JP3951924B2 - 内燃機関の停止始動制御装置 - Google Patents

内燃機関の停止始動制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の停止始動制御装置に関し、特に始動時に必要とされるエネルギーが最小となる位置で内燃機関を停止すると共に、始動時に特定の気筒に封入した燃料に点火して早期始動を行う停止始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、環境保全若しくは省資源エネルギー化等の観点から、アイドリング時の燃料消費量及び排出ガスの低減などを図るため、車両が停止すると内燃機関(以下、「エンジン」ともいう。)を自動停止し、停止状態から発進指示があるとエンジンを自動的に再始動して車両を発進させるエンジン停止始動制御装置が知られている。この制御は、「アイドリングストップ」などとも呼ばれている。
【0003】
アイドリングストップ技術を自動的に行う場合、エンジンの始動時の必要エネルギーを最小とするためには、エンジンの停止位置を制御することが有効であることがわかってきている。エンジン始動時の必要エネルギーを最小とすることにより、モータジェネレータ(MG)などの、アイドリングストップ後のエンジン始動装置を小型化できるとともに、電気エネルギーを少なくすることで、バッテリーの寿命を長くすることができるという利点がある。
【0004】
エンジンの停止位置を制御する手法としては、特定の気筒が所定のクランク角度となったときに燃料カットを行う方法や、エンジン停止時におけるコンプレッショントルクの予想値を設定しておき、これと同等のトルクを発生させてコンプレッショントルクとつり合わせ、エンジンを所望の位置で停止させる方法などが知られている。
【0005】
また、エンジン始動時における始動性の向上を図るため、エンジン停止後にスタータを正転させたとき、クランク角度がスタータの始動トルクが増大するクランク角度停止位置であったときは、次回のエンジン始動までの間に、その始動トルクが小さくなるクランク角度停止位置までクランクシャフトを逆転させておくエンジン始動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、エンジン停止中に膨張行程にある気筒に燃料を供給しておき、その気筒内の燃料を燃焼させることにより、次回のエンジンの始動を行うエンジン始動装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−283010号公報
【特許文献2】
特開2002−4985号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、エンジン停止位置を制御することにより始動時の最大必要トルクを小さくすることができ、アイドリングストップ時のエンジン始動用モータを小型できるのであるが、始動用モータが小型化すればするほど出力可能なトルクは小さくなり、エンジンの初爆完了までの所要時間が長くなってしまうという問題点がある。
【0009】
また、始動用モータを小型にすると、回転数の上昇に伴うトルクの落ち込みが大きくなる。これは特に12V程度の低電圧バッテリーでは顕著である。そのため、始動用モータによるモータリングで圧縮行程にある気筒のピストンが初めの圧縮行程上死点を乗り越すことができたとしても、始動用モータの出力トルクはエンジン回転数の上昇と共に低下するため、エンジンの十分な慣性エネルギーを生むことができず、次の圧縮行程上死点を乗り越すことができない場合がある。そして、最悪の場合には、上死点付近でモータがロックしてしまうこともある。
【0010】
さらには、エンジン回転数が低い場合には、気筒判別等に相当の時間を要するため、初爆完了までの時間が長くなってしまうという問題点もある。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の早期点火始動を実現する内燃機関の停止始動制御装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置は、前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、前記気筒を検出する検出手段と、前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、前記供給手段は、前記機関の停止前に前記気筒内に吸気ポートを通じて燃料を供給する
【0013】
上記の内燃機関の停止始動制御装置によれば、機関停止時に機関を所定のクランク角度位置に停止させることができる。よって、機関始動時に、機関の駆動が容易となるクランク角度位置に停止させることができる。また、機関停止後に発進要求があった際に、機関をモータにより自動的に再始動させることができる。
【0014】
さらに、この停止始動制御装置は、機関停止時に、圧縮行程、及び/又は膨張行程となる気筒を予測することができ、かつ、その気筒を検出することができる。よって、その検出結果に基づき、停止制御実行中の適切なタイミングで、その気筒内に燃料を供給することができる。このとき、その気筒内へ封入された混合気は、シリンダからの熱エネルギー等を受けて、霧状化した均質な混合気となっており、着火し易い状態となっている。
【0015】
よって、機関始動時に、圧縮行程気筒内及び/又は膨張行程気筒内に封入された燃料に対して、点火装置により点火することにより、その燃料を燃焼させ機関を始動することができる。このため、初爆までの時間を短くすることができ、迅速に機関の始動を行うことができる。また、モータによる機関の駆動、つまりクランキングも併せて行われるので、初め及び次の圧縮行程上死点への乗越しも容易となり、確実に機関の始動を行うことができる。
【0016】
また、車両が、例えば、アイドリングストップ機構を有するいわゆるエコラン車両や、ハイブリッド車両などである場合においては、機関始動時の待機時間を短くすることができる。この場合、その車両は、アイドリングストップ後、発進要求があると、モータ(モータジェネレータなど)によるクランキングの実行と同時に前記気筒に対する点火が行われ、迅速な始動が可能となる。
【0017】
また、点火始動によって機関が回転し始めた後にモータによるクランキングが行われるようにすれば、機関始動時のモータの必要トルクを小さくすることができる。よって、モータに対する通電時間を短くでき、電源装置(バッテリなど)の消費電力を低減することができる。
【0019】
供給手段が吸気ポートを通じて燃料供給を行う機関である場合には、機関停止制御直前に、その気筒が吸気行程となったときに、その気筒内に燃料噴射装置を通じて燃料を供給することができる。
【0020】
上記内燃機関の停止始動制御装置の他の一態様では、前記所定のクランク角度位置は、前記機関始動時に必要となる前記モータのトルクが小さくなる停止位置とする。
【0021】
この態様によれば、機関始動時に必要となるモータのトルクが小さくなるクランク角度位置に停止させることができる。このときの所定のクランク角度は、例えば、90°CA〜120°CAとすることができる。
【0022】
本発明の他の観点では、機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置は、前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、前記気筒を検出する検出手段と、前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、前記モータが、前記機関の回転数を所定回転数範囲内となるように制御することにより、前記機関を前記所定のクランク角度位置に停止させる。
【0023】
この態様によれば、各気筒に対する燃料カットを実行し、機関が所定の回転数となったときに、その機関に対してモータからの回転駆動力を伝達することにより、その機関の回転数を所定回転数範囲内となるように制御することができる。これにより、その後の機関の有する慣性エネルギーを一定にして、所定のクランク角度位置に停止させることができる。
【0024】
本発明の他の観点では、機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置は、前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、前記気筒を検出する検出手段と、前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、前記供給手段は、前記機関停止直前に前記検出手段に基づいて検出された前記気筒が吸気行程となるときに、前記気筒内に燃料を供給する。
【0025】
この態様によれば、機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測、検出し、機関停止制御直前に、その気筒が吸気行程となったときに、その気筒内に吸気ポートに設置された燃料噴射装置を通じて燃料を供給することができる。
【0026】
本発明の他の観点では、機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置は、前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、前記気筒を検出する検出手段と、前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、前記機関始動時に、前記モータに付与する電流値が所定値以上となったときに前記モータを駆動させて、前記機関の駆動を開始する。
【0027】
モータに付与する電流値が所定の範囲外にあるときは、機関始動に必要とされるモータのトルクが未だ十分でない可能性が高い。そのため、この時点で、機関始動のためにモータの駆動を行うと、モータがロックしてしまう可能性がある。これに対し、モータに付与する電流値が所定の範囲になったときは、機関始動に必要なモータのトルクが十分に確保されている。よって、このときモータを駆動させることにより、モータのロックを防止することができ、確実にモータによるクランキングを行うことができる。よって、機関始動時に、膨張行程気筒及び/又は圧縮行程気筒に対する点火始動に加えて、モータによるクランキングを行うことにより、迅速且つ確実に機関の始動を行うことができる。
【0028】
本発明の他の観点では、機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置は、前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、前記気筒を検出する検出手段と、前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、前記予測手段は、前記モータによる駆動が終了されたときの前記機関の回転数に基づいて、前記圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する。
また、本発明の他の観点では、機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置は、前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、前記気筒を検出する検出手段と、前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、前記予測手段は、前記モータによる駆動が開始されたときの各気筒の行程の種類を特定した後に、特定された前記各気筒の行程の種類、及び、前記モータによる駆動が終了されたときの前記機関の回転数に基づいて、前記圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する。この場合、前記予測手段は、前記各気筒の行程の種類を、当該気筒のカムの位置に基づいて特定することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0030】
[車両の構成]
まず、本発明に係る内燃機関の停止位置推定手法を適用した車両の概略構成を説明する。本発明に係る内燃機関の停止制御装置は、アイドリングストップ技術を適用したいわゆるエコラン車両又はハイブリット車両などを対象とする。「エコラン車両」とは、主としてエンジンの始動を目的とした電動機(モータジェネレータ)を搭載し、アイドリングストップによるエンジンの停止後、モータジェネレータによりエンジンを自動的に再始動する車両である。また、「ハイブリット車両」とは、エンジン及びモータジェネレータをそれぞれ動力源とするパワートレーンである。ハイブリット車両では、走行状態に応じてエンジン及びモータジェネレータの両者を協働させ、あるいは使い分けて、滑らかでレスポンスのよい動力性能を得ることができる。
【0031】
図1に、本発明に係る車両10のシステム構成を示す。
【0032】
車両10は、図1に示すように、DCスタータ1と、エンジン2と、エンジン2から出力される駆動力により発電すると共にエンジン2を始動する際のセルモータとして駆動可能なモータジェネレータ3と、モータジェネレータ3等を制御するためのモータ制御装置4と、モータ制御装置4を介してモータジェネレータ3等と電力の授受を行う電源装置5と、モータジェネレータ3、モータ制御装置4及び電源装置5を各々接続する電源ケーブル6と、エンジン2から発生する駆動力を車輪に伝える動力伝達装置7と、車輪8とを備える。
【0033】
次に、上記各構成について、図1を参照して説明する。
【0034】
DCスタータ1は、エンジン2を始動させる直流方式のセルモータである。DCスタータ1はシャフトを有し、イグニションスイッチがON状態とされることにより、12V電源装置からの電力供給を受けて、そのシャフトを回転させる。DCスタータ1のシャフトが回転することにより、エンジン2のクランクシャフトが回され、エンジン2を始動する。具体的には、DCスタータ1のシャフトの先端部には、ピニオンギアが取り付けられている。ピニオンギアは、エンジン2のクランクシャフトに設けられたフライホイールのリングギアと噛み合っている。そのため、DCスタータ1は、エンジン2の始動により12V電源装置から電力供給を受けると、そのピニオンギアがフライホイールのリングギアと噛み合って回転し、フライホイールを回転させる。これにより、所定気筒数のピストンが連結されたクランクシャフトが回転させられるため、その回転駆動力によりエンジン2を始動することができる。なお、エンジンの始動のためにクランクシャフトを駆動することを「クランキング」と呼ぶ。
【0035】
エンジン2は、シリンダ内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。内燃機関には、ガソリンを燃料とするガソリンエンジン、又は軽油などを燃料とするディーゼルエンジンなどがある。ガソリンエンジンには、クランクシャフトが2回転する間に、吸気、圧縮、膨張、排気の1サイクルを完了して動力を発生する4サイクルガソリンエンジン、又はクランクシャフトが1回転する間に前記の1サイクルを完了する2サイクルガソリンエンジンがある。なお、本実施形態における車両10は、4サイクルガソリンエンジンであるとする。
【0036】
図2にエンジン2の概略構成の一例を示す。
【0037】
シリンダヘッド12に形成された吸気ポート24は吸気バルブ26により開閉される。吸気ポート24への吸気の供給は、吸気通路28を介してなされる。吸気通路28にはサージタンク30が設けられ、サージタンク30の上流にはスロットルバルブ32が設けられている。スロットルバルブ32は電動モータ34により開度(スロットル開度TA)が調整され、このスロットル開度TAはスロットル開度センサ36により検出されている。
【0038】
エンジン2はいわゆるポート噴射型のエンジンであり、吸気ポート24に燃料噴射弁14が設けられている。吸気ポート24内の吸気と、吸気ポート24内に噴射された燃料により混合気が生成され、シリンダブロック16、ピストン18及びシリンダヘッド12により区画された燃焼室20内に導入される。燃焼室20の天井部分には点火プラグ22が配置され、吸気ポート24から導入された混合気に対して点火可能としている。なお燃料噴射弁14には高圧燃料ポンプ(図示略)からデリバリパイプ14aを介して高圧燃料が供給されている。このことにより、圧縮行程末期においても燃料噴射弁14から燃焼室20内に燃料噴射が可能となっている。このデリバリパイプ14a内の燃料圧力は燃圧センサ14bにより検出されている。
【0039】
また、シリンダヘッド12に形成された排気ポート38は排気バルブ40により開閉される。燃焼室20から排気ポート38に排出された排気は、排気通路42及び排気浄化触媒(図示略)等を介して外部に排出される。
【0040】
燃焼室20内での混合気の燃焼に伴うピストン18の往復運動は、コンロッド44を介してクランクシャフト46の回転運動に変換される。クランクシャフト46は図示しないトルクコンバータや変速機を介して車輪8に動力を伝達している。
【0041】
また、このような動力伝達系とは別に、クランクシャフト46の一端は電磁クラッチ48を介してプーリ50(以下、「クランクシャフトプーリ」とも呼ぶ。)に接続されている。このプーリ50は、ベルト52により他の3つのプーリ54,56,58との間で動力の伝達が可能とされている。本例では、プーリ54によりエアコン用コンプレッサ60が駆動可能とされ、プーリ56によりパワーステアリングポンプ62が駆動可能とされている。もう一つのプーリ58(以下、「MGプーリ」とも呼ぶ。)は、モータジェネレータ3に連結されている。モータジェネレータ3はMGプーリ58側からのエンジン駆動力により発電を行う発電機としての機能と、MGプーリ58側へモータジェネレータ3の駆動力を供給する電動機としての機能とを併せ持っている。
【0042】
マイクロコンピュータを中心として構成されているECU70(Engine Control Unit)は、入出力装置、記憶装置、中央処理演算装置、などから構成され、車両10のシステムを統括制御する。ECU70は、エンジン2に搭載された各センサなどからの入力情報などに基づいて、車両10を最適な状態に制御する。具体的には、ECU70は、前述した燃圧センサ14bから燃料圧力、スロットル開度センサ36からスロットル開度TA、モータジェネレータ3内蔵の回転数センサからモータジェネレータ回転数、電源装置5の電圧あるいは充放電時の電流量、イグニッションスイッチ72のスイッチ状態、車速センサ74から車速SPD、アクセル開度センサ76からアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度ACCP)、ブレーキスイッチ78からブレーキペダルの踏み込み有無、エンジン回転数センサ80からクランクシャフト46の回転数(エンジン回転数NE)、エアフロメータ82から吸入空気量GA、冷却水温センサ84からエンジン冷却水温THW、アイドルスイッチ86からアクセルペダルの踏み込み有無状態、排気通路42に設けられた空燃比センサ88から空燃比検出値Vox、カム角センサ92からカムシャフトの回転位置を、クランク角センサ90からクランクシャフトの回転角度(クランク角度)を、それぞれ検出している。
【0043】
クランク角センサ90は、被検出物(例えば、金属など)を検出することが可能な磁気式センサなどであり、エンジン2内のクランクシャフト46近傍の所定の位置に設けられる。即ち、クランクシャフト46上の所定の位置には、外周に凹凸が形成された歯車(以下、「シグナルロータ」と呼ぶ。)が取り付けられるが、クランク角センサ90は、そのシグナルロータの歯数を検出することが可能な位置に設けられる。また、クランク角センサ90は、クランクシャフト46の回転角度(以下、「クランク角度」と呼ぶ。)を例えば10〜30°CA程度の分解能で検出することができる。クランクシャフト46が回転するとシグナルロータもそれに連動して回転する。このとき、クランク角センサ90は、そのシグナルロータの歯数を検出し、パルス信号としてECU70などに出力する。ECU70は、クランク角センサ90から出力されたパルス信号をカウントして、それをクランク角度に変換する。これにより、ECU70などは、クランク角度を検出する。また、クランク角センサ90は、エンジン2内に直接設けられるため、クランク角度を絶対角度として検出することができる。
【0044】
なお、クランク角センサ90は、シグナルロータの歯数を1つ検出すると、1つのパルス信号をECU70などに出力する。このため、クランク角センサ90から出力されるパルス信号は、クランクシャフト46が正転しても、あるいは逆転しても同様の出力状態となるため、ECU70などは、クランクシャフト46の正転又は逆転の別を検出することができない。
【0045】
このようにして得られたデータに基づいて、ECU70は、電動モータ34を駆動してスロットル開度TAを調整するとともに、燃料噴射弁14からの噴射時期を調整する。更に自動停止条件が成立すると、燃料噴射弁14からの燃料噴射を停止して、エンジン2の運転を自動停止させる。また、自動始動条件が成立するとモータジェネレータ3の駆動力により、プーリ58、ベルト52、プーリ50及び電磁クラッチ48を介してクランクシャフト46を回転させ、エンジン2を始動させる。更に、ECU70は、点火時期制御、その他の必要な制御を実行している。
【0046】
モータジェネレータ3は、プーリ50、プーリ58及びベルト52を通じて、クランクシャフト46と連結されている。クランクシャフト46に連結されたクランクシャフトプーリ50又はモータジェネレータ3に連結されたMGプーリ58の一方が回転駆動することにより、ベルト52を介して他方に動力が伝達される。
【0047】
モータジェネレータ3は、後述する電源装置5からの電力供給を受けて回転駆動するモータ(電動機)としての機能を有するとともに、車輪8からの回転駆動力を受けて回転している場合には三相コイルの両端に起電力を生じさせるジェネレータ(発電機)としての機能を併せ持つ。モータジェネレータ3が電動機として機能する場合には、モータジェネレータ3は電源装置5からの電力供給を受けて回転し、その回転駆動力をクランクシャフトプーリ50に伝達してクランクシャフト46を回転させエンジン2を始動する。一方、モータジェネレータ3が発電機として機能する場合には、車輪8からの回転駆動力がクランクシャフト46及びクランクシャフトプーリ50を介してモータジェネレータ側のMGプーリ58に伝達され、モータジェネレータ3を回転させる。モータジェネレータ3が回転することによってモータジェネレータ3内で起電力が発生し、その起電力が、モータ制御装置4を介して直流電流に変換され、電源装置5に電力を供給する。これにより、電源装置5は充電される。
【0048】
図1に戻り、モータ角センサ3aは、検出部にホール素子などが好適に適用され、モータジェネレータ3内の所定の位置に設けられる。モータ角センサ3aは、モータジェネレータ3のシャフトの回転角度を、概ね7.5°CA単位の高い分解能で検出することができる。モータジェネレータ3が電源装置5からの電力供給を受けて回転駆動すると、モータ角センサ3aは、そのシャフトの回転角度を検出する。具体的には、モータ角センサ3aは、U、V、Wの各相の交流電流をそれぞれ検出できるように、それらの各相に設けられる。各モータ角センサ3aは、U、V、Wの各相の交流電流をそれぞれ検出してパルス信号に変換し、モータ制御装置4に出力する。
【0049】
モータ制御装置4は、エンジン2内に設けられ、モータジェネレータ3及び電源装置5と電源ケーブル6によりそれぞれ接続される。モータ制御装置4は、主として、インバータ、コンバータ、又は制御用コンピュータなどから構成される。
【0050】
インバータは、電源装置5からの高電圧直流電流を所定の3相交流電流に変換して、モータジェネレータ3に電力を供給する。また、インバータは、逆にモータジェネレータ3から生じた起電力(3相交流電流)を、電源装置5を充電するのに適した直流電流に変換する。
【0051】
コンバータは、所定の直流電圧から所定の直流電圧へ変換するDC/DC変換装置である。即ち、コンバータは、電源装置5の定格電圧(例えば、36V電圧)を所定の電圧(例えば、12V電圧)に降圧して、補機類などの駆動、又は車両に搭載された12V電源装置への充電を行う。
【0052】
制御用コンピュータは、インバータやコンバータの制御を行う。即ち、制御用コンピュータは、モータジェネレータ3の駆動トルクや発電量を最適な状態に制御すると共に、電源装置5への充電量を最適な状態に制御して充電を行う。具体的には、モータジェネレータ3が電動機として機能する場合には、制御用コンピュータは、電源装置5から供給された電力に基づいて、モータジェネレータ3の駆動トルクや発電量の制御を行う。これにより、モータジェネレータ3が電動機として機能するのに最適な状態に制御される。一方、モータジェネレータ3が発電機として機能する場合には、制御用コンピュータは、モータジェネレータ3から生じた起電力に基づいて、所定の直流電流を電源装置5に供給して電源装置5の充電を行う。
【0053】
また、モータ制御装置4は、上述したモータ角センサ3aから出力されたパルス信号の数をカウントすることにより、モータジェネレータ3のシャフトの回転角度に変換する。さらに、モータ制御装置4は、その変換後の回転角度に基づいてクランクシャフトプーリ50とMGプーリ58との回転比率からクランク角度への変換を行う。これにより、モータ制御装置4は、クランク角度を、概ね3°CA単位の高い分解能で検出することができる。
【0054】
さらに、モータ制御装置4は、モータジェネレータ3のシャフトの正転又は逆転の別を検出することもできる。即ち、モータジェネレータ3のシャフトが正転したときと、逆転したときではU、V、Wの各相のパルス信号の出力状態が異なる。モータジェネレータ3のシャフトが正転したときのU、V、Wの各相のパルス信号は、位相差により、先ずU相のパルス信号が一定時間出力され、その後遅れてV相のパルス信号が一定時間出力され、さらにその後遅れてW相のパルス信号が一定時間出力され、それらが周期的に繰り返される出力状態となる。これに対し、モータジェネレータ3のシャフトが逆転したときのU、V、Wの各相のパルス信号は、正転の場合とは逆のパルス信号の出力状態となる。つまり、W相、V相、U相の順にパルス信号が一定時間それぞれ周期的に繰返される出力状態となる。そのため、モータ制御装置4は、それらの位相差を利用してモータジェネレータ3のシャフトの正転又は逆転の別を検出することができる。
【0055】
電源装置5は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池などの2次電池である。電源装置5は、車両10のスペースの効率化などを図るため、例えば、車両10の後部などに設置される。電源装置5は、例えば、36Vなどの定格電圧とすることができる。そのため、電源装置5は、モータジェネレータ3の起動、又は車両制動時におけるエネルギー回生などにおいて高い入出力特性を有する。電源装置5は、具体的には、補機類やモータジェネレータ3などに対して電力を供給する。モータジェネレータ3への電力供給は、主として、車両10が停止中に行われる。また、車両10が走行中、あるいは制動時の場合には、モータジェネレータ3から発生する起電力がモータ制御装置4を介して、直流電流に変換され電源装置5に供給される。これにより、電源装置5を充電することができる。
【0056】
電源ケーブル6は、上述したように、モータジェネレータ3とモータ制御装置4、及びモータ制御装置4と電源装置5とにそれぞれ接続され、直流電流や3相交流電流を流す役割を果たす。
【0057】
動力伝達装置7は、主として、トルクコンバータ、ロックアップクラッチ、変速機、動力切換機構などから構成される。これらが有機的に作用することにより、動力伝達装置7は、走行状態などに応じて、エンジン2、又はモータジェネレータ3から発生する回転駆動力を車輪8に伝達し又は遮断する。また、動力伝達装置7は、制動時などにおいては、逆に車輪8からの回転駆動力をモータジェネレータ3に伝達する。
【0058】
車輪8は、動力伝達装置7からの回転駆動力を路面に伝える車軸、及びタイヤなどである。本実施形態においては、車輪8として後輪を図示している。
【0059】
次に、クランク角センサ90とカム角センサ92の例について説明する。
【0060】
図3に示すように(図2では図示を略している)、クランクシャフト46にはシグナルロータ91が取り付けられている。このシグナルロータ91の外周部には、クランクシャフト46の軸線を中心として等角度間隔(ここでは10°間隔)に配置された34個の歯(突起部分)91aと、1個の幅広の欠歯(歯が存在しない部分)91bが設けられている。欠歯91bの長さは、歯91aの2個分に相当する。そして、シグナルロータ91の外周部に対向して、クランク角センサ90が設けられている。クランクシャフト46が回転した場合には、シグナルロータ91の各歯91aおよび欠歯91bが順次クランク角センサ90の近傍を通過することにより、クランク角センサ90からはそれら各歯91aおよび欠歯91bの通過数に対応したパルス状の回転信号(以下「NE信号」と称する)が出力される。
【0061】
一方、吸気カムシャフト27の外周面には3個の突起27a,27b,27cが吸気カムシャフト27の軸線を中心として90°(180°CAに相当する)間隔に配列して設けられている。したがって両端の突起27aと突起27cとの間隔は180°(360°CAに相当する)となっている。これら突起27a〜27cに対向するように、突起27a〜27cを検出して検出信号を出力するカム角センサ92が設けられている。吸気カムシャフト27が回転した場合には、突起27a〜27cがカム角センサ92の近傍を通過する。これにより、カム角センサ92からは、突起27a〜27cのそれぞれの通過に対応してパルス状の検出信号が出力される。
【0062】
ここで、エンジン2が駆動している時においてECU70に入力されるクランク角センサ90、およびカム角センサ92からの信号を図4に示す。図4(a)は吸気カムシャフト27の回転に伴いカム角センサ92内に発生する電圧波形を示すものである。図4(b)は、図4(a)の電圧波形をパルス状のカム角信号(G2信号)に変換したものである。図4(c)はクランクシャフト46の回転に伴いクランク角センサ90内に発生する電圧波形を示すものである。図4(d)は図4(c)の電圧波形をNE信号に変換したものである。本例では、NE信号のうち、歯91aに対応するパルス数は、クランクシャフト46の1回転(360°CA)当たり34個となっている。また、クランク角センサ90から出力される回転信号のうち、欠歯91bに対応する部分ではパルスの間隔が2パルス存在しないことにより広くされている。このパルス間隔が広い部分の数は、クランクシャフト46の1回転(360°CA)当たり1つとなっている。
【0063】
ECU70は、上述したクランク角センサ90のNE信号およびカム角センサ92からのカム角信号に基づきクランクシャフト46および吸気カムシャフト27の回転位相を検知する。そして、ECU70は、クランクシャフト46および吸気カムシャフト27の回転位相から各気筒(#1〜#4)について気筒判別を行い、それら各気筒(#1〜#4)のうち燃料噴射や点火を行うべき気筒を選択する。
【0064】
[車両の動作]
次に、上記の構成からなる車両10の動作について説明する。車両10は、停車、発進、通常走行、加速走行、又は制動などの各運転状態に応じて、各種の動作を行う。
【0065】
車両10の自動停止(アイドリングストップ)中では、エンジン2は停止状態である。この状態において、エアーコンプレッサ、ウォータポンプ、又はパワーステアリングポンプなどの補機類の駆動が必要な場合には、モータジェネレータ3は、エンジン2を駆動させることなく、電源装置5からの電力供給を受けて、それらの補機類を駆動する。ただし、エンジン2とモータジェネレータ3とは各々のプーリを介してVベルトで回動自在に接続されているため、この状態においては、モータジェネレータ3のシャフトが回転することにより、その回転駆動力がエンジン2に伝達されてしまう。そこで、上記補機類のみを駆動するためには、エンジン2のクランクシャフトが回転しないように電磁クラッチを作動させて、モータジェネレータ3からの回転駆動力を遮断する。これにより、エンジン2を駆動させることなく、補機類のみ駆動させることができる。
【0066】
車両10の発進時、即ち、アイドリングストップ状態のときに運転者がブレーキペダルから足を離すと、モータジェネレータ3は、アイドリング回転数付近まで回転数を上昇する。そして、運転者がアクセルペダルを踏むことにより、モータジェネレータ3はエンジン2のクランクシャフトを回転させてエンジン2を自動再始動する。また、ブレーキOFF操作、つまり運転者がブレーキペダルから足を離した状態から一定時間が経過した場合においても、最適な動力性能を得るためエンジン2を自動再始動することができる。
【0067】
通常走行時には、車両10は、一般的な車両と同様にエンジン2からの駆動力が車輪8に伝達されて走行する。なお、通常走行時において電源装置5の電圧が低下している場合には、車輪8からの駆動力がモータジェネレータ3に伝達されてモータジェネレータ3が発電を行う。これにより、モータジェネレータ3は発電機として機能し、電源装置5の不足する電力を補充するために、電源装置5に対して充電を行う(以下、この運転状態を「回生」と呼ぶ。)。よって、電源装置5は、常時、適正な充電状態に維持される。
【0068】
車両10が登坂走行や加速走行をするときには、適切な動力性能を発揮するため、前記した通常走行時の状態に加えて、電源装置5の電力を使用してモータジェネレータ3を駆動し、モータジェネレータ3による回転駆動力をエンジン2の回転駆動力に付与することができる(以下、この運転状態を「アシスト」と称する。)これにより、車両10は、エンジン2及びモータジェネレータ3の2つの動力源を効果的に使用して、高い動力性能を得ることができる。
【0069】
減速などにおける制動時には、車輪8による駆動力が、動力伝達装置7、エンジン2を介してモータジェネレータ3に伝達され回生が行われる。
【0070】
[エンジンの停止制御]
次に、上述した車両10のエンジンの停止制御について説明する。上述したように、車両10は、走行停止時にはアイドリングストップ、つまりエンジン2を自動停止する。その後、運転者が、ブレーキペダルから足を離すと同時にモータジェネレータ3はエンジン2のアイドリング回転数付近まで回転を上昇する。そして、運転者がアクセルペダルを踏むことによりモータジェネレータ3が回転駆動し、その回転駆動力によりエンジン2を自動再始動させる。このとき、車両10では、エンジン2の自動始動時にスムーズな発進を可能とするために、アイドリングストップ時にエンジン2の内部において、クランク角度が最適なクランク角度停止位置に停止するように制御される。以下の例では、車両停止時におけるエンジンの慣性エネルギーを効果的に活用して正確な停止制御を行う。
【0071】
以下、クランク角度を最適なクランク角度停止位置に停止制御させる方法について述べる。なお、最適なクランク角度停止位置は、圧縮行程にある気筒において、エンジン2の再始動時に圧縮行程上死点の乗越しが容易なクランク角度の停止位置とすることができる。例えば、本例のような4気筒エンジンの場合、クランク角度停止位置がクランク角度約90°CA〜120°CAの範囲内にあれば最適なクランク角度停止位置となる。
【0072】
概要を説明すると、通常の車両10の停止制御方法は、ECU70がアイドリング状態から所定のタイミングでエンジン2への燃料カットを実行し、その後のエンジン2の有する慣性エネルギーによって自然とエンジン2を停止させる。しかし、燃料カット時のエンジン回転数の大きさによってエンジン2の有する慣性エネルギーは毎回まちまちとなり、それに連動してクランク角度停止位置も毎回異なってしまう。そのため、通常の車両10の停止制御方法では、クランク角度を最適なクランク角度停止位置に停止制御させることが困難となり、実際に車両が停止した際のクランク角度停止位置によっては次回のエンジン始動負荷が大きくなる。よって、モータジェネレータ3の有する出力トルクとの関係では、エンジン2のクランクシャフトを回転させることができず、エンジン2の自動再始動が失敗する確率が高くなる。
【0073】
そこで、本例においては、燃料カット後のエンジン回転数を所定のタイミングで一定にすることにより、その時点においてエンジン2が有する慣性エネルギーを一定にする。そして、その後はその時点でエンジン2が有する慣性エネルギーを利用してエンジン2の回転を停止させる。これにより、毎回確実に、クランク角度を最適なクランク角度停止位置へ停止制御させることができる。
【0074】
特に本実施形態においては、エンジン回転数を一定にさせる方法としてモータジェネレータ3を使用する。つまり、燃料カット後のクランクシャフトに所定のタイミングでモータジェネレータ3からの回転駆動力を付与することで(以下、「モータリング」と呼ぶ。)、エンジン2の有する慣性エネルギーを一定にする。これにより、エンジン停止時のクランク角度を最適なクランク角度停止位置に停止制御させる。クランク角度が最適なクランク角度停止位置にあれば、エンジン始動時におけるエンジン始動負荷を最小限にすることができ、エンジン2の自動再始動の失敗を効果的に防止することができる。
【0075】
モータジェネレータ3を利用したエンジン停止時の回転数制御の様子を図5に示す。図5において、波形100は本実施形態のエンジン停止制御によるエンジン回転数の変化を示す。波形101はエンジン停止制御における燃料カット信号波形を示し、燃料カット信号がHレベルになると燃料カットを実行する。波形102はモータジェネレータ3の駆動信号(MG駆動信号)波形を示し、Hレベルの区間でモータジェネレータ3が駆動される。
【0076】
今、時刻t0で運転者がアクセルペダルを離したとすると、時刻t0以降はエンジン2の回転数は、ほぼそのエンジンのアイドリング回転数NE1となる。時刻t1において運転者がブレーキペダルを踏み込んだとすると、その時点でECU70は燃料カット信号をHレベルとし、燃料カットを指示する。時刻t1にて燃料カットが実行されると、エンジン2の回転数は徐々に低下する。ECU70は、エンジン回転数が予め決められたモータ設定回転数NE2まで低下したことを検出すると(時刻t2)、MG駆動信号をHレベルとし、モータジェネレータ3を駆動させ、エンジン2をモータジェネレータ3による駆動に切り換える。
【0077】
そして、所定期間(時刻t2〜t3)にわたりモータジェネレータ3は予め決定されたモータ設定回転数NE2でエンジン2を駆動し、所定期間が経過するとECU70はモータジェネレータ3の駆動を停止する(時刻t3)。時刻t3でモータジェネレータ3による駆動力が除去されると、エンジン2はその時点で有する慣性エネルギーのみにより回転するのでエンジン回転数は徐々に低下し、時刻t4付近でエンジン2は停止する。
【0078】
このように、本実施形態では、エンジン停止時にエンジン2の駆動を一旦モータジェネレータ3による駆動に切り替え、エンジン2を所定の回転数NE2に保持した後でエンジンの駆動力を除去する。駆動力を除去した時点でエンジン2が有する慣性エネルギーは主としてその時点のエンジン回転数により決まるので、必ず所定のエンジン回転数NE2にエンジンの回転数を維持してから駆動力を除去するようにすれば、エンジン2は毎回同じ慣性エネルギーを持ち、同じ推移で停止する。
【0079】
次に、上述のように所定のエンジン回転数NE2で駆動力を除去した後、エンジンが停止するまでのエンジンの挙動を説明する。図6は、エンジン2に対する駆動力を除去した後のエンジン2のクランク角度の変位を示す。図6において、縦軸は所定気筒のクランク角度の変位(°CA)を示す。なお、前記所定気筒とは、クランク角度が0°CA〜180°CAに変位するとき圧縮行程にある気筒、例えば、#3気筒を対象とする。一方、横軸は時間(秒)を示す。
【0080】
具体的には、縦軸は、所定気筒に対応するピストンが圧縮行程から膨張行程に移行する際のクランク角度変位(°CA)を示しており、クランク角度変位が、下死点(0°CA)から上死点(180°CA)まで、30°CA間隔毎に示される。一方、横軸は、モータリング停止時(0(秒))から所定気筒のクランク角度を最適なクランク角度停止位置に停止制御させるまでの経過時間(0.6(秒))を0.1(秒)間隔毎に示したものである。
【0081】
次に、図中のグラフについて説明する。図中には2種類のグラフが示されている。これは、モータジェネレータ3による駆動(モータリング)停止時のエンジン回転数が高い場合のグラフ110と低い場合のグラフ112である。即ち、0秒から0.1秒の間において、傾きが大きいグラフ110はモータリング停止時のエンジン回転数が高い場合のクランク角度変位を示し、傾きが小さいグラフ71はモータリング停止時のエンジン回転数が低い場合のクランク角度変位を示す。
【0082】
先ず、0秒から0.1秒付近においては、所定気筒に対応するピストンが圧縮行程の下死点から上死点に上昇している様子を示している。所定気筒に対応するピストンは、0.1秒経過直後に圧縮行程上死点近傍まで上昇する。このときは、エンジン2のクランクシャフト46は正転している。
【0083】
その後、所定気筒に対応するピストンは圧縮行程上死点(180°CA)の乗越しができずに、0.3秒付近までエンジン2のクランクシャフトは逆転する。これは以下の理由による。即ち、所定気筒に対応するピストンが圧縮行程上死点に接近することにより、シリンダ内の容積は次第に小さくなり、圧力が高まってくる。これに比例して、シリンダ内においてはピストンを押し返そうとする圧縮反力116(以下、「コンプレッション反力」と呼ぶ。)も大きくなってくる。したがって、圧縮行程上死点付近では、シリンダ内におけるコンプレッション反力が最も大きい状態となるので、その時のエンジンが有する慣性エネルギーによってはコンプレッション反力に対抗できず、所定気筒に対応するピストンが圧縮行程下死点側に押し返される結果となる。このように、所定気筒に対応するピストンは、圧縮行程上死点への乗越しができずにエンジン2のクランクシャフトが逆転する。
【0084】
その後、所定気筒に対応するピストンは、圧縮行程下死点側、即ち膨張行程側に移行するが、0.3秒付近においてエンジン2のクランクシャフト46は再び逆転する。つまり、エンジン2のクランクシャフトは正転する。これは以下の理由による。即ち、このとき、所定気筒に対応するピストンは、まず膨張行程下死点側に下降する。膨張行程では吸排気弁がともに閉状態となっているため、ピストンが膨張行程下死点側に下降するのに従い、シリンダ内の容積が次第に大きくなる。これによって、シリンダ内では負圧が形成されると共に、その負圧が次第に大きくなる。したがって、所定気筒に対応するピストンは、その負圧に起因する反力118によって上死点側の方向に再び引き戻される。これにより、エンジン2のクランクシャフトは再び正転する。
【0085】
その後、0.3秒付近からエンジン2の有する慣性エネルギーが徐々に低下し、0.6秒後にエンジン2が停止する。これにより、クランク角度停止位置は、クランク角度90°CA〜120°CAの範囲内に収束する。クランク角度停止位置が、最終的にクランク角度90°CA〜120°CAの範囲内に収束すれば、最適なクランク角度停止位置に停止制御されたことになり、停止制御は成功といえる。
【0086】
また、上述のエンジン停止制御によれば、エンジン停止時において各気筒がどの行程で停止するかを、エンジン停止前に予測することができる。図5に示すように、上記のエンジン停止制御では、燃料カット後に所定のモータリング期間を設けてエンジンの回転数を予め決められた所定回転数に維持することにより、その時点においてエンジンが有する慣性エネルギーを一定とした後、モータリングを終了してエンジンの駆動力を除去し、エンジンを停止させる。よって、モータリング終了後に、エンジンが何回転してから停止するかは、モータリング終了時においてエンジンが有する慣性エネルギー、即ち、モータリングにより維持されるエンジン回転数やモータリング期間などに依存する。逆に言えば、モータリング回転数を一定に維持しているので、モータリング終了後にエンジン(クランクシャフト)が停止するまでに何回転するかは常に一定となる。
【0087】
よって、前述のカム角センサ92などを利用した気筒判別により、モータリング開始時において各気筒がどの行程にあるかを検出しておけば、その後にモータリング期間にわたりモータリングを実行し、最終的にエンジンが停止したときに各気筒がどの行程になるかを予測することができる。例えば、モータリング終了時にある特定の行程にある気筒が次の圧縮上死点を乗り越えることができるが、2つ目の圧縮上死点を乗り越えることはできないように、モータリング終了時の慣性エネルギー、つまりモータリング終了時のエンジン回転数が決定されているとすれば、エンジンが停止したときにその気筒は圧縮行程にあることになる。また、モータリング期間中にエンジンが何回転するかはモータリング期間に応じて既知である。よって、ECU70は、モータリング停止時又はモータリング開始時における各気筒の行程の情報と、モータリング終了後にエンジンが慣性エネルギーにより何回転するかを示す情報などに基づいて、エンジン停止時に各気筒がどの行程になるかを、エンジン停止制御の実行中に予測することができる。以下に述べる本発明のエンジンの停止始動制御においては、この予測結果を利用して、エンジン停止後に特定の行程にあると予測される気筒内に対して、エンジン停止前に混合気を封入する。
【0088】
[停止始動制御]
次に、本発明に係る早期点火始動のためのエンジンの停止始動制御について述べる。
【0089】
(第1実施形態)
第1実施形態は、上述した最適なクランク角度停止位置への停止制御を実行する際に、エンジン停止時に圧縮行程で停止すると予測される気筒に予め燃料噴射を行って混合気を燃焼室内に封入しておき、エンジン始動時、モータジェネレータによるクランキングに加えて、その混合気に対して点火を行うことにより、エンジン2の早期始動を行う。
【0090】
まず、本実施形態の基本的原理を説明する。本実施形態では、例えば、アイドリングストップなどのエンジン停止時に、上述のエンジン停止制御を行うとともに、エンジン停止時に各気筒がどの行程となるかを予測し、エンジン停止時に圧縮行程になると予測される気筒を特定する。なお、エンジン停止時に各気筒がどの行程にあるかは、先に述べた方法で予測することができる。
【0091】
通常、エンジン停止中に圧縮行程にある気筒は吸排気弁ともに閉状態となっているため、いわゆる直噴型エンジンとは異なり、本実施形態のようなポート噴射型エンジンではエンジン停止後にその気筒の燃焼室内に混合気を封入することはできない。そのため、エンジン停止時に圧縮行程になると予測される気筒(以下、「停止時圧縮行程気筒」とも呼ぶ。)の燃焼室内に混合気を封入しておくためには、その気筒の吸気行程で予め燃料噴射を行っておく必要がある。そこで、エンジン停止時に例えば#3気筒が圧縮となると予測される場合には、ECU70は、その気筒について圧縮行程の前行程である吸気行程で燃料噴射を行い、燃焼室内に予め混合気を封入しておく。この燃料噴射を行う時点ではエンジンは停止前であり、吸気行程にある当該気筒の燃焼室内は負圧状態となっているため、通常通り、吸気ポートで噴射された燃料を含む混合気を確実に燃焼室内に吸入することができる。これにより、エンジン停止制御が完了し、エンジンが停止したときには、停止時圧縮行程気筒(本例では#3気筒)の燃焼室内には混合気が封入された状態となる。
【0092】
エンジン始動時には、ECU70は、モータジェネレータ3によりクランキングを行うとともに、その停止時圧縮行程気筒(#3気筒)に対して点火を行って爆発エネルギーを発生してクランクシャフトを回転させることにより、エンジン2の早期始動を行うことができる。
【0093】
なお、このようにしてエンジン停止時に停止時圧縮行程気筒に封入されている混合気は、エンジン停止制御中、即ちエンジン停止前の状態におけるA/Fセンサ出力に基づく良好な空燃比となっている。また、前述のエンジン停止制御の説明にて述べたように、慣性エネルギーを利用してエンジンを停止する際には、停止直前にエンジンの回転が反転するので、封入された混合気は燃焼室内でピストンにより圧縮及び膨張を繰り返すことになり、空気と燃料とがよく混ざった状態となる。さらに、エンジン停止後も、未だエンジンが暖機状態にあるため、その混合気はシリンダからの熱を受けて燃焼室内で対流を生じ、空気と燃料の混合を促進する。これらの理由により、燃焼室内では霧状化した均質な混合気が保持され、その混合気は着火し易い状態となっている。よって、エンジン始動時の点火により円滑に燃焼し、エンジンの早期始動が可能となる。
【0094】
次に、第1実施形態について図7乃至図10を参照して詳しく説明する。先ず、第1実施形態に係る早期点火始動のための停止制御の方法について述べる。図7は本実施形態による停止制御例を示し、図8は、その停止制御のフローチャートである。
【0095】
図7は、エンジン停止直前における各気筒の状態を示す行程図、及び、行程図に対応するタイムチャートを示す。図7では、停止時圧縮行程気筒は#3気筒であると仮定している。なお、本実施形態では、4気筒エンジンの例を説明するが、本発明の適用はこれに限られるものではない。また、エンジン2の点火順序は、図7に示すように、例えば、#1気筒−#3気筒−#4気筒−#2気筒の順とするが、本発明の適用はこれに限られるものではない。
【0096】
ここでのエンジン停止制御は、基本的には先に図5及び図6を参照して説明したものと同様である。即ち、運転者がアクセルをオフした後、ブレーキオンの検出時など(時刻t1)に燃料カット信号がオンとなり、燃料カットが行われる。これにより、原則として時刻t1以降は燃料の噴射は行われない。その後、エンジン回転数が所定回転数まで低下すると、時刻t2でMG駆動信号がオンとなり、モータリングが開始される。モータリングは所定時間経過後の時刻t3で終了し、その後、エンジンは図6に示した挙動を示して時刻t4で停止する。なお、エンジンが停止した位置を図中では実停止位置として波線で示している。
【0097】
エンジン停止状態では、停止時圧縮行程気筒である#3気筒が圧縮行程になる。ECU70はこれをエンジン停止制御中、例えばモータリング開始時などに既に予測している。そして、ECU70は、停止時圧縮行程気筒である#3気筒に対し、エンジン停止直前の吸気行程で燃料噴射を行う(矢印210を参照)。つまり、燃焼カット信号を参照するとわかるように、燃料カット信号の変化後は原則として燃料噴射は行わないのであるが、停止時圧縮行程気筒に混合気を封入するために、例外的に停止時圧縮行程気筒がエンジン停止直前の吸気行程にある間に限り、燃料カットを一時的に中断して燃料を噴射している(時刻t5〜t6)。これにより、エンジン停止時に圧縮行程となった#3気筒は混合気が封入された状態となる。時刻t4でエンジンが停止する付近ではECU70は点火カット信号をオンとし、全気筒で点火を停止する。
【0098】
次に、こうしてエンジンが停止した後の始動制御について図8を参照して説明する。図8は、停止制御後におけるエンジン2の始動制御例を示す行程図である。なお、図8に示す実停止位置は、図7に示す実停止位置と同様である。
【0099】
図8に示すように、先ず、#4気筒は実停止位置において吸気行程となっている。よって、エンジン2の早期始動を図るため、ECU70は、エンジン始動条件が具備されると、燃料カット信号をオフとし、吸気行程にある#4気筒の燃焼室内に対してEFIを通じて燃料噴射を実行する(矢印220参照)。
【0100】
また、実停止位置において、#3気筒は前述のように圧縮行程にあり、#3気筒の燃焼室内には混合気が封入されている。よって、ECU70は、#3気筒の燃焼室内に封入された混合気に対して点火を実行する(矢印221参照)ことにより、クランクシャフトを回転させる。具体的には、ECU70は、エンジン始動条件が具備されると、点火カット信号をオンからオフにし、#3気筒が圧縮上死点に到達したとき点火装置に対して点火指令信号を送信する。これにより、ECU70は、そのとき生じる燃焼圧によりクランクシャフトを回転させる。その後は、通常通り燃料の噴射及び点火が実行される。
【0101】
このように、本実施形態によれば、エンジン始動時には、モータジェネレータによるクランキングに加えて、エンジン停止時に停止時圧縮行程気筒に封入しておいた混合気を燃焼させて爆発エネルギーを発生してクランクシャフトを駆動するので、エンジン2の早期の初爆が実現され、エンジン始動を迅速化することができる。
【0102】
次に、第1実施形態に係る停止制御のフローチャートについて図9を参照して説明する。この制御は、基本的には、ECU70が各種センサからの出力信号に基づいて実行する。
【0103】
順に説明すると、ステップS1では、ECU70は、例えばブレーキペダルスイッチの出力信号状態、エンジン回転数が所定の回転数になったか否かなどを判断基準として、エンジン停止条件が具備されたか否かを判定する。具体的には、ブレーキペダルと連動するブレーキスイッチがONであり、かつエンジン回転数が所定の回転数(例えば、0(rpm)近傍)にあるとき、ECU70は、それらの各状態を検出するセンサからの出力信号に基づいてエンジン停止条件が具備されたと判断する(ステップS1;Yes)。これにより、ステップS2へ移行する。一方、ブレーキスイッチがOFF、或いはエンジン回転数が所定の回転数(例えば、0(rpm)近傍)にないとき、それらの各状態を検出するセンサからの出力信号に基づいて、エンジン停止条件を不具備とする(ステップS1;No)。したがって、エンジン停止条件が具備されるまで、ステップS2へは移行しない。
【0104】
次に、ステップS2では、ECU70は、各気筒に対する燃料カットを実行する。次に、ステップS3では、ECU70は、エンジン回転数と、予め設定された回転数とを比較し、モータリングの開始が可能か否かについて判定する。エンジン回転数が、所定回転数以下になったときはステップS4へ移行し、モータ制御装置4を通じてモータジェネレータ3を駆動し、モータリングを開始する(ステップS3;Yes)。具体的には、ECU70は、所定のモータリング実行時間に対応する指令信号をモータ制御装置4に送信し、モータ制御装置4はその指令信号に基づきモータジェネレータ3を制御する。これにより、所定時間にわたりモータリングが実行される。一方、エンジン回転数が所定回転数より大きいときは、当該エンジン回転数が所定回転数以下となるまで、ステップS4へは移行しない(ステップS3;No)。
【0105】
次に、ステップS5では、ECU70は、前述のように、モータリング開始時の気筒判別信号やモータリング実行時間などに基づいて、停止時圧縮行程気筒の予測を行う。なお、本例ではECU70は#3気筒が停止時圧縮行程気筒である予測することになる。その後、ECU70は、エンジン停止直前に、その気筒の吸気行程において燃料噴射を行うため、カム角センサ92などからの出力信号に基づき、#3気筒が現在どの行程にあるのか常時検出する。そして、ステップS6でECU70は、停止時圧縮行程気筒、つまり#3気筒が吸気行程になったか否か判定する。#3気筒が吸気行程になったときは、ステップS7へ移行する(ステップS6;Yes)。一方、#3気筒が未だ吸気行程へ移行していない間は、#3気筒が吸気行程になるまで、ステップS7へは移行しない(ステップS6;No)。
【0106】
次に、ステップS7では、ECU70は、停止時圧縮行程気筒となる気筒、つまり吸気行程にある#3気筒の燃焼室内に対して、EFIを通じて、所定量の燃料噴射を実行し、燃料噴射が終了したときは(ステップS8;Yes)、ステップS9へ進む。
【0107】
次に、ステップS9では、ECU70は、モータ制御装置4からのモータリング停止指令信号を検出すると、ステップS10へ移行し、モータリングを停止する。モータリング停止指令信号は、前記ステップS4で設定されたモータリングが終了する時間になると、モータ制御装置4からECU70に送信される。一方、モータリング停止指令信号が検出されるまでは、ステップS10へは移行しない(ステップS9;No)。次に、ステップS11では、ECU70は、EFIを通じて、各気筒に対する点火カットを実行する。その後、エンジン2は図6に図示したような挙動を示し、停止する(ステップS12)。
【0108】
こうして、本発明の停止制御により、クランク角度が最適クランク角度位置となり、かつ、停止時圧縮行程気筒の燃焼室に混合気が封入された状態でエンジンが停止する。
【0109】
次に、第1実施形態に係るエンジンの始動制御のフローチャートについて図10を参照して説明する。まず、ステップS101では、ECU70は、イグニションスイッチがON、及びプレーキペダルスイッチがONなどの所定のエンジン始動条件が具備されたか否かを判定する(ステップS101)。エンジン始動条件が具備されると、ECU70はモータジェネレータ3によりモータリング(クランキング)を行う(ステップS102)。また、ECU70は、カム角センサ92などからの出力信号に基づき、エンジン停止時に吸気行程にある気筒(以下、「停止時吸気行程気筒」とも呼ぶ。)を検出して当該気筒に燃料噴射を行う(ステップS103)とともに、停止時圧縮行程気筒に対して点火を行う(ステップS104)。停止時圧縮行程気筒は、前述のように混合気が封入されているので、直ちに燃焼が生じ、爆発エネルギーによりクランクシャフトの回転が得られる。これにより、初爆までの時間を極めて短くすることが可能となり、エンジン2の早期点火始動を行うことができる。こうしてエンジン2が始動する。
【0110】
以上説明したように、本発明の第1実施形態では、エンジン停止時に圧縮行程となる気筒をエンジン停止制御中に予測して、その気筒に燃料を噴射して燃焼室内に混合気を封入しておく。よって、エンジン始動時にはその気筒で直ちに燃焼を開始してエンジンを早期に始動させることができる。
【0111】
(第2実施形態)
第2実施形態は、上述した第1実施形態に係るエンジン停止始動制御を基本としつつ、さらに迅速にエンジン2の早期点火始動を実現しようとするものである。具体的には、本実施形態では、停止時に膨張行程で停止すると予測される気筒(以下、「停止時膨張行程気筒」とも呼ぶ。)に対しても予め燃料噴射を行って、エンジン停止時に混合気を封入しておき、エンジン始動時、その混合気に対して常圧着火を行うことにより、エンジン2のさらなる早期始動を図る。ここで、常圧着火とは、ECU70が、通常の圧縮行程による圧縮状態の混合気ではなく、大気状態に近い膨張行程の燃焼室内の混合気に対し、EFIを通じて点火することをいう。
【0112】
本実施形態の概要を説明すると、先ずエンジン停止制御中に停止時圧縮行程気筒及び停止時膨張行程気筒を予測する。例えば、エンジン停止時に、#1気筒は膨張行程、#3気筒は圧縮行程となると予測される場合には、ECU70は、それらの気筒へエンジン停止直前の吸気行程において夫々燃料噴射を行い、混合気を各燃焼室内に封入しておく。これにより、エンジン停止制御が完了してエンジンが停止したときには、各気筒の燃焼室内に混合気が封入され保持された状態となっている。しかも、その混合気は、前述のように、エンジン停止時のエンジン反転動作や、シリンダからの受熱による対流効果などによって、霧化した良好な混合気となっており、着火し易い状態となっている。
【0113】
よって、その後にエンジン始動条件が成立すると、ECU70は、先ず、モータジェネレータ3を駆動してクランキングを行うとともに、停止時圧縮行程気筒及び停止時膨張行程気筒に点火を開始する。これにより、モータジェネレータの駆動エネルギー、停止時圧縮行程気筒の爆発エネルギーに加えて、停止時膨張行程気筒の爆発エネルギーを利用してエンジンを始動させることができるので、エンジンの始動をより迅速化、確実化することができる。
【0114】
次に、第2実施形態におけるエンジン停止制御例について図11を参照して説明する。図11において、第2実施形態のエンジン停止制御が第1実施形態におるエンジン停止制御(図7参照)と異なるのは、時刻t1にて燃料カットが実行された後、停止時膨張行程気筒である#1気筒に対しても燃料の噴射が行われていることである。即ち、エンジン停止制御において、時刻t1で燃料カットが行われ、時刻t2でエンジン回転数が所定回転数まで低下するとモータジェネレータによるモータリングが開始される。その後、停止時膨張行程気筒である#1気筒がエンジン停止直前の吸気行程となる時刻t5で燃料カットが一時的に中断され、#1気筒に燃料噴射が行われる(矢印211)。続いて、停止時圧縮行程気筒である#3気筒でも燃料噴射が行われる(矢印210)。なお、これは第1実施形態と同様である。これら2つの気筒への燃料噴射が完了すると、時刻t6で再び燃料カットが実施される。そして、時刻t3でモータリングを終了し、エンジンは時刻t4で停止する。
【0115】
次に、第2実施形態におけるエンジン始動制御例について図12を参照して説明する。図12において、エンジン始動条件が具備されると、燃料カット信号がオフとなり燃料噴射が開始されるとともに、点火カット信号がオフとなり点火が実施される。図中の実停止位置で示すエンジン停止中には、停止時圧縮行程気筒である#3気筒と、停止時膨張行程気筒である#1気筒に混合気が封入されているので、エンジン始動時には、#1気筒に点火(矢印221)が行われるとともに#3気筒にも点火(矢印220)が行われ、爆発エネルギーによる駆動力が生成される。これら爆発エネルギーがモータジェネレータによるクランキングに追加されるので、エンジンの早期始動が可能となる。
【0116】
次に、第2実施形態に係るエンジン停止制御のフローチャートについて図13を参照して説明する。図13は、本実施形態による停止制御のフローチャートである。なお、この制御は基本的にECU70が各種センサからの出力信号に基づいて実行する。また、本実施形態において、第1実施形態と同様の箇所は簡略化して説明する。
【0117】
順に説明すると、ステップS201〜ステップS204までは、第1実施形態に係る停止制御方法のフローチャート(図9参照)のステップS1〜ステップS4と同様であるため、説明を省略する。
【0118】
次に、ステップS205では、ECU70は、モータリング開始時の気筒判別信号やモータリング時間などに基づいて、停止時圧縮行程気筒及び停止時膨張行程気筒の予測を行う。本例では、図11を参照して説明したように、ECU70は、エンジン停止時に、#1気筒が膨張行程、#3気筒が圧縮行程で停止するものと予測したとする。次に、ECU70は、カム角センサ92などからの出力信号に基づき、#1気筒及び#3気筒が現在どの行程にあるのか常時検出する。
【0119】
そして、ステップS206では、ECU70は、停止時膨張行程気筒、つまり検出した#1気筒が吸気行程になったか否か判定する。#1気筒が吸気行程になったときは、ステップS207へ移行し、ECU70は、吸気行程にある停止時膨張行程気筒、つまり#1気筒に対して所定量の燃料噴射を実行する。そして、燃料噴射が終了したときは、ステップS209へ移行する(ステップS208;Yes)。これにより、エンジン停止時、#1気筒は燃焼室内に混合気を封入した状態で停止することになる。
【0120】
次に、ステップS209へ移行するが、ステップS209〜ステップS211までは、第1実施形態に係る停止制御方法のフローチャート(図4参照)のステップS6〜ステップS8と同様である。即ち、ECU70は停止時圧縮行程気筒となる気筒、つまり#3気筒に対して吸気行程で所定量の燃料噴射を実行する。これにより、エンジン停止時に#3気筒は燃焼室内に混合気を封入した状態で停止することになる。
【0121】
次に、ステップS212では、ECU70は、各気筒に対する点火カットを実行する。次に、ステップS213では、ECU70は、モータ制御装置4からのモータリング停止指令信号を検出すると、モータリングを停止する(ステップS214)。なお、モータリング停止指令信号は、所定のモータリング時間が経過するとモータ制御装置4からECU70に送信される。そして、エンジン2が停止する(ステップS215)。こうして、エンジンが停止した状態では、#1気筒は膨張行程、#3気筒は圧縮工程となり、両気筒には混合気が封入された状態となる。
【0122】
次に、第2実施形態に係るエンジン始動方法について述べる。図14は、本実施形態によるエンジン始動制御のフローチャートである。なお、この制御は、基本的にECU70が各種センサからの出力信号に基づいて実行する。また、本実施形態において、第1実施形態と同様の箇所は簡略化して説明する。
【0123】
順に説明すると、ステップS301では、ECU70はエンジン始動条件が具備されたか否かを判定する。エンジン始動条件が具備されると、ECU70はモータジェネレータ3によるモータリングを開始する(ステップS302)。
【0124】
続いて、ステップS303では、ECU70は、カム角センサ92などからの出力信号に基づき、停止時膨張行程気筒(#1気筒)を検出して、点火装置に点火指令信号を送信し、停止時膨張行程気筒(#1気筒)の燃焼室内の混合気に対して点火を実行する(常圧着火)。これにより、クランクシャフトの駆動力が発生する。
【0125】
また、ECU70は、カム角センサ92などからの出力信号に基づき、停止時吸気行程気筒に対して燃料噴射を行い(ステップS304)、さらに停止時圧縮行程気筒に対して点火を行う(ステップS305)。停止時圧縮行程気筒は、前述のように混合気が封入されているので、直ちに燃焼が生じ、爆発エネルギーによりクランクシャフトの回転が得られる。こうしてエンジン2が始動する。
【0126】
以上説明したように、本発明の第2実施形態では、エンジン停止時に圧縮行程及び膨張行程となる気筒をエンジン停止制御中に予測して、その気筒に燃料を噴射して燃焼室内に混合気を封入しておく。よって、エンジン始動時にはその気筒で直ちに燃焼を開始してエンジンを早期に始動させることができる。
【0127】
なお、本実施形態では、モータジェネレータによるクランキング及び停止時圧縮行程気筒の爆発エネルギーに加えて、停止時膨張行程気筒の爆発エネルギーを利用して、早期のエンジン始動を行っている。先に述べたように、エンジン始動時には、まずモータジェネレータによるクランキングを実行するのであるが、モータジェネレータによる駆動は、モータジェネレータを駆動するバッテリーの充電電圧などが低い場合には励磁電流の立ち上がりが遅くなり、モータジェネレータの最大トルクを出力可能となるまでに時間を要する場合がある。この点、本実施形態のように、モータジェネレータによるエネルギーに加えて、停止時膨張行程気筒の爆発エネルギーを併用してエンジンを始動すれば、エンジン始動時に直ちに爆発エネルギーを得られる。これは、図12からわかるように、停止時圧縮行程気筒の燃焼(膨張行程)は時間的な遅れがあるが(矢印220)、停止時膨張行程気筒の燃焼は直ちに行われる(矢印221)からである。よって、エンジン始動時に上述のようなモータジェネレータによるトルク出力に時間的な遅れが生じた場合でも、停止時膨張行程気筒の爆発エネルギーによりエンジン始動までの時間を短縮できる点で特に有効である。
【0128】
なお、上述の第2実施形態は停止時圧縮行程気筒及び停止時膨張行程気筒に混合気を封入しておいてエンジン始動時に爆発エネルギーを生じさせるものであるが、停止時膨張行程気筒のみに混合気を封入し、爆発エネルギーを利用することもできる。但し、停止時圧縮行程気筒の爆発エネルギーは通常の燃焼と同様に圧縮状態の混合気を利用するため大きいが、それに比べると、停止時膨張行程気筒の爆発エネルギーは、常圧着火であり、混合気が未圧縮(大気圧程度)である分小さい。よって、第1実施形態に従って、停止時圧縮行程気筒の爆発を利用することに加えて、さらに停止時膨張行程気筒の爆発エネルギーも追加してエンジンの始動促進を図ることが望ましい。
【0129】
(第3実施形態)
上述の第2実施形態のエンジン始動制御においては、まずモータジェネレータによりクランキングを行うとともに、停止時圧縮行程気筒と停止時膨張行程気筒に点火して爆発エネルギーによりエンジン始動を促進する。よって、モータジェネレータの駆動力に、停止時膨張行程気筒の爆発エネルギーを追加してクランキングを行うことになる。しかし、何らかの原因で停止時膨張行程気筒で最初の点火(図12の矢印221参照)に失敗し、失火した場合には、爆発エネルギーが得られず、モータジェネレータのみによりクランキングが行われることになる。この場合、モータジェネレータの励磁電流がある値以上に増加していない状態でモータジェネレータを駆動すると、クランキングに必要なトルクが得られず、モータジェネレータがロックしてしまう恐れがある。
【0130】
そこで、本実施形態では、まず停止時膨張行程気筒による爆発エネルギーによりクランクシャフトが回転し始めたこと、つまりクランク角度の変化を検出し、クランク角度が一定時間にわたり変化しない場合は、励磁電流が所定値以上になってからモータジェネレータによる駆動を行う。停止時膨張行程気筒における爆発によりクランクシャフトが回転し始めた場合は、モータジェネレータの励磁電流が多少低く、トルクが多少小さくてもモータジェネレータがロックする可能性は低い。しかし、停止時膨張行程気筒における最初の点火に失敗した場合には、モータジェネレータのみでクランキングを行うことになる。よって、その場合には、モータジェネレータの励磁電流が所定値を上回り、ロックしない程度のトルクが得られる状態になってから、モータジェネレータによるクランキングを開始することとするのである。
【0131】
また、このようにクランク角度が変化し始めたことを確認してからモータジェネレータによるクランキングを開始することは、次のような利点もある。仮にモータジェネレータ3によるクランキングを先に実行すると、クランクシャフトが正方向に回転し、ピストンが作動するため停止時膨張行程気筒の燃焼室内の容積が大きくなり、そこに封入した混合気の圧縮度が小さくなってしまう。加えて、停止時膨張行程気筒ではピストンの作動に伴って排気弁も徐々に開き出す。よって、モータジェネレータによりクランクシャフトが駆動されることにより、停止時膨張行程気筒の常圧着火を行っても失火する確率が高くなる。また、失火を防止することができたとしても、停止時膨張行程気筒の燃焼室内の混合気の圧力が小さくなっているため、当該膨張行程気筒に対して常圧着火を行ったとしても、燃焼圧は小さいものとなる。よって、この場合も、エンジンの始動が失敗する可能性が高くなる。そこで、本実施形態では、停止時膨張行程気筒の最初の常圧着火が失敗し、クランク角度の変化が検出されない場合には、モータジェネレータで十分なトルクが得られるまで、モータジェネレータによるクランキングを実行しないこととしたのである。
【0132】
次に、第3実施形態に係るエンジン始動制御のフローチャートについて図15を参照して説明する。なお、第2実施形態に係るエンジン始動制御と重複する部分は簡略化して説明する。このエンジン始動制御は、基本的にECU70が各種センサからの出力信号に基づいて実行する。
【0133】
順に説明すると、ステップS401では、ECU70は、エンジン始動条件が具備されたか否かを判定する。エンジン始動条件が具備されると、ステップS402でモータジェネレータへの通電を開始する。但し、このとき、モータジェネレータによるクランキングは未だ行われない。
【0134】
次に、ステップS403では、ECU70は、クランク角センサ90などからの出力信号に基づき、停止時のクランク角度を検出する。なお、エンジン停止制御中に停止時のクランク角度が既知である場合は、この処理は省略することができる。続いて、ステップS404では、ECU70は、カム角センサ92などからの出力信号に基づき、停止時膨張行程気筒(#1気筒)を判別して点火を実行する(常圧着火)。
【0135】
続いて、ステップS405では、ECU70は、ステップS40での常圧着火によってクランクシャフトが回転駆動し始めたか否かを判定する。具体的には、先ず、ECU70は、クランク角センサ90などからの出力信号に基づき、常圧着火後のクランク角度を検出する。そして、ECU70は、ステップS403において検出したクランク角度との比較により、クランク角度が所定の角度まで変化したか否か判定する。これにより、停止時膨張行程気筒(#1気筒)での初爆(常圧着火)によってエンジン2の始動が成功したか否かを判定することができる。クランク角度の変化があったときは、ステップS40へ移行する(ステップS40;Yes)。一方、クランク角度の変化がなかったとき、若しくはクランク角度の変化があったとしても所定の角度まで変化しなかったときは、ステップS40へ移行する(ステップS40;No)。
【0136】
続いて、ステップS406に遷移した場合は、ECU70は、モータ制御装置4を通じて、モータジェネレータ3の励磁電流値を検出する。次に、ECU70は、ステップS406で検出したモータジェネレータ3の励磁電流値と、予め設定された電流値とを比較する。そして、ECU70は、そのモータジェネレータ3の励磁電流値が、設定された電流値以上になったか否か判定する(ステップS407)。モータジェネレータ3の励磁電流値が、設定された電流値以上になったときは、ステップS409へ移行する(ステップS408;Yes)。
【0137】
一方、モータジェネレータ3の励磁電流値が、設定された電流値より小さいときは、ステップS409へは移行しない(ステップS408;No)。即ち、ステップS408における判定の意義は、通電後のモータジェネレータ3の励磁電流値を検出することによって、モータジェネレータ3の出力トルクがクランクシャフトを回転駆動させるのに十分なトルクになったか否かを確認することにある。これにより、前述のようにモータジェネレータがロックしてしまうことを防止できる。
【0138】
続いて、ステップS408では、ECU70は、モータ制御装置4を通じて、モータジェネレータ3によるモータリングを開始する。これにより、確実にエンジン2の始動を行う。続いて、ステップS409にてECU70は停止時吸気行程気筒へ燃料を噴射し、ステップS401にて停止時圧縮行程気筒へ点火を実行して爆発を生じさせ、エンジン回転トルクを発生させる。こうして、エンジンが始動する。
【0139】
[変形例]
なお、本実施形態においては、説明の便宜上、ポート噴射方式、つまり吸気ポートに設けられたインジェクタを通じて燃料噴射を行うエンジンの場合を説明したが、筒内直噴方式、つまりピストンヘッド上端部近傍に設けられたインジェクタを通じて直接燃焼室内への燃料噴射を行うエンジンに対しても本発明は適用可能である。
【0140】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の内燃機関の停止始動制御装置によれば、機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測し、機関停止直前に、その気筒が吸気行程となったときにその気筒内に吸気ポートを通じて燃料を供給する。これにより、機関始動時には、その気筒内に封入された燃料を燃焼させることで初爆までの時間を短くし、迅速に機関の始動を行うことができる。また、モータによるクランキングも併せて行われるため、初め及び次の圧縮行程上死点への乗越しが容易になると共に、モータのロックも効果的に防止することができる。よって、確実に機関の始動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジン停止始動制御を行う車両のシステム構成を示す。
【図2】本発明に係るエンジンの概略構成図を示す。
【図3】クランク角センサ及びカム角センサの構成を示す図である。
【図4】クランク角センサ及びカム角センサの出力信号波形を示す。
【図5】エンジン停止制御によるエンジン回転数の推移を示すグラフである。
【図6】エンジン停止制御によるクランク角度位置の変化の様子を示すグラフである。
【図7】第1実施形態に係るエンジン停止制御例を示す。
【図8】第1実施形態に係る停止制御後のエンジン始動制御例を示す。
【図9】第1実施形態によるエンジン停止制御のフローチャートを示す。
【図10】第1実施形態によるエンジン始動制御のフローチャートを示す。
【図11】第2実施形態に係るエンジン停止制御例を示す。
【図12】第2実施形態に係るエンジン停止制御例を示す。
【図13】第2実施形態によるエンジン停止制御のフローチャートを示す。
【図14】第2実施形態によるエンジン始動制御のフローチャートを示す。
【図15】第3実施形態に係るエンジン始動制御のフローチャートを示す。
【符号の説明】
1 DCスタータ
2 エンジン
3 モータジェネレータ
4 モータ制御装置
5 電源装置
6 電源ケーブル
7 動力伝達装置
8 車輪
9 ECU
10 車両

Claims (8)

  1. 機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置において、
    前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、
    前記気筒を検出する検出手段と、
    前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、
    前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え
    前記供給手段は、前記機関の停止前に前記気筒内に吸気ポートを通じて燃料を供給することを特徴とする内燃機関の停止始動制御装置。
  2. 前記所定のクランク角度位置は、前記機関始動時に必要となる前記モータのトルクが小さくなる停止位置であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の停止始動制御装置。
  3. 機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置において、
    前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、
    前記気筒を検出する検出手段と、
    前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、
    前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、
    前記モータが、前記機関の回転数を所定回転数範囲内となるように制御することにより、前記機関を前記所定のクランク角度位置に停止させることを特徴とする内燃機関の停止始動制御装置。
  4. 機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置において、
    前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、
    前記気筒を検出する検出手段と、
    前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、
    前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、
    前記供給手段は、前記機関停止直前に前記検出手段に基づいて検出された前記気筒が吸気行程となるときに、前記気筒内に燃料を供給することを特徴とする内燃機関の停止始動制御装置。
  5. 機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置において、
    前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、
    前記気筒を検出する検出手段と、
    前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、
    前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、
    前記機関始動時に、前記モータに付与する電流値が所定値以上となったときに前記モー タを駆動させて、前記機関の駆動を開始することを特徴とする内燃機関の停止始動制御装置。
  6. 機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置において、
    前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、
    前記気筒を検出する検出手段と、
    前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、
    前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、
    前記予測手段は、前記モータによる駆動が終了されたときの前記機関の回転数に基づいて、前記圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測することを特徴とする内燃機関の停止始動制御装置。
  7. 機関停止時に前記機関を所定のクランク角度位置に停止させ、前記機関停止後に発進要求があった際に、前記機関をモータにより駆動させることによって自動的に再始動させる内燃機関の停止始動制御装置において、
    前記機関停止時に、圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測する予測手段と、
    前記気筒を検出する検出手段と、
    前記気筒内に燃料を供給する供給手段と、
    前記再始動を行う機関始動時に、前記気筒内に供給された燃料を燃焼させる燃焼手段と、を備え、
    前記予測手段は、前記モータによる駆動が開始されたときの各気筒の行程の種類を特定した後に、特定された前記各気筒の行程の種類、及び、前記モータによる駆動が終了されたときの前記機関の回転数に基づいて、前記圧縮行程及び/又は膨張行程となる気筒を予測することを特徴とする内燃機関の停止始動制御装置。
  8. 前記予測手段は、前記各気筒の行程の種類を、当該気筒のカムの位置に基づいて特定することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の停止始動制御装置。
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