JP2020128055A - 離型フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
ポリエステルフィルムを基材として、シリコーン樹脂を主成分とする紫外線硬化型シリコーン系離型剤を硬化してなる離型層を設けた離型フィルムは、多くの分野で使用されている。
例えば特許文献3には、厚さ8〜26μmのポリエステルフィルムを基材とし、当該フィルムの製膜ラインにおいて設けられた、乾燥後の塗布量が0.02〜0.3g/m2の離型層を有する離型フィルムであり、当該離型層と粘着剤層間の180度剥離強度が1〜6gf/25mmであることを特徴とする光学部材表面保護フィルム用離型フィルムが開示されている。
さらに、本発明が提案する離型フィルムは、例えばその後の加工などによって離型層の性質が変動せず、安定した剥離力を発揮することができる。よって、例えばその後の加工工程において、100℃以上の熱をかけたくない部材表面を保護する保護フィルムや、曲面や凹凸への追従性が必要とされる面に貼着する離型フィルム、さらには、特に剥離力が極力安定していることが必要とされる工程紙などの用途に特に好適である。
本発明の実施形態の一例に係る離型フィルム(「本離型フィルム」と称する)は、共重合ポリエステルAを主成分樹脂として含有する共重合ポリエステル層(I層)を備えた共重合ポリエステルフィルム(「本共重合ポリエステルフィルム」と称する)の少なくとも片面側に離型層(「本離型層」)を備えた離型フィルムである。
本離型フィルムの基材としての役割を為す本共重合ポリエステルフィルムは、前述のように、共重合ポリエステルAを主成分樹脂として含有する共重合ポリエステル層(I層)を備えた単層又は積層のフィルムである。
共重合ポリエステル層(I層)は、共重合ポリエステルAを主成分樹脂として含有する層である。
この際、樹脂Bとしては、共重合ポリエステルAと相溶する樹脂であるのが好ましい。
共重合ポリエステル層(I層)が、共重合ポリエステルAと、これと相溶する樹脂Bとを含む場合については後述する。
共重合ポリエステルAは、テレフタル酸及びその他のジカルボン酸成分と、エチレングリコール及びその他のアルコール成分との共重合体である共重合ポリエステルである必要がある。
共重合ポリエステルAは、結晶性であっても、非晶性であってもよい。
中でも、本共重合ポリエステルフィルムを柔軟化し易くする観点から、「その他のジカルボン酸成分」としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコ酸及びそれらの誘導体などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、又は、ダイマー酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の中でも、ガラス転移温度をより下げることができる観点から、炭素数20〜80、中でも30以上或いは60以下、その中でも36以上或いは48以下の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。
このようなダイマー酸の中でも、ガラス転移温度をより下げることができる観点から、炭素数20〜80、中でも26以上或いは60以下、その中でも30以上或いは50以下のダイマー酸が好ましい。
「その他のジカルボン酸成分」の割合が前記範囲であると、本共重合ポリエステルフィルムが、良好な伸度、強度及び耐熱性を有しつつ、効果的に柔軟化できる傾向がある。
なお、通常、エチレングリコールを原料の1つとしてポリエステルを製造(重縮合)する場合、エチレングリコールの一部は変性してジエチレングリコールとなってポリエステル骨格に導入される。このジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールと称し、その副生量は、重縮合の様式(エステル交換法、直接重縮合)等によっても異なるが、エチレングリコールのうち1〜5モル%程度である。本発明においては、このようにエチレングリコールから副生されるジエチレングリコールも共重合成分として扱い、「その他のアルコール成分」に包含するものとする。
「その他のアルコール成分」の割合が前記範囲であると、本共重合ポリエステルフィルムが、良好な伸度、強度及び耐熱性を有しつつ、効果的に柔軟化できる傾向がある。
なお、「その他のアルコール成分」は2種以上を併用してもよい。2種以上を併用することにより、本共重合ポリエステルフィルムをより効果的に柔軟化できる場合がある。
通常、共重合ポリエステルは、弾性率を下げるために共重合成分の比率を高めると結晶性が低下し、更にその比率を高めると非晶性となる。前記共重合ポリエステルAaは共重合成分の比率が高く、低い弾性率を実現することができるにもかかわらず、結晶性を維持しているため、延伸後の熱処理により熱固定することができる。その結果、共重合ポリエステルAaはしなやかであり、それでいて、伸度、強度が良好であり、更に、熱収縮を抑えることができる。
上述したように、共重合ポリエステル層(I層)は、共重合ポリエステルAと、これと相溶する樹脂Bとを含む層であってもよい。
共重合ポリエステル層(I層)が、共重合ポリエステルA及び樹脂Bを含む層である場合、樹脂Bは、共重合ポリエステルAと相溶する樹脂であって、融点が270℃以下、或いは、非晶性であり、ガラス転移温度が30〜120℃である樹脂が好ましい。このような樹脂Bを選択することにより、共重合ポリエステル層(I層)のガラス転移温度を高くすることができ、耐熱性を高めることができる。樹脂Bとして、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルを選択することにより、寸法安定性、耐熱性を付与することができる。
この樹脂Dとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。
よって、共重合ポリエステル層(I層)が、1種又は2種以上のポリエステルを含有する場合において、共重合ポリエステル層(I層)に含まれる全ポリエステルの成分量合計において、ジカルボン酸成分の含有量合計に占める「その他のジカルボン酸成分」の含有量合計の割合は5mol%以上20mol%以下であり、アルコール成分の含有量合計に占める「その他のアルコール成分」の含有量合計の割合は1mol%以上25mol%未満であれば、共重合ポリエステルAを主成分樹脂として含む場合と同様の効果を得ることができる。
この際、ジカルボン酸成分の含有量合計に占める「その他のジカルボン酸成分」の含有量合計の割合の好ましい範囲は、共重合ポリエステルAにおける、ジカルボン酸成分に占める「その他のジカルボン酸成分」の割合の好ましい範囲と同様である。また、アルコール成分の含有量合計に占める「その他のアルコール成分」の含有量合計の割合の好ましい範囲は、共重合ポリエステルAにおける、アルコール成分に占める「その他のアルコール成分」の割合の好ましい範囲と同様である。
本共重合ポリエステルフィルムは、上述したように、共重合ポリエステル層(I層)と他の層を備えた積層フィルムであってもよい。
前記ポリエステルCは、共重合ポリエステルAが結晶性の場合は、共重合ポリエステルAの融点よりも高い融点を有するポリエステルであるのが好ましく、共重合ポリエステルAが非晶性の場合は、共重合ポリエステルAのガラス転移点よりも高い温度の融点を有するポリエステルであるのが好ましい。
ポリエステル層(II層)の各層厚みが、共重合ポリエステル層(I層)の厚みの1%以上であれば生産性を大きく損なうことなく製膜が可能であり、20%以下であれば要求される柔軟性を十分に確保できるから好ましい。
かかる観点から、ポリエステル層(II層)の各層厚みは、共重合ポリエステル層(I層)の厚みの1〜20%であるのが好ましく、中でも3%以上或いは15%以下、その中でも5%以上或いは12%以下であるのがさらに好ましい。
なお、共重合ポリエステル層(I層)の表裏両側に存在するポリエステル層(II層)の厚みは、表裏で異なっていてもよいし、同一でもよい。
なお、共重合ポリエステル層(I層)の表裏両側に存在するポリエステル層(II層)の主成分となるポリエステルCは、表裏で異なっていてもよいし同一でもよい。中でも、表裏のポリエステルCの融点が大きく異ならないことが好ましい。具体的には、表裏両側に存在するポリエステル層(II層)の融点の差が80℃以下、中でも60℃以下、その中でも40℃以下であることが好ましい。共重合ポリエステル層Aの表裏両側のポリエステル層Cが同一であると、2種3層の共押出成形が可能となるので、この態様も好ましい。
ポリエステルCにおいて、ジカルボン酸成分に占める「テレフタル酸以外のジカルボン酸成分」の割合は、1〜30mol%であるのが好ましく、中でも5mol%以上或いは25mol%以下、その中でも10mol%以上或いは20mol%以下であるのがさらに好ましい。
ポリエステルCにおいて、アルコール成分に占める「エチレングリコール以外のアルコール成分」の割合は、1〜100mol%であるのが好ましく、中でも5mol%以上或いは95mol%以下、その中でも10mol%以上或いは90mol%以下であるのがさらに好ましい。
本共重合ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定するものではなく、用途によって適切な厚みを選択することができる。
中でも、本共重合ポリエステルフィルムの特徴をより発揮するという観点から、フィルムの全厚みが20μm以上であるのが好ましい。
フィルムのコシ(stiffness)の強さは厚さの三乗に比例すると言われている。しかし、本共重合ポリエステルフィルムは、20μm以上であっても、コシ(stiffness)が弱くてしなやか(flexible)であるという特徴を有しており、本発明の利益をより一層享受することができる。
かかる観点から、本共重合ポリエステルフィルムの全厚みは20μm以上が好ましく、中でも25μm以上、その中でも38μm以上であるのがさらに好ましい。
一方、本共重合ポリエステルフィルムの全厚みの上限は特に限定するものではない。1000μm以下であるのが好ましく、中でも500μm以下、その中でも250μm以下、その中でも125μm以下であるのがさらに好ましい。
本共重合ポリエステルフィルムの製造方法の一例として、本共重合ポリエステルフィルムが二軸延伸フィルムの場合について説明する。但し、ここで説明する製造方法に限定するものではない。
次に、当該未配向シートを、一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。この際、延伸温度は、通常25〜120℃、好ましくは35〜100℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは2.8〜6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。この際、延伸温度は通常50〜140℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。
そして、引き続き130〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱固定処理を行い、二軸配向フィルムとしての本共重合ポリエステルフィルムを得ることができる。
なお、前記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
これは、ポリエステルCの融点よりも低い温度で熱固定することにより、表層の延伸配向が固定されるため、伸度、強度及び耐熱性(熱収縮性)が良好となる一方、共重合ポリエステルAの融点よりも高い温度で熱固定することにより、中間層の延伸配向や歪みが緩和されるため、より一層しなやかなフィルムとすることが出来るためである。
本離型層は、カチオン重合性紫外線硬化型(以下、「UVカチオン系」と称する場合がある)シリコーン離型剤及び光重合開始剤と、必要に応じて他の成分とを含有する、UVカチオン系シリコーン離型剤組成物からなる層である。
本離型層は、UVカチオン系シリコーン離型剤組成物を、本共重合ポリエステルフィルムの片側又は両側の表面に塗布し、紫外線照射処理を施して硬化させることにより形成することができる。
単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような変性シリコーン系ポリマー成分において、カチオン重合反応性官能基としては、例えば、エポキシ基(特に、脂環式エポキシ基など)を好適に用いることができる。また、前記カチオン重合反応性官能基は、変性シリコーン系ポリマー成分1分子中に、少なくとも2つ導入されていることが好ましい。
なお、カチオン重合反応性官能基は、変性シリコーン系ポリマー成分中の主鎖又は側鎖の珪素原子に、直接結合していてもよく、2価の基(例えば、アルキレン基、アルキレンオキシ基等の2価の有機基など)を介して結合していてもよい。
分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する変性シリコーン系ポリマー成分としては、特に限定されるわけではない。例えば、主鎖のポリシロキサン成分中に、γ−グリシジルオキシプロピル基、β(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、β(4−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基などのエポキシ基含有基(特に、脂環式エポキシ基を含有する基)が、1分子中に少なくとも2つ導入された変性シリコーン系ポリマー成分などを挙げることができる。
UVカチオン系シリコーン離型剤と組み合わせて用いる光重合開始剤としては、オニウム塩系光重合開始剤が好適である。但し、光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジアリールヨードニウム塩としては、式:Y2I+X- (Yは置換基を有していてもよいアリール基を示す。また、X-は、非求核性且つ非塩基性の陰イオンである。)で表される化合物を挙げることができる。
なお、上記X-の非求核性且つ非塩基性の陰イオンとしては、例えば、SbF6 -、SbCl6 -、BF4 -、[B(C6H5)4]-、[B(C6H5)4]-、[B(C6H4CF3)4]-、[(C6H5)2BF2]-、[C6H5BF3]-、[B(C6H3F2)4]-、AsF6 -、PF6 -、HSO4 -、ClO4 -などを挙げることができる。
前記UVカチオン系シリコーン離型剤組成物は、UVカチオン系シリコーン離型剤及び光重合開始剤以外に、必要に応じて、白金含有触媒などの硬化反応触媒、希釈溶剤、その他の添加剤を含有することができる。
本離型フィルムは、本共重合ポリエステルフィルムと離型層との間に「他の層」を備えていてもよい。
当該「他の層」としては、例えば帯電防止層やオリゴマー封止層などの各種機能を備えた層を挙げることができる。
本離型フィルムは、本共重合ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に、必要に応じて、帯電防止層やオリゴマー封止層などの塗布層を形成した後、これらの表面に、上記UV硬化シリコーン組成物を塗布し、必要に応じて紫外線照射して離型層を硬化させることにより、製造することができる。
さらに加熱処理時間としては、3秒〜3分、好ましくは5秒〜2分、さらに好ましくは5秒〜1分の範囲がよい。
本離型フィルムは、次の物性を有することができる。
本離型フィルムは、後述の実施例に記載されている“たわみ測定法”によって測定される「しなやかさ(コシ)」(flexible)すなわち、垂直方向に下がった長さを(a)、水平方向に突き出た長さを(b)とした時、(a)と(b)との比の値((a)/(b))は0.3以上であることが好ましく、中でも0.5以上、その中でも1.0以上であることがさらに好ましい。
前記(a)/(b)が0.3以上であることによって、フィルムに十分なしなやかさを有することが示唆される。
一方、前記(a)/(b)の上限は特に限定されないが、工程におけるハンドリング性の観点から、15.0以下であるのが好ましく、中でも10.0以下、その中でも6.0以下であるのがさらに好ましい。
かかる観点から、共重合ポリエステルAの共重合成分は、前記「その他のジカルボン酸成分」が脂肪族ジカルボン酸もしくはダイマー酸であるのが好ましく、その含有量は5mol%以上20mol%以下であるのが好ましい。他方、前記「その他のアルコール成分」がジエチレングリコールであるのが好ましく、その含有量は1mol%以上50mol%以下であるのが好ましい。
本離型フィルムは、離型層の剥離力の安定性の面から、前記離型層の常態剥離力(F1)、加熱剥離力(F2)及び空気暴露剥離力(F3)が、次の関係(1)(2)を同時に満足するのが好ましい。
(1)・・F2−F1≦10(mN/cm)
(2)・・F3−F1≦10(mN/cm)
この加熱剥離離力(F2)は、フィルム上に硬化形成後、離型層表面に残存するハイドロジェンシラン基(Si−H基)と相間があると考えられる。常態剥離力(F1)に近い値を示すほど、表面に残存するSi−H基量が少ないことを示している。
この空気暴露剥離力(F3)は、前記Si−H基と付加反応する相手方のビニル基(Si−CH=CH2基)がフィルム上に硬化形成後、離型層表面に残存する量と相関があると考えられている。空気暴露剥離力(F3)が常態剥離力(F1)に近い値を示すほど、表面に残存するビニル基(Si−CH=CH2基)量が少ないことを示している。
本離型フィルムは、上述したように、柔軟性に優れており、単に柔軟であるだけでなく、よりしなやか、言い方を変えれば、コシ(stiffness)が殆ど無いという特徴を有している。よって、例えば、電池用包装材、粘着剤層保護(OCA(Optical CLEAR Adhesive)用構成部材、粘着テープ用保護など)、医療分野(経皮吸収型貼付薬用セパレータなど)、製造工程に用いる工程紙、画像表示用部材の保護、中でもフレキシブルディスプレイやウェアラブル端末などの構成部材の保護用として、しなやかさ(flexible)が必要とされる用途に好適である。
また、加工工程において、100℃以上の熱をかけたくない部材表面(例えば、ガラス転移点が低い粘着層の凹凸賦型)の保護、曲面形状を有する成形体表面(スマートフォンなど)への追従性が必要とされる用途あるいは、特に剥離力が極力安定していることが必要とされる、多段階硬化方式を採用する加工工程に使用する工程紙として好適である。
なお、本離型フィルムの用途は前記に限定されるものではなく、例えば、各種包装用材料、建材、文房具、自動車部材、その他の構成部材の製造工程における工程紙あるいは部材の保護フィルムとして用いることができる。
なお、粘着層付き離型フィルム(A)の離型フィルムは、本離型フィルムとは異なり、0.3m/minの剥離速度による剥離力が本離型フィルムの2倍から10倍程度のものが好ましい。
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シート及びフィルムを包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下において、種々の物性等の測定及び評価は次のようにして行った。
試料フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.502」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
試料フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.502」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、熱風式オーブンにて、100℃、1時間熱処理した。その後、サンプルを取り出し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。加熱剥離力の値が低い方が良好である。
予め試料フィルムの離型層表面を24時間、室温で暴露させた後、常態剥離力(F1)と同様の方法にて剥離力を測定した。
試料フィルムを、A4サイズ(210mm×297mm)の大きさに切り取り、その離型層表面に、75μm厚の2軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製:ダイアホイルT100−75)を重ねて、温度60℃、圧力1MPaの条件で2時間プレスした。そして、前記「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を移行性評価フィルムとした。
他方、離型層を設けていない未処理のPETフィルムに、上記と同じ「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を重ねて上記と同条件でプレスし、該「75μm厚の2軸延伸PETフィルム」を基準フィルムとした。
前記移行性評価フィルム及び前記基準フィルムに、粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
そして、測定した移行性評価フィルムの剥離力及び基準フィルムの剥離力を次の式に代入して残留接着率(%)を求めた。
試料フィルムの離型層表面に下記粘着剤組成物を塗工後、150℃、3分間加熱処理して、乾燥後の厚み(DRY)が20μmの粘着層を得た。その後、PETフィルムとラミネートし、粘着層貼り合せ品を作製した。
「UVあり」の場合は、作製した粘着層貼り合せ品にウシオ電機株式会社製「UVC−402」UV照射装置を用いて、積算光量で500mJ/cm2の紫外線照射を施した。その後、室温で1日保管した後、試料フィルムをPETフィルムから剥がし、剥離力を測定した。
他方、「UVなし」の場合は、ラミネートした粘着層貼り合せ品をそのまま用い、試料フィルムをPETフィルムから剥がす際の剥離力を測定した。
剥離力は(株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
主剤:AT352(サイデン化学社製) 100質量部
硬化剤:AL(サイデン化学社製) 0.25質量部
添加剤:X−301−375SK(サイデン化学社製) 0.25質量部
添加剤:X−301−352S(サイデン化学社製) 0.4質量部
トルエン: 40質量部
試料サンプルは、実施例・比較例で得た離型フィルム(サンプル)を23℃、50%RH雰囲気下で24時間静置した後に、長さ150mm、幅50mmのサイズに切り出して作製した。
図1に示すように、離型フィルム(サンプル)を、23℃の環境下、机の端から長さ50mm外へ突き出すように机の上に載置する共に、机の上の離型フィルム(サンプル)の上に200gの錘を置いて固定し、机の端から突き出たサンプルの先端側を自重によって下方向へ撓ませた。3分後、机の端から突き出たサンプルの先端部が垂直下方に撓んで垂れ下がった長さ(a)と、当該先端部が机の端から水平方向に突き出た長さ(b)とを測定した。
そして、水平方向に突き出た長さ(b)に対する撓んで垂れ下がった長さ(a)の比率((a)/(b))を計算し、0.30以上であれば「合格」、0.30未満であれば「不合格」と評価した。
しなやかさ(flexible)と剥離力の安定性について、下記評価基準により判定を行った。
(判定基準)
○:しなやかさ(flexible)と剥離力の安定性がともに合格レベル。
×:しなやかさ(flexible)、剥離力の安定性のいずれか一方が不合格レベル。
実施例及び比較例では次の原料を使用した。
表層および中間層として、共重合ポリエステル1(共PS1)のチップを280℃に設定したベント付き押出機に送り込み、ギヤポンプ、フィルターを介して、押出機の口金から押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で急冷固化させ、未延伸シートを得た。
次いで、得られた未延伸シートを、長手方向(MD)に50℃で3.3倍延伸した後、テンターに導き、次いで幅方向(TD)に80℃で4.2倍に延伸した後、200℃で10秒間熱処理を施し、幅方向(TD)に10%弛緩して、実質的に単層からなる厚み25μmの二軸延伸共重合ポリエステルフィルムを得た。
次に、下記組成物から構成される離型層組成物(UVカチオン系シリコーン1)を、塗布量(乾燥後)の厚みが0.08g/m2になるように、前記二軸延伸共重合ポリエステルフィルムの表面に塗布した後、70℃で10秒乾燥させた後、積算光量120mJ/m2となるように紫外線を照射し、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
UVカチオン系シリコーン離型剤:TPR6500(モメンティブ・スペシャリティーケミカルズ社製)100質量部
光重合開始剤:UV9380C(モメンティブ・スペシャリティーケミカルズ社製)1質量部
溶媒:トルエン500質量部、MEK500質量部、ヘキサン500質量部
中間層として、共重合ポリエステル1(共PS1)のチップを280℃に設定したメインのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
また表層として、ポリエステル(PET)のチップを280℃に設定したサブのベント付き二軸押出機に送り込んだ。
ギヤポンプ、フィルターを介して、メイン押出機からのポリマーが中間層、サブ押出機からのポリマーが表層となるように2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出して口金から押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で急冷固化させ、未延伸シートを得た。
次いで、得られた未延伸シートを、長手方向(MD)に80℃で3.2倍延伸した後、テンターに導き、次いで幅方向(TD)に100℃で4.0倍に延伸した後、200℃で10秒間熱処理を施し、幅方向(TD)に10%弛緩して、1μm(表層)/23μm(中間層)/1μm(表層)の厚み構成からなる厚み25μmの二軸延伸共重合ポリエステルフィルムを得た。
実施例1と同様の離型層組成物を同様に塗布、乾燥させ、実施例1と同様に紫外線を照射し、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
表1に示すように条件を変更した以外は、実施例2と同様にして二軸延伸共重合ポリエステルフィルムを得た。
なお、表において、例えば実施例3の「共PS1/PET=80/20」とは、共PS1を80質量部と、PETを20質量部とを混合したという意味であり、他の実施例についても同様に質量割合を示している。
次に、実施例1と同様の離型層組成物を同様に塗布、乾燥させ、実施例1と同様に紫外線を照射し、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
離型層組成物を下記に変更した以外は、実施例1と同様にして、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
(離型層組成物:UVカチオン系シリコーン2)
UVカチオン系シリコーン離型剤:X−62−7660(信越化学工業株式会社製)100質量部
光重合開始剤:CAT−7605(信越化学工業株式会社製) 1質量部
溶媒:トルエン500質量部、MEK500質量部、ヘキサン500質量部
ポリエステル(PET)のチップを280℃に設定したベント付き押出機に送り込み、ギヤポンプ、フィルターを介して、押出機の口金から押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で急冷固化させ、未延伸シートを得た。
次いで、得られた未延伸シートを、長手方向(MD)に86℃で3.5倍延伸した後、テンターに導き、次いで幅方向(TD)に110℃で4.3倍に延伸した後、235℃で10秒間熱処理を施し、幅方向(TD)に10%弛緩して、厚み50μmの二軸延伸共重合ポリエステルフィルムを得た。
次に、実施例1と同様の離型層組成物を同様に塗布、乾燥させ、実施例1と同様に紫外線を照射し、離型フィルム(試料フィルム)を得た。
実施例1において、離型層の組成を下記離型層組成に変更して、塗布量(乾燥後)が0.15g/m2になるように塗布、70℃、10秒で熱処理した後に離型フィルム(試料フィルム)を得た。
主剤:KS−847H(信越化学工業株式会社製)100質量部
触媒:PL−50T(信越化学工業株式会社製)1質量部
溶媒:トルエン200質量部、MEK200質量部、ヘキサン200質量部
これらの剥離特性の安定性は、従来の熱硬化型シリコーン離型剤では達成困難なレベルでもある。
また、前記空気暴露剥離力は、前記Si−H基と付加反応する相手方のビニル基(Si−CH=CH2基)がフィルム上に硬化形成後、離型層表面に残存する量と相関があると考えられている。この空気暴露剥離力が常態剥離力に近い値を示すほど、表面に残存するビニル基(Si−CH=CH2基)量が少ないことを示している。
例えば、実施例2〜5のように、中間層の主成分樹脂が結晶性の共重合ポリエステルである場合、表層の主成分樹脂としてのポリエステルが、前記共重合ポリエステルの融点よりも高い融点を有するポリエステルであれば、前記中間層のみからなる単層の場合に比べて、延伸後の熱処理(熱固定)温度をより高くすることができる利点を有する。
Claims (16)
- テレフタル酸及び「その他のジカルボン酸成分」と、エチレングリコール及び「その他のアルコール成分」との共重合体からなる共重合ポリエステルAを主成分樹脂として含有する共重合ポリエステル層(I層)を備えた共重合ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、カチオン重合性紫外線硬化型シリコーン離型剤組成物を硬化してなる離型層を備えた離型フィルム。
- 前記カチオン重合性紫外線硬化型シリコーン離型剤組成物が、γ−グリシジルオキシプロピル基、β(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、及び、β(4−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基からなる群の中から選択されるエポキシ基を少なくとも一つ有する化合物を含有する、請求項1に記載の離型フィルム。
- 前記離型層の常態剥離力(F1)、加熱剥離力(F2)及び空気暴露剥離力(F3)は、F2−F1≦10(mN/cm)、及び、F3−F1≦10(mN/cm)の関係を満足することを特徴とする、請求項1又は2に記載の離型フィルム。
F1:離型層表面に粘着テープを貼り合せてから、室温にて1時間放置後の180°剥離力
F2:離型層表面に粘着テープを貼り合せてから、100℃にて1時間熱処理後の180°剥離力
F3:離型層を室温にて24時間放置後に粘着テープを張り付けて測定した180°剥離力 - 前記共重合ポリエステルAは、ジカルボン酸成分に占める「その他のジカルボン酸成分」の割合が5mol%以上20mol%以下であり、アルコール成分に占める「その他のアルコール成分」の割合が1mol%以上50mol%以下である、請求項1〜3の何れかに記載の離型フィルム。
- 前記共重合ポリエステル層(I層)は、前記共重合ポリエステルAと、これと相溶する樹脂Bとを含む層である、請求項1〜4の何れかに記載の離型フィルム。
- 前記樹脂Bとして、1種又は2種以上のポリエステルを含み、当該ポリエステルは、ジカルボン酸成分の合計含有量に対する「その他のジカルボン酸成分」の合計含有量の割合が5mol%以上20mol%以下であり、アルコール成分の合計含有量に対する「その他のアルコール成分」の合計含有量の割合が1mol%以上50mol%以下である、請求項5に記載の離型フィルム。
- 共重合ポリエステル層(I層)に含まれる全ポリエステルにおいて、ジカルボン酸成分の含有量合計に占める「その他のジカルボン酸成分」の含有量合計の割合は5mol%以上20mol%以下であり、アルコール成分の含有量合計に占める「その他のアルコール成分」の含有量合計の割合は1mol%以上50mol%以下である請求項1〜6の何れかに記載の離型フィルム。
- 前記「その他のジカルボン酸成分」が、脂肪族ジカルボン酸又はダイマー酸を含む、請求項1〜7の何れかに記載の離型フィルム。
- 前記「その他のジカルボン酸成分」が、イソフタル酸、脂肪族ジカルボン酸及びダイマー酸のうちの2種類以上を含む、請求項1〜8の何れかに記載の離型フィルム。
- 前記「その他のアルコール成分」がジエチレングリコールを含む、請求項1〜9の何れかに記載の離型フィルム。
- 共重合ポリエステル層(I層)の表裏両側に、ポリエステルCを主成分樹脂として含有するポリエステル層(II層)を積層してなる構成を備えており、
当該ポリエステルCは、共重合ポリエステルAが結晶性の場合は、共重合ポリエステルAの融点よりも高い融点を有するポリエステルであり、共重合ポリエステルAが非晶性の場合は、共重合ポリエステルAのガラス転移点よりも高い温度の融点を有するポリエステルである、請求項1〜10の何れかに記載の離型フィルム。 - ポリエステル層(II層)の各層厚みは、共重合ポリエステル層(I層)の厚みの1〜20%である、請求項11に記載の離型フィルム。
- 前記共重合ポリエステルフィルムの全厚みが20μm以上である、請求項1〜12の何れかに記載の離型フィルム。
- 工程紙である、請求項1〜13の何れかに記載の離型フィルム。
- 粘着層保護用である、請求項1〜13の何れかに記載の離型フィルム。
- 請求項1〜13の何れかに記載の離型フィルム、粘着層、他の離型フィルムが順次積層されてなる構成を備えた積層体。
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