JP4969022B2 - コンフォーマブルコポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、コンフォーマブルコポリエステルフィルム、および信号、広告、グラフィックアート、および他の表示用途に向けた媒体としてのその使用、またはそれらの媒体の被覆としての使用に関する。
プラスチックフィルムは、信号、広告、グラフィックアート、および視覚情報の他の形態に向けた媒体として広く使用されている。この例には、ラベル、ステッカー、旗、車両用記章(vehicle livery)、転写式ステッカー(decal)、およびポスターがある。また、透明プラスチックフィルムは、多層構造と一体化された部分として、または既存の像もしくはメッセージ上の追加のコーティング成分として、被覆にも使用される。「標識のない(no−label)」外観を提供するフィルム、すなわち、フィルムが添付される表面から実質上識別されないフィルムは特に望ましい。白色、銀色、光沢、つや消しを含んで、他の視覚的な外観については当分野でよく知られている。
使用の範囲は実際に非常に広く、その結果、フィルムに要求される性能は非常に多くなる。したがって、プラスチックフィルムを形成するのに、多くの異なる種類のプラスチックを使用することができ、そのために多様な特性が提供される。いずれにしても、ヨーロッパのグラフィックアート産業の市場調査(例えば、非特許文献1参照)は、可塑化ポリ塩化ビニル(p−PVC)から作られるフィルムが、消費される全ての印刷基板の約80%に達することを報告した。
ポリ塩化ビニルフィルム(PVC)は、特にそれらのフィルムが可塑剤および/または粘着性付与剤などの添加剤を含む場合可撓性が高いために、広く使用されてきた。これらの可撓性フィルムは、例えば、互いに直角の面を含んで、特に不均整なまたは曲がった面に強力な接着剤を必要とせずに接着し、グラフィック作品を再配置または面から取り去り、必要ならば異なる面に再使用することができるように意図されたグラフィック作品に特に適している。一般に、PVCフィルムはカレンダーフィルムまたはキャストフィルムであってよい。フィルムは一般に安定剤、顔料、およびフタル酸ジオクチル(DOP)などの可塑剤と共に45重量%から50重量%のPVC樹脂を含む。それらのフィルムの厚さは約0.01から約0.25mmの範囲である。一般に、フィルムは、通常片側にキャストコーティングもしくはポリマーコーティングした面を有する紙または厚紙材の剥離ライナーと共に供給される。可撓性を提供する可塑化PVCフィルムの特徴は、変形後の内部応力を散逸または緩和する能力である。p−PVCフィルムに印刷し、適切な接着手段を用いて支持面に貼付すると、材料は容易に変形して支持体の形状になり、表示に好ましい外観を提供する。面に貼付した後、材料の応力散逸特性によって、フィルムがその元のサイズと形状を回復する残留応力は非常にわずかである。したがって、それらのフィルムは下地表面から「離脱(lift)」し難い。
フィルムの応力散逸能力を評価する一方法はフィルムの片を伸び試験機で試験することを含む。一般にフィルムの試験片は7%(0.07歪み)変形させ、これらの新しい寸法で一定時間にわたって保持する。市販タイプの可塑化PVCフィルムは、変形直後に約2.3kg/mm2の応力を示すが、これは引張り後の約10分以内に、室温で約80%低下し、約0.4kg/mm2まで低下する。
PVCの可塑化には、上記の有利な特性を与える2つの主要な効果がある。第1に、ガラス転移温度(Tg)が下がり、広範囲になって、材料は追随性を増し(硬さの低下)、環境温度で容易に変形するようになる。第2に、材料の粘性特性が弾性特性に優って「緩和」機構を発生させる。
しかし、現在の可塑化PVCフィルムの使用に関連して様々な欠点がある。p−PVC製品の分解または焼却はダイオキシンと塩化水素を放出し、これは環境的に望ましくない。さらに、可塑剤成分(例えば、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル)は様々な生理的な副作用と結びついている。さらに、可塑化PVCフィルムは溶剤抵抗性が比較的悪く、耐候性、および引裂抵抗が低い。さらに、p−PVCフィルムは、例えばインクジェット技術を用いるとき、印刷時にしばしば望ましくない収縮を示す。それらの不利益を被らない、可塑化PVCフィルムの代替品を提供することが望まれる。
ポリエステルフィルムは長い間ラベルを含む表示に使用されてきた。しかし、その硬度と高い寸法安定性のため、それらはフィルムまたはラベルを貼付する対象物の形状に密着して適合することが要求される用途には一般に好まれなかった(例えば、非特許文献2参照)。したがって、ポリエステルフィルムは一般に比較的平坦な表面向けのラベルに、または強力な接着剤と一緒に使用されるだけであった。
しかし、追加のコモノマーを組み込むことによって、ポリエステルフィルムのTgを下げ、それによって可撓性を高めることが知られている。しかし、低いTgと低いモジュラス(すなわち低硬度)を有するように設計されたポリエステルは弾性挙動が粘性挙動に優る、すなわち、良好な可撓性を示す十分低いTgのポリエステルは一般に弾性の性質を顕著に表すのが通常であり、これは本質的な「形状記憶」または弾性のため、上記の用途には望ましくない。上記の用途に必要な特性の組み合わせを達成することは、今まで困難であった。
欧州特許出願公開第0408197号明細書 米国特許第5925428号明細書 米国特許第5882798号明細書 米国特許第3443950号明細書 米国特許第3708225号明細書 米国特許第4177315号明細書 米国特許第4309319号明細書 米国特許第4436851号明細書 米国特許第4455205号明細書 米国特許第4882211号明細書 米国特許第5198301号明細書 米国特許第3691140号明細書 米国特許第4735837号明細書 欧州特許第0680409号明細書 欧州特許第0429179号明細書 欧州特許第0408197号明細書 欧州特許第0576179号明細書 国際公開第97/37849号パンフレット 欧州特許第0696516号明細書 米国特許第5888635号明細書 米国特許第5663030号明細書 欧州特許第0289162号明細書 欧州特許第0349141号明細書 欧州特許第0111819号明細書 欧州特許第0680409号明細書 欧州特許出願公開第0592284号明細書 Alexander Watson Associates Publication:European Annual Review, 1998;"Self-Adhesive Labelstock and Graphic Arts" B.L.Kindberg and R.M.Kimmel, "Films:Flexibility in Labelling", in Paper, Film and Foil Converter, April 1981
本発明の目的は、1つまたは複数の上記の不利益を被らない、表示用途の媒体として適した代替のコンフォーマブルフィルムを提供することである。詳細には、本発明の目的は、良好な可撓性を示し、互いに直角な面を含んで、不均整なまたは曲がった面に接着可能であるだけではなく、既存のp−PVCフィルムの環境的および/または耐候性および/または引裂抵抗および/または耐溶剤性および/または収縮の問題を回避するフィルムを提供することである。さらに、本発明の目的は、良好な可撓性を示し、互いに直角な面を含んで、不均整なまたは曲がった面に強力な接着剤を必要とせずに接着可能であり、フィルムを貼付した対象物にそのフィルムを再配置し、またはそこから取り除くことができ、必要であれば、異なる対象物に再使用可能であるだけではなく、既存のp−PVCフィルムの環境的および/または耐候性および/または引裂抵抗および/または耐溶剤性および/または収縮の問題を回避するフィルムを提供することである。
本発明によれば、コポリエステルの層を含むコンフォーマブル二軸配向ポリマーフィルムであって、上記コポリエステルは、
(i)1種または複数のジオールと、
(ii)芳香族ジカルボン酸と、
(iii)一般式Cn2n(COOH)2(nは2から8である)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸とから誘導され、芳香族ジカルボン酸がコポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として60から85モル%の量でコポリエステルに存在し、コポリエステルがランダムまたは交互コポリエステルであり、フィルムが21℃(室温)において7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、この変形の10分以内に、変形直後のフィルム内応力が元の値の60%未満の残留値まで散逸し、前記コポリエステルのガラス転移温度が35℃未満であり、および前記フィルムが100から165℃の温度で熱硬化されているフィルムが提供される。
本出願の発明者達は予期せずに、上記のコポリエステルが適切な低Tg(ほぼ室温で)を示し、それによってフィルムの追随性が向上するばかりではなく、粘性または緩和特性が向上することを見出した。さらに、粘性流体として存在するよりも、コポリエステルは、従来のポリエステルフィルムの加工方法を用いて、フィルムに加工し、二軸引張りと結晶化(熱硬化)を行うことができる。したがって、フィルムは良好な可撓性を示し、互いに直角な面を含んで、不均整なまたは曲がった面に強力な接着剤を必要とせずに接着可能であり、フィルムを貼付した対象物にそのフィルムを再配置し、またはそこから取り除くことができ、必要であれば、異なる対象物に再使用可能である。したがって、本発明のフィルムは、信号、広告、グラフィックアート、および他の表示用途に向けた媒体として適しているコンフォーマブルフィルム、またはそれらの媒体の被覆として特に有用である。被覆として使用する場合、フィルムは既存の信号、広告およびグラフィックアートの保護、例えば、擦傷抵抗性および/またはUV保護を提供するために使用することができる。フィルムは上記の既存p−PVCのコンフォーマブルフィルムの環境的な欠点がない。さらに、フィルムは既存のp−PVCフィルムと比較して、より高い引裂抵抗および収縮特性を示し、同様に、より高い耐候性および溶剤抵抗性を示す。
本明細書に使用されている用語「コンフォーマブルフィルム(conformable film)」は、容易に変形し、その元のサイズと形状に戻ることなく、且つ対象物の表面から離脱することなく、それが貼付される対象物の表面形状に適合するフィルムを意味する。一実施形態では、用語「コンフォーマブルフィルム」は、応力緩和特性を有し、フィルムサンプルが−℃で7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、この変形の10分以内に、初期変形直後の応力が元のレベルの60%未満、好ましくは50%未満、最も好ましくは40%未満の残留値まで散逸するようなフィルムを意味する。応力緩和特性に加えて、好ましくは、永久変形の結果として材料に生じた初期応力および残留応力は、接着剤の拘束力または摩擦力がその新しい形状に変形したフィルムを十分固定できるように、適切に低い値であることが重要である。したがって、使用の容易さおよびその後のフィルムの寸法安定性のためには、フィルムサンプルが7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、フィルムサンプルの初期応力は、好ましくは4.5kg/mm2未満、より好ましくは3.0kg/mm2未満、さらに好ましくは2.0kg/mm2未満、最も好ましくは1.0kg/mm2未満であるべきである。上記変形の10分以内の残留応力は、好ましくは1.7kg/mm2未満、より好ましくは1.3kg/mm2未満、さらに好ましくは0.9kg/mm2未満、最も好ましくは0.4kg/mm2未満であるべきである。
フィルムの厚さは、好ましくは約12から約250μm、より好ましくは約12から約150μmであり、典型的には約12〜100μmの厚さである。フィルムが被覆(overlaminate)として使用される場合、フィルムの厚さは一般に約12から約35μm、典型的には約25μmである。フィルム自身が信号/表示媒体として使用される場合、フィルムは典型的には約20〜100μm、好ましくは約50〜60μmの厚さである。
コポリエステルフィルム層は自己支持型フィルムまたはシートであり、これは、フィルムまたはシートが(i)液体または分散液ではない(ii)好ましくは支持ベースなしに独立して存在できることを意味する。言い換えれば、フィルムまたはシートは、その意図された用途に使用する前に固有の形状(すなわちフィルム様)を有し、その形状はその意図された用途に使用される間の形状と一致する。コポリエステルは、上記ジカルボン酸またはそれらの低級アルキル(6個の炭素原子までの)ジエステルを1種または複数のジオールと縮合することによって得られる。芳香族ジカルボン酸は、テレルタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−、もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸から選択されることが好ましく、テレルタル酸が好ましい。ジオールは脂肪族および環状脂肪族グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールから選択されることが好ましく、脂肪族グリコールが好ましい。コポリエステルは1種のグリコールだけを含むことが好ましく、エチレングリコールが好ましい。脂肪族ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸であることができる。一実施形態では、脂肪族ジカルボン酸はコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸から選択される。コポリエステルは1種の脂肪族ジカルボン酸を含むことが好ましい。脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸であることが好ましい。コポリエステルの特に好ましい例は、(i)アゼライン酸およびテレフタル酸とエチレングリコールとのコポリエステル、(ii)アジピン酸およびテレフタル酸とエチレングリコールとのコポリエステル、(iii)セバシン酸およびテレフタル酸とエチレングリコールとのコポリエステルである。特に好ましいコポリエステルはアジピン酸およびテレフタル酸とエチレングリコールとのコポリエステルである。
好ましい実施形態では、芳香族ジカルボン酸は、コポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として、コポリエステルに約65から約75モル%の量で存在し、好ましくは約68から約72モル%、典型的には約70モル%である。
本発明に使用されるコポリエステルは、ブロックコポリエステルとは逆に、ランダムまたは交互コポリエステルである。コポリエステルはランダムコポリエステルであることが好ましい。本明細書で言及するランダムコポリエステルとは、異なるエステルモノマーユニット、すなわち[芳香族ジカルボン酸−ジオール]ユニットおよび[脂肪族ジカルボン酸−ジオール]ユニットが鎖の中でランダムに配置しているコポリエステルを意味する。本明細書で言及する交互コポリエステルとは、モノマーエステルユニットが一定の順序で交替するコポリエステルを意味する。本明細書で言及するブロックコポリエステルとは、鎖が、互いに結合した一種類のモノマーエステルユニットの比較的長いブロックと、それに続いて互いに結合した異なる種類のモノマーエステルユニットの比較的長いブロックからなるコポリエステルを意味する。
コポリエステルの形成は、一般に約275℃までの温度で、縮合またはエステル交換による知られた方法で都合よく実施される。
コポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、約50℃未満であることが好ましく、より好ましくは約45℃未満、さらに好ましくは約35℃未満、さらに好ましくは約30℃未満であり、典型的には約25〜30℃である。
フィルムは、フィルムサンプルが7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、この変形の10分以内に、初期変形の直後における応力が元のレベルの60%未満、好ましくは50%未満、最も好ましくは40%未満の残留値まで散逸するような応力緩和特性を示すことが好ましい。これらの歪み条件下で、フィルムは同じ方向の応力で測定した応力の絶対値が、好ましくは、初期に4.5kg/mm2未満、好ましくは3.0kg/mm2未満、より好ましくは2.0kg/mm2未満、最も好ましくは1.0kg/mm2未満を示すべきである。上記変形の10分以内の対応する残留応力は、好ましくは1.7kg/mm2未満、より好ましくは1.3kg/mm2未満、さらに好ましくは0.9kg/mm2未満、最も好ましくは0.4kg/mm2未満であるべきである。フィルムは、機械寸法(MD)と横断寸法(TD)との両方で、上記の応力散逸特性ならびに低い初期および残留応力を示すことが好ましい。
本明細書に記載されたようにして測定されたフィルムの収縮は、機械寸法または横断寸法のいずれも4%未満であることが好ましく、より好ましくは2%未満、最も好ましくは1%未満である。フィルム製造の引張りおよび熱硬化工程中に加工パラメーターを変えることによって、最終フィルムの収縮を制御する方法は当業者にはよく知られている。
フィルムの形成は当分野によく知られた従来の技術によって実施することができる。都合よく、フィルムの形成は以下に記載する手順に従って、押出しによって実施することができる。一般的に言えば、プロセスは溶融ポリマーの層を押出し、押出品を冷却し、冷却した押出品を少なくとも一方向に配向する工程を含む。
フィルムは一軸配向することができるが、二軸配向することが好ましい。配向は当分野に知られた配向フィルムを製造するための任意のプロセス、例えば、管状または平面フィルムプロセスによって実施することができる。二軸配向は、フィルム面内の互いに直角な2方向に引張ることによって実施され、機械的および物理的特性の十分な組み合わせを達成することができる。
管状プロセスでは、熱可塑性ポリエステルチューブを押出し、続いて冷却し、再加熱し、次いで内部ガスの圧力で膨張させて横配向を誘導し、縦配向を誘導する速度で引張ることによって、同時二軸配向を実施することができる。
好ましい平面フィルムプロセスでは、フィルム形成コポリエステルを、スロット型を通して押出し、このコポリエステルが確実に非晶質状態で冷却されるように、冷却キャスティングドラム上で急速に冷却する。次いで、冷却した押出品を、コポリエステルのガラス転移温度以上の温度で少なくとも一方向に引張ることによって配向させることができる。逐次的な配向は、最初に平坦な冷却した押出品を一方向、通常は縦方向、すなわちフィルム引張り装置の前進方向に引張り、次いで横方向に引張ることによって行われる。押出品の前進引張りは、一組の回転ロール上または2組のニップロールの間で都合よく行われ、次いで横引張りを幅出し機で行う。別法として、キャストフィルムは、前進および横断の両方向に、二軸幅出し機で同時に引張ることができる。引張りは、一般に配向フィルムの寸法がその各引張り方向に、その元の寸法の2から5倍、一般に少なくとも2.5倍、好ましくは4.5倍未満、より好ましくは3.5倍未満になるように行われる。典型的には、引張りは30から65℃の温度範囲、好ましくは30から50℃の範囲、且ついずれの場合もコポリエステルのTgよりも高く、好ましくはコポリエステルのTgよりも約15℃高い温度で行われる。均衡した特性が必要な場合には好ましいことであるが、機械方向と横方向に等しく引張る必要はない。
引張られたフィルムは、好ましくは、寸法的に拘束した状態で、ポリエステルのガラス転移温度以上の温度ではあるが、その溶融温度以下で熱硬化し、ポリエステルの結晶化を起こさせることによって寸法的に安定させることができる。実際の熱硬化温度と時間はフィルムの組成物によって変わるが、フィルムの引裂抵抗を大きく低下させるように選択してはならない。さらに、熱硬化温度が低すぎると、フィルムに発生する結晶性があまりにも低くなり、付随する非晶質鎖の緩和があまりにも小さくなる。これはフィルムのコンフォーマブル性を減少させ、特に初期および変形後のフィルムの残留応力を増加させて望ましくない。これらの制約内で、約100から165℃、好ましくは約120から165℃の熱硬化温度が一般に望ましい。フィルムの収縮を調整するために、熱硬化工程の間に、フィルムを約5%まで、典型的には約2〜4%の所定寸法だけ弛緩させる、寸法緩和「トーイン(toe−in)」を用いることができる。
さらに本発明の態様によれば、コポリエステルの層を含む、コンフォーマブル配向ポリマーフィルムの使用であって、コポリエステルが
(i)1種または複数のジオールと、
(ii)芳香族ジカルボン酸と、
(iii)一般式Cn2n(COOH)2(nは2から8である)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸とから誘導され、芳香族ジカルボン酸がコポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として60から85モル%の量でコポリエステルに存在し、コポリエステルがランダムまたは交互コポリエステルであり、フィルムが7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、この変形の10分以内に、変形直後のフィルム内応力が元の値の60%未満の残留値まで散逸する、信号、広告、グラフィックアート、および他の表示用途に向けたコンフォーマブル媒体としての、もしくはそれらの媒体の被覆としての、あるいはその製造における使用が提供される。
さらに本発明の態様によれば、コポリエステルの層を含む、コンフォーマブル配向ポリマーフィルムの使用であって、コポリエステルが、
(i)1種または複数のジオールと、
(ii)芳香族ジカルボン酸と、
(iii)一般式Cn2n(COOH)2(nは2から8である)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸とから誘導され、芳香族ジカルボン酸がコポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として60から85モル%の量でコポリエステルに存在し、コポリエステルがランダムまたは交互コポリエステルであり、フィルムが7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、この変形の10分以内に、変形直後のフィルム内応力が元の値の60%未満の残留値まで散逸する、信号、広告、グラフィックアート、および他の表示用途に向けた媒体中のコンフォーマブル層としての、またはそれらの媒体の被覆としての使用が提供される。
さらに本発明の態様によれば、コポリエステルの層を含むコンフォーマブル配向ポリマーフィルムの使用であって、コポリエステルが、
(i)1種または複数のジオールと、
(ii)芳香族ジカルボン酸と、
(iii)一般式Cn2n(COOH)2(nは2から8である)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸とから誘導され、芳香族ジカルボン酸がコポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として60から85モル%の量でコポリエステルに存在し、コポリエステルがランダムまたは交互コポリエステルであり、フィルムが7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、この変形の10分以内に、変形直後のフィルム内応力が元の値の60%未満の残留値まで散逸する、信号、広告、グラフィックアート、および他の表示用途に向けた媒体にコンフォーマブル性を提供する目的のための、またはそれらの媒体の被覆としての使用が提供される。
さらに本発明の態様によれば、コンフォーマブル配向ポリマーフィルムの製造方法であって、コポリエステルの層を溶融押出成形する工程であり、コポリエステルが、
(i)1種または複数のジオールと、
(ii)芳香族ジカルボン酸と、
(iii)一般式Cn2n(COOH)2(nは2から8までである)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸とから誘導され、芳香族ジカルボン酸がコポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として60から85モル%の量でコポリエステルに存在し、コポリエステルがランダムまたは交互コポリエステルである工程を含み、押出品を少なくとも一方向に引張る工程をさらに含む製造方法が提供される。
フィルムは、ポリマーフィルムの製造に従来使用された任意の添加剤を都合よく含むことができる。すなわち、架橋剤、染料、顔料、発泡剤、潤滑剤、酸化防止剤、ラジカル除去剤、UV吸収剤、熱安定剤、難燃および防炎剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、滑り助剤、光沢剤、光沢改良剤、分解促進剤、粘度改質剤、分散安定剤などの薬剤を適切に組み込むことができる。特に、フィルムは、製造中の取り扱いと巻きつけ性を向上することのできる粒子状充填剤を含むことができる。粒子状充填剤は、例えば、粒子状無機充填剤、または非相溶性樹脂の充填材、または1種もしくは複数のそれらの充填剤の混合物であることができる。
「非相溶性樹脂」とは、フィルムの押出しおよび製造中に遭遇する最高温度において溶融せず、またはポリマーと実質上混合しない樹脂を意味する。非相溶性樹脂の存在は一般に空隙層を招くが、空隙層とは、層が個別の閉じたセルを少なくともある割合で含むセル状構造を含む層を意味する。適切な非相溶性樹脂は、ポリアミドおよびオレフィンポリマー、詳細には、分子に6個までの炭素原子を含むモノ−α−オレフィンホモ−もしくはコポリマーを含む。好ましい材料は、低密度もしくは高密度のオレフィンホモポリマー、詳細には、ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはポリ−4−メチルペンテン−1、オレフィンコポリマー、詳細にはエチレン−プロピレンコポリマー、またはその2種もしくは複数の混合物を含む。ランダム、ブロックもしくはグラフトコポリマーを使用することができる。
粒子状無機充填材は、従来の無機充填材、詳細には、アルミナ、シリカ(特に沈澱もしくは珪藻土シリカおよびシリカゲル)およびチタニアなどの金属もしくはメタロイド酸化物、カルシウムおよびバリウムの炭酸化物および硫化物などの焼成白土およびアルカリ金属塩を含む。粒子状無機充填材は、空隙型または非空隙型であることができる。適切な粒子状無機充填材は、均質であり、二酸化チタンもしくは硫酸バリウムなどの単一充填材料あるいは化合物から本質的になることができる。別法として、充填材の少なくともある割合は、異種であることができ、主要な充填剤材料が追加の改質成分と結合している。例えば、主要充填剤粒子は、顔料、石鹸、界面結合剤もしくは他の改質剤などの表面改質剤で処理し、充填剤とフィルム形成コポリエステルとの相溶性の程度を向上もしくは変更することができる。
好ましい粒子状無機充填剤は二酸化チタンおよびシリカを含む。
二酸化チタン粒子はアナターゼまたはルチル結晶形状であることができる。二酸化チタン粒子は、大部分がルチルを含むことが好ましく、より好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも80重量%、特に約100重量%のルチルを含むことが好ましい。粒子は塩化プロセスまたは硫酸プロセスなどの標準的な手順で調製することができる。二酸化チタン粒子は、好ましくはアルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウムなどの無機酸化物またはその混合物で被覆することができる。被覆は、脂肪酸および適切には8から30個、好ましくは12から24個の炭素原子を有するアルカノールなどの有機化合物をさらに含むことが好ましい。ポリジメチルシロキサンもしくはポリメチルハイドロジンシロキサンなどのポリジオルガノシロキサンもしくはポリオルガノハイドロジンシロキサンは適切な有機化合物である。被覆は、水性懸濁液中で二酸化チタン粒子に適切に塗布される。無機酸化物は、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ケイ酸もしくはケイ酸ナトリウムなどの水溶性化合物から水性懸濁液中で沈澱する。二酸化チタン粒子の被覆層は、二酸化チタンの重量基準で、無機酸化物が好ましくは1から12重量%の範囲、および有機化合物が好ましくは0.5から3重量%の範囲である。
無機充填剤は細かく粉砕されているべきであり、その体積分配中央値の粒子直径(粒子直径に対する体積%に関する累積分布曲線上で読み取った、全粒子の体積の50%に対応する等価の球直径であり、しばしば「D(v,0.5)」値と呼ばれる)は、好ましくは0.01から5μm、より好ましくは0.05から1.5μm、特に0.15から1.2μmである。
また、無機充填剤粒子サイズの分布は重要なパラメーターであり、例えば、過剰に大きな粒子が存在すると、目障りな「斑点」を呈する、すなわち、フィルム中の個々の充填剤粒子の存在が裸眼で識別できるフィルムになる。フィルムに組み込まれる無機充填剤は、実際の粒子サイズが全て30μmを超えないことが好ましい。そのサイズを超える粒子は当分野で知られる篩プロセスによって除去することができる。しかし、篩プロセスは、選択したサイズよりも大きな粒子を全て完全に除去するものではない。したがって、実際に、充填剤粒子数の99.9%はサイズが30μmを超えるべきではなく、好ましくは20μmを超えてはならず、より好ましくは15μmを超えてはならない。無機充填剤粒子の好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%が体積分布中央値の粒子直径±0.8μmの範囲であり、特に±0.5μmである。
充填剤粒子の粒子サイズは、電子顕微鏡、コールターカウンター(coulter counter)、沈降分析、静的もしくは動的光散乱によって測定することができる。レーザー光回折に基づく技術が好ましい。中央粒子直径サイズは、選択した粒子サイズ以下の粒子体積のパーセントを表す累積分布曲線をプロットし、50番目の百分位数を測定することによって求めることができる。
層の組成物の成分は従来のようにして互いに混合することができる。例えば、フィルム形成コポリエステルを誘導するモノマー反応物と混合することによって、または成分は、タンブラーもしくは乾燥混合によって、または押出し機中の混合によって、コポリエステルと混合し、続いて冷却、および通常は顆粒もしくはチップに粉砕することができる。また、マスターバッチ技術も用いることができる。
好ましい実施形態では、本発明のフィルムは光学的に透明であり、ASTM D1003標準に従って測定して、好ましくは<10%の散乱可視光(ヘーズ)%を有し、好ましくは<6%、より好ましくは<3.5%、特に<2%である。この実施形態では、充填剤は典型的に少量のみ存在し、一般に所定の層の0.5%を超えず、好ましくは0.2重量%である。
別法の実施形態では、フィルムは不透明で高度に充填されており、透過光密度(Transmission Optical Density)(TOD)(Sakura密度計、PDA65型、透過モード)は、好ましくは0.1から2.0の範囲、より好ましくは0.2から1.5、さらに好ましくは0.25から1.25、さらに好ましくは0.35から0.75、特に0.45から0.65であるのが好ましい。フィルムはポリマー混合物の中に乳白剤を有効量組み込むことによって都合よく透明になる。適切な乳白剤は、本明細書で前述したように、非相溶性樹脂充填剤、粒子状無機充填剤、またはそれらの2種もしくは複数の充填剤の混合物である。所定の層の中に存在する充填剤の量は、層ポリマーの重量基準で、好ましくは1重量%から30重量%、より好ましくは3重量%から20重量%、特に4重量%から15重量%、特に5重量%から10重量%である。
不透明フィルムの表面は、本明細書に述べたように測定して、白指数(whiteness index)が好ましくは60から120ユニットの範囲、より好ましくは80から110ユニット、特に90から105ユニット、特に95から100ユニットである。
フィルムの表面は、その上に1層もしくは複数のポリマー層、または被覆材料をさらに備えることができる。いずれの被覆も「インライン」で実施することが好ましい。
一実施形態では、追加の被覆はフィルムの取り扱いと巻き取り性を向上するために「滑り被覆(slip coating)」を含むことができる。適切な滑り被覆、例えばアクリルおよび/またはメタクリルポリマー樹脂の不連続層は、欧州特許(例えば、特許文献1参照)に記載されているように、任意選択的にさらに架橋剤を含むことができ、その開示は参照して本明細書に組み込まれている。別法の滑り被覆は、例えば米国特許(例えば、特許文献2、特許文献3参照)に開示されている、ケイ酸カリウム被覆を含むことができ、その開示は参照して本明細書に組み込まれている。
さらなる一実施形態では、フィルムはその1方の面上に硬質被覆もしくは擦傷抵抗性層、およびフィルムと硬質被覆の間に任意選択的にプライマー層(米国特許(例えば、特許文献4参照)に開示されているものなど)を有している。硬質被覆層は、例えば、テーバー(Taber)磨耗試験(ASTM D−1044)によって、ASTM 方法D−1003によって求めたサンプルのヘーズパーセントで判断できるように、フィルムにある程度の機械的保護を提供する。適切な硬質被覆層は、例えば、米国特許(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)に開示されており、その開示は参照して本明細書に組み込まれている。
さらなる一実施形態では、フィルムはその一方の面上に接着剤層を有する。接着剤層は任意の接着剤、例えば、感圧接着剤を含むことができ、フィルムを面上に配置し、容易に再配置し、最終的に接着剤の残渣を残さずに面から取り除くことのできるものが好ましい。適切な再配置可能な接着剤は米国特許(例えば、特許文献10参照)に記載されており、Note Stix(登録商標)として明らかにされている。さらに、適切な接着剤は米国特許(例えば、特許文献11参照)およびそこに参照されている技術、特に再配置可能な接着剤を記載している米国特許(例えば、特許文献12、特許文献13参照)に記載されている。接着剤組成物に関するこれらの文献の開示は参照して本明細書に組み込まれている。また、恒久的な接着剤も使用することができる。また、当分野でよく知られているように、フィルムは接着剤層に除去可能に接着されている剥離層も含むことが好ましい。
さらなる一実施形態では、フィルムはその一方の面上に印刷可能もしくはインク受容層を、およびフィルムと印刷可能もしくはインク受容層との間に接着を高めるための任意選択的な(例えば、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18に開示されているものなどの)プライマー層を有する。適切な印刷可能もしくはインク受容層は、例えば特許(特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25参照)に開示されており、その開示は参照して本明細書に組み込まれている。
フィルムの露出面は、必要であれば、化学的または物理的な表面改質処理を施して、その面と後続の塗布層との間の結合を高めることができる。好ましい処理は、その簡単さと効率から、フィルムの露出面にコロナ放電を伴う高電圧の電気的応力を加えることである。別法として、フィルムを当分野で知られている薬品で前処理して、基板ポリマーに溶媒または膨潤作用を持たせることができる。ポリエステル基板の処理に特に適しているそれらの薬品の例は、通常の有機溶媒に溶解したハロゲン化フェノール、例えば、p−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−もしくは2,4,6−トリクロロフェノール、または4−クロロレゾルシノールのアセトンもしくはメタノール溶液である。
コロナ放電による好ましい処理は、好ましくは1から100kvの電位で1から20kwの出力を有する、高周波、高電圧発生器を用いる従来の装置で、大気圧の空気中で実施することができる。放電は、フィルムを放電ステーションの誘電体支持ローラー上を好ましくは1.0から500m/分の直線速度で通過させることによって、従来通りに達成される。放電電極は、移動するフィルム面から0.1から10.0mmに配置することができる。
本発明は図1から図4に図示されており、これらはフィルムの応力緩和特性を変形後の時間に対する応力(kgf/mm2)のグラフとして、または変形後の時間に対する応力減少(変形直後の応力と比較した応力%)のグラフとして示している。
図1は、機械方向の応力緩和における引張り速度の影響を意味する、実施例6、実施例9、実施例12の応力緩和を示している。実施例6、9および12は機械および横方向の両方にそれぞれ2.5、3.5、4.5の引張り比を用いて調製された。データは引張り比が高くなるにつれ、変形後のフィルムの機械方向の初期および残留応力がより高いことを示している。
図2は実施例6、9および12の機械方向の応力緩和を示すものであり、t=0時の応力に対する時間t時の応力%を、時間tに対してプロットしたグラフとして示している。データは、引張り比が低いと応力緩和の程度がより高くなることを示している。
図3および図4は、実施例6、9および12のフィルムの横方向に関して、図1および図2に対応するデータをそれぞれ示している。図3のデータの変化は図1のデータの変化と一致し、フィルムの横方向の初期および残留応力は、引張り比が高くなるにつれてより高い。しかし、図4は、試験中の各フィルムに存在する内部応力が異なるにもかかわらず、時間に伴う横方向の応力緩和の程度が全ての実施例で同じであることを示している。
ポリマーフィルムのいくつかの特性を求めるために、以下の試験方法を用いることができる。
(i)広角度ヘーズは、ASTM D1003−6に従って、Hazegard System XL−211を用いて測定される。
(ii)白指数はASTM D313に記載された原理に基づいて、Colorgard System 2000、モデル45(Pacific Scientificによって製造されている)を用いて測定される。
(iii)応力および応力緩和はサンプルのフィルムを21℃(室温)でInstron Extensometer、モデル4464で7%引張り、試験の期間その伸びに保持することによって測定される。また、Instron装置は、サンプルをこの延びに維持するために負荷を加え、引き続き10分間、間隔を置いて測定と記録を行う。これらの読み取りから、フィルム内の応力を計算し、測定された応力を時間に対してプロットすることによって、応力緩和グラフが得られる。
(iv)特記のない限り、収縮はPerkin−Elmer TMA−7装置を用いて測定した。フィルムのサンプルを最小の負荷で空気中で100℃に加熱し、その温度で60分間自由に収縮させた。最終的な収縮は、室温まで冷却した後に測定し、試料の元の長さのパーセントで表した。
PVCフィルムと比較する目的で、さらに代わりの方法を用い、初期寸法100mm×100mmのフィルムのサンプルをオーブン中で拘束しないで100℃に加熱した(表2および実施例9およびp−PVCの比較例を参照されたい)。収縮を、フィルムのMDおよびTD軸に関して、再び冷却後の試料の元の長さに対するパーセントで表した。
(v)本発明のフィルムの引裂特性は、以下に述べるようにして測定した2つのパラメーター、いわゆる「最高負荷」および「引裂強度」を用いて特徴付けられる。
最高負荷はフィルムの引裂を開始するために必要な力、すなわち、引裂が開始する時の負荷の測定であり、ASTM D1004−94A(Graves Tear Test)によって測定される。このパラメーターはASTM D1004−94Aに初期引裂抵抗と呼ばれており、ニュートンまたはキログラム−力で表される。本明細書に報告した最高負荷の値は、50μmの基準厚さに正規化した。
引裂強度は、特許(例えば、特許文献26参照)に記載されているように、フィルムのグラーブ面積(Graves Area)として測定される。グラーブ面積は、グラーブ引裂試験(ASTM D1004−94A)(すなわち、試験の間、グラーブ引裂試験用に特別の形状にしたフィルムサンプルを、一定の速度で離れる対向する顎の間に挟み、引裂応力を小面積に集中させる)にかけたフィルムの、応力対歪みをグラフ式にプロットした曲線の下の面積を数学的に積分することによって得られる。応力は、記録された負荷を試験サンプルの刻み目に向かい合うフィルムの初期の断面積で除したものと定義される。歪みは、試験の間に生じる顎の間の距離の変化(Δl)と初期の顎の分離距離(l)の比として定義され、すなわち、歪みはΔl/lである。したがって、引裂強度はフィルムを破壊させるのに必要なエネルギーの総計、すなわち、破壊の前にフィルムがエネルギーを吸収することのできる能力の測定であると考えることができる。比較的大きな引裂強度値を有するフィルムは、比較的小さな引裂強度値を有するフィルムと比較して、破壊を起こすためにより大きなエネルギー総計を必要とすることが理解されよう。引裂強度は、試験がフィルムの機械方向で行われたか、または横方向で行われたかによって大きく変化するであろう。好ましくは、本発明によるフィルムは、フィルムの一方向の引裂強度が、少なくとも0.3kg/mm2、好ましくは少なくとも0.6kg/mm2、より好ましくは少なくとも0.9kg/mm2を示す。
さらに、本発明は以下の実施例で説明される。実施例は説明の目的のためだけであり、上記の発明を制限するものではない。発明の範囲から逸脱することなく、詳細を変更することができる。
一連のコポリエステル組成物を本明細書に述べたように従来の技術を用いて合成し、それからフィルムを調製した。フィルム調製の一般的な方法を以下に記載する。コポリエステルフィルムおよびその応力緩和特性の具体的な詳細を表1に示す。表1のTg値はフィルムのTgではなく、コポリエステル自身のものである。コポリエステルは全てコモノマーとしてアジピン酸(AA)を含むポリ(エチレンテレフタレート)に基づく。表1のアジピン酸の量は、コポリエステル中の全ジカルボン酸含有量のパーセントで与えられる(すなわち、アジピン酸で置換される通常のPET処方のテレフタル酸の量)。また、ある種のコポリエステルは、コモノマーとして第2のグリコール(ネオペンチルグリコール(nPG)またはシクロヘキサンジメタノール(CHDM))も含む。第2のグリコールの量はコポリエステルの総グリコール含有量のパーセントで与えられる。
ポリマー組成物を押出し、冷却した回転ドラム上にキャストし、多くの場合、本明細書に記載したように、逐次的な引張り作業にかけた。これは、最初にフィルムを45℃で押出し方向に引張り、次いで、やはり45℃で横向きの方向に引張る第2の工程の実施を含んだ。このようにして調製したフィルムは、表1の中で「SEQ」の表示で識別している。ある場合には、前方および側方の引張りを同時に実施し、このようにして調製したフィルムは、表1の中で「SIM」の表示で識別しているものである。二軸方向に引張たフィルムを、従来の手段によって完全に拘束し、熱硬化させた。引張りの比、すなわち、各方向における元の寸法に対する引張られた寸法の比、および熱硬化温度は表1に示されている。SEQは前方および側方の引張りが逐次的に行われたことを意味し、SIMは両方の引張りが同時に行われたことを意味する。
フィルムは、本明細書に記載した応力緩和試験を用いて特性を求めた。結果を表1に示す。応力緩和の値とは、7%の一定の歪みをかけ、室温で固定した時間(3または10分)維持した後にフィルムのサンプル中に残る応力をいう。機械方向(MD)および横方向(TD)の両方の測定を行い、残留応力の%を計算した。
結果は上記のように、図1から図4にグラフで示している。
表1のデータは、本発明のフィルムは、ある種のフィルムで、10分後に38%程に小さな残留応力、および約0.6kg/mm2の絶対値を有し、良好な応力緩和を表すことを示している。
Figure 0004969022
また、フィルムは、本明細書に記載した試験方法を用いてその収縮を測定することによって特性を求めた。実施例9およびp−PVCの比較例を、本明細書に記載した別法の試験方法、(すなわち、四角の試料(100mm×100mm)で空気オーブン100℃)を用いて分析した。結果を表2に示す。
Figure 0004969022
収縮%の負の値は、用いた試験での伸びを表す。
データは、全ての場合において、本発明のコポリエステルフィルムが可塑化PVC比較例よりもより良好な寸法安定性を示し、最適条件で製造されると極めて優れた収縮特性を示すことを示している。
また、フィルムは、本明細書に記載した試験方法を用いて、その引裂抵抗を測定することによって特性を求めた。結果を表3に示す。
Figure 0004969022
データは、全ての場合において、本発明のフィルムは、可塑化PVC比較例と比較して、より良好な引裂抵抗を表すことを示している。
フィルムの機械方向における応力緩和特性を示すグラフである。 フィルムの機械方向における応力緩和特性を示すグラフである。 フィルムの横方向における応力緩和特性を示すグラフである。 フィルムの横方向における応力緩和特性を示すグラフである。

Claims (14)

  1. コポリエステルを含む、コンフォーマブル二軸配向ポリマーフィルムであって、前記コポリエステルが、
    (i)1種または複数のジオールと、
    (ii)芳香族ジカルボン酸と、
    (iii)一般式Cn2n(COOH)2(nは2から8である)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸とから誘導され、
    前記芳香族ジカルボン酸が前記コポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として60から85モル%の量で前記コポリエステルに存在し、前記コポリエステルがランダムまたは交互コポリエステルであり、
    前記フィルムが21℃(室温)において7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、前記変形の10分以内に、変形直後の前記フィルム内応力が元の値の60%未満の残留値まで散逸し、
    前記コポリエステルのガラス転移温度が35℃未満であり、および前記フィルムが100から165℃の温度で熱硬化されている
    ことを特徴とするフィルム。
  2. 前記コポリエステルが、1種のジオールからのみ誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記コポリエステルが、エチレングリコールから誘導されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 前記芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 前記コポリエステルが、1種の脂肪族ジカルボン酸からのみ誘導されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 前記脂肪族ジカルボン酸が、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、またはセバシン酸であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 前記脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 前記芳香族ジカルボン酸が、前記コポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として65から75モル%の量で前記コポリエステル中に存在することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のフィルム。
  9. 前記コポリエステルが、ランダムコポリエステルであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のフィルム。
  10. 前記フィルムが21℃(室温)において7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、前記変形の10分以内に、変形直後の前記フィルム内応力が元の値の40%未満の残留値まで散逸することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のフィルム。
  11. 前記フィルムが21℃(室温)において7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、前記フィルム内の初期応力が4.5kg/mm2未満であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のフィルム。
  12. 前記フィルムが、21℃(室温)において7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、前記変形の10分以内の前記残留応力が1.7kg/mm2未満であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のフィルム。
  13. 空気中100℃で60分間にわたって処理した後の収縮が、機械寸法および横断寸法ともに4%未満であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のフィルム。
  14. コンフォーマブル二軸配向ポリマーフィルムの製造方法であって、
    コポリエステルを溶融押出成形する工程であり、前記コポリエステルが、
    (i)1種または複数のジオールと、
    (ii)芳香族ジカルボン酸と、
    (iii)一般式Cn2n(COOH)2(nは2から8までである)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸とから誘導され、
    前記芳香族ジカルボン酸が前記コポリエステルのジカルボン酸成分の総量を基準として60から85モル%の量で前記コポリエステルに存在し、前記コポリエステルがランダムまたは交互コポリエステルであり、前記コポリエステルのガラス転移温度が35℃未満である工程を含み、
    前記押出品をフィルム面内の互いに直角な2方向に引っ張り、次いで100から165℃の温度で熱硬化する工程をさらに含み、
    前記フィルムが21℃(室温)において7%歪みを受けて保持されることによって変形した後、前記変形の10分以内に、変形直後の前記フィルム内応力が元の値の60%未満の残留値まで散逸する
    ことを特徴とする製造方法。
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