JP2008014146A - 内燃機関の停止制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】MG(モータジェネレータ)のトルクでエンジンの回転停止位置を制御するシステムにおいて、エンジンのフリクションの変化の影響を受けずにエンジンの回転を目標停止位置で精度良く停止させることができるようにする。
【解決手段】エンジン11のアイドル運転時に検出した吸入空気量に基づいて、エンジン11のフリクションを反映したフリクション変化係数を算出する。そして、エンジン11の燃料噴射及び点火を停止してエンジン11の回転を停止させる際に、エンジン11の冷却水温に応じてフリクション変化係数を補正した後、エンジン11のクランク角位置に応じた基本指令トルクをフリクション変化係数で補正して最終的な指令トルクを求め、この指令トルクを発生するようにMG12のトルクをフィードフォワード的に制御することで、エンジン11の回転を目標停止位置で停止させる。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン11のアイドル運転時に検出した吸入空気量に基づいて、エンジン11のフリクションを反映したフリクション変化係数を算出する。そして、エンジン11の燃料噴射及び点火を停止してエンジン11の回転を停止させる際に、エンジン11の冷却水温に応じてフリクション変化係数を補正した後、エンジン11のクランク角位置に応じた基本指令トルクをフリクション変化係数で補正して最終的な指令トルクを求め、この指令トルクを発生するようにMG12のトルクをフィードフォワード的に制御することで、エンジン11の回転を目標停止位置で停止させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の回転を停止させる際にモータジェネレータのトルクで該内燃機関の回転停止位置を制御する内燃機関の停止制御装置に関するものである。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請からハイブリッド車の需要が急速に拡大している。現在、市販されているハイブリッド車は、エンジン(内燃機関)と、主に発電機として使用される第1のモータジェネレータと、主に車輪を駆動する第2のモータジェネレータとを動力分割機構を介して連結した方式のものが多い。
この方式のハイブリッド車では、第1のモータジェネレータでエンジンをクランキングしてエンジンを始動する際に、エンジン回転速度を速やかに上昇させて共振周波数帯域を速やかに通過させればエンジン始動時の振動を低減することができるが、エンジン始動時にモータジェネレータでエンジン回転速度を速やかに上昇させるには、予めエンジン停止時にエンジンの回転を目標停止位置で停止させておくことが望ましい。一般的には、目標停止位置は、エンジン始動時にピストンが圧縮上死点を乗り越えるのに必要なトルクがほぼ最小付近となる位置(上死点の少し手前)に設定される。
従来より、エンジンの回転停止位置を目標停止位置に制御することを目的として、特許文献1(特開平9−264235号公報)に記載されているように、エンジンの回転を停止させる際に、エンジンのクランク角位置に基づいてモータジェネレータのトルクを制御して、エンジンの回転を目標停止位置(特定のクランク角範囲内)で停止させるようにしたものがある。
また、特許文献2(特開2005−16505号公報)に記載されているように、エンジンの回転を停止させる際に、エンジンの回転を目標停止位置で停止させるために必要な目標エンジン回転速度を設定し、エンジン停止制御を開始する基準タイミングからのクランク角の実変位量と目標変位量との偏差に基づいて目標エンジン回転速度を補正すると共に、該目標エンジン回転速度を実現するようにモータジェネレータのトルクを制御することで、エンジンの回転を目標停止位置で停止させるようにしたものもある。
特開平9−264235号公報(第2頁等)
特開2005−16505号公報(第2頁〜第3頁等)
ところで、エンジンの経年劣化、潤滑油の種類や温度等の変化によってエンジンのフリクションが変化すると、エンジンの回転を目標停止位置で停止させるのに必要なモータジェネレータのトルクも変化する。
しかし、上記特許文献1の技術では、エンジンの経年劣化、潤滑油の種類や温度等の変化によるエンジンのフリクションの変化が全く考慮されておらず、単にエンジンのクランク角位置に基づいてモータジェネレータのトルクを制御するだけであるため、エンジンのフリクションが変化すると、その影響を受けてエンジンの回転を目標停止位置で停止させることができなくなる可能性がある。
また、上記特許文献2の技術では、エンジンのフリクションが変化した場合、そのフリクションの変化によって発生したクランク角の実変位量と目標変位量との偏差に基づいてモータジェネレータのトルクを制御するフィードバック制御を行うことになるが、この場合、エンジンのフリクションの変化によってエンジンの回転停止挙動に変化が現れてから、モータジェネレータのトルクを制御するため、エンジンの回転停止挙動が乱れて不快な振動が発生する可能性がある。
本発明は、これらの事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、内燃機関のフリクションの変化の影響を受けずに内燃機関の回転を目標停止位置で精度良く停止させることができると共に、内燃機関の回転停止時の振動を抑えることができる内燃機関の停止制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の回転を停止させる際にモータジェネレータのトルクで該内燃機関の回転停止位置を制御する停止位置制御手段を備えた内燃機関の停止制御装置において、内燃機関のフリクション又はそれに相関する情報(以下これらを「フリクション情報」と総称する)をフリクション情報検出手段により検出し、このフリクション情報と内燃機関のクランク角位置とに基づいてモータジェネレータのトルクを制御して該内燃機関の回転停止位置を制御するようにしたものである。
この構成では、内燃機関の回転を停止させる際に、内燃機関のフリクション情報とクランク角位置とに基づいてモータジェネレータのトルクを制御するため、内燃機関の経年劣化等によって内燃機関のフリクションが変化しても、その影響を受けずに内燃機関の回転を目標停止位置で精度良く停止させることができる。しかも、内燃機関のフリクションの変化によって内燃機関の回転停止挙動に変化が現れる前に、内燃機関のフリクション情報とクランク角位置とに基づいてモータジェネレータのトルクをフィードフォワード的に制御することが可能となるため、内燃機関の回転停止挙動の乱れを防止して、振動の少ない安定した回転停止挙動で内燃機関の回転を目標停止位置で精度良く停止させることができる。
この場合、請求項2のように、内燃機関のアイドル運転時の吸入空気量に基づいてフリクション情報を算出するようにすると良い。内燃機関のフリクションが大きくなると、内燃機関のアイドル回転速度を目標アイドル回転速度に維持するのに必要なトルクひいては吸入空気量が増加するため、アイドル運転時の吸入空気量に基づいてフリクション情報を算出すれば、内燃機関のフリクションを精度良く反映したフリクション情報を求めることができる。
また、請求項3のように、内燃機関のアイドル運転時で且つアイドル回転制御のスロットル開度(目標アイドル回転速度に対応したスロットル開度)を学習した後の吸入空気量に基づいてフリクション情報を算出するようにしても良い。このようにすれば、アイドル回転制御のスロットル開度(ISC開度)の学習が終了してアイドル回転速度が十分に安定したときの吸入空気量に基づいてフリクション情報を算出することができ、フリクション情報の検出精度を向上させることができる。
更に、請求項4のように、内燃機関のアイドル運転時に、エアフローメータ、吸気管圧力センサ、スロットル開度センサのうちの少なくとも1つを用いて検出した吸入空気量に基づいてフリクション情報を算出するようにすると良い。エアフローメータ、吸気管圧力センサ、スロットル開度センサのうちの少なくとも1つを用いれば、アイドル運転時の吸入空気量を精度良く検出することができ、その吸入空気量に基づいてフリクション情報を精度良く算出することができる。
また、請求項5のように、フリクション情報を内燃機関の冷却水温に応じて補正するようにしても良い。内燃機関の潤滑油の温度に応じて潤滑油の粘度が変化して内燃機関のフリクションが変化する。また、内燃機関の温度に応じて潤滑油の温度や冷却水温が変化するため、冷却水温は、潤滑油の温度に相関した情報となる。従って、冷却水温(潤滑油の温度情報)に基づいてフリクション情報を補正すれば、潤滑油の温度に応じて内燃機関のフリクションが変化するのに対応してフリクション情報を適正値に補正することができる。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてハイブリッド車の駆動システムの概略構成を説明する。ハイブリッド車には、内燃機関であるエンジン11と第1のモータジェネレータ(以下「第1のMG」と表記する)12と第2のモータジェネレータ(以下「第2のMG」と表記する)13が搭載され、エンジン11と第2のMG13が車輪14を駆動する動力源となる。エンジン11のクランク軸15の動力は、動力分割機構である遊星ギヤ機構16で二系統に分割される。この遊星ギヤ機構16は、中心で回転するサンギヤ17と、このサンギヤ17の外周を自転しながら公転するプラネタリギヤ18と、このプラネタリギヤ18の外周を回転するリングギヤ19とから構成され、プラネタリギヤ18には図示しないキャリアを介してエンジン11のクランク軸15が連結され、リングギヤ19には第2のMG13の回転軸と車輪14の駆動軸20が連結され、サンギヤ17には、主に発電機として使用する第1のMG12の回転軸が連結されている。
まず、図1に基づいてハイブリッド車の駆動システムの概略構成を説明する。ハイブリッド車には、内燃機関であるエンジン11と第1のモータジェネレータ(以下「第1のMG」と表記する)12と第2のモータジェネレータ(以下「第2のMG」と表記する)13が搭載され、エンジン11と第2のMG13が車輪14を駆動する動力源となる。エンジン11のクランク軸15の動力は、動力分割機構である遊星ギヤ機構16で二系統に分割される。この遊星ギヤ機構16は、中心で回転するサンギヤ17と、このサンギヤ17の外周を自転しながら公転するプラネタリギヤ18と、このプラネタリギヤ18の外周を回転するリングギヤ19とから構成され、プラネタリギヤ18には図示しないキャリアを介してエンジン11のクランク軸15が連結され、リングギヤ19には第2のMG13の回転軸と車輪14の駆動軸20が連結され、サンギヤ17には、主に発電機として使用する第1のMG12の回転軸が連結されている。
第1のMG12と第2のMG13は、それぞれインバータ27,28を介してバッテリ29と電力を授受するようになっている。また、第1のMG12と第2のMG13には、それぞれロータの回転位置を検出する回転位置センサ32,33が取り付けられ、これらの回転位置センサ32,33の出力信号に基づいて第1のMG12の回転速度と第2のMG13の回転速度が検出される。
また、図2に示すように、エンジン11の吸気管34の最上流部には、エアクリーナ35が設けられ、このエアクリーナ35の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ36が設けられている。このエアフローメータ36の下流側には、モータ37によって開度調節されるスロットルバルブ38と、このスロットルバルブ38の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ39とが設けられている。
更に、スロットルバルブ38の下流側に設けられたサージタンク40には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド41が設けられ、各気筒の吸気マニホールド41の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁42が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ43が取り付けられ、各点火プラグ43の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管44には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ45(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ45の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒46が設けられている。また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ47や、エンジン11のクランク軸15が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ31が取り付けられている。このクランク角センサ31の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
図1に示すように、ハイブリッドECU30は、ハイブリッド車全体を総合的に制御するコンピュータであり、アクセル開度を検出するアクセルセンサ21、自動変速機のシフトレンジを検出するシフトスイッチ22、ブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ23等の各種のセンサやスイッチの出力信号を読み込んで、車両の運転状態を検出し、要求走行モードを判定する。このハイブリッドECU30は、エンジン11の運転を制御するエンジンECU24と、第1のMG12の運転を制御する第1のMG−ECU25と、第2のMG13の運転を制御する第2のMG−ECU26との間で制御信号を送受信し、各ECU24〜26によって要求走行モードに応じてエンジン11と第1のMG12と第2のMG13の運転を制御する。
例えば、発進時や低中速走行時(エンジン11の燃費効率が悪い領域)は、エンジン11を停止させた状態に維持して第2のMG13の動力のみで走行する。また、エンジン11を始動する場合には、第1のMG12にトルクを発生して、遊星ギヤ機構16のサンギヤ17にトルクを作用させ、それによってサンギヤ17の外周に沿ってプラネタリギヤ18の公転速度を変化させることで、エンジン11のクランク軸15を回転駆動してエンジン11を始動する。
通常走行時は、エンジン11の燃費効率が最大となるように、エンジン11のクランク軸15の動力を遊星ギヤ機構16によって第1のMG12側と駆動軸20側(第2のMG13の回転軸側)の二系統に分割し、その一方の系統の出力で駆動軸20を駆動して車輪14を駆動し、他方の系統の出力で第1のMG12を駆動し、それによって発電した電力を第2のMG13に供給して第2のMG13の動力でも車輪14を駆動する。
急加速時は、最もトルクが要求されるため、通常走行時の発電電力の他にバッテリ29の直流電力も加えてインバータ28で交流電力に変換して第2のMG13に供給し、第2のMG13を運転する。また、減速時や制動時には、車輪14が第2のMG13を駆動して発電機として作動させ、車両の減速エネルギや制動エネルギを電力に変換してバッテリ29に充電する。
ところで、第1のMG12でエンジン11をクランキングしてエンジン11を始動する際には、エンジン回転速度を速やかに上昇させて共振周波数帯域(例えば300rpm付近の領域)を速やかに通過させれば、エンジン始動時の振動を低減することができるが、エンジン始動時に第1のMG12でエンジン回転速度を速やかに上昇させるには、予めエンジン停止時にエンジン11の回転を目標停止位置で停止させておくことが望ましい。一般的には、目標停止位置は、始動時にピストンが圧縮上死点を乗り越えるのに必要なトルクがほぼ最小付近となる位置(上死点の少し手前)に設定すれば良い。
そこで、ハイブリッドECU30は、後述する図3及び図4のエンジン停止制御用の各プログラムを実行することで、エンジン11のアイドル運転時の吸入空気量に基づいて、エンジン11のフリクションを反映したフリクション変化係数(フリクション情報)を算出し、エンジン11の燃料噴射及び点火を停止してエンジン11の回転を停止させる際に、エンジン11の冷却水温に応じてフリクション変化係数を補正した後、エンジン11のクランク角位置に応じた基本指令トルクをフリクション変化係数で補正して最終的な指令トルクを求め、この指令トルクを発生するように第1のMG12のトルクをフィードフォワード制御することで、エンジン11の回転を目標停止位置で停止させる。目標停止位置は、例えば、BTDC30℃AからTDC(上死点前30℃Aから上死点)までの範囲に設定されている。
以下、ハイブリッドECU30が実行する図3及び図4のエンジン停止制御用の各プログラムの処理内容を説明する。
[事前処理プログラム]
図3に示す事前処理プログラムは、ハイブリッドECU30のオン後に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいうフリクション情報検出手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、アイドル回転制御のスロットル開度(目標アイドル回転速度に対応したスロットル開度:ISC開度)を学習済みであるか否かを判定し、アイドル回転制御のスロットル開度をまだ学習していなければ、以降の処理を行うことなく本プログラムを終了する。
図3に示す事前処理プログラムは、ハイブリッドECU30のオン後に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいうフリクション情報検出手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、アイドル回転制御のスロットル開度(目標アイドル回転速度に対応したスロットル開度:ISC開度)を学習済みであるか否かを判定し、アイドル回転制御のスロットル開度をまだ学習していなければ、以降の処理を行うことなく本プログラムを終了する。
その後、上記ステップ101で、アイドル回転制御のスロットル開度を学習済みであると判定されたときに、ステップ102に進み、エンジン11がアイドル運転中であるか否かを判定し、アイドル運転中でなければ、以降の処理を行うことなく本プログラムを終了する。
一方、上記ステップ101と102で、共に「Yes」と判定された場合には、アイドル運転時で且つアイドル回転制御のスロットル開度を学習済みであるため、アイドル回転速度が十分に安定して吸入空気量が安定していると判断して、ステップ103に進み、エアフローメータ36で検出した吸入空気量を読み込む。
この後、ステップ104に進み、図6のフリクション変化係数のマップを参照して、アイドル運転時の吸入空気量に応じたフリクション変化係数を算出する。一般に、図5に示すように、エンジン11のフリクショントルクが大きくなると、アイドル回転速度を目標アイドル回転速度(例えば900rpm)に維持するのに必要なトルクひいては吸入空気量が増加するため、図6のフリクション変化係数のマップは、アイドル運転時の吸入空気量が所定値以上の領域では、アイドル運転時の吸入空気量が増加するほどフリクション変化係数が大きくなるように設定されている。
[エンジン停止制御プログラム]
図4に示すエンジン停止制御プログラムは、ハイブリッドECU30のオン後に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう停止位置制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、エンジン停止指令が出されたか否かを判定し、エンジン停止指令が出されていなければ、ステップ202以降のエンジン停止制御に関する処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
図4に示すエンジン停止制御プログラムは、ハイブリッドECU30のオン後に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう停止位置制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、エンジン停止指令が出されたか否かを判定し、エンジン停止指令が出されていなければ、ステップ202以降のエンジン停止制御に関する処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
その後、上記ステップ201で、エンジン停止指令(つまり燃料噴射及び点火の停止指令)が出されたと判定されたときに、ステップ202に進み、現在のエンジン11の冷却水温に応じてフリクション変化係数を補正する。一般に、エンジン11の冷却水温(潤滑油の温度の情報)が低くなると、潤滑油の粘度が高くなってエンジン11のフリクションが大きくなるため、図6に示すように、冷却水温が低くなるほどフリクション変化係数が大きくなるように補正される。
この後、ステップ203に進み、図7の基本指令トルクのマップを参照して、現在のエンジン11のクランク角位置に応じた第1のMG12の基本指令トルクを算出する。
図7(a)の基本指令トルクのマップは、エンジン停止制御の開始から暫くの間(例えばエンジン回転速度が所定値よりも高い期間)は、基本指令トルクがエンジン11の回転を停止させる方向(マイナス方向)に作用するトルクとなるように設定されている。また、図7(b)の基本指令トルクのマップは、エンジン11の回転が停止する直前の例えばエンジン回転速度が所定値以下になったときは、基本指令トルクの方向が反転して、基本指令トルクがエンジン11を回転させる方向(プラス方向)に作用するトルクとなるように設定されている。これにより、エンジン11の回転が目標停止位置に到達する前に停止することを防止して、エンジン11を目標停止位置まで回転させて停止させるように基本指令トルクが設定される。
この後、ステップ204に進み、基本指令トルクにフリクション変化係数を乗算することで、クランク角位置に応じた基本指令トルクをフリクション変化係数で補正して最終的な第1のMG12の指令トルクを求め、この指令トルクを発生するように第1のMG12のトルクをフィードフォワード制御する。
この後、ステップ205に進み、エンジン11の回転が停止したか否かを、例えばエンジン回転速度が停止判定値以下になったか否かによって判定する。エンジン11の回転が停止していなければ、ステップ203に戻り、クランク角位置に応じた基本指令トルクをフリクション変化係数で補正して最終的な指令トルクを求める処理(ステップ203、204)を繰り返す。その後、ステップ205で、エンジン11の回転が停止したと判定されたときに、本プログラムを終了する。
尚、エンジン停止制御の開始時から基本指令トルクをフリクション変化係数で補正して指令トルクを求めるようにしても良いが、エンジン11の回転が停止する直前の期間(例えばエンジン回転速度が所定値以下の期間)だけ、基本指令トルクをフリクション変化係数で補正して指令トルクを求めるようにしても良い。
エンジン11の経年劣化、潤滑油の種類や温度等の変化によってエンジン11のフリクションが変化すると、エンジン11の回転を目標停止位置で停止させるのに必要な第1のMG12のトルクも変化する。
しかし、従来は、図9に示すように、エンジン11の回転を停止させる際に、エンジン11のフリクションの変化を考慮せずに、単にエンジン11のクランク角位置に基づいて第1のMG12のトルクを制御するため、エンジン11のフリクションが変化すると、その影響を受けてエンジン11の回転を目標停止位置で停止させることができなくなる可能性がある。
これに対して、本実施例では、図8に示すように、エンジン11の回転を停止させる際に、エンジン11のフリクションを反映したフリクション変化係数とクランク角位置とに基づいて第1のMG12のトルクを制御するため、エンジン11の経年劣化等によってエンジン11のフリクションが変化しても、その影響を受けずにエンジン11の回転を目標停止位置で精度良く停止させることができる。これにより、第1のMG12でエンジン11をクランキングしてエンジン11を始動する際に、エンジン回転速度を速やかに上昇させて共振周波数帯域を速やかに通過させることが可能となり、エンジン始動時の振動を低減することができる。
しかも、エンジン11のフリクションの変化によってエンジン11の回転停止挙動に変化が現れる前に、エンジン11のフリクション変化係数とクランク角位置とに基づいて第1のMG12のトルクをフィードフォワード的に制御することができるため、エンジン11の回転停止挙動の乱れを防止して、振動の少ない安定した回転停止挙動でエンジン11の回転を目標停止位置で精度良く停止させることができる。
また、本実施例では、エンジン11のフリクションが大きくなると、エンジン11のアイドル回転速度を目標アイドル回転速度に維持するのに必要なトルクひいては吸入空気量が増加することに着目して、アイドル運転時の吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を算出するようにしたので、エンジン11のフリクションを精度良く反映したフリクション変化係数を求めることができる。
更に、本実施例では、エンジン11のアイドル運転時で且つアイドル回転制御のスロットル開度(目標アイドル回転速度に対応したスロットル開度)を学習した後の吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を算出するようにしたので、アイドル回転制御のスロットル開度の学習が終了してアイドル回転速度が十分に安定したときの吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を算出することができ、フリクション変化係数の検出精度を向上させることができる。
また、本実施例では、フリクション変化係数をエンジン11の冷却水温(潤滑油の温度の情報)に応じて補正するようにしたので、潤滑油の温度に応じてエンジン11のフリクションが変化するのに対応してフリクション変化係数を適正値に補正することができ、エンジン11の回転停止位置の制御精度を更に向上させることができる。
尚、上記実施例では、エアフローメータ36で検出した吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を算出するようにしたが、吸気管圧力センサを備えたシステムでは、吸気管圧力センサの出力に基づいて検出した吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を算出するようにしても良い。或は、スロットル開度センサ39で検出したスロットル開度から推定した吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を算出するようにしても良い
また、上記実施例では、吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を求め、このフリクション変化係数で基本指令トルクを補正するようにしたが、吸入空気量に基づいてエンジン11のフリクションを求め、このフリクションに基づいて基本指令トルクを補正するようにしても良い。
また、上記実施例では、吸入空気量に基づいてフリクション変化係数を求め、このフリクション変化係数で基本指令トルクを補正するようにしたが、吸入空気量に基づいてエンジン11のフリクションを求め、このフリクションに基づいて基本指令トルクを補正するようにしても良い。
また、上記実施例では、エンジン11と第1のMG12と第2のMG13とを遊星ギヤ機構16を介して連結した方式のハイブリッド車に本発明を適用したが、他の方式のハイブリッド車やエンジン11とトランスミッションとの間にMGを備えた車両に本発明を適用しても良く、本発明は、MGのトルクでエンジン11の回転停止位置を制御するシステムに広く適用して実施できる。
11…エンジン(内燃機関)、12…第1のMG、13…第2のMG、16…遊星ギヤ機構、24…エンジンECU、25…第1のMG−ECU、26…第2のMG−ECU、30…ハイブリッドECU(停止位置制御手段,フリクション情報検出手段)、31…クランク角センサ、36…エアフローメータ、38…スロットルバルブ、39…スロットル開度センサ、47…冷却水温センサ
Claims (5)
- 内燃機関の回転を停止させる際にモータジェネレータのトルクで該内燃機関の回転停止位置を制御する停止位置制御手段を備えた内燃機関の停止制御装置において、
内燃機関のフリクション又はそれに相関する情報(以下これらを「フリクション情報」と総称する)を検出するフリクション情報検出手段を備え、
前記停止位置制御手段は、前記フリクション情報検出手段で検出したフリクション情報と内燃機関のクランク角位置とに基づいて前記モータジェネレータのトルクを制御して該内燃機関の回転停止位置を制御することを特徴とする内燃機関の停止制御装置。 - 前記フリクション情報検出手段は、内燃機関のアイドル運転時の吸入空気量に基づいて前記フリクション情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の停止制御装置。
- 前記フリクション情報検出手段は、内燃機関のアイドル運転時で且つアイドル回転制御のスロットル開度を学習した後の吸入空気量に基づいて前記フリクション情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の停止制御装置。
- 前記フリクション情報検出手段は、内燃機関のアイドル運転時に、エアフローメータ、吸気管圧力センサ、スロットル開度センサのうちの少なくとも1つを用いて検出した吸入空気量に基づいて前記フリクション情報を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の停止制御装置。
- 前記フリクション情報検出手段で検出したフリクション情報を内燃機関の冷却水温に応じて補正する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関の停止制御装置。
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