JP2005313190A - 圧延機の蛇行抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 冷間圧延において従来用いられていた方法を採用せずに、蛇行を抑制することのできる圧延機の蛇行抑制方法を提供する。
【解決手段】 圧延機の荷重偏差変動量ΔPDFの値に応じて、圧延機のワークサイドの開度制御量ΔGWとドライブサイドの開度制御量ΔGDにそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差ΔGDFを与えることにより圧延材の蛇行を抑制する圧延機の蛇行抑制方法において、開度制御量偏差ΔGDFを定めるための制御系に位相進み補償を付加し、位相進み補償の時定数Tは圧延速度Vが遅くなるほど大きな値とする。また、圧延板の幅Wと圧延板の塑性係数Qに応じて制御ゲインを変更し、圧延板の幅Wが狭いほど制御ゲインを大きくし、圧延板の塑性係数Qが小さいほど制御ゲインを大きくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属板の圧延、特に金属帯の圧延で圧延機入側における圧延板にかかる張力(ミル後方張力)が失われた状態で圧延を行う際の圧延板の蛇行を抑制するための方法に関するものである。
金属板の圧延中の圧延板の幅中心が圧延機の幅中心からずれて蛇行を開始すると、そこから後方の蛇行量は時間とともに増大することが知られている。板が曲がった方向のミル伸びが増大してロール間隔に左右偏差が生じ、さらに圧延板の曲がりを助長して蛇行量が増大するものである。
金属帯の圧延においてミル後方張力が失われた状態で金属帯を圧延すると、圧延中に金属帯が蛇行しやすくなる。特に金属帯の板厚が薄くなるほど、蛇行が顕著に現ることが知られいてる。蛇行が大きくなると圧延板の幅端部が周辺の機械に接触し、この結果圧延板が折れたり、また金属帯の幅方向の伸び率が不均一になる結果、金属帯が絞り込み、結果として金属帯が破断したり、圧延ロールに疵が発生する問題があった。
圧延機の荷重偏差(圧延機のワークサイド荷重とドライブサイド荷重の偏差)により発生するミル伸びに起因するロールギャップの左右偏差を打ち消すように、圧延機の左右開度制御量に偏差を与えて蛇行を抑制する方法が知られている。
非特許文献1には、荷重偏差を圧延機の平行剛性係数で除して制御定数をかけ、さらに微分による位相進め回路(T.s)を加えたものを開度制御量に付加することによって開度偏差を補償しようとする蛇行制御方法が記載されている。同文献の図7によると、制御定数の適正範囲は1を超え1.8までの範囲であり、KiTの好適範囲は1.0から2.5の範囲内にある。ここでKiは油圧圧下装置の速度ゲインである。非特許文献1に記載の方法は、熱間ストリップ圧延において適用されているとしている。
特許文献1には、熱延工場仕上げミルにおける板の尾端部通過性向上を課題とし、少なくとも左右の圧延荷重の差及びロールギャップ差から板の蛇行量を推定し、スライディングモード制御により、適切な左右ロールギャップ量を計算し、ロールギャップ量を修正することを特徴とする圧延機における板の蛇行抑制方法が記載されている。
熱間圧延については上記のように蛇行制御方法が提案されているが、冷間圧延についてはこれら蛇行制御方法を用いても良好な蛇行制御が実現できないという問題があった。そのため、冷間圧延においては非特許文献1や特許文献1に記載の制御方法は用いられず、払い出しリールからストリップ尾端が抜けたり、または前スタンドから抜けてミル後方張力が失われた際に、以下のような蛇行抑制方法が用いられている。
その第1は、ミル後方のストリップを上下から機械的に挟み、これによって生じる摩擦力によって後方張力を確保する方法である。摩擦発生時にストリップに疵をつけないよう、ストリップを上下から挟むパッドとして、木製のパッドが用いられる。
その第2は、熟練した技能者がストリップの挙動を目視して、手動により圧下のレベリング操作を行う方法である。ストリップの板厚が比較的厚い場合にのみ適用できる。
その第3は、ミル後方張力が失われる直前に一旦圧延機を停止し、圧延機の圧下を開放した後に、圧延機の入側に残ったストリップを圧延しないで圧延機を通過させ、そのまま出側の巻き取り機で巻き取る方法である。
その第4は、ミル後方張力が失われる直前に一旦圧延機を停止し、圧延機の圧下を開放した後に、出側の巻き取り機の前に設置した切断機でストリップを切断し、圧延機の入側に残ったストリップを払い出しリール側に巻き戻す方法である。
特開2003−275812号公報 「ストリップ圧延における蛇行制御」日立評論、VOL.85,No.2(1983−2)、第25頁〜第30頁
冷間圧延においては、上述の通り、非特許文献1や特許文献1に記載された蛇行制御方法を採用することができない。ここにおいて、ストリップの上下を木製のパッドで挟み込む前記第1の方法では、摩耗によりゴミが発生して、これがストリップの表面に疵をつけるという問題があった。特にアルミニウム板を冷間圧延するに際してストリップの上下を木製のパッドで挟み込む方法を採用すると、アルミニウム板の表面は軟らかいので、木製のパッドから生じたゴミによってアルミニウム板の表面に疵が付きやすく、この方法を採用することが困難である。また圧延機の圧下を開放して尾端を出側リールに巻き取る前記第3の方法や、圧延機の出側でストリップを切断して入側に残ったストリップを払い出しリールに巻き戻す前記第4の方法は、作業能力を著しく低下させるなどの問題があった。さらに前記第2の方法は、熟練した技能者にのみ可能であり、それも板厚が薄い場合には適用することができない。
熱間圧延で前記非特許文献1や特許文献1に記載された蛇行制御方法を採用する場合においても、特定の板幅や板厚、材質の圧延板において蛇行を抑制するように制御パラメータを設定しても、板幅や板厚、材質が変化した場合、同じ制御パラメータでは蛇行が抑制できなくなるという問題があった。
本発明は、冷間圧延において従来用いられていた方法を採用せずに、蛇行を抑制することのできる圧延機の蛇行抑制方法を提供することを第1の目的とする。本発明はまた、熱間圧延を含め、圧延条件が変化したときでも制御パラメータを再設定することを不要とする圧延機の蛇行抑制方法を提供することを第2の目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)圧延機の荷重偏差変動量の値に応じて、圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差を与えることにより圧延材の蛇行を抑制する圧延機の蛇行抑制方法において、開度制御量偏差を定めるための制御系に位相進み補償を付加し、圧延速度が2000mm/秒以下において位相進み補償の時定数が0.15秒以上であることを特徴とする圧延機の蛇行抑制方法。
なお、荷重偏差変動量とは荷重偏差と荷重偏差目標値との差を言い、荷重偏差とは圧延機のワークサイド荷重とドライブサイド荷重の偏差をいう。
(2)位相進み補償の時定数(秒)を300/圧延速度(mm/秒)以上とすることを特徴とする上記(1)に記載の圧延機の蛇行抑制方法。
(3)圧延機の荷重偏差変動量の値に応じて、圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差を与えることにより圧延材の蛇行を抑制する圧延機の蛇行抑制方法において、圧延板の幅と圧延板の塑性係数に応じて制御ゲインを変更し、圧延板の幅が狭いほど制御ゲインを大きくし、圧延板の塑性係数が小さいほど制御ゲインを大きくすることを特徴とする圧延機の蛇行抑制方法。
(4)制御系の伝達関数を下記(1)式で表し、圧延機の平行剛性係数Kを下記(2)式で表したとき、制御定数αを下記(3)式の範囲内とし、βを下記(4)式の範囲内とすることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の圧延機の蛇行抑制方法。
ΔGDF=−α×(1/K)×(1+Ts)/(1+(T/β)s))×ΔPDF (1)
K=MW/2L (2)
1<α≦(M+Q)/(Qβ) (3)
1<β<((M+Q)/Q) (4)
ただし、ΔGDF:開度制御量偏差、ΔPDF:荷重偏差変動量、PDF:荷重偏差、PDFo:荷重偏差目標値、α:制御定数、K:平行剛性係数、M:圧延機のミル剛性、Q:圧延板の塑性係数、T:位相進み補償の時定数、W:圧延板の幅、L:ワークサイドとドライブサイドの圧下中心間の距離であり,ΔPDFを下記(5)式で定める。
ΔPDF=PDF−PDFo (5)
(5)PDFoとして、当該圧延機スタンドのミル後方張力が失われる直前又は直後におけるPDFを用いることを特徴とする上記(4)に記載の圧延機の蛇行抑制方法。
本発明は、圧延機の荷重偏差変動量の値に応じて、圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差を与えることにより圧延材の蛇行を抑制する圧延機の蛇行抑制方法において、開度制御量偏差を定めるための制御系に位相進み補償を付加し、位相進み補償の時定数は圧延速度が遅くなるほど大きな値とすることにより、冷間圧延においても、特にミル後方張力が失われた状態で圧延を行う際の圧延板の蛇行を抑制するすることができる。
本発明はまた、上記と同じ圧延機の蛇行抑制方法において、圧延板の幅と圧延板の塑性係数に応じて制御ゲインを変更し、圧延板の幅が狭いほど制御ゲインを大きくし、圧延板の塑性係数が小さいほど制御ゲインを大きくすることにより、圧延条件が変化したときでも制御パラメータを再設定することなく圧延板の蛇行を抑制するすることができる。
圧延機の荷重偏差PDFを計測し、荷重偏差PDFの値に応じて開度制御量に偏差ΔGDFを与えて圧延材の蛇行を抑制する圧延機の自動蛇行抑制方法の基本は、非特許文献1に記載の通り、以下のような式によって表現される。圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差ΔGDFを与えることにより圧延材の蛇行を抑制する。
ΔGDF=−α×(1/K)×ΔPDF (6)
ここで、ΔGDF:開度制御量偏差、ΔPDF:荷重偏差変動量、PDF:荷重偏差、PDFo:荷重偏差目標値、α:制御定数、K:平行剛性係数、であり,ΔPDFを下記(5)式で定める。荷重偏差PDFとは圧延機のワークサイド荷重とドライブサイド荷重の偏差を言う。
ΔPDF=PDF−PDFo (5)
なお、圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差ΔGDFを与えるに際し、ワークサイドとドライブサイドのうち荷重が大きい方の側の開度を狭め、荷重の小さい方の側の開度を広めるように、同じ量の開度制御量偏差ΔGDFを逆方向に与える。
非特許文献1に記載のものは、上記(6)式にさらに微分による位相進め回路(T.s)を加えたものを開度制御量に付加することによって開度偏差を補償している。同文献の図7によると、制御定数の適正範囲は1を超え1.8までの範囲であり、KiTの好適範囲は1.0から2.5の範囲内にある。ここでKiは油圧圧下装置の速度ゲインであり、油圧圧下制御装置ではKiが20から50(1/秒)である。これにKiTの好適範囲を考慮すると、非特許文献1に記載の位相進め回路における時定数Tは、0.03〜0.12秒の範囲が好適であるということができる。
以上のような蛇行制御方法は、熱間圧延、例えば鋼の熱間圧延においては蛇行を抑制する機能を実現することができた。ところが、冷間圧延においては、上記非特許文献1に記載の蛇行制御方法、さらには特許文献1に記載の蛇行制御方法を用いても蛇行を有効に抑制することができなかった。その理由の第1は、熱間圧延に比較して冷間圧延は圧延板の板厚が薄く、そのために蛇行の抑制が困難であることによる。さらに、冷間圧延の特徴として、金属帯の圧延終了時に払い出しリールからストリップ尾端が抜けたり、または前スタンドから抜けてミル後方張力が失われた際における圧延速度が、2000mm/秒以下の低速であることが挙げられる。一方、鋼板の熱間圧延では、上記のような圧延終了時の圧延速度が数千mm/秒以上の速度であり、この点で熱間圧延と冷間圧延とは相違する。
本発明者らの検討の結果、圧延速度が2000mm/秒以下となる低速圧延においては、従来の蛇行制御方法では制御の応答性や安定性が十分に得られず、結果として冷間圧延における自動蛇行制御が十分に機能しないことが明らかになった。そして、開度制御量偏差を定めるための制御系に位相進み補償を付加し、位相進み補償の時定数として十分に大きな値を採用することによって、低速圧延においても十分な応答性と安定性を有する蛇行制御が可能になることを見いだした。具体的には、圧延速度が2000mm/秒以下の低速圧延において効果を発揮し、そのような低速圧延領域において位相進み補償の時定数が0.15秒以上(より好ましくは0.24秒以上)であることを特徴とする。圧延速度が遅くなるほど、位相進み補償の適正な時定数はより大きな値となる。
位相進み補償要素の伝達関数は、
G(s)=(1+Ts)/(1+(T/β)s) (7)
として表すことができる。ここでβ>1のときに位相進み補償となる。角周波数ωm=√β/Tにおいて位相進みが最大となり、このときの位相進み量はβが大きいほど大きくなる。角周波数β/T以上でゲインはβ倍に漸近し、角周波数1/T以下でゲインは1倍に漸近する。
本発明においては、位相進み補償の時定数T(秒)を300/圧延速度(mm/秒)以上とすると好ましい。時定数Tが小さすぎると、蛇行制御系が比較的大きな行き過ぎを伴った振動型応答を示すという問題が生じることがあるが、時定数T(秒)を300/圧延速度(mm/秒)以上とすることにより、このような問題を発生させることなく、たとえ圧延速度が250mm/秒程度の低速の場合でも蛇行を十分に抑制することが可能となる。時定数T(秒)を480/圧延速度(mm/秒)以上とするとより好ましい。
一方、時定数Tが過度に大きすぎると、時定数Tが小さすぎる場合と同様な問題が生じることがある。時定数Tを700/圧延速度(mm/秒)以下とすれば、このような問題が生じることなく十分に蛇行を抑制することができる。
位相進み補償の上記(7)式におけるβの値は、位相進み補償とするために1<βとする。通常の位相進み補償においては、βの値として10〜20の大きな値が用いられることが多いが、蛇行制御に用いる本発明の位相進み補償においては、βの値として大きな値は採用せず、せいぜいβ≦2程度の範囲とする。より好適には、後述するように、圧延板の塑性係数の値に応じてβの最適範囲が定まる。
位相進み補償を加えた本発明の制御系の伝達関数は、下記(1)式のように表現することができる。
ΔGDF=−α×(1/K)×(1+Ts)/(1+(T/β)s))×ΔPDF (1)
ただし、ΔGDF:開度制御量偏差、ΔPDF:荷重偏差変動量、PDF:荷重偏差、PDFo:荷重偏差目標値、α:制御定数、K:平行剛性係数、T:位相進み補償の時定数であり,ΔPDFを下記(5)式で定める。
ΔPDF=PDF−PDFo (5)
上記(5)式において、PDFoは荷重偏差目標値であり、PDFoとして、当該圧延機スタンドのミル後方張力が失われる直前又は直後におけるPDFを用いる。これにより、ミル後方張力が失われる前の圧延制御との連続性を保持しつつ、蛇行制御を行うことが可能になる。
熱間圧延で前記非特許文献1や特許文献1に記載された蛇行制御方法を採用する場合において、あるいは熱間圧延・冷間圧延で本発明の位相進み補償を加えた制御を行う場合においても、特定の板幅や板厚、材質の圧延板において蛇行を抑制するように制御パラメータを設定しても、板幅や板厚、材質が変化すると、同じ制御パラメータでは蛇行がうまく抑制できなくなることがある。
本発明者らが、板幅や板厚、材質などの圧延パラメータが変化したときの蛇行制御への影響について詳細に調査した結果、圧延板の幅と圧延板の塑性係数に応じて制御ゲインを変更することにより、広い範囲において上記各圧延パラメータが変化しても圧延板の蛇行をうまく制御できることを見いだした。即ち、圧延板の幅が狭いほど制御ゲインを大きくし、圧延板の塑性係数が小さいほど制御ゲインを大きくすることにより、各圧延パラメータの広い範囲で蛇行制御を良好に行うことができる。
まず圧延板の板幅が蛇行制御に与える影響とその対策について説明する。
本発明の蛇行制御においては、圧延機の荷重偏差変動量の値に応じて、圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差を与える。開度制御量偏差ΔGDFは、圧延機の左右圧下中心位置における開度の偏差を表している。このとき、ワークサイドとドライブサイドの圧下中心間の距離をLとし、圧延板の幅をWとすると、圧延板の幅両端間のロール開度量偏差は、ΔGDF×W/Lとなる。即ち、同じ開度制御量偏差ΔGDFを与えた場合において、圧延板の幅が狭いほど、圧延板の幅両端間のロール開度量偏差、即ち圧延量の偏差が小さくなることとなる。一方、圧延板の蛇行制御のためにロール開度偏差を与えるに際しては、圧延板の幅の広い狭いにかかわらず、幅両端間の圧延量偏差を所定の値以上に加えることが必要である。従って、圧延板の幅が狭いときは、圧延板の幅が広いときに比較して制御のゲイン最適値がより大きい値となっているのである。
本発明においては、上記(1)式の平行剛性係数Kとして下記(2)式
K=MW/2L (2)
を用いることにより、圧延板の幅が狭いほど制御ゲインを大きくすることができ、圧延材の板幅の広狭にかかわらず良好な蛇行制御を行うことが可能となる。
なお、制御系に板幅の影響を織り込む手段としては、上記(2)式に限定されることはない。例えば、平行剛性係数Kを(W/L)2に比例する関係式としても良い。
次に、圧延板の材質、板厚(圧下量)が蛇行制御に与える影響とその対策について説明する。
圧延材に同じ圧下量を加える場合について、材質が軟質の場合と硬質の場合を比較すると、軟質の場合には硬質の場合に比較して小さな圧延荷重で圧延を行うことができる。同様に、圧下量が小さい場合と大きい場合を比較すると、小さい場合には大きい場合に比較して小さな圧延荷重で圧延を行うことができる。このことは一方、圧延板の蛇行が発生したときに発生する荷重偏差が、軟質の場合あるいは圧下量が小さい場合の荷重偏差は硬質の場合あるいは圧下量が大きい場合の荷重偏差よりも小さくなることを示唆している。このことから、上記(1)式を用いて蛇行制御を行うに際し、圧延板の材質が軟質の場合には、硬質の場合よりも制御のゲインの適正値が大きい値にあることがわかった。板厚(圧下量)の影響も同様である。圧延材の材質や板厚(圧下量)が圧延荷重に及ぼす影響は、圧延材の塑性係数Qで表すことができる。即ち、本発明の圧延機の蛇行抑制方法において、圧延板の塑性係数に応じて制御ゲインを変更し、圧延板の塑性係数が小さいほど制御ゲインを大きくすることによって最適な蛇行制御を実現することができる。
本発明においては、制御の伝達関数のゲインGを、下記(9)式の範囲内で圧延材の塑性係数の大きさによって調整すると好ましい結果を得ることができる。
G≦((M+Q)/Q)×(2L/MW) (9)
上記(1)式において、Kの値を上記(2)式で表したときについて考える。位相進み補償のゲイン(上記(7)式)の最大値は、角周波数β/T以上でゲインはβ倍に漸近する。従って、(9)式に(1)式、(2)式の関係を考慮すると、下記式を得ることができる。
α≦(M+Q)/(Qβ)
この式から、下記(3)式の右側の不等式が導かれる。なお、(3)式の左側の不等式は、蛇行制御の制御量を不足させないために必要とする条件である。
1<α≦(M+Q)/(Qβ) (3)
(1)式のαが(3)式の右側の不等式の範囲を超えると、蛇行制御の安定条件が崩れ、制御が発散することがある。一方、αの値が(3)式の右辺の不等式を超えない範囲でできるだけ大きな値とすることにより、より良好な蛇行制御を行うことができる。特に塑性係数Qの値が小さいアルミニウム板の圧延においては、αの値を(3)式の右側の不等式が超えない範囲で大きな値を採用したときにはじめて、蛇行の発生を防止して良好な制御を行うことが可能になる。即ち、αの値としては、(3)式の範囲内でできるだけ大きな値とすると好ましい。
実際の制御においては、下記(10a)式または(10b)式のように定数γを導入し、
α=((M+Q)/(Qβ))×γ (10a)
α=((M+Q)/(Qβ)−1)×γ+1 (10b)
定数γをできるだけ1に近い値とすることにより、圧延板の材質の変動にかかわらず常に良好な蛇行制御を行うことが可能になる。
以上のように制御定数αの値を圧延板の塑性係数によって変動させる場合においては、βの値も圧延板の塑性係数によって変化させることが好適である。
第1に、塑性係数Qの値がミル常数Mに比較して大きな値となる場合には、上記(1)式において(M+Q)/Qが1に近い数字となるので、βの値を大きくしすぎるとαが(3)式の左側の不等式を満足しなくなる。即ち、βの上限は下記(11)式によって定められることとなる。
β<((M+Q)/Q) (11)
この式から、下記(4)式の右側の不等式が導かれる。なお、(4)式の左側の不等式は、位相進み補償を行う上での必須条件である。
1<β<((M+Q)/Q) (4)
ところで、圧延板の蛇行が発生する原因の一つに、圧延前の圧延板の板厚に幅方向偏差(ウェッジ)が存在する場合がある。蛇行制御を行うに際しては、ウェッジに起因する蛇行もその発生を抑制できることが重要である。
βの大きさとの関係で見ると、βを極力大きくして(4)式の上限に近い値を採用した場合、制御の安定性を得る上では好適であるが、一方でβの値を大きくしすぎるとウェッジによって生じる蛇行量が大きくなるという傾向が見られる。そこで、ウェッジによる蛇行量を可能な限り小さくし、かつ安定した制御が実現できるβの範囲を圧延実験によって追求した結果、下記(12)式の範囲内で極力大きなβを採用したときに最も好適な結果を得ることができることがわかった。
β<√((M+Q)/Q) (12)
例えば、ミル常数M=440トン/mmの場合について考える。塑性係数Q=1000トン/mmの硬質材においては、(12)式からβ<1.2となり、β=1.2程度の値を選択することが必要となる。一方、塑性係数Q=100トン/mmの軟質材においては、(12)式からβ<2.3となる。従って、(12)式を満たす範囲で十分に大きなβの値を選択することが可能である。
塑性係数Qについては、予め各材質・板厚(圧下量)毎に、塑性係数Qを定めておくことができる。あるいは、圧延中に圧延荷重実績値と圧下量とに基づいて、その都度塑性係数Qを算出して用いることとしても良い。
なお、本発明は(1)式において、制御のゲインをαの項、1/Kの項、位相進め補償の項に分類し、Kを平行剛性係数と称している。しかし、平行剛性係数という名称にとらわれる必要は必ずしもなく、所定のKの値を定めたときに、トータルゲインが(9)式を満足するようにαの範囲を定めておきさえすればよい。例えば、上記(3)式の導出にあたっては、平行剛性係数Kが(2)式によって与えられるとした。一方、平行剛性係数Kは(2)式の形に限定されることなく、例えばKを(W/L)2に比例する関数として与えることもできる。さらには、K=QM/[6(L/W)2M+2Q]のような関数として定めても良い。Kの関数形をいずれの形とした場合においても、制御の伝達関数のゲインが上記(9)式を満たすように、αの好適範囲を定めればよい。
ここで図1に基づいて、本発明の圧延機の蛇行制御を行うに際しての好ましい実施の形態について説明する。
圧延機は下ワークロール3、上ワークロール4、下バックアップロール6、上バックアップロール7を有し、圧延板5を圧延している。ワークサイドの荷重計8によってワークサイド荷重PWを、ドライブサイドの荷重計9によってドライブサイド荷重PDを計測する。制御装置10からの指令により、ワークサイドの圧下位置制御装置1とドライブサイドの圧下位置制御装置2を用いて圧下量の制御を行う。
圧延機のワークサイド荷重PW、ドライブサイド荷重PD、圧延速度V、圧延板のサイズ(幅W、圧延前板厚H、圧延後板厚h)が制御装置10に入力される。制御装置10ではまず、圧延荷重PをP=PW+PDとして算出し、荷重偏差PDFをPDF=PW−PDとして算出する。
制御装置10の圧延パラメータ算出手段11では、後方張力が失われる前の圧延中において、圧延荷重Pと圧下量(H−h)に基づき、予め圧延材の材質毎に定められた推定式を用いて圧延板の塑性係数Qを算出する。また、蛇行制御に必要なβ、T、γなどの係数を、本発明の範囲内において、予め定めた算出式に基づいて算出する。さらに、PDFoとして、当該圧延機スタンドのミル後方張力が失われる直前又は直後におけるPDFを用いて定めておく。
後方張力が失われると同時に本発明の蛇行制御を開始する。
蛇行制御中においては、開度制御量偏差算出手段12において、(5)式に基づいて荷重偏差変動量ΔPDFを算出し、(1)式に基づいて開度制御量偏差ΔGDFを算出する。次いで、算出した開度制御量偏差ΔGDFに基づき、ワークサイドの圧下位置制御装置1にΔGDFを付加し、ドライブサイドの圧下位置制御装置2に−ΔGDFを付加する。
圧延板が圧延機を通り過ぎるまでこの制御を継続することにより、蛇行の発生しない良好な圧延を行うことができる。
以上の本発明の説明においては、発明の技術思想を実験結果によって裏付け、そこから導き出される好適な発明の範囲について説明を行った。一方、圧延中の圧延板の蛇行発生メカニズムを、純粋に理論的なモデルで表現し、そのモデルから得られる好適な範囲として、以下に示すように本発明を説明することも可能である。
本発明者らは、後方張力が無い状態で圧延中のストリップの蛇行メカニズムを表す線形近似モデルを作成した。このモデルにおいては、ミル入り側のストリップのワークサイドとドライブサイドの板厚の差(ΔH)及び、レベリング圧下量ΔGによって得られる圧延板位置でのレベリング圧下量(Δg)を加えた時の蛇行量(ΔC)を表すものである。
ΔC=X1/X2 (25)
1=WV×[MΔg−{Q(H−h)+Mh}ΔH/H]
2=HW(M+Q)S−4QV(H−h)
(25)式において
H:ミル入り側板厚、h:ミル出側板厚、V:ミルのワークロール周速、ΔH:ミル入り側のストリップのワークサイドとドライブサイドの板厚の差でウエッジと呼ばれる。Δg:レベリング圧下量ΔGによって得られる圧延板位置でのレベリング圧下量である。本発明においては、Δg=ΔGW/2Lと表している。
(25)式の分母は特性方程式と呼ばれ下記(26)式となる。
HW(M+Q)S−4QV(H−h)=0 (26)
(26)式に示す特性方程式から分かることは、(25)式で表される後方張力が無い状態で圧延中のストリップの蛇行特性は連鎖反応系を形成しており、一旦ΔHなどの外乱れが加わると連鎖反応的に蛇行が進行することを表している。
また、同式はΔHなど、蛇行を引起こす外乱が加えられた場合でも、これを打ち消すように、レベリング圧下を行い
MΔg−{Q(H−h)+Mh}ΔH/H=0
になるようなΔgを加え、且つこれを安定な状態に維持できるなら、蛇行を抑制できることを示唆している。
下記(27)式は、(25)式に示す蛇行メカニズムを表す線形近似モデルに(1)式で示した考え方に基づく蛇行制御を適用した場合の蛇行量(ΔC)を表すものである。ただし、(27)式では圧下制御装置の応答は十分速いものとして、これを無視している。また、(1)式のαには(10a)式を、Kには(2)式を代入して用いている。
ΔC=Y1/Y2 (27)
1=WVM(β+TS)Δg−WV[〔(H−h){(M+Q)γ−βQ}+βMh〕+〔(H−h){(M+Q)γ−Q}+Mh〕TS]ΔH/H
2=HW(M+Q)(1−γ)TS+HW(M+Q)(β−γ)S+4V(H−h){(M+Q)γ−Q}TS+4V(H−h){(M+Q)γ−βQ}
(27)式における特性方程式は(28)式となる。
HW(M+Q)(1−γ)TS+HW(M+Q)(β−γ)S+4V(H−h){(M+Q)γ−Q}TS+4V(H−h){(M+Q)γ−βQ}=0 (28)
(28)式において
HW(M+Q)(1−γ)T= a (29)
HW(M+Q)(β−γ) = a (30)
4V(H−h){(M+Q)γ−Q}T= a (31)
4V(H−h){(M+Q)γ−βQ}= a (32)
とすると特性方程式(28)式は(33)式で表すことができる。
aS + aS + aS + a=0 (33)
フルビッツの安定判別条件より(33)式が不安定な振動や連鎖反応を起こすこと無く、安定であるための条件は、下記三つの条件を全て満足する必要がある。
<条件1> a、a、a、a の全てが存在すること
<条件2> a、a、a、a の正負の符号が全て同じであること
<条件3> a×a > a×a であること
(30)〜(33)式から、上記の条件を全て満足するγ、βを求めると
Qβ/(M+Q) < γ < 1 (34)
1 < β <(M+Q)γ/Q (35)
上記(34)式に(10a)式を適用して変形すると、前記(3)式を導き出すことができる。また、上記(35)式は前記(4)式のになっていることがわかる。
次に、位相進み補償が必要な理由とTの決め方について述べる。
(27)式に示す蛇行制御の特性を安定なものにするには、ビシュネグラッツキーの研究に紹介されている以下に示すTを選ぶ必要がある。
ビシュネグラッツキーの研究によると、(29)〜(32)式の示したa、a、a、aを用いた(37)、(38)式に示す一般化したパラメーターA、Bを導入すると
A=a/[3√(a ×a)] (37)
B=a/[3√(a×a )] (38)
となる。
(7)式が安定であるための限界は下記(39)式を満足することが必要である。
A×B>1.0 (39)
また、(7)式が安定でかつ、過大な行き過ぎが起こらないための条件は
A≦B (40)
となるようにすることが理想とされている。
一方、(37)、(38)式に(29)〜(32)式を代入すると、下記(41)、(42)式が導かれる。
A=[H1/3B2/3(M+Q)1/3(β−γ)]/[42/3(H−h)1/3{(M+Q)γ−βQ}1/3(1−γ)2/3V2/3T2/3] (41)
B=[42/3(H−h)1/3{(M+Q)γ−Q}V2/3T2/3]/[H1/3B2/3(M+Q)1/3{(M+Q)γ−βQ}2/3(1−γ)1/3] (42)
(41)、(42)式が示すように、A、Bの値は多くの要因によって決まる。従がって、位相進み時定数Tは(41)、(42)式によって、A、Bの値が(40)式に示す理想的な値に近付くように決めることが可能である。
A、Bの値を決める要因のなかでも、とりわけ影響が大きい要因は圧延速度Vである。(40)〜(42)式に基づき、TをVで表すように変形したところ、下記(43)式を導くことができた。
T≧η/V (43a)
η=[H1/2B(M+Q)1/2(β−γ)3/4{(M+Q)γ−βQ}1/4]/[4(1−γ)1/4(H−h)1/2{(M+Q)γ−Q}3/4] (43b)
γの値として1に近い数値を用い、上記(43b)式によってη(mm)を計算すると、ηは400〜700mmの数値になることがわかった。即ち、「位相進み補償の時定数(秒)を300/圧延速度(mm/秒)以上とする」という本発明にほぼ近似する解が得られることがわかる。
以上説明したように、蛇行制御のための制御系に位相進み補償を導入し、位相進み補償の時定数として本発明が明らかにした妥当な数値を用いることにより、蛇行制御の特性を安定化することができる点が理論式からも明らかとなった。
原板板厚1.6mm、仕上板厚0.8mm、板幅915mmのアルミニウム帯板を、2スタンドタンデム圧延機によって冷間圧延するに際し、ミル後方張力が失われた状態で圧延を行う際の圧延板の蛇行を抑制するための方法として本発明を適用した。圧延機のミル剛性Mは440トン/mm、ワークサイドとドライブサイドの圧下中心間の距離Lは2520mmである。1号スタンド、2号スタンド共に(1)式、(2)式、(10a)式に基づく蛇行制御によってミル後方張力が失われた状態で圧延を行った。位相進み補償の時定数Tは1号スタンドで0.96秒、2号スタンドで0.72秒とした。圧延板の塑性係数QはBland & Fordの式(J. Iron & Steel Inst. (1951))を参考にして求めた。本実施例では1号スタンドでQ=196トン/mm、2号スタンドでQ=261トン/mmであった。また、(10a)式のγは1号スタンド、2号スタンドともに0.9、βは1号スタンドで1.7、2号スタンドで1.5とした。
蛇行制御中におけるΔPDFとΔGDFの実績を図2に示す。ミル後方張力が失われた状態での圧延速度は、1号スタンド30mpm、2号スタンド40mpmである。なおこの時の蛇行量ΔCは実測できなかったが、圧延後にリールに巻き取った時の巻きズレ量はコイル最尾端部でドライブサイドに20mmである事を確認した。即ち、本発明の蛇行制御を適用することにより、アルミニウム帯板の冷間圧延において、ミル後方張力が失われた状態であっても蛇行を発生させることなく、自動的に圧延を行うことができた。
アルミニウム板の冷間圧延において、圧延終了時のミル後方張力が失われた状態で圧延を行う際の圧延板の蛇行を抑制するために、本発明を適用した。
圧延機は、ワークサイドとドライブサイドの圧下中心間の距離Lが2520mm、ミル剛性Mが440トン/mmである。ミル後方張力が失われた後の圧延速度は750mm/秒で一定とした。
蛇行制御に際しては、(1)式を基本とし、(1)式のKとして(2)式を用い、(1)式のαとして(10a)式を用いた。
(10a)式において、γ=0.9一定とした。また、圧延板の塑性係数Q(トン/mm)については、圧延荷重P(左右の荷重の合計)(トン)と圧下量(H−h)とに基づいて、実施例1と同様Bland & Fordの式を参考に算出した。
制御実施時の圧延速度が750mm/秒に一定と定まっているので、位相進め補償の時定数Tについては、T=480/750=0.64とした。βはβ=√[(M+Q)γ/Q]に従って定めた。
表1に示すように、品種としてA〜Hの品種を用い、圧延前板厚、圧延後板厚、幅を各種値として圧延を行った。圧延時の圧延荷重、算出したQの値、(M+Q)/Q、算出したβの値、算出したTの値は表1に示すとおりである。以上に基づいて(10a)式によって求めたαを「計算α」として表1に示した。
一方、各品種、各板厚と圧下量、各板幅毎に、過去の蛇行発生実績経験に基づき、蛇行が発生しない正常な圧延を行うことのできる圧延条件が経験的に求められている。(1)式と(2)式を用いた制御において、最適なαの値が表1に示す「経験α」として蓄積されている。
表1の「計算α」と「経験α」を対比すると、両者はいずれの品種、いずれの圧延条件においても非常に良好な一致を示していることが明らかである。即ち、本発明を用いることにより、各種の品種、板厚(圧下量)、板幅の圧延を行うに際し、常に最適な制御パラメータを算出することができ、蛇行の発生しない良好な圧延を行えることが明らかになった。
Figure 2005313190
本発明の圧延機の蛇行抑制方法を示す概念図である。 本発明の蛇行制御を行った際における荷重偏差変動量ΔPDFと開度制御量偏差ΔGDFの時間推移を示す図である。
符号の説明
1 ワークサイドの圧下位置制御装置
2 ドライブサイドの圧下位置制御装置
3 下ワークロール
4 上ワークロール
5 圧延板
6 下バックアップロール
7 上バックアップロール
8 ワークサイドの荷重計
9 ドライブサイドの荷重計
10 制御装置
11 圧延パラメータ算出手段
12 開度制御量偏差算出手段

Claims (5)

  1. 圧延機の荷重偏差変動量の値に応じて、圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差を与えることにより圧延材の蛇行を抑制する圧延機の蛇行抑制方法において、開度制御量偏差を定めるための制御系に位相進み補償を付加し、圧延速度が2000mm/秒以下において位相進み補償の時定数が0.15秒以上であることを特徴とする圧延機の蛇行抑制方法。
    なお、荷重偏差変動量とは荷重偏差と荷重偏差目標値との差を言い、荷重偏差とは圧延機のワークサイド荷重とドライブサイド荷重の偏差をいう。
  2. 位相進み補償の時定数(秒)を300/圧延速度(mm/秒)以上とすることを特徴とする請求項1に記載の圧延機の蛇行抑制方法。
  3. 圧延機の荷重偏差変動量の値に応じて、圧延機のワークサイドの開度制御量とドライブサイドの開度制御量にそれぞれ逆方向に同じ量の開度制御量偏差を与えることにより圧延材の蛇行を抑制する圧延機の蛇行抑制方法において、圧延板の幅と圧延板の塑性係数に応じて制御ゲインを変更し、圧延板の幅が狭いほど制御ゲインを大きくし、圧延板の塑性係数が小さいほど制御ゲインを大きくすることを特徴とする圧延機の蛇行抑制方法。
  4. 制御系の伝達関数を下記(1)式で表し、圧延機の平行剛性係数Kを下記(2)式で表したとき、制御定数αを下記(3)式の範囲内とし、βを下記(4)式の範囲内とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧延機の蛇行抑制方法。
    ΔGDF=−α×(1/K)×(1+Ts)/(1+(T/β)s))×ΔPDF (1)
    K=MW/2L (2)
    1<α≦(M+Q)/(Qβ) (3)
    1<β<((M+Q)/Q) (4)
    ただし、ΔGDF:開度制御量偏差、ΔPDF:荷重偏差変動量、PDF:荷重偏差、PDFo:荷重偏差目標値、α:制御定数、K:平行剛性係数、M:圧延機のミル剛性、Q:圧延板の塑性係数、T:位相進み補償の時定数、W:圧延板の幅、L:ワークサイドとドライブサイドの圧下中心間の距離であり,ΔPDFを下記(5)式で定める。
    ΔPDF=PDF−PDFo (5)
  5. DFoとして、当該圧延機スタンドのミル後方張力が失われる直前又は直後におけるPDFを用いることを特徴とする請求項4に記載の圧延機の蛇行抑制方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108787761A (zh) * 2018-05-03 2018-11-13 山西太钢不锈钢股份有限公司 一种预防连轧机抽带的方法
WO2021192713A1 (ja) * 2020-03-23 2021-09-30 Jfeスチール株式会社 圧延機の形状制御方法及び形状制御装置

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