JP4155083B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は離型フィルムに関して、詳しくは医療用、電子工業用、マスキング用、装飾用等に用いる、各種粘着テープにおける粘着剤層保護用として、背面(離型層が設けられていない面)が筆記性を有する離型フィルムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療用、電子工業用、マスキング用、装飾用等の各分野において、粘着テープが使用されている。粘着テープにおいては、粘着剤層保護を目的として紙あるいはポリエステルフィルムを基材とする離型紙あるいは離型フィルムが使用されている。
【0003】
粘着テープの使用上、離型フィルムの背面(離型層が設けられていない面)に鉛筆、ボールペン、万年筆、水性ペン、油性ペン、蛍光ペン等の筆記具を用いて文字、記号、絵柄、図形等を筆記しようとする場合がある。紙基材に離型層を設けた離型紙を粘着テープの構成材料として使用する場合、医療分野、電子部品製造分野等、異物の混入等を嫌う分野においては加工現場におけるクリーン度を配慮し、当該離型紙を使用した粘着テープの使用が制限される傾向にある。一方、通常汎用的に使用されている離型フィルムでは筆記具の種類により筆記困難な場合がある。例えば、離型フィルムの離型層が設けられていない面に鉛筆で筆記した場合、鮮明に筆記するのが困難な状況にあり、使用する筆記具の種類が自ずと制限される不便さがある。
【0004】
さらに離型フィルムにおいて、離型層が硬化型シリコーン樹脂を含有する場合、離型面から背面(離型層が設けられていない面)へのシリコーン移行が多いと離型フィルムの背面(離型層が設けられていない面)を記録面として使用する際、例えば水性蛍光ペンによる筆記後、インキがはじいて解読困難である等の不具合を生じる場合がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−216885号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、粘着剤層保護用として、離型層が設けられていない面が筆記性を有する離型フィルムを提供するものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層が設けられた離型フィルムであり、離型面の残留接着率が95%以上であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルムに存する。
P−V≦700 …(1)
Gs60゜≦80 …(2)
(上記式中、P−Vは離型フィルムにおける離型面の最大粗さ(nm)、Gs60゜は離型フィルムにおいて、離型層が設けられていない面の入射角および反射角60゜における光沢度(%)を表す)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。一方、共重合ポリエステルの場合は30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
【0010】
何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
【0011】
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0012】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0013】
使用する粒子の平均粒径は0.1〜5μmを満足するのが好ましい。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となる場合があり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じることがある。
【0014】
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましい。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
【0015】
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0016】
発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは特に限定される訳ではないが、通常12〜250μm、好ましくは12〜188μm、さらに好ましくは12〜100μmの範囲である。
【0017】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0018】
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。また、本発明の用途上、離型層が設けられていない面のみをより粗面化し、フィルム表裏において、表面粗度の差を意図的に設けることが可能な点で、2または3台以上の押出し機、2または3層以上のマルチマニホールドまたはフィードブロックを用いて積層し、ダイより押し出された溶融シートを用いて冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法がよい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
【0019】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
【0020】
上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。それは以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。上述の塗布延伸法にてポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0021】
本発明の離型フィルムの離型面の最大粗さ(P−V)は、700nm以下である必要があり、好ましくは600nm以下、さらに好ましくは500nm以下である。P−Vが700nmを超える場合、離型面の粗度が大きくなり、例えば、粘着剤層に対する剥離力のばらつきが大きくなる。
【0022】
本発明における離型フィルムにおいては背面(離型層が設けられていない面)に筆記性を付与するために、離型層が設けられていない面の入射角および反射角60゜における光沢度(Gs60゜)が80%以下である必要があり、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。Gs60°が80%を超える場合、離型フィルムの離型層が設けられていない面を記録層として使用する場合、例えば、鉛筆で筆記した後の鮮明性が低下し、筆記内容の解読が困難になる。
【0023】
本発明における離型フィルムの離型面のGs60゜が上記範囲を満足するための具体的な手法として、例えば、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにおいて、離型層が設けられていない面を粗面化する方法が挙げられる。粗面化の具体的手法として、粒子練り込み法、粒子塗布法、エンボス法、サンドブラスト法、エッチング法、放電加工法等の方法を用いることができる。本発明においては上記の何れの方法を採用してもよく、特に限定される訳ではないが、好ましくは「粒子練り込み法」により、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムが少なくとも2層からなる共押出により積層された積層ポリエステルフィルムであるのが、離型層が設けられていない面を選択的に粗面化できる点でよい。
【0024】
代表的な方法に関してさらに具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0025】
「粒子練り込み法」は、ポリエステルフィルムを製造する過程において、原料配合時に、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン等の無機微粒子を添加するか、または、ポリエステル中に触媒残査の析出微粒子を残存させてフィルム表面を粗面化する方法である。
【0026】
「エンボス法」は目的の凹凸形状を有するエンボスロールとバックアップロールからなる装置を使用し、所定の温度にてエンボス加工を行ってフィルム表面を粗面化する方法である。
【0027】
「粒子塗布法」は粒子と結合剤と溶剤とから調製された適当粘度の塗布液をフィルム表面に塗布して粗面化された表面をフィルムに形成する方法である。用いる粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機微粒子、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの有機粒子が挙げられる。結合剤としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ラジカル重合性二重結合を含有する化合物などが挙げられる。
【0028】
塗布装置としては、グラビアコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター等が挙げられる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。なお、塗布液中には必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、粒子分散安定化樹脂などを添加することができる。
【0029】
本発明において、離型フィルムの背面(離型層が設けられていない面)に筆記性を付与する目的は離型性に加えて、離型フィルム自体に記録機能を付与することにより、例えば、作業者の作業性向上が図れる点にある。
【0030】
粘着テープを使用する作業現場において、作業者間における作業内容の伝達手段の一つとして、粘着テープを構成するセパレータの背面(離型層が設けられていない面)に伝達内容を記録することが可能になれば、記録内容を記録者以外の第3者に伝達する際に別途、紙に記録する等、他の記録手段を用いる必要が無くなり、作業者の作業性向上が図れるようになる。
【0031】
本発明の離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有する必要がある。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
【0032】
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じてアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。また、離型層の剥離性等を調整するために本発明の主旨を損なわない範囲において剥離コントロール剤を併用してもよい。
【0033】
特に本発明における離型フィルムを医療用粘着テープに用いる場合、粘着剤層に対する剥離安定性を確保するため、離型層はジメチルポリシロキサンを主たる構成成分(いわゆる50重量%以上含有すること)とするのが好ましく、さらに好ましくは当該ジメチルポリシロキサンを80重量%以上含有するのがよい。離型層中に含有されるジメチルポリシロキサンの含有量が50重量%未満の場合、使用する粘着剤層組成によっては粘着剤層に対する剥離力が重剥離化する等の不具合を生じる場合がある。
【0034】
本発明においては、離型フィルムにおける剥離力の安定性評価として熱処理後におけるアクリル系粘着テープと離型層表面との剥離力(F(H))と常温におけるアクリル系粘着テープと離型層表面との剥離力(F)との差を指標として、その差((F(H)−(F))が8mN/cm以下であるのが好ましい。当該値が8mN/cmを超える場合、離型層の剥離安定性が不十分になる場合がある。
【0035】
本発明における離型フィルムを構成する離型層の塗布量(Si)は、通常0.01〜2g/m、好ましくは0.01〜1g/m、さらに好ましくは0.01〜0.5g/mの範囲である。離型層の塗布量(乾燥後)が0.01g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難な場合がある。一方、塗工量が2g/mを超える場合、離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
【0036】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
【0037】
また、本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予めコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。さらに本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め接着層、帯電防止層等の塗布層が設けられていてもよい。
【0038】
本発明における離型フィルムにおいて、離型面から背面(離型層が設けられていない面)へのシリコーン移行あるいは転着を抑制するため、残留接着率で95%以上である必要があり、好ましくは98%以上である。離型層の残留接着率が95%未満の場合、離型フィルムの背面(離型層が設けられていない面)を記録面として使用した場合、シリコーン移行に起因する、インキのはじき等の不具合を生じるようになる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0040】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0041】
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置((株)島津製作所(製)SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
【0042】
(3)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の 片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定し、剥離力(F)とした。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0043】
(4)離型フィルムにおける剥離力の安定性評価
試料フィルムの離型層に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、2kgゴムローラーにて1往復圧着した後に100℃、1時間加熱処理した後、室温にて1時間放置後の剥離力(F(H))を測定した。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
《判定基準》
○…(F(H)−F)が8mN/cm以下
×…(F(H)−F)が8mN/cmを超える
上記(F(H)−F)は離型フィルムの離型面と粘着剤層との相互作用が大きくなる程、剥離力の差が大きくなる傾向にあり、剥離力の変動要因になりうる可能性が高くなる。そのため、F(H)−F値が小さい程、粘着剤層に対する剥離力の変動要因が少なく、より安定した離型層であることを示す。
【0044】
(5)離型フィルムにおける剥離力測定時のばらつき評価
(4)項における剥離力測定時の測定チャートを用いて、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
剥離力のばらつき(%)=(測定最大値―測定最小値)/((測定最大値+測定最小値)/2)×100
○…剥離力のばらつきが10%以内
×…剥離力のばらつきが10%を超える
【0045】
(6)離型フィルムの離型層が設けられていない面の光沢度(Gs60°)測定
グロスメーター(日本電色株式会社製「VG−107型」)を使用して、JIS−Z−8741の方法に準じて光沢度を測定した。入射角および反射角60°における黒色標準板の反射率を基準にして試料フィルムの反射率を求め、光沢度(Gs60°)とした。
【0046】
(7)離型フィルムの最大粗さ(P−V)測定
直接位相検出干渉法、いわゆるマイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法を用いた、非接触表面計測システム「マイクロマップ社製Micromap512)」により、試料フィルムの離型面の最大粗さ(P−V)を計測した。なお、測定波長は554nmとし、対物レンズは20倍を用いて、20°視野計測し、その平均値を採用した。
【0047】
(8)離型層の塗布量(Si)の測定
蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、離型フィルムの離型層が設けられた面および離型層がない面の珪素元素量を測定し、その差をもって、離型層中の珪素元素量とした。次に得られた珪素元素量を用いて、−SiO(CHのユニットとしての塗布量(Si)(g/m)を算出した。
《測定条件》
分光結晶:PET(ペンタエリスリトール)
2θ:108.88°
管電流:95mA
管電圧:40kv
【0048】
(9)離型フィルムの残留接着率評価
▲1▼残留接着力
試料フィルムの離型面に日東電工(製)No.31B粘着テープを2kgゴムローラーにて1往復圧着し、100℃で1時間加熱処理する。次いで、圧着したサンプルからNo.31B粘着テープを剥がし、JIS−C−2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)の方法に準じて接着力を測定する。これを残留接着力とする。
【0049】
▲2▼基礎接着力
残留接着力の場合と同じテープ(No.31B)を用いてJIS−C−2107に準じてステンレス板に粘着テープを圧着して、同様の要領にて測定を行う。この時の値を基礎接着力とする。これらの測定値を用いて、下記式に基づいて残留接着率を求める。
残留接着率(%)=(残留接着力/基礎接着力)×100
なお、測定は20±2℃、65±5%RHにて行う。
【0050】
(10)離型フィルム背面(離型層が設けられていない面)の筆記性評価
試料フィルムの背面(離型層が設けられていない面)を市販の水性蛍光ペン(とんぼ製「蛍coat80」)およびHB鉛筆を用いて筆記し、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○…インキのはじきがほとんどなく、水性蛍光ペンおよび鉛筆による記載内容が解読可能(筆記適性良好)
△…インキのはじきが若干発生するが、水性蛍光ペンおよび鉛筆による記載内容は解読可能(筆記適性やや不良)
×…インキのはじきが発生する、水性蛍光ペンまたは鉛筆による記載内容が解読困難(筆記適性不良)
△以上は実用上、問題ないレベルである。
【0051】
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA)
テレフタル酸86部、エチレングリコール70部を反応器にとり、約250℃で4時間エステル交換反応を行った。三酸化アンチモンを0.03部およびリン酸0.01部、平均粒径1.5μmの二酸化珪素粒子を0.1部加え、250℃から285℃まで徐々に昇温すると共に圧力を徐々に減じて0.5mmHgとした。 4時間後、重合反応を停止し、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートAを得た。
【0052】
製造例2(ポリエチレンテレフタレートB)
製造例1において、平均粒径1.5μmの二酸化珪素粒子0.1部を用いる代わりに平均粒径4.5μmの二酸化珪素粒子3部を用いる以外は製造例2と同様にして製造し、ポリエチレンテレフタレートBを得た。
【0053】
製造例3(ポリエチレンテレフタレートC)
製造例1において、平均粒径1.5μmの二酸化珪素粒子0.1部を用いる代わりに平均粒径2.2μmの二酸化珪素粒子0.3部を用いる以外は製造例2と同様にして製造し、ポリエチレンテレフタレートCを得た。
【0054】
製造例4(PETフィルムF1)
製造例1および製造例2で製造したポリエチレンテレフタレートAおよびポリエチレンテレフタレートBをそれぞれA層およびB層の原料とし、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層およびB層を20℃に冷却したキャスティングドラム上に2種2層の層構成で共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、90℃にて縦方向に3.5倍の縦延伸倍率で延伸した後、下記組成からなる塗布剤を塗布した後、テンター内で予熱工程を経て100℃で4.0倍の横延伸倍率で延伸し、210℃で10秒間の熱処理を行い、38μmのPETフィルムF1を得た。なお、層構成はA/B=28μm/10μmであった。
【0055】
製造例5(PETフィルムF2)
製造例4において、ポリエチレンテレフタレートBの代わりに製造例3で製造したポリエチレンテレフタレートCを用いる以外は製造例4と同様にして、厚さ38μmのPETフィルムF2を得た。なお、層構成はA/C=28μm/10μmであった。
【0056】
製造例6(PETフィルムF3)
製造例4において、ポリエチレンテレフタレートBの代わりに製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートAを用いる以外は製造例4と同様にして、厚さ38μmのPETフィルムF3を得た。なお、層構成はA/A=19μm/19μmであった。
【0057】
製造例7(PETフィルムF4)
製造例4において、ポリエチレンテレフタレートAの代わりに製造例2で製造したポリエチレンテレフタレートBを用いる以外は製造例4と同様にして、厚さ38μmのPETフィルムF4を得た。なお、層構成はB/B=19μm/19μmであった。
【0058】
製造例8(PETフィルムF5)
製造例6において各層の厚みが異なる以外は製造例6と同様にして製造し、
厚さ75μmのPETフィルムF5を得た。なお、層構成はA/A=37.5μm/37.5μmであった。
【0059】
製造例9(PETフィルムF6)
製造例8で得たPETフィルムF5の片面のみをサンドブラスト法により粗面化させた後、厚みが38μmのPETフィルムF6を得た。
【0060】
【表1】
Figure 0004155083
【0061】
実施例1
製造例5で得たPETフィルムF1のA面に下記組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるように塗布し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:KS−847H) 99重量%
硬化剤(信越化学製:PL−50T) 1重量%
上記離型剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1)により2重量%に調整した。
【0062】
実施例2
実施例1において、PETフィルムF1の代わりにPETフィルムF6を使用する以外は実施例1と同様に製造し、離型フィルムを得た。
【0063】
実施例3
実施例1において、離型剤組成が下記離型剤組成と異なる以外は実施例1と 同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:KS−847H) 57重量%
硬化剤(信越化学製:PL−50T) 5重量%
剥離コントロール剤(信越化学製:KS−3800) 38重量%
上記離型剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1)により2重量%に調整した。
【0064】
比較例1
実施例1において、離型剤組成を下記組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 93重量%
硬化剤 (PL−50T :信越化学製) 5重量%
シリコーンオイル (KF−69 :信越化学製) 0.1重量%
上記離型剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1)により2重量%に調整した。
なお、得られた離型フィルムは背面のシリコーン移行が多く、水性蛍光ペンによる筆記ではインキがはじき易い状況にあった。
【0065】
比較例2
実施例1において、PETフィルムF1の代わりにPETフィルムF3に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
【0066】
比較例3
実施例1において、PETフィルムF1の代わりにPETフィルムF4に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。なお、得られた離型フィルムは離型層表面が粗く、剥離力測定時のばらつきが大きい状況にあった。
【0067】
比較例4
実施例1において、PETフィルムF1の代わりにPETフィルムF2に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
【0068】
【表2】
Figure 0004155083
【0069】
【表3】
Figure 0004155083
【0070】
【発明の効果】
本発明の離型フィルムは医療用、電子工業用、マスキング用、装飾用等に用いる粘着テープにおける粘着剤層保護用として、離型面のシリコーン移行が極力少なく、背面(離型層が設けられていない面)が筆記性を有する離型フィルムを提供するものであり、その工業的価値は非常に高い。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層が設けられた離型フィルムであり、離型面の残留接着率が95%以上であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルム。
    P−V≦700 …(1)
    Gs60゜≦80 …(2)
    (上記式中、P−Vは離型フィルムにおける離型面の最大粗さ(nm)、Gs60゜は離型フィルムにおいて、離型層が設けられていない面の入射角および反射角60゜における光沢度(%)を表す)
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