JP2006281262A - 熱延鋼帯の巻取り方法 - Google Patents

熱延鋼帯の巻取り方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 オペレーターによる微調整を必要とせずに、熱延鋼帯を絞り疵などを生じさせることなく安定してコイルに巻き取る。
【解決手段】 熱間仕上圧延機で圧延された熱延鋼帯を複数のピンチロールで挟持しつつコイラーに巻き取る際に、最上流側のピンチロールの押力値又はトルク値を所定の範囲内にして熱延鋼帯を巻き取る。操業条件に応じた適正なピンチロールの押力又はトルクで熱延鋼帯を巻き取るため、熱延鋼帯を絞り疵などを生じさせることなく安定してコイルに巻取ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱間仕上圧延機で圧延された熱延鋼帯をピンチロールで挟持しながらコイラーに巻き取る際の巻取り方法に関するものである。
熱間圧延設備におけるコイル巻取り装置では、図7に示すように、仕上圧延機1で圧延されたストリップ2(熱延鋼帯)を1基又は2基以上のピンチロール(図7では2基のピンチロール3,4)により後方張力を与えながら、図示しないモータで駆動されるコイラー5で巻き取るようにしている。なお、ピンチロール3,4は、それぞれ上ロール3U,4Uと下ロール3L,4Lからなり、図示しないモータで駆動されるようになっている。また、ピンチロール3,4間には、移動するストリップ2をガイドするためのサイドガイド(図示せず)が設けられている。
このようなコイル巻取り装置では、ストリップ2の巻取り本数が多くなると各ピンチロール3,4のストリップ2に対する摩擦係数が低下するため、ストリップ2を所定本数巻き取った後に、ピンチロール3,4の取替えを行うようにしている。しかし、このピンチロール取替えによるピンチロール3,4とストリップ2との摩擦係数の変化や摺動抵抗変化によって、ストリップ2に対してピンチロール3,4が負担する張力バランスが崩れ、ストリップ2の尾端巻き取り時に蛇行やダブり込み、或いはマンドレルの暴走といった不安定挙動が生じ、ストリップ2を安定して巻き取ることができなくなる場合がある。また、ピンチロール3,4により後方張力が付与できないと、ストリップ2が折れ込んだままピンチロール4やラッパーロール(巻取り後のストリップを巻き緩まないように押え付けるためのロール。図示せず。)で圧下されることにより、絞り疵が発生する場合がある。コイルに巻き取られるストリップ2は、微小な違いではあるが板厚が完全に一定ではなく、仕上圧延機の性能にもよるが50μm程度の幅で不規則な板厚変動が存在する。このような板厚変動によりピンチロール押力も変動し、結果として、ストリップ2に対してピンチロール3,4が負担する張力バランスが崩れることで、摩擦係数の経時変化のときと同様な巻取りの不安定挙動が発生する場合がある。
このため従来では、ストリップを安定して巻き取るようにするために、板厚に応じて一旦設定したピンチロールの押力を、オペレーターがピンチロールのモータトルクを見ながら微調整したり、ピンチロールにロードセルを設置して押力を計測し、その計測値を押力制御装置にフィードバックして所定の押力となるように制御するようにしている。
また、絞り疵の防止対策として、例えば、ストリップ尾端が仕上圧延機を抜けたいわゆる仕上抜け後に、ピンチロールにほぼ一定の押力を加える(特許文献1参照)などの方法が提案されている。
特開平2−187210号公報
しかしながら、オペレーターによってピンチロールの押力を微調整する方法は、微調整をコイル単位で行う必要があるため手間がかかり、また、個人差によって巻き姿にバラツキが生じるという問題がある。また、ピンチロールの押力を計測してフィードバック制御する方法は、上記のようにピンチロールのストリップに対する摩擦係数が経時的に変化するため、目標となる押力の設定値が一義的に決定できず、巻き姿を安定にすることが困難である。また、板厚の変動は不規則で高周波であるため、フィードバック制御で追従することも難しく、この点からも安定した巻取りは困難である。さらに、絞り疵の防止対策として、仕上抜け後にピンチロールの押し力を制御する特許文献1の方法では、十分な制御応答性や制御範囲が得られないため、絞り疵の発生を十分に防止できない場合がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、オペレーターによる微調整を必要とせずに、熱延鋼帯を絞り疵などを生じさせることなく安定してコイルに巻き取ることができる巻取り方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、以下のとおりである。
(1) 熱間仕上圧延機で圧延された熱延鋼帯を複数のピンチロールで挟持しつつコイラーに巻き取る際に、最上流側のピンチロールの押力値又はトルク値を所定の範囲内にして熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
(2)上記(1)の巻取り方法において、最上流側のピンチロールの押力又はトルクが下記式(1)又は式(1a)を満足する条件で熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
Figure 2006281262
(3)上記(1)又は(2)の巻取り方法において、最上流側のピンチロールの押力又はトルクが下記式(2)又は式(2a)を満足する条件で熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
Figure 2006281262
(4)上記(1)又は(2)の巻取り方法において、最上流側のピンチロールの押力又はトルクが下記式(3)又は式(3a)を満足する条件で熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
Figure 2006281262
(5)上記(1)の巻取り方法において、最上流側のピンチロールの押力の設定値又はトルクの設定値が、下記式(4)又は式(4a)を満足することを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
Figure 2006281262
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの巻取り方法において、最上流側のピンチロールとして、ミル剛性が下記式(5)を満足するピンチロールを用いることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
Figure 2006281262
本発明によれば、操業条件に応じた適正なピンチロールの押力又はトルクで熱延鋼帯を巻き取るため、オペレーターによる微調整を必要とすることなく、熱延鋼帯を絞り疵などを生じさせることなく安定してコイルに巻取ることができる。
本発明者らが、熱延鋼帯のコイル巻取り時に不安定挙動が発生する原因について検討した結果、上述したような不安定挙動の発生には、次のような2通りの原因があることが判った。
(1)ピンチロールによる摩擦力が弱すぎる場合に、ピンチロールにて後方張力が付与できないためダブり込み等の不安定挙動が発生してしまう。
(2)ピンチロールによる摩擦力が強すぎる場合に、張力バランスが崩れ、蛇行等の不安定挙動が発生してしまう。
すなわち、ピンチロールによる摩擦力が弱すぎる場合と強すぎる場合のそれぞれで不安定挙動が発生する。
そこでまず、ピンチロールによる摩擦力が弱すぎる場合の不安定挙動について考察する。
以下、図7のピンチロール3に相当する最上流側ピンチロールを第0ピンチロール、その下流側のピンチロールを第1ピンチロールという。また、最上流側ピンチロール(第0ピンチロール)の下流側に2基以上のピンチロールがある場合には、その一群のピンチロールを1つのピンチロール(=第1ピンチロール)として考える。
コイラーのマンドレルと第1ピンチロール間の張力は、下記式(6)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、TM1はマンドレルと第1ピンチロール間の張力(N)、FMはマンドレルが負担する軸力(N)、ρは熱延鋼帯(以下、ストリップという)の密度(kg/m)、Aはストリップの断面積(m)、νはストリップ速度(m/s)である。
第1ピンチロールと第0ピンチロール間の張力は、下記式(7)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、T10は第1ピンチロールと第0ピンチロール間の張力(N)、F1は第1ピンチロールでの摩擦力(N)である。
第0ピンチロールと仕上圧延機間の張力は、下記式(8)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、T0Fは第0ピンチロールと仕上げ圧延機間の張力(N)、F0は第0ピンチロールでの摩擦力(N)、FROTはランナウトテーブルのテーブルロールの摩擦力(N)である。
仕上圧延機で負担している摩擦力F(N)は、下記式(9)で表わされる。
Figure 2006281262
尾端抜け時には、仕上圧延機で負担している摩擦力が0となるので、下記式(10)〜式(12)となる。
Figure 2006281262
上記式(10)〜式(12)においてランナウトテーブル上の摩擦力を無視すると、下記式(13)〜式(15)になる。
Figure 2006281262
上記式(13)から、尾端抜け後のランナウトテーブル上にあるストリップには圧縮力が作用していることが判る。
ストリップの軸方向に圧縮力が作用すると座屈が発生するが、ダブり込みはこの座屈現象であると考えることできる。その座屈荷重Fcr(N)は、下記式(16)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、Eはストリップの縦弾性係数(N/m)、Iyはストリップの板幅方向軸回りの断面2次モーメント(m)、Lmaxは対象区間で最も長いテーブルロールピッチ(m)である。
仕上圧延機から第0ピンチロール(ランナウトテーブル)までの区間、第0ピンチロールから第1ピンチロールまでの区間、第1ピンチロールからマンドレルまでの区間で、各々座屈が発生しない条件式(FcrOF、Fcr10、FcrM1は各々の区間での座屈強度(N)を示す)は下記式(17)〜式(19)のようになる。
Figure 2006281262
式(17)の条件式にはピンチロールでの摩擦力が入っていないことから、ピンチロールでの摩擦力ではランナウトテーブルの区間のダブり込みを抑止することが困難であることを意味している。抑止手段としては、ランナウトテーブル区間の座屈荷重を上昇させる、具体的には、テーブルロールピッチの最大値を小さくする等の方策が有効となる。
式(18)の条件式には第0ピンチロールでの摩擦力が入っており、したがって、第0ピンチロールでの摩擦力により第0ピンチロールから第1ピンチロールまでの区間のダブり込みを抑止することが可能となる。式(18)から、ダブり込みを抑止するための第0ピンチロールでの摩擦力の条件式は下記式(20)となる。
Figure 2006281262
第0ピンチロールでの摩擦力は、下記式(21)又は式(22)で表わされる。
Figure 2006281262
Figure 2006281262
ここで、μU0は第0ピンチロールの上ピンチロールとストリップ間の動摩擦係数、μL0は第0ピンチロールの下ピンチロールとストリップ間の動摩擦係数、P0は第0ピンチロールの押力(N)、QU0は第0ピンチロールの上ピンチロールのトルク(Nm)、QL0は第0ピンチロールの下ピンチロールのトルク(Nm)、RU0は第0ピンチロールの上ピンチロール半径(m)、RL0は第0ピンチロールの下ピンチロール半径(m)である。
式(21)又は式(22)を式(20)の条件式に代入すると、ダブり込みを抑止するためのピンチロールの押力又はトルクの下限値を表す条件式である下記式(23)又は式(24)が求まる。すなわち、最上流側のピンチロールの押力又はトルクが式(23)又は式(24)を満足する条件でストリップを巻き取ることにより、ダブリ込みを抑止することができる。
Figure 2006281262
Figure 2006281262
式(19)の条件式には第0ピンチロール、第1ピンチロールでの摩擦力が入っており、第0ピンチロール、第1ピンチロールでの摩擦力により第1ピンチロールからマンドレルまでの区間のダブり込みを抑止することが可能となる。式(19)から、ダブり込みを抑止するための第1ピンチロール、第0ピンチロールでの摩擦力の条件式は下記式(25)となる。
Figure 2006281262
第1ピンチロールからマンドレルまでの区間には、一般にロールが存在しておらず、したがって座屈荷重がほとんど0であると仮定するならば、上記式(25)から下記式(26)が成り立つ。
Figure 2006281262
一般的に、第1ピンチロールからマンドレルまでの区間では、第1ピンチロールにより比較的強い巻取り張力を発生させる必要があるため、上記式(26)の条件は恒常的に満たしていると考えてもよい。
次に、ピンチロールによる摩擦力が強すぎる場合の不安定挙動について考察する。
まず、ピンチロールによりストリップに作用するスラスト方向の力を考慮した蛇行の考察を行なう。最終的には、ピンチロール押力とラグ率(=(板速−ロール周速)/板速)の関係から求められる蛇行発生限界式が求められる。図1にピンチロールより板に作用する力(摩擦力)を示す。
原点におけるストリップの速度ベクトルVs(m/s)は、下記式(27)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、uはx方向の変位(m)、wはy方向の変位(m)、νはストリップ速度(m/s)、δはピンチロール作用点でのストリップ傾き角度(rad)である。定常問題を考えるので、ストリップ定常速度ベクトルVsは、下記式(28)で表わされる。
Figure 2006281262
原点におけるピンチロールの周速度ベクトルVγ(m/s)は、下記式(29)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、νγはピンチロール周速度(m/s)である。
摩擦力の単位方向ベクトルkは、下記式(30)で表わされる。
Figure 2006281262
傾き角度δは小さいと仮定すると、摩擦力の単位方向ベクトルkは、下記式(31)のように近似できる。
Figure 2006281262
ここで、λはラグ率であり、下記式(32)で表わされる。
Figure 2006281262
ストリップに作用する摩擦力ベクトルF(N)は、下記式(33)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、Fはストリップに作用する摩擦力の大きさである。したがって、ピンチロールのx軸方向(張力方向)の力成分Fx(N)は、下記式(34)で表わされる。
Figure 2006281262
また、ピンチロールのy軸方向(スラスト力)の力成分Fy(N)は、下記式(35)で表わされる。
Figure 2006281262
上記式(35)から、スラスト力は張力、傾き角度に比例して大きくなり、ラグ率が小さいほど大きくなることが判る。ラグ率が0(ストリップとピンチロールの速度が一致)の場合、式(35)ではスラスト力が無限大となり、実際とは明らかに異なる。これは、式(35)を導く過程で式(31)のように近似を用いているためであるが、ラグ率を小さくするとスラスト力が大きくなる傾向は正しく、このスラスト力が大きくなる作用が糸巻き効果と呼ばれるものである。
次に、スラスト力を考慮した蛇行発生限界について、ストリップを梁と仮定した場合について理論解析を行なう。
スラスト力は蛇行の発生を促進する力である。当然ではあるが、実際の巻き取り工程では蛇行が常に発生しているわけではなく、多くの場合は発生していない。したがって、蛇行を促進する力がストリップに作用するのと同時に蛇行を抑止する力もストリップに作用している。蛇行を促進する力を蛇行発生の不安定化要因、蛇行を抑止する力を蛇行発生の安定化要因と呼ぶことにする。
安定化要因としては後方張力、板の曲げ剛性等が考えられ、不安定化要因としてはスラスト力、慣性力等が考えられる。不安定化要因が安定化要因に勝るときに蛇行が発生する(発散系)。逆に、安定化要因が不安定化要因に勝るときには蛇行は発生しない(安定系)。以上のような考え方は、理論的にはエネルギー法による安定性判別、さらには数学的には固有値問題に帰着できる。
図2に本問題の解析対象を示す。なお、本問題ではストリップを面内変形梁と仮定する。ストリップ定常状態の運動方程式は、下記式(36)となる。
Figure 2006281262
境界条件は、下記式(37)〜式(41)となる。
x=0で、
Figure 2006281262
x=LPRで、
Figure 2006281262
ここで、Eは縦弾性係数(N/m)、Izは鋼帯の鉛直方向軸回りの断面2次モーメント(m)、wは梁のたわみ量(m)、Fはピンチロール摩擦力の大きさ(N)、ρはストリップ密度(kg/m)、Aはストリップ断面積(m)、νはストリップ速度(m/s)、δはピンチロール作用点でのストリップ傾き角度(rad)、λはラグ率、LPRはピンチロール間の距離(m)である。
蛇行発生限界問題を、式(36)〜式(41)における固有値問題と考える。
式(36)の一般解(下記式(42))
Figure 2006281262
変数α(下記式(43))
Figure 2006281262
を導入すると、式(42)は
Figure 2006281262
境界条件式(40)から、
Figure 2006281262
境界条件式(41)から、
Figure 2006281262
境界条件式(37)から、
Figure 2006281262
境界条件式(38)から、
Figure 2006281262
境界条件式(39)から、
Figure 2006281262
式(45)〜式(49)から、
Figure 2006281262
式(50)において、係数C1、C2、C3、C4、δが零にならないための必要十分条件は、左辺行列の行列式が0である。
Figure 2006281262
したがって、上式を解くと、下記式(52)の特性方程式が得られる。
Figure 2006281262
なお、式(52)ではα=0も分岐を示すが、エネルギー法による解析では、α=0では分岐は発生しない。
さらに、下記式(53)又は(54)を満たす摩擦力F、ラグ率λは蛇行発生限界となる。
Figure 2006281262
Figure 2006281262
計算に用いたパラメータを表1に示す。
Figure 2006281262
図3に式(20)、式(54)から得られた結果を示す。
例えば、ラグ率5%の場合には、摩擦力1800N〜10000N程度までは安定であるが、それ以外では不安定(ダブり込み又は蛇行の発生)となる。また、ラグ率は小さいほど、安定な張力範囲が狭くなることが判る(糸巻き効果)。
図3によれば、式(53)又は式(54)で示される蛇行発生限界曲線は、ほぼ直線状となっている。事実、式(54)から、
Figure 2006281262
となり、ラグ率λと摩擦力Fが比例関係になる。上記式(55)から蛇行を発生させない第0ピンチロールの摩擦力F0の条件式は、下記式(56)で表わされる。
Figure 2006281262
さらに、第0ピンチロールの押力又はトルクの条件式は、下記式(57)又は式(58)で表わされる。すなわち、最上流側ピンチロールの押力又はトルクが式(57)又は式(58)を満足する条件でストリップを巻き取ることにより、蛇行を抑えることができる。
Figure 2006281262
Figure 2006281262
したがって、ストリップをダブり込み及び蛇行を発生させることなく安定に巻き取るための第0ピンチロール(最上流側ピンチロール)の押力又はトルクの条件式は、式(23)、式(24)、式(57)、式(58)から、下記式(59)又は式(60)で表わされる。
Figure 2006281262
Figure 2006281262
第0ピンチロールの押力又はトルクが変動しても、式(59)、式(60)の条件式を満足できるようにするための有効な方法を考えると、第0ピンチロールの押力又はトルクの設定値若しくは制御目標値を式(59)、式(60)の条件式の中央値とすればよい。すなわち、それらの設定値若しくは制御目標値を、下記式(61)又は式(62)を満足するようにする。
Figure 2006281262
Figure 2006281262
ここで、P0Cは第0ピンチロール押力の設定値又は制御目標値(N)、QU0Cは第0ピンチロールの上ピンチロールのトルクの設定値又は制御目標値(Nm)、QL0Cは第0ピンチロールの下ピンチロールのトルクの設定値又は制御目標値(Nm)である。
第0ピンチロールの押力又はトルクの設定値若しくは制御目標値を上記式(61)又は式(62)にしておいても、摩擦係数の経時変化、板厚の不規則変動により実際の押力やトルクは設定値若しくは制御目標値を中心にして変動するため、式(59)又は式(60)を満足する保証がない。式(59)又は式(60)の条件式を満足できるようにするための有効な方法として、押力又はトルク変動(分散、ボラティリティー)を小さくする必要がある。
第0ピンチロールの押力P0は、下記式(63)で表わすことができる。
Figure 2006281262
ここで、Kはピンチロールのミル剛性(N/m)、Δhは板厚の変動成分(m)である。
式(63)から、ピンチロールの押力はミル剛性が高いほど変動しやすくなることが判る。
ピンチロールとストリップ間の動摩擦係数は、下記式(64)、式(65)で表わされる。
Figure 2006281262
ここで、μU0Cは上ピンチロール動摩擦係数の平均値、ΔμU0は上ピンチロール動摩擦係数の変動成分、μL0Cは下ピンチロール動摩擦係数の平均値、ΔμL0は下ピンチロール動摩擦係数の変動成分である。
第0ピンチロールの摩擦力は、式(21)で表されるので、式(21)に式(63)〜式(65)を代入すると、下記式(66)になる。
Figure 2006281262
この式(66)から、下記式(67)が得られる。
Figure 2006281262
ここで、
Figure 2006281262
であり、F0Cは第0ピンチロールの摩擦力の平均値(N)を示している。式(67)の右辺のF0C以外は摩擦力の変動成分である。
Figure 2006281262
ここで、ΔF0は第0ピンチロール摩擦力の変動成分(N)である。摩擦力の変動成分の分散を考えると、下記式(70)となる。
Figure 2006281262
ここで、σ2は分散である。式(70)に式(69)を代入すると、下記式(71)となる。
Figure 2006281262
上記式(71)において、ΔμU0ΔμL0、ΔμU0Δh、ΔμL0Δhを含む項を無視する(異なる変動同士に相関はないと考える)と、下記式(72)になる。
Figure 2006281262
また、摩擦力変動成分の標準偏差は下記式(73)になる。
Figure 2006281262
摩擦力変動成分の確率密度関数が正規分布の場合、標準偏差がわかれば、標準偏差の範囲内に存在する確率が計算できる。例えば、
Figure 2006281262
の条件式を満たす確率は、各々68%、95%、99.7%となる。また、一般的に下記式(74)
Figure 2006281262
とおけば、パラメータβの値により確率がわかる。
その確率は下記式(75)となる。
Figure 2006281262
摩擦力変動成分が、式(72)の条件を満たすためには、下記式(76)を満す必要がある。
Figure 2006281262
式(76)の条件を満たすための確率がΦ(β)であれば、十分に安定に巻き取れる場合には、
Figure 2006281262
の条件を満たすように、摩擦力変動成分を小さくすればよい。式(77)に式(73)を代入すると、下記式(78)となる。
Figure 2006281262
上記式(78)を満たすように第0ピンチロールミル剛性Kを調整すること、すなわち、最上流側ピンチロールとしてミル剛性が上記式(78)を満足するピンチロールを用いることにより、安定な巻取りが可能となる。
本発明の実施の形態で用いた計算のパラメータを表2に示す。ラグ率5%とし、板厚を1.2mm〜3.2mmの間で計算した。
Figure 2006281262
図4に、ストリップの板厚とストリップ−ピンチロール間の摩擦力との関係を示す。点線は式(20)の左辺から得られる摩擦力の下限値、一点鎖線は式(56)の右辺から得られる摩擦力の上限値、実線は式(61)の右辺から得られる摩擦力の設定値又は制御目標値である。図4において、点線と一点鎖線の間の領域が巻き取りが安定な領域であり、一点鎖線より上側の領域では蛇行が発生し、点線より下側の領域ではダブり込みが発生する。図4から、板厚が大きいほど巻取りが安定な領域が広くなる、つまり巻き取りやすくなることが判る。
図5に、ストリップの板厚とピンチロール押力の設定値又は制御目標値との関係を示す。
また、図6に、式(78)から得られるストリップの板厚とピンチロールのミル剛性上限値との関係を示す。図6において、曲線より下側が摩擦力変動が小さく安定に巻取り可能な領域であり、上側が摩擦力変動が大きく安定に巻取りにくい領域である。図6から、ピンチロールのミル剛性値は板厚が小さい場合には低い値にしておく必要があるが、また、板厚が大きい場合には、ミル剛性値が大きくても安定に巻取り可能であることが判る。ピンチロールのミル剛性は変更しにくいものであるので、板厚が小さい場合は、低剛性のピンチロールを使用し、板厚が大きい場合は高剛性のピンチロールを使用するなど、ピンチロールを使い分ける操業方法が考えられる。また、ピンチロールで低剛性/高剛性モードを切り替え可能にしておけば、一つのピンチロールで全ての板厚範囲のストリップを安定に巻取り可能となる。
ピンチロールによりストリップに作用する力を示す説明図 ピンチロールによる蛇行発生の解析対象を示す説明図 安定な巻取りを行える領域を、ストリップ−ピンチロール間の摩擦力とラグ率との関係で示すグラフ ストリップの板厚とストリップ−ピンチロール間の摩擦力との関係を示すグラフ ストリップの板厚とピンチロール押力の設定値又は制御目標値との関係を示すグラフ 式(78)から得られるストリップの板厚とピンチロールのミル剛性上限値との関係を示すグラフ 熱間圧延におけるコイル巻き取り装置を示す説明図

Claims (6)

  1. 熱間仕上げ圧延機で圧延された熱延鋼帯を複数のピンチロールで挟持しつつコイラーに巻き取る際に、最上流側のピンチロールの押力値又はトルク値を所定の範囲内にして熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
  2. 最上流側のピンチロールの押力又はトルクが下記式(1)又は式(1a)を満足する条件で熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
    Figure 2006281262
  3. 最上流側のピンチロールの押力又はトルクが下記式(2)又は式(2a)を満足する条件で熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
    Figure 2006281262
  4. 最上流側のピンチロールの押力又はトルクが下記式(3)又は式(3a)を満足する条件で熱延鋼帯を巻き取ることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
    Figure 2006281262
  5. 最上流側のピンチロールの押力の設定値若しくは制御目標値又はトルクの設定値若しくは制御目標値が、下記式(4)又は式(4a)を満足することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
    Figure 2006281262
  6. 最上流側のピンチロールとして、ミル剛性が下記式(5)を満足するピンチロールを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
    Figure 2006281262
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