JP2011230469A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 剥離力が軽く、耐大気暴露性が良好であり、かつ離型層成分の移行量が少ない離型フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、分子鎖の末端部分および分子鎖の内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンを主成分として含有し、シロキサン鎖の末端部分にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサンも含有する塗布剤を塗布し、乾燥して得られた塗布層を有することを特徴とする離型フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、離型フィルムに関するものであり、詳しくは硬化型シリコーン離型フィルムにおいて軽剥離でありながらも大気暴露が少なく、かつシリコーン移行の少ない離型フィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムは、セラミック積層コンデンサー、セラミック製電子回路基板等の各種セラミック電子部品製造時に使用する工程紙、また偏光板、光学フィルター等、フラットパネルディスプレー製造時に使用する光学部材の粘着セパレータに多く使用されている。
近年、セラミック積層コンデンサーの小型化・大容量化が進むに伴い、グリ−ンシートが薄膜化し、より剥離の軽いフィルムが求められる傾向にある。またフラットパネルディスプレー製造時においても、画面が大型化し、剥離されるフィルムの面積が広くなることによりやはり剥離の軽いセパレータが求められる。さらに最近使用場面の増している両面粘着テープや基材レス両面粘着材においては、粘着材を軽重それぞれの剥離材で挟んで製品化されることが多く、いわゆる浮き、泣き別れ等の好ましくない現象を避けるために、軽剥離側にはより軽く剥離することが求められている。
付加型シリコーンで軽剥離の離型層を得ようとする場合、一般に軟らかい塗膜とするためビニル基を有する主ポリマーは分岐がなく、長いジメチルポリシロキサン分子鎖を有し、架橋反応点となるビニル基の数は最小限の、いわゆる架橋点間距離の長いシリコーンが選択される。架橋剤として用いられるハイドロジェンシロキサン類は、多くすると余剰のSi−H基のため剥離が重くなるため最小限が好ましいが、少なくすると離型剤塗膜密着の低下、架橋不足による移行性の増加、未反応ビニル基による大気暴露性の悪化が顕著になる。
このように、硬化型シリコーンを塗工した離型フィルムにおいて軽剥離であることと、大気暴露が少なく、かつシリコーン移行の少ないこととは相反する関係にあり、その両立は難しい。
「シリコーンハンドブック」p.535、p.541日刊工業新聞社、伊藤邦雄編(1990年発行)
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、剥離力が軽く、耐大気暴露性が良好であり、かつ離型層成分の移行量が少ない離型フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、塗料として特定の構造のシリコーンを用いれば、上述の課題を解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、分子鎖の末端部分および分子鎖の内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンを主成分として含有し、シロキサン鎖の末端部分にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサンも含有する塗布剤を塗布し、乾燥して得られた塗布層を有することを特徴とする離型フィルムに存する。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。
ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
(PEN)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルの場合は30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
いずれにしても、本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明におけるポリエステル層中には易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、本発明においてポリエステルフィルムに含有される粒子の平均粒径は0.1〜5μmを満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μm、最も好ましくは0.5〜2μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じることがある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に本発明の主旨を損なわない範囲において、従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムの腰による影響を低減させるため、より薄膜であるのが好ましいが、一方においてはフィルム平面性確保の必要がある。離型フィルムを構成するポリエステルフィルム厚みが薄すぎる場合には加工時の熱処理によるしわ等により、フィルム平面性が損なわれる場合が多い。
かかる観点から、本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、通常6〜250μmであり、好ましくは12〜188μm、さらに好ましくは25〜75μmの範囲がよい。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。
この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。
その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、同時二軸延伸を行うことも可能である。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
上述の延伸方式を使用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
スクリュー方式は、スクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていく方式である。パンタグラフ方式は、パンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていく方式である。リニアモーター方式は、リニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整することができる利点を有する。
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上に分割して行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンター内で行ってもよいし、複数のテンターを併用してもよい。
本発明において、同時二軸延伸により離型フィルムを構成するポリエステルフィルムを延伸することによれば、従来、逐次二軸延伸では面積倍率が大きくなる場合において、延伸時に破断する等の不具合を生じる場合があったが、同時二軸延伸においては延伸追従性が良好であるため、フィルム長手方向および幅方向において、逐次二軸延伸よりもさらに面積倍率を大きくすることが可能なため、さらにフィルム厚みむらの小さいポリエステルフィルムを製造することが可能となるので好ましい。
また、上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。
それは以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。
本発明の離型フィルムを構成する離型層は離型性を有する硬化型シリコーン樹脂で、硬化課程においてビニル基とケイ素-水素結合を有する基の付加反応(いわゆる付加型シリコーン)である。硬化処理におけるエネルギー源は特に限定されないが、熱処理、紫外線照射、電子線照射が例示できる。これら単独、あるいは組み合わせて用いられるが、熱処理単独、熱と紫外線の併用処理が好ましく用いられる。
本発明の離型フィルムを構成する離型層は、分子鎖の末端および分子鎖の内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンを主成分として含有し、さらにシロキサン鎖の末端にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサンとを含有する塗布剤を用いて設けることができる。
付加型シリコーンで軽剥離を得ようとする場合、一般に軟らかい塗膜とするためビニル基を有する主ポリマーは分岐がなく長いジメチルポリシロキサン分子鎖を有し、架橋反応点となるビニル基の数は最小限の、いわゆる架橋点間距離の長いシリコーンが選択される。
付加型シリコーンの架橋反応点となるビニル基は、鎖の末端にも内側にも導入が可能である。末端のビニル基は反応の際、立体障害が少なくかつ比較的自由に動けるため早く反応する。一方、内側のビニル基は立体的に混み合い、動きも制限されるので反応は遅い。よって内側のビニル基は未反応のまま残りやすく、大気暴露悪化の主原因の一つと考えられる。
ビニル基を両末端にのみ持つポリシロキサンを用いればこの問題は回避される。しかしながら、従来と同様の架橋点間距離を得ようとすると分子鎖自身が短く、すなわち低粘度のものになってしまう。塗工する際に低粘度であるとはじきやすく、特にポリエステルフィルムを基材とする場合ではそれが顕著であり、当業者の間では「ガム」と呼ばれる粘度でおよそ百万mPa・s以上のシリコーンを主体としたものを溶剤に溶解させた状態で塗工するのが一般的である。よってポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムにおいてこのような方法をとるのは難しい。
本発明者は検討を行った結果、通常はフィルム用離型剤には用いないシリコーンを従来の架橋剤に加えて用いることで課題を解決できることを知見し、本発明を完成した。すなわちシロキサン鎖末端にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサンを併用する。
本発明におけるシロキサン鎖末端にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサンとは直鎖状で、末端以外は実質的にジメチルシロキサン残基のみであるものが好ましい。すなわち、SiH(CHO−(Si(CHO)−SiH(CHで表される化合物が例示される。鎖内側のメチル基は本発明の趣旨の範囲内であれば、小量が、フェニル基、アルキル基で置換されてもよい。分子量は特に限定されないが、粘度において30〜100000mPa・s、好ましくは100〜5000mPa・sの範囲である。分子量が小さすぎると、塗工中に揮散し塗工系内を汚染する恐れがある。また、分子量が大きすぎると反応性が落ち移行性が大きくなる恐れがある。
本発明で用いる分子末端および分子鎖内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンの分子量は、粘度において30%トルエン溶液の状態での粘度が1000〜50000mPa・s、好ましくは30%トルエン溶液の状態での粘度が3000〜30000mPa・sの範囲である。
前述のように分子量が小さすぎると、はじき等塗工面状の悪化を起こしやすい。分子量が大きすぎると粘ちょうで取り扱いが難しくなり、塗工速度の低下等の生産性の悪化を招く。
本発明で用いる付加型硬化シリコーンの硬化剤であるポリハイドロジェンシロキサン化合物は特に規定されない。当業者の中で常識的なものでかまわない。一般的に使用されるものとしては、(CHSiO−(SiH(CH)O)−Si(CHや、(CHSiO−(SiH(CH)O)−(Si(CHO)−Si(CH等が例示できる。
硬化シリコーン塗料中に含有されるシロキサン鎖末端にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサンの割合は、固形分重量比で、通常1〜25%、好ましくは5〜15%の範囲である。含有量が少なすぎると効果が小さいことがあり、多すぎると移行性や塗膜強度が悪化する懸念がある。
本発明における硬化シリコーン塗料の形態は前述のように高粘度のものを溶剤に希釈して塗工するいわゆる溶剤型が好ましい。希釈溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類が例示でき、溶解性、塗工性や沸点等を考慮して単独または複数混合して使用する。
また、離型層の特性を調整するために本発明の主旨を損なわない範囲において、反応調整剤、密着強化剤、剥離コントロール剤等の助剤を併用してもよい。
離型層の塗工量(乾燥後)は、通常0.01〜1g/m、好ましくは0.04〜0.5g/m、さらに好ましくは0.06〜0.3g/mの範囲である。離型層の塗工量が少な過ぎる場合、軽剥離とならず剥離力の安定性に欠けることがある。一方、塗工量が多すぎる場合、移行性の増大、ブロッキングの懸念がある。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、マルチロールコート、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
また、本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
さらに本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ接着層、帯電防止層等の塗布層が設けられていてもよい。
なお、本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)によりポリエステルフィルム上に設けられてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)大気暴露後剥離力の測定
試料フィルムをA4大に切り取り、室温23℃湿度50%RHに調節された実験室(非クリーン環境)内に渡した紐に24時間つり下げる。離型面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.502」淡色剥離紙側を使用)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は株式会社インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
(2)大気未暴露剥離力の測定
剥離力Cの測定において試料フィルムを実験室内につり下げる代わりに、ポリエチレン製の袋に入れて外気に触れないようにして同じ実験室に24時間放置すること以外は同様にして剥離力を測定した。
(3)離型フィルムの移行性評価接着率
試料フィルムをA4大に切り取り、離型面に75μm厚2軸延伸PETフィルム(三菱樹脂株式会社製:ダイアホイルT100−75)を重ねて温度60℃、圧力1MPaの条件で2時間プレスする。この離型面に押し当てた75μm厚フィルムを移行性評価フィルムとする。未処理のPETフィルムにも同様にして75μm厚2軸延伸PETフィルム(同)を押し当て、基準フィルムとする。それぞれのフィルムの押し当てた面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は株式会社インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
移行性評価接着率(%)=(移行性評価フィルムの剥離力/基準フィルムの剥離力)×100
移行性の大きなフィルムでは押し当てたフィルムに多くのシリコーンが付着するため、粘着テープの剥離力が小さくなり、移行性評価接着率(%)も低下する。90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましい。
(4)剥離力(剥離速度0.3m/min)の測定
試料フィルムの離型面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は株式会社インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
(5)剥離力(剥離速度3および30m/min)の測定
試料フィルムの離型面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力はテスター産業株式会社製高速剥離試験機「TE−702型」を使用し、試料フィルムの離型面が上面になるように固定し、貼り合わせているNo.31B粘着テープ側を剥離する方法にて剥離速度3および30(m/min)にて180°剥離を行った。
実施例1:
38μm厚の2軸延伸PETフィルム(三菱樹脂株式会社製:ダイアホイルT100−38)に下記組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるように塗布し、120℃、30秒間熱処理し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
分子末端および分子鎖内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンを主成分とする移行性の少ない軽剥離溶剤型シリコーン
(信越化学株式会社製:KS−847H、不揮発分30%) 20重量部
シロキサン鎖末端にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサン
(Aldrich社製、粘度約500mPa・s) 0.3重量部
白金含有触媒(信越化学株式会社製:catPL−50T) 0.2重量部
これをトルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を作製した。
実施例2:
実施例1において、離型剤組成を下記離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
分子末端および分子鎖内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンを主成分とする移行性の少ない軽剥離溶剤型シリコーン
(信越化学株式会社製:KS−847H、不揮発分30%) 20重量部
シロキサン鎖末端にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサン
(Aldrich社製、粘度約500mPa・s) 0.9重量部
白金含有触媒(信越化学株式会社製:catPL−50T) 0.2重量部
これをトルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を作製した。
比較例1:
実施例1において、離型剤組成を下記離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
分子末端および分子鎖内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンを主成分とする移行性の少ない軽剥離溶剤型シリコーン
(信越化学株式会社製:KS−847H、不揮発分30%) 20重量部
白金含有触媒(信越化学株式会社製:catPL−50T) 0.2重量部
これをトルエン/MEK/イソオクタンの混合溶媒(混合比率は1:1:1)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を作製した。
上記実施例および比較例で得られた各フィルムの特性を表1および2にまとめて示す。
Figure 2011230469
Figure 2011230469
実施例1および2のフィルムは、比較例1に比べ、軽剥離性、低移行性を損なうことなく大気暴露性を大幅に改善した。また、実際に多く使用される剥離速度域(3〜30m/分)においても同様の結果を示した。
本発明のフィルムは、例えば、セラミック積層コンデンサー、セラミック製電子回路基板等の各種セラミック電子部品製造時に使用する工程紙、また偏光板、光学フィルター等、フラットパネルディスプレー製造時に使用する光学部材の粘着セパレータとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、分子鎖の末端部分および分子鎖の内部にビニル基を有する長鎖のポリシロキサンを主成分として含有し、シロキサン鎖の末端部分にのみケイ素原子と直結する水素原子を有するポリシロキサンも含有する塗布剤を塗布し、乾燥して得られた塗布層を有することを特徴とする離型フィルム。
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