JP7424020B2 - 離型フィルム - Google Patents

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本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物を含有する離型層を備えた離型フィルムに関する。
液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラなどの画像表示装置として利用されている液晶表示装置の製造方法の一例として、粘着層の片面側に離型フィルムを貼付し、当該粘着層を偏光板に貼付して粘着層付偏光板を製造した後、液晶セルと貼り合せる際に、前記離型フィルムを剥離して粘着層と液晶セルのガラス基板を貼付して製造する方法を挙げることができる。
近年、ディスプレイの大型化に伴い、偏光板などの光学部材及び離型フィルムの寸法が大きくなり、前述のような液晶表示装置の製造に使用する離型フィルムには、剥離面積が大きくて軽く剥離することができる、すなわち小さい力で剥離することができる性質(「軽剥離性」とも称する)が求められるようになって来ている。
この点、シリコーンは、シロキサン骨格が有する柔軟性と、メチル基置換による低表面エネルギーとにより、小さな力で剥離することができる性質に優れている材料である。
そのため、光学部材、例えば液晶ディスプレイなどを構成する部材を貼り合わせる粘着剤を保護するための離型フィルムとして、シリコーンを含有する離型層を備えた離型フィルムが注目されている。
特許文献1には、アルケニル基含有シリコーンの水分散体、Si-H基を有するシリコーンの水分散体およびエチニル基を有する架橋反応抑制剤を含む離型用コーティング組成物を用いて形成される塗布層を有するシリコーン離型ポリエステルフィルムが開示されている。
特許文献2には、基材フィルムの少なくとも片面に、アルケニル基含有シリコーンの水分散体、Si-H基を有するシリコーンの水分散体および、主骨格および側鎖にカルボキシル基およびイオン性基を実質的に有さないアクリル系樹脂の水分散体を含む離型用コーティング組成物を用いて形成される塗布層を有するシリコーン離型フィルムが開示されている。
離型フィルムを被着体から剥離した際、被着体が静電気を帯び易いことが知られている。そのため、大気中のゴムや塵、埃等が被着体表面に付着して、コート不良などといった加工不良が生じる場合がある。用途の高度化に伴い、静電気による影響が無視できなくなってきており、近年、帯電防止機能を備えた離型フィルムが種々開示されている。
特許文献3には、プラスチックフィルムの少なくとも片面に、一種以上のカチオン型無水物からなる帯電防止剤と硬化型シリコーンの一種以上を混合した薄膜を設けてなり、該薄膜上の表面固有抵抗値が5×108 ~5×1013Ω/□の範囲にあることを特徴とする帯電防止性と離型性を有する偏光板用離型フィルムが開示されている。
特許文献4には、無水染色法で染色したプラスチックフィルムの少なくとも片面にカチオン型無水物からなる帯電防止剤を含有する硬化シリコーン樹脂塗膜を設けてなり、該塗膜上の表面固有抵抗値が5×103 ~5×1013Ω/□である離型フィルムが開示されている。
特許文献5には、プラスチックフィルムの少なくとも片面にシリコーン系組成物を主体とする離型層が設けられた離型フィルムにおいて、該離型層中にカチオン性帯電防止剤が含有され、かつ表面比抵抗が5×1013Ω/□を超え1×1016Ω/□以下であることを特徴とする離型フィルムが開示されている。
特開2013-208810号公報 特開2014-213590号公報 特開平6-91811号公報 特開平7-9626号公報 特開平10-44336号公報
本発明者は、基材フィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物を含有する離型層を備えた離型フィルムに関し、当該シリコーン化合物と組み合わせて使用する帯電防止剤について種々検討した結果、所定の構造を有する帯電防止剤のみ、もしくは特定の構造を有する化合物を併用した場合のみ、帯電防止性能を発揮し、かつ、離型フィルムの離型性及び透明性の低下を抑制できることが分かった。
そこで本発明は、かかる知見に基づき、基材フィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物及び帯電防止剤を含有する離型層を備えた離型フィルムに関し、帯電防止性能を発揮し、かつ、離型性及び透明性の低下が抑制された新たな離型フィルム及びその製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムであり、当該離型層は、シリコーン化合物と、親水基を含有する帯電防止剤(「親水基含有帯電防止剤」と称する)とを含むことを特徴とする、又は、シリコーン化合物と、親水基を含有しない帯電防止剤(「親水基非含有帯電防止剤」と称する)と、親水基を含有する化合物(「親水基含有化合物」と称する)とを含むことを特徴とする離型フィルムを提案する。
本発明はまた、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物と親水基含有帯電防止剤、又は、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤と親水基含有化合物とを含有する離型層形成組成物を塗布して離型層を形成することを特徴とする離型フィルムの製造方法を提案する。
シリコーン化合物と組み合わせて使用する帯電防止剤について種々検討した結果、帯電防止性能を発揮し、かつ、離型性及び透明性の低下が抑制できる帯電防止剤は、親水基含有帯電防止剤のみであった。しかし、親水基非含有帯電防止剤をシリコーン化合物と組み合わせる場合であっても、さらに親水基含有化合物を組み合わせることにより、離型フィルムが帯電防止性能を発揮し、かつ、離型性及び透明性の低下が抑制できることが分かった。
よって、本発明が提案する離型フィルムによれば、基材フィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物及び帯電防止剤を含有する離型層を備えた離型フィルムに関し、帯電防止性能を発揮し、かつ、離型性及び透明性の低下が抑制された新たな離型フィルム及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明が提案する離型フィルムの製造方法によれば、本発明が提案する上記離型フィルムを製造することができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<本離型フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る離型フィルム(「本離型フィルム」と称する)は、基材としてのポリエステルフィルム(「本ポリエステルフィルム」と称する)の片面側又は両面側に離型層(「本離型層」と称する)を備えた離型フィルムであり、当該離型層は、シリコーン化合物と、親水基含有帯電防止剤とを含むか、又は、シリコーン化合物と親水基非含有の帯電防止剤と親水基含有化合物とを含むものである。
<本ポリエステルフィルム>
本ポリエステルフィルムは、本離型フィルムの基材としての役割を果たすものである。
本ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性に優れる点で、二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
(本ポリエステル)
本ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステル(「本ポリエステル」とも称する)は、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
前記の主成分樹脂とは、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、本ポリエステルフィルムを構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占める場合を挙げることができる。
本ポリエステルが、ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、前記脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
一方、本ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸等の一種または二種以上を挙げることができる。
共重合ポリエステルのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
本ポリエステルは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上が、エチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、又は、エチレン-2,6-ナフタレート単位であるポリエチレン-2,6-ナフタレートであるのが好ましい。
(粒子)
本ポリエステルフィルムは、易滑性付与を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば、特に限定されるものではない。例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子を挙げることができる。また、特公昭59-5216号公報、特開昭59-217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を析出させた析出粒子を用いることもできる。
粒子の形状は、特に限定されるわけではなく、例えば球状、塊状、棒状、扁平状等の何れであってもよい。
粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。
また、粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
前記粒子の平均粒径は0.1~5μmであるのが好ましい。
粒子の平均粒径が0.1μm以上であれば、粒子の凝集を抑えることができ、分散性を確保することができる。一方、粒子の平均粒径が5μm以下であれば、フィルムの表面粗度が粗くなり過ぎることがなく、後工程において離型層を好適に設けることができる。
かかる観点から、前記粒子の平均粒径は0.1~5μmであるのが好ましく、中でも0.5μm以上或いは3μm以下であるのがさらに好ましい。
本ポリエステルフィルムが粒子を含有する場合、粒子含有量は、本ポリエステルフィルムの0.0003~5質量%であるのが好ましい。
粒子含有量が0.0003質量%以上であれば、フィルムの易滑性を好適にすることができる。一方、粒子含有量が5質量%以下であれば、フィルム表面の平滑性を十分確保することができる。
かかる観点から、粒子含有量は0.0003~5質量%であるのが好ましく、中でも0.001~3質量%であるのがさらに好ましい。
(他の添加剤)
本ポリエステルフィルムは、必要に応じて、さらに他の添加剤を含有することも可能である。例えば酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を含有することができる。
(本ポリエステルフィルムの厚み)
本ポリエステルフィルムの厚みは、コスト的にはより薄膜であるのが好ましい。一方、厚みが薄すぎると、加工時の熱処理によるシワ等により、フィルムの平面性が損なわれる可能性があるばかりか、離型フィルムとしての保護機能が十分でなくなる恐れもある。そこで、本ポリエステルフィルムの厚みは10μm~125μmであるのが好ましく、中でも12μm以上或いは75μm以下であるのがさらに好ましい。
本ポリエステルフィルムは、単層構成であっても、2層以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本ポリエステルフィルムに粒子を含有させる場合、滑り性を落とさず、透明性を確保するという観点から、3層以上の構成であることが好ましく、さらに製造の容易性を考慮し、3層構成であることがより好ましく、粒子を最表面の層に含有する構成が最適である。
<本離型層>
本離型層は、シリコーン化合物と親水基含有帯電防止剤とを含むか、又は、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤と親水基含有化合物とを含む層である。
本離型層は、シリコーン化合物に由来する骨格を有する架橋構造を有するのが好ましい。当該架橋構造を有していれば、離型性能を確保できるため、好ましい。
シリコーン化合物と組み合わせて使用する帯電防止剤について種々検討した結果、シリコーン化合物と親水基含有帯電防止剤とを組み合わせて離型層を形成すると、帯電防止性能を発揮し、かつ、離型性及び透明性の低下を抑制できることが分かった。
他方、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤とを組み合わせて離型層を形成すると、帯電防止性能を発揮しないが、そこに親水基含有化合物を組み合わせて配合すると、帯電防止性能を発揮するようになることが分かった。シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤とを組み合わせて離型層を形成した場合、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤とが良好に相溶せず海島構造を形成するため、通電しづらくなり帯電防止性能を発揮しない一方、親水基含有化合物をさらに組み合わせると、良好に相溶するようになり、通電し易くなって帯電防止性能を発揮するようになる、と推察することができる。親水基含有化合物を組み合わせると、離型層の透明性が向上することも確認されている。
(シリコーン化合物)
シリコーン化合物とは、分子内にシリコーン構造を有する化合物、言い換えれば、シロキサン結合による主骨格を有する化合物である。
シリコーン化合物或いはシリコーン化合物を構成する主骨格としては、例えばポリジメチルシロキサンなどのオルガノポリシロキサン、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等を挙げることができる。中でも、離型性に優れるという観点から、ポリジメチルシロキサンなどのオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
中でも、Si-H基を含有するシリコーン化合物が好ましい。
シリコーン化合物のSi-H基は、本ポリエステルフィルムとの密着性を高める性質を有する。
また、本離型層中にシリコーン化合物に由来する骨格を有する架橋構造を形成し、離型層自体の膜強度を向上させる観点から、Si-H基及びアルケニル基を有するシリコーン化合物が好ましい。
シリコーン化合物が、Si-H基及びアルケニル基を有する場合、アルケニル基の含有量(モル)に対するSi-H基の含有量(モル)のモル比率は、硬化性を維持する観点から、1.0以上であるのが好ましく、中でも1.6以上、その中でも2.0以上であるのがさらに好ましい。他方、粘着剤に対する剥離力が重くなりすぎるという観点から、5.0以下であるのが好ましく、中でも4.5以下、その中でも2.0以下であるのがさらに好ましい。
シリコーン化合物の分子量は、特に限定されない。ただし、ポリエステルフィルム(基材)と離型層との密着性の観点から、その数平均分子量は5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、通常1000000以下である。
シリコーン化合物の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、ポリスチレン換算値として算出することができる。
シリコーン化合物は、本離型層中に30~95質量%の割合で含有するのが好ましい。
シリコーン化合物が本離型層中に30質量%以上含有していれれば、十分な離型性が得られるため好ましく、95質量%以下であれば、十分な帯電防止剤の量を使用することで帯電防止性能が得られるため好ましい。
かかる観点から、シリコーン化合物は、本離型層中に30~95質量%の割合で含有するのが好ましく、中でも40質量%以上或いは90質量%以下、その中でも50質量%以上或いは80質量%以下の割合で含有するのがさらに好ましい。
(帯電防止剤)
本離型層が含有する帯電防止剤は、親水基含有帯電防止剤又は親水基非含有帯電防止剤である。
親水基含有帯電防止剤の親水基とは、水分子と水素結合などによる弱い結合をつくる官能基であり、例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基、チオール基などを挙げることができる。
親水基含有帯電防止剤としては、例えば、後述するイオン導電性の化合物、π電子共役系の化合物等の帯電防止剤であって、かつ、前記親水基を有する化合物を挙げることができる。
他方、親水基非含有帯電防止剤としては、例えば、後述するイオン導電性の化合物、π電子共役系の化合物等の帯電防止剤であって、かつ、前記親水基を有しない化合物を挙げることができる。
本離型層が含有し得る帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基含有化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸化合物、ベタイン化合物等のイオン導電性の化合物や、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどのπ電子共役系の化合物を挙げることができる。
これらの中でもイオン導電性の化合物が好ましく、アンモニウム基含有化合物が特に好ましい。
なお、π電子共役系の化合物、たとえばポリチオフェンやポリアニリン含有の塗布液から形成される離型層は一般に強く着色するため、透明性が求められる光学用途には好適でない場合がある。また、π電子共役系の化合物を含む導電性塗料はイオン導電性の化合物を含む導電性塗料に比べ一般に高価になるため、製造コストの観点からもイオン導電性の化合物を含む帯電防止剤が好適に用いられる。
〔アンモニウム基含有化合物〕
前記アンモニウム基含有化合物とは、分子内にアンモニウム基を有する化合物を指し、アンモニウム基を有する高分子化合物であることが好ましい。例えば、アンモニウム基と不飽和性二重結合を有する単量体を成分として含む重合体を用いることができる。
かかる重合体の具体的な例としては、例えば下記式(1)または下記式(2)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体を挙げることができる。これらの単独重合体や共重合体、さらに、その他の複数の成分を共重合していても構わない。他の材料との相溶性や、得られる塗膜の透明性を向上させるという観点からは、下記式(1)で示される構成要素を繰り返し単位として有する重合体が好ましい。
Figure 0007424020000001
上記式(1)中、Rは-O-または-NH-、Rはアルキレン基、または式(1)の構造を成立しうるその他の構造、R、R、R、Rはそれぞれが、水素原子、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシ基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲン等である。
Figure 0007424020000002
上記式(2)中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲン等である。また、RおよびRは化学的に結合していてもよく、例えば、-(CH-(m=2~5の整数)、-CH(CH)CH(CH)-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=N-、-CH=CH-N=C-、-CHOCH-、-(CHO(CH-などを挙げることができる。
上記式(1)および(2)中のXは、本発明の要旨を損なわない範囲で適宜選択することができる。例えば、ハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニトラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等を挙げることができる。
前記重合体、すなわちアンモニウム基と不飽和性二重結合を有する単量体を成分として含む重合体の中でも、他の材料との相溶性を高め、得られる塗膜の透明性を向上させるという観点から、他のモノマーと共重合していることが好ましい。
他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキル、n-メチロールアクリルアミド等のアクリルアミドを挙げることができる。
また、アンモニウム基含有化合物の数平均分子量は、1000~500000であるのが好ましく、中でも2000以上或いは350000以下、その中でも5000以上或いは200000以下であるのがさらに好ましい。分子量が1000未満の場合は塗膜の強度が弱かったり、耐熱安定性に劣ったりする場合がある。また分子量が500000を超える場合は、塗布液の粘度が高くなり、取扱い性や塗布性が悪化する場合がある。
〔親水基含有帯電防止剤〕
親水基含有帯電防止剤は、上記式(1)および(2)の他に親水基を含有するモノマーを繰り返し単位の少なくとも一つに含む共重合体であることが好ましい。
親水基を含有するモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール含有(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、などのカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどのアミド基含有モノマーなどを挙げることができる。これらの中でもシリコーン化合物との相溶性を高める観点や、構造が柔軟となり、塗布延伸の際に均一性に優れた塗布層が得られるという観点から、水酸基含有モノマーが好ましく、ポリアルキレングリコール含有(メタ)アクリレートがより好ましく、ポリエチレングリコール含有(メタ)アクリレートが特に好ましい。
かかるポリエチレングリコール含有(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(ポリエチレグリコール単位の重合度は4~14の範囲が好ましい。)、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコールジアクリレートポリエチレングリコール‐ポリプロピレングリコール‐ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート等を出発原料とする重合体を例示することができる。
(親水基含有化合物)
本離型層が含有する親水基含有化合物は、親水基を含有する化合物であって、前記シリコーン化合物及び前記帯電防止剤に該当しないものであればよい。
上述のように、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤とを組み合わせて離型層を形成すると、帯電防止性能を発揮しないが、さらに親水基含有化合物を組み合わせて配合すると、帯電防止性能を発揮するようになる。
また、シリコーン化合物と親水基含有帯電防止剤との組み合わせに、さらに親水基含有化合物を組み合わせると、離型層の透明性を向上させたり、ポリエステルフィルムとの密着性を向上させたりすることができる。
親水基含有化合物の親水基とは、水分子と水素結合などによる弱い結合をつくる官能基であり、例えば水酸基、カルボキシル基、アミド基、チオール基などを挙げることができる。
親水基含有化合物としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物、ポリビニルアルコール、グリセリン、ポリグリセリン、及び、グリセリン若しくはポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物若しくはポリアルキレンオキサイドの群から選ばれる1種の化合物又は2種以上の化合物の組合せを挙げることができる。中でも、ポリエステルフィルムとの密着性の観点から、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物が好ましい。
なお、親水基含有化合物である上記(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、当然ながら、親水基を含有する。
親水基含有化合物は、ポリエステルフィルムとの密着性の観点から、親水基を有する構成単位を含むポリマーであるのが好ましい。
ここで、ポリマーとは、モノマーの重合によってできた重合体の意味である。
[(メタ)アクリロイル基を含有する化合物]
シリコーン化合物のSi-H基は、本ポリエステルフィルムと離型層との密着性を高める性質を有する。ただし、Si-H基は、例えば、離型フィルムの状態で長期保管した場合、エージングによって減少してしまい、本ポリエステルフィルムと離型層との密着性が低下してしまう可能性がある。そこで、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を併用することにより、本ポリエステルフィルムとの密着性をさらに高めることができる。
親水基含有化合物としての前記(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、その構造中に親水基を有する。
(メタ)アクリロイル基を含有する化合物として、ポリマーの(メタ)アクリレート化合物や、モノマーの(メタ)アクリレート化合物があり、これらを併用することもできる。
ポリマーの(メタ)アクリレート化合物の場合は、その重合体を構成するモノマーのうち、少なくとも一部が、親水基を有するモノマーであればよい。
中でも、ポリエステルフィルムとの密着性の観点からは、ポリマーの(メタ)アクリレート化合物、すなわち(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び親水基を有するモノマーを構成単位とする、ポリマーの(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。
また、上記(メタ)メタアクリレート化合物と共に、親水基を有しないポリマーの(メタ)アクリレート化合物や、親水基を有しないモノマーの(メタ)アクリレート化合物を併用してもよい。
前記(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物、ポリアルキレン(メタ)アクリレート系化合物、その他の(メタ)アクリレート化合物などを挙げることができる。
なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基を含有する化合物」、「(メタ)アクリレート化合物」、「(メタ)アクリレート」とは、いずれもアクリロイル基を含有する化合物とメタクリロイル基を有する化合物の両方を包含する概念であり、アクリロイル基、メタクリロイル基のいずれか、または両方を含有すればよい。
〔ウレタン(メタ)アクリレート化合物〕
ウレタン(メタ)アクリレート化合物とは、従来公知のものを用いることができる。その種類を特に限定するものではない。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とイソシアネート系化合物との反応によって得られる化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とポリオールとイソシアネート系化合物との反応によって得られる化合物などを挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、ポリマーであっても、モノマーであってもよいが、ポリエステルフィルムとの密着性の観点から、ポリマーである方が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物の作製に用いる、前記の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールモノ(メタ)アクリレートジグリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の付加物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子の1,6-ヘキサンジオールジグリシジルとの反応生成物、2分子のエポキシ(メタ)アクリル酸と1分子のネオペンチルグリコールジグリシジルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のビスフェノールAジグリシジルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジグリシジル体との反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のフタル酸ジグリシジルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリエチレングリコールジグリシジルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリプロピレングリコールジグリシジルとの反応生成物等の(メタ)アクリル酸とポリオールジグリシジルとの反応生成物等を挙げることができる。これらは、単独で用いても、複数種併用してもよい。
これらの中でもシリコーン化合物とポリエステルフィルムとの密着性をより効果的に向上させるという観点から、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレートなどの1分子中の(メタ)アクリロイル基の数が3つ以上のものが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレートなどの1分子中の(メタ)アクリロイル基の数が5つ以上のものがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物の作製に用いる、前記のイソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。
当該イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等を例示することができる。これらのイソシアネートと、各種ポリマーや化合物との反応物でもよい。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げることができる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、ポリエステルフィルムに対する離型層の密着性が向上するという観点から脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートが好ましく、脂環族イソシアネートがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物の作製に用いる、前記ポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を挙げることができ、高分子量ポリオールや低分子量ポリオールを用いることができる。
当該高分子量ポリオールの分子量は、特に制限するものではない。数平均分子量が400~8,000であることが好ましく、中でも400以上或いは4,000以下であることがより好ましい。数平均分子量がこの範囲であれば、適切な粘度であり、良好な離型層の外観を得ることが可能となる。
高分子量ポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を挙げることができる。ポリエステルフィルムとの密着性を向上させるために、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
当該ポリカーボネートポリオールは、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得ることができる。
前記多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン1,4-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、4,4’-ナフタレンジメタノール、3,4’-ナフタレンジメタノール等を挙げることができる。
他方、前記カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等を挙げることができ、これらの反応から得られるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリシクロへキシレンカーボネートジオール等を挙げることができる。これらの中でもポリエステルフィルムに対する離型層の密着性の観点からポリヘキサメチレンカーボネートジオールが好ましい。
前記ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニットを有するもの等を挙げることができる。
前記ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等を挙げることができる。
前記低分子量ポリオールの分子量は特に制限するものではない。例えば、数平均分子量が60以上400未満のものを挙げることができる。
前記低分子量ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の炭素数2~9の脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,7-ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジオキサン等の炭素数6~12の脂環式構造を有するジオール等、2,2-ジメチロールプロパン酸、2,2-ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量多価アルコールを挙げることができる。これらの中でもウレタン(メタ)アクリレート化合物へ親水基を導入する観点、およびウレタン(メタ)アクリレート化合物の水分散体の安定性を向上させる観点からジメチロールアルカン酸が好ましく、特にジメチロールプロパン酸が好ましい。
〔エポキシ(メタ)アクリレート化合物〕
前記エポキシ(メタ)アクリレート化合物とは、従来公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸またはカルボキシル基含有(メタ)アクリレートとの反応によって得られる化合物を挙げることができる。
前記エポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を含む化合物を挙げることができる。例えばエピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどのポリエポキシ化合物、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型などのビスフェノール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらの中でもクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸などを挙げることができる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、ウレタン樹脂とからなる複合樹脂であることが、ポリエステルフィルムとの密着性をより向上させるという観点から好ましい。
前記ウレタン樹脂としては、従来公知のウレタン樹脂を使用することができる。
通常ウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネートの反応により作製される。
ポリオールとしては、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなど挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。親水基を導入する観点、およびウレタン(メタ)アクリレート化合物の水分散体の安定性を向上させる観点からジメチロールアルカン酸を含むことが好ましく、特にジメチロールプロパン酸が好ましい。
ポリエステルフィルムとの密着性を考慮した場合、上記の中でも、ポリエステルポリオール類がより好ましい。
〔(メタ)アクリロイル基を含有する化合物〕
(メタ)アクリレート化合物としては、単官能(メタ)アクリレートや二官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。ここで多官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に(メタ)アクリレート基を3つ以上有する化合物をいう。
(メタ)アクリレート化合物は、ポリマーであっても、モノマーであってもよい。シリコーン化合物との反応性の観点から、モノマーである方が好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではない。例えばメチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリール(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。親水基含有化合物としてはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
二官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルキレノキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のアルキレノキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でもより効率的に架橋を形成し、離型層の耐溶剤性を高めるという観点から、二官能(メタ)アクリレート又は多官能(メタ)アクリレートが好ましく、多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましく、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(トリ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリロイル基を含有する化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、又は、ウレタン(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを除く(メタ)アクリレート化合物との組み合わせからなる混合物、又は、エポキシ(メタ)アクリレートとウレタン樹脂との複合樹脂であるのが好ましい。
従来から、シリコーン化合物を架橋乃至硬化させて離型層を形成する際、前記シリコーン化合物にウレタン樹脂を組み合わせて使用すると、ウレタン樹脂がシリコーン化合物の硬化を阻害することが知られていた。そのため、ウレタン系の化合物をシリコーン化合物と組み合わせて配合することを避けるのが技術常識であった。ところが驚いたことに、前記のように、本離型層の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートを、又は、ウレタン(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを除く(メタ)アクリレート化合物とを、又は、エポキシ(メタ)アクリレートとウレタン樹脂との複合樹脂を組み合わせて配合したところ、本離型層が溶剤と接触しても、ポリエステルフィルム(基材)と離型層との密着性が低下するのを効果的に抑制することができることが確認された。
このように、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物として、ウレタン(メタ)アクリレート、又は、ウレタン(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを除く(メタ)アクリレート化合物、又は、エポキシ(メタ)アクリレートとウレタン樹脂との複合樹脂の組み合わせを用いた場合、前記本離型層は、前述のとおり、Si-H基とウレタン構造とを含む架橋構造を有するのが好ましい。
この際、当該Si-H基は、シリコーン化合物に由来するものであり、ウレタン構造は、前記ウレタン(メタ)アクリレートに由来するものである。
一般に、シリコーン化合物は疎水性であり、表面自由エネルギーが低い。一方ポリウレタンの樹脂骨格は極性が高く、表面自由エネルギーが高い。このため、これらを混合しても、通常であれば両者は反発し分離構造を取ると考えられる。しかしながら、本発明では、ウレタン構造をポリウレタンではなく、ウレタン(メタ)アクリレートとして導入すれば、一部の(メタ)アクリロイル基とシリコーン化合物が反応することで、両者の分離を抑制することができることを見出したものである。これにより、シリコーン化合物のみであれば耐溶剤性が不十分であるところ、ウレタン構造の導入によって改善できたものと考えられる。
さらに、親水基を含むウレタン(メタ)アクリレート化合物であれば、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤の分離を抑え、帯電防止性能も発揮することができたと考えられる。
なお、このような技術思想は、ウレタン(メタ)アクリレートである場合のみに限定されず、他の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物にも適用し得る。また、本発明は、上記の技術思想が明確に発現する場合のみに限定されるものではない。
[ポリビニルアルコール]
親水基含有化合物としての前記ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコール部位を有する化合物であり、例えば、ポリビニルアルコールに対し、部分的にアセタール化やブチラール化等された変成化合物も含め、従来公知のポリビニルアルコールを使用することができる。
ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではない。通常100以上、好ましくは300~40000の範囲である。重合度が100未満の場合、塗布層の耐水性が低下する場合がある。
ポリビニルアルコールのケン化度は、特に限定されるものではない。通常70モル%以上、好ましくは70~99.9モル%の範囲、より好ましくは80~97モル%、特に好ましくは86~95モル%であるポリ酢酸ビニルケン化物が実用上用いられる。
[グリセリン、ポリグリセリン、又は、グリセリン若しくはポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物若しくはポリアルキレンオキサイド]
親水基含有化合物としてのグリセリン又はポリグリセリンは、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 0007424020000003
上記式(3)中のnが1の化合物がグリセリンであり、nが2以上の化合物はポリグリセリンである。本発明においては、式中のnは、通常2~20、好ましくは3~10、より好ましくは4~6の範囲である。
親水基含有化合物としてのグリセリンまたはポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物とは、一般式(3)で表されるグリセリンまたはポリグリセリンのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドを付加重合した構造を有するものである。
ここで、グリセリンまたはポリグリセリン骨格のヒドロキシル基ごとに、付加されるアルキレンオキサイドの構造は異なっていても構わない。また、少なくとも分子中一つのヒドロキシル基に付加されていればよく、全てのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドまたはその誘導体が付加されている必要はない。
親水基含有化合物としてのグリセリンまたはポリグリセリンに付加されるアルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイドのアルキレン鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、組成物中での均一な分散性が悪化し、帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはエチレンオキサイドである。また、その付加数は、最終的な化合物としての数平均分子量で200~2000の範囲になるものが好ましく、300~800の範囲のものがさらに好ましい。
ポリアルキレンオキサイドとして好ましいものは、ポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイド構造中のアルキル鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、組成物中での均一な分散性が悪化し、塗布層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはポリエチレンオキサイドである。数平均分子量で200~2000のものがさらに好ましい。
シリコーン化合物と帯電防止剤の相溶性を高め、優れた離型性能と帯電防止性能を発揮できるという観点から、グリセリン、ポリグリセリン、及び、グリセリン若しくはポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物若しくはポリアルキレンオキサイドの中でも、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物が特に好ましい。
(その他の成分)
本離型層は、上記以外の他の成分を含有することができる。例えば他のポリマー、架橋剤、粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
なお、本離型層が含有する成分の分析は、例えばTOF-SIMS、X線光電子分光(ESCA)、蛍光X線等によって行うことができる。
(本離型層の膜厚)
本離型層の膜厚は0.005μm~1μmであるのが好ましい。
本離型層の膜厚が1μm以下であれば、塗膜外観の悪化や塗膜の硬化不足が生じるのを抑えることができ、本離型層の膜厚が0.005μm以上であれば、十分な離型性や帯電防止性を得ることができる。
かかる観点から、本離型層の膜厚は0.005μm~1μmであるのが好ましく、中でも0.02μm以上或いは0.5μm以下、その中でも0.04μm以上或いは0.2μm以下であるのがさらに好ましい。
(本離型層の形成方法)
本離型層は、シリコーン化合物と、親水基含有帯電防止剤と、希釈溶剤と、必要に応じてさらに、親水基含有化合物、触媒、特に白金族金属触媒、触媒活性抑制剤などを含有する組成物(「本離型層形成組成物1」とも称する)から形成することができる。
また、シリコーン化合物と、親水基非含有帯電防止剤と、親水基含有化合物と、希釈溶剤と、必要に応じてさらに、触媒、特に白金族金属触媒、触媒活性抑制剤などを含有する組成物(「本離型層形成組成物2」とも称する)から形成することができる。
但し、本離型層形成組成物1,2を用いて本離型層を形成する詳細な方法については後述することとし、ここでは、本離型層形成組成物1,2について説明する。
(シリコーン化合物)
本離型層形成組成物1,2のシリコーン化合物の概要は前述した通りである。
前述した中でも、本離型層形成組成物1,2に用いるシリコーン化合物としては、耐熱性、汚染性を考慮し、硬化型シリコーン化合物を含有することが好ましい。
硬化型シリコーン化合物の種類としては、付加硬化型、縮合硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。中でも付加硬化型シリコーン化合物が塗膜凝集力を上げることができるという観点でより好ましい。
なお、硬化型シリコーン化合物は、主剤としてのシリコーンと、架橋剤としてのシリコーンとの混合物であってもよい。
付加硬化型シリコーン化合物とは、その構造中に不飽和炭化水素基および水素基を官能基として有するシリコーン化合物であり、これらの官能基の反応によって付加硬化反応が行われる。すなわち、Si-H基を有するシリコーン化合物およびアルケニル基を含有するシリコーン化合物の混合物または、分子内にSi-H基およびビニル基を含有するシリコーン化合物である。
不飽和炭化水素基と水素基は同一分子内に存在しないことが、ポットライフの観点から好ましく、別々のシリコーン分子中に官能基を含み、それらの混合物を用いるのが好ましい。よって、不飽和炭化水素基を官能基として有するシリコーン化合物と、水素基を官能基として有するシリコーン化合物とを混合して用いるのが好ましい。
不飽和炭化水素基を官能基として有する前記シリコーン化合物としては、不飽和炭化水素基含有のポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
不飽和炭化水素基は、ポリジメチルシロキサン分子中に少なくとも2個含有する必要がある。不飽和炭化水素基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などの炭素数が2~8個のアルケニル基を挙げることができる。これらの中でも、工業的な入手のしやすさから、ビニル基であることが好ましい。
少なくとも2個含有するアルケニル基は異なる炭素数のアルケニル基を含んでいてもよい。
不飽和炭化水素基含有のポリジメチルシロキサンは、ケイ素原子に直結する官能基としてアルケニル基とメチル基を有しており、その他にも種々の官能基を有してもよい。メチル基以外の官能基の例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、メチルフェニル基などのアリール基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などを挙げることができる。ポリエステルフィルムへの密着性の観点から、フェニル基やメトキシ基を含むことが好ましい。
他方、水素基を官能基として有する前記シリコーン化合物としては、水素基含有のポリジメチルシロキサンを挙げることができる。水素基含有のポリジメチルシロキサンとは、ケイ素原子に結合した水素原子を持つポリジメチルシロキサンのことである。1分子中にケイ素原子に結合した水素原子は少なくとも2個含有することが必要であり、硬化特性の観点から3個以上含有することが好ましい。ケイ素に結合した水素原子は、ポリジメチルシロキサン分子鎖の末端でもあっても側鎖でもあってもよい。
水素基含有のポリジメチルシロキサンは、ケイ素原子に直結する官能基として水素基とメチル基を有するが、その他にも種々の官能基を有してもよい。メチル基以外の官能基の例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、メチルフェニル基などのアリール基、ヒドロキシ基、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基などを挙げることができる。
不飽和炭化水素基含有のポリジメチルシロキサンと、水素基含有のポリジメチルシロキサンのポリジメチルシロキサン骨格は、それぞれ直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
不飽和炭化水素含有ポリジメチルシロキサンと水素基含有ポリジメチルシロキサンの配合は、全アルケニル基に対する全Si-H基のモル比(Si-H基量/アルケニル基量)が1.0~5.0であることが好ましい。
当該モル比が1.0以上であれば、硬化性を維持することができ、5.0以下であれば、残存するSi-H基量が多過ぎることなく、粘着剤に対する剥離力が重くなり過ぎることがないから、好ましい。
かかる観点から、1.0~5.0であることが好ましく、中でも1.6以上或いは4.5以下、その中でも2.0以上或いは4.0以下であることが特に好ましい。
本離型層形成組成物1,2に用いるシリコーン化合物は、溶剤型硬化型シリコーンであっても、無溶剤型硬化型シリコーンであってもよい。溶剤型硬化型シリコーンと無溶剤型硬化型シリコーンとを混合して使用することも可能である。
溶剤型硬化型シリコーンであっても、無溶剤型硬化型シリコーンであっても、離型性を有する硬化型シリコーンであり、硬化過程においてビニル基とケイ素-水素結合を有する基の付加反応を含むもの(いわゆる付加型シリコーン)であるのが好ましい。
作業環境面や、有機溶剤爆発火災などの安全面の観点から、本離型層の形成に用いる離型層形成組成物は、水を主な溶媒とすることが好ましく、前述のシリコーン化合物はシリコーンエマルジョンとして用いるのが好ましい。
水を主な溶媒とする場合、その溶媒の80質量%以上を水が占めることが好ましく、中でも90質量%以上、その中でも95質量%以上を水が占める溶媒であるのがさらに好ましい。
シリコーン化合物をエマルジョン化する場合、乳化安定剤として界面活性剤成分を使用することができる。
界面活性剤としてはノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤を挙げることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンフェニルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル等を挙げることができる。アニオン系界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸石けん、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩等を挙げることができる。これらの中でもノニオン系界面活性剤であることが好ましく、シリコーンエマルジョンの安定性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやポリオキシアルキレンフェニルエーテルがより好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシブチレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。これらの中でもポリオキシエチレンアルキルエーテルであることが好ましい。また、アルキル基は炭素数が8~30の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、炭素数が8~16の直鎖または分岐のアルキル基であることがより好ましい。
ポリオキシアルキレンフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシブチレンフェニルエーテルなどを挙げることができる。これらの中でもポリオキシエチレンアルキルエーテルであることが好ましい。また、フェニル基は非置換または置換のフェニル基であり、フェニル基の水素原子がスチリル基で置換されたスチレン化フェニル基であることが好ましい。
(本離型層形成組成物1)
本離型層形成組成物1において、帯電防止性能を得る観点から、離型層形成組成物中の全不揮発成分に対する割合として、親水基含有帯電防止剤を5質量%以上含有するのが好ましく、中でも10質量%以上、その中でも20質量%以上含有するのがさらに好ましい。他方、離型性や透明性の観点から、親水基含有帯電防止剤を70質量%以下の割合で含有するのが好ましく、中でも60質量%以下、その中でも50質量%以下の割合で含有するのがさらに好ましい。
本離型層形成組成物1は、さらに親水基含有化合物を含んでいてもよい。親水基含有化合物を配合することにより、離型層の透明性を向上させたり、ポリエステルフィルムとの密着性を向上したりすることができる。
かかる観点から、離型層形成組成物中の全不揮発成分に対する割合として、親水基含有化合物を1質量%以上含有するのが好ましく、中でも2質量%以上、含有するのがさらに好ましい。他方、離型性の観点から、親水基含有化合物を30質量%以下の割合で含有するのが好ましく、中でも20質量%以下、その中でも15質量%以下の割合で含有するのがさらに好ましい。
(本離型層形成組成物2)
本離型層形成組成物2において、帯電防止性能を得る観点から、離型層形成組成物中の全不揮発成分に対する割合として、親水基非含有帯電防止剤を5質量%以上含有するのが好ましく、中でも10質量%以上、その中でも20質量%以上含有するのがさらに好ましい。他方、離型性や透明性の観点から、親水基非含有帯電防止剤を70質量%以下の割合で含有するのが好ましく、中でも60質量%以下、その中でも50質量%以下の割合で含有するのがさらに好ましい。
また、親水基非含有帯電防止剤の帯電防止性能を効果的に発揮させる観点や透明性の向上させる観点から、離型層形成組成物中の全不揮発成分に対する割合として、親水基含有化合物を1質量%以上含有するのが好ましく、中でも4質量%以上、その中でも6質量%以上含有するのがさらに好ましい。他方、離型性の観点から、親水基含有化合物を30質量%以下の割合で含有するのが好ましく、中でも20質量%以下、その中でも11質量%以下の割合で含有するのがさらに好ましい。
(白金族金属触媒)
本離型層形成組成物1,2は、触媒量の白金族金属触媒を併用することも可能である。
この白金族金属触媒は、シリコーン化合物の硬化反応、例えば付加硬化型反応を促進するための触媒であり、付加反応触媒として従来公知のものを使用することができる。
白金族金属触媒としては、例えば白金系、パラジウム系、ロジウム系などの触媒を挙げることができる。これらの中でも白金系触媒が好ましい。
前記の白金系触媒としては、例えば塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液やアルデヒド溶液、塩化白金酸の各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体などを挙げることができる。
ポットライフの観点から、白金族金属触媒を配合するタイミングは、本離型層形成組成物を塗布する直前20時間以内に、本離型層形成組成物に配合するのが好ましく、10時間以内であることがより好ましい。
本離型層中のシリコーン化合物に対する割合として、白金族金属触媒の配合量は1~1000ppm(質量)の範囲であるのが好ましく、中でも20ppm以上或いは800ppm以下の範囲であるのがさらに好ましい。前記範囲であれば、付加型硬化反応の促進とポットライフを適度に両立することが可能となる。
(その他添加成分)
本離型層形成組成物1,2には、必要に応じて、反応性重剥離調整剤、希釈溶剤、反応調整剤、密着強化剤、アセチレン誘導体、各種有機窒素化合物、各種リン化合物、オキシム化合物、有機ハロゲン化合物などの触媒活性抑制剤、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、シランカップリング剤などの架橋剤、粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
反応性重剥離調整剤とは、塗料乾燥時に離型塗料のシロキサンポリマーと反応して中に取り込まれるタイプの重剥離化調整剤である。
反応性重剥離調整剤の化学構造は、例えば、反応基としてビニル基を有し、一般にMQレジン、MDQレジンと呼ばれるものが好ましい。
希釈溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルメチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エタノール、2-プロパノール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類などを挙げることができる。これらは、溶解性、塗工性や沸点等を考慮して単独または複数混合して使用するのが好ましい。
<本離型フィルムの積層構成>
本離型フィルムは、本ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に本離型層を備えていればよいから、本ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に本離型層を積層してなる積層構成のものでもよいし、本離型層の表面側に他の層を備えていてもよいし、本ポリエステルフィルムの片面側に本離型層を積層し、もう一方の面側に他の層を備えてもよい。
前記「他の層」としては、帯電防止層、オリゴマー封止層、粘着層、前記離型層とは異なる組成の離型層などを挙げることができる。
本離型フィルムの積層構成の一例として、本ポリエステルフィルムの片面側に本離型層を積層し、もう一方の面側に帯電防止層やオリゴマー封止層、粘着層を積層してなる構成を備えた積層構成を挙げることができる。
前記帯電防止層は、電子導電性化合物を含有していればよい。
電子導電性有機化合物としては、例えばアンモニウム基含有化合物、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、及びポリチオフェン等を挙げることができる。これらの中でポリチオフェン、すなわち、チオフェン若しくはチオフェン誘導体を単独又は共重合して得られる重合体などを挙げることができる。
また、帯電防止層は、電子導電性化合物のほかに、ポリアルキレンオキサイド、グリセリン、ポリグリセリン、及びグリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体を含有してもよい。
塗布により帯電防止層を形成する際、その塗布液には、例えば界面活性剤、その他のバインダー、粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、また、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
また、塗布前に基材としての本ポリエステルフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
前記オリゴマー封止層は、不揮発成分として70質量%以上の架橋剤を含有する塗布系から形成された塗布層や、加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有するものであるのが好ましい。
架橋剤としては、種々公知の架橋剤が使用でき、例えばオキサゾリン化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等を挙げることができる。
加水分解性アルコキシシリケートとしては、一般式Si(ORで示す構造(Rは、炭素数が1~10の炭化水素基を表す。)を挙げることができる。
前記オリゴマー封止層は、さらに無機系粒子を含有してもよく、無機系粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等を挙げることができる。
また、前記オリゴマー封止層は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
前記粘着層は粘着剤組成物を含有するものである。粘着剤組成物とは粘着性を付与できるものであれば特に限定なく使用でき、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを挙げることができる。これらの中でも粘着特性の調整を行いやすく、透明性にも優れるという観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。また、粘着剤の形成方法として、例えば、熱硬化型、活性エネルギー線硬化型、ホットメルト型などを挙げることができる。
塗布により粘着層を形成する際、その塗布液には、例えばバインダー、架橋剤、界面活性剤、粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、また、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
<本離型フィルムの製造方法>
本離型フィルムは、本ポリエステルフィルムの片面側又は両面側に、シリコーン化合物と、親水基含有帯電防止剤と、必要に応じてさらに、親水基含有化合物、触媒、特に白金族金属触媒、触媒活性抑制剤などを含有する本離型層形成組成物1、又は、シリコーン化合物と、親水基非含有帯電防止剤と、親水基含有化合物と、必要に応じてさらに、触媒、特に白金族金属触媒、触媒活性抑制剤などを含有する本離型層形成組成物2を塗布し、必要に応じて帯電防止層やオリゴマー封止層、粘着層などの前記「他の層」を形成する、もしくはこれらの任意の段階で硬化処理することにより本離型層を形成し、さらに必要に応じて加熱処理して、製造することができる。
本離型層形成組成物1、2を塗布する前に予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を本ポリエステルフィルムに施してもよい。さらに本ポリエステルフィルムには予め接着層等の塗布層が設けられていてもよい。
前記硬化処理におけるエネルギー源は熱処理が一般的である。但し、紫外線照射、電子線照射を併用することもできる。
本離型層の形成方法、すなわち本離型層形成組成物1、2の塗布方法としては、インラインコーティングでも、オフラインコーティングでもよい。
中でも、インラインコーティングを採用して本離型層を形成するのが好ましい。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルムを製造する工程内でコーティングを行う方法である。具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後、熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする方法を挙げることができる。
本離型フィルムの製造方法においては、本ポリエステルフィルムを製造する工程内で本離型層を形成した後、延伸するようにするのが好ましい。
例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムに本離型層形成組成物1、2を塗布した後、横方向に延伸する方法が好ましい。かかる方法によれば、本ポリエステルフィルムの製膜と本離型層の形成を同時に行うことができるため、製造コスト上のメリットがある。さらに、コーティング後に延伸を行うために、本離型層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に本離型層を設けることにより、本離型層を本ポリエステルフィルムと共に延伸することができ、それにより本離型層を本ポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、本離型層の造膜性が向上し、本離型層と本ポリエステルフィルムをより強固に密着させることができ、さらには、強固な本離型層とすることができ、本離型層の性能や耐久性を向上させることができる。
インラインコーティングによって本離型層を設ける場合、前述した本離型層形成組成物1、2を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1~50質量%程度を目安に調整した塗布液として本ポリエステルフィルム上に塗布するのが好ましい。
また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本離型層形成組成物1、2を塗布する方法としては、例えばマルチロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、リバースロールコート、ダイレクトグラビアコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。例えば「コーティング方式」(原崎勇次著、槙書店、1979年発行)に示されるような塗布技術を用いることができる。
この際に用いるコーティングヘッドとしては、例えばエアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター等を例示することができる。
前記の如く本離型層を形成した後、該本離型層を70℃以上、中でも80℃以上或いは270℃以下、その中でも100℃以上或いは270℃以下、その中でも180℃以上に加熱して、離型層を乾燥乃至硬化させるのが好ましい。
中でも、例えばオフラインコーティングにより本離型層を設ける場合、通常、80~200℃で3~40秒間、好ましくは100~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが好ましい。
他方、インラインコーティングにより本離型層を設ける場合、通常70~270℃で3~200秒間、好ましくは180℃以上、中でも180~270℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのが好ましく、該熱処理は、前述したフィルムの熱固定工程と共に行われてもよい。
オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
本ポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
<本離型フィルムの特性>
(初期剥離性)
本離型フィルムは、アクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.502」)を本離型層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°剥離力を200mN/cm以下とすることができ、中でも100mN/cm以下、その中でも50mN/cm以下とすることができる。この剥離力の下限値は限定されず、具体的には0.1mN/cm以上である。
(加熱後剥離性)
本離型フィルムは、アクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.502」)を本離型層に貼り付けた状態で100℃のオーブン内にて1時間加熱した後、引張速度300mm/分の条件下で測定される180°剥離力を300mN/cm以下とすることができ、中でも100mN/cm以下、その中でも50mN/cm以下とすることができる。
本離型フィルムは、このように加熱処理後でも優れた離型性を得ることができる。
(溶剤処理後剥離性)
本離型フィルムは、トルエン4mLを含浸させたベンコット(旭化成せんい株式会社製、「M-3II」)をラビングテスター(大平理化工業株式会社製)に取り付け、アーム荷重の680gで試料フィルムの離型層表面を10往復させて溶剤処理を行った後、アクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.502」)を本離型層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で測定される180°剥離力を300mN/cm以下とすることができ、中でも200mN/cm以下、その中でも100mN/cm以下とすることができる。この剥離力の下限値は限定されず、具体的には0.1mN/cm以上である。
本離型フィルムは、このように溶剤処理後も優れた離型性を得ることができる。
(残留接着率)
本離型フィルムは、アクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.31B」)を用いて以下の通り測定した「F1/F0」の比率である残留接着率が80%以上とすることができ、中でも85%以上、中でも90%以上、その中でも93%以上とすることができる。この残留接着率の上限値は100%である。
F1: 本離型フィルムの離型層に上記粘着テープを貼り付けて100℃で1時間加熱処理した後、離型フィルムを剥がし、残った粘着テープをステンレス板に貼り付け、引張速度0.3m/分の条件下で測定される180°剥離力
F0: 上記粘着テープをステンレス板に貼り付け、F1と同様にして測定される180°剥離力
本離型フィルムは、このように粘着層に対する低汚染性を得ることができる。
(表面抵抗値)
本離型フィルムは、表面抵抗値1×1012Ω以下を実現することができ、好ましくは1×1011Ω以下、より好ましく8×1010Ω以下を実現することができる。
(透明性)
本離型フィルムは、ヘーズが10.0%以下とすることができ、好ましくは8.0%以下、より好ましくは7.0%以下とすることができる。
<本離型フィルムの用途>
本離型フィルムは、優れた離型性や耐溶剤性、低汚染性を兼ね備えているほか、プラスチック基材への密着性や、透明性、帯電防止性に優れたものとすることができる。
よって、本離型フィルムは、液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラなどの画像表示装置として利用されている液晶表示装置の製造やセラミックコンデンサ製造用離型フィルム、ドライフィルム等の感光性樹脂積層体や粘着シートの保護フィルム、成形転写用フィルム等として好適に使用することができる。
具体的な一例を挙げるならば、本離型フィルムの本離型層上に粘着層を積層して粘着層付き離型フィルムを作製しておき、当該粘着層を偏光板に貼付して粘着層付偏光板を製造した後、液晶セルと貼り合せる際に、前記基材フィルムを剥離して粘着層と液晶セルのガラス基板を貼付して製造することができる。
また、溶剤を含む粘着剤樹脂組成物を用いて形成された粘着層付き離型フィルムの製造にも有効である。
<<語句の説明>>
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
次に、実施例および比較例において使用した材料について説明する。
<ポリエステル(A)>
ポリエステル(A)として、極限粘度が0.63であるポリエチレンテレフタレートホモポリマーを使用した。
<ポリエステル(B)>
ポリエステル(B)として、平均粒子径2μmのシリカ粒子を0.2質量%含有する、極限粘度が0.65であるポリエチレンテレフタレートホモポリマーを使用した。
<シリコーン化合物(I)>
シリコーン化合物Iの主剤としてのシリコーン化合物(IA)として、ビニル基含有量が0.16mmol/gであるビニル基含有ポリジメチルシロキサンの水分散体(乳化剤:ノニオン系界面活性剤)を使用した。
シリコーン化合物Iの架橋剤としてのシリコーン化合物(IB)として、Si-H基含有量が12.7mmol/gである水素基含有ポリジメチルシロキサンの水分散体(乳化剤:ノニオン系界面活性剤)を使用した。
IAとIBを、Si-H基/アルケニル基(SiH/SiAl)のモル比率が表1に記載の比率となるように混合した物をシリコーン化合物Iとして使用した。
<親水基含有化合物(IIA)>
親水基を有するウレタンアクリレートとアクリレート化合物の混合物として、分子量1100のポリヘキサメチレンカーボネートジオールユニット:ジメチロールプロパン酸ユニット:水添キシリレンジイソシアネートユニット:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートユニット=11:7:40:42(mol%)から形成されるウレタンアクリレートが50質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが27質量部と、トリメチロールプロパントリアクリレート23質量部とを混合してなるウレタン樹脂の水分散体を調製した。
<親水基含有化合物(IIB)>
エポキシ(メタ)アクリレートと親水基を有するウレタン樹脂からなる複合樹脂として、アクリロイル基を導入したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(アクリロイル基:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂単量体=1:1.1(mol%))およびイソホロンジイソシアネート:テレフタル酸:イソフタル酸:エチレングリコール:ジエチレングリコール:ジメチロールプロパン酸=12:19:18:21:25:5(mol%)から形成されるポリエステル系ウレタン樹脂を、固形分質量比1.0:1.0で混合分散させて、コア・シェル構造(コアにアクリロイル基を含有する樹脂、シェルにウレタン樹脂)とした水分散複合樹脂(アクリロイル基の複合樹脂に対する質量比率:14質量%(固形分比率))を調製した。
<親水基含有化合物(IIC)>
親水基含有化合物(IIC)として、下記式(3)に示すように、n=2であるポリグリセリン骨格にポリエチレンオキサイドが平均4分子付加した化合物を使用した。
Figure 0007424020000004
<親水基含有化合物(IID)>
親水基含有化合物(IID)として、ケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコールを使用した。
<帯電防止剤(IIIA)>
親水基含有帯電防止剤(IIIA)として、対イオンがメチルスルホネートである、2-(トリメチルアミノ)エチルメタクリレート/エチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/ポリエチレングリコール含有モノアクリレートが、質量比で75/12/15/30である共重合ポリマー(数平均分子量40000)を使用した。
<帯電防止剤(IIIB)>
親水基非含有帯電防止剤(IIIB)として、下記式の構成単位からなる化合物(数平均分子量50000)を使用した。
Figure 0007424020000005
<触媒>
触媒として、塩化白金酸のビニルシロキサンとの錯体を用いた。
表1の塗布液1~23において、シリコーン化合物Iに対して130ppm(質量)の触媒を加えた。
Figure 0007424020000006
<実施例1>
ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90質量%、10質量%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)のみを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々温度285℃で溶融した後、温度40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、上記表1に示す組成の離型層形成組成物を水で希釈したものを塗布液1として塗布し、テンターに導き、横方向に温度110℃で4.3倍延伸し、温度235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.07μmの離形層を有する厚さ50μmの離型フィルム(サンプル)を得た。
なお、表1において、シリコーン化合物、親水基含有化合物及び帯電防止剤の各数値は、各成分の質量割合を示している。
<実施例2~20、比較例1~3>
下記表2に示すように、実施例1において、離型層形成組成物すなわち塗布液1を、表1に示す組成の塗布液に変更すると共に、膜厚(乾燥後)を表2に示す膜厚に変更した以外は、実施例1と同様にして製造し、離型フィルム(サンプル)を得た。
<測定・評価>
本実施例で用いた測定法および評価方法を次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ヘーズ(Hz)の測定
JIS-K7105に準じ、積分球式濁度計(日本電色工業株式会社製、「NDH-20D」)により、フィルムのヘーズを測定した。
ヘーズ9.0%未満が好適である。
(3)離型層の膜厚測定方法
離型層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、離型層断面を透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、「H-7650」、加速電圧100kV)を用いて測定した。
(4)離型フィルムの初期剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に5cm幅にカットした両面粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.502」)の片面を2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製、「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。表には、この剥離力を「初期」として示した。
「初期」の剥離力が200mN/cm以下であるものが合格であり、50mN/cm以下が好適である。
(5)離型フィルムの加熱後剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に5cm幅にカットした両面粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.502」)の片面を2kgゴムローラーにて1往復圧着した後、温度100℃のオーブン内にて1時間加熱した。その後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製、「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。表には、この剥離力を「加熱後」として示した。
「加熱後」の剥離力が300mN/cm以下であるものが合格であり、100mN/cm以下が好適である。
(6)離型フィルムの溶剤処理後の剥離力評価
試料フィルムの離型層表面に未処理のポリエステルフィルムを重ね、フィルムを作成してから1週間後、該未処理のポリエステルフィルムを剥がし、トルエン4mLを含浸させたベンコット(旭化成せんい株式会社製、「M-3II」)をラビングテスター(大平理化工業株式会社製)に取り付け、アーム荷重の680gで試料フィルムの離型層表面を10往復させた。風乾後、5cm幅にカットした両面粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.502」)の片面を2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製、「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。表には、この剥離力を「溶剤処理後」として示した。
「溶剤処理後」の剥離力が300mN/cm以下であるものが合格であり、200mN/cm以下が好適である。
るものが好適である。
(7)離型フィルムの残留接着率の評価
離型層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.31B」)を2kgゴムローラーにて1往復圧着し、温度100℃で1時間加熱処理した。次いで、圧着した離型フィルムを剥がし、残った粘着テープ「No.31B」を使用し、JIS-C2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)の方法に順じて接着力F1を測定する。粘着テープ「No.31B」を直接ステンレス板に粘着・剥離した際の接着力F0に対するF1の百分率を残留接着率とした。
残留接着率は85%以上が合格であり、90%以上が好適である。
(8)表面抵抗値の測定
高抵抗 抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、「ハイレスターUX MCP-HT800」)および測定プローブ(「UR-100」)を使用し、温度23℃、湿度50%RHの測定雰囲気下で、離型フィルム(サンプル)を十分調湿後、印可電圧100Vで1分後の離型層の表面抵抗値(Ω/□)を測定した。
表面抵抗値が1×10-12(Ω/□)未満が合格である。
なお、表2中の「OVLD」は、測定上限を超えていたことを意味する。
Figure 0007424020000007
上記実施例・比較例及びこれまで発明者が行ってきた様々な試験結果より、シリコーン化合物と種々の帯電防止剤を組み合わせて離型層を形成し、離型性を維持しつつ帯電防止性能を発揮するか否か検討した結果、シリコーン化合物の硬化反応を阻害せず、かつ、帯電防止性能を発揮する帯電防止剤は、親水基含有帯電防止剤のみであった。しかし、親水基非含有帯電防止剤をシリコーン化合物と組み合わせる場合であっても、さらに親水基含有化合物を組み合わせることにより、離型性能に優れ、かつ、帯電防止性能を発揮することができることが分かった。
また、親水基含有化合物を組み合わせることにより、いずれの系においても、離型層の透明性を向上させることができることが分かった。

Claims (12)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムであり、
    当該離型層は、シリコーン化合物と、親水基を含有しない帯電防止剤(「親水基非含有帯電防止剤」と称する)と、親水基を含有する化合物(「親水基含有化合物」と称する)とを含み、
    前記親水基含有化合物がウレタン(メタ)アクリレートである離型フィルム。
  2. 前記親水基非含有帯電防止剤が、親水基を含まず、アンモニウム基を含有する化合物である請求項に記載の離型フィルム。
  3. 前記シリコーン化合物が、Si-H基含有シリコーン化合物である請求項1又は2に記載の離型フィルム。
  4. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムであり、
    当該離型層は、シリコーン化合物と、親水基を含有する帯電防止剤(「親水基含有帯電防止剤」と称する)とを含み、
    前記シリコーン化合物が、Si-H基含有シリコーン化合物であり、
    前記親水基含有帯電防止剤が、親水基及びアンモニウム基を含有する化合物である離型フィルム。
  5. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備えた離型フィルムであり、
    当該離型層は、シリコーン化合物と、親水基を含有する帯電防止剤(「親水基含有帯電防止剤」と称する)とを含み、
    前記シリコーン化合物が、Si-H基含有シリコーン化合物である離型フィルム(但し、離型層が、その主骨格および側鎖にカルボキシル基およびイオン性基を実質的に有さないアクリル系樹脂を含む離型フィルムを除く)
  6. 前記離型層が、シリコーン化合物と、親水基含有帯電防止剤と、親水基含有化合物とを含む請求項1~5の何れか一項に記載の離型フィルム。
  7. 前記親水基が、水酸基、カルボキシル基、アミド基及びチオール基のうちの何れかである請求項1~6の何れか一項に記載の離型フィルム。
  8. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤と親水基含有化合物とを含有し、前記親水基含有化合物がウレタン(メタ)アクリレートである離型層形成組成物を塗布して離型層を形成することを特徴とする離型フィルムの製造方法。
  9. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物と親水基含有帯電防止剤とを含有し、前記シリコーン化合物が、Si-H基含有シリコーン化合物であり、前記親水基含有帯電防止剤が、親水基及びアンモニウム基を含有する化合物である離型層形成組成物を塗布して離型層を形成することを特徴とする離型フィルムの製造方法。
  10. 前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を形成した後、ポリエステルフィルム及び離型層を延伸することを特徴とする請求項8又は9に記載の離型フィルムの製造方法。
  11. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に、シリコーン化合物と親水基非含有帯電防止剤と親水基含有化合物とを含有し、前記親水基非含有帯電防止剤が、親水基を含まず、アンモニウム基を含有する化合物である離型層形成組成物を塗布して離型層を形成した後、ポリエステルフィルム及び離型層を延伸することを特徴とする離型フィルムの製造方法。
  12. 前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を形成した後、該離型層を180℃以上の条件で熱処理することを特徴とする請求項8~11の何れか一項に記載のフィルムの製造方法。
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