JP7130967B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
この種の表面保護フィルムは、基材の一方の面に、剥離可能な粘着層を備えており、粘着層を介して表面保護フィルムを製品に貼着することで、前記基材によって製品の表面を汚染、損傷等から保護する構成のものが一般的である。
他方、剥離工程の自動化(機械化)による普及に伴い、機械による剥離がスムーズに行えることも要求特性となっている。よって、生産性向上のため、例えば剥離装置により、表面保護フィルムを剥離する場合、剥離力が低いことが要求される場合がある。
また、被着体から表面保護フィルムを剥離する際に、滑らかに剥離する部分と剥離しにくい部分とが生じてバリバリという音を立てながら剥離する現象、いわゆるジッピング剥離が発生する場合がある。そのため、上記の通り、製品の品質確保、剥離装置など、生産設備の点でも、剥離装置にかかる負荷を低減できることが好ましい。
また、別の手法として、粘着層を構成するポリマーに架橋剤や架橋触媒を組合せて架橋密度を上げることにより、粘着剤の剥離性を確保する保護フィルム用粘着剤が開示されている(特許文献3、特許文献4)。
また、フィルムを剥離する時に発生する応力の強さによって、製品が破損する場合もあった。
また、本発明が提案する積層フィルムは、粘着層の厚みが薄く、しかも、粘着層表面における対数減衰率(30℃)が0.01以上0.10以下の範囲であることにより、剥離装置などで一気に剥離する際や捲回状態から巻き戻す際など、必要がある時には、破損することなく円滑に剥離することができる。その一方、製品を搬送する際など、剥離する力が低速で掛るような場合には、被着体から剥離せず接着していることができる。
本発明が提案する積層フィルムはさらに、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であるため、フィルムを剥離する時に発生する応力の強さによって、被着体が破損することを防止することができる。よって、例えばガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなどのように薄膜の光学部材の表面を保護するための積層フィルムとして有効に利用することができる。
本発明の実施形態の一例に係る積層フィルム(「本積層フィルム」と称する)は、ポリエステルフィルムの片面に粘着層が積層された積層フィルムである。
また、本積層フィルムは、例えば離型フィルムを積層しない構成、中でも粘着層の表面に離型フィルムを積層しない構成とすることができる。通常の表面保護フィルムは、粘着層を保護するために離型フィルムと貼り合わせるなど、粘着層の表面に離型フィルムを積層することが一般的である。これに対し、本積層フィルムは、前述のように、捲回状態から巻き戻す際など、必要がある時には、破損することなく円滑に剥離することができるから、粘着層の表面などに離型フィルムを積層しなくてもよく、例えばそのまま巻き取って捲回体とすることができる。
本積層フィルムにおけるポリエステルフィルムは、製品の表面を保護することができる表面保護フィルムとして利用可能なものが好ましい。
ポリエステルフィルムは、単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層、4層又はそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
ポリエステルフィルムの主成分樹脂をなすポリエステルが、ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等を例示することができる。
上記ポリエステルフィルムは、易滑性の付与、各工程での傷発生防止、さらには粘着層表面の表面粗さの調整などを主たる目的として、粒子を含有するのが好ましい。
なお、粒子の平均粒径は、10個以上の粒子をSEM観察して粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
ポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではない。9μm~100μmであるのが好ましく、中でも12μm以上或いは75μm以下、その中でも25μm以上或いは50μm以下であるのがさらに好ましい。
ポリエステルフィルムは、無延伸フィルムであっても、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。中でも、二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
次にポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明する。但し、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
次に、得られた未延伸シートを二軸方向に延伸するのが好ましい。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。その場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
粘着層は、基材としてのポリエステルフィルム或いは被着体との密着性向上のために、アクリレート化合物のうちの少なくとも1種類以上を主成分樹脂として含有するのが好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、粘着層を構成する樹脂のうち最も含有量の高い樹脂を示す。
上記アクリレート化合物としては、従来公知のものを使用することができる。例えば単官能(メタ)アクリレート基、二官能(メタ)アクリレート基、多官能(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基等を有するアクリレート化合物を挙げることができる。
なお、「(メタ)アクリレート化合物」の表記は「アクリレート化合物およびメタクリレート化合物」を表す。
一般式(I):A-B
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)で表されるアクリル系ジブロック共重合体や、
一般式(II);C1-D-C2
(式中、C1およびC2はそれぞれ独立してメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。なお、重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、重量平均分子量、各重合体ブロックを形成するメタクリル酸アルキルエステルの組成などが同一でも、異なっていてもよい。)で表されるアクリル系トリブロック共重合体を挙げることができる。
例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法は、アクリル系ブロック共重合体の純度を高められるとともに、分子量や組成比の制御が容易であることから、好ましい製法として挙げることができる。
バインダー樹脂の具体例としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等を挙げることができる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
粘着層の粘着力調整を目的として、必要に応じて、粘着層は架橋剤を含有してもよい。
架橋剤の具体例として、例えばオキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物などを例示することができる。中でも密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物またはイソシアネート化合物の少なくとも1種を使用することがより好ましい。
必要に応じて、重合開始剤(「架橋開始剤」とも称する)を併用してもよい。
重合開始剤としては、熱架橋開始剤(「熱硬化剤」とも称する)や光架橋開始剤などを例示することができる。中でも、紫外線を用いて光重合を促進させることができる光架橋開始剤は、高温加熱する必要がなく熱ダメージを受けることがないため、好ましい。
また、カチオン型の光重合開始剤として、例えばジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールビリリウム塩、ベンジルピリジニウムチオシアネート、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキルヒドロキシフェニルホスホニウム塩などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は、1種又は2種以上を併用することも可能である。
粘着層には、易滑性或いはブロッキング改良のため、粒子を併用してもよい。
当該粒子の平均粒径は、易滑性或いはブロッキング改良並びにフィルム透明性の観点から、0.01~1.0μmの範囲であるのが好ましく、中でも0.03μm以上或いは0.5μm以下、その中でも0.05μm以上或いは0.2μm以下の範囲であるのが好ましい。
当該粒子の具体例として、例えばシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等を挙げることができる。
粘着層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等が含有されてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
粘着層は、貯蔵弾性率(25℃)で示される硬さが1×104Pa以上1×107Pa以下であることが好ましい。
貯蔵弾性率が1×107Pa以下であれば、初期にはリワークできる適度な接着力を確保することができるので好ましい。一方、貯蔵弾性率が1×104Pa以上であれば、粘着層の凝集力が確保されて、糊残りによる汚染も低減できるので好ましい。
かかる観点から、粘着層の貯蔵弾性率は、1×104Pa以上1×107Pa以下であることが好ましく、中でも2×104Pa以上或いは7×106Pa以下、その中でも3×104Pa以上或いは5×106Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで硬さを示す貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載した方法で求められる25℃におけるせん断貯蔵弾性率の値である。
本積層フィルムの粘着層表面の表面粗さ(S5p)は10nm以上1,000nm以下であるのが好ましい。
粘着層表面の表面粗さが上記範囲であれば、フィルムを剥離する時に発生する応力の強さによって、被着体が破損することを防止することができる。
かかる観点から、粘着層表面の表面粗さ(S5p)は10nm以上1,000nm以下であるのが好ましく、中でも15nm以上或いは900nm以下、その中でも20nm以上或いは700nm以下であるのがさらに好ましい。
よって、例えばガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなどのように薄膜の光学部材の表面を保護するための積層フィルムとして有効に利用することができる。
粘着層の厚み(乾燥後)は100nm以上9000nm以下であるのが好ましく、中でも120nm以上或いは6,000nm以下、その中でも150nm以上或いは2,000nm以下であるのがさらに好ましい。
粘着層の厚みを上記範囲にすることで、例えば、薄肉のガラス板、モスアイ構造を有するプリズムシートなどの保護フィルムとして使用する場合に、これら被着体に関して、外部からの応力に対して、破損する懸念がある部材の表面保護用として好適である。また、これら被着体からの保護フィルムの剥離は滑らかに行われ、被着体の変形や破損を防ぐことができる点で好ましい。
本積層フィルムは、粘着層の厚みが極めて小さくて、且つ、粘着層の表面が適度に粗いため、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対する粘着層の厚みの比は、本積層フィルムの特徴を効果的に表すことができる。
かかる観点から、粘着層の厚み(乾燥後)は、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対して0.1~1,000であるのが好ましく、中でも0.2以上或いは500以下、その中でも0.3以上或いは350以下、その中でも0.5以上或いは300以下であるのがさらに好ましい。
前述したように、ポリエステルフィルム中に粒子を配合することにより、粘着層表面の粗さを調整することができるため、ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径に対する粘着層の厚みの比は、本積層フィルムの特徴を効果的に表すことができる。
かかる観点から、粘着層の厚み(乾燥後)は、ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径に対して0.03以上200以下であるのが好ましく、中でも0.05以上或いは150以下、その中でも0.08以上或いは100以下であるのがさらに好ましい。
粘着層を設ける方法としては、例えばリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を採用することができる。
上記の帯電防止層は、主として帯電防止性能を付与し、剥離帯電や摩擦帯電による周囲のゴミ等の付着を軽減させるために設けることができる。但し、帯電防止層は必ず設ける必要はない。
帯電防止層に含有する帯電防止剤としては、特に制限はなく、従来公知の帯電防止剤を使用することが可能である。中でも、耐熱性、耐湿熱性が良好であることから、高分子タイプの帯電防止剤であることが好ましい。高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸基を有する化合物、ベタイン化合物、導電ポリマー等を挙げることができる。
帯電防止層には、表面の汚染除去性、粘着層とのブロッキング軽減、耐擦傷性向上等のために、離型剤を含有させることも可能である。
離型剤としては、従来公知の材料を使用することが可能であり、例えば、長鎖アルキル基含有化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物、ワックス等を挙げることができる。
(剥離力)
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)としては、被着体に対して、10mN/cm以上であるのが好ましく、中でも20mN/cm以上或いは600mN/cm以下、その中でも40mN/cm以上或いは300mN/cm以下、さらには40mN/cm以上或いは100mN/cm以下であるのが特に好ましい。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)が上記範囲であれば、例えば加工運搬時に本積層フィルムが被着体から浮き上がることなく、被着体の表面汚染や損傷等から保護することができるので好ましい。
なお、本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)は、JIS K 6854-2に準じて、引張速度0.3m/minで測定した180°剥離力である。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y1)は、粘着層表面の表面粗さ(S5p)、粘着層の硬さ、および粘着層の粘性挙動を調整することにより調整することができる。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y2)が上記範囲であれば、例えば剥離装置により高速で剥離する場合にも、本積層フィルムでは被着体からの剥離はスムーズに行われて、被着体の変形や損傷等を防ぐことができるので好ましい。
なお、本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y2)は、JIS K 6854-2に準じて、引張速度30m/minで測定した180°剥離力である。
本積層フィルムの粘着層の剥離力(Y2)は、粘着層表面の表面粗さ、粘着層の硬さ、および、粘着層の粘性挙動を調整することにより調整することができる。
本積層フィルムの粘着層表面において、剛体振り子型物性試験器により測定した、30℃における対数減衰率は0.01以上0.1以下の範囲であることが好ましく、中でも0.02以上或いは0.08以下、その中でも0.03以上或いは0.05以下の範囲であるのがさらに好ましい。
上記の対数減衰率は、粘着層にせん断を与えたときの粘性挙動を表し、この数値が大きいほど、粘着層の粘性は大きいことを示唆する。従って、対数減衰率が上記範囲内にあれば、粘着層の粘性が適度に調整されて、例えば初期にはリワークが可能で、また加工運搬時に本積層フィルムが被着体から浮き上がることがない適度な接着力が確保されるので好ましい。また、例えば剥離装置により高速で剥離する場合にも、被着体からの本積層フィルムの剥離がスムーズに行われて、被着体の変形や損傷等を防ぐことができるので好ましい。
本積層フィルムの粘着層表面における対数減衰率は、粘着層の厚み及び硬さを調整することにより、上記範囲に調整することができる。
対数減衰率が上記範囲であり、かつ、同じく本積層フィルムの粘着層表面において、剛体振り子型物性試験器により測定した、30℃における対数減衰率比が0.10以上1.40以下の範囲であることが好ましく、中でも0.30以上或いは1.00以下、その中でも0.40以上或いは0.80以下の範囲であることがさらに好ましい。
上記の対数減衰率比は、粘着層にせん断を与え続けた時の粘性挙動の変化を表すもので、この数値が小さくなるほど、せん断とともに粘着層が硬くなっていくことを示唆するものである。従って、対数減衰率比が上記範囲内にあれば、例えば剥離装置により高速で剥離する場合にも、被着体からの本積層フィルムの剥離を、よりスムーズに行うことが可能になり、被着体の変形や損傷等を防ぐことができるので好ましい。
本積層フィルムの粘着層表面における対数減衰率比は、粘着層の厚み及び硬さを調整することにより、上記範囲に調整することができる。但し、これらの手段に限定するものではない。
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製「SA-CP3型」)を使用して測定した等価球形分布における積算(質量基準)50%の値を平均粒径とした。
下記測定装置を用いて、実施例・比較例で得られた積層フィルム(サンプル)の粘着層表面及びポリエステルフィルム表面の観察測定、解析を行い、表面粗さ(S5p;ISO25178「5点山領域高さ」)を求めた。また、粘着層表面の任意の3箇所について観察測定を行い、そのn=3の平均値を、表面粗さ(S5p)とした。
R5300H型(菱化システム社製)
*観察測定条件
測定用CCDカメラ:1/3インチ
対物レンズ:×10
観察面積:469×351μm2、
視野サイズ:640×480pixels
測定モード:waveモード
測定波長:530nm
スキャンレンジ:±5μm
使用ソフト:VS-Viewer(最新バージョン)
補間条件:完全補間
面補正条件:4次多項式近似
GPC(東ソー株式会社製 HLC-8320GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この際、各平均分子量はポリスチレン換算で算出した。
粘着層の表面をRuO4で染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuO4で染色し、粘着層断面をTEMを用いて測定した。
但し、粘着層の塗膜厚みが概ね3,000nm以上の場合は、粘着層断面をSEMを用いて測定した。その場合は、粘着層の表面を白金・パラジウムで蒸着処理し、エポキシ樹脂に包埋した後、その粘着層断面を観察用に調整したものを測定に用いた。
なお、膜厚は粒子の部分を含まない箇所で測定した。
実施例および比較例で得られた積層フィルム(サンプル)の粘着層を形成する各粘着剤について、下記の装置を用いてJIS K 7244-10にしたがって動的粘弾性測定を行い、25℃におけるせん断貯蔵弾性率を読み取って、各粘着層の貯蔵弾性率とした。
測定装置:MARSII(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
測定法:せん断法
測定治具:φ20パラレルプレート
歪み:0.1%
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:3℃/min
周波数:1Hz
また、各粘着剤で厚み約0.2mmのシートを形成させる際の乾燥条件、UV硬化条件は下記表4又は5のとおりとした。
また、シートの圧着は1.5kgのゴムローラー(手動式圧着装置)にて五往復させて行った。
下記測定装置を用いて、実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)の粘着層面における、対数減衰率および対数減衰率比を求めた。
ここで、「対数減衰率」は測定開始から7~9分までの平均値と定義した。
また、対数減衰率比は下記の式(III)により求めた。
対数減衰率比=(測定開始から7~9分までの平均値)/(測定開始から0~20秒までの平均値)・・式(III)
対数減衰率は、粘性要素に対する弾性要素の比率を表し、この数値が小さくなるほど、粘着層が硬いことを示唆するものである。
また、対数減衰率比も数値が小さくなるほど、せん断とともに粘着層が硬くなっていく性質を示唆するものである。
*測定条件
測定用振り子:FRB-200
測定用エッジ:RBP-040
測定温度:30℃
測定時間:10分
測定間隔(データ取込み間隔):10秒
○:30℃における対数減衰率が0.01以上0.10以下である。
×:30℃における対数減衰率が0.01未満あるいは0.10を超える。
厚み1mmのアクリル板(クラレ社「コモグラス」)を被着体として、その表面に5cm幅の実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)の粘着層面を5cm幅の2kgゴムローラー(手動式圧着装置)にて二往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力(Y1)は、テスター産業製 高速剥離試験装置を使用し、JIS K 6854-2に準じて、引張速度0.3m/minの条件下、180°剥離を行った。
剥離力(Y2)は、テスター産業製 高速剥離試験装置を使用し、JIS K 6854-2に準じて、引張速度30m/minの条件下、180°剥離を行った。
下記(9-1)の方法に基づき、帯電防止層の表面抵抗(Ω)を測定した。(9-1)の方法では、1×108Ωより低い表面抵抗率は十分に測定できないため、(9-1)で測定できなかったサンプルについては(9-2)の方法を用いた。
厚み0.7mmの無アルカリガラス(アズワン社「EAGLEXG」;100×100mmサイズ)を被着体として、その表面に5cm幅短冊状の実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)の粘着層面を貼り合わせ、手で積層フィルムを剥離した時の被着体の反り変形量を測定すると共に、剥離した時の剥離状況を観察した。
この際、上記貼り合わせは、ガラス表面に、各積層フィルムの粘着層面を合せて、その上から5cm幅の2kgゴムローラ(手動式圧着装置)を二往復圧着して行った。
また、被着体の反り変形量は、定盤に静置した被着体において、1辺10mm巾の部分を定盤に固定し、その辺と対向する側から本積層フィルムを剥がし始めたときの、固定辺と対向する側の辺が定盤から浮いた高さを測定して求めた。
(判定基準)
○:勢いよく剥がしても、剥離抵抗感が無く、スムーズに剥離が可能であった。
△:勢いよく剥がすと、剥離時の剥離抵抗感を感じた。
反り変形量は、2mm以下で、被着体の破損の虞はなかった。
×:勢いよく剥がすことは、剥離時の剥離抵抗感が重く困難であった。
また、反り変形量が5mm以上で、被着体の破損の虞があり、剥がす際にはジッピングが起こることがあった。
実施例および比較例で得られた、各積層フィルムについて、下記判定基準により、判定を行った。
(判定基準)
○:粘着層の粘性挙動、帯電防止性、剥離性について、すべての項目が○。
△:粘着層の粘性挙動、帯電防止性、剥離性の各項目について、少なくとも一つが△。 ×:粘着層の粘性挙動、帯電防止性。剥離性の各項目について、少なくとも一つが×。
実施例および比較例において使用した各種材料は、以下のようにして準備したものである。
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部、エチルアシッドフォスフェートを生成ポリエステルに対して30ppm、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して100ppmを窒素雰囲気下、260℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、テトラブチルチタネートを生成ポリエステルに対して50ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.3kPaまで減圧し、さらに80分、溶融重縮合させ、極限粘度0.63dl/g、ジエチレングリコール量が2モル%のポリエステル(A)を得た。
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して900ppmを窒素雰囲気下、225℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、正リン酸を生成ポリエステルに対して3500ppm、二酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対して70ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.4kPaまで減圧し、さらに85分、溶融重縮合させ、極限粘度0.64dl/g、ジエチレングリコール量が2モル%のポリエステル(B)を得た。
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に、球状で平均粒径2.7μmのシリカ粒子を0.3質量部添加した以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に、球状で平均粒径3.2μmのシリカ粒子を0.6質量部添加した以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。
帯電防止層を構成する組成物の原料は以下のとおりであり、帯電防止層を形成するための塗布液1の配合を下記表1に示した。
下記組成からなるポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・粒子(D1):球状で平均粒径0.07μmのシリカ粒子
下記式(2)の構成単位からなる、対イオンがメタンスルホン酸イオンである数平均分子量50000の高分子化合物。
アクリル酸エステル共重合体(酢酸ビニル(酢ビ):2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)=25質量%:75質量%、Mw=6.2×105、Mn=2.0×105)100質量部、及びトルエン3233質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(A)を作製した。
アクリル酸エステル共重合体(酢酸ビニル(酢ビ):2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)=25質量%:75質量%、Mw=6.2×105、Mn=2.0×105)100質量部、光重合開始剤としての1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF社製、商品名「Irgacure184」)5質量部及びトルエン420質量部~3233質量部を、固型分濃度3~20質量%に調整して粘着層組成物(B)を作製した。
アクリル酸エステルトリブロック共重合体(メチル(メタ)アクリレート(MMA):n-ブチルアクリレート(BA)=40質量%:60質量%、Mw=5.2×104、Mn=4.8×104)100質量部、酢酸エチル1940質量部及びトルエン1293質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(C)を作製した。
アクリル酸エステルトリブロック共重合体(メチル(メタ)アクリレート(MMA):n-ブチルアクリレート(BA)=40質量%:60質量%、Mw=5.2×104、Mn=4.8×104)100質量部、光重合開始剤としての1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF社製、商品名「Irgacure184」)0.5質量部及び酢酸エチル3233質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(D)を作製した。
アクリル酸エステル共重合体(2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA):4-ヒドロキシブチルアクリレート(4ヒドロキシBA)=95質量%:5質量%、Mw=1.2×106、Mn=5.4×105)100質量部、ポリイソシアネート4部及び酢酸エチル3233質量部を、固型分濃度3質量%に調整して粘着層組成物(E)を作製した。
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ80質量部、3質量部、17質量部の割合で混合した混合原料を基材最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ97質量部、3質量部の割合で混合した混合原料を基材中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=3:19:3の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸して縦延伸フィルムとした後、この縦延伸フィルムの片面に、上記表1に示す塗布液1を膜厚(乾燥後)が0.06μmになるように塗布し(帯電防止層)、テンターに導き、95℃で10秒間乾燥させた後、横方向に120℃で4.3倍延伸し、230℃で10秒間熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚み25μm、フィルム(基材)表面の表面粗さ(S5p)が51nmのポリエステルフィルム(基材)を得た。
実施例1において、上記粘着層組成物(A)の代わりに粘着層組成物(B)を用いて厚み(乾燥後)が170nmになるように塗布し、100℃、1分間の熱処理した後、さらに、窒素置換した雰囲気において高圧水銀灯UV光で積算光量が200mJ/cm2となるように照射処理した以外は実施例1と同様にして製造し、積層フィルム(サンプル)を得た。
実施例1において、基材最外層、基材中間層及び粘着層の組成、並びに、製造条件(バーコータの種類による粘着層の厚み及びUV硬化の有無)を、表2又は3の通りに変更した以外は実施例1または2と同様にして製造し、積層フィルム(サンプル)を得た。
なお、粘着層厚みは、用いるバーコータを変えて調整した。
実施例2において、表2に示したバーコータを用いて粘着層厚みを表3の通りに変更した以外は実施例2と同様にして製造し、積層フィルム(サンプル)を得た。
また、上記実施例及び比較例では、粒子の平均粒径としてd50を用いているが、これまでの試験結果から、前述したように、SEM観察により複数粒子の直径を測定し、その平均値を用いても同様である。
Claims (7)
- ポリエステルフィルムの片面に、アクリル系ジブロック共重合体又はアクリル系トリブロック共重合体を含む粘着層が積層された積層フィルムであり、
粘着層の厚みが150nm以上9000nm以下であり、且つ、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であり、粘着層の厚み(乾燥後)が、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対して0.1~9であり、
粘着層表面における、剛体振り子型物性試験器により測定した30℃における対数減衰率が0.01以上0.10以下の範囲であり、
前記ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.1~4μmのシリカ粒子を含有する最外層を備えており、
JIS K 6854-2に準じて引張速度0.3m/minで測定される180°剥離力としての粘着層の剥離力(Y1)が、被着体に対して、20mN/cm以上100mN/cm以下である、積層フィルム。 - 前記粘着層が積層された面とは反対側の前記ポリエステルフィルムの片面に帯電防止層が積層された構成を備えた請求項1に記載の積層フィルム。
- 離型フィルムを積層しない構成からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
- 粘着層の貯蔵弾性率(25℃)で示される硬さが1×104Pa以上1×107Pa以下である、請求項1~3の何れかに記載の積層フィルム。
- 粘着層の厚み(乾燥後)が、ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径に対して0.03以上200以下である、請求項1~4の何れかに記載の積層フィルム。
- ポリエステルフィルムの片面に、下記一般式(1)で表されるアクリル系ジブロック共重合体又は下記一般式(II)で表されるアクリル系トリブロック共重合体を含む粘着層が積層された積層フィルムであり、
粘着層の厚みが150nm以上9000nm以下であり、且つ、粘着層表面の表面粗さ(S5p)が10nm以上1,000nm以下であり、粘着層の厚み(乾燥後)が、粘着層表面の表面粗さ(S5p)に対して0.1~9であり、
粘着層表面における、剛体振り子型物性試験器により測定した30℃における対数減衰率が0.01以上0.10以下の範囲であり、
前記ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.1~4μmのシリカ粒子を含有する最外層を備えており、
JIS K 6854-2に準じて引張速度0.3m/minで測定される180°剥離力としての粘着層の剥離力(Y1)が、被着体に対して、20mN/cm以上100mN/cm以下である、積層フィルム。
一般式(I):A-B
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
一般式(II);C1-D-C2
(式中、C1およびC2はそれぞれ独立してメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。なお、重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、重量平均分子量、各重合体ブロックを形成するメタクリル酸アルキルエステルの組成が同一でも、異なっていてもよい。) - JIS K 6854-2に準じて引張速度30m/minで測定される180°剥離力としての粘着層の剥離力(Y2)が、被着体に対して、10mN/cm以上或いは500mN/cm以下である、請求項1~6の何れかに記載の積層フィルム。
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