JP7028390B1 - 冷間圧延方法及び冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

冷間圧延方法及び冷延鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

圧延機の改変を必要とすることなしに、冷間圧延時の皺発生を防止することができる冷間圧延方法を提供する。冷間圧延機を用いて複数回の圧延パスにより鋼板の圧延を行う冷間圧延方法であって、圧延パス出側の目標板厚t0が基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力N1が次式(1)により算出される基準ユニット張力N0を超える場合に、前記特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力N2を、前記基準ユニット張力N0未満且つ前記定常圧延時の鋼板ユニット張力N1未満に制御する。N0=(150/9)t0+27.1 ・・・(1)

Description

本発明は、冷間圧延方法及び冷延鋼板の製造方法に関するものである。
近年、地球環境への配慮から、自動車などの輸送機器や産業機器において軽量化が求められている。これら輸送機器や産業機器の構造材には冷延鋼板が用いられることが多く、輸送機器や産業機器の軽量化を実現するため、従前よりも薄肉化した冷延鋼板の需要が著しく高まっている。
薄肉の冷延鋼板を製造する際に、冷間圧延後の鋼板に、例えば図1に冷間圧延後にコイルに巻き取った冷延鋼板を示すように、該コイルの軸方向中心付近に皺(縦皺)が発生することがある。この皺は、特許文献1に記載されているように、薄肉の冷延鋼板に発生し易く、今後冷延鋼板の薄肉化が進むにつれて益々発生が懸念されている。
さらに、特許文献1には、このような皺の発生を抑制する手段として、圧延機に皺抑制ロールを適用することが提案されている。
特開2019-141874号公報
特許文献1に提案された手法は、圧延機に皺抑制ロールを新たに設置することであり、圧延機の改変を必要として設備コストの増加を招くことから、経済性に優れる手法が希求されていた。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、圧延機の改変を必要とすることなしに、冷間圧延時の皺発生を防止することができる冷間圧延方法及び当該冷間圧延方法を用いた冷延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.冷間圧延機を用いて複数回の圧延パスにより鋼板の圧延を行う冷間圧延方法であって、
圧延パス出側の目標板厚tが基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが次式(1)により算出される基準ユニット張力Nを超える場合に、前記特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力Nを、前記基準ユニット張力N未満且つ前記定常圧延時の鋼板ユニット張力N未満に制御することを特徴とする冷間圧延方法。
=(150/9)t+27.1 ・・・(1)
ここで、「目標板厚t」は、複数回の圧延パスを行う圧延スケジュールに応じて圧延パス毎に設定される各圧延パス出側での板厚の設定値である。「基準板厚」は、例えば図5の例では0.15mmとして示される、圧延後の鋼板に皺が発生する可能性のある板厚の閾値である。「基準ユニット張力N」は、図5を用いて後に詳述されるとおり、t≦基準板厚となる特定圧延パスにおける圧延の中でも、該特定圧延パス出側での鋼板の前端部に皺が発生する可能性が高いユニット張力の計算値である。なお、「前端部」及び「ユニット張力」は、後述される定義のとおりである。また、「定常圧延」とは、各圧延パスにおいて圧延開始後に通板速度が一定となった以降の圧延段階であり、「定常圧延時の鋼板ユニット張力」は、鋼板を各圧延パスに通す前に予め定められる設定値である。そして、「圧延初期」とは、鋼板を各圧延パスに通した圧延開始直後の圧延段階であり、「圧延初期の鋼板ユニット張力」は、圧延パス入側で測定可能である。
2.冷間圧延機を用いて複数回の圧延パスにより鋼板の圧延を行う冷間圧延方法であって、
圧延パス出側の目標板厚tが基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが次式(1)により算出される基準ユニット張力Nを超える場合に、前記特定圧延パス出側での前端部板厚tを、前記目標板厚t超に制御することを特徴とする冷間圧延方法。
=(150/9)t+27.1 ・・・(1)
ここで、「前端部」とは、特定圧延パスに通される鋼板の先端から長手方向に鋼板全長の0.5%までの領域を指し、通常の操業条件では、該先端から50~100mの長さに相当する。
3.さらに、前記特定圧延パス出側での前端部板厚tを、前記目標板厚t超に制御することを特徴とする、前記1に記載の冷間圧延方法。
4.さらに、前記特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力Nを、前記基準ユニット張力N未満且つ前記定常圧延時の鋼板ユニット張力N未満に制御することを特徴とする、前記2に記載の冷間圧延方法。
5.前記鋼板はSiを2.0mass%~4.0mass%含み、
前記基準板厚が0.15mmである前記1から4のいずれかに記載の冷間圧延方法。
6.前記1から5のいずれかに記載の冷間圧延方法を適用して冷延鋼板を製造する冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、特に薄肉の冷延鋼板を製造する冷間圧延において皺の発生が抑止されるため、冷延鋼板の製造歩留まりを大幅に改善することができる。
本発明は、特に、板厚0.15mm以下、更には0.13mm以下、更には0.12mm以下、更には0.10mm以下、更には0.10mm未満の薄肉の冷延鋼板を製造する際であっても、上記効果を発揮することができる。
皺が発生した冷延鋼板の巻取りコイルの写真である。 ゼンジミア圧延機の構造を示す断面模式図である。 ゼンジミア圧延機に付帯する制御装置のブロック図である。 目標板厚に対する、定常圧延時の鋼板ユニット張力の適正範囲を示す図である。 定常圧延時の鋼板ユニット張力と目標板厚との、鋼板上の皺発生に対する関係を示す図である。 圧延初期の鋼板ユニット張力と目標板厚との、鋼板上の皺発生に対する関係を示す図である。
以下、本発明の冷間圧延方法について詳しく説明する。
本発明の冷間圧延方法は、複数の圧延パスを経て冷延鋼板を製造する冷間圧延機、特に好適には、リバース圧延による複数パスを経て冷延鋼板を製造する冷間圧延機に適用可能である。具体的には、ゼンジミア圧延機及びリバース圧延機等に好適に適用可能であるが、これらの圧延機に限られず、例えば、タンデム圧延機にも適用可能である。また、本発明の冷間圧延方法を適用すれば、本発明の冷延鋼板の製造方法を実施可能であり、本発明の製造方法は、本発明の冷間圧延方法と同様の効果を奏する。以下、ゼンジミア圧延機を冷間圧延機の典型例として、図を参照して本発明を説明する。
ゼンジミア圧延機1は、図2に示すように、例えば、鋼板10(圧延対象材)を上下から挟み圧延する一対のワークロール1a、第1中間ロール1b、第2中間ロール1c、及びバックアップベアリング1d(バッキングアッセンブリ)から構成される。
ゼンジミア圧延機1は、鋼板10の搬送方向(圧延パス入側から出側へと向かうパスラインの向き)を一方向(例えば紙面左から右方向)及び逆方向(例えば紙面右から左方向)に切り替えて鋼板10を往復圧延(リバース圧延)することが可能な構成となっている。そのために、ゼンジミア圧延機1の上流側及び下流側にそれぞれリール2が配置されている。各リール2は、圧延方向に応じて、鋼板10を巻取り及び巻戻しの双方の機能を果たす。ゼンジミア圧延機1には、通常、鋼板の温度を計測可能な放射温度計20も配置されている。
また、ゼンジミア圧延機1は制御装置3を付帯し、該制御装置3により各種圧延条件が制御され、圧延対象材である鋼板10に、予め設定したパス数のリバース圧延を実行して、目的とする仕様の冷延鋼板を製造する。すなわち、目的とする冷延鋼板の主に板厚に合わせてパススケジュールが設定され、さらに各パスでの圧延条件が設定される。
制御装置3の構成を、図3にブロック図として示すように、制御装置3は張力制御部31と板厚制御部32とを備える。まず、張力制御部31は、圧延パス毎に設定されるユニット張力が鋼板に付与されるように、上流側及び下流側のリール2の回転を制御する。また、板厚制御部32は、ある圧延パスによる圧延後の鋼板10の板厚が、各圧延パス出側での目標板厚の設定値となるように、ゼンジミア圧延機1の圧延荷重を制御する。
本発明者らは、このような冷間圧延機を用いて、特に薄肉の冷延鋼板とする冷間圧延を行う際に鋼板上に発生しやすい、皺の抑制手段について鋭意検討した。そして、まず、皺の抑制を実現するべく、上記の制御装置3における制御項目であるユニット張力及び板厚に着目し、特には、皺が発生しやすい特定の圧延パスにおけるユニット張力及び板厚の設定値を通常条件から変更することに着目するに至った。
ここで、発明者らが、特定の圧延パスにおけるユニット張力及び板厚の設定値に着目した理由を以下に説明する。なお、「ユニット張力」とは、鋼板(圧延対象材)に付与される単位断面積当たりの張力(kg/mm2)を意味する。
図4に示すように、一般的に圧延対象材を冷間圧延する際の、圧延パス出側での適正なユニット張力(定常圧延時の鋼板ユニット張力)は目標板厚に応じて異なるものの、板厚が0.2mm以下程度の場合は概ね25~32kg/mmとされる(図4の「〇」で示される範囲)。当該適正範囲よりも高いユニット張力で圧延すると鋼板に破断が発生しやすく、当該適正範囲よりも低いユニット張力で圧延すると、圧延荷重が高くなって鋼板に形状不良が発生しやすくなるからである(共に図4の「×」で示される範囲)。
しかしながら、当該適正範囲内のユニット張力で圧延を行っても、図1に示すようにコイルに皺が発生することがあった。
発明者らが、図1に示す皺が発生した巻取り後のコイルを詳しく調査したところ、巻取り前の鋼板において皺は全長に亘って発生していたわけではなく、主に鋼板の前端部、具体的には鋼板の圧延方向先端から50~100mの長さにわたる領域で発生していたことが分かった。すなわち、鋼板の巻取り前には前端部以外では皺が発生していないが、鋼板が巻き取られる際に、皺が生じた巻き始め部分(前端部)に、皺のない鋼板部分が順次巻き付けられて前端部の皺が前端部より後方側へと転写される結果、コイル全体に皺が発生してしまうことが新たに分かった。
そこで発明者らは、ユニット張力の適正範囲において、鋼板の前端部に皺が発生しやすいユニット張力を調査した。その結果を図5に示す。図5に示すように、ユニット張力が適正範囲内であっても相対的に高いユニット張力(定常圧延時の鋼板ユニット張力)で圧延した際に皺が発生しやすいこと、また、皺は、複数の圧延パスの内、目標板厚で表された主に圧延後の板厚が、ある閾値(図5の冷間圧延の例では0.15mmであり、これを基準板厚と呼ぶ)以下となる圧延パス(特定圧延パス)において発生していることを更に見出した。さらには、目標板厚が薄くなるに従って皺が発生するユニット張力が低くなっており、皺が発生するユニット張力と板厚との間に相関関係があるのではないか、と推定するに至った。図5には、皺が発生した「×」と皺の発生が抑制された「○」との境界を、一次式に近似した線分Lで示している。当該線分Lにより、定常圧延時の鋼板ユニット張力が次式(1)により算出される基準ユニット張力Nを超える場合に、前端部において皺が発生しやすくなるのではないかと考えるに至った。すなわち、基準ユニット張力Nは、特定圧延パスにおける圧延により、鋼板の前端部に皺が発生する可能性が高いユニット張力の基準値を意味するものであり、tとの絶対値の関係で以下のとおり表すことができる。
=(150/9)t+27.1 ・・・(1)
但し、tは特定圧延パスにおける圧延後の圧延パス出側の目標板厚
上記の理由としては、以下が考えられる。皺は鋼板が伸び形状となる部分で発生しやすく、幅方向に形状のムラがある鋼板では張力分布が発生する。定常圧延時の鋼板ユニット張力が上記の基準ユニット張力Nを超えると、形状ムラに応じて冷間圧延時の張力分布の偏差が大きくなり、幅方向で座屈応力の値が大きくなることから、これに起因して皺が発生するのではないかと推定される。
なお、皺が発生するか否かの閾値となる板厚(基準板厚)は、パススケジュールや鋼板の材質に応じて変化するものであって実験的に導出される値であり、冷間圧延毎に適宜定められる値である。例えば、基準板厚が0.15mmとなるのは、Siを2.0~4.0mass%含有した鋼板、特には、Si量が2.0~4.0mass%である電磁鋼板である。また、冷間圧延工程における目標板厚の下限は特に限定されず0mm超であるが、例えば、0.05mm以上とすることができる。
次に、発明者らは、皺の発生を防止する手法として、次の2つの方法「張力制御」及び「板厚制御」について検討を行った。
[張力制御]
1つ目は、複数回の圧延パスの内、圧延後の目標板厚が上記基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが上記基準ユニット張力Nを超える場合に、鋼板の前端部を圧延する際の張力を調整する方法である。発明者らは、上述した皺発生メカニズムに基づき、定常圧延時(一定速圧延時)の鋼板ユニット張力Nは変えずに、特定圧延パスにおいて鋼板の前端部を圧延する際(圧延開始時)の入側でのユニット張力、すなわち、特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力Nを、基準ユニット張力N及び定常圧延時のユニット張力Nの双方よりも低張力とすることで、皺の発生を抑制できるのではないかとの仮説を立てた。発明者らは上記仮説を検証するため、Siを3.4mass%含有させた電磁鋼板を冷間圧延するにあたり、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nを30kg/mmに固定した上で、特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力Nを該定常圧延時のユニット張力N以下で種々変更した際の皺の発生の有無について実験を行った。
その結果を図6に示すように、目標板厚が0.15mm以下の場合に皺が発生するが、圧延初期の鋼板ユニット張力Nを、各目標板厚tに基づいて算出される基準ユニット張力N未満、かつ、定常圧延時の鋼板ユニット張力N(図6の例ではN=30kg/mm)未満とすることで皺の発生が抑制されることが分かった。なお、今回は、1日当たり10コイルを50日間にわたって冷間圧延し、皺の発生率が2%を超えた場合に皺の発生が抑制されなかったとして「×」、皺の発生率が2%以下であった場合に皺の発生が抑制されたとして「○」で示した。
定常圧延時の鋼板ユニット張力Nに対する圧延初期の鋼板ユニット張力Nの比率(以下「張力比N/N」とも呼ぶ)により圧延初期の鋼板ユニット張力Nを制御する場合には、図6より、上記圧延初期の鋼板ユニット張力Nを定常圧延時の鋼板ユニット張力N未満とすることによって、好適には95%以下とすることによって、更に好適には90%以下とすることによって、皺の発生を防ぐことができる。なお、図4に示したように、一般的に定常圧延時の鋼板ユニット張力Nは板厚が薄いほど高張力とされるため、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nに対する圧延初期の鋼板ユニット張力Nの比率は板厚が薄いほど低くすることが望ましい。図6には示されないが、例えば目標板厚0.10mmであり、特定圧延パスにおける定常圧延時の鋼板ユニット張力Nを32kg/mmとしたときに、圧延初期の鋼板ユニット張力Nを28kg/mm以下とする場合は、87.5%以下となる。この張力比N/Nは、85%以下であることがより好ましい。
ここで、圧延初期の鋼板ユニット張力Nの下限値は、特に規定はしないが、過度に低張力とすると、圧延時の先進率の低下によるスリップの発生や、圧延荷重の増加による形状崩れにつながるため、そのような問題が生じない範囲で低張力とすればよい。圧延初期の鋼板ユニット張力Nは、例えば定常時圧延のユニット張力Nの70%以上とすることができる。
なお、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nは、各コイルの情報作成を行うシステムに応じて圧延パス毎に決定される。
[板厚制御]
2つ目は、複数回の圧延パスの内、圧延後の目標板厚が上記基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが上記基準ユニット張力Nを超える場合に、該特定圧延パス出側での前端部板厚tを該特定圧延パス出側での目標板厚t超に制御する方法である。上述した図6からは、目標板厚tが厚ければ、圧延初期の鋼板ユニット張力Nが高張力であっても皺が発生しにくいことが分かる。そこで、特定圧延パス出側での前端部板厚tを前記目標板厚t超とすることによっても、皺の発生を防ぐことができるとの知見に至った。これは、鋼板前端部での板厚が厚い分、特に張力分布の偏差が大きくなって皺が発生しがちな鋼板前端部において座屈応力に耐えることが可能になるからと考えられる。前端部板厚tを目標板厚t超とする場合、特定圧延パス入側での板厚tが基準板厚超であれば、前端部板厚tを目標板厚t超に制御することで皺発生を抑制することができる。一方、特定圧延パス入側での板厚tが基準板厚以下であっても、前端部板厚tを目標板厚t超とし、さらに高ユニット張力に対して皺が発生しにくい板厚に制御することで皺発生を抑制することができる。例えば図6を参照すると、目標板厚が0.10mmであるときは、前端部板厚を0.12mm以上に高めることで、圧延初期の鋼板ユニット張力(前端部ユニット張力)を28kg/mmとしても皺発生を抑制することができる。
以上の通り、2つの冷間圧延方法のいずれでも皺の発生を防止することができ、いずれの方法を採用するかは適宜選択することができる。すなわち、2つの冷間圧延方法のいずれか一方または両方による冷間圧延を実施することによって、皺のない冷延鋼板を製造することができる。
なお、2つ目の方法である板厚制御を行ったパス直後の鋼板では、前端部が目標板厚に至っていないために、次パス以降の圧延ができなくなる。このため、上述の板厚制御は最終パスで行う必要がある。また、出荷時には前端部をカットして出荷することとなり、一部無駄が発生することになる。したがって、1つ目の方法である張力制御によって皺の発生を防止することが好ましい。板厚制御による方法は、例えば、最終パスにおいて圧延初期の鋼板ユニット張力(前端部ユニット張力)を皺発生が抑制可能なユニット張力まで低減できない場合に、張力制御による方法に替えて、或いは、該張力制御による方法と組み合わせて実行することが好ましい。
以下、圧延パスで設定する張力値及び板厚値について詳しく説明する。
<張力値>
張力は、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nとして圧延パス毎に一律に設定されるのが従来技術であるところ、本発明では、特に、圧延パス出側の目標板厚tが基準板厚(閾値)以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが上記基準ユニット張力Nを超える場合に、この特定圧延パスについて、その他の圧延パスとは異なる張力設定を行うところに特徴がある。すなわち、本発明における所定の特定圧延パスでは、圧延が開始されてから通板速度(圧延速度)が一定となるまで(一定速圧延、定常圧延に至るまで)の圧延初期に設定する鋼板ユニット張力Nと、目標板厚から算出される基準ユニット張力N、及び、通板速度(圧延速度)が一定となってから圧延が終了するまでの定常圧延の期間に設定する鋼板ユニット張力Nとが下記式を満たすように設定される。
<NかつN<N
換言すれば、張力比N/N<100%かつN/N<100%
一方、所定の特定圧延パス以外の圧延パスにおいては、設定したNから変更することなく圧延を行うので、N=N、換言すれば、張力比N/N=100%が成立する。
通常、張力設定値Nは、圧延機に導入する鋼板10(図2参照)の鋼種に応じて自動的に、或いは、オペレータにより適宜設定される。従って、本発明では、この張力設定値Nに対する張力設定値N(張力比N/N)は適宜設定されてよいが、皺発生防止及び圧延性を両立する観点からは、0.7≦N/N≦0.95、つまり、70%≦N/N≦95%とすることが好ましい。N/Nは、70%以上が好ましく、95%以下が好ましく、目標板厚が0.10mm以下の場合は90%以下がより好ましい。
<板厚値>
板厚は、目標板厚tとして圧延パス毎に一律に設定されるのが従来技術であるところ、本発明では、特に、特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが上記基準ユニット張力Nを超える場合に、この特定圧延パスについて、その他の圧延パスとは異なる板厚設定を行うところに特徴がある。すなわち、本発明における所定の特定圧延パスでは、該パス出側での、鋼板前端部の板厚tと、前端部以外の該前端部に長手方向(圧延方向)に続く鋼板部分の板厚(目標板厚)tとが下記式を満たすように設定される。
>t、換言すれば、板厚比t/t>100%
一方、所定の特定圧延パス以外の圧延パスにおいては、設定したtから変更することなく圧延を行うので、t=t、換言すれば、板厚比t/t=100%が成立する。
通常、目標板厚tは製品を製造するにあたり要求される、特定圧延パスの出側における目標板厚であり、製品に応じて自動的に、或いは、オペレータにより適宜設定される。本発明では、この目標板厚tに対する出側での前端部板厚t(板厚比t/t)は適宜設定されてよいが、皺発生防止及び歩留まりを両立する観点からは、tをtの105%~120%、つまり、105%≦t/t≦120%とすることが好ましい。t/tは、105%以上が好ましく、120%以下が好ましい。
図2に示したゼンジミア圧延機を用いて、基準板厚(閾値)が0.15mmである冷間圧延を行う際に、目標板厚tがこの基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが上記基準ユニット張力Nを超える場合に、特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力N、及び、特定圧延パス出側での鋼板の前端部(先端から全長の0.5%までの部分)板厚tのいずれか一方又は両方を、表1~3に示す種々に変更した。以上の冷間圧延操業(1日当たり10コイル)を50日間にわたって行ったときの、鋼板表面への皺発生状況を評価した。その評価結果を、表1~3に併記する。
なお、皺発生状況は、目視確認によって評価した。この評価結果が2%以下であれば、目標歩留まり以下であるので製品品質が良好と判断した。
表1~3に示すとおり、張力N及び板厚tの何れか一方のみの制御であっても、両者の制御を組み合わせることとしても、皺発生を抑制することができる。
Figure 0007028390000001
Figure 0007028390000002
Figure 0007028390000003

Claims (6)

  1. 冷間圧延機を用いて複数回の圧延パスにより鋼板の圧延を行う冷間圧延方法であって、
    圧延パス出側の目標板厚tが基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが次式(1)により算出される基準ユニット張力Nを超える場合に、前記特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力Nを、前記基準ユニット張力N未満且つ前記定常圧延時の鋼板ユニット張力N未満に制御することを特徴とする冷間圧延方法。
    =(150/9)t+27.1 ・・・(1)
  2. 冷間圧延機を用いて複数回の圧延パスにより鋼板の圧延を行う冷間圧延方法であって、
    圧延パス出側の目標板厚tが基準板厚以下となる特定圧延パスにおける、定常圧延時の鋼板ユニット張力Nが次式(1)により算出される基準ユニット張力Nを超える場合に、前記特定圧延パス出側での前端部板厚tを、前記目標板厚t超に制御することを特徴とする冷間圧延方法。
    =(150/9)t+27.1 ・・・(1)
  3. さらに、前記特定圧延パス出側での前端部板厚tを、前記目標板厚t超に制御することを特徴とする、請求項1に記載の冷間圧延方法。
  4. さらに、前記特定圧延パス入側での圧延初期の鋼板ユニット張力Nを、前記基準ユニット張力N未満且つ前記定常圧延時の鋼板ユニット張力N未満に制御することを特徴とする、請求項2に記載の冷間圧延方法。
  5. 前記鋼板はSiを2.0mass%~4.0mass%含み、
    前記基準板厚が0.15mmである請求項1から4のいずれか一項に記載の冷間圧延方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の冷間圧延方法を適用して冷延鋼板を製造する冷延鋼板の製造方法。
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