JP2006251007A - アルカリ現像型感光性樹脂組成物及びプリント配線基板。 - Google Patents

アルカリ現像型感光性樹脂組成物及びプリント配線基板。 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた耐熱性を有し、乾燥管理幅が広く、乾燥後の指触乾燥性が良好で、さらに良好な現像性をもつアルカリ現像型感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)とカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)と光重合開始剤(C)とを含有することを特徴とするアルカリ現像型感光性樹脂組成物、レジストインキ用に調製された前記アルカリ現像型感光性樹脂組成物、前記レジストインキを用いて回路形成されたプリント配線基板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた耐熱性を有し、乾燥管理幅が広く、かつ良好な解像性を有するアルカリ現像型感光性樹脂組成物、レジストインキ用に調製された前記アルカリ現像型感光性樹脂組成物、これを用いたプリント配線基板に関するものである。
プリント配線板は、基板の上に導体回路のパターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けすることにより搭載するためのものであり、そのはんだ付けランドを除く回路部分は永久保護皮膜としてのソルダーレジスト膜で被覆される。これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けする際にはんだが不必要な部分に付着するのを防止すると共に、回路導体が空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。従来、ソルダーレジスト膜は、基板上にその溶液組成物をスクリーン印刷法でパターン形成し、溶剤を除く乾燥をした後、紫外線または熱により硬化させることが主流とされてきた。
プリント配線基板の配線密度の向上(細密化)の要求にともないソルダーレジスト組成物(ソルダーレジストインキ組成物ともいう)も高解像性、高精度化が要求され、民生用基板、産業用基板を問わずスクリーン印刷法から、位置精度、導体エッジ部の被覆性に優れる液状フォトソルダーレジスト法(写真現像法)が用いられている。また、希アルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型感光性樹脂組成物として、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物とを反応して得られる活性エネルギー線硬化性樹脂と、光重合開始剤を含有する希アルカリ水溶液により現像可能な光硬化性のレジストインキ組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
これらソルダーレジスト組成物は通常、溶剤に希釈されており、これを塗布した後、乾燥管理幅内の条件にて溶剤を除去し、できた塗膜を露光、現像処理して所望のレジストパターンを形成した後、熱硬化させ、密着性、硬度、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れるレジスト膜を形成させている。この乾燥管理幅とは、塗布膜乾燥時の未露光部分の現像時に除去が可能となる塗布膜硬化度の熱的許容限度の管理であり、乾燥管理幅が狭いと、すなわち熱による温度の上昇の許容範囲が狭いと、アルカリ現像型感光性樹脂組成物をプリント配線板へ塗布し、その溶剤を除去する乾燥過程で、その許容範囲を超えた時間もしくは温度により塗布膜の樹脂組成物が硬化をし始め、その後に露光し、現像すると、未露光部分が現像液により除去され難いという問題を生じる。そのため乾燥時間、乾燥温度が限られ、塗布回数の制限が必要となり、残存する溶剤のためにタック性が残り、指触乾燥性を悪化させるなどの問題を生じている。特に上述した高解像性や高精度化の点では深刻な問題となるため、乾燥管理幅の向上が強く望まれている。
特開昭61−243869号公報
本発明は上記問題点に鑑み、優れた耐熱性を有し、乾燥管理幅が広く、乾燥後の指触乾燥性が良好で、さらに良好な現像性をもつアルカリ現像型感光性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)とカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)と光重合開始剤(C)とを含有するアルカリ現像型感光性樹脂組成物が上記課題を解決できることを見いだし本発明に至った。
即ち、本発明は、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)とカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)と光重合開始剤(C)とを含有することを特徴とするアルカリ現像型感光性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、レジストインキ用に調製された前記アルカリ現像型感光性樹脂組成物、前記レジストインキを用いて回路形成されたプリント配線基板をも提供する。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、熱硬化性成分として、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂を用いることにより、乾燥管理幅(もしくは現像ライフ)および現像性を飛躍的に向上し、かつ硬化物の耐熱性に優れたソルダーレジスト膜を作業性よく形成することができる。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)、カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)、光重合開始剤(C)と混合して得る事ができる。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂(X)は1分子中に1個以上のエポキシ基とジベンゾピラン骨格を含有するものであれば良く、その構造が特に限定されるものではない。
前記エポキシ樹脂(X)のエポキシ当量としては、特に制限されるものではないが、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の現像性が良好で、且つその硬化物の耐熱性に優れる点から、220〜300g/eq.であることが好ましい。
前記エポキシ樹脂(X)の軟化点としては、特に制限されるものではないが、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の仮乾燥後の指触乾燥性が良好となることから、エポキシ樹脂(X)の軟化点が50〜150℃の範囲であることが好ましい。
前記ジベンゾピラン骨格としては、例えば、下記一般式(1)
Figure 2006251007
(式中、R、Rは各々独立に水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、または、R、Rを含む環状有機基であり、Rは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であり、nは0〜3の整数である。)
前記一般式(1)で表されるジベンゾピラン骨格の具体的な例としては、下記構造式(1−1)〜(1−33)で表される骨格を挙げることができる。
Figure 2006251007
Figure 2006251007
Figure 2006251007
これらの中でも得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の硬化物の耐熱性に優れ、乾燥管理幅が広く、かつ良好な解像性が得られる点から、前記一般式(1)中のnが2又は3であり、Rが炭素原子数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、ヘキシル基等であることが好ましく、該アルキル基の位置としては、エーテル基に連結する位置の両脇であることが特に好ましい。これらの中でもメチル基を置換基としてそれぞれの芳香環に3個有するものが好ましく、例えば前記構造式(1−24)〜(1−33)で表されるヘキサメチル基置換体を骨格として有するエポキシ樹脂であることが最も好ましい。また、本発明で用いるエポキシ樹脂(A)を合成する際に用いることができる前記一般式(1)で表される構造を有するフェノール化合物の合成が容易である点からは、前記一般式(1)中のRが水素原子、Rが水素原子またはフェニル基であることが好ましく、例えば前記構造式(1−24)、(1−27)で表される構造を有するものが特に好ましい。
前記ジベンゾピラン骨格をエポキシ樹脂に導入する手法としては特に限定されるものではないが、例えば、該骨格を有する多価フェノール化合物(a1)を合成し、これを用いて後述する製法でエポキシ樹脂とする方法が挙げられる。前記多価フェノール化合物(a1)の合成方法としては、例えば、ジヒドロキシ芳香族化合物とカルボニル化合物とを脱水縮合し、さらにその縮合体中の6員環形成可能な位置にあるヒドロキシ基2個をさらに脱水反応させて、ジベンゾピラン骨格を形成させる方法が挙げられる。
前記ジヒドロキシ芳香族化合物としては、水酸基に対して少なくとも1つのオルソ位に置換基を有さない化合物であることを必須とする以外は、特にその構造として制限されるものではなく、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、それらの置換基含有体等のジヒドロキシベンゼン類、1、6−ジヒドロキシナフタレン、2、7−ジヒドロキシナフタレン、それらの置換基含有体等のジヒドロキシナフタレン類等が挙げられる。またそれらの置換基含有体の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも、カルボニル化合物との反応点が1個である3置換ハイドロキノン類を使用することが、副反応物が少なく、高収率で該多価フェノール化合物(a1)を得ることができる点で好ましく、特にその3つの置換基が全てメチル基である事が、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の耐熱性、乾燥管理幅、現像性等に一層優れるために好ましい。
前記カルボニル化合物としては、分子中に少なくとも1個のカルボニル基を含有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロルベンズアルデヒド、ブロムベンズアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、セバシンアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド、フタルアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、トルアルデヒド、α−ナフトアルデヒド、β−ナフトアルデヒド等のアルデヒド類、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ベンジル、アセチルアセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、エチルフェニルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ベンゾフェノン、フルオレノン、インダノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、アンスラキノン、4−ヒドロキシアセトフェノン、アセナフテンキノン、キノン、ベンゾイルアセトン、アダマンタノン、ジアセチル等が挙げられ、これらの中でも、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の耐熱性、乾燥管理幅、現像性に優れる点から、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、α−ナフトアルデヒド、β−ナフトアルデヒドが好ましい。
この反応には、必要に応じて、芳香族性水酸基同士を脱水する機能をもつ触媒を用いることが可能である。前記触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸等の酸触媒が挙げられる。その触媒の使用量としては、用いるジヒドロキシ芳香族化合物とカルボニル化合物との合計100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲であることが好ましい。
また反応を円滑に行う等の目的の為に、必要に応じて、有機溶媒を用いることも可能である。前記有機溶媒としては、これらの原料及び生成物を均一に溶解できるものであれば特に限定されるものではなく、原料及び生成物の溶解性、反応条件等によって適宜選択されるものであるが、例えば、アルコール系、ケトン系、芳香族炭化水素系又はこれらの混合溶剤等を挙げることができる。具体的にはアルコール系としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等、ケトン系としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、芳香族炭化水素系としては、トルエン、キシレン、クメン等が挙げられ、これらの中でも溶解性に優れる点からトルエン、エチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。その使用量としては、用いるジヒドロキシ芳香族化合物とカルボニル化合物との合計100重量部に対して、20〜500重量部の範囲であることが好ましい。
前記反応は、通常20〜200℃、好ましくは50〜150℃の温度にて、2〜50時間程度、好ましくは5〜24時間程度撹拌を行うことによって脱水する。撹拌終了後、目的とする生成物である多価フェノール化合物(a1)が結晶化して析出した場合は、その結晶物を濾別して、次いで適当な有機溶剤を用いて再結晶精製する、または該多価フェノール化合物(a1)が溶解している場合は、水やメタノール、ヘキサン等の貧溶媒を用いて再沈殿精製、或いは溶媒を蒸留で除去した後に、再結晶精製等を行うことにより純度の高い多価フェノール化合物(a1)を得ることができる。
本発明で用いるエポキシ樹脂(X)としては、前記手法によって得られたジベンゾピラン骨格を有する多価フェノール化合物(a1)を原料として用い、以下の方法によって得ることができる。
(1)前記多価フェノール化合物(a1)を含む多価フェノール類とエピハロヒドリンとを反応させる方法。
(2)前記(1)で得られたエポキシ樹脂中のエポキシ基の一部を更にフェノール類及び/又はカルボン酸類を用いて伸長反応させる方法。
(3)多官能エポキシ樹脂に前記多価フェノール化合物(a1)を含むフェノール類を用いて伸長反応させる方法。
まず、(1)の製造方法について説明する。
この反応は多価フェノール類とエピハロヒドリンからエポキシ樹脂を得る、従来の方法と同様であり、用いる多価フェノール類として前記多価フェノール化合物(a1)を含むものであれば良く、エポキシ化の方法として特に制限されるものではない。
この製造方法において原料として使用する多価フェノール類としては、前記多価フェノール化合物(a1)を単独に使用しても、それ以外の多価フェノール化合物(a2)を併用しても良い。ここで併用できる、それ以外の多価フェノール化合物(a2)としては、1分子中に2個以上の芳香族性水酸基を有する化合物であれば特に制限されるものではないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂等のフェノール類ノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のフェノール類アラルキル樹脂、トリフェニルメタン樹脂、テトラフェニルエタン樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ノボラック樹脂等が挙げられ、これらの中でも、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の乾燥管理幅が広く、且つ仮乾燥後の指触乾燥性が良好となる点から、フェノール類ノボラック樹脂が好ましく、この中でも特にクレゾールノボラック樹脂が好ましい。またこれらの多価フェノール化合物(a2)は単独で用いても、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、ジベンゾピラン骨格を含有する多価フェノール化合物(a1)とそれ以外の多価フェノール化合物(a2)との混合割合は、得られるルカリ現像型感光性樹脂組成物の耐熱性、乾燥管理幅、現像性のバランスに優れる点から、ジベンゾピラン骨格を含有する多価フェノール化合物(a1)とそれ以外の多価フェノール化合物(a2)との重量比(a1)/(a2)が98/2〜30/70の範囲であることが好ましく、特に95/5〜50/50(重量比)の範囲であることが好ましい。
また、エピハロヒドリンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられる。これらの中でも反応性が良好である点からエピクロルヒドリンが好ましい。
ジベンゾピラン骨格を含有する多価フェノール化合物(a1)を含む多価フェノール類とエピハロヒドリンとの反応について以下に述べる。
該多価フェノール類とエピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる。エピハロヒドリンの添加量は、原料の多価フェノール類の水酸基1当量に対して、通常0.3〜20当量の範囲で用いられる。エピハロヒドリンが2.5当量よりも少ない場合、エポキシ基と未反応水酸基が反応しやすくなるため、エポキシ基と未反応水酸基が付加反応して生成する基(-CH2CR(OH)CH2-、R:水素原子又は有機炭素基)を含む高分子量物が得られる。一方、2.5当量以上の場合は、多価フェノール類の水酸基がグリシジル基になった低分子量のエポキシ化合物の含有量が高くなる。所望の特性、例えばエポキシ当量や粘度に応じて、エピハロヒドリンの量を適宜調節することができる。
前記反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
また、多価フェノール類とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる多価フェノール類のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。
更に、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。
前記アルコール類又はエーテル類を溶媒とする場合は、使用するエピハロヒドリンの量に対し通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%使用する。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合は、使用するエピハロヒドリンの量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜60重量%使用する。
これらの反応によって得られた反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンやその他の添加溶媒などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするためには、エピハロヒドリンを回収した後に得られる粗エポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応させて閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は粗エポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。このときの反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量は、用いる粗エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0重量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂を得ることができる。
次に(2)の製造方法について説明する。
この反応は、エポキシ樹脂とフェノール類及び/またはカルボン酸類とを付加反応させて、分子鎖伸長させたエポキシ樹脂を得る一般的反応と同一であり、エポキシ樹脂として(1)の製法で得られた、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂を用いればよい。
すなわち、該エポキシ樹脂のエポキシ基が使用するフェノール類及び/又はカルボン酸類の官能基に対して過剰になるような範囲内で目標とする分子量(エポキシ当量)を設定し、その設定値で理論仕込み比率を算出し、その割合で原料を反応器に仕込む。次いでエポキシ基と水酸基及び/又はカルボキシル基の付加反応に好適な触媒を適量添加して、適当な温度条件下で撹拌して付加反応を進める。目標とする設定分子量(エポキシ当量)に到達した時点を反応終点として反応生成物を取り出すことにより、本発明で用いるエポキシ樹脂(X)を得ることができる。
ここで用いることができるフェノール類としては、1価フェノール類として、例えば、フェノール、o−クレゾール、p−ターシャリーブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、α−ナフトール、ブチルナフトール等のアルキルナフトール類、2,3−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール等のジアルキルフェノール類、ジメチルナフトール、ジブチルナフトール等のジアルカリナフトール類等が挙げられ、多価フェノール類としては、例えば、前述のジベンゾピラン骨格を有する多価フェノール化合物(a1)、芳香環に置換基を有していても良いカテコール、ハイドロキノン、ブチルジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等のビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂等が挙げられ、これらの中でも、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の耐熱性、乾燥管理幅、現像性等のバランスに優れる点から、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハイドロキノン、カテコールが好ましく、またこれらは単独でも、2種以上の混合物として使用することも可能である。
前記カルボン酸類としては、例えば、トール油脂肪酸、ネオデカン酸、ドデカン酸、ひまし油脂肪酸等のモノカルボン酸類、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、乾性油、半乾性油から得られる精製植物脂肪酸等の高級不飽和脂肪酸を二量化して得られるダイマー酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の炭素原子数18の不飽和脂肪酸等が挙げられる。また、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用することも可能である。
(1)の製法で得られたエポキシ樹脂と前記フェノール類及び/又は前記カルボン酸類の仕込み比は、所望とするエポキシ樹脂(X)のエポキシ当量、粘度等により調節することが好ましい。
この反応においては、必要に応じて有機溶媒を用いても良く、前記有機溶媒としては、原料或いは反応生成物が均一に溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール等のアルコール系溶媒、メチルセロソルブアセテート、エチルジグリコールアセテート等のアセテート系溶媒を挙げることができる。前記有機溶媒の使用量としては、原料と触媒の種類、反応温度、所望とする反応時間等によって適宜選択されるものであるが、原料として用いるエポキシ樹脂とフェノール類及び/又はカルボン酸類の合計100重量部に対して、5〜500重量部であることが好ましい。
前記触媒としては、エポキシ基と水酸基及び/又はカルボキシル基とを反応させることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、苛性ソーダ、苛性カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物、トリメチルアミン塩酸塩、トリエチルベンジルアミン塩酸塩等の4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスホニウム化合物等を挙げることができる。その使用量としては、原料と触媒の種類、反応温度、所望とする反応時間等によって適宜選択されるものであるが、エポキシ樹脂とフェノール類及び/又はカルボン酸類の合計100重量部に対して0.001〜0.1重量部の範囲であることが好ましい。また反応温度としても、原料と触媒の種類、所望とする反応時間等によって異なるが50〜200℃の範囲であることが好ましい。反応時間としては、前記反応諸条件によって異なるが、設定分子量(エポキシ当量)に到達する時点までを要し、生成したエポキシ樹脂の品質安定性を考慮して1〜15時間の範囲であることが好ましい。
また微量不純物を嫌う精密な用途に適用する場合には、添加した触媒を水洗や濾過等の操作によって除去してから使用することが好ましい。
次に(3)の製造方法について説明する。
この方法は、(2)の製法においてエポキシ樹脂として1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を用い、フェノール類として前述のジベンゾピラン骨格を有する多価フェノール化合物(a1)を必須とするフェノール類を用いる以外は、前記(2)と同様である。
ここで用いることができる多官能エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば良く、その構造が特に制限されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の耐熱性、乾燥管理幅、現像性等のバランスに優れる点から2官能型エポキシ樹脂であることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記多官能エポキシ樹脂と多価フェノール化合物(a1)を必須とするフェノール類の仕込み比は、所望とするエポキシ樹脂(A)のエポキシ当量、粘度等により調節することが好ましく、特に制限されるものではないが、得られるエポキシ樹脂組成物の難燃性が良好である点から、多官能エポキシ樹脂とフェノール類との合計100重量部中、前記多価フェノール化合物(a1)が30〜70重量部の範囲であることが好ましい。
上述の(1)〜(3)の製造方法のうち、得られるエポキシ樹脂(A)を用いたエポキシ樹脂組成物の難燃性が良好である点から、(1)の製造方法である、多価フェノール化合物(a1)とそれ以外の多価フェノール化合物(a2)との混合物とエピハロヒドリンとを反応させる方法が好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、エポキシ樹脂(X)に他のエポキシ樹脂を併用することも可能である。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に用いられるカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)は、特に限定されるものではないが、多官能エポキシアクリレート化合物と酸無水物化合物とを反応させて得られるものが好ましい。ここで多官能エポキシアクリレート化合物は、種々の多官能エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸とを反応させたものが何れも使用できる。
ここで使用される多官能エポキシ樹脂としては、レゾルシン型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビナフトール型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂等のビフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのなかでも特にアルカリ可溶性や耐熱性等の点からノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。上記多官能エポキシ樹脂に反応させる不飽和カルボン酸は、1分子中に1個以上の2重結合とカルボン酸を含有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的にはアクリル酸やメタクリル酸などが挙げられる。
カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)は、上記多官能エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸とを反応させて得られる多官能エポキシアクリレート化合物に、酸無水物化合物を反応させたものであるが、ここで使用し得る酸無水物化合物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等の多塩基酸無水物が挙げられる。
反応させる酸無水物化合物の割合は、特に制限されるものではないが、カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物の1水酸基当量に対し、酸無水物基が0.2〜2.5モルであることが好ましい。即ち、0.2モル以上の範囲においては、アルカリ水溶液に対する溶解性が向上し、また、2.5モル以下の範囲においては安定性が良好なものとなる。
この様なカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)は、酸価30〜200mgKOH/gなる範囲が好ましい。即ち、酸価が200mgKOH/g以下の範囲においては硬化膜の耐アルカリ性、電気特性等の特性が良好なものとなり、30mgKOH/g以上においてはアルカリ水溶液に対する溶解性が一層優れたものとなる。
次に、本発明の組成物で用いる光重合開始剤(C)は、特に制限されるものではなく、一般的にエチレン結合を有する光重合性不飽和化合物の光重合開始剤として使用されるものが何れも使用できる。このような光重合開始剤(C)としては、具体的には、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、 2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン等のイオウ化合物、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2−メルカプトベンゾイミグゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物、アゾビスイソブチルニトリルなどが挙げられる。これらの化合物は1種でもよいし、2種以上を併用してもよい。また、それ自体では光重合開始剤として作用しないが、上記の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤の能力を増大させ得るような化合物を添加することもできる。そのような化合物としては、例えばベンゾフェノンと組み合わせて使用すると効果のあるトリエタノールアミン等の第3級アミンなどが挙げられる。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、詳述した、カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)と、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)と、光重合開始剤(C)を必須成分として含有するものであり、これら各成分の配合割合は特に制限されるものではないが、カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)100重量部に対し、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)成分が5〜50重量部、光重合開始剤(C)成分が0.1〜30重量部であることが本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。即ち、化合物(A)100重量部に対し、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)成分が5重量部以上より硬化物の耐アルカリ性が良好なものとなり、50重量部以下においてはアルカリ水溶液による現像性が一層良好なものとなる。また、化合物(A)100重量部に対し、光重合開始剤(C)成分が0.1重量部以上用いることにより光重合の速度が高まり、感度が向上する。一方、30重量部以下においては、光が樹脂層底部まで充分に到達し易くなることから、現像マージンを拡大でき、また、基板との密着力が向上する。
これらのなかでも、特にカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)100重量部に対し、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)を含有するエポキシ樹脂(B)成分が10〜30重量部、光重合開始剤(C)成分が1〜20重量部であることが上記した各性能のバランスがより一層良好となる点から好ましい。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)の硬化剤成分として、ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)以外のエポキシ樹脂を併用してもよい。併用するジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)以外のエポキシ樹脂としては、特に制限されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビナフトール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂などが挙げられる。また難燃性を付与するために、上記エポキシ樹脂の臭素置換体である、臭素化エポキシ樹脂を用いることが好ましい。具体的には、テトラブロモビスフェノールAや臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。この場合、樹脂組成物中の臭素含有量は、3〜30重量%の範囲となるように臭素化エポキシ樹脂を用いることが好ましい。即ち、3重量%以上の範囲において難燃効果が著しく良好なものとなり、また、30重量%以下において、臭素量が多くなり過ぎた場合のめっき被膜のふくれなどの発生を防止できる。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、上記した各成分に加え、他のエチレン結合を有する光重合性不飽和化合物(D)を使用目的の物性に合わせて配合することができる。他のエチレン結合を有する光重合性不飽和化合物(D)のその場合の配合量は、カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)成分100重量部に対し、50重量部以下となる範囲が、プレキュアー後のタック性の点から好ましい。このような光重合性不飽和化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。
また、本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、必要に応じてエポキシ基硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、体質顔料等の各種添加剤を配合することができる。エポキシ基硬化促進剤としては、例えばアミン化合物類、イミダゾール化合物、カルボン酸類、フェノール類、第4級アンモニウム塩類、メチロール基含有化合物類などが挙げられ、それらを少量併用して塗膜を加熱することにより、得られる絶縁被膜の耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐メッキ性、密着性、電気特性及び硬度等の諸特性を向上させることができる。
熱重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジンなどが、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルなどが、消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物などが、体質顔料としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、クレー及びアエロジルなどがそれぞれ挙げられる。以上詳述した本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、ビルドアップ多層基板の層間絶縁材料やプリント配線板の永久絶縁保護膜として好適に用いられ、特にビルドアップ多層基板の層間絶縁材料として有用である。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、必要に応じて以下に示すような顔料、充填剤、添加剤等が使用できる。例えば、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料、酸化チタン、金属箔状顔料、防錆顔料等の無機顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、球状溶融シリカ、破砕状溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ、カーボンブラック、タルク、クレー等の充填剤、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤、シラン系、チタン系等のカップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、ハジキ防止剤、消泡剤等の添加剤等が挙げられる。また必要に応じてガラス繊維、ガラス布、炭素繊維等の強化材を含有する事ができる。また必要に応じて難燃付与剤も添加できる。この難燃付与剤としては種々のものが使用できるが、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化合物、赤リンや各種燐酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミン或いはその誘導体などの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が例示できる。
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に、前記の顔料、充填剤、添加剤等を適宜混合することで、レジストインキを調製することが出来る。
以下に、本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物から調製された前記レジストインキを用いたプリント配線板の製造例として、ビルドアップ多層基板の層間絶縁材料として使用する方法を例示する。まず、上記した各成分を3本ロールミルなどで混練してアルカリ現像型感光性樹脂組成物を調製する。この感光性樹脂組成物をスクリーン印刷等任意の方法で基板上に塗工後、溶媒を蒸発させて塗膜をタックフリーにするための乾燥を行う。乾燥後、所望のマスクパターンをコンタクト(接触)又はオフコンタクト(非接触)の状態にして組成物の塗膜が形成された基板上に置き、紫外線を選択的に照射する。紫外線により露光された領域の組成物塗膜の成分は、光重合して架橋構造をとって不溶化する。非露光領域をアルカリ水溶液を用いて除去することによって、現像された所望のパターンを得る。アルカリ水溶液としては、0.1〜10重量%の水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンの水溶液などが用いられる。このようにして得られたパターンを、100〜200℃の加熱処理や紫外線照射を行って塗膜強度を向上せしめた後、無電解めっきなどで信号配線の形成、バイアホール内面めっきなどを行うことにより、耐湿信頼性、耐熱性に優れたプリント配線板を得ることができる。
本発明を実施例および比較例に基づき、更に詳しく説明するが本発明の技術範囲およびその実施態様はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例中の「部」または「%」は特記しない限り重量基準である。以下に述べる手法により、本実施例の樹脂の性状値試験を行った。
(1)エポキシ当量:1当量のエポキシ基を含む樹脂の重量(g)であり、JIS K−7236に準拠して求めた。
(2)軟化点:JIS K−7234(環球法)に準拠した。
合成例1
(1)多価フェノール化合物(a1)の合成
撹拌装置及び加熱装置が付いた1リットルの四つ口フラスコに、トリメチルハイドロキノン304g(2.0モル)をトルエン1000gとエチレングリコールモノエチルエーテル400gの混合溶媒に溶解した。その溶液にパラトルエンスルホン酸10gを加え、41%ホルマリン88g(1.2モル)を発熱に注意しながら滴下して、水分を留去しながら100〜120℃で15時間撹拌した。次いで、冷却して析出結晶を濾別し、中性になるまで繰り返し水で洗浄した後に、乾燥して下記構造式(a1−1)で表される多価フェノール化合物264gを得た。この化合物の水酸基当量は149g/eq.(アセチル化法)であり、GPCによる純度は99%であった。
Figure 2006251007
(2)エポキシ樹脂(A)合成
温度計、滴下ロート、冷却管及び撹拌機を取り付けた2リットルのフラスコに窒素ガスパージを施しながら、合成例1−(1)で得られた多価フェノール化合物(a1−1)149g(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール53g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2.3gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液82g(1.0モル)を5時間かけて滴下した、次いで同条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら反応した。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン550gとn−ブタノール55gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液15gを添加して80℃で2時間反応させた後に、洗浄液のPHが中性となるまで水100gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して下記構造式(A−1)で表されるエポキシ樹脂188gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は227g/eq.であった。またGPC分析より下記構造式(A−1)中の繰り返し数nは0.1であった。
Figure 2006251007
合成例2
(1)多価フェノール化合物(a1)の合成
合成例1−(1)においてホルマリン88gの代わりにベンズアルデヒド127g(1.2モル)を用いる以外は合成例1−(1)と同様にして、下記構造式(a1−2)で表される多価フェノール化合物318gを得た。この化合物の水酸基当量は187g/eq.(アセチル化法)であり、GPCによる純度は99%であった。
Figure 2006251007
(2)エポキシ樹脂(A)の合成
合成例1−(2)において多価フェノール化合物(a1−1)149gの代わりに、多価フェノール化合物(a1−2)187g(水酸基1.0当量)を用いる以外は、合成例1−(2)と同様にして、下記構造式(A−2)で表されるエポキシ樹脂220gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は262g/eq.であった。またGPCチャートから下記構造式中の繰り返し数であるnは0.1であることを確認した。
Figure 2006251007
合成例3
合成例1−(1)において、多価フェノール化合物(a1−1)149gの代わりに、多価フェノール化合物(a1−2)131g(水酸基0.7当量)とビスフェノールF30g(水酸基0.3当量)との混合物を用いる以外は,合成例1と同様にして、エポキシ樹脂(A−3)210gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は241g/eq.、軟化点は70℃であった。
合成例4
合成例1−(1)において、多価フェノール化合物(a1−1)149gの代わりに、多価フェノール化合物(a1−2)131g(水酸基0.7当量)とクレゾールノボラック樹脂33g(水酸基0.3当量)との混合物を用いる以外は、合成例1と同様にして、エポキシ樹脂(A−4)213gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は250g/eq.、軟化点は98℃であった。
合成例5
〔カルボキシル基含有光重合性不飽和化合物の合成〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−695(大日本インキ化学工業製、エポキシ当量=214)214gを撹拌機及び還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート206gを加えて加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1gと、反応触媒としてトリフェニルホスフィン2.0gを加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72gを徐々に滴下し、16時間反応させた。得られた反応生成物を80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物91.2gを加えて8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物は、不揮発分65%、固形物の酸価87.5mgKOH/gであった。以下、この反応生成物の溶液をAワニスと称す。
実施例1
上記で得られたAワニス100gに、上記合成例1で得たエポキシ樹脂(A−1)34g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(A)を調製した。
実施例2
上記で得られたAワニス100gに、上記合成例2で得たエポキシ樹脂(A−2)39g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(B)を調製した。
実施例3
上記で得られたAワニス100gに、上記合成例3で得たエポキシ樹脂(A−3)31g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(C)を調製した。
実施例4
上記で得られたAワニス100gに、上記合成例4で得たエポキシ樹脂(A−4)37g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(D)を調製した。
比較例1
上記で得られたAワニス100gに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−695(大日本インキ化学工業製、軟化点95℃、エポキシ当量214g/当量)32g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(E)を調製した。
比較例2
上記で得られたAワニス100gに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−775(大日本インキ化学工業製、軟化点74℃、エポキシ当量188g/当量)29g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(F)を調製した。
比較例3
上記で得られたAワニス100gに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−740(大日本インキ化学工業製、半固形、エポキシ当量181g/当量)27g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(G)を調製した
比較例4
上記で得られたAワニス100gに、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のEPICLON HP−7200HH(大日本インキ化学工業製、軟化点89℃、エポキシ当量276g/当量)42g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(H)を調製した。
比較例5
上記で得られたAワニス100gに、アルキルモノグリシジルエーテル(YED−111)(ジャパンエポキシレジン製、エポキシ当量 290g/eq)19g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−695(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量=214)19g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8g、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン5g、2,4‐ジエチルチオキサントン1g、シリカ10g、硫酸バリウム13g、フタロシアニングリーン1gを3本ロールで混合分散させて、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(I)を調製した。
この組成物の塗膜の熱管理幅及びポストキュアー後の塗膜性能の評価結果を表1および表2に示す。
性能評価:
(1)仮乾燥後の指触乾燥性
上記の実施例1〜4及び比較例1〜5の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、パン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分間、乾燥させた基板を作成し、その塗膜表面の指触乾燥性を評価した。
○:全くベタ付きのないもの
△:ほんの僅かにベタ付きのあるもの
×:ベタ付きのあるもの
(2)乾燥管理幅
上記の実施例1〜4及び比較例1〜5の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で乾燥時間を各々5分間隔で変えた基板を用意する。この基板にネガフィルムを当て、ソルダーレジストパターンを露光し、1%NaCO水溶液によりスプレー圧2kg/cmで1分間現像し、乾燥管理幅(現像可能な最長乾燥時間)を調べた。
(3)現像性
上記の実施例1〜4及び比較例1〜5の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、脱脂洗浄された0.318mmピッチ櫛型電極状にパターン形成されたプリント配線基板に15〜20μmの厚みになるように全面にスクリーン印刷し、次いで80℃で20分間乾燥させ、その塗膜にレジストパターンを有するネガフィルムを密着させ、積算光度500mJ/cmの紫外線を照射露光した。次に液温30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30秒間、及び60秒間、2.0kg/cmのスプレー圧で現像し、目視により未露光部分を下記の基準で評価した。
○:完全にインキが除去され残査なし。
△:僅かに残査がある。
×:現像されない部分がある。
(4)はんだ耐熱性
上記の実施例1〜4及び比較例1〜5の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、脱脂洗浄された0.318mmピッチ櫛型電極状にパターン形成されたプリント配線基板に15〜20μmの厚みになるように全面にスクリーン印刷し、次いで80℃で20分間乾燥させ、その塗膜にレジストパターンを有するネガフィルムを密着させ、積算光度500mJ/cmの紫外線を照射露光した。次に液温30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30秒間、及び60秒間、2.0kg/cmのスプレー圧で現像後、さらにこの基板を150℃で60分間熱硬化して評価基板を作製した。この評価基板にロジン系フラックスを塗布し、予め260℃に設定したはんだ槽に30秒間浸漬し、トリクロロエタンでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト膜の膨れ・剥がれ・変色について評価した。
◎:全く変化が認められないもの
○:ほんの僅か変色のみしたもの
△:ほんの僅か膨れ・剥がれ・変色したもの
×:レジスト膜に膨れ、剥がれがあるもの
上記各試験の結果を表1(実施例)および表2(比較例)にまとめて示す。
Figure 2006251007
Figure 2006251007
表1、2に示す結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、仮乾燥後の指触乾燥性や乾燥管理幅および現像性に優れており、かつ、それらを用いて形成されたレジスト膜は、はんだ耐熱性等のソルダーレジストに要求される諸特性にも優れていた。

Claims (12)

  1. ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(X)とカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物(A)と光重合開始剤(C)とを含有することを特徴とするアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂(X)がジベンゾピラン骨格を有する多価フェノール化合物(a1)とそれ以外の多価フェノール化合物(a2)との混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるものである請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  3. 前記多価フェノール化合物(a1)とそれ以外の多価フェノール化合物(a2)との混合物が、それらの重量比(a1)/(a2)=98/2〜30/70で混合されたものである請求項2記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  4. 前記それ以外の多価フェノール化合物(a2)がフェノール類ノボラック樹脂である請求項2記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  5. ジベンゾピラン骨格を含有するエポキシ樹脂(A)が下記一般式(1)
    Figure 2006251007
    (式中、R、Rは各々独立に水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、または、R、Rを含む環状有機基であり、Rは各々独立に炭素数1〜4のアルキル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であり、nは0〜3の整数である。)
    で表される構造を有するものである請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  6. 前記一般式(1)中のRが炭素数1〜6のアルキル基であり、nが2または3である請求項5記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  7. 前記一般式(1)中のRが水素原子であり、Rが水素原子又はフェニル基であり、Rがメチル基であり、nが3である請求項5記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  8. 前記エポキシ樹脂(X)の軟化点が50〜150℃の範囲である請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  9. 前記のエポキシ樹脂(X)のエポキシ当量が220〜300g/eq.の範囲である請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  10. 更に、エチレン結合を有する光重合性不飽和化合物(D)を含有する請求項1〜9何れか記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  11. レジストインキ用に調製された請求項1〜9何れか記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
  12. 請求項11記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いて回路形成されたプリント配線基板。
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