JP3705226B2 - 冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続式タンデム圧延機による冷延鋼板の製造方法に関するものであり、より詳細には、薄鋼板を連続冷間圧延する際の圧延材切断点近傍の冷間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続式タンデム冷間圧延機により鋼板を連続的に冷間圧延する際には、圧延機の入側で先行コイルの後端と後行コイルの先端とを溶接により接続して1本の圧延材として連続的に圧延機へ供給するとともに、目標板厚に圧延された圧延材を圧延機出側で切断機により所定長さに走間で切断し、通常2つの巻取機(テンションリール)により交互に連続的に巻き取る。そのため、バッチ式タンデム冷間圧延機による冷間圧延と比較して、高能率であるだけでなく、圧延材先端部の通板や後端部の尻抜けにより生じる圧延後の鋼板先後端部の目標板厚よりも板厚の厚い部分(オフゲージ部)がなく、歩留りの点からも優位である。
【0003】
しかし、例えば板厚0.2mm以下の薄鋼板を圧延する場合には、連続式タンデム冷間圧延機の出側で圧延材を切断後、後行圧延材の先端部をテンションリールへ誘導し巻き付ける際に、圧延材の剛性不足により、圧延材の先端が浮き上がったり折れ曲がるなどしてテンションリールまで誘導できなかったり、あるいはリールへの巻き付け不良が発生する場合がある。また、テンションリールに巻き付け直後に張力がかかる際に圧延材が破断したり、次工程での通板作業性が悪いことなど、薄鋼板の先後端部では様々な問題が発生する。このような問題を回避する方法として、薄鋼板を連続的に冷間圧延する際に、切断点近傍、つまり先行圧延材の後端部と後行圧延材の先端部となる部分の板厚を、圧延材中央側部分(定常部)の目標板厚よりも意図的に数十〜数百μm程度厚めに圧延する方法が知られている。
【0004】
このような連続式冷間圧延における出側切断点付近での板厚制御方法として、特開平11−33612号公報では、板厚0.4mm以下の鋼帯を連続冷間圧延する際、先行冷延鋼帯の後端部または後行冷延鋼帯の先端部5〜100m間の板厚を、定常部の目標板厚より20〜200μm厚く設定して圧延することにより、冷延鋼帯の先端部または後端部の剛性不足を解消し、座屈を防止して巻き付け不良や通板作業性の阻害を防止する方法が記載されている。そして、実施例として、例えば目標板厚0.15〜0.20mmの場合には、目標板厚よりも材料先後端を200μmも厚く圧延することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の従来技術において、定常部目標板厚よりも200μmも材料先後端を厚く圧延するということは、例えば定常部目標板厚が0.15mmの場合には、0.15mmから0.35mmへ走間板厚変更を行うことを意味する。このような板厚差の大きな走間板厚変更は非常に不安定であり、例えば張力の大幅な変動などにより、蛇行や板平坦度の悪化、さらには絞りや破断などのトラブルが発生する可能性が極めて高い。
【0006】
さらに、極薄冷延鋼板の分野では、近年ますます薄肉化が進行しており、今後、例えば板厚0.10mmの冷延鋼板までも、連続式タンデム圧延機で定常的に製造する必要が生じることが予想される。そうなると、定常部の板厚と前記の切断点近傍の圧延材先後端部で必要な板厚との差がますます大きくなり、もはや通常の走間板厚変更を行うことは不可能となる。
【0007】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決し、連続式タンデム圧延機により薄鋼板を製造する際に必要となる切断点近傍の板厚を厚くするための走間板厚変更を、破断等のトラブルなく安定的に行うことができる、連続式タンデム圧延機による冷延鋼板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、連続式タンデム冷間圧延機により薄鋼板を製造する際の切断点付近の走間板厚変更方法について種々検討を行った結果、以下のような知見を得た。
【0009】
まず、テンションリールへの巻き取り安定性などの理由から、圧延機出側で切断した圧延材先後端部に必要な最小板厚をあらかじめ求めておき、この最小板厚と定常部の目標板厚との差が大きいために一度で走間板厚変更を行うことが困難である場合には、中間の板厚目標値を設けて走間板厚変更を2段階に分けて行う。この方法によれば、定常部目標板厚と切断点目標板厚との差が大きい場合でも、走間板厚変更が可能となる。このとき、中間板厚目標値は、定常部目標板厚と切断点目標板厚との中央値に定める必要はなく、オフゲージ長さや通板安定性などを考慮して適宜定めることで、歩留り向上やトラブルの防止がはかれる。
【0010】
中間板厚目標値の設定方法としては、切断点前後の鋼板が熱間圧延材の先後端部に相当する場合には、材質不良やアンダーゲージが懸念されるため安定通板優先とすることが望ましいが、切断点が熱間圧延材の定常部である場合にはそのような心配はなく、オフゲージ長さの最小化を狙う方が望ましい。また、走間板厚変更量が非常に大きい場合には通板安定性を重視すべきであるが、走間板厚変更がそれほど困難でなければオフゲージ長さの最小化を重視して中間板厚目標値を設定することが望ましい。
【0011】
さらに、切断後の後行圧延材先端部の巻き取りを安定的に行うためには、後行圧延材先端部の板厚が切断点目標板厚で安定していることが必要である。そのためには、先行材側での中間板厚目標値を高めに設定し、2段階目の走間板厚変更量を小さくすることが有効である。
【0012】
したがって、本発明の冷延鋼板の製造方法は以下のような特徴を有する。
【0013】
(1)圧延材を連続式タンデム圧延機により目標板厚に圧延し、切断点で切断した後、巻取機に巻き取る冷延鋼板の製造方法において、前記切断点よりも後行側の圧延材先端部を安定的に巻取機へ誘導し巻き取ることができる圧延材先端部の最小板厚をあらかじめ求めておき、連続式タンデム圧延機による板厚制御における切断点の目標板厚を前記圧延材先端部の最小板厚以上の厚さに設定するとともに、圧延材定常部の目標板厚と切断点の目標板厚との間に走間板厚変更中の板厚不良部長さ及び/又は通板安定性を考慮して決定される中間板厚目標値を設けた2段階の走間板厚変更を切断点の先行材側及び/又は後行材側において行うに際し、切断点位置前後の圧延材先後端部が、当該圧延材が熱間圧延された際の先後端部に相当する場合には前記中間板厚目標値を通板安定性を優先させた設定とし、熱間圧延された際の先後端部に相当しない場合には前記中間板厚目標値を板厚不良部長さの低減を優先させた設定とすることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
【0014】
(2)圧延材を連続式タンデム圧延機により目標板厚に圧延し、切断点で切断した後、巻取機に巻き取る冷延鋼板の製造方法において、前記切断点よりも後行側の圧延材先端部を安定的に巻取機へ誘導し巻き取ることができる圧延材先端部の最小板厚をあらかじめ求めておき、連続式タンデム圧延機による板厚制御における切断点の目標板厚を前記圧延材先端部の最小板厚以上の厚さに設定するとともに、圧延材定常部の目標板厚と切断点の目標板厚との間に走間板厚変更中の板厚不良部長さ及び/又は通板安定性を考慮して決定される中間板厚目標値を設けた2段階の走間板厚変更を切断点の先行材側及び/又は後行材側において行うに際し、定常部目標板厚と切断点目標板厚との差に閾値を設け、定常部目標板厚と切断点目標板厚との差が、前記閾値を超える場合には前記中間板厚目標値を通板安定性を優先させた設定とし、前記閾値以下の場合には前記中間板厚目標値を板厚不良部長さの低減を優先させた設定とすることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
【0015】
(3)圧延材を連続式タンデム圧延機により目標板厚に圧延し、切断点で切断した後、巻取機に巻き取る冷延鋼板の製造方法において、前記切断点よりも後行側の圧延材先端部を安定的に巻取機へ誘導し巻き取ることができる圧延材先端部の最小板厚をあらかじめ求めておき、連続式タンデム圧延機による板厚制御における切断点の目標板厚を前記圧延材先端部の最小板厚以上の厚さに設定するとともに、圧延材定常部の目標板厚と切断点の目標板厚との間に走間板厚変更中の板厚不良部長さ及び/又は通板安定性を考慮して決定される中間板厚目標値を設けた2段階の走間板厚変更を切断点の先行材側及び/又は後行材側において行うに際し、切断点の先行材側では前記中間板厚目標値を通板安定性を優先させた設定とし、切断点の後行材側では前記中間板厚目標値を上記(1)及び/又は(2)に記載の方法により設定することを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
【0016】
(4)板厚不良部長さの低減を優先させる場合には中間板厚目標値を定常部から切断点への目標板厚変更量の20〜60%の範囲に設定し、通板安定性を優先させる場合には中間板厚目標値を定常部から切断点への目標板厚変更量の40〜80%の範囲に設定することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
【0017】
(5)切断点の先行材側及び/又は後行材側の圧延材の定常部目標板厚が0.14mm以下であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施に供する冷間圧延設備の一例を示す全体構成図であり、1は5スタンドからなる連続式タンデム冷間圧延機である。この連続式タンデム冷間圧延機1の入側にはペイオフリール2、溶接機3及びルーパー4を備え、出側には切断機5およびテンションリール6を備えている。
【0021】
ペイオフリール2から払い出された鋼板Sは、溶接機3により先行材の後端と後行材の先端が溶接され、ルーパー4を通った後、連続式タンデム冷間圧延機1へ連続的に供給されて、圧延機出側で目標板厚となるように各スタンドで所定の板厚に圧延される。そして、圧延機1を出た鋼板Sは、切断機5により所定長さに走間で切断された後、テンションリール6により巻き取られる。
【0022】
このテンションリール6への鋼板Sの巻取り時、板厚が薄い場合には、先に説明したように鋼板先端の浮き上がりや折れ曲がりなどが発生し、安定的な巻取りは困難である。そこで、本発明では、テンションリール6への安定巻取りが可能な鋼板先端部の最小板厚(以下、先端部最小板厚と称す)をあらかじめ定めておく。そして、圧延される鋼板の目標板厚が前記の先端部最小板厚未満の場合には、切断機5による切断点の近傍の板厚が前記先端部最小板厚以上となるように、圧延機1における切断点近傍すなわち先行材後端部および後行材先端部の目標板厚(切断点目標板厚)を設定する。なお、前記の先端部最小板厚は、切断機5の出側からテンションリール6までの搬送設備やそのレイアウトなどにより異なるものであるが、0.20〜0.30mm程度が一般的である。そして、この値を一律に定めても良いが、巻き取る鋼板の板幅や強度レベルなどによっても異なるため、これに対応してテーブル値を持たせてもよい。さらに、テンションリール6a、6b毎に鋼板の搬送経路が異なることから、後行材先端部を巻き取るテンションリール6a、6b毎に異なる値としてもよい。
【0023】
また、前記のように切断点目標板厚を定常部目標板厚と異なる値に設定する場合、切断点の前後で走間板厚変更を行なう必要がある。すなわち、図2は切断点付近の目標板厚を模式的に示したものであるが、通常の切断点近傍の板厚変更、すなわち先行材側の定常部目標板厚から後行材側の定常部目標板厚への板厚変更であれば、(a)のように切断点において走間板厚変更を一度行えばよい。しかし、前記のように切断点目標板厚を定常部目標板厚と異なる値に設定する例では、(b)のように切断点の先行材側で定常部目標板厚から切断点目標板厚への走間板厚変更を行ない、切断点通過後、後行材側で切断点目標板厚から後行材定常部目標板厚への走間板厚変更を行なう。
【0024】
ここで、先行材や後行材の定常部目標板厚と切断点目標板厚との差が大きい場合には、先に説明したように走間板厚変更を行なうことが非常に困難である。すなわち、板の蛇行や平坦度の悪化、さらには絞りや板破断などのトラブルが発生する可能性が極めて高い。そこで本発明では、定常部目標板厚と切断点目標板厚との差(全体の走間板厚変更量)が大きい場合、図2(c)に示すように、定常部目標板厚と切断点目標板厚との間に中間板厚目標値を設定して走間板厚変更を2段階に分けて行なう。このような2段階の走間板厚変更を行なう基準は、定常部目標板厚と切断点目標板厚との差(全体の走間板厚変更量)や、これらの比により定めてもよいし、定常部目標板厚の大きさにより定めてもよい。例えば、全体の走間板厚変更量が0.07mm以上の場合、切断点の定常部に対する目標板厚の比が1.5以上の場合、あるいは定常部目標板厚が0.14mm以下の場合などのように定めればよい。
【0025】
次に、本発明における中間板厚目標値の設定方法について説明する。中間板厚目標値は、単純に定常部目標板厚と切断点目標板厚の中間点、すなわち全体の走間板厚変更量に対して1/2づつの走間板厚変更量となる板厚に設定するのが最も簡易的な方法である。しかし、必ずしも中間値とする必要はなく、様々な状況に応じて、適切な値に設定することが望ましい。
【0026】
そこで、本発明の好ましい実施形態では、走間板厚変更中の板厚不良部長さや通板安定性を考慮して、中間板厚目標値を決定する。これを、中間板厚目標値の違いによる圧延後の板厚変動を模式的に示した図3により説明する。先行材側または後行材側において、中間板厚目標値を小さく設定した(a)及び(c)の場合と大きく設定した(b)及び(d)の場合を比較すると、板厚不良部長さはこの図3では板厚変更部の面積として表されるから、中間板厚目標値を小さく設定した方が板厚不良部長さは短くなる。しかし、切断点位置前後の圧延材は熱延鋼板の先後端部、すなわち当該圧延材が熱間圧延された際の先後端部に相当する場合が多く、もともと板厚不良や材質不良が多いためにトラブルの発生頻度が高い。したがって中間板厚目標値を大きく設定して切断点近傍の板厚をできるだけ厚くした方が通板安定性は高くなる。さらに、先行材側において中間板厚目標値を小さく設定した(a)の場合では、2段階目の走間板厚変更量が大きく、切断点目標板厚に到達した後の板厚が不安定となっている。すなわち、切断点において設定した板厚(先端部最小板厚)が保証されず、トラブルが起こる可能性がある。このように、中間板厚目標値の設定により、板厚不良部の長さや通板安定性が変化する。したがって、中間板厚目標値を厚めに設定するのか、あるいは薄めに設定するのかの判断は、板厚不良部長さの低減と通板安定性の確保とのどちらを優先させるかにより決定する。
【0027】
さらに、前記のように、切断点位置前後の鋼板、すなわち先行材の後端部または後行材の先端部が熱間圧延された際の先後端部(熱延鋼板の先後端部)に相当する場合には、熱延鋼板の板厚不良や材質不良、さらには表面欠陥などにより、トラブルが起こる可能性がある。したがって、このような場合には通板安定性を優先させて中間板厚目標値を厚めに設定するのが望ましい。逆に、切断点位置前後の鋼板が熱間圧延された際の定常部(熱延鋼板の定常部)に相当する位置の場合には、トラブルが起こる危険性は低いので、板厚不良部長さの低減を優先させて中間板厚目標値を薄めに設定するのが望ましい。
【0028】
一方、全体の走間板厚変更量(2段階の走間板厚変更量の和)を考えると、その値が比較的小さい場合には、例えば先行材側で中間板厚目標値を低めに設定しても2段階目の走間板厚変更量はそれほど大きな値とならない。しかし、全体の走間板厚変更量が大きい場合には、中間板厚目標値を低めに設定すると2段階目の走間板厚変更量は極めて大きくなり、走間板厚変更が極めて不安定となる。したがって、全体の走間板厚変更量、すなわち定常部目標板厚と切断点目標板厚との差に対して走間板厚変更の困難さの指標となるようなある閾値を設けておき、この閾値よりも全体の走間板厚変更量が大きい場合には通板安定性を優先させることが望ましく、小さい場合には板厚不良部長さの低減を優先させることが望ましい。ここで、前記の閾値は、例えば全体の走間板厚変更量が0.09mm以上の場合とするなど、走間板厚変更量の大きさで定めてもよいし、定常部と切断点との目標板厚の比や定常部目標板厚の大きさを判断基準として計算して求めてもよい。
【0029】
さらに、切断点の先行材側では、図3(a)に示したように、切断点近傍において切断点目標板厚が確保できないことによるトラブルが発生しやすい。よって、切断点の先行材側では、常に通板安定性を優先させた中間板厚目標値の設定を行なってもよい。
【0030】
このように、板厚不良部長さと通板安定性のどちらを優先させた走間板厚変更を行うかの判断基準としては、切断点位置前後の圧延材先後端部が熱延鋼板の先後端部であるか、定常部目標板厚と切断点目標板厚との差が大きいか、先行材側か、などが挙げられる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、各々の製造ラインや圧延材の特性などにより適宜定めればよい。
【0031】
なお、具体的な中間板厚目標値の範囲としては、定常部目標板厚と切断点目標板厚の中間値を基準として考えると、板厚不良部長さの低減を優先させる場合には定常部から切断点への目標板厚変更量の50%以下とし、通板安定性を優先させる場合には50%以上とすることが好ましい。ただし、厳密に中間値で区分する必要はなく、実際の設備や鋼板の条件により必ずしも中間値を基準とすべきでない場合もあるので、例えば目標板厚変更量の40〜60%の間はどちらの場合でもとり得る範囲としておき、適宜決定すればよい。また、中間板厚目標値が前記中間値から大きく隔たると、1段階目又は2段階目のどちらかの走間板厚変更量が極めて大きくなるため、中間板厚目標値は目標板厚変更量の20%〜80%の範囲とすることが望ましい。すなわち、板厚不良部長さの低減を優先させる場合には定常部から切断点への目標板厚変更量の20〜60%、通板安定性を優先させる場合には定常部から切断点への目標板厚変更量の40〜80%の範囲で選択することが望ましい。
【0032】
なお、本発明は、切断点の先行材側と後行材側の両方で2段階の走間板厚変更を行なう場合に限られるものではなく、先行材側または後行材側のどちらか一方のみで中間板厚目標値を設定した2段階の走間板厚変更を行なってもよい。
【0033】
また、本発明の2段階の走間板厚変更を適用できる板厚の範囲に制限はないが、テンションリールへの巻取りが可能な先端部の最小板厚(先端部最小板厚)よりも定常部目標板厚が非常に小さい極薄冷延鋼板、特に定常部目標板厚が0.14mm以下の冷延鋼板の製造において極めて有効である。
【0034】
【実施例】
図1に示す冷間圧延設備を用い、板厚0.10〜0.14mm、板幅700〜900mmの低炭素鋼からなる冷延鋼板の製造を行った。ここで、テンションリールへの巻取り可能な先端部最小板厚は0.21mmであり、切断点目標板厚は0.21mmに設定した。
【0035】
走間板厚変更の条件は、以下の3通りとした。
(1)参考例:中間板厚目標値を定常部目標板厚と切断点目標板厚の中間値とし、切断点の前後で2段階の走間板厚変更を行う。
(2)本発明例:中間板厚目標値の設定を図4のフローチャートに示す方法により先行材側と後行材側で個別に設定し、切断点の前後で2段階の走間板厚変更を行う。すなわち、(ア)切断点の先行材側、(イ)切断点位置の圧延材が熱間圧延時の先後端部に相当する、(ウ)定常部目標板厚と切断点目標板厚の差が0.10mm以上、のうちのいずれかに該当する場合には通板安定優先とし、それ以外の場合には板厚不良部長さの低減を優先とした中間板厚目標値の設定とする。なお、中間板厚目標値は、板厚不良部長さの低減を優先させる場合には定常部から切断点への目標板厚変更量の40%の値とし、通板安定性を優先させる場合には定常部から切断点への目標板厚変更量の60%の値とする。
【0036】
以上の条件により一定期間上記の冷延鋼板の製造を行い、巻取りまでを含めた冷間圧延における切断点近傍でのトラブルの発生率及び切断点近傍での板厚不良部の長さを調査した。
【0037】
得られた結果を表1に示す。比較例では、絞りや破断などのトラブル発生率が50%にも達し、またトラブルが発生しなかった場合でも板の平坦度が非常に悪く、板厚不良部と平坦度不良部を合わせた不良部長さも150mと極めて長くなった。一方、参考例では、トラブル発生率は4%までに大幅に低減でき、板厚不良部長さも90mと大幅に改善できた。さらに、本発明例では、トラブルはほとんど発生することがなく、安定した走間板厚変更を行うことができた。一方、本発明例の板厚不良部長さの平均値は参考例よりもやや長くなった。これは、中間板厚目標値の設定を通板安定性優先とした場合に板厚不良部長さを犠牲としているためであり、板厚不良部長さの低減を優先とした場合のみのデータでは板厚不良部長さは70mと良好であった。
【0038】
【表1】
Figure 0003705226
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、連続式タンデム圧延機による冷延鋼板の製造において、板厚差の極めて大きい走間板厚変更を、破断等のトラブルなく安定的に行うことができ、且つ板厚不良部の長さ短く抑えることができる。また、これにより、極薄冷延鋼板を連続式タンデム圧延機により安定的に且つ歩留りよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に供する冷間圧延設備の一例を示す全体構成図
【図2】 本発明と従来技術との切断点付近の目標板厚の違いを示す説明図
【図3】 本発明による中間板厚目標値の設定値の違いによる圧延後の板厚変動を模式的に示す説明図
【図4】 実施例の本発明例における中間板厚目標値の設定の判断基準を示す説明図
【符号の説明】
1 連続式タンデム冷間圧延機
2 ペイオフリール
3 溶接機
4 ルーパー
5 切断機
6 巻取機(テンションリール)
S 鋼板(圧延材)

Claims (5)

  1. 圧延材を連続式タンデム圧延機により目標板厚に圧延し、切断点で切断した後、巻取機に巻き取る冷延鋼板の製造方法において、
    前記切断点よりも後行側の圧延材先端部を安定的に巻取機へ誘導し巻き取ることができる圧延材先端部の最小板厚をあらかじめ求めておき、連続式タンデム圧延機による板厚制御における切断点の目標板厚を前記圧延材先端部の最小板厚以上の厚さに設定するとともに、圧延材定常部の目標板厚と切断点の目標板厚との間に走間板厚変更中の板厚不良部長さ及び/又は通板安定性を考慮して決定される中間板厚目標値を設けた2段階の走間板厚変更を切断点の先行材側及び/又は後行材側において行うに際し、
    切断点位置前後の圧延材先後端部が、当該圧延材が熱間圧延された際の先後端部に相当する場合には前記中間板厚目標値を通板安定性を優先させた設定とし、熱間圧延された際の先後端部に相当しない場合には前記中間板厚目標値を板厚不良部長さの低減を優先させた設定とすることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
  2. 圧延材を連続式タンデム圧延機により目標板厚に圧延し、切断点で切断した後、巻取機に巻き取る冷延鋼板の製造方法において、
    前記切断点よりも後行側の圧延材先端部を安定的に巻取機へ誘導し巻き取ることができる圧延材先端部の最小板厚をあらかじめ求めておき、連続式タンデム圧延機による板厚制御における切断点の目標板厚を前記圧延材先端部の最小板厚以上の厚さに設定するとともに、圧延材定常部の目標板厚と切断点の目標板厚との間に走間板厚変更中の板厚不良部長さ及び/又は通板安定性を考慮して決定される中間板厚目標値を設けた2段階の走間板厚変更を切断点の先行材側及び/又は後行材側において行うに際し、
    定常部目標板厚と切断点目標板厚との差に閾値を設け、定常部目標板厚と切断点目標板厚との差が、前記閾値を超える場合には前記中間板厚目標値を通板安定性を優先させた設定とし、前記閾値以下の場合には前記中間板厚目標値を板厚不良部長さの低減を優先させた設定とすることを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
  3. 圧延材を連続式タンデム圧延機により目標板厚に圧延し、切断点で切断した後、巻取機に巻き取る冷延鋼板の製造方法において、
    前記切断点よりも後行側の圧延材先端部を安定的に巻取機へ誘導し巻き取ることができる圧延材先端部の最小板厚をあらかじめ求めておき、連続式タンデム圧延機による板厚制御における切断点の目標板厚を前記圧延材先端部の最小板厚以上の厚さに設定するとともに、圧延材定常部の目標板厚と切断点の目標板厚との間に走間板厚変更中の板厚不良部長さ及び/又は通板安定性を考慮して決定される中間板厚目標値を設けた2段階の走間板厚変更を切断点の先行材側及び/又は後行材側において行うに際し、
    切断点の先行材側では前記中間板厚目標値を通板安定性を優先させた設定とし、切断点の後行材側では前記中間板厚目標値を請求項1及び/又は2に記載の方法により設定することを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
  4. 板厚不良部長さの低減を優先させる場合には中間板厚目標値を定常部から切断点への目標板厚変更量の20〜60%の範囲に設定し、通板安定性を優先させる場合には中間板厚目標値を定常部から切断点への目標板厚変更量の40〜80%の範囲に設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
  5. 切断点の先行材側及び/又は後行材側の圧延材の定常部目標板厚が0.14mm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
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