JP2006341561A - 印刷装置 - Google Patents

Abstract

【課題】枚葉段ボールシートの表面の所望位置に、インクジェット方式により良好なる印刷を施すことが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】吸引孔３５を備えた搬送コンベア４３を備え、枚葉段ボールシートを搬送する搬送装置と、枚葉段ボールシートの印刷面の側に、該印刷面から間隔を隔てて配置されたインクジェットヘッド４０とを有する枚葉段ボールシートの印刷装置において、前記インクジェットヘッド４０は、支持板９０に載置され、該支持板４０には、枚葉段ボールシートの搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ、インクジェットノズル４４と前記印刷面との間のスペースを仕切るように、印刷面に向かって、前記インクジェットノズル群の幅方向全体に亘って延びるスカート９４を設けた。
【選択図】図３

Description

本発明は、インクジェット方式により印刷を行う印刷装置に関し、より詳細には、枚葉式で搬送される段ボールシートのシート面の所望位置に対してインクジェット方式により鮮明な印刷を行う印刷装置に関する。

枚葉段ボールシートに対してインクジェット方式により印刷を行う印刷装置が、例えば特許文献１に開示されている。この印刷装置は、吸引孔を備えた搬送コンベアを備え、枚葉段ボールシートを搬送する搬送装置と、枚葉段ボールシートの搬送コンベアに対向する一方の面を吸引孔を通して吸引する吸引装置と、枚葉段ボールシートの他方の印刷面の側に、印刷面から間隔を隔てて配置されたインクジェットヘッドとを有し、インクジェットヘッドは、先端と印刷面とが所定間隔となるように配置されて、印刷面に向かってインクを噴射するインクジェットノズルを内部に有する。

このような構成により、吸引装置により吸引孔を通じて枚葉段ボールシートを搬送コンベアに対して吸引しつつ、搬送コンベアにより搬送することにより、インクジェットヘッドを横切るとき、インクジェットノズルの先端から印刷面に向かってインク粒子を噴射することにより、印刷面にインク粒子が着弾し、印刷面にドットが形成されることにより印刷が施される。
しかしながら、従来の印刷装置は、以下のような技術的問題点を有する。
すなわち、段ボールシートを印刷する際、枚葉段ボールシートの反り及び搬送方向の搬送コンベアに対するずれを防止することが必要であり、そのために段ボールシートを搬送コンベアの吸引孔を通じて吸引装置により、搬送コンベアに対して吸引している。このとき、段ボールシートを特に枚葉式で搬送することに起因して、搬送方向に隣合うシート同士の間には隙間が形成される。この隙間の部分の吸引孔は段ボールシートにより覆われていないため、吸引装置からの吸引力は、インクジェットヘッドの搬送方向上流側或いは下流側に位置する枚葉段ボールシート間の隙間にある吸引孔を通じて、インクジェットヘッドが設置されている側の雰囲気に及ぶ。その結果、インクジェットヘッドと印刷面との間のスペース内の雰囲気が乱されることにより、インクジェットノズルの先端から噴射されたインク粒子が印刷面に至る間に偏向されて、印刷面の所望の印刷位置からインク粒子の着弾位置がずれ、枚葉段ボールシートの表面にインクジェット方式により必要なドットを形成することが困難となり、不鮮明な印刷或いは印刷不良、場合により印刷の体をなさない事態を生じる。かといって、インクジェットヘッドは、無数のインクヘッドノズルを有するため、各インクヘッドノズルごとに、インク粒子の偏向対策を施すのは困難を極める。

特開平３−１２１８５３号公報

本発明は、以上の技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、枚葉段ボールシートの表面の所望位置に、インクジェット方式により良好な鮮明なる印刷を施すことが可能な印刷装置を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明に係る印刷装置は、
吸引孔を備えた搬送コンベアを備え、枚葉段ボールシートを搬送する搬送装置と、
枚葉段ボールシートの前記搬送コンベアに対向する一方の面を前記吸引孔を通して吸引する吸引装置と、
枚葉段ボールシートの他方の印刷面の側に、該印刷面から間隔を隔てて配置されたインクジェットヘッドとを有し、
該インクジェットヘッドは、先端と前記印刷面とが所定間隔となるように配置されて、前記印刷面に向かってインクを噴射するインクジェットノズル群を内部に有する、枚葉段ボールシートの印刷装置において、
前記インクジェットヘッドは、枚葉段ボールシートの搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ、前記インクジェットノズルと前記印刷面との間のスペースを仕切るように、前記インクジェットヘッドから前記印刷面に向かって、前記インクジェットノズル群の幅方向全体に亘って延びるスカートを有する、構成としている。
このような構成によれば、吸引装置により吸引孔を通じて枚葉段ボールシートを搬送コンベアに対して吸引しつつ、搬送コンベアにより搬送することにより、枚葉段ボールシートは、搬送方向に隣合う同士の間に隙間を形成しながら、インクジェットヘッドに向かって搬送される。枚葉段ボールシートが、インクジェットヘッドを横切るとき、インクジェットノズルの先端から印刷面に向かってインク粒子を噴射することにより、枚葉段ボールシートの反り及び搬送方向の搬送コンベアに対するずれを防止しつつ、印刷面にインク粒子が着弾し、印刷面にドットが形成されることにより印刷が施される。
その際、吸引装置からの吸引力は、インクジェットヘッドの搬送方向上流側或いは下流側に位置する枚葉段ボールシート間の隙間にある吸引孔を通じて、インクジェットヘッドが設置されている側の雰囲気に及ぶ。このとき、インクジェットノズル全体を内部に有するインクジェットヘッドの上流側及び下流側にそれぞれ、スカートを設け、各スカートをインクジェットから印刷に向かって、枚葉段ボールシートの幅方向全体に亘って延びる形態として、インクジェットヘッドと印刷面との間のスペースを仕切ることにより、単に簡便な部材を設けるだけで、インクジェットヘッドと印刷面との間のスペース内の雰囲気が乱されることにより、インクジェットノズルの先端から噴射されたインク粒子が印刷面に至る間に偏向されて、印刷面の所望の印刷位置からインク粒子の着弾位置がずれることを許容範囲内に抑制することが可能となり、その結果枚葉段ボールシートの表面にインクジェット方式により必要な位置にドットを形成して、良好なる鮮明な印刷を施すことが可能となる。

また、前記インクジェットヘッドは、矩形水平断面を有し、前記一方のスカートは、前記インクジェットヘッドの搬送方向上流側の面に固定され、前記他方のスカートは、搬送方向下流側の面に固定され、前記スカートの先端と印刷面との間隔が、前記吸引装置の吸引強さ及び／または前記インクジェットノズルの先端と前記印刷面との間隔に応じて、可変であるのが好ましい。
さらに、前記吸引装置は、前記搬送コンベアを介して枚葉段ボールシートと反対側に、前記吸引孔に通じる吸引ボックスを有し、該吸引ボックスの幅方向長さは、枚葉段ボールシートの幅に応じて可変であり、
前記スカートは、その先端が搬送中の枚葉段ボールシートの前記印刷面に接触するとき、前記印刷面を傷付けないような可撓性を有するのがよい。
さらにまた、前記インクジェットヘッドは、枚葉段ボールシートの幅方向に互いに間隔を隔てて配置された複数のヘッドからなるヘッド列を複数列有し、該複数のヘッド列は、該複数のヘッド列の前記インクジェットノズル群全体により枚葉段ボールシートの幅方向全体をカバーするように、枚葉段ボールシートの搬送方向に互いに間隔を隔てて配置され、
前記複数のヘッド列の各ヘッドは、該ヘッドと前記印刷面との間のスペースを仕切るように、該ヘッドから前記印刷面に向かって、枚葉段ボールシートの搬送方向に延びるスカートをさらに有するのでもよい。
加えて、前記インクジェットヘッドを載置するための支持板をさらに有し、
該支持板は、前記インクジェットヘッドの対応する位置に、前記インクジェットヘッド内部のインクジェットノズル全体を取り囲むに十分な大きさの開口を有し、
前記開口は、前記印刷面に向かって下方に延び、前記開口の周全体に亘るスカートを有するのでもよい。

本発明の印刷装置を用いて段ボールシートの表面を印刷する場合を例に以下に詳細に説明する。
図１及び図２において、印刷装置１０は、給送ユニット１２、印刷ユニット１４、スタックユニット１６からなり、各ユニットがシートの給送方向（矢印）に直列に整列されている。
給送ユニット１２は、上流工程で製造された枚葉シートを印刷ユニット１４に向けて枚葉式に給送するユニットであり、枚葉シートをバッチ式に積層するホッパー１８と、枚葉シートを印刷ユニット１４に向けて搬送するコンベア２０と、枚葉シートをコンベア２０に対して吸着する吸引装置２２とを有する。ホッパー１８は、給紙方向上流側に配置されたバックストッパ２４と、下流側に配置され、上下方向に可動なフロントストッパ２６とを有し、両ストッパ間にシートを一枚ずつ積層するようにしている。フロントストッパ２６の下端は、コンベア２０のローラの上面との間にシートの１枚分の厚みより大きく、２枚分の厚みより小さい間隔を設けている。このような構成により、コンベア２０により積層したシートを１枚づつ印刷ユニット１４に向けて搬送するようにしている。コンベア２０は、一方が駆動ローラ２８、他方がアイドルローラ２９であり、給送方向に所定長さに亘って延びる一対のローラと、一対のローラ間で無端状に設けられたベルト３４とを有する。コンベア２０は、給送方向に直交するシートの幅方向に所定間隔を隔てて設けた一対のアイドルローラ３０の間に設けられ、シートが、一対のアイドルローラ３０間にまたがってベルト３４により案内されることにより、印刷ユニット１４に向かって給送されるようにしている。この場合、ベルト３４には、多数の吸引孔３５が設けられ、ベルト３４上に吸引孔３５を覆うように配置されたシートが、後に説明する吸引装置２２により、ベルト３４に対して吸着され、これにより搬送の際のシートのずれを防止することが可能となるようにしている。吸引装置２２について説明すれば、吸引装置２２がベルト３４の下方に設けられ、ベルト３４の給送方向全体に亘って延びる吸引ボックス３６と、吸引ボックス内のエアを吸引するファン３７とを有する。

印刷ユニット１４は、シートより上方に配置されたインクジェットヘッド４０と、インクジェット制御装置４１（図６）と、シートより下方に配置された吸引装置４２と、給送ユニット１２と同様なコンベア４３とを有する。インクジェットヘッド４０は、互いに所定間隔を隔てた２組のヘッド群４０を構成し（シートの給送方向上流から順に第１インクジェットヘッド群４０a及び第２インクジェットヘッド群４０bとする）、各インクジェットヘッド群４０a、４０bはそれぞれ、複数のインクジェットノズルヘッドを有し、各ヘッドは、後に説明する、インクジェットヘッド４０のインクジェットノズル群４４全体により、シートの幅方向全体がカバーされるように、シートの給送方向に対して略直交する向きに、幅方向に所定間隔を隔てて整列されている。ヘッド４０の数は、印刷すべきシートの幅に応じて定めればよく、本実施例では、第１及び第２インクジェット群４０a、４０bそれぞれについて３基、合計６基である。

図７に示すように、各ヘッド４０は、ＹＭＣＫ（イエロー、マゼンダ、シアン、及び）の色ごとの専用インクジェットノズル４４群（４４_Y、４４_M、４４_C、４４_K）を有し、色ごとの各ノズル４４群は、複数のノズルを有し、各ノズルは、シートの幅方向に所定間隔、たとえば８４μｍ離間してたとえば３００基整列されたユニットを幅方向に４ユニット並べている。ＹＭＣＫの４基の専用インクジェットノズル群４４_Y、４４_M、４４_C、４４_Kは、シートの給送方向上流から下流（矢印）に向かって、ＹＭＣＫの順に、たとえば２５mmの間隔を隔てて配置されている。このインクジェットノズル群４４の配置により、シート上には、３００ｄｐｉの印刷が施される。なお、段ボールシート上にインクジェットにより印刷を行う場合、印刷の鮮明さ及び印刷効率の観点から、３００ｄｐｉないし９００ｄｐｉが好ましく、所望ｄｐｉに応じて、ノズル群の配置を変更すればよい。
これにより、シートが給送されるとき、各インクジェットヘッド４０がカバーするシートの幅方向の所定範囲において、シートの幅方向位置ごとに、対応するＹＭＣＫの４基の専用インクジェットが設けられ、後に説明するインクジェット制御装置４１からの制御信号により、ＹＭＣＫの４基の専用インクジェットノズル群４４のどのノズル４４からインク粒子を噴射するかを制御して、シートのシート面にＹＭＣＫのドットを形成して、印刷を行うようにしている。
より詳細には、各ノズル４４にインク供給源４５（図７）から供給されたインクを各ノズル４４の開口４６からシートの印刷すべきシート面Sに向かって噴射して、いわゆるインクジェット方式により印刷を行うようにしている。噴射方式は、いわゆるサーマルバブル方式であり、インクジェットノズル４４の下端を電圧印加により加熱することにより、ノズル４４内にバブルを形成して、それによりバブルの体積分に相当するインク粒子がインクジェットノズル４４の先端から噴射されるようにしている。

吸引装置４２及び搬送コンベア４３については、給送ユニット１２と同様であり、図１及び図２に示すように、吸引装置４２は、搬送コンベア４３の下方に設けられた吸引ボックス４７とファン４９とを有する。搬送コンベア４３は、幅方向に所定間隔を隔てた４列のコンベアからなり、各コンベアには、吸引孔３５が設けられ、枚葉式シートが印刷ユニット１４に給送されるとき、吸引装置４２による吸引力が、給送方向に隣合うシート同士の隙間に位置する吸引孔３５を通じて、シートの下側から上側に、かくしてインクジェットヘッド４０と給送されるシートのシート面Sとの間のスペース５３に及ぶ。これにより、スペース５３内において各インクジェットノズル４４からシート面に向かって噴射されるインク粒子に対して、その飛翔経路が偏向される要因となる。吸引強さは、たとえば１ＫＰａないし５ＫＰａが好ましい。

図１及び図２に示すように、吸引ボックス４７は、幅方向には、搬送コンベア４３に設けられた吸引孔３５全体をカバーする長さを有し、シートの給送方向には、シートの給送方向長さ以上の長さを有し、搬送コンベア４３に臨む矩形開口を有する。吸引ボックスの内部には、シートの給送方向（矢印）に延びる一対のダンパー８１a、８１bが設けられ、一対のダンパー８１a、８１bにより、一対のダンパー８１a、８１bにより挟まれた吸引エリア８２と、非吸引エリア８３a、８３bとに仕切るようにしている。一対のダンパー８１a、８１bは、それぞれ幅方向に延びる一対のねじ軸８４a、８４bにより支持され、各ねじ軸８４a、８４bの一端に連結されたダンパー調整用モータ８５a、８５bにより対応するねじ軸８４a、８４bが回転し、以って一対のダンパー８１a、８１bを幅方向に移動することにより、印刷される段ボールシートの幅に応じて、吸引エリア８２の幅を調整するようにしてある。

図３に示すように、搬送コンベア４３の上方には、インクジェットヘッド４０を載置するための支持板９０が、搬送コンベア４３に略平行に配置されている。支持板９０は、インクジェットヘッド４０を搭載するのに十分な大きさを有し、図４に示すように、四隅がねじ軸９１a、９１b、９１ｃ及び９１dで支承されている。より詳細には、図５に示すように、各隅において、ねじ軸９１a、９１b、９１ｃ及び９１dはそれぞれ、昇降用モータ９２a、９２b、９２ｃ及び９２dに連結され、四隅の昇降モータ９２を同期して作動させることにより、ねじ軸９１が回転し、以って支持板９０をシートの搬送面に平行な状態で昇降可能にしている。支持板９０の各インクジェットノズル群４４に対応する位置には、矩形開口９３が設けられる。矩形開口９３の大きさは、各インクジェットヘッド４０の内部に設けられているインクジェットヘッドノズル群４４全体を取り囲むに十分な大きさである。これにより、各インクジェットヘッド４０の内部に設けられたインクジェットノズル４４から噴射されたインクが、矩形開口９３を介してシート面に向かって着弾するようにしている。矩形開口９３の周縁には、下方に延びるスカート９４が設けられている。スカート９４の高さは、昇降モータ９２により支持板９０の高さを調整する際、インクジェットノズル４４の下端とシート面Sとの間隔を想定される最小間隔にしたときに、シート面に接触しない範囲としている。これにより、オーダチェンジにより段ボールシートの厚さが変動した場合に、インクジェットノズル４４の下端とシート面との間隔が調整可能である。或いは、吸引ユニットによる吸引強さに応じて、スカート９４の下端とシート面との間隔を調整して、スカート９４により開口９３まわりのスペースを仕切る程度を調整することにより、インクジェットノズル４４から噴射されたインク粒子が飛翔中に吸引力により偏向を受ける程度を調整してもよい。

スカート９４は、支持板９０の縁部を折り曲げ加工して支持板９０と一体にしてもよいし、矩形開口９３の周縁に十分な可撓性を備えた樹脂製部材、たとえばテフロン（登録商標）製部材を設けてもよい。これにより、スカート９４の先端が搬送される印刷面に接触するとしても、印刷面が傷付かないように保護することが可能となる。
図６に示すように、インクジェット制御装置４１は、シート位置検出センサー５０と、コンベア駆動モータ軸５２に設けられたエンコーダ５４と、シート位置検出センサー５０からの検出信号及びエンコーダ５４からのエンコーダ信号を受信して演算処理を行う演算処理装置５６と、演算処理装置５６からの演算信号を受信して、インクジェットヘッドの各インクジェットノズルに制御信号を発信して、バブルの形成を制御するバブル制御装置５８とを有する。

以上の構成を有する印刷装置１０について、その作用を印刷方法とともに以下に説明する。
まず、印刷する段ボールシートの厚さに応じて、昇降モータ９２を駆動することにより支持板９０の高さを調整し、それによりインクジェットノズル４４の先端と印刷面との間隔を適正な間隔Ｈ（たとえば、１．０ｍｍないし１．５ｍｍ）となるように調整する。次いで、印刷する段ボールシートの幅に応じて、ダンパー調整用モータ８５を駆動することにより、一対のダンパー８１a、８１b板の幅方向位置を調整し、段ボールシートの幅全体に亘って吸引されるように吸引ボックスの吸引エリア８２の幅を調整する。
また、シート位置検出センサー５０による検出位置から各インクジェットヘッド４０ノズル４４までの給送方向距離データ（Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３及びＬ４）及びシートの給送速度データＶを予め演算処理装置５６に記憶させておく。シートが１枚ずつ枚葉式に給送ユニット１２から印刷ユニット１４に給送される際、枚葉シートは、下面が吸引装置２２により吸引されることにより、シートの反りが矯正された状態で、搬送コンベア２０に対して搬送方向にずれを生じることなしに、インクジェットヘッド４０の各ノズル４４の真下を通過する。シート位置検出センサー５０が枚葉シートの前端を検出すると、検出信号を演算処理装置５６に送信する。それと同時に、エンコーダ５４がコンベア駆動モータ４２の軸の回転数をカウント開始して、カウント数信号を演算処理装置５６に発信する。演算処理装置５６は、カウント数信号をシートの給送速度データに基づいて給送方向距離データに換算し、給送方向距離データが給送方向距離データに一致したとき、それぞれバブル制御装置５８に制御信号を送信し、バブル制御装置５８は、インクジェットヘッド４０のノズル４４ごとに制御信号を発信して、各ノズル４４よりインクをシートのシート面Sに向けて噴射して、シートのシート面Sに着弾させることにより、ＹＭＣＫのドットが無数に形成され、それにより所望の色及び形の印刷が行われる。

より詳細には、サーマル方式により所定電圧を印加して、所定体積のバブルを形成することにより、所定の大きさのインク粒子がノズル４４先端より矩形開口９３を経てシート面Sに向けて噴射され、シート面に着弾する。この場合、給送方向に隣合う枚葉段ボールシート同士の隙間に位置する吸引孔３５と、段ボールシートの幅を越える領域に位置する吸引孔３５とは、いずれも段ボールシートにより覆われていないことから、吸引ユニットにより発生する吸引力がこれらの吸引孔３５を通じて段ボールシートの上側に、かくしてインクジェットノズル４４と印刷面との間のスペースに及ぶ。その際、矩形開口９３の給送方向上流側及び下流側のスカート９４は、主として給送方向に隣合う枚葉段ボールシート同士の隙間に位置する吸引孔３５からの影響を防止し、一方矩形開口９３の両側のスカート９４は、主として段ボールシートの幅を越える領域に位置する吸引孔３５からの影響を防止する。これにより、単に簡便な部材を設けるだけで、インクジェットヘッド４０と印刷面との間のスペース内の雰囲気が乱されることにより、インクジェットノズル４４の先端から噴射されたインク粒子が印刷面に至る間に偏向されて、印刷面の所望の印刷位置からインク粒子の着弾位置がずれることを許容範囲内に抑制することが可能となり、その結果枚葉段ボールシートの表面にインクジェット方式により必要な位置にドットを形成して、良好なる印刷を施すことが可能となる。

このような印刷を第１インクジェットヘッド群４０a及び第２インクジェットヘッド群４０bそれぞれのインクジェットノズル４４において行う。より具体的には、第１インクジェットヘッド群４０aにより、シートの幅方向の第２領域A₂、第４領域A₄及び第６領域A₆について、シートの所定位置に所望形状で所望色の印刷が行われ、その後第２インクジェットヘッド群４０bにより、シートの幅方向の第１領域A₁、第３領域A₃及び第５領域A₅について、所定位置に所望形状で所望色の印刷が行われ、その結果、シートのシート面S全体に対して非接触式で印刷が行われる。図８に、シート面にりんごの絵柄を印刷をした場合を示す。
次いで、印刷が行われたシートは、スタックユニット１６に給送され、積層される。以上で、段ボールシートに対する印刷工程が完了する。

以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、当業者なら本発明の範囲内で種々の変更、或いは修正が可能である。例えば、本実施形態では、幅方向に複数のインクジェットヘッド４０を設け、各ヘッド４０ごとに矩形開口の周縁すべて、すなわち給送方向に直交する上流側及び下流側のみならず、給送方向に平行な両側にもスカート９４を設けるものとして説明したが、それに限定されることなく、幅方向に単一のインクジェットヘッド４０を設け、印刷される段ボールシートの幅が一定の場合には、シートの幅に合わせて吸引ボックス内のダンパー８１a、８１bの位置を調整しておくことにより、シートの幅を越えるエリアに位置する吸引孔による影響を常時回避することが可能であるので、この場合には、給送方向上流側及び下流側にスカート９４を設けるだけで、両側のスカート９４を省くことが可能である。
また、本実施形態では、印刷の対象を枚葉段ボールシートの平らなシート面として説明したが、それに限定されることなく、たとえば中芯の波形表面、さらには蛇行状の波形表面にも適用可能である。この場合、蛇行状の波形表面に対して所望位置に良好なる印刷を施し、このような印刷済み波形面を外側に露出させた形態とすることにより、このような波形シートを外観上の美観に優れた食品包装品、家具等調度品に利用することが可能となる。

図１は、本発明の印刷装置の概略平面図である。 図２は、本発明の印刷装置の概略側面図である。 図３は、本発明の印刷装置のインクジェットヘッド支持部まわりの概略拡大部分断面図である。 図４は、本発明の印刷装置の支持板を真上から見た平面図である。 図５は、本発明の印刷装置の支持板の隅部の部分側断面図である。 図６は、本発明の印刷装置の制御装置の略図である。 図７は、インクジェットノズルの配列を示す部分概略平面図である。 図８は、本発明の印刷装置により段ボールシートのシート面に印刷が行われた概念図である。 図９は、本発明の印刷装置の吸引ボックスの内部を示す概略平面図である。

符号の説明

Ｓ 枚葉段ボールシート面
１０ 印刷装置
１２ 給送ユニット
１４ 印刷ユニット
１６ スタックユニット
３５ 吸引孔
４０ インクジェットヘッド
４２ 吸引装置
４４ インクジェットノズル
４７ 吸引ボックス
９０ 支持板
９３ 矩形開口
９４ スカート

Claims (5)

1. 吸引孔を備えた搬送コンベアを備え、枚葉段ボールシートを搬送する搬送装置と、
   枚葉段ボールシートの前記搬送コンベアに対向する一方の面を前記吸引孔を通して吸引する吸引装置と、
   枚葉段ボールシートの他方の印刷面の側に、該印刷面から間隔を隔てて配置されたインクジェットヘッドとを有し、
   該インクジェットヘッドは、先端と前記印刷面とが所定間隔となるように配置されて、前記印刷面に向かってインクを噴射するインクジェットノズル群を内部に有する、枚葉段ボールシートの印刷装置において、
   前記インクジェットヘッドは、枚葉段ボールシートの搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ、前記インクジェットノズルと前記印刷面との間のスペースを仕切るように、前記インクジェットヘッドから前記印刷面に向かって、前記インクジェットノズル群の幅方向全体に亘って延びるスカートを有する、
   ことを特徴とする印刷装置。
2. 前記インクジェットヘッドは、矩形水平断面を有し、前記一方のスカートは、前記インクジェットヘッドの搬送方向上流側の面に固定され、前記他方のスカートは、搬送方向下流側の面に固定され、前記スカートの先端と印刷面との間隔が、前記吸引装置の吸引強さ及び／または前記インクジェットノズルの先端と前記印刷面との間隔に応じて、可変である請求項１に記載の印刷装置。
3. 前記吸引装置は、前記搬送コンベアを介して枚葉段ボールシートと反対側に、前記吸引孔に通じる吸引ボックスを有し、該吸引ボックスの幅方向長さは、枚葉段ボールシートの幅に応じて可変であり、
   前記スカートは、その先端が搬送中の枚葉段ボールシートの前記印刷面に接触するとき、前記印刷面を傷付けないような可撓性を有する、請求項１または請求項２に記載の印刷装置。
4. 前記インクジェットヘッドは、枚葉段ボールシートの幅方向に互いに間隔を隔てて配置された複数のヘッドからなるヘッド列を複数列有し、該複数のヘッド列は、該複数のヘッド列の前記インクジェットノズル群全体により枚葉段ボールシートの幅方向全体をカバーするように、枚葉段ボールシートの搬送方向に互いに間隔を隔てて配置され、
   前記複数のヘッド列の各ヘッドは、該ヘッドと前記印刷面との間のスペースを仕切るように、該ヘッドから前記印刷面に向かって、枚葉段ボールシートの搬送方向に延びるスカートをさらに有する、
   請求項１に記載の印刷装置。
5. さらに、前記インクジェットヘッドを載置するための支持板を有し、
   該支持板は、前記インクジェットヘッドの対応する位置に、前記インクジェットヘッド内部のインクジェットノズル全体を取り囲むに十分な大きさの開口を有し、
   前記開口は、前記印刷面に向かって下方に延び、前記開口の周全体に亘るスカートを有する、請求項１に記載の印刷装置。

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