JP2006281656A - 多層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】
表明の平滑性が改良されており、積層セラミックコンデンサーなどのコンデンサー、離型フィルムなどの種々の用途に用いることができる多層フィルム。
【解決手段】
ポリエステルフィルム(A)の少なくとも片面に、エポキシ基含有化合物などの光カチオン重合性物質からなる硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させてなる硬化樹脂層(B)、およびシリコーン樹脂層(C)がこの順に積層されてなる多層フィルムであって、厚さ1〜300μmのポリエステルフィルム(A)、厚さ0.1〜5μmの硬化樹脂層(B)および厚さ0.01〜5μmのシリコーン樹脂層(C)からなる多層フィルム。
【選択図】
なし
Description
本発明に用いられるポリエステルフィルムは、公知のポリエステルフィルムであり、未延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸フィルムの何れでもよいが、機械的強度、耐熱性等の点で二軸延伸フィルムが好ましい。
本発明に用いられるポリエステルフィルムの厚さ、表面粗さは用途により種々選択することができる。通常は、厚さが3〜100μm、好ましくは5〜50μmである。特に薄いフィルムであっても本発明により平滑化することができる。本発明ではまた、その表面粗さSRaは0.05μm程度のものであっても、本発明により平滑化することができる。
ポリエステルの成分の一つであるジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸などが例示され、中でもテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がポリエステルフィルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好ましい。また、かかるジカルボン酸成分は一種または二種以上であってもよい。
ポリエステルの他の成分であるグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールなどが例示され、中でもエチレングリコールがポリエステルフィルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好ましい。また、かかるグリコール成分は一種または二種以上であってもよい。
これらのポリエステルには、フィルムの滑り性を良好なものとするため有機や無機の微粒子を滑剤として、例えば0.001〜5重量%の配合割合で含有させることができる。
また、その他の配合剤として、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂などを必要に応じて添加することができる。
その際、更に130〜250℃で熱処理することも行われる。また、二軸延伸フイルムは熱処理する前に必要に応じて更に縦方向及び/又は横方向に再延伸することも行われる。
本発明において、硬化樹脂層(B)は、光カチオン重合性物質からなる硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させることにより形成することが望ましい。
エポキシ基含有化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンをアルカリの存在下に反応させることによって得られるビスフェノールA型エポキシ化合物をはじめ、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物などがある。ノボラック型エポキシ化合物には、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物などがある。その他、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル型エポキシ化合物およびこれらの水添物や臭素化物などがある。
具体例としては、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート828EL、エピコート828US(以上 ジャパン エポキシ レジン社製)、KRM−2400,KRM−2405、KRM−2410、KRM−2510(以上 旭電化工業社製)、エポライト4000、エポライト3002(以上は共栄社化学社製)などのビスフェノールA型エポキシ化合物がある。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、
ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルなどがある。
これらには、セロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2081(以上 ダイセル化学社製)、KRM−2110、KRM−2199(以上 旭電化工業社製)などがある。
これらのエポキシ基含有化合物は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
これらのエポキシ基含有化合物の中では、グリシジル基含有エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物が特に好適である。
オキセタン基含有化合物としては、1,4−ビス[{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ} メチル] ベンゼン、3−エチル−3−[(2−エチルヘキシロキシ)メチル] オキセタン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、
3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルオキセタン、2−ヒドロキシメチル−2−エチルオキセタン、2−ヒドロキシメチル−2−プロピルオキセタン、2−ヒドロキシメチル−2−ブチルオキセタンなどがある。
ビニルエーテル基含有化合物としては、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジグリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、アリルビニルエーテル、4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのアリールビニルエーテル;t−ブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類;水酸基をビニルエーテルで変性したモノマー、オリゴマーなどがある。
本発明では、光カチオン重合性物質と共にカチオン重合開始剤が用いられる。
カチオン重合開始剤には、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨウドニウム塩、アリールハロニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体などが挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
光増感剤
光カチオン重合開始剤は、光増感剤と併用することが望ましい。
光増感剤としては、例えばカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫過物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。具体的な光増感剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体、α,α―ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で使用しても混合して使用しても良い。光増感剤は、光カチオン重合性物質100重量部に対し、0.1ないし20重量部程度添加するのが好ましい。
硬化樹脂層(B)は、光カチオン重合性物質からなる硬化性組成物をポリエステルフィルム(A)の少なくとも片面に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して形成することが望ましい。
硬化性組成物には、光カチオン重合性物質の他に通常、光重合開始剤及び有機溶剤が含まれ、さらに必要に応じて、光増感剤が含まれる。
有機溶剤としては光カチオン重合開始剤と相溶性の良い溶剤を用いることが好ましい。
紫外線を照射する光源としては、炭素アーク、水銀蒸気アーク、蛍光ランプ、アルゴングローランプ、ハロゲンランプ、白熱ランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フラッシュUVランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、タングステンフィラメントランプなどがある。
活性エネルギー線照射量は、硬化性組成物の各成分の種類や量、塗工する厚み、光の照射源などによって適宜決定することができる。
このような着性向上剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
硬化樹脂層(B)の上には、引き続きシリコーン樹脂層(C)が積層される。
例えば、この範囲内にあれば、離型フィルム基材への密着性、離型工程の際の剥離強度の安定性、シリコーン樹脂成分の非移行性の点で性能の調整が可能であり、これにより目的とする優れた離型フィルムを得ることができる。
このような汚染を無くすあるいは汚染されても簡単に除去できるように、ポリエステルフィルム表面には、表面エネルギーの小さい樹脂を防汚染層として設けることが好ましい。たとえばシリコーン樹脂が好ましく、メチルポリシロキサンやフェニルメチルポリシロキサンを主成分としたものが特に好ましい。
次に本発明を実施例を通して説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら限定されるものではない。
下記の各サンプルの重合性化合物と開始剤をそれぞれメチルエチルケトンの溶液として調製し、それぞれ幅210mm×長さ290mm(A4サイズ)でフィルム厚みが38μm、表面粗さ(中心面平均粗さSRa)が0.028μmのPETフィルムの片面に、メーヤーバ−No.3を用いて塗工し、70℃のオーブンで20秒乾燥させ、さらに紫外線(UV)照射(120W×8m/分×4回照射)して硬化させ塗工膜とした。
アデカオプトマーKRM-2110(旭電化工業社製) 脂環族エポキシ化合物 1500質量部
SP−170(旭電化工業社製) 光カチオン重合開始剤 75質量部
メチルエチルケトン 有機溶媒 8425質量部
アデカオプトマーKRM-2405(旭電化工業社製) エポキシ化合物(注1)1500質量部
SP−170(旭電化工業社製) 光カチオン重合開始剤 75質量部
チルエチルケトン 有機溶媒 8425質量部
注1: 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエピクロルヒドリン又は2−メチルエピクロヒドリンによるジグリシジルエーテル変性物
アデカオプトマーKRM−2604(旭電化工業社製)エポキシ化合物(注2)1500質量部
SP−170(旭電化工業社製) 光カチオン重合開始剤 75質量部
メチルエチルケトン 有機溶媒 8425質量部
注2: フェノールノボラック型エポキシ化合物
フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物又はアルキル(C=1〜9)フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロルヒドリン又は2−メチルエピクロルヒドリンによるグリシジルエーテル変性物
上記の各サンプルを水平台の上に塗工膜を上にして載置し、その塗工膜側に粘着テープ「No.31B」(日東電工(株)製)を貼り付けて200mm×50mmの大きさにカットし、さらにその粘着テープの上から20g/cm2となるように荷重を載せ、70℃で20時間エイジングした。
その後、引張試験機にて引張速度300mm/分で180°剥離を行い、剥離が安定した領域における平均剥離荷重を剥離力として求めた。
上記の各サンプルを水平台の上に塗工膜を上にして載置し、その塗工膜側に粘着テープ「No.31B」(日東電工(株)製)を貼り付けて200mm×50mmの大きさにカットし、さらにその粘着テープの上から20g/cm2となるように荷重を載せ、70℃で20時間エイジングした。その後、離型フィルムを剥がし、粘着テープをステンレス板に2kgゴムローラーにて3往復圧着し、70℃で2時間加熱処理する。次いで、JIS−C−2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)の方法に準じて接着力Fを測定する。粘着テープ「No.31B」を直接ステンレス板に粘着・剥離した際の接着力F0に対するFの百分率(F/F0×100)を残留接着率として求めた。
フィルムの塗工膜の表面粗さは、小坂研究所製の3次元表面粗さ測定器 SE−30Kを用い、触針式で、検出器:PU−DJ2S、触針先端半径 :R2μm、測定力:0.7mN、測定長 :1mm、Y送りピッチ :2μm、測定本数:201本、低域カットオフ値:0.25、広域カットオフ値:R+Wで測定した。
上記のサンプル1から3を用いて、上記の(2)から(5)について測定した。
また、上記のサンプル1において、硬化樹脂層(B)を省略した場合(比較例)についても同様に測定した。結果を表1に示す。
サンプル名 サンプル1 サンプル2 サンプル3 −
表面粗さSRa[μm] 0.008 0.009 0.009 0.027
剥離力[N/50mm] 0.08 0.08 0.08 0.09
残留接着力[%] 94 93 93 94
Claims (4)
- ポリエステルフィルム(A)の少なくとも片面に、光カチオン重合性物質からなる硬化樹脂層(B)、およびシリコーン樹脂層(C)がこの順に積層されてなる多層フィルム。
- 光カチオン重合性物質からなる硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させてなる硬化樹脂層(B)を用いることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
- 光カチオン重合性物質が、エポキシ基含有化合物から選ばれた少なくとも1種類の光カチオン重合性物質であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層フィルム。
- 厚さ1〜300μmのポリエステルフィルム(A)、厚さ0.1〜5μmの硬化樹脂層(B)および厚さ0.01〜5μmのシリコーン樹脂層(C)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多層フィルム。
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