JP2006281416A - プリント基板の穴加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリント基板のスルーホール加工について、空気の渦流をドリルに当てて切り粉の排出とドリルの冷却を効率よく行えるプリント基板の穴加工装置を提供する。
【解決手段】プレッシャーフット3の下端に、中央にドリル貫通穴9を有するブッシュ4Bを着脱自在に装着し、このブッシュ4Bがプリント基板(ワーク1)を押えた状態で穴加工するプリント基板の穴加工装置において、切り粉排出のためにプレッシャーフット3の内部の空気を吸引排気したときに、プレッシャーフット3の外部の空気をプレッシャーフット3の内部に導入するために、ブッシュ4Bの側面には、プレッシャーフット3の内部に導入する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第1の気体通路41を形成するとともに、第1の気体通路41のワーク1側には、ドリル5の先端部に到達する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第2の気体通路42Bを形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は電子機器に使用されるプリント基板にスルーホールなどを形成するための穴加工装置に関するものであり、特に、複数枚のプリント基板を重ねてドリル穴加工する際に、切り粉の排出を効率よく行いかつドリルの冷却機能を有して穴品質の向上を図るプリント基板の穴加工装置に関するものである。
電子機器に使用されるプリント基板には、回路層間の導通などの目的でスルーホールを穿設することが行われている。このための穴加工は通常ドリル加工によって行われる。此種プリント基板の穴明け機は、ドリルを保持するスピンドルが上下動自在に設けられ、このドリルを囲むようにしてワークの穿孔部位の周囲を上方からワークテーブルへ圧迫するプレッシャーフットが上下動自在に配設されている。プレッシャーフットの下端に、中央にドリル貫通穴を有するブッシュが着脱自在に装着され、このブッシュがプリント基板を押し付けた状態でドリルにて穴加工を行う(例えば特許文献1参照)。
図13は一般的なプリント基板の穴加工装置を示し、この穴加工装置はワーク(被加工物)1を載置するワークテーブル(ベッド)2と、ワークテーブル2上のワーク1の穿孔部位の周囲を上方からワークテーブル2へ圧迫するプレッシャーフット3と、このプレッシャーフット3およびドリル5およびドリル5を回転させるスピンドルユニット6とを上下動可能に支持する昇降ユニット7とを備えている。
前記ワーク1は、複数枚のプリント基板11,11…の上面にエントリーボード12を重ね、下面にバックアップボード13を重ね合わせてワークテーブル2に載置される。このワーク1を金属素材の前記プレッシャーフット3が上方から圧迫するのであるが、特許文献1記載の発明と同様に、重ね合わせたワークをより強く押し付けるために、プレッシャーフット3の下端に、中央部にドリル貫通穴を開穿した金属製または樹脂製のブッシュ4を着脱自在に装着し、昇降ユニット7が下降すると前記プレッシャーフット3に取り付けられたブッシュ4がワーク1に当接し、ばね機構(図示せず)によりワーク1を上方から押圧する。
この状態で、スピンドルユニット6が下降してドリル5によりワーク1に穴加工が行われる。そして、穴加工時に発生する切り粉は、後述するように、前記ブッシュ4の下側に形成された溝やブッシュ4を貫通する穴から外気を導入し、プレッシャフット3の側面に設けられた排出穴8から吸引排出手段(図示せず)によって空気とともに排出される。
図14は前記ブッシュ4の形状の一例を示し、同図(1)は縦断面図、同図(2)は(1)のX−X線断面図である。ドリル貫通穴9からブッシュ4の外側へ向けてほぼ水平に気体通路10が複数設けられている。図示例では、ドリル貫通穴9の軸心に対して気体通路10を偏心させて設けてある。したがって、図15に示すように、ブッシュ4でワーク1を押し付けたときに、吸引排出手段によって外気を吸い込むとドリル5の周辺に空気の渦流が発生し、切り粉がドリル5に絡みつくのを防止している。
また、空気による渦旋回流はドリル5を冷却することにも有効である。すなわち、ドリル5が高温になると、プリント基板の構成物質である樹脂部分が軟化してスミアが発生しやすくなる。また、ドリル5に切り粉が絡みつくと、ドリル5が折れやすくなる。したがって、空気の渦旋回流をドリル5に効率的に当てて、切り粉の排出とドリル冷却を行うことは重要なことである。
切り粉の排出を効率よく行う方法として、プレッシャーフットの下端部側面に設けられた気体供給路から圧縮気体を送って切り粉を吹き飛ばす構成が知られている(例えば特許文献2参照)。また、複数の気体供給源を有し、一方はプレッシャーフット下面に空気膜を形成させて押圧し、他方は切り粉を吹き飛ばすようにすることが提案されている(例えば特許文献3参照)。さらに、ミスト状の液体をドリルに吹き付けて冷却する構成も提案されている(例えば特許文献4および特許文献5参照)。
また、別の気体通路を設けて、プレッシャーフットが上昇したときにこの気体通路が開くようにした構成もあり(例えば特許文献6参照)、さらに、ばね機構によってプレッシャーフットが上昇したときに開く気体通路口をブッシュ下部に設けた構成も知られている(例えば特許文献7参照)。
特開平5−285891号公報 特開昭63−300807号公報 特開平3−3713号公報 特許第3513767号公報 実開平6−17847号公報 特願2000−5910号公報 特願2004−130454号公報
特許文献1記載の発明は、ドリル外周とブッシュのドリル貫通穴との隙間を常に小さくしてプリント基板を強固に押えることにより、スルーホール周囲のバリの発生を抑えるとともに、空気の渦流により切り粉を排出するものであるが、排出の効率が良好ではない。
特許文献2および特許文献3記載の発明は、それぞれ空気を吹き込んで切り粉を吹き飛ばす構成であり、ドリル冷却と切り粉の排出には有効であるが、空気を送り込むことによってプレッシャーフットが加圧状態になった場合、切り粉がプリント基板側に吹き出してしまうことがあり、気体の供給圧調整が困難であるという不具合がある。
特許文献4および特許文献5記載の発明は、それぞれ液体の存在によって切り粉がプレッシャーフットの内部に付着したり集塵装置に目詰まりを起こすおそれがあった。
これらの不具合を解消するためには、外気を取り入れるためのブッシュの貫通穴の径を小さくすることにより、空気の渦流の流速が増加し、かつ断面膨張作用で空気流が冷却されて、効率よくドリルを冷却できる。しかしこの場合は、プレッシャーフット内の気圧が低下しすぎて、重ね合わせられたワークを吸い上げてしまうという問題がある。
特許文献6および特許文献7記載の発明は、それぞれプレッシャーフットが上昇したときに別の気体通路口が開くので、吸引力が低下してワークが上昇するのを防止できる。
しかし近年、プリント基板の微細化対応にともない、より小径(たとえば0.2mm)の穴加工が必要となっており、切り粉がドリルに絡みつくことによるドリル折れが発生しやすくなってきている。このため、より効率よく切り粉の排出とドリルの冷却を行うことが必要となっている。
そこで、本発明は、プリント基板のスルーホール加工について、空気の渦流をドリルに当てて切り粉の排出とドリルの冷却を効率よく行えるプリント基板の穴加工装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ワークテーブル上の被加工物に穿孔するドリルと、被加工物の穿孔部位の周囲を上方からワークテーブルへ圧迫するプレッシャーフットを備えたプリント基板の穴加工装置であって、前記プレッシャーフット下端に、中央にドリル貫通穴を有するブッシュを着脱自在に装着し、このブッシュがプリント基板を押えた状態で穴加工するプリント基板の穴加工装置において、切り粉排出のために前記プレッシャーフット内部の空気を吸引排気したときに、前記プレッシャーフット外部の空気を前記プレッシャーフット内部に導入するために、前記ブッシュの側面には、前記プレッシャーフット内部に導入する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第1の気体通路を形成するとともに、第1の気体通路の被加工物側には、ドリル先端部に到達する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第2の気体通路を形成したことを特徴とするプリント基板の穴加工装置を提供する。
この構成によれば、ブッシュの側面に形成された複数の第1の気体通路から導入された空気が渦旋回流となり、プレッシャーフット内を減圧して切り粉の排出が効率よく行なわれる。第1の気体通路の被加工物側に形成された第2の気体通路から導入された空気がドリル先端部に到達して高速の渦旋回流となり、この高速の渦旋回流がドリルに切り粉が絡みつくことを防止し、かつ断熱膨張作用でドリルを効率よく冷却する。
請求項2記載の発明は、上記第2の気体通路は、上記ブッシュの下面に形成された溝であることを特徴とする請求項1記載のプリント基板の穴加工装置を提供する。
この構成によれば、ブッシュの下面に形成された溝から導入された空気がドリル先端部で高速の渦旋回流となる。この高速の渦旋回流が切り粉の絡みつきを防止するとともに、ドリルを効率よく冷却する。
請求項3記載の発明は、上記第2の気体通路は、上記ブッシュの側面から内部に至る貫通穴であることを特徴とする請求項1記載のプリント基板の穴加工装置を提供する。
この構成によれば、ブッシュの側面から内部に至る貫通穴から導入された空気がドリル先端部で高速の渦旋回流となる。この高速の渦旋回流が切り粉の絡みつきを防止するとともに、ドリルを効率よく冷却する。
請求項4記載の発明は、上記ブッシュ側面の第1の気体通路と第2の気体通路の断面積比は、複数開口された第2の気体通路の断面積合計が複数開口された第1の気体通路の断面積合計よりも小であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント基板の穴加工装置を提供する。
この構成によれば、複数開口された第2の気体通路の断面積合計が複数開口された第1の気体通路の断面積合計よりも小であるため、前記第2の気体通路から導入された空気の流入速度が第1の気体通路から導入された空気の流入速度よりも高くなり、前記第2の気体通路からドリル先端部へ高速の渦旋回流が形成される。
請求項5記載の発明は、上記ブッシュ側面の第1の気体通路は、前記ブッシュ側面に第1の気体通路が任意の大きさに遮断される遮蔽筒を配置し、空気流量が自在に調整できる機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント基板の穴加工装置を提供する。
この構成によれば、ブッシュ側面に配置された遮蔽筒を動かすことにより、第1の気体通路の開口面積が変化して、プレッシャーフット内に吸引される空気の量が変化する。
本発明は、上述したように、プリント基板のスルーホール加工について、プレッシャーフット外部の空気をプレッシャーフット内部へ導入して吸引排気する際に、ブッシュの側面に複数の第1の気体通路を形成するとともに、該第1の気体通路の被加工物側に第2の気体通路を形成したことにより、ドリル先端部近傍は流速の速い空気による渦旋回流が発生し、切り粉を排出できる十分な流量の空気をプレッシャーフット内に確保することができる。したがって、切り粉の排出とドリル冷却を効率的に行うことが可能となり、切り粉のドリル絡みつきに付随する不具合を解消することができる。
以下、本発明に係るプリント基板の穴加工装置について、好適な実施例をあげて説明する。プリント基板のスルーホール加工について、空気の渦流をドリルに当てて切り粉の排出とドリルの冷却を効率よく行えるプリント基板の穴加工装置を提供するという目的を、プレッシャーフット下端にブッシュを着脱自在に装着し、このブッシュの側面に、前記プレッシャーフット内部に導入する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第1の気体通路を形成するとともに、第1の気体通路の被加工物側には、ドリル先端部に到達する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第2の気体通路を形成したことにより実現した。
プリント基板の穴加工装置の全体構成については、図15にて前述したので、重複説明は省略するものとし、図1乃至図3に従って、プレッシャーフット下端に装着したブッシュについて詳述する。
まず、図1はブッシュ形状の一例を示し、同図(1)は縦断面図、同図(2)は(1)のA−A線断面図である。図1に示すブッシュ4Aには、その側面から内部に至って複数(本実施例では8本)の第1の気体通路41が形成され、該第1の気体通路41により前述したプレッシャーフット3の外部の空気を内部に吸引して渦旋回流を生じさせる。そして、第1の気体通路41の被加工物側には、複数(本実施例では4本)の第2の気体通路42Aがブッシュ4Aの下面外側から内側に至る溝として形成されている。この溝状の第2の気体通路42Aにより外部の空気を吸引して、ドリル先端部に到達する空気の渦旋回流を生じさせる。
また、図2はブッシュ形状の他の一例を示し、同図(1)は縦断面図、同図(2)は(1)のB−B線断面図である。図2に示すブッシュ4Bには、前記ブッシュ4Aと同様に、その側面から内部に至って複数(本実施例では8本)の第1の気体通路41が形成され、該第1の気体通路41により外部の空気を内部に吸引して渦旋回流を生じさせる。そして、第1の気体通路41の被加工物側には、複数(本実施例では4本)の第2の気体通路42Bがブッシュ4Aの側面外側から内側に至る貫通穴として形成されている。この貫通穴状の第2の気体通路42Bにより外部の空気を吸引して、ドリル先端部に到達する空気の渦旋回流を生じさせる。
図1および図2に示したブッシュ4A,4Bは、いずれも第1の気体通路41の断面積合計よりも、第2の気体通路42Aまたは42Bの断面積合計が小さく、かつ、第2の気体通路42A,42Bがドリル5の先端部に近い位置に形成されている。
図3は前記プレッシャーフット3の下端にブッシュ4Bを装着した構成を示し、第2の気体通路42Bの断面積合計が小さいので、該第2の気体通路42Bから流入する空気の流速が速く、ドリル5の先端部の周囲に高速の渦旋回流が形成される。この高速の渦旋回流がドリル5に切り粉が絡みつくのを防止し、かつ断熱膨張作用で空気流が冷却されて効率よくドリル5を冷却することができる。
一方、第1の気体通路41から流入する空気は、前記第2の気体通路42Bにより形成される渦旋回流の外側で大きな渦旋回流を形成し、該第1の気体通路41により形成される渦旋回流により、排出穴8から効率よく切り粉の排出を行うことができる。また、第2の気体通路42Bから流入する空気だけでは過剰減圧となってしまう場合に、これを補う空気流入調整機能を該第1の気体通路41が併せ持つものである。
前記ドリル5近傍に形成される高速の渦旋回流と、その外側に形成される渦旋回流との2つの渦旋回流が形成されるように空気の流入を行うためには、ブッシュ4B側面の第1の気体通路41と第2の気体通路42Bの断面積比は、複数開口された第2の気体通路42Bの断面積合計が複数開口された第1の気体通路41の断面積合計の10〜50%であることが好ましい。
なお、図3においては、図2に示す貫通穴状の第2の気体通路42Bを使用する場合について説明したが、図1に示す溝状の第2の気体通路42Aを使用する場合も、まったく同様の作用効果を有するものである。また、図1および図2に示す第1の気体通路41の配置数ならびに第2の気体通路42A,42Bの配置数はこれに限定されず、双方の断面積比の範囲内で渦旋回流が形成され得る配置数であればよい。
また、ワーク1であるプリント基板の材質によっては、ドリル穴加工時に切り粉が絡みやすく、より高速の渦旋回流をドリル近傍に形成する必要がある場合もある。プリント基板の材質毎に第1の気体通路41と第2の気体通路42Aまたは42Bとの合計断面積比を特定し、プリント基板の材質毎に特定のブッシュ4を使用することもできるが、部品在庫点数が増加して保守管理並びにコスト面で問題がある。そこで、第1の気体通路41の径を大きく設定しておき、それぞれの開口を任意の大きさに遮蔽する機構を付与させれば、多種のブッシュを準備することなく、プリント基板の材質毎に異なる断面積比を得ることができる。
図4に示すように、例えばブッシュ4Cの外側に円筒形の遮蔽筒43を回転可能に遊嵌する。該遮蔽筒43には、前記ブッシュ4Cに設けられた複数の第1の気体通路41に対応する位置に、それぞれ開口穴44が開穿されている。この開口穴44は前記第1の気体通路41の径と同径かやや大径に形成するのが好ましい。該遮蔽筒43を例えばサーボモータなどの位置決め機構(図示せず)で回転させることにより、第1の気体通路41と開口穴44とのラップ位置が変化して、第1の気体通路41の開口面積を任意に変化させることができる。なお、同図では、第2の気体通路42Aまたは42Bの記載は省略してある。
ここで、図1乃至図4に示す各ブッシュ4A,4B,4Cは、それぞれ被加工物に当接する面にゴムや樹脂などの弾性部材を配置すれば、各ブッシュ4A,4B,4Cが被加工物に密着状態に当接するので、該当接面から余分な空気流入を防止でき、本発明がより効果的に実施できる。また、各ブッシュ4A,4B,4Cの全体を上記弾性部材にて形成すれば、特に貫通穴状の第2の気体通路42Bを形成するに際して、金属製または硬質な樹脂製の管を突き通すことにより、簡単に第2の気体通路42Bを形成することができる。
図5は実施例1のブッシュ下面の写真を示し、第2の気体通路としてブッシュの下面に幅0.3mm、深さ0.5mmの溝を4箇所に形成したものである。そして、第1の気体通路の断面積合計に対して、第2の気体通路の断面積合計の割合は2.0%である。
このブッシュを使用して、150本のドリルで穴加工を試行したがドリル折れは発生しなかった。しかし、図6の写真に示すように、穴加工後のドリルにはすべて著しい切り粉の巻き付きが見られた。
図7は実施例2のブッシュ下面の写真を示し、第2の気体通路としてブッシュの下面に幅1.0mm、深さ1.5mmの溝を4箇所に形成したものである。そして、第1の気体通路の断面積合計に対して、第2の気体通路の断面積合計の割合は19.9%である。
このブッシュを使用して、150本のドリルで穴加工を試行したがドリル折れは発生しなかった。穴加工後のドリルをみると、切り粉の巻き付きは150本の中で5本について、図8の写真に示すように、少量の巻き付が発生した。これは、後述する比較例と比べて効果が認められる。穴加工の途中でドリルのメンテナンスを行えば、ドリル寿命内でのドリル折れの心配はなく、不十分ながらも実用可能なレベルに達した。
図9は実施例3のブッシュ下面の写真を示し、第2の気体通路として第1の気体通路の下方位置に直径1.0mmの貫通穴を8箇所形成したものである。そして、第1の気体通路の断面積合計に対して、第2の気体通路の断面積合計の割合は20.8%である。
このブッシュを使用して、150本のドリルで穴加工を試行したがドリル折れは発生しなかった。穴加工後のドリルをみると、図10の写真に示すように、すべてのドリルで切り粉の巻き付きはなく、ドリル寿命内でのドリル折れの心配はなくなり、問題なく実用可能なレベルに達した。
比較例
図11は比較例のブッシュ下面の写真を示し、第1の気体通路のみプレッシャーフットの内部に至る直径3.1mmの貫通穴を4箇所形成し、第2の気体通路は形成していないものである。
このブッシュを使用して、ドリルで穴加工を試行したが、3本に1本の比率で数100ショット加工した段階でドリル折れが発生し、ドリルを取り外してみると、図12の写真に示すように、切り粉の巻き付きが著しく、このためドリルが損傷してしまったものと推察される。
なお、各実施例および比較例では、それぞれ穴加工はドリル直径0.3mm、送り速度1.5m/min、スピンドル回転数100,000rpmの同一条件で行った。また、ショット数は、ドリル折れが発生しなければ、一般的に寿命といわれる3000ショットまで行った。そして、ブッシュに設けた第1の気体通路は、何れも比較例と同一の直径3.1mmの貫通口を4箇所に形成したものを使用した。
このように、プレッシャーフット下端にブッシュを着脱自在に装着し、このブッシュの側面に、前記プレッシャーフット内部に導入する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第1の気体通路を形成するとともに、第1の気体通路の被加工物側には、ドリル先端部に到達する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第2の気体通路を形成したことにより、ドリル先端部近傍は流速の速い空気による渦旋回流が生じ、切り粉を排出できる十分な流量の空気をプレッシャーフット内に確保できるようになった。したがって、切り粉の排出とドリル冷却を効率的に行うことが可能となり、切り粉のドリル絡みつきに付随する不具合が解消された。
なお、実施例1〜実施例3の結果から考察すれば、第2の気体通路はある程度の大きさが必要であり、さらに、第1の気体通路の下方位置に貫通穴として形成されたものについては効果が大きい。したがって、実施例3のような形状が最も推奨される。
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
本発明に係るプリント基板の穴加工装置に装着されるブッシュ形状の一例を示す説明図。 本発明に係るプリント基板の穴加工装置に装着されるブッシュ形状の他の一例を示す説明図。 図2に示すブッシュを使用したときの空気流の挙動を示す説明図。 本発明のブッシュの側面に遮蔽筒を配置した形状を示す説明図。 実施例1のブッシュ下面の写真。 実施例1の穴加工後のドリルの写真。 実施例2のブッシュ下面の写真。 実施例2の穴加工後のドリルの写真。 実施例3のブッシュ下面の写真。 実施例3の穴加工後のドリルの写真。 比較例のブッシュ下面の写真。 比較例の穴加工後のドリルの写真。 従来の一般的なプリント基板の穴加工装置を示す説明図。 従来のブッシュ形状を示す説明図。 従来のブッシュを使用したときの空気流の挙動を示す説明図。
符号の説明
1 ワーク(被加工物)
2 ワークテーブル
3 プレッシャーフット
4 ブッシュ
4A〜4C ブッシュ
5 ドリル
6 スピンドルユニット
7 昇降ユニット
8 排出穴
9 ドリル貫通穴
10 (従来の)気体通路
11 プリント基板
12 エントリーボード
13 バックアップボード
41 第1の気体通路
42A 第2の気体通路(溝)
42B 第2の気体通路(貫通穴)
43 遮蔽筒
44 開口穴

Claims (5)

  1. ワークテーブル上の被加工物に穿孔するドリルと、被加工物の穿孔部位の周囲を上方からワークテーブルへ圧迫するプレッシャーフットを備えたプリント基板の穴加工装置であって、
    前記プレッシャーフット下端に、中央にドリル貫通穴を有するブッシュを着脱自在に装着し、このブッシュがプリント基板を押えた状態で穴加工するプリント基板の穴加工装置において、
    切り粉排出のために前記プレッシャーフット内部の空気を吸引排気したときに、前記プレッシャーフット外部の空気を前記プレッシャーフット内部に導入するために、前記ブッシュの側面には、前記プレッシャーフット内部に導入する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第1の気体通路を形成するとともに、第1の気体通路の被加工物側には、ドリル先端部に到達する空気による渦旋回流を生じさせる複数の第2の気体通路を形成したことを特徴とするプリント基板の穴加工装置。
  2. 上記第2の気体通路は、上記ブッシュの下面に形成された溝であることを特徴とする請求項1記載のプリント基板の穴加工装置。
  3. 上記第2の気体通路は、上記ブッシュの側面から内部に至る貫通穴であることを特徴とする請求項1記載のプリント基板の穴加工装置。
  4. 上記ブッシュ側面の第1の気体通路と第2の気体通路の断面積比は、複数開口された第2の気体通路の断面積合計が複数開口された第1の気体通路の断面積合計よりも小であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント基板の穴加工装置。
  5. 上記ブッシュ側面の第1の気体通路は、前記ブッシュ側面に第1の気体通路が任意の大きさに遮断される遮蔽筒を配置し、空気流量が自在に調整できる機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント基板の穴加工装置。

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