに加速を行うために自動始動時のエンジン始動を早くする必要がある。車重が一定値以上であるか否かは、停止時のサスペンションの縮み量、または走行時の内燃機関10による駆動力を加速度で除算する演算などにより求めることができる。
自動始動時の吸気バルブ36の駆動条件の変更は、可変動弁機構48により吸気バルブ36のバルブタイミングを可変することで行う。自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングはNVを低減するため通常は遅角側に設定されており、早いエンジン始動を行う場合は、吸気バルブ36の閉じタイミングを進角側へ制御する。吸気バルブ36の閉じタイミングを進角側へ可変することで、吸気圧縮比が高くなり、筒内への吸入空気量が増大するため、早いエンジン始動を行うことが可能となる。
また、早いエンジン始動を行うためには、吸気バルブ36のバルブリフト量を増加する制御、または運転者のアクセル踏み込み量に対して通常よりもスロットル開度を増加する制御等により筒内への吸入空気量を増加しても良い。
次に、図2のフローチャートに基づいて、実施の形態1の装置における処理の手順について説明する。先ず、ステップS1では、各種データの読み込みを行う。ここで読み込まれるデータは、早いエンジン始動、速やかな加速が要求されているか否かを判定するためのデータであり、例えば上述したようなアクセル開度に関係した情報、走り優先スイッチ50またはNV優先スイッチ52の情報、地図情報、車重の情報などの各種情報が含まれる。
次のステップS2では、ステップS1で取得したデータに基づいて、早いエンジン始動が要求されているか否かを判定する。具体的には、ステップS1で取得したデータに基づいて得られる運転者の加速要求度が所定値を超えている場合は、早いエンジン始動が要求されているものと判断する。早いエンジン始動が要求されている場合は、ステップS3へ進む。一方、早いエンジン始動が要求されていない場合は、ステップS4へ進む。
ステップS3では、吸気バルブ36の閉じタイミングを通常よりも進角側に可変する。これにより、自動始動時の筒内への吸入空気量が通常時よりも多くなり、より早いエンジン始動が可能となる。
一方、ステップS4へ進んだ場合は、吸気バルブ36の閉じタイミングを通常の遅角側に設定する。これにより、通常の早さでエンジン始動が行われる。この場合、吸気バルブ36の閉じタイミングが遅角側に設定されているため、自動始動時のNVを低減することが可能である。
ステップS3,S4の後はステップS5へ進む。ステップS5では、ステップS3又はステップS4で設定した吸気バルブ36の閉じタイミングでエンジンの自動始動を行う。
以上説明したように実施の形態1によれば、アイドリングストップ車、ハイブリッド車など内燃機関10を間欠的に運転する車両において、内燃機関10の自動始動時に早いエンジン始動が要求されている場合は、吸気バルブ36のバルブタイミングを進角するようにしたため、自動始動の要求が出されてから短時間で機関を始動することが可能となる。従って、自動始動時の発進加速性能を向上することが可能となる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について説明する。内燃機関10を自動始動する際に、早いエンジン始動をする必要がない場合は、運転者に違和感を与えないように、できるだけ自動始動時の騒音、振動(NV)を低減することが望ましい。
次に、この発明の実施の形態2について説明する。内燃機関10を自動始動する際に、早いエンジン始動をする必要がない場合は、運転者に違和感を与えないように、できるだけ自動始動時の騒音、振動(NV)を低減することが望ましい。
自動始動時にNVを低減するためには、吸気行程終了時にピストン44が上死点(TDC)を乗り越える際のトルクを抑えるため、吸気圧縮比を低くすることが好適である。すなわち、NVを低減するためには、自動始動時に吸入空気量を少なくすることが望ましい。一方、自動始動時の吸入空気量を少なくするとエンジンの始動が遅くなるため、NVの低減と始動の早さとは相反する関係にある。従って、NVの低減を優先して自動始動を行う場合は、エンジンの始動の早さが過度に遅くならないようにして、NVを低減することが好適である。なお、NVの大小は、エンジンマウント振動、車内音、フロア振動などにより計測することができる。
実施の形態2は、NVの低減を優先するため、自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングをNVが低減する方向に遅角させるとともに、エンジンの始動の早さが所定値よりも遅くならないように、閉じタイミングの学習値を更新するものである。これにより、NVの低減と早いエンジン始動の双方を同時に達成することが可能となる。
以下、図3のフローチャートに基づいて、実施の形態2における処理の手順を説明する。先ず、ステップS11では、吸気バルブ36の閉じタイミングの学習値Xを読み込む。この学習値は、前回の図3の処理で求められて、ECU40に記憶されている。
次のステップS12では、前回の学習値XよりもNVを低減するため、吸気バルブ36の閉じタイミングの学習値XをΔA(例えば2deg)だけ遅角側に設定して、閉じタイミングをX−ΔAとする。次のステップS13では、吸気バルブ36の閉じタイミングをX−ΔAとした状態で内燃機関10を自動始動する。なお、以下の説明において、符号+は吸気バルブ36の閉じタイミングを進角させることを表し、符号−は吸気バルブ36の閉じタイミングを遅角させることを表すものとする。
次のステップS14では、ステップS13で自動始動した際の内燃機関10の始動の早さが所定値以下であるか否か、すなわち、始動の時間が所定値よりも短いか否かを判定する。
ステップS14で内燃機関10の始動の時間が所定値以下である場合は、ステップS15へ進む。この場合、閉じタイミングをX−ΔAとしてNVを前回の処理よりも低減した場合であってもエンジン始動を所定値以下の早い時間で行うことができる。従って、ステップS15では、X−ΔAを新たな学習値として更新する。
一方、ステップS14で内燃機関10の始動の早さが所定値を超えている場合は、ステップS16へ進む。この場合、閉じタイミングをX−ΔAとするとエンジン始動が適正範囲を超えて遅くなるため、ステップS16以降の処理では、基本的には学習値Xの値をそのまま維持する処理を行う。
すなわち、ステップS16では、ステップS13で自動始動した際の始動の時間が上限値以上であるか否かを判定し、始動の時間が上限値未満と判定された場合は、ステップS18で学習値Xを更新することなく、再度記憶する。
一方、ステップS16で始動の時間が上限値以上であると判定された場合は、ステップS17へ進む。この場合、吸気バルブ36の閉じタイミングをX−ΔAとするとエンジン始動の早さが過度に遅くなると判断できる。従って、ステップS17では、学習値XをΔB(例えば5deg)だけ進角し、X+ΔBを吸気バルブ36の閉じタイミングの新学習値として更新する。ステップS15,S17,S18の後は処理を終了する(RETURN)。
図3の処理によれば、NVがより低減する方向に学習値を遅角させることができる。そして、エンジンの始動が過度に遅くなる場合は、学習値を変更することなく維持し、または学習値を進角させるため、エンジンの始動が適正範囲を超えて遅くなることを確実に回避できる。
以上説明したように実施の形態2によれば、エンジンの始動の早さを考慮しながら、NVがより低減する方向に吸気バルブ36の閉じタイミングの学習値を遅角させるため、エンジン始動が過度に遅くなることを回避しながらNVを優先的に低減することが可能となる。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、早いエンジン始動を優先して制御を行うため、自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングをエンジン始動が早くなる方向に進角させるとともに、自動始動時のNVが所定値よりも大きくならないように、閉じタイミングの学習値を更新するものである。
次に、この発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、早いエンジン始動を優先して制御を行うため、自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングをエンジン始動が早くなる方向に進角させるとともに、自動始動時のNVが所定値よりも大きくならないように、閉じタイミングの学習値を更新するものである。
以下、図4のフローチャートに基づいて、実施の形態3における処理の手順を説明する。先ず、ステップS21では、吸気バルブ36の閉じタイミングの学習値Yを読み込む。この学習値Yは、前回の図4の処理で求められて、ECU40に記憶されている。
次のステップS22では、始動時のNVの所定値を決定する。この所定値は、始動時に発生するNVの許容レベルを規定したものである。次のステップS23では、前回の学習値Yよりもエンジン始動を早くするため、吸気バルブ36の閉じタイミングの学習値YをΔC(例えば2deg)だけ進角側に設定して、閉じタイミングをY+ΔCとする。次のステップS24では、吸気バルブ36の閉じタイミングをY+ΔCとした状態で内燃機関10を自動始動する。
次のステップS25では、ステップS24で自動始動した際のNVがステップS22で決定した所定値以下であるか否かを判定する。
ステップS25でNVが所定値以下である場合は、ステップS26へ進む。この場合、閉じタイミングをY+ΔCとしてエンジン始動を前回の処理よりも早くした場合であっても、NVは所定値以下に低減されている。従って、ステップS26では、Y+ΔCを新たな学習値として更新する。
一方、ステップS25でNVが所定値を超えている場合は、ステップS27へ進む。この場合、閉じタイミングをY+ΔCとするとNVが所定値を越えてしまい、ドライバビリティが悪化するため、ステップS27以降の処理では、基本的に学習値Yの値をそのまま維持する処理を行う。
すなわち、ステップS27では、ステップS24で自動始動した際のNVが上限値以上であるか否かを判定し、NVが上限値未満と判定された場合は、ステップS29で学習値Yを更新することなく、再度記憶する。
一方、ステップS27でNVが上限値以上であると判定された場合は、ステップS28へ進む。この場合、吸気バルブ36の閉じタイミングをY+ΔCとするとNVが過度に悪化してしまうと判断できる。従って、ステップS28では、学習値YをΔD(例えば5deg)だけ遅角し、Y−ΔDを吸気バルブ36の閉じタイミングの新学習値として更新する。ステップS26,S28,S29の後は処理を終了する(RETURN)。
図4の処理によれば、エンジン始動がより早くなる方向に学習値を進角させることができる。この際、NVが悪化してしまう場合は、学習値を変更することなく維持し、または学習値を遅角させるため、NVが適正範囲を超えて悪化してしまうことを確実に回避できる。
以上説明したように実施の形態3によれば、NVを考慮しながら、エンジン始動の早さがより早くなる方向に吸気バルブ36の閉じタイミングの学習値を進角させるため、NVを悪化させることなくエンジン始動を早くすることが可能となる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。例えば実施の形態1で説明した方法で自動始動時に吸気バルブ36の閉じタイミングを進角する場合、自動始動の直前(自動停止期間中)に可変動弁機構48により吸気バルブ36の閉じタイミングを進角した後、クランキングを行う。このとき、エンジン運転中はカム角センサによりVVTの進角量は計測可能であるが、自動停止期間中はカム角センサによるVVTの計測ができない場合がある。この場合、エンジン停止中の可変動弁機構48の進角量を何らかのセンサにより計測する必要が生じる。
次に、本発明の実施の形態4について説明する。例えば実施の形態1で説明した方法で自動始動時に吸気バルブ36の閉じタイミングを進角する場合、自動始動の直前(自動停止期間中)に可変動弁機構48により吸気バルブ36の閉じタイミングを進角した後、クランキングを行う。このとき、エンジン運転中はカム角センサによりVVTの進角量は計測可能であるが、自動停止期間中はカム角センサによるVVTの計測ができない場合がある。この場合、エンジン停止中の可変動弁機構48の進角量を何らかのセンサにより計測する必要が生じる。
このため、実施の形態4では、次の自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングを自動停止前に予め設定しておき、閉じタイミングを設定した値にロックした状態でエンジンを自動停止する。これにより、自動始動の直前に吸気バルブ36の閉じタイミングを設定する制御が不要となるため、エンジン始動をより早くすることができ、始動性を向上することが可能となる。また、自動停止期間中に進角量を計測するセンサが不要となり、システム構成を簡素にすることができる。
以下、図5のフローチャートに基づいて、実施の形態4における処理の手順を説明する。先ず、ステップS31では、内燃機関10の運転中にエンジンの自動停止要求が出されたか否かを判定する。自動停止要求が出された場合はステップS32へ進み、自動停止要求が出されていない場合はステップS31で待機する。
ステップS32では、次の自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングを決定する。ここでは、実施の形態1と同様の方法で、アクセル開度情報、走り優先スイッチ50などのスイッチの情報、地図情報、車重の情報などに基づいて吸気バルブ36の閉じタイミングを決定する。また、実施の形態2,3の方法で取得した学習値に基づいて、次の自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングを決定しても良い。
次のステップS33では、内燃機関10を運転している状態で可変動弁機構48を動作して、吸気バルブ36の閉じタイミングをステップS32で決定したタイミングに設定し、可変動弁機構48の動作をロックする。
次のステップS34では、可変動弁機構48の動作をロックした状態でエンジンを自動停止する。ステップS34の後は処理を終了する(RETURN)。
図5の処理によれば、次の自動始動時の吸気バルブ36の閉じタイミングを自動停止前に設定して可変動弁機構48をロックするため、自動停止後、次に自動始動が行われるまでの自動停止期間中の間、吸気バルブ36の閉じタイミングが維持される。従って、次に自動始動する際に、吸気バルブ36の閉じタイミングを設定する処理が不要となる。これにより、自動始動時のエンジン始動をより早くすることが可能となる。
以上説明したように実施の形態4によれば、エンジンの自動停止前に次の自動始動時の吸気バルブ36のバルブタイミングを設定するようにしたため、エンジンを停止した後、次の自動始動前にバルブタイミングを設定する動作が不要となる。従って、自動始動前のバルブタイミング可変動作が不要となり、始動の早期化、始動性の向上を達成することができる。
なお、上述した各実施形態のシステムは、ハイブリッド車において、モータ駆動による走行中に内燃機関10を始動する場合に適用することができる。この場合、上述した各実施形態と同様に、吸気バルブのバルブタイミングを始動時の要求に応じた最適なタイミングに設定することで、早いエンジン始動、速やかな加速が可能となり、また始動時の騒音、振動を低減することができる。この場合において、内燃機関10の始動時の加速要求が大きい場合は、モータ駆動による制振制御を行い、振動を抑制することが好適である。具体的には、内燃機関10の始動時のトルク変動をトルクセンサ等により測定し、測定したトルク変動を基に、車両の振動を相殺するトルクをモータに発生させるようにする。これにより、内燃機関10の早期始動及び速やかな加速が可能となるとともに、振動抑制によりドライバビリティを向上することが可能となる。また、モータ走行時の加速要求が大きくない場合は、デコンプ状態で内燃機関10を始動させ、制振制御なしで加速させることが好適である。制振制御はモータの駆動による電力を消費するため、加速要求が大きい場合に限定して制振制御を行うことで、燃費、効率の向上と振動抑制による商品性の向上をともに実現することができる。なお、ハイブリッド車における制振制御については、以下の実施の形態5,6で更に詳細に説明する。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5は内燃機関とモータから構成される動力出力装置60を備えたハイブリッド車の制御に関するものである。
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5は内燃機関とモータから構成される動力出力装置60を備えたハイブリッド車の制御に関するものである。
最初に、図6に基づいて、動力出力装置60を組み込んだハイブリッド車の概略構成を説明する。図6に示すように、この車両は、ガソリンを燃料として動力を出力する内燃機関100を備える。この内燃機関100は、吸気系からスロットルバルブ116を介して吸入した空気と燃料噴射弁101から噴射されたガソリンとの混合気を吸気バルブ102を介して燃焼室104へ吸入し、この混合気の爆発により押し下げられるピストン105の運動をクランクシャフト106の回転運動に変換する。
ここで、スロットルバルブ116はアクチュエータ118により開閉駆動される。点火プラグ112は、イグナイタ108からディストリビュータ110を介して導かれた高電圧によって電気火花を形成し、混合気はその電気火花によって点火されて爆発燃焼する。
この内燃機関100は、吸気バルブ102の開閉タイミングVTを変更する可変動弁機構(VVT)103を備える。このVVT103は、吸気バルブ102を開閉駆動する吸気カムシャフト(不図示)のクランク角に対する位相を進角または遅角することにより吸気バルブ102の開閉タイミングを調整する。なお、吸気カムシャフトの位相の進角および遅角は、吸気カムシャフトのポジションを検出するカムシャフトポジションセンサ123により検出される信号に基づいて、後述するECU90により目標の位相となるようにフィードバック制御がなされる。
この内燃機関100の運転は、ECU90により制御されている。ECU90には、内燃機関100の運転状態を示す各センサが接続されている。例えば、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ117、内燃機関100の負荷を検出する吸気管負圧センサ122、吸気カムシャフトのポジションを検出するカムシャフトポジションセンサ123、内燃機関100の水温を検出する水温センサ124、ディストリビュータ110に設けられクランクシャフト106の回転数と回転角度を検出する回転数センサ及び回転角度センサなどである。なお、ECU90には、この他、例えばイグニッションキーの状態STを検出するスタータスイッチなども接続されているが、これらのスイッチ、他のセンサなどの図示は省略した。
内燃機関100のクランクシャフト106は、後述するプラネタリギヤ70やモータMG1、モータMG2を介して駆動軸62を回転軸とする動力伝達ギヤ61に機械的に結合されており、この動力伝達ギヤ61はディファレンシャルギヤ64にギヤ結合されている。従って、動力出力装置60から出力された動力は、最終的に左右の駆動輪66,68に伝達される。
モータMG1およびMG2は、制御装置130に電気的に接続されており、この制御装置130によって駆動制御される。制御装置130の内部には制御CPUが備えられており、制御装置130には、アクセルペダル114に設けられたアクセルペダルポジションセンサ114aなどが接続されている。また、制御装置130は、上述したECU90との通信により、種々の情報をやり取りしている。
図7は、本実施形態にかかる動力出力装置60の概略構成を示す模式図である。図7に示すように、本実施形態の動力出力装置60は、大きくは、内燃機関100、内燃機関100のクランクシャフト106にプラネタリキャリア74が機械的に結合されたプラネタリギヤ70、プラネタリギヤ70のサンギヤ71に結合されたモータMG1、プラネタリギヤ70のリングギヤ72に結合されたモータMG2およびモータMG1、MG2を駆動制御する制御装置130(図7において不図示)から構成されている。
プラネタリギヤ70およびモータMG1,MG2の構成について、図7により説明する。プラネタリギヤ70は、クランクシャフト106に軸中心に貫通された中空のサンギヤ軸25に結合されたサンギヤ71と、クランクシャフト106と同軸のリングギヤ軸76に結合されたリングギヤ72と、サンギヤ71とリングギヤ72との間に配置されサンギヤ71の外周を自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ73と、クランクシャフト106の端部に結合され各プラネタリピニオンギヤ73の回転軸を軸支するプラネタリキャリア74とから構成されている。このプラネタリギヤ70では、サンギヤ71、リングギヤ72およびプラネタリキャリア74にそれぞれ結合されたサンギヤ軸75、リングギヤ軸76およびクランクシャフト106の3軸が動力の入出力軸とされ、3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残りの1軸に入出力される動力は決定された2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。
リングギヤ72には、動力の取り出し用の動力取出ギヤ78が結合されている。この動力取出ギヤ78は、チェーンベルト79により動力伝達ギヤ61に接続されており、動力取出ギヤ78と動力伝達ギヤ61との間で動力の伝達がなされる。リングギヤ軸76に出力される動力と駆動輪66,68に伝達される動力とにはリニアな関係が成立するため、駆動輪66,68に伝達される動力は、リングギヤ軸76に出力される動力を制御することにより制御することができる。
モータMG1は、同期電動発電機として構成され、その回転軸はプラネタリギヤ70のサンギヤ71に結合されたサンギヤ軸75に結合されている。モータMG1は、サンギヤ軸75を回転駆動する電動機として動作するとともに、サンギヤ軸75の回転により起電力を生じさせる発電機として動作する。
モータMG2も、モータMG1と同様に同期電動発電機として構成され、その回転軸はプラネタリギヤ70のリングギヤ72に結合されたリングギヤ軸76に結合されている。このモータMG2もモータMG1と同様に、電動機あるいは発電機として動作する。
内燃機関100には、トルクセンサ107が設けられている。トルクセンサ107は、クランクシャフト106に生じるトルク変動を検出するものであって、例えば、フライホイールに設けられた円盤状の磁性体プレートに生じる磁歪量の変化を検出することによりトルク変動を検出するものである。
以上のように構成された本実施形態にかかる動力出力装置60において、内燃機関100及びモータMG1,MG2を制御する方法を以下に説明する。先ず、制御装置130において、アクセルペダルポジションセンサ114aによって検出されるアクセルペダルポジションAPを取得する。アクセルペダル114は、運転者において出力トルクが足りないと感じたときに踏み込まれるものであるから、アクセルペダルポジションAPは運転者の欲している要求トルク、すなわち、駆動輪66,68に出力すべきトルクに対応するものとなる。
アクセルペダルポジションAPを読み込むと、読み込んだアクセルペダルポジションAPに基づいてリングギヤ軸76に出力すべきトルクの目標値Trを算出する処理を行う。
リングギヤ軸76に出力すべきトルクの目標値Trが求まると、目標値Trを用いて内燃機関100の目標トルクTe目標値、モータMG1の目標トルクTm1目標値及びモータMG2の目標トルクTm2目標値がそれぞれ設定され、Te目標値,Tm1目標値,Tm2目標値に基づいて内燃機関100、モータMG1、モータMG2の制御が行われる。
なお、内燃機関100またはモータMG2によってリングギヤ軸76が駆動されると、モータMG1の回転軸と結合されたサンギヤ軸75が回転する。モータMG1は、主として、サンギヤ軸75の回転により起電力を生じさせる発電機として機能する。
定速運転時など動力出力装置60に要求される出力が比較的小さい場合は、主としてモータMG2の出力によりリングギヤ軸76が駆動され、動力取出ギヤ78、動力伝達ギヤ61を介して最終的に駆動輪66,68が駆動される。
一方、発進加速時、登坂時、定速運転時に更なる加速をする場合など、動力出力装置60に要求される出力が大きい場合は、モータMG2の出力のみでは駆動力が不足するため、内燃機関100による出力を併用してリングギヤ軸76を駆動する。モータMG2の出力のみでリングギヤ軸76を駆動している場合は、内燃機関100が停止しているため、内燃機関100による出力と併用するためには、先ず内燃機関100を始動させる必要がある。
内燃機関100の始動は、MG1の駆動力によって行われる。内燃機関100が停止した状態(キャリア回転数0)で、車両が前進走行しリングギヤ72が正回転している場合、サンギヤ71は負方向に回転している。ここで、サンギヤ71に結合されたMG1から、MG1を正方向に回転させるように正のクランキングトルクを出力すると、プラネタリキャリア74の回転数が正方向に上昇し、プラネタリキャリア74に接続されているクランクシャフト106がクランキングされる。そして、エンジン回転数が燃焼可能回転域に達すると、燃焼噴射及び点火が行われ、内燃機関100が始動する。
内燃機関100の始動操作時及び停止操作時には、内燃機関100のシリンダ内に吸引された気体の圧縮、膨張によりクランクシャフト106にトルク脈動が発生する。これにより、プラネタリキャリア74に回転数の変化が生じる。そして、この回転数の変化に応じて内燃機関100のトルク脈動が伝達され、その結果、リングギヤ72に回転数変動が生じる。そして、リングギヤ72に生じた回転数変動が駆動軸62に伝達されると、乗り心地(ドライバビリティ)が悪化する場合がある。
このため、本実施形態では、エンジン始動操作時および停止操作時に発生するエンジントルク脈動を抑えるため、必要に応じて制振制御を行うこととしている。すなわち、エンジン始動操作時および停止操作時に発生するエンジントルク脈動と同相の振動抑制トルク(以下、制振トルクという)をMG1から出力して、MG1を内燃機関100と同期させて振動させることにより、ドライブシャフト側(リングギヤ72)へのトルク脈動の影響を抑えるようにしている。換言すれば、制振制御は、内燃機関100のトルク脈動の影響を、内燃機関100、プラネタリキャリア74、サンギヤ71、MG1からなる系に閉じ込めることで、駆動軸62につながるリングギヤ22に対して内燃機関100のトルク脈動の影響が生じることを抑えるものである。制振制御を行う際において、内燃機関100のトルク脈動はトルクセンサ107によって検出する。
以上のように、ハイブリッド車において、内燃機関100の始動は、MG1の駆動力によって行われる。また、制振制御を行う場合もMG1の駆動力が用いられる。このため、内燃機関100の始動時に制振制御を行う場合は、エンジン始動と制振制御の双方にMG1の駆動力が用いられるため、モータ(MG1)のエネルギーをエンジン始動制御と制振制御の双方に的確に分配することが好適である。
このため実施の形態5では、バッテリーの充電量(SOC; State of Charge 以下、SOCという)に応じて、モータ駆動力のエネルギーをエンジン始動制御と制振制御へ的確に分配するようにしている。
例えば、SOCのレベルが大きい場合は、より多くのモータ駆動エネルギーを制振制御に費やすことができるため、制振制御に用いるモータ駆動力のエネルギーを増加する制御を行う。これにより、エンジン始動時の振動を確実に低下させることができ、ドライバビリティを向上することができる。
一方、SOCのレベルが小さい場合は、制振制御に用いるモータ駆動力を低下させた状態で制振制御を行う。これにより、エンジン始動時における電力消費を抑えることができ、SOCの低下を抑えることができる。特に、SOCが所定のしきい値未満の場合は、エンジン始動時の制振制御を行わないようにして、SOCの低下を最小限に抑えることが好適である。
なお、制振制御に用いるモータ駆動力を低下させた場合、または制振制御を停止した場合は、実施の形態2と同様に、NVの低減を優先してエンジン始動を行うことが好適である。これにより、制振制御を行わない場合においても、ドライバビリティを良好にすることができる。
図8は、モータMG1,MG2の出力及びエンジン出力と時間との関係を示す特性図であって、車両の発進時、加速時の特性を示している。ここで、図8(A)は、SOCのレベルが比較的大きい場合に行われる制御を示している。また、図8(B)はSOCのレベルが所定のしきい値未満の場合に行われる制御を示している。図8(A),(B)に示すモータ出力は、MG1とMG2の合計の出力である。
図8(A)及び図8(B)に示すように、時刻t0の時点で加速要求(車両発進要求)が出されると、先ずモータの出力が立ち上がり、モータ駆動力により車両の駆動が行われる。また、モータの駆動力により内燃機関100の起動が行われる。これにより内燃機関100が始動し、時刻t1からエンジン出力が立ち上がる。内燃機関100の始動が完了すると、モータおよび内燃機関100の出力が車両の駆動に用いられる。
図8(A)に示すように、SOCが大きい場合は、加速要求が出された後、モータ出力の増加割合が高くなるように制御が行われる。これにより、より多くのモータ出力を制振制御に費やすことが可能となる。図8(A)の例では、内燃機関100の出力が立ち上がった時刻t1から制振制御を開始し、時刻t2まで制振制御を継続して行う。従って、内燃機関100の出力が立ち上がる過程において、振動の発生を確実に抑えることができる。
また、SOCが大きい場合は、制振制御に対してより多くのモータ駆動力のエネルギーを振り分けることができるため、内燃機関100への吸入空気量を増加してエンジン出力の立ち上がりを早くした場合であっても、制振制御により始動時の振動を確実に抑えることができる。従って、より早いエンジン始動、およびエンジン出力の立ち上げが可能となり、加速要求に応じた速やかな加速が可能となる。これにより、ドライバビリティを向上することが可能となる。また、この場合は実施の形態1の制御を併用することが望ましい。すなわち、早いエンジン始動が要求されている場合は、吸気バルブ102のバルブタイミングを進角することで、より短時間で機関を始動することが可能となる。
一方、図8(B)に示すように、SOCのレベルが所定のしきい値未満の場合は、加速要求が出された後、モータ出力の増加割合が図8(B)の場合よりも小さくなるように制御が行われる。そして、図8(B)の場合は、制振制御を行うことなく内燃機関100の始動を行う。これにより、モータ出力の消費を抑えることができ、エンジン始動時におけるSOCの低下を最小限に抑えることが可能となる。この場合、実施の形態2と同様の方法で内燃機関100への吸入空気量を低減し、NVの低減を優先した制御を行うことが好適である。但し、加速要求が高い場合は、出力を優先してエンジン制御を行っても良い。
次に、図9のフローチャートに基づいて、実施の形態5における処理の手順を説明する。先ず、ステップS41では、加速要求が出されているか否かを判定する。ここでは、スロットル開度、車速などの情報に基づいて加速要求が出されているか否かを判定する。加速要求が出されている場合はステップS42へ進む。
ステップS42では、SOCのレベルを取得する。次のステップS43では、目標エンジン出力を決定する。目標エンジン出力は始動後のエンジン出力の目標値であって、加速要求が大きい場合ほど目標エンジン出力は大きな値に設定される。
次のステップS44では、ステップS42で取得したSOCが所定のしきい値以上であるか否かを判定する。SOCが所定のしきい値以上の場合はステップS45へ進む。ステップS45では、内燃機関100の出力がステップS43で決定した目標エンジン出力となるようにエンジン制御を実施する。また、モータの駆動力により制振制御を実施する。これにより、エンジン始動時の振動発生を抑えるとともに、より早いエンジン始動が可能となるため、加速要求に応じた速やかな加速を行うことが可能となる。ステップS45の後は処理を終了する(RETURN)。
一方、ステップS44において、SOCが所定のしきい値未満の場合はステップS46へ進む。ステップS46では、内燃機関100の出力がステップS43で決定した目標エンジン出力となるようにエンジン制御を実施するとともに、制振制御を行わないように処理を行う。これにより、エンジン始動時のSOCの低下を最小限に抑えることができる。ステップS46の後は処理を終了する(RETURN)。
また、ステップS41で加速要求が出されていない場合は、ステップS47へ進む。ステップS47では、デコンプ状態で内燃機関100を始動する。すなわち、この場合は、吸気バルブ1026の閉じタイミングを遅角して筒内への吸入空気量を低下させる。これにより、エンジン始動時の振動発生を確実に低減できる。ステップS47の後は処理を終了する(RETURN)。
以上説明したように実施の形態5によれば、ハイブリッド車における内燃機関100の始動時に、SOCのレベルに応じてモータMG1,MG2、および内燃機関100の制御を最適に行うことが可能となる。従って、SOCが大きい場合は、より多くのモータ駆動のエネルギーを制振制御に用いることで、ドライバビリティを向上するとともに、早いエンジン始動が可能となる。また、SOCが小さい場合は、制振制御に用いるモータ駆動力のエネルギーを低下させることで、SOCの低下を最小限に抑えることが可能となる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6は、実施の形態5と同様にハイブリッド車におけるエンジン始動時の制御に関するものである。実施の形態6のハイブリッド車の構成は実施の形態5と同様である。
次に、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6は、実施の形態5と同様にハイブリッド車におけるエンジン始動時の制御に関するものである。実施の形態6のハイブリッド車の構成は実施の形態5と同様である。
実施の形態5で説明したように、エンジン始動時にはモータ駆動による制振制御を行うことが好適であるが、SOCのレベルが低い場合は、SOCの低下を抑えるため、制振制御を必要最小限の範囲で行うことが望ましい。
このため実施の形態6では、SOCのレベルに応じて制振制御を行う時間を可変するようにしている。図10は、実施の形態6において、モータ出力及びエンジン出力と時間との関係を示す特性図である。ここで、図10(A)は、SOCのレベルが比較的大きい場合に行われる制御を示している。また、図10(B)はSOCのレベルが所定のしきい値未満の場合に行われる制御を示している。図8と同様に、図10(A)及び図10(B)では、時刻t0の時点で加速要求(車両発進要求)が出され、時刻t1からエンジン出力が立ち上がった状態の特性を示している。なお、図10(A),(B)に示すモータ出力は、MG1とMG2の合計の出力である。
図10(A)の場合は、時刻t1から制振制御が開始され、時刻t3まで制振制御が継続して行われる。このように、SOCが大きい場合は、時刻t1から時刻t3までの比較的長時間に渡って制振制御が行うことで、エンジン始動時の振動を確実に抑制することができる。これにより、吸入空気量を増加してエンジン出力の立ち上がりを早くした場合であっても、振動の発生を確実に抑えることができる。従って、振動を抑えた状態で内燃機関100の出力上昇を迅速に行うことができ、速やかな加速を行うことが可能となる。
従って、図10(A)の場合は、実施の形態1の制御を併用することが望ましい。すなわち、早いエンジン始動が要求されている場合は、吸気バルブ102のバルブタイミングを進角することで、より短時間で機関を始動することが可能となる。
一方、図10(B)に示すように、SOCが所定のしきい値未満の場合は、図10(A)の場合よりも制振制御を行う時間を短くし、時刻t1から時刻t4までの間のみで制振制御が行われる。これにより、時刻t1の直後におけるエンジン出力の立ち上がり部分の振動抑制に重点を置いた制御が可能となる。特に内燃機関100の始動直後は振動の影響が比較的生じ易いため、時刻t1の直後の振動を重点的に低減することで、始動時の振動を効率良く低減することができる。また、制振制御を短時間で終了し、時刻t4以降は制振制御を停止するため、制振制御によるモータ駆動力の消費を抑えることができ、SOCの低下を最小限に抑えることが可能となる。なお、図10(B)の処理を行うか否かを判定するためのしきい値は、実施の形態5で説明した所定のしきい値よりも大きな値とすることが好適である。
なお、時刻t4以降は、NVの許容範囲内で内燃機関100の出力を立ち上げるように吸入空気量等の条件を制御することが好適である。これにより、制振制御を停止した後においても、NVの低減を優先した制御を行うことが可能となる。勿論、加速要求が高い場合は、出力を優先してエンジン制御を行っても良い。
次に、図11のフローチャートに基づいて、実施の形態6における処理の手順を説明する。先ず、ステップS51では、加速要求が出されているか否かを判定する。ここでは、スロットル開度、車速などの情報に基づいて加速要求が出されているか否かを判定する。加速要求が出されている場合はステップS52へ進む。
ステップS52ではSOCのレベルを取得する。次のステップS53では、ステップS52で取得したSOCレベルに基づいて、制振制御を実施する時間を決定する。
次のステップS54では内燃機関100を始動してエンジン制御を実施するとともに、モータ駆動による制振制御を実施する。ここで、制振制御の時間は、ステップS53で決定された時間の間だけ行う。ステップS54の後は処理を終了する(RETURN)。
ステップS51で加速要求が出されていない場合は、ステップS55へ進む。ステップS55では、デコンプ状態で内燃機関100を始動する。すなわち、この場合は、吸気バルブ36の閉じタイミングを遅角して筒内への吸入空気量を低下させる。これにより、エンジン始動時の振動発生を確実に低減できる。ステップS55の後は処理を終了する(RETURN)。
以上説明したように実施の形態6によれば、SOCのレベルに基づいてエンジン始動時の制振制御の時間を決定するようにしたため、SOCが大きいときには制振制御の時間を長くすることで、エンジン始動時の振動を確実に低減することができ、早いエンジン始動が可能となる。また、SOCが小さいときには、制振制御の時間を短くすることで、エンジン始動時のSOCの低下を抑えることができる。従って、エンジン始動時の制御を最適に行うことが可能となる。
10,100 内燃機関
36,102 吸気バルブ
48 可変動弁機構
40 ECU
MG1,MG2 モータ
36,102 吸気バルブ
48 可変動弁機構
40 ECU
MG1,MG2 モータ
Claims (19)
- 少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構と、
所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、
自動始動する際の早期始動要求度を推定する推定手段と、
推定した前記早期始動要求度に応じて前記吸気弁の閉じタイミングを制御するバルブタイミング制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関システムの制御装置。 - 前記推定手段は、車両への加速要求度に基づいて前記早期始動要求度を推定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記バルブタイミング制御手段は、前記加速要求度が所定値よりも大きい場合は前記吸気弁の閉じタイミングを進角することを特徴とする請求項2記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、運転者の加速意思に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、車両走行中のアクセル操作情報及び/又は前記内燃機関を自動始動する際のアクセル操作情報の履歴に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、走りを優先するモードを設定するスイッチ、若しくは前記内燃機関を自動始動する際の振動又は騒音を低減するモードを設定するスイッチの操作状態に応じて前記加速要求度を推定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、道路情報に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、登坂路で前記内燃機関を自動始動する場合は前記加速要求度が通常時よりも大きいと判断することを特徴とする請求項7記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、制限速度が高い道路で前記内燃機関を自動始動する場合は前記加速要求度が通常時よりも大きいと判断することを特徴とする請求項7又は8記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、交差点での右折時に前記内燃機関を自動始動する場合は前記加速要求度が通常時よりも大きいと判断することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記推定手段は、車重に基づいて前記加速要求度を推定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記バルブタイミング制御手段は、前記内燃機関の自動停止前に前記吸気弁の閉じタイミングを次の自動始動時における閉じタイミングに制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記内燃機関の駆動力との併用により車両を駆動するモータと、
前記内燃機関を自動始動した際に、前記モータの駆動力により制振制御を行う制振制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の内燃機関システムの制御装置。 - 前記モータに電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリーの充電量を取得する充電量取得手段と、を備え、
前記制振制御手段は、前記充電量に基づいて前記制振制御を行うことを特徴とする請求項13記載の内燃機関システムの制御装置。 - 前記制振制御手段は、前記充電量のレベルが大きいほど、前記制振制御に用いる前記モータの駆動力を増加することを特徴とする請求項14記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記制振制御手段は、前記充電量のレベルが大きいほど、前記制振制御を実施する時間を長くすることを特徴とする請求項14記載の内燃機関システムの制御装置。
- 前記制振制御手段は、前記充電量のレベルが所定のしきい値以下の場合は、前記制振制御を行わないことを特徴とする請求項14記載の内燃機関システムの制御装置。
- 少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構と、
所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、
前記内燃機関を自動始動する際の始動時間が所定値以内となる条件下で、前記吸気弁の閉じタイミングを遅角側へ可変するバルブタイミング制御手段と、
前記バルブタイミング遅角手段で設定されたバルブタイミングの値を学習値として記憶する学習値記憶手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関システムの制御装置。 - 少なくとも吸気弁の開閉タイミングを変更可能な可変動弁機構と、
所定の条件が成立した場合に内燃機関を自動始動または自動停止する自動始動・停止手段と、
前記内燃機関を自動始動する際に発生する振動又は騒音が所定値以内となる条件下で、前記吸気弁の閉じタイミングを進角側へ可変するバルブタイミング制御手段と、
前記バルブタイミング進角手段で設定されたバルブタイミングの値を学習値として記憶する学習値記憶手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関システムの制御装置。
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