JP4573071B2 - 半導体ウエハ用粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空洞含有ポリエステル系フィルムを使用したウエハ貼着用に好適な粘着シートに関する
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂を主原料とした紙代替物である合成紙は、天然紙に比べ、耐水性、吸湿寸法安定性、表面安定性、機械的強度などに優れている。近年、これらの長所を活かした用途展開が進められている。
【0003】
現在、情報記録・印刷材料として用いられる合成紙には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレンなどの樹脂からなるプラスチックフィルムが多く用いられている。なかでもポリプロピレンを主原料とするフィルムは柔軟性が高いという特徴に加え、安価であることから一般に広く用いられている。しかしながら、ポリオレフィン系フィルムは耐熱性や機械的強度においてやや不充分であり、近年この様な特性が要求される情報記録材料などの用途には、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系フィルムが多く用いられている。
【0004】
一般に、ポリエステル系フィルムはオレフィン系フィルムに比べ、耐熱性や機械的強度に優れているが、剛性が高いために後加工や使用時さまざまな問題を生じることが多い。具体的には、紙代替物として使用して印刷や貼り合せ加工を行う場合に、より高い柔軟性が必要となる。また、表面に塗布層を設けて筆記性を付与した場合には、記入時の筆圧を吸収するためクッション性が必要となる。ポリエステル系フィルムに柔軟性やクッション性を付与する方法として、フィルム中に微細な空洞を含有させる方法が広く検討され用いられている。
【0005】
これらの空洞含有ポリエステル系フィルムに粘着剤を形成させ、ラベルやウエハの表面保護として使用する場合、これらの粘着シートはフィルム上に印刷を施したり、曲面に貼りつけたり、また半導体ウエハを載せて切断分離するなど様々な使われかたをする。したがって、これらの用途に粘着シートを使用する場合には、基本的に剛直性を有するが適度に伸びることが作業性の点から要求される。
しかしながら、従来の粘着シートは剛直性を有するものの適度に伸びるという点から不適当であるか、逆に伸びやすいものは加工作業のしにくいものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた機械的強度と耐熱性をもつポリエステル系フィルムについて、フィルム中での空洞発現剤の分散状態を改善し、空洞の分散状態を改善することで、従来技術の欠点を解消し、適度な剛直性と伸びを有する粘着シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた粘着シートとは、以下のとおりである。
【0008】
即ち、本発明の第1の発明は、基材フィルム上に形成された粘着剤層とからなる粘着シートがであって、前記粘着シートの厚みが10μm以上250μm未満であり前記粘着剤層を構成する粘着剤が紫外線硬化型粘着剤であり、前記基材フィルムが、初期弾性率が1.0GPa以上3.0GPa以下、見かけ密度が0.90g/cm3以上1.15g/cm3未満、150℃での熱収縮率が1.5%以下の空洞含有ポリエステル系フィルムであることを特徴とする半導体ウエハ用粘着シートである。
【0009】
第2の発明は、前記空洞含有ポリエステル系フィルムが、ポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂に非相溶なポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂を主たる構成成分とし、ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度ηoとポリスチレン系樹脂の溶融粘度ηsが下記式(1)を満足することを特徴とする第1の発明に記載の半導体ウエハ用粘着シートである。
0.1≦ηo/ηs≦0.8 …(1)
【0010】
第3の発明は、第2の発明に記載のポリオレフィン系樹脂がポリメチルペンテン樹脂を含有することを特徴とする半導体ウエハ用粘着シートである。
【0011】
第4の発明は、前記空洞含有ポリエステル系フィルムの少なくとも片面に白色顔料粒子を含有するポリエステル系樹脂層を積層することを特徴とする第1乃至3の発明に記載の半導体ウエハ用粘着シートである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の粘着シートの基材フィルムには、空洞含有ポリエステル系フィルムを使用することが必要である。空洞含有ポリエステル系フィルムは、ポリエステルの持つ剛直性と空洞による適度な強度低下による伸びが得られるため好ましい。
その製法を以下に述べる。
【0014】
本発明におけるポリエステル系樹脂とは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。かかるポリエステルの代表例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにしても、本発明においては、エチレンテレフタレート単位、プロピレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルを用いることが好ましい。
【0015】
本発明で使用する空洞含有ポリエステル系フィルムは、ポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂に非相溶なポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂を主たる構成成分とし、ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度ηO(poise)とポリスチレン系樹脂の溶融粘度ηS(poise)の比(ηO/ηS)が0.1〜0.8であることが好ましい。さらに好ましくは、0.2〜0.8であり、0.25〜0.50が特に好ましい。
【0016】
上記の溶融粘度の比(ηO/ηS)が0.1未満になると、溶融状態でポリオレフィン系樹脂の変形にポリスチレン系樹脂の変形が追随しなくなり、樹脂の相構造が不安定になる。また溶融粘度の比(ηO/ηS)が0.8を超えると、ポリスチレン系樹脂の分布が不均一になり、同じく相構造が不安定になる。どちらの場合も空洞発現剤のポリエステル樹脂中での分散状態を悪化させ、延伸後のフィルムの機械的強度や隠蔽性を低下させるため好ましくない。
【0017】
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。また、これらは必ずしもホモポリマーに限定されるものではなく、種々の成分を共重合したポリマーでもよい。前記ポリオレフィン系樹脂のなかで、ポリメチルペンテン樹脂(以下、PMPと略記する)は、ポリエステル樹脂との界面剥離性がよく、かつ高温での変形が少ないことから、最も空洞発現能に優れており好ましい。ポリオレフィン系樹脂の主成分として、PMP樹脂を用いる場合には、必ずしも単独で用いる必要は無く、他のポリオレフィン系樹脂を併用しても良い。PMPと併用する他のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンやこれらに種々の成分を共重合させたものが挙げられるが、特に限定されるものではない。PMPと併用する他のポリオレフィン系樹脂の粘度は特に限定されるものではないが、添加量は主成分の樹脂の添加量を超えないことが好ましい。
【0018】
また、ポリスチレン系樹脂は必ずしもホモポリマーに限定されるものではなく、種々の成分を共重合した共重合ポリマーであってもよい。しかしながら、共重合ポリマーを用いる場合、共重合成分が本発明の効果を妨げないことが必要である。
【0019】
さらに、本発明の基材フィルムである空洞含有ポリエステル系フィルム中には、隠蔽性などの性能を向上させるために、無機または有機の不活性粒子を必要に応じて添加してもよい。不活性粒子としては、アナターゼ型またはルチル型二酸化チタンのほか、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫化亜鉛、有機白色顔料等が例示されるが、特に限定されるものではない。不活性粒子の添加量についても特に限定されるものではないが、一般に粒子の添加量を著しく増加させると、フィルムの機械的強度が低下するので、注意が必要である。
【0020】
本発明で使用する空洞含有ポリエステル系フィルムは、隠蔽性をさらに向上させるために、フィルムの少なくとも片面に、白色顔料粒子を含有するポリエステル系樹脂層を共押出し法により積層することが好ましい。但し、積層する樹脂層の厚みや積層に用いる樹脂に関して、著しく厚い層を積層したり、著しく柔軟性の低い樹脂層を積層することは、本発明の目的の一つである柔軟性やクッション性を損なうため好ましくない。
【0021】
また、本発明のフィルムにおいては、フィルムの少なくとも片面の最表層に塗布層を設けてもよい。塗布層を設けることにより、インキやコーティング剤などの塗れ性や接着性を改善することができる。
【0022】
塗布層を構成する化合物としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂など、通常のポリエステルフィルムの接着性を向上させる手段として開示されている化合物等が適用可能である。
【0023】
塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能である。
【0024】
本発明で用いる空洞含有ポリエステル系フィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば前述の組成からなる混合物を溶融させフィルム状に押出し成形して未延伸フィルムとした後、この未延伸フィルムを延伸するという一般的な方法を用いることが出来る。
【0025】
未延伸フィルムを延伸・配向処理する条件は、フィルムの物性と密接に関係する。以下では、最も好適な逐次二軸延伸方法、特に未延伸シートを長手方向に延伸し、次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明する。
【0026】
縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。次いで、一軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向にTm−10℃以下の温度で2.5〜5.0倍に延伸する。(但し、Tmはポリエステルの融点の略である。)
このようにして得られた二軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−60℃〜Tmの範囲で行うのが好ましい。
【0027】
また、本発明における粘着シートの厚みは、10μm以上250μm未満である。粘着シートの厚みが10μm未満の場合、粘着層を積層する際に作業性が悪くなりやすい。一方、250μm以上の場合、粘着シートが剛直になり、ラベルを曲面で貼り付けたり、ウエハ貼着用としての加工性が不十分となりやすい。
【0028】
本発明で用いる空洞含有ポリエステル系フィルムは、初期弾性率が1.0〜3.0GPaである。初期弾性率が3.0GPaを超えると、粘着シートが剛直になり、ラベルを曲面で貼り付けたり、ウエハ貼着用としての加工性が不十分となりやすい。
【0029】
また、本発明で用いる空洞含有ポリエステル系フィルムは、150℃での熱収縮率が1.5%以下、より好ましくは1.0%以下である。150℃での熱収縮率が1.5%を超えると、該フィルムに粘着層を設けた粘着シートに印字をしラベルとして使用する際、印字の際の熱によりフィルムが収縮し印刷性が劣り好ましくない。また、ウエハに貼着する場合、梱包時に90℃の熱がかかり、シートに付随してウエハが反り欠陥となるため好ましくない。
【0030】
本発明の粘着シートは、基材の空洞含有ポリエステル系フィルム上に粘着層が設けられている。粘着剤としては、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系、メラミン系、エポキシ系等の粘着剤が用いられる。また、放射線硬化型の粘着剤も用いることもできる。
【0031】
放射線硬化(光硬化、紫外線硬化、電子線硬化)型粘着剤としては、例えば、特公平1−56112号公報、特開平7−135189号公報等に記載のものがある。しかしながら、本発明においては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いる。
【0032】
粘着剤層の厚さは、その材質にもよるが、通常は3〜100μm程度であり、好ましくは10〜50μm程度である。また上記の粘着剤中に、イソシアネート系硬化剤を混合することにより、初期の接着力を任意の値に設定することができる。このような硬化剤としては、具体的には多価イソシアネート化合物、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが用いられる。
【0033】
紫外線硬化型粘着剤の場合には、粘着剤中に光重合開始剤を混入することにより、紫外線照射による重合硬化時間ならびに紫外線照射量を少なくなることができる。
【0034】
このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。
【0035】
また、本発明で基材フィルムとして使用する空洞含有ポリエステル系フィルムは、本文中に規定する方法で測定した見かけ密度が0.90g/cm3以上1.15g/cm3未満である。見かけ密度が0.90g/cm3未満では、フィルムの強度が低下し、延伸工程における破断が多発して生産性が低下するため好ましくない。また、1.15g/cm3以上の場合には、空洞含有量が不十分となり、本発明の目的である柔軟性やクッション性が十分に得られなくなるため好ましくない。
【0036】
本発明の粘着シートは、粘着層側に粘着層を保護する離型シートを積層する形態もとることが出来る。粘着シートを使用時に、この離型シートは剥離する。このようにして得られた粘着シートは、適度な剛直性と伸びが得られるため、ウエハ貼着用として作業性がよく好適である。
【0037】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例により詳しく説明する。なお、これらの実施例および比較例で用いたポリエステル樹脂、空洞含有フィルム及び粘着シートの特性は下記の評価方法により行った。
【0038】
(1)ポリエステルの固有粘度
フェノール60重量%とテトラクロロエタン40重量%の混合溶媒にポリエステルを溶解し、30℃にて測定した。
【0039】
(2)溶融粘度(ηO、ηS)
285℃における溶融粘度をフローテスター(島津製作所製、CFT−500)を用いて測定した。適当な荷重を用いて、せん断速度100sec-1前後で溶融粘度を測定し、内挿によりせん断速度100sec-1での溶融粘度(η:poise)を求めた。
【0040】
(2)フィルム厚みと見かけ密度
フィルムを5.00cm四方の正方形に4枚切り出して試料とした。この試料を4枚重ねにし、マイクロメーターを用いて10点場所を変え有効数字4桁でその厚みを測定し、重ね厚みの平均値を求めた。この平均値を4で除して有効数字3桁に丸め、一枚あたりの平均のフィルム厚み(t:μm)とした。
また、同試料4枚の重量(w:g)を有効数字4桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効数字3桁に丸めた。この見かけ密度の値が小さいほど、柔軟性やクッション性に優れているといえる。
見かけ密度(g/cm3)=W×104/(5.00×5.00×t×4)
【0041】
(4)光線透過率
日本電色工業製NDH−1001DPにて全光線透過率を測定した。
【0042】
(5)初期弾性率
フィルムを幅10mmにカットし、長さ間隔が40mmとなるように、引張試験機(島津製作所製オートグラフ)に取り付け、200mm/分で引っ張り、立ち上がりの伸びに対する強度をGPa単位で求めた。測定はフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に対し行った。
【0043】
(6)熱収縮率
フィルムを幅10mm、長さ250mmのサイズにカットし、200mm間隔で印をつけ、5gの一定張力下で固定し、印の間隔Aを測定する。続いて、3gの荷重をかけ、150℃雰囲気下のオーブンに30分間入れた後、オーブンからフィルムを取りだし、フィルムの間隔Bを測定し、下記式により熱収縮率を求めた。なお、熱収縮率の測定はフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に対し行った。
熱収縮率(%)=(A−B)/A
【0044】
(7)作業性
粘着シートの粘着剤層に5インチ(12.7cm)のシリコンウエハを貼りつけ、切れ目を入れ、手で引っ張った。きれいにウエハが切れたら○とし、引っ張っても切れなければ×とした。
【0045】
実施例1
(マスターペレットの調整)
溶融粘度(ηO)1300poiseのポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製、DX820)60重量%、溶融粘度2000poiseのポリプロピレン樹脂(グランドポリマー社製、J104WC)20重量%、及び溶融粘度(ηS)3900poiseのポリスチレン樹脂(日本ポリスチ社製、G797N)20重量%をペレット混合したものを285℃に温調したベント式二軸押出機に供給し、予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練機に供給、混練りしてストランド状に溶融押出しし、冷却、切断して空洞発現剤マスターペレット(A)を調整した。
【0046】
(フィルム原料の調整)
140℃で8時間の真空乾燥を施した固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂89.5重量%と90℃で4時間の真空乾燥を施した上記マスターペレット(A)10.5重量%をペレット混合してフィルム原料(a)とした。
【0047】
(未延伸フィルムの作製)
前記のフィルム原料(a)を290℃に温調した二軸押出機に供給して混練りした。Tダイよりシート状に押出して、表面温度が25℃の冷却ロール上に静電印加法により密着・急冷させ、未延伸シートを作製した。
【0048】
(二軸延伸フィルムの作製)
得られた未延伸シートを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール:2m/分、高速ロール:6.8m/分)間で3.4倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力:20W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃で3.7倍に横延伸し、幅固定した状態で220℃で5秒間の熱処理を施し、更に230℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの二軸延伸空洞含有ポリエステル系フィルムを得た。
【0049】
(粘着剤層の塗布)
紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(大日本インキ化学製、ユニディックS5−192)100重量部、イソシアネート型硬化剤(大日本インキ化学製、バーノックDN−950)20重量部、紫外線硬化反応開始剤(ベンゾフェノン系)5重量部を含む塗布液を前記空洞含有ポリエステル系フィルムに塗布した。
次いで、160℃で1分間乾燥した後、UV硬化させ、塗布量(固形分)が2g/m2の粘着剤層をフィルム上に設け、粘着シートとした。
【0050】
実施例2
(マスターペレットの調整)
溶融粘度(ηO)1300poiseのポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製、DX820)60重量%、溶融粘度6000poiseのポリプロピレン樹脂(グランドポリマー社製、F102WC)20重量%、溶融粘度(ηS)4900poiseのポリスチレン樹脂(日本ポリスチ社製、G899)20重量%をペレット混合したものを285℃に温調したベント式二軸押出機に供給し、予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練機に供給、混練りしてストランド状に押出しし、冷却、切断して空洞発現剤マスターペレット(B)を調整した。また、定法により得られた固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂50重量%に平均粒径0.3μmのアナターゼ型二酸化チタン粒子50重量%を混合したものをベント式二軸押し出し機に供給して予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練り機に供給、混練りしてストランド状に押出しし、冷却、切断して二酸化チタンマスターペレット(C)を調整した。
【0051】
(フィルム原料の調整)
また、フィルム原料の調整において、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂82.0重量%、二酸化チタンマスターペレット(C)9.0重量%、空洞発現剤マスターペレット(B)9.0重量%をペレット混合してフィルム原料(b)とした。固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂70重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(C)30重量%をそれぞれ真空乾燥した後、ペレット混合してフィルム原料(c)とした。
【0052】
(未延伸フィルムの作製)
これらのフィルム原料をそれぞれ285℃に温調した別の押出機に供給し、フィードブロックを用いて原料(b)からなる層(B層)と原料(c)からなる層(A層)をA層/B層/A層の順になるように積層した。この溶融樹脂を各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、Tダイよりシート状に共押出しして、表面温度が25℃の冷却ロール上に静電印加法により密着・急冷させ、未延伸シートを作製した。
【0053】
(二軸延伸フィルムの作製)
この未延伸シートを実施例1に示した方法で二軸延伸フィルムを作製し、厚み50μmの空洞含有ポリエステル系フィルムを得た。
【0054】
(粘着シートの作製)
実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
【0055】
比較例1
実施例1において、フィルム原料として、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90重量%、及び実施例2で使用した二酸化チタン含有マスターペレット(C)を10重量%とした以外は実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0056】
参考例3
実施例2において、フィルム作成後、ポリエステル系樹脂(東洋紡製、バイロン30SS)と架橋剤としてイソシアネート系樹脂(大日本インキ化学製、バーノックDN−955)を固形分で90対10(重量比)となるよう混合し、さらに水/IPA混合溶媒(50/50:重量比)で最終固形分濃度が10重量%となるように希釈した後、塗布量が0.5g/m2(固形分)となるようにバーコート法によりフィルムに塗布し、160℃で1分間乾燥して易接着層を設け、さらにその反対面に実施例2と同様にして粘着層を設けた。粘着層には離型紙を貼り、易接着層側の表面にLBPプリンタ(セイコーエプソン製、LP−1700S)を用いて印字し、ラベルとした。ラベルは印刷性に優れており、また適度な剛直性と伸びがあるため曲面に貼りつけても何ら支障は無かった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明の粘着シートは、基材フィルムとして、初期弾性率が1.0GPa以上3.0GPa以下、見かけ密度が0.90g/cm3以上1.15g/cm3未満、150℃での熱収縮率が1.5%以下の空洞含有ポリエステル系フィルムを使用しているため、適度な剛直性と伸びを有し、かつ熱による収縮も小さい。そのため、上記基材フィルムに粘着層を設けることにより、加工作業性に優れた粘着シートを得ることが出来る。したがって、半導体ウエハの切断分離などの用途に好適である。
Claims (6)
- 基材フィルム上に形成された粘着剤層とからなる粘着シートがであって、
前記粘着シートの厚みが10μm以上250μm未満であり
前記粘着剤層を構成する粘着剤が紫外線硬化型粘着剤であり、
前記基材フィルムが、初期弾性率が1.0GPa以上3.0GPa以下、見かけ密度が0.90g/cm3以上1.15g/cm3未満、150℃での熱収縮率が1.5%以下の空洞含有ポリエステル系フィルムであることを特徴とする半導体ウエハ用粘着シート。 - 前記空洞含有ポリエステル系フィルムが、ポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂に非相溶なポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂を主たる構成成分とし、ポリオレフィン系樹脂の溶融粘度ηoとポリスチレン系樹脂の溶融粘度ηsが下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1記載の半導体ウエハ用粘着シート。
0.1≦ ηo/ηs ≦0.8 …(1) - 請求項2記載のポリオレフィン系樹脂がポリメチルペンテン樹脂を含有することを特徴とする半導体ウエハ用粘着シート。
- 前記空洞含有ポリエステル系フィルムの少なくとも片面に白色顔料粒子を含有するポリエステル系樹脂層を積層することを特徴とする請求項1乃至3記載の半導体ウエハ用粘着シート。
- 前記粘着剤層が、イソシアネート系硬化剤と光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1乃至4記載の半導体ウエハ用粘着シート。
- 請求項1乃至5記載の粘着シートを積層してなる半導体ウエハ。
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JP2000030891A JP4573071B2 (ja) | 2000-02-08 | 2000-02-08 | 半導体ウエハ用粘着シート |
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Publications (2)
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