JP4714018B2 - 多層フィルム - Google Patents

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本発明は表面平滑性に優れた多層フィルムに関する。
シリコーン樹脂層が積層された熱可塑性樹脂フィルムは、離型フィルムとして粘着フィルム、樹脂シート成形用の工程フィルムなどの用途に用いられている。最近では、積層セラミックコンデンサー製造用の工程フィルムとしても使用されている。
積層セラミックコンデンサーについては、近年の電子機器の小型化、高性能化が進み、工程フィルムとして使用される離型フィルムをさらに平滑にすることが求められている。しかし、熱可塑性樹脂フィルムは押出成形で得られる製品をロール状にして取り扱われるため、熱可塑性樹脂フィルム自体の平滑性を改良するには限界がある。
また、熱可塑性樹脂フィルムとしてはポリエステルフィルムを使用し、その片面にシリコーン樹脂を積層した離型フィルムにおいて、シリコーン樹脂と基材ポリエステルフィルムとの間の密着性を向上させるため、ポリエステルフィルムの表面に予めシランカップリング剤を架橋させたプライマ層を設けることが知られている(特開平1−5838)。
また、ポリエステルフィルムの帯電防止効果を向上させることを目的に、ポリエステルフィルムに予め主鎖にピロリジウム環を有するポリマーからなる塗布液を塗布後にシリコーン樹脂層を積層することが知られている(特開平1−171940)。さらに、帯電防止性能を改良する目的で、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に水可溶性有機シラン化合物を用いた下塗り層を、その上に金属化合物と電荷移動錯体を形成しているテトラアルコキシシラン及び/またはその部分加水分解物を用いた帯電防止層を、さらにその上に硬化型シリコーンを用いた離型層を形成することも知られている(特開平5−25302)。
また、同様にポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリビニル樹脂などのバインダー樹脂と帯電防止剤とからなる帯電防止層を積層し、その上に硬化型シリコーン樹脂層を積層することが知られている(特開2002−192661号)。
特開平1−5838号 特開平1−171940号 特開平5−25302号 特開2002−192661号
通常シリコーン樹脂層が積層された熱可塑性樹脂フィルムが、離型フィルムとして用いられている。しかし、熱可塑性樹脂フィルムの表面の平滑性を改良するために、シリコーン樹脂層の積層厚みを厚くすると、表面の平滑性は改良されるが、このシリコーン樹脂が積層された多層フィルムは、巻き取り時にブロッキングを起こしたり、シワが入るなど、ハンドリング上の問題が生じてしまう。そこで、本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの表面に二層のシリコーン硬化樹脂層を有し、当該フィルムに接する側のシリコーン樹脂層が、粘度40cP以上で、かつヨウ素価0.10mol/100g以上の付加反応型シリコーン樹脂を、熱および活性エネルギー線により硬化させることで、熱可塑性樹脂フィルム表面の平滑性と多層フィルムのハンドリング性を改善するとともに、従来と同様な離型性を付与することを目的とするものである。
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムからなる基材の少なくとも片面に、二層のシリコーン硬化樹脂層を有し、当該基材に接する側のシリコーン樹脂層が、粘度40cP以上で、かつヨウ素価0.10mol/100g以上の付加反応型シリコーン樹脂を、熱および活性エネルギー線により硬化させてなることを特徴とする多層フィルムに関する。
本発明によれば、熱可塑性樹脂フィルム表面の平滑性を向上させることができる。さらに、用いる熱可塑性樹脂フィルムが高い平滑性を有していない場合でも、極めて高度な平滑性を有する表面とすることができる。また、通常のシリコーンを用いて得たこの様な多層フィルムは、巻き取り時のシワ入り、エアー抜け不良による平坦性の不良などのハンドリング上の問題が生じるが、本発明によれば、ハンドリング性の問題のない多層フィルムとすることができる。
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムからなる基材の少なくとも片面に、二層のシリコーン硬化樹脂層を有し、当該基材に接する側のシリコーン樹脂層が、粘度40cP以上で、かつヨウ素価0.10mol/100g以上の付加反応型シリコーン樹脂を、熱および活性エネルギー線により硬化させた多層フィルムとすることにより、熱可塑性樹脂フィルムの表面の平滑性およびハンドリング性を向上させるものである。
熱可塑性樹脂フィルム
本発明に用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを用いることができる。中でもポリエステルフィルムが耐熱性、強度等の点から好ましい。
ポリエステルフィルム
本発明に用いられるポリエステルフイルムには、未延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸のフィルムがあり、強度などの点で二軸延伸フィルムを用いることが望ましい。 また、フィルムの素材であるポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる線状ポリエステルである。
このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸などが例示され、中でもテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がポリエステルフイルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好ましい。
また、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールなどが例示され、中でもエチレングリコールがポリエステルフイルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好ましい。
これらのポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン―2,6―ナフタレートを好ましく例示することができる。
このポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン―2,6―ナフタレートは、上記のジカルボン酸成分あるいはグリコール成分などを共重合したポリエステルであってもよく、三官能以上のポリカルボン酸成分あるいはポリオール成分をポリエステルが実質的に線状となる範囲、例えば5モル%以下で少量共重合したポリエステルであってもよい。
これらのポリエステルは従来から知られている方法により製造することができ、平均分子量は10,000以上であることがフイルムの機械的特性が良好となるため好ましい。
これらのポリエステルをはじめとする熱可塑性樹脂フィルムには、フイルムの滑り性を良好なものとするため有機や無機の微粒子を滑剤として、例えば0.001〜5重量%の配合割合で含有させることができる。
このような微粒子として、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、グラファイト、カオリン、シリカ、アルミナ、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子などが好適な例として挙げることができる。
また、その他の配合剤として、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂などを必要に応じて添加することができる。
ポリエステルフイルムをはじめとする熱可塑性樹脂フィルムは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、二軸延伸フィルムは、上記のポリエステルを溶融し冷却ドラムの上にキャストして未延伸フイルムとし、次いでその未延伸フイルムを当該ポリエステルの二次転移点(Tg)−10℃以上の温度で縦方向に2から7倍に延伸して、まず一軸延伸フイルムとし、この一軸延伸フイルムをさらに80〜140℃で横方向に2〜9倍延伸した二軸延伸してフイルムとすることができる。
その際、更に130〜250℃で熱処理することも行われる。また、二軸延伸フイルムは熱処理する前に必要に応じて更に縦方向及び/又は横方向に再延伸することも行われる。
二軸延伸フイルムの面積延伸倍率は8倍以上、さらには9倍以上とするのが望ましく、面積延伸倍率の上限は、フイルムの用途にもよるが、35倍程度、通常は30倍程度である。延伸後に熱処理して配向結晶化を完結させることもできる。二軸積層延伸フイルムの厚さは通常 1〜300μmである。
シリコーン樹脂層の形成
本発明に用いられる二層のシリコーン硬化樹脂層のうち、熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層は、粘度40cP以上で、かつヨウ素価0.10mol/100g以上を満足する少なくとも1種類の付加反応型シリコーン樹脂である。
この付加反応型シリコーン樹脂は、1分子中に珪素原子に直結するアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に珪素原子に直結する水素原子を少なくとも1個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの付加反応にて得られるシリコーン樹脂であることが望ましい。また、熱、紫外線、電子線等による硬化反応にて得られるシリコーン樹脂であることが望ましい。
具体的なオルガノポリシロキサンの例としては、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、シラノール基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、等が挙げられる。
また、具体的なオルガノハイドロジエンポリシロキサンの例としては、ジメチルハイドロジエンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、ジメチルフェニルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、環状メチルハイドロジエンポリシロキサン 等が挙げられる。
尚、当該シリコーン樹脂層を形成するに当たって、本成分の使用量は、前記のオルガノポリシロキサン成分100重量部に対して、前記のオルガノハイドロジエンポリシロキサン成分は通常 0.2〜40重量部であり、これらを熱による付加反応を促進させるためには白金系触媒等を共存させ、また、紫外線による付加反応を促進させるためには光重合開始剤等を共存させることにより、比較的速やかに硬化反応を達成でき、目的とするシリコーン樹脂層を形成することができる。
熱可塑性樹脂フィルムと接する側の粘度が40cP以上で、ヨウ素価が0.10mol/100g以上を満足する少なくとも1種類の付加反応型シリコーン硬化樹脂は、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布され、熱および活性エネルギー線により硬化される。
この硬化樹脂には、本発明の範囲内で、必要に応じて公知の反応制御剤、公知の無機微粒子、有機微粒子、または、顔料を配合することもできる。
熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層形成に用いられる付加反応型シリコーン樹脂は、有機溶剤で希釈して使用しても良い。なお、有機溶剤は、均一の樹脂層が形成される範囲であれば特に限定されない。具体的に用いられる有機溶剤の例としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサンなどの炭化水素系、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エトキシエタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、これらの混合溶媒が挙げられる。
これらの付加反応型シリコーン樹脂の塗工液を熱可塑性樹脂フィルムの表面に塗布する方法としては、例えば、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセット、アークグラビアコーター、グラビアリバースおよびジェットノズル方式などのグラビアコーター、トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーターおよびノズルフィードリバースコーターなどのリバースロールコーター、5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーターなどの種々の公知の塗工機を用いることができる。
これら付加反応型シリコーン樹脂塗工液は、塗布後の厚さが0.1〜5μmとなるようにその濃度を調節して塗布することが望ましい。
付加反応型シリコーン樹脂を塗布した後、熱および活性エネルギー線を照射することにより、当該シリコーン樹脂層が形成される。
活性化エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線などが挙げられ、使用する活性化エネルギー線や硬化性化合物の種類に応じて適宜選ぶことができる。
照射する活性化エネルギー線の強度や照射時間は、用いる付加反応型シリコーン樹脂の種類、塗膜の厚さなどに応じて適宜選ぶことができる。活性化エネルギー線は、不活性ガス雰囲気中で照射してもよく、この不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが例示される。
当該シリコーン樹脂層の膜厚は通常0.01〜5μmであり、特に0.01〜2μmの膜厚みが好適である。
熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層が形成された後には、その上に引き続きシリコーン樹脂層が積層される。
使用されるシリコーン樹脂は、種々の用途に応じて選ばれる。例えば、離型フィルム基材への密着性、離型工程の際の剥離強度の安定性、シリコーン樹脂成分の非移行性を勘案して、熱、紫外線、電子線等による硬化反応にて得られるシリコーン樹脂であることが望ましい。また、1分子中に珪素原子に直結するアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に珪素原子に直結する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの付加反応にて得られるシリコーン樹脂であることが望ましい。
具体的なオルガノポリシロキサンの例としては、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、シラノール基末端封鎖メチルアルケニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ジメチルアルケニルシロキシ基末端封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、等が挙げられる。
また、具体的なオルガノハイドロジエンポリシロキサンの例としては、ジメチルハイドロジエンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、ジメチルフェニルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、環状メチルハイドロジエンポリシロキサン 等が挙げられる。
尚、熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層が形成された後に引き続き積層されるシリコーン樹脂層を形成するに当たって、本成分の使用量は、前記のオルガノポリシロキサン成分100重量部に対して、前記のオルガノハイドロジエンポリシロキサン成分は通常 0.2〜40重量部であり、これらを熱による付加反応を促進させるためには白金系触媒等を共存させ、また、紫外線による付加反応を促進させるためには光重合開始剤等を共存させることにより、比較的速やかに硬化反応を達成でき、目的とするシリコーン樹脂層を形成することができる。
また、熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層が形成された後に引き続き積層されるシリコーン樹脂には、本発明の範囲内で、必要に応じて公知の反応制御剤、無機微粒子、有機微粒子または、顔料を更に配合することもできる。
当該シリコーン樹脂層の厚さは通常0.01〜5μmであり、好ましくは0.05〜1μmである。
例えば、この範囲内にあれば、離型フィルム基材への密着性、離型工程の際の剥離強度の安定性、シリコーン樹脂成分の非移行性の点で性能の調整が可能であり、これにより目的とする優れた離型フィルムを得ることができる。
熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層が形成された後に引き続き積層されるシリコーン樹脂層は、コーティング法により設けることができるが、その場合、形態的には、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤型のいずれかの方法をとり得ることができる。ただし、シリコーン樹脂の薄膜を均一に形成させるためには、溶剤型またはエマルジョン型が望ましく、硬化型シリコーン樹脂成分のポットライフの点からも、溶剤型またはエマルジョン型が望ましい。
熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層が形成された後に引き続き積層されるシリコーン樹脂のコーティング方法は、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤のいずれの形態をとるかによっても異なるが、例えば、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、バーコート法、スプレーコート法等何れの方法も採用することができ、中でも、ロールコーティング法は高速度で均一被膜を成形する方法として適している。
溶剤型およびエマルジョン型の形態を有する熱硬化型のシリコーン樹脂をコーティングする場合、コーティングされたシリコーン樹脂の溶液または水分散液は乾燥工程(加熱工程)へと移されるが、その際の乾燥温度(加熱温度)
50〜120℃の範囲であればよく、60〜110℃の範囲が好ましい。乾燥温度(加熱温度)が50℃未満であると、熱硬化時間が長くなり生産性が低下するので好ましくない。一方、120℃を越えると、フィルムにしわが生じるため好ましくない。
一方、溶剤型およびエマルジョン型の形態を有する紫外線または電子線硬化型のシリコーン樹脂をコーティングする場合には、乾燥工程(加熱工程)の後に紫外線または電子線の照射工程を有しているため、その乾燥は、溶剤または水の乾燥除去に必要な最低温度にて実施しても差し支えない。
さらに必要に応じて、多層フィルムの表面上(ただし、シリコーン樹脂層と反対面側)に、他の基材フィルムをアンカー処理剤や接着剤を介して積層したり、あるいは、印刷層や帯電防止剤層を設けたりして使用することができる。
なお、熱可塑性樹脂フィルムからなる基材の少なくとも片面に、二層のシリコーン硬化樹脂層を有する離形フィルムにおいて、その反対面側に熱可塑性樹脂フィルム表面が露出している場合、露出した熱可塑性樹脂フィルム表面に、これらのシリコーン樹脂層が転写してその表面を汚染することがある。
このような汚染を無くすあるいは汚染されても簡単に除去できるように、熱可塑性樹脂フィルム表面に、表面エネルギーの小さい樹脂を防汚染層として設けることが好ましい。たとえばシリコーン樹脂が好ましく、メチルポリシロキサンやフェニルメチルポリシロキサンを主成分としたものが特に好ましい。
(実施例)
次に本発明を実施例を通して説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)サンプルの調製
下記の通りシリコーンと触媒をそれぞれ所定の濃度になるようにヘキサン/MEKの混合溶媒で調製し、各々PETフィルム(S28
東レ(株)製、フィルム厚み38μm)の片面に、メーヤーバ−No.4を用いて塗布し、100℃で60秒乾燥(加熱)させ、さらに紫外線照射(120W×8m/分)して硬化させ、ロール状に巻き取り、熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層を形成する。
サンプル1
シリコーン1 (溶液中の濃度18質量%)
触媒1 (溶液中の濃度0.9%質量%)

サンプル2
シリコーン2 (溶液中の濃度18質量%)
触媒1 (溶液中の濃度0.9%質量%)

サンプル3
シリコーン3 (溶液中の濃度18質量%)
触媒2 (溶液中の濃度0.9%質量%)

※シリコーン1:付加反応型シリコーン KNS−3300(信越化学工業社製)
※シリコーン2:付加反応型シリコーン KNS−320A(信越化学工業社製)

※シリコーン3:シランカップリング剤 KBE1003(信越化学工業社製)と、架橋剤 X−92−122(信越化学工業社製;シリコーン固形分濃度30%)中に含まれるトルエンを全て乾燥により取り除き、シリコーン固形分濃度100%としたX−92−122の比が、KBE1003:X−92−122(シリコーン固形分濃度100%)=8:2で混合されたシリコーン組成物。


※触媒1:PL−56(信越化学工業社製)
※触媒2:PL−50T(信越化学工業社製)
次に、シリコーン KS−847(信越化学工業社製)と触媒 PL−50T(信越化学工業社製)をトルエン/メチルエチルケトン(70/30質量比)混合溶媒で調製した塗工液を作製し、上記それぞれのサンプルの上に、メーヤーバーNo.4を用いて塗布する。その後、100℃のオーブンで20秒乾燥(加熱)させ、 0.1g/mの熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層が形成された後に引き続き積層されるシリコーン樹脂層を形成し巻き取った。その後、40℃で数十時間エージングしてサンプルを作製した。
(2)表面粗さ(中心面平均粗さSRa)
フィルムの塗工膜の表面粗さは、小坂研究所製の3次元表面粗さ測定器 SE−30Kを用い、触針式により、以下の条件で測定した。
検出器:PU−DJ2S、触針先端半径:R 2μm、測定力:0.7mN、測定長:1mm、Y送りピッチ:2μm、測定本数:201本、低域カットオフ値:0.25、広域カットオフ値:R+W。

(3)剥離力[N/50mm]
各サンプルを水平台の上に塗工膜を上にして載置し、その塗工膜側にポリエステル粘着テープ「No.31B」(日東電工社製)を貼り付けて200mm×50mmの大きさにカットし、さらにその粘着テープの上から20g/cmとなるように荷重を載せ、70℃で20時間エイジングした。
その後、引張試験機にて引張速度300mm/分で180°剥離を行い、剥離が安定した領域における平均剥離荷重を剥離力として求めた。
(4)粘度[cP]
粘度測定には、熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層形成に用いる上記各サンプルのシリコーンのみを使用し、トキメック社製のB型粘度計 B8L型を用いて行った。なお、測定は、まず粘度計にローターを取り付け、ローターの浸液マーク位置にシリコーン試料の液面が来るようシリコーンを入れたスリーブを取り付ける。その後、回転数60rpmの条件で測定した。なお、この得られた目盛板の測定値を元に換算表から粘度を求めた。

(5)塗工性
熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂塗工時に、塗工液がはじき、斑点状の塗布ムラを生じているか否かを目視で判定した。
○:斑点状のはじきなく良好
×:斑点状のはじきあり

(6)ヨウ素価
熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層形成に用いる上記各シリコーン樹脂サンプルを正確に秤量し、300ml共栓付き三角フラスコに入れ、四塩化炭素40mlでサンプルを十分に溶解する。そして、1臭化ヨウ素25gを酢酸3リットルに溶かして得られた溶液から正確に25mlを加え、良くかき混ぜる。その後、1時間暗室に静置させた後、10%ヨウ化カリウム水溶液を20ml加える。さらに、0.1mol/lチオ硫酸ナトリウムを撹拌しながら無色になるまで滴下する。この時の滴下量より、下式からヨウ素価を求めた。

(ヨウ素価)=[{ m・f・(B−A)/1000}/2・S ]×100

m[mol/l] : チオ硫酸ナトリウムの濃度
f[−] : 0.1mol/l チオ硫酸ナトリウムのファクター
B[ml] : ブランクのチオ硫酸ナトリウム滴定量
A[ml] : 試料のチオ硫酸ナトリウム滴定量
S[g] : 試料採取料

(7)ハンドリング性
熱可塑性樹脂フィルムからなる基材の上に二層のシリコーン硬化樹脂層を積層し、巻き取られた多層フィルムの状態で判定した。
?:シワ入り、エアー抜け不良により多層フィルムの平坦性が損なわれることなく巻き取られたもの
×:シワが入り、エアー抜け不良により多層フィルムの平坦性が損なわれたもの
実施例1 および比較例1〜3
上記のサンプル1から3を用いて、上記の(2)から(7)について評価した。
また、上記のサンプル1において、粘度40cP以上で、かつヨウ素価0.10mol/100g以上の付加反応型シリコーン樹脂により設けられる熱可塑性樹脂フィルムに接する側のシリコーン樹脂層を省略した場合(比較例3)についても同様に測定した。結果を表1に示す。




表1
実施例 1 比較例 1 比較例 2 比較例 3

サンプル名 サンプル1 サンプル2 サンプル3 −

表面粗さSRa[μm] 0.007 0.007 − 0.030
剥離力[N/50mm] 0.09 0.10 − 0.10
粘度[cP] 525 407 4.7 −
塗工性 ○ ○ × ○
ヨウ素価 0.13 0.05 0.66 −
[mol/100g]
ハンドリング性 ○ × × ○

本発明の多層フィルムは、表面の平滑性が改良されているので、コンデンサー、中でも積層セラミックコンデンサー、離型フィルムなどの多種の用途に用いられる。

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムからなる基材の少なくとも片面に、二層のシリコーン硬化樹脂層を有し、当該基材に接する側のシリコーン樹脂層が、粘度40cP以上で、かつヨウ素価0.10mol/100g以上の1分子中に珪素原子に直結するアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に珪素原子に直結する水素原子を少なくとも1個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの付加反応にて得られる付加反応型シリコーン樹脂を、熱および活性エネルギー線により硬化させてなるシリコーン硬化樹脂層であり、当該シリコーン硬化樹脂層上に形成されるシリコーン硬化樹脂層が、1分子中に珪素原子に直結するアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に珪素原子に直結する水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの付加反応にて得られるシリコーン樹脂層であることを特徴とする多層フィルム。
  2. 厚さ1〜300μmの熱可塑性樹脂フィルム、厚さ0.1〜5μmの熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層および厚さ0.01〜5μmの熱可塑性樹脂フィルムと接する側のシリコーン樹脂層が形成された後に引き続き積層されるシリコーン樹脂層であることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
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