JP2013001046A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 例えば、LCD用偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種粘着剤層保護用途に好適な離型フィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に付加反応タイプの硬化型シリコーン樹脂を含有する塗布剤を塗布して設けられた離型層を有するフィルムであり、アクリル系粘着テープと離型層との剥離力が30〜60mN/cmであり、バイアル瓶(20mL)中に水酸化カリウム5重量%を溶解した、1−ブタノール溶液3ml添加後、離型フィルム(40cm)を浸漬し、当該バイアル瓶を50℃で1時間熱処理した後に発生する水素(H)ガス量が40ppm以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着剤層保護用として、経時での剥離変動が極力小さい離型フィルムに関するものであり、特にアクリル系粘着テープとの剥離力で30〜60mN/cm程度の剥離力領域が必要とされる場合に好適な、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種粘着剤層保護用として使用できる離型フィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、LCD用偏光板、位相差板製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種光学用途等に使用されている。離型フィルム使用上の問題点として、粘着剤層塗布後、経時での剥離変動(重剥離化)が各種不具合を生じることが挙げられる。
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用される離型フィルムの品質向上と共に粘着剤層保護用途において、重剥離化に伴う各種不具合が顕在化する状況にある。
上述の各種用途に対応するために、離型性に優れるだけでなく、経時での剥離変動を極力小さくすることが望まれる状況にある。
例えば、LCD用偏光板の製造工程を一例に挙げると、当該製造工程は、粘着剤層を介して離型フィルムと偏光板が貼り合わされてロール状に巻き取られる工程を含んでいるが、生産性向上に伴い、使用する粘着剤層の組成変更等の理由により、離型層の設計変更が必要とされる場合がある。例えば、アクリル系粘着テープによる剥離力が30〜60mN/cm程度の剥離力領域が必要とされる場合において、当該剥離力領域を有する離型フィルムを設計する場合、剥離コントロール剤を併用することにより、目標の剥離力領域に到達させるべく、配合量を振って調整する手法が挙げられる。しかしながら、当該手法は初期の粘着テープによる剥離力は目標レベルに到達する反面、粘着剤層を塗布した、いわゆる転写法により、粘着剤層を離型層上に形成した後、経時での剥離変動が大きく、重剥離化する傾向にあった。さらに経時での剥離変動の大きさは所定の間、長期間にわたり、離型フィルム上に粘着剤層を塗布し、未処理のPETフィルムと貼り合わせた状態で放置した後でないと評価結果が判明しないと言う不便さがあった。そのため、今日、技術革新がめざましいFPD分野等に対応しようとする場合、必ずしも満足できる状況にはなかった。
上述のとおり、例えば、アクリル系粘着テープによる剥離力で30〜60mN/cm程度の剥離力領域を満足しながら、経時での剥離変動(重剥離化)を極力抑えるという、相反する特性を両立させることが必要とされる状況にある。
特開平5−194768号公報 特開平9−323392号公報 特開昭52−32030号公報 特開平9−59041号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、特にアクリル系粘着テープとの剥離力で30〜60mN/cm程度の剥離力領域が必要とされる場合、経時での剥離変動(重剥離化)が極力小さい離型フィルムであって、例えば、LCD用偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種粘着剤層保護用途に好適な離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に付加反応タイプの硬化型シリコーン樹脂を含有する塗布剤を塗布して設けられた離型層を有するフィルムであり、アクリル系粘着テープと離型層との剥離力が30〜60mN/cmであり、バイアル瓶(20mL)中に水酸化カリウム5重量%を溶解した、1−ブタノール溶液3ml添加後、離型フィルム(40cm)を浸漬し、当該バイアル瓶を50℃で1時間熱処理した後に発生する水素(H)ガス量が40ppm以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルムに存する。
本発明の離型フィルムによれば、粘着剤層保護用として、経時での剥離変動(重剥離化)が極力小さく、本来剥離する必要がある場面においても、適度な剥離性を持って、剥離可能な離型フィルムを提供することが可能である。特にアクリル系粘着テープによる剥離力が30〜60mN/cmの剥離力領域が必要とされる場合に好適であり、その工業的価値は高い。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは 0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、 フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常5〜250μm、好ましくは5〜188μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜 110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常 3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の 温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明における離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指し、具体的にはアクリル系粘着テープと離型層との剥離力(F)が30〜60mN/cmである必要があり、好ましくは30〜50mN/cmである。
本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用しても良く、何れの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有する必要がある。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、付加反応により、塗膜を形成できるタイプであれば、いずれを用いてもよい。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、東レ・ダウコーニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコーニング(株)製等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
剥離コントロール剤の具体例として、信越化学工業製KS3800,東レ・ダウコーニング社SD7292、BY24−4980等が挙げられる。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明の離型フィルムにおいて、経時での剥離安定性を確保するために、バイアル瓶(20mL)中に、水酸化カリウム5重量%を溶解した1−ブタノール溶液3mlを添加した後、離型フィルム(40cm)を浸漬、当該バイアル瓶を50℃で1時間熱処理した後、離型フィルムから発生する水素ガス量を40ppm以下に抑える必要がある。好ましくは30ppm以下がよい。発生する水素ガス量が40ppmを越える場合、粘着剤層と離型フィルムの離型層とが貼り合わされた状態で長期間放置した際、経時での剥離変動が大きく、本来剥離する必要がある場面において、剥離困難になる等の不具合を生じるようになる。
本発明における離型フィルムにおいて、前記水素ガス発生量を40ppm以下に抑制するための具体的手法として、例えば、離型層の剥離調整を目的として、剥離コントロール剤を併用する場合、架橋剤由来のSi−H基量が少ないタイプのものを選択する、主剤に使用するシリコ−ン樹脂中に含まれる等の手法が例示される。
従来、当業者においては剥離力を重剥離化させる手法として、汎用的に使用されるのは架橋剤由来のSi−H基を増量する目的で、架橋剤量を多量に添加する手法等が挙げられる。しかしながら、当該手法は架橋剤由来のSi−H基量が経時で吸湿等の影響により減少するに伴い、剥離変動が大きくなる傾向にある。そのため、粘着剤塗布後、長期間、離型フィルムの離型層と粘着剤層とが貼り合わされた状態で保管した場合、離型フィルムを剥離させる際に重剥離化する等の不具合を生じるようになる。
本発明者らは、かかる不具合を改善するために、あらかじめ離型フィルムにおいて、水酸化カリウム5重量%を溶解した1−ブタノール溶液と離型層中における架橋剤に由来するSi−H基との反応を利用して、反応後に発生する水素ガス量を定量評価することで剥離安定性に関する評価指標とすることで、剥離変動に対する抑制効果の有無を判定できる利点を有する。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには、あらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)離型フィルムの剥離力(F)測定
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
その後、下記判定基準により、剥離状況に関して、判定を行なった。
《判定基準》
○:30〜60mN/cmの範囲であり、剥離状況は良好(実用上、問題ないレベル)
×:30mN/cm未満あるいは60mN/cmを超え、剥離状況は不良(実用上、問題あるレベル)
(4)熱処理後、離型フィルムから発生する水素(H)ガス量の定量
試料フィルム40cm分を切り出し、秤量する。測定に使用する分量を5mm角に再度切り出し、ガスクロマトグラフィー専用のバイアル瓶(20mL)に試料フィルムを充填する(38μmの離型フィルムで約0.213g)。次に、水酸化カリウム5重量%を溶解した1−ブタノール溶液(1−ブタノール19gに水酸化カリウム1gを添加して作製)3mlをピペッターで分取し、試料フィルム全量が水酸化カリウム5重量%を含んだ、1−ブタノール溶液に浸漬するように添加する。その後、速やかにクリンパーを用いて、バイアル瓶(20mL)を密栓し、ヒーティングブロック(型式:HF21、ヤマト科学製)を用いて、50℃で1時間熱処理する。その後、下記ガスクロマトグラフィー測定装置を用いて、試料フィルムから発生する水素(H)ガス量を定量分析し、下記判定基準により判定を行った。
《ガスクロマトグラフィー測定条件》
装置:EAGanalyzer(SENSORTEC Co,Ltd)
測定条件:
Pressure Gauge Low:0.05MPa
High:0.05MPa
カラム温度:50℃
カラム流量:30.0sccm
シリンジ注入量:1cc
測定時間:5分
《判定基準》
◎:30ppm以下(実用可能なレベルであり、特に良好)
○:40ppm以下(実用可能なレベル)
×:40ppmを超える(実用困難なレベル)
(5)離型フィルムの剥離力変化量(ΔF)評価
・剥離力(F1)の測定方法
あらかじめ試料フィルムに下記粘着剤組成から構成される粘着剤層を塗布量が2milになるようにベーカー式アプリケータを用いて塗布、熱風式循環炉により、150℃、3分間熱処理し、未処理のPETフィルム188μmと試料フィルム付き粘着層の粘着層面とを2kgゴムローラーで貼り合わせた。次に貼り合わせた試料フィルムを室温(23℃±2℃、50%RH±5%RH)にて24時間放置した。その後、試料フィルムを50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
・剥離力(F2)の測定方法
あらかじめ試料フィルムに下記粘着剤組成から構成される粘着剤層を塗布量(乾燥前)が2milになるようにベーカー式アプリケータを用いて塗布、熱風式循環炉により、150℃で3分間熱処理し、未処理のPETフィルム188μmと試料フィルム付き粘着層の粘着層とを2kgゴムローラーで貼り合わせた。次に貼り合わせた試料フィルムを恒温槽内で80℃×50%RHの雰囲気下、4日間放置した。その後、試料フィルムを50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
《粘着剤組成》
主剤:AT352(サイデン化学製) 100部
硬化剤:AL(サイデン化学製) 0.25部
添加剤:X−301−375SK(サイデン化学製) 0.25部
添加剤:X−301−352S(サイデン化学製) 0.4部
トルエン 40部
上記で得られた各剥離力値(F1,F2)を用いて、剥離力の変化量(ΔF)を求めた後、下記判定基準により、判定を行った。
ΔF(%)=(F2―F1)
《判定基準》
○:ΔFが20mN/cm以下(実用可能なレベル)
×:ΔFが20mN/cmを超える(実用困難なレベル)
(6)総合評価
実施例および比較例において製造した離型フィルムを用いて、水素(H)ガス発生量、剥離力(F)、剥離安定性(ΔF)の各評価項目につき、下記判定基準により 総合評価を行った。
(判定基準)
○:水素(H)ガス発生量、剥離力(F)、剥離安定性(ΔF)の全てが○(実用上、問題ないレベル)
△:水素(H)ガス発生量、剥離力(F)、剥離安定性(ΔF)の内、少なくとも一つが△(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:水素(H)ガス発生量、剥離力(F)、剥離安定性(ΔF)の内、少なくとも一つが×(実用上、問題あるレベル)
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
実施例1:
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、テンターに導き、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ38μmのPETフィルムを得た。次に、下記離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗設し、150℃、30秒間熱処理した後に離型フィルムを得た。
《離型剤組成》化合物例
硬化型シリコーン樹脂A1:(X−62−5039:信越化学工業製)
硬化型シリコーン樹脂A2:(KS−847H:信越化学工業製)
剥離コントロール剤B1:(KS−3800:信越化学工業製)
剥離コントロール剤B2:(SD7292:東レ・ダウコーニング製)
剥離コントロール剤B3:(BY24−4980:東レ・ダウコーニング製)
硬化剤C1(PL−5000:信越化学工業製)
硬化剤C2(PL−50T:信越化学工業製)
(配合条件)
A1:75重量%
A2:0重量%
B1:0重量%
B2:0重量%
B3:20重量%
C1:5重量%
C2:0重量%
上記離型剤をMEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)で希釈し、濃度2重量%の塗布液を作成した。
実施例2〜4および比較例1〜4:
実施例1において、離型剤組成を下記表1に示す離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表1〜表2に示す。
Figure 2013001046
Figure 2013001046
本発明の離型フィルムは、例えば、LCD、PDP、有機EL等、表示部材製造用等の光学用途のほか、各種粘着剤層保護用として、経時での剥離変動(重剥離化)が小さく、特にアクリル系粘着テープとの剥離力で30〜60mN/cm程度の剥離力領域が必要とされる場合に好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に付加反応タイプの硬化型シリコーン樹脂を含有する塗布剤を塗布して設けられた離型層を有するフィルムであり、アクリル系粘着テープと離型層との剥離力が30〜60mN/cmであり、バイアル瓶(20mL)中に水酸化カリウム5重量%を溶解した、1−ブタノール溶液3ml添加後、離型フィルム(40cm)を浸漬し、当該バイアル瓶を50℃で1時間熱処理した後に発生する水素(H)ガス量が40ppm以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルム。
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