WO2022059580A1

WO2022059580A1 - 空洞含有ポリエステル系フィルム

Info

Publication number: WO2022059580A1
Application number: PCT/JP2021/033057
Authority: WO
Inventors: 芽衣松村; 正太郎西尾; 亮清水
Original assignee: 東洋紡株式会社
Priority date: 2020-09-15
Filing date: 2021-09-08
Publication date: 2022-03-24
Also published as: KR20230056044A; US20230295421A1; EP4215365A1; JPWO2022059580A1; EP4215365A4; TW202224950A

Abstract

【課題】隠蔽性、白色度、印刷性に優れ、その上、例えば、ロールラベルとして使用した場合、ラベルを送り出す時、製品への巻き付け時などに、シワ及びゆがみなどの発生しない空洞含有ポリエステル系フィルムを提供すること。【解決手段】内部に空洞を含有するＡ層と、該Ａ層の両面に配置されたＢ層とを有する、空洞含有ポリエステル系フィルムであって、該Ａ層がポリエステル系樹脂Ａとポリプロピレン系樹脂を含有する組成物Ａからなり、該Ｂ層が無機粒子とポリエステル系樹脂Ｂ含有する組成物Ｂからなり、該フィルムの、少なくとも１方向のフィルムの自重たわみ量が６０ｍｍ以上、１００ｍｍ以下である。

Description

空洞含有ポリエステル系フィルム

　本発明は、空洞含有ポリエステル系フィルムに関するものである。

　合成樹脂を主成分とした紙代替物である合成紙は、天然紙に比べて、耐水性、吸湿寸法安定性、表面安定性などに優れており、ラベルやステッカー、ポスター、記録紙、包装材料などに数多く利用されている。合成紙の主原料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが用いられている。特に、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル系樹脂は、その優れた機械的特性、熱的特性などから、広範囲な用途に展開されている。

　紙と類似した機能を有するフィルムを得る方法としては、一般的に、微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させる方法、平坦なフィルムにサンドブラスト処理、ケミカルエッチング処理、マット化処理などの表面処理を行うことで、粗面化する方法などが挙げられる。これらの中で、前者の微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させる方法は、紙のような隠蔽性、白色度が得られるだけでなく、フィルム自体を軽量化できるため、面積辺りのコストを抑えられる点や、適度な柔軟性やクッション性が得られるため、印刷時における画像鮮明性が優れる点などのメリットから、数多く採用されている。

　微細な空洞をフィルム内部に発現させる方法としては、一般的に、まず、ポリエステル系樹脂中に非相溶な熱可塑性樹脂（以下非相溶樹脂と呼ぶ）を混合することで、ポリエステル系樹脂中に非相溶樹脂を分散させた海島構造の溶融体を得る。そして、ダイスからの押出しにより未延伸シートを形成し、少なくとも１軸方向に延伸することにより、ポリエステル系樹脂と非相溶樹脂との間での界面剥離によって、空洞を発現させる方法が挙げられる。海成分であるポリエステル系樹脂に対して、島成分の非相溶樹脂の種類としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂（例えば、特許文献１～３参照）や、ポリスチレン系樹脂（例えば、特許文献４、５参照）が好ましく利用されている。特に、これらの中で空洞発現性やコストパフォーマンスの点で、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。

特開昭４９－１３４７５５号公報特開平２－２８４９２９号公報特開平２－１８０９３３号公報特公昭５４－２９５５０号公報特開平１１－１１６７１６号公報

　例えば、従来のポリエステル系合成紙を、ロールラベルとして使用する場合、剛性が十分でないとラベルとしての外観を損ねる懸念がある。例えばラベルを送り出す時にシワになる、製品に巻き付けたときに製品の凹凸の影響を大きく受け、凹みやゆがみにつながるなどの問題が起こりうる。一方で剛性が大きすぎる場合には製品に巻き付けたときに接着部分にかかる応力が大きくなり、接着がはがれやすくなる恐れがある。

　また近年、プラスチック製品は焼却による二酸化炭素の発生などの環境破壊を極力防止する観点から、使用量を減らすことや、リサイクル率を向上させることが求められている。

　本発明の目的は、上記の従来技術における問題点を改善し、隠蔽性、白色度、印刷性に優れ、さらにリサイクル原料を用いることで環境への影響も小さく、その上、例えば、ロールラベルとして使用した場合、ラベルを送り出す時、製品への巻き付け時などに、シワ及びゆがみなどの発生しない空洞含有ポリエステル系フィルムを提供することである。

ここで、上述のように、例えばラベル用基材として空洞含有ポリエステル系フィルムを用いる場合、剛性が大きすぎると製品に巻き付けたときに接着部分にかかる応力が大きくなり、接着がはがれやすくなる。また、剛性を低くすると、製品の凹凸の影響を大きく受けやすくなり、ラベルとしての外観を損ねる傾向がある。
一方、従来の従来のポリエステル系合成紙について、剛性の最適化を試みると、隠蔽性、白色度が不十分となる傾向がある。更に、製膜性の低下、熱寸法安定性が低下する傾向がある。
このため、従来のポリエステル系合成紙では、剛性の最適化を試みると、接着がはがれやすくなる、シワが生じる等の問題が生じ得る。このように、ポリエステル系合成紙には、少なくとも上記物性についてトレードオフの関係が存在し、これら物性をバランスよく備える空洞含有ポリエステル系フィルムが要求されている。

本発明者らは、鋭意検討した結果、空洞含有ポリエステル系フィルムにおける樹脂の種類、見かけ密度、厚み、たわみ方向の弾性率を制御し、自重たわみ量を特定範囲に規定することにより、前述のトレードオフの問題を全て解消することに成功した。これにより空洞含有ポリエステル系フィルムの隠蔽性及び白色度を維持したままに、ラベルを送り出す時、巻き付け時等にシワ及びゆがみなどの発生しない空洞含有ポリエステル系フィルムを得られることを見出した。

　すなわち、本発明の空洞含有ポリエステル系フィルムは以下の構成よりなる。
１．内部に空洞を含有するＡ層と、該Ａ層の両面に配置されたＢ層とを有する、空洞含有ポリエステル系フィルムであって、
該Ａ層がポリエステル系樹脂Ａとポリプロピレン系樹脂を含有する組成物Ａからなり、
該Ｂ層が無機粒子とポリエステル系樹脂Ｂ含有する組成物Ｂからなり、
該フィルムの、少なくとも１方向のフィルムの自重たわみ量が６０ｍｍ以上、１１５ｍｍ以下である、
空洞含有ポリエステル系フィルム。
２．一態様において、ポリエステル系樹脂Ａ及びＢの少なくとも1方は、ボトルリサイクル原料を含む。
３．一態様において、組成物Ａは、空洞含有ポリエステル系フィルムの回収原料を５～６０重量％含有する。
４．一態様において、組成物Ｂ中の無機粒子が酸化チタンである。
５．一態様において、厚み５０μｍ換算における光学濃度が０．５５以上であり、かつ色調ｂ値が４以下である。
６．一態様において、見かけ密度が０．８ｇ／ｃｍ^３以上１．３ｇ／ｃｍ^３以下の範囲内にある。
７．一態様において、上記空洞含有ポリエステルフィルムを有する、ラベル用基材。
８．一態様において、上記フィルムの少なくとも片面にインキ密着コートを有するラベル用フィルム。
９．一態様において、上記ラベル用フィルムの少なくとも片面の一部に、粘着層を有するロールラベル。

　本発明によれば、隠蔽性、白色性、印刷性に優れ、高剛性の空洞含有ポリエステル系フィルムが提供される。さらに、本発明は、シワ及びゆがみなどが発生しにくい。

図１は、自重たわみ量の測定方法を示す概略図である。

　以下、本発明について詳細に説明する。
　本発明によれば、更に、軽量で、製膜性及び熱寸法安定性に優れた空洞含有ポリエステル系フィルムを得ることができる
　また、空洞含有ポリエステル系フィルムは、ラベルをはじめとする用途に使用できる合成紙を提供でき、これらはロールラベルとして使用する場合においてもシワやゆがみなどが発生しにくいものである。

　本発明の空洞含有ポリエステル系フィルムは、内部に空洞を含有するＡ層と、Ａ層の両面に配置されたＢ層とを有し、Ａ層がポリエステル系樹脂Ａとポリプロピレン系樹脂を含有する組成物Ａからなり、
該Ｂ層が無機粒子とポリエステル系樹脂Ｂ含有する組成物Ｂからなる。
　組成物ＡからなるＡ層および組成物ＢからなるＢ層の主成分となるポリエステル樹脂（以下、単にポリエステル系樹脂とも記載する）は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであることが好ましい。
　このようなポリエステル系樹脂の代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン－２，６－ナフタレートが挙げられ、機械的特性および耐熱性、コストなどの観点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
　本発明において、組成物Ａに含まれるポリエステル系樹脂Ａと、組成物Ｂに含まれるポリエステル系樹脂Ｂは、同一の樹脂種であってもよく、異なる樹脂種であってもよい。また、同一の樹脂種であっても、分子量が異なるなどの態様を取り得る。

　これらのポリエステル系樹脂には、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、他の成分が共重合されていてもよい。具体的には、共重合成分としては、ジカルボン酸成分では、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、４、４－ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体などが挙げられる。また、ジオール成分としてはジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールも挙げられる。共重合量としては、構成する繰り返し単位あたり１０モル％以内が好ましく、５モル％以内がより好ましい。

　本発明のポリエステル系樹脂の製造方法としては、まず、前述のジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成誘導体とを主たる出発原料として、常法に従い、エステル化またはエステル交換反応を行った後、さらに高温・減圧下で重縮合反応を行うことによって製造する方法などが挙げられる。

　本発明のポリエステル系樹脂の極限粘度としては、製膜性、再生利用性などの点から０．５０～０．９ｄｌ／ｇの範囲が好ましく、より好ましくは０．５５～０．８５ｄｌ／ｇの範囲である。極限粘度は、ポリエステル系樹脂のペレットを用いて測定できる。

　本発明のポリエステル系樹脂は、溶融温度２８０℃、せん断速度１２１．６ｓｅｃ^-1における溶融粘度が９０Ｐａ・ｓ以上４００Ｐａ・ｓ以下、より好ましくは１３０Ｐａ・ｓ以上３５０Ｐａ・ｓ以下である。溶融粘度がこのような範囲であることにより、隠蔽性、白色性、印刷性に優れた高剛性の空洞含有ポリエステル系フィルムを得ることができる。更に、シワ及びゆがみなどが発生しにくく、軽量で、製膜性及び熱寸法安定性に優れた空洞含有ポリエステル系フィルムを得ることができる。

次に、本発明で使用される非相溶樹脂について説明する。本発明で使用されるポリエステル系樹脂に対して非相溶の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂を例示でき、例えば、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、ポリエステル系樹脂中に分散状態で均一に混入し、延伸時にベース樹脂との界面で剥離を起こして空洞形成源となる。

上記非相溶樹脂、例えば、ポリプロピレン系樹脂の好ましい配合量は、最終的に得られるフィルムに求められる空洞形成量、延伸条件などによっても変わってくる。通常は、組成物Ａ１００質量％に対して、３質量％以上４０質量％未満、より好ましくは５質量％以上３０質量％の範囲から選定される。
非相溶樹脂の配合量がこのような範囲内であることは、自重たわみ量を本発明に係る所定の範囲に導くことに寄与する。一方、本発明においては、３質量％未満では、延伸工程で生成する空洞量が不十分となり、満足のいく軽量性、柔軟性、描画性、筆記性等が得られ難くなる。一方、４０質量％以上になると、配合量が増えるにつれ延伸性が著しく低下する他、耐熱性、強度、剛性が損なわれることがあるため好ましくない。

また、本発明の作用効果を損なわない範囲において、これらのポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂中には、少量の他の重合体や酸化防止剤、熱安定剤、艶消し剤、顔料、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤又はその他の添加剤などが含有されていてもよい。特に、ポリプロピレン系樹脂の酸化劣化を抑えるために、酸化防止剤もしくは熱安定剤を含有させることが好ましい。酸化防止剤および熱安定剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダートフェノール系、リン系、ヒンダードアミン系などが挙げられ、これらは単体でも併用して使用してもよい。添加量としては、組成物Ａ全量に対して１～５００００ｐｐｍの範囲が好ましい。

本発明において、空洞含有ポリエステル系フィルムには、隠蔽性や白色度を向上させるため、Ａ層を形成する組成物Ａには無機粒子を必要に応じて含有させることができる。無機粒子を必要に応じて含有させることができる。前記無機粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、酸化チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。隠蔽性及び白色度の観点から、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましい。また、これらの無機粒子は、単体で用いても、もしくは二種類以上併用してもよい。これらの粒子は、予めポリエステル系樹脂中もしくは非相溶樹脂中に添加することにより、フィルム内に含有させることができる。

本発明において、組成物Ａに無機粒子を混合する方法、例えば、ポリエステル系樹脂または非相溶樹脂に、無機粒子を混合する方法は、特に限定されるものではなく、ポリエステル系樹脂と非相溶樹脂をドライブレンド後、そのまま製膜機に投入する方法、ポリエステル系樹脂と非相溶樹脂をドライブレンド後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練しマスターバッチ化する方法などが挙げられる。

本発明の空洞含有ポリエステル系フィルムは、層構成として、内部に空洞を含有するＡ層と、該Ａ層の両面に配置されたＢ層とを有する。このような構成を有することで、非相溶樹脂を含むＡ層が表面に露出することを防止でき、非相溶樹脂の粒子の露出を抑制でき、ロール汚れなどの工程汚染が発生させることを防止できる。また、Ａ層に回収原料を含んだ際にも、無機顔料を含んだＢ層で覆うことで、白色度の低下を防ぐ効果を有する。
本発明において、回収原料は、後述するように、フィルム延伸後に切断される耳部等を使用できる。

Ａ層の両面に積層されたＢ層の厚みの和の割合としては、空洞発現性及び非相溶樹脂の露出抑制の観点から、フィルム全体の厚みに対して、１～４０％の範囲が好ましく、５～３０％であることがより好ましい。Ｂ層の厚みの和がこのような範囲内であることは、自重たわみ量を本発明に係る所定の範囲に導くことに寄与する。一方、Ｂ層の厚みの和が１％に満たない場合には、非相溶樹脂の露出を抑制できないため好ましくない。一方、Ｂ層の厚みの和が４０％よりも多い場合、十分な軽量性やクッション性を得るための空洞を形成させることが難しい。
本発明においては、Ｂ層の厚みの和が上記範囲内であればよく、Ａ層の片面に配置されるＢ層と、他面に配置されるＢ層の厚みが相違していてもよい。

Ｂ層を形成する組成物Ｂは無機粒子を含む。本発明において、Ｂ層が含有する無機粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、酸化チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。隠蔽性及び白色度の観点から、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンが特に好ましい。また、これらの無機粒子は、単体で用いても、もしくは二種類以上併用してもよい。これらの粒子は、予めポリエステル系樹脂中に添加することにより、フィルム内に含有させることができる。

Ｂ層中に含有する無機粒子の平均粒子径は、後加工で印刷層などを設ける際の印刷品位の点から、５．０μｍ以下であることが好ましく、より好ましくは３．０μｍ以下、特に好ましくは２．５μｍ以下である。また、無機粒子の平均粒子径は、フィルム製造工程及び後加工工程での滑り性や隠蔽性の点から、０．１μｍ以上であることが好ましく、特に好ましくは０．２μｍ以上である。

Ｂ層中の無機粒子の添加量は、Ｂ層を形成する組成物Ｂ１００質量％に対して、５～４０質量％が好ましく、より好ましくは７～３０質量％の範囲である。
添加量が５質量％未満の場合、隠蔽性及び白色度を向上させることが難しく、逆に、添加量４０重量％より多い場合、製膜性の悪化及びフィルムの機械的強度は、無機粒子の配合量が増えるにつれ著しく悪くなるため好ましくない。
　Ｂ層中の無機粒子のフィルム全体に対する含有率は、１～３０質量％が好ましく、より好ましくは２～２０質量％の範囲である。添加量が１質量％未満の場合、隠蔽性や白色度を向上させることが難しく、逆に、添加量３０質量％より多い場合、製膜性の悪化やフィルムの機械的強度が著しく悪くなるため好ましくない。

また、本発明の空洞含有ポリエステル系フィルムには、印刷用インキ及び／またはコーティング剤などの塗れ性及び／または接着性を改良するために、その少なくとも片面に塗布層を設けても構わない。該塗布層を構成する化合物としては、ポリエステル系樹脂が好ましい。この他にも、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂などの通常のポリエステル系フィルムの接着性を向上させる手段（易接着層）として開示させている化合物が適用可能である。またこれら易接着層の密着耐久性を向上させるために架橋構造を形成させてもよい。架橋剤を含有させることにより、高温高湿下での密着性を更に向上させることが可能になる。具体的な架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系等が挙げられる。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用することができる。

　塗布層には、表面に滑り性やマット性、インキ吸収性などを付与するために、滑剤粒子を含むこともできる。粒子は、無機粒子であっても、有機粒子であってもよく、特に限定されるものではない。例えば、（１）シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の無機粒子、（２）アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン／アクリル系、スチレン／ブタジエン系、ポリスチレン／アクリル系、ポリスチレン／イソプレン系、ポリスチレン／イソプレン系、メチルメタアクリレート／ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。塗布層に適度な滑り性を与えるために、シリカが特に好ましく使用される。

塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレーコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、延伸処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能である。

　本発明におけるポリエステル系樹脂Ａ、ポリエステル系樹脂Ｂにはともにボトルリサイクル原料など、リサイクル原料を含んでもよい。
環境への取り組みの観点からフィルム全体のポリエステル系樹脂に対して２０％以上、さらには３０％以上含まれることが好ましい。
　例えば、空洞含有ポリエステルＡ層の原料に、ボトルリサイクル原料、例えばリサイクルポリエステルを含む場合、組成物Ａに含まれるリサイクルポリエステルの量は、組成物Ａの固形分１００質量％に対して、５質量％以上であってよく、例えば、５０質量％以上であり、６０質量％以上であってよく、７０質量％以上であってよい。
　また、空洞含有ポリエステルＢ層の原料に、ボトルリサイクル原料、例えばリサイクルポリエステルを含む場合、組成物Ｂに含まれるリサイクルポリエステルの量は、組成物Ｂの固形分１００質量％に対して、５質量％以上であってよく、例えば、５０質量％以上であり、６０質量％以上であってよく、７０質量％以上であってよい。
　一態様において、組成物Ｂの固形分１００質量％に含まれるボトルリサイクル原料、例えばリサイクルポリエステルの量は、組成物Ａの固形分１００質量％に含まれるボトルリサイクル原料、例えばリサイクルポリエステルの量よりも多い。

本発明の空洞含有ポリエステル系フィルムは、製膜工程で発生した耳部、破断トラブルなどで生じた屑フィルムからなる自己再生原料を、Ａ層に使用することが可能である。このような、空洞含有ポリエステル系フィルムの回収原料（自己再生原料）の添加量としては、原料コスト低減、白色度および製膜性の観点から、Ａ層を形成する組成物Ａ中の各組成合計量に対して、５～６０重量％が好ましい。また、Ｂ層中に自己再生原料を含有してもかまわない。

次に、本発明における空洞含有ポリエステル系フィルムの製膜方法について説明するが、特にこれに限定されるものではない。例えば、前述の組成物からなる混合物を通常の方法で乾燥後、Ｔ字の口金からシート状に溶融押出し、静電印加法などにより、キャスティングドラムに密着させ冷却固化し、未延伸フィルムが得られる。次いで、該未延伸フィルムを延伸・配向処理するが、以下では、最も一般的に用いられる逐次二軸延伸方法、特に未延伸フィルムを長手方向に縦延伸し、次いで幅方向に横延伸する方法を例に説明する。まず、長手方向への縦延伸工程では、フィルムを加熱し、周速が異なる２本あるいは多数本のロール間で１．０～５．０倍に延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱媒体を用いる方法でもよく、それらを併用してもよいが、フィルムの温度を（Ｔｇ－１０℃）～（Ｔｇ＋５０℃）の範囲とすることが好ましい。
次いで１軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向に（Ｔｇ－１０℃）～Ｔｍ－１０℃以下の温度で１．０～６．０倍に延伸することで２軸延伸フィルムが得られる。但し、Ｔｇはポリエステル系樹脂のガラス転移温度、Ｔｍはポリエステルの融点である。また上記より得られるフィルムに対し、必要に応じて熱処理を施すことが好ましく、処理温度としては（Ｔｍ－６０℃）～Ｔｍの範囲で行うのが好ましい。
なお、本発明においては、後述するように、各層を構成する樹脂等の組成、膜厚、延伸条件等様々な要因により、本発明に規定の自重たわみ量を導くことができる。

本発明における空洞含有ポリエステル系フィルムは、光学濃度（ＯＤ値）が０．５５以上であることが好ましく、０．６以上がより好ましい。
ＯＤ値が０．５５未満の場合、十分な隠蔽性が得られず、ラベルなどに用いた場合、印刷時の画像の鮮明性が劣り、商品価値を損ねる。ＯＤ値のは１．５以下であることが好ましい。１．５を超える場合は白色度が飽和しコスト面で好ましくない。尚、ＯＤ値は、後述の評価方法にて記載した測定方法より得られる厚み５０μｍ換算での値である。

本発明における空洞含有ポリエステル系フィルムは、色調ｂ値が４．０以下であることが好ましく、更に好ましくは３．０以下である。ｂ値が４．０よりも大きい場合、白色度が劣り、ラベルなどにした場合、印刷時の鮮明性が落ち、商品価値を損ねる。色調ｂ値は－５．０以上であることが好ましい。ｂ値が－５．０よりも小さい場合、フィルムの青味が強くなり、印刷基材として用いた際に解像性をバランスよく満たせない。

本発明の空洞含有ポリエステル系フィルムは、１３０ｍｍの長さの試料の自重によるたわみが６０ｍｍ以上１１５ｍｍ以下であることで、例えばロールラベルとして使用した場合、ラベルを送り出す時や製品への巻き付け時にシワやゆがみなどの発生しないラベルとして使用できるフィルムを達成することができる。
自重たわみが６０ｍｍ以上であることにより、剛性が大きくなりすぎることを抑制でき、製品に巻き付けたときに接着部分にかかる応力が大きくなることを抑制でき、接着がはがれやすくなることを防止できる。一方。１１５ｍｍ以下であることにより、十分な剛性を示し、その上、例えば、ラベルとしての優れた外観を備えることができる。例えば、ラベルを送り出す時にシワになることを防止でき、製品に巻き付けたときに製品の凹凸に追従性を示すことができ、凹み、ゆがみにつながる問題を防止できる。
自重たわみは見かけ密度、厚み、たわみ方向の弾性率により効果的に調整することができる。

　一態様において、１３０ｍｍの長さの試料における、自重たわみ量は、６１ｍｍ以上１１４．５ｍｍ以下であり、例えば、６１．５ｍｍ以上１１４ｍｍ以下である。このような範囲であることで、剛性が大きくなりすぎることをより効果的に抑制でき、製品に巻き付けたときに接着部分にかかる応力が大きくなることを更に効果的に抑制でき、接着がはがれやすくなることを防止できる。その上、例えば、ラベルとしての優れた外観を備えることができる。例えば、ラベルを送り出す時にシワになることを防止でき、製品に巻き付けたときに製品の凹凸に追従性を示すことができ、凹み、ゆがみにつながる問題を防止できる。

　本発明において、自重たわみ量は、以下の条件で測定される。図１に示すように、たわみ方向１５０ｍｍ、幅２０ｍｍに切り取った試料１０を用意し、水平面から垂れる長さが１３０ｍｍになるようにマグネット１３で固定した。その時のフィルムの垂れ下がり部分の先端と、フィルム固定部の垂直方向の距離１１を自重たわみとする。なお、距離１１の測定は、任意の計測部材１２を用いて測定できる。
　自重たわみ量の測定は、２５℃、湿度５０％の条件で測定される。また、試験片の厚さは、２０μｍ以上３００μｍ以下の範囲に調整して測定できる。

　本発明の空洞含有ポリエステル系フィルムの厚みは任意であるが、２０μｍ以上３００μｍ以下であることが好ましく、例えば４０μｍ以上１４０μｍ以下であり、更に好ましくは４０μｍ以上１２０μｍ以下である。一態様において、４０μｍ以上１１５μｍ以下である。
　自重たわみ量に対する厚みの影響は大きく、本発明に係る構成及び樹脂を用いる場合、厚みを上記範囲内とすることで、フィルムに曲げ剛性を持たせることができ、自重たわみ量を小さく抑えることかできる。更に、自重たわみ量を小さく抑えることができるので、ラベルとしてのハンドリング性が悪くなることを防止できる。

　本発明における空洞含有ポリエステル系フィルムは、フィルムの厚みにもよるが、たわみ方向の弾性率が２５００ＭＰａ以上であることが好ましく、更に好ましくは３５００ＭＰａ以上である。弾性率が２５００ＭＰａ以上であることにより、ロールラベルを送るときにシワが発生することを防止できる。本発明であれば、フィルムの厚みを大きくできない場合であっても弾性率を大きくすることで適切な自重たわみ量のフィルムに調整することは可能である。弾性率は長手方向および幅方向の延伸倍率、また熱処理条件により効果的に調整できる。

本発明における空洞含有ポリエステル系フィルムは、見かけ密度が０．８ｇ／ｃｍ^３以上１．３ｇ／ｃｍ^３以下であることが好ましく、０．９０ｇ／ｃｍ^３以上１．２ｇ／ｃｍ^３以下がより好ましい。見かけ密度が０．８ｇ／ｃｍ^３以上であると、空洞が多過ぎることを抑制でき、印刷加工などの後加工時や使用時において、取り扱い性が悪くなることを防止できる。１．３ｇ／ｃｍ^３以下である場合、十分な軽量性とクッション性を得ることができる。また自重たわみ量に対する影響としても１．３ｇ／ｃｍ^３以下であることにより、同厚みにおいても自重が大きくなるとを抑制でき、自重たわみ量が本発明の範囲を超過することを防止できる。尚、見かけ密度は、後述の評価方法にて記載した測定法より得られる値である。

　本発明のフィルムは、たわみ方向弾性率が２８００ＭＰａ以上６５００ＭＰａ以下であってもよい。
たわみ方向弾性率がこのような範囲内であることにより、剛性が大きくなりすぎることをより効果的に抑制でき、製品に巻き付けたときに接着部分にかかる応力が大きくなることを更に効果的に抑制でき、接着がはがれやすくなることを防止できる。その上、例えば、ラベルとしての優れた外観を備えることができる。例えば、ラベルを送り出す時にシワになることを防止でき、製品に巻き付けたときに製品の凹凸に追従性を示すことができ、凹み、ゆがみにつながる問題を防止できる。
　本発明においては、樹脂の種類だけでなく、好ましくは、見かけ密度、厚み、上記たわみ方向の弾性率を制御することにより、自重たわみ量をより効果的に本発明の範囲に規定できる。
　なお、たわみ方向弾性率におけるサンプルの「たわみ方向」は、前述の自重たわみ量における規定と同様である。

　たわみ方向弾性率は、好ましくは、２５００ＭＰａ以上７５００ＭＰａ以下であり、例えば、３５００ＭＰａ以上６５００ＭＰａ以下である。

　本発明において、剛軟度は、例えば、１５Ｎ・ｃｍを超え６５Ｎ・ｃｍ未満である。一態様において、剛軟度は、１６.５Ｎ・ｃｍ以上５９.５Ｎ・ｃｍ以下である。剛軟度がこのような範囲内であることにより、製品に巻き付けたときに接着部分にかかる応力が大きくなることを更に効果的に抑制でき、接着がはがれやすくなることを防止できる。その上、例えば、ラベルとしての優れた外観を備えることができる。例えば、ラベルを送り出す時にシワになることを防止でき、製品に巻き付けたときに製品の凹凸に追従性を示すことができ、凹み、ゆがみにつながる問題を防止できる。

　空洞含有ポリエステルフィルムは、５μｍ^２以上の空洞を有してもよく、例えば、１０μｍ^２以上の空洞を有してもよく、１５μｍ^２以上の空洞を有してもよい。例えば、空洞は３５μｍ^２以下、３０μｍ^２以下の空洞を有してもよい。本開示においては、このような空洞を有することで、剛軟度とみかけ密度をバランスよく備えることができる。また、Ａ層においては、このような空洞サイズを有することで、剛軟度とみかけ密度をバランスよく備えることができ、更に、良好なＯＤ値、色調ｂ値を示すことができる。
　一態様において、空洞含有ポリエステルフィルムが５μｍ^２以上の空洞を有する場合、ポリエステル系樹脂Ａとポリプロピレン系樹脂を含有する組成物Ａに含まれるポリプロピレン系樹脂の粒子径は、１μｍ以上２５μｍ以下であり、例えば、３μｍ以上２０μｍ以下、例えば、３μｍ以上１７μｍ以下である。ポリプロピレン系樹脂の粒子径は、例えば、フィルム全体の厚みの５％以上のサイズであってもよく、１０％以上のサイズであってもよい。なお、粒子径は、例えば、未延伸状態のフィルムにおいて確認できる。
　特定の理論に限定して解釈すべきではないが、上記サイズの空洞と、ポリプロピレン粒子径を本発明の範囲内にすることで、例えば、隠蔽性、白色性、印刷性に優れ、高剛性であるという効果に加え、シワ及びゆがみなどが発生しにくいという効果を発揮できる。

　別の態様において、本発明は、上記空洞含有ポリエステルフィルムを有する、ラベル用基材を提供する。更に、本発明は、上記空洞含有ポリエステルフィルムの少なくとも片面にインキ密着コートを有するラベル用フィルムを提供する。また、本発明は、前記ラベル用フィルムの少なくとも片面の一部に、粘着層を有するロールラベルを提供する。

　以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各評価項目は次の方法で測定した。

（１）極限粘度［η］
　フェノール／テトラクロロエタン＝６０／４０（質量比）の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて３０℃で測定した。なお、測定は３回行い、その平均値を求めた。

（２）見かけ密度
フィルムを５．０ｃｍ四方の正方形に４枚切り出し、４枚を重ね合わせマイクロメーターを用いて有効数字４桁で、総厚みの場所を変えて１０点測定し、４枚重ね合わせた厚みの平均値を求めた。この平均値を４で除して有効数字３桁に丸め、一枚あたりの平均厚み（ｔ：μｍ）とした。同試料４枚の質量（ｗ：ｇ）を有効数字４桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効数字３桁に丸めた。
　見かけ密度（ｇ／ｃｍ^３）＝ｗ／（５．０×５．０×ｔ×１０^-4×４）

（３）光学濃度（ＯＤ値）
伊原電子工業株式会社製透過濃度計「Ｉｈａｃ－Ｔ５型」を用いて測定し、フィルム厚み５０μｍに換算した。尚、光学濃度の値が高いほど隠蔽性が大きいことを示す。

（４）色調ｂ値
色調ｂ値は、日本電色社製色差計（ＺＥ６０００）を用いて、ＪＩＳ－８７２２により測定し、フィルム厚み５０μｍに換算した。このｂ値が小さい程、白色度が高く、黄色味が弱いと判断した。

（５）自重たわみ
　たわみ方向１５０ｍｍ、幅２０ｍｍに切り取った試料（１０）を用意し、水平面から垂れる長さが１３０ｍｍになるようにマグネット（１３）で固定した。その時のフィルムの垂れ下がり部分の先端と、フィルム固定部の垂直方向の距離を自重たわみとする（図１参照）。
　表中、方向「幅」で示される試験片は、得られた２軸延伸フィルムの長手方向に垂直な幅方向に沿って、長さ「１５０mm」にカットし、得られた２軸延伸フィルムの長手方向に沿って、「２０ｍｍカット」して試験片を作製したことを意味する。

（６）剛軟度
　剛軟度は上記方法で求めた自重たわみをδとして、以下の式より算出した。３枚の平均自重たわみをδと定めた。
　Ｂｒ＝ＷＬ^４／８δ
　Ｂｒ：剛軟度（ｍＮ・ｃｍ）
　Ｗ　：試験片の単位面積当たりの重力（ｍＮ／ｃｍ^２）
　Ｌ　：試験片の長さ（ｃｍ）
　δ　：自重たわみ（ｃｍ）

　表１に示す原料を用い、下記実施例および比較例のフィルムを作製した。

（７）シワにつていの評価
　たわみ方向３０ｃｍ、たわみ方向に対して直交する方向８ｃｍのラベル用フィルムを、製品を模した試験片に巻き付けたときに発生するシワの有無を目視で評価した。
　評価結果
〇：シワが観察されなかった
△：フィルムの一部に、ごくわずかなサイズのシワが観察された。
×：フィルム全面にシワが発生した。

（８）接着性につていの評価
　各試験片について、製品に巻き付けたときの接着部分における評価を行った。
たわみ方向３０ｃｍ、たわみ方向に対して直交する方向８ｃｍのラベル用フィルムを、製品を模した試験片に巻き付け、のりしろ２ｃｍで両端を貼り合せたときの剥離の有無を目視で評価した。
評価結果
〇：製品を模した試験片に巻き付けたのち、接着部分の剥離は生じなかった。
△：製品を模した試験片に巻き付けたのち、接着部分の極わずかな位置で剥離が生じた。
×：製品を模した試験片に巻き付けたのち、接着部分の剥離が生じた。

（実施例１）
［酸化チタンマスターペレット（Ｍ１）の製造］
　溶融粘度２００Ｐａ・ｓのポリエチレンテレフタレート樹脂５０質量％に平均粒径０．３μｍ（電顕法）のアナタース型二酸化チタンを５０質量％混合したものをベント式２軸押出機に供給し、混練りして酸化チタン含有マスターペレット（Ｍ１）を製造した。

［未延伸フィルムの製造］
　溶融粘度２００Ｐａ・ｓのポリエチレンテレフタレート樹脂７４質量％、および溶融粘度５００Ｐａ・ｓのポリプロピレン樹脂２１質量％、前記酸化チタン含有マスターペレット（Ｍ１）５質量％を混合して真空乾燥を施し、空洞含有ポリエステルＡ層の原料とした。なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、ボトルリサイクル原料を含む樹脂である。より詳細には、Ａ層の原料に含まれるポリエチレンテレフタレート樹脂は、当該樹脂の全量に対し５質量％以上の量でボトルリサイクル原料を含む。
　一方、前記酸化チタン含有マスターペレット（Ｍ１）３０質量％と溶融粘度２００Ｐａ・ｓのポリエチレンテレフタレート樹脂７０質量％とをペレット混合して真空乾燥を施し、無機粒子含有ポリエステルＢ層の原料とした。また、Ｂ層の原料に含まれるポリエチレンテレフタレート樹脂はボトルリサイクル原料を含む。なお、組成物Ｂの固形分１００質量％に含まれるボトルリサイクル原料の量は、組成物Ａの固形分１００質量％に含まれるボトルリサイクル原料の量よりも多かった。
　これらの原料を別々の押出機に供給して２８０℃で溶融し、空洞含有ポリエステルＡ層と無機粒子含有ポリエステルＢ層とがＢ／Ａ／Ｂの順になるよう積層し、その厚み比率が１０／８０／１０となるようにフィードブロックで接合した後、Ｔダイから３０℃に調節された冷却ドラム上に押し出し、２種３層構成の未延伸フィルムを製造した。

［空洞含有ポリエステル系フィルムの作製］
　未延伸フィルムａを、加熱ロールを用いて７０℃に均一加熱し、周速が異なる２対のニップロール間で３．２倍に縦延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ（定格２０Ｗ／ｃｍ）を、フィルムの両面に対向してフィルム表面から１ｃｍの距離となるように設置して加熱した。このようにして得られた１軸延伸フィルムをテンターに導き、１４０℃に加熱して４．０倍に横延伸し、幅固定して２４０℃で熱固定処理を施し、更に２１０℃で幅方向に３％緩和させることにより、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステル系フィルムを得た（Ｂ／Ａ／Ｂ）。実施例１の評価結果を表１に併記する。ポリプロピレン樹脂の分散粒子径が適切なサイズに制御されており、その上、２０μｍ^２以上の空洞の数も多く、見かけ密度、ＯＤ値（隠蔽性）、色調ｂ値、熱収縮率（ＭＤ方向およびＴＤ方向）、および製膜性は全て良好であった。幅方向のたわみ、剛軟度も良好であった。

（実施例２）
　たわみ方向を長手方向とした以外は実施例１と同様に、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステル系フィルムを得た。
（実施例３）
　は実施例１と同様に、厚みを５０μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（実施例４）
　実施例１と同様に、厚みを１００μｍとの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（実施例５）
　未延伸フィルムにおけるポリプロピレン樹脂の添加量を１５質量％とした以外は実施例１と同様に、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（実施例６）
　未延伸フィルムにおけるポリプロピレン樹脂の添加量を３０質量％とした以外は実施例１と同様に、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（実施例７）
長手方向の延伸倍率を１．０倍とした以外は実施例１と同様に、厚み５０μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（実施例８）
長手方向の延伸倍率を１．０倍とした以外は実施例１と同様に、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（実施例９）
　たわみ方向を長手方向とした以外は実施例８と同様に、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステル系フィルムを得た。
（実施例１０）
　たわみ方向を長手方向とした以外は実施例８と同様に、厚み１００μｍの空洞含有ポリエステル系フィルムを得た。

（参考例１）
　実施例１で得られた、空洞含有ポリエステル系フィルムの回収原料（フィルムの耳部由来）を３０質量％含み、溶融粘度２００Ｐａ・ｓのポリエチレンテレフタレート４４質量％含む組成物Ａを用いた以外は、実施例１と同様にして空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
　色調が実施例１よりはやや劣るが、その他の物性は良好であった。

（比較例１）
　未延伸フィルムにおけるポリプロピレン樹脂の添加量を０質量％とした以外は実施例１と同様に、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（比較例２）
　未延伸フィルムにおけるポリプロピレン樹脂の添加量を５０質量％とした以外は実施例１と同様に、厚み７５μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを製膜したが、製膜性が悪くフィルムを得られなかった。
（比較例３）
　実施例１と同様に、厚み３８μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
（比較例４）
実施例１と同様に、厚み１５０μｍの空洞含有ポリエステルフィルムを得た。

比較例１は、本願発明に係るポリプロピレン系樹脂を含まないため、本発明と比べて見かけ密度が高くなった。
　比較例２～４は、いずれも、少なくとも１方向のフィルムの自重たわみ量が本発明の範囲外であった。このため、外観不良、シワの発生などの問題を生じた。

　本発明によれば、安価なポリプロピレン系樹脂を空洞発現剤として使用した場合でも、軽量性やクッション性に優れ、隠蔽性、白色度、熱寸法安定性、および製膜性も良好な空洞含有ポリエステル系フィルムを提供することができる。

１０　試料
１１　自重たわみ量
１２　計測部材
１３　マグネット

Claims

　内部に空洞を含有するＡ層と、該Ａ層の両面に配置されたＢ層とを有する、空洞含有ポリエステル系フィルムであって、
該Ａ層がポリエステル系樹脂Ａとポリプロピレン系樹脂を含有する組成物Ａからなり、
該Ｂ層が無機粒子とポリエステル系樹脂Ｂ含有する組成物Ｂからなり、
該フィルムの、少なくとも１方向のフィルムの自重たわみ量が６０ｍｍ以上、１１５ｍｍ以下である、
空洞含有ポリエステル系フィルム。
　前記ポリエステル系樹脂Ａ及びＢの少なくとも1方は、ボトルリサイクル原料を含む、請求項１に記載の空洞含有ポリエステル系フィルム。
　組成物Ａは、空洞含有ポリエステル系フィルムの回収原料を５～６０重量％含有する、請求項１又は２に記載の空洞含有ポリエステル系フィルム。
　組成物Ｂ中の無機粒子が酸化チタンである、請求項１～３のいずれかに記載の空洞含有ポリエステル系フィルム。
厚み５０μｍ換算における光学濃度が０．５５以上であり、かつ色調ｂ値が４以下である、請求項１～４のいずれかに記載の空洞含有ポリエステル系フィルム。
見かけ密度が０．８ｇ／ｃｍ^３以上１．３ｇ／ｃｍ^３以下である、請求項１～５のいずれかに記載の空洞含有ポリエステルフィルム。
　請求項１～６のいずれかに記載の空洞含有ポリエステルフィルムを有する、ラベル用基材。
請求項１～６のいずれかに記載のフィルムの少なくとも片面にインキ密着コートを有するラベル用フィルム。
　請求項８に記載のラベル用フィルムの少なくとも片面の一部に、粘着層を有するロールラベル。