JP2006213558A - 二元細孔シリカ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ナノ細孔径が大きく、しかも、破壊荷重が高く、充填時、或いは使用時における微粉化が低減された二元細孔シリカを提供すること。また、本発明の他の目的は、上記二元細孔シリカを再現性良く且つ効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】
平均直径が5〜50nmの範囲内にあるナノ細孔と、平均直径が0.1〜20μmの範囲内であるマクロ細孔が形成され、且つ、前記ナノ細孔の容積が0.4〜1.5cm/gの範囲内にあり、マクロ細孔の容積が0.6〜2.0cm/gの範囲内にあり、更に、圧縮強度が10kg/cm以上20kg/cm以下の範囲内にあることを特徴とする二元細孔シリカとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な二元細孔シリカ及びその製造方法に関する。詳しくは、シリカ骨格が絡み合った構造を持つことによって、マイクロメートル領域の細孔径を有するマクロ細孔と、ナノメートル領域の細孔径を有するナノ細孔との二種類のタイプの細孔を有する二元細孔シリカ及びその製造方法に関する。
従来から二元細孔シリカは、触媒担体、カラムなどの用途に広く利用されている。例えば、二元細孔シリカのマクロ細孔は反応液或いは処理液の流路として作用し、また、マクロ細孔に付随して形成されるナノ細孔は、必要に応じて触媒等の機能物質を充填することによって反応或いは吸着点として作用する。この場合、ナノ細孔は、二元細孔を利用する用途に応じて、その細孔径が調整される必要があった。
一方、二元細孔シリカの製造方法は公知であり、例えば、下記の方法が一般に知られている。即ち、(1)珪素源、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を調製した後、(2)温度、pH等を調整しながら上記のゾル液のゲル化を進行せしめ、(3)得られたシリカゲルを水洗し、硝酸ナトリウムなどの水溶性の塩類を除去し、次いで、(4)乾燥、焼成により、二元細孔シリカを得る方法である(例えば下記特許文献1参照)。
上記方法によって一般的に製造される二元細孔シリカのナノ細孔は、一般に、5nm未満と小さい。そのため、二元細孔シリカの用途によっては、かかるナノ細孔を大きくする処理が必要となる。
そこで従来、ナノ細孔の大孔径化を図る方法として、シリカゲルをアンモニアや水酸化ナトリウムなどの塩基性溶媒、または、フッ酸などのシリカを溶解させる酸性溶媒に浸漬し、熟成する方法が提案されている(例えば下記特許文献2参照)。
特開平3−8729号公報 特開平5−208642号公報
ところが、前述の方法では得られる二元細孔シリカは、ナノ細孔を拡大するに連れてその破壊荷重が低下し、これを触媒担体やカラムなどの用途に使用した場合、充填時或いは使用時に微粉化し、触媒担体の用途においては反応の活性や反応の収率低下、カラムの用途においては、吸着効率の低下や通過する流体の圧損の上昇などの問題を有する。
従って、本発明の目的は、ナノ細孔径が大きく、しかも、破壊荷重が高く、充填時、或いは使用時における微粉化が低減された二元細孔シリカを提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記二元細孔シリカを再現性良く且つ効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた結果、シリカ骨格が絡み合った構造を持つことによって、マイクロメートル領域の細孔径を有するマクロ細孔と、ナノメートル領域の細孔径を有するナノ細孔との二種類のタイプの細孔を有する二元細孔シリカに対して水熱処理を行うことによって、上記ナノ細孔が選択的に大口径化すると共に、その過程において、シリカ骨格の強度の低下が極めて効果的に抑制され、細孔径が5nm以上の大きなナノ細孔径を有しながら、強い破壊荷重を合わせ持った二元細孔シリカを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は第一の手段として、平均直径が5〜50nmの範囲内にあるナノ細孔と、平均直径が0.1〜20μmの範囲内であるマクロ細孔が形成され、且つ、ナノ細孔の容積が0.4〜1.5cm/gの範囲内にあり、マクロ細孔の容積が0.6〜2.0cm/gの範囲内にあり、更に、圧縮強度が10kg/cm以上20kg/cm以下の範囲内にあることとする。
また第二の手段として、二次細孔シリカの製造方法において、珪素源、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を相分離の過渡構造においてゲル化させてゲル体を得る工程、このゲル体を水熱処理する工程、を有することとする。
またこの手段において水熱処理する工程は、100〜150℃の範囲内で行うことも望ましく、ゲル体を得る工程の後、ゲル体を水熱処理する工程の前に、ゲル体を乾燥及び焼結する工程を有することものぞましい。
以上、本発明の二元細孔シリカは、孔径が5nm以上の大きな細孔のナノ細孔を有しながら、充填密度によって間接的に特定される所望の細孔の総容積を有することにより強い破壊荷重を合わせ持つ。これによりナノ細孔を要求される触媒担体、カラム等の用途において、充填時、使用時における圧壊により微粉化する現象を効果的に防止することができ、優れた耐久性を発揮することが可能である。そして、かかる二元細孔シリカの実現により、従来の二元細孔シリカの用途を更に拡大することができ、その産業上の寄与は極めて大きい。
また、前記製造方法は、本発明の二元細孔シリカの前駆体であるゲル体のナノ細孔を優先して拡大することが可能であり、また、その際、二元細孔シリカの圧縮強度を低下させないという驚くべき効果を発揮する方法であり、これにより、本発明の二元細孔シリカを再現性良く、工業的に製造することが可能である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
(二元細孔シリカ)
二元細孔シリカの実施の形態は、特に限定されるものではなく、その例としては粉状、顆粒状、粒状、構造体等が挙げられる。また粉状、顆粒状、粒状物の形状については、不定形、球形等が一般的であるが特に球形が好ましい。上記形態や形状は、後述する製造工程におけるゲルの形成条件や必要に応じて実施される粉砕操作等によって達成することができる。
本実施形態に係る二元細孔シリカは、シリカ骨格が絡み合った構造を有している。なお二元細孔シリカにおいて「シリカ骨格が絡み合った構造」とは、シリカの重合体と溶媒相を相分離した状態で固定させ、その溶媒相を除去することでその溶媒相が存在した箇所を空隙とし、シリカの重合体が骨格として複雑に絡み合ったような状態となっている構造をいい、その構造の断面SEMの例を図1に示す。
この構造において、溶媒相が存在した箇所すなわち空隙は貫通した細孔(これを本明細書では「マクロ細孔」という。)を有しており、この二元細孔シリカを触媒担体、カラムなどの用途に用いた場合は反応液や処理液の流路として作用させることができる。
マクロ細孔の細孔径の平均は、いわゆる水銀圧入法による測定の値で表現すると0.1〜20μmの範囲にあることが望ましい。マクロ細孔の細孔径の平均が0.1μm未満の場合は、圧力損失が高くなり触媒反応等に用いる場合には装置上あるいは反応上の不都合をきたす虞があり、マクロ細孔の細孔径の平均が20μmを超えた場合は、二元細孔シリカ粒子の機械的強度が著しく低下するため触媒担体やカラム充填材等に用いることが困難となる虞があるためである。なお水銀圧入法は、平均直径70nm以上の場合に好適に用いることができるため、マクロ細孔の細孔径はこの水銀圧入法による測定の値で表現することとする。
一方、上記シリカ骨格自身にも小さな細孔(以下この細孔を「ナノ細孔」という。)が形成されており、この二元細孔シリカを触媒担体、カラムなどの用途に用いた場合、触媒等の機能物質を充填させて反応或いは吸着点として作用させることができる。
ナノ細孔の細孔径の平均は、いわゆる窒素吸着法により測定することができ、その細孔径の平均は上記方法による測定の値で表現すると5〜50nmが望ましく、より望ましくは5〜20nmである。ナノ細孔の径の平均が5nm未満の場合、二元細孔シリカの破壊荷重は強いがナノ細孔が小さいためナノ細孔への触媒成分等による表面修飾が困難となり、触媒用途としての活性やカラム用途としての分離性能が低下する虞がある。また、ナノ細孔の平均直径が50nmを超えた場合、ナノ細孔への表面修飾は容易となるが、触媒用途としての活性やカラム用途としての分離性能の低下をもたらす虞がある。
また二元細孔シリカのマクロ細孔、ナノ細孔(以下、マクロ細孔とナノ細孔とをあわせた総称を「細孔」という。)の総容積は水銀圧入法、窒素吸着法をそれぞれ用いることにより求めることができる。なお、窒素吸着法は平均直径が70nm以下であるものに好適に用いることができるため、本明細書においてナノ細孔の平均直径は、70nm以下の範囲で窒素吸着法により求められた値をいう。また、水銀圧入法は細孔の平均直径が70nmを越えるものに好適に用いることができるため、本明細書においてマクロ細孔の平均直径は、70nmを超える範囲で水銀圧入法により求められた値をいう。
その値で表現するとナノ細孔の容積が0.4〜1.5cm/gの範囲内であり、マクロ細孔の容積が0.6〜2.0cm/gの範囲内であることが望ましく、より望ましくはナノ細孔の容積が0.7〜1.2cm/gの範囲内にあり、マクロ細孔の容積が0.8〜1.8cm/gの範囲内である。細孔の総容積が3cm/gよりも大きい場合、強度の低下が著しく、触媒用途としての活性やカラム用途としての分離性能の低下をもたらす虞があり、また、細孔の総容積が0.3cm/gよりも小さい場合、細孔の存在量が十分でなく、触媒用途としての活性やカラム用途としての分離性能の低下を引き起こす虞があるためである。
また二元細孔シリカの上記細孔の総容積の量は間接的に「充填密度」を目安として表現することも可能であり、0.2〜0.4g/mlの範囲内にあることが望ましく、より望ましくは0.3〜0.4g/mlの範囲内である。なお、この「充填密度」は、容積一定の容器に充填したときの重量を測定するいわゆる重量法により測定が可能であり、ここではこの重量法による値で表現する。ここで、充填密度が0.2g/mlより小さい場合、強度の低下が著しく、触媒用途としての活性やカラム用途としての分離性能の低下をもたらす虞があり、また、充填密度が0.4g/mlより大きい場合、細孔の存在量が十分でなく、触媒用途としての活性やカラム用途としての分離性能の低下を引き起こす虞がある。なお、このシリカの平均粒子径が1mmを超える場合、0.5〜1mmに粉砕し、蒸気充填密度を測定することが望ましい。
即ち、本二元細孔シリカの最も望ましい態様の一つは、上述のように、ナノ細孔の直径が5〜50nm、マクロ細孔の直径が0.1〜20μm、前記ナノ細孔と前記マクロ細孔との総容積が0.3〜3.0cm/gの範囲内にあり、ナノ細孔径の大きさを5〜50nmに確保しながらも、圧縮強度が12kg/cm以上20kg/cm以下にあることである。なお「圧縮強度」とは、破壊荷重から算出される値であり、「破壊荷重」とは、いわゆる木屋式硬度計によって測定される値である。
従来、ナノ細孔径の大きさが5nm以上の二元細孔シリカは、ナノ細孔を5nm以上に拡大する過程においてシリカ骨格の強度を低下させてしまい、その圧縮強度は8kg/cm程度にまで低下してしまっていた(これについては比較例にて後述する)。しかし、上述の本二元細孔シリカは、ナノ細孔が5nm以上であるにもかかわらず高い破壊荷重を有することができる。それは二元細孔を有するゲル体を水熱処理することによりシリカ骨格におけるナノ細孔においてシリカ成分を顕著に融解させて拡大する一方で、水熱処理による何らかの作用によって溶解させたこのシリカ成分をシリカ骨格に再形成させることで強度を低下させることなく維持できるためと推定される。かかる現象は、二元細孔を有するゲル体に対して水熱処理を行うことによって初めて見出されたものであり、極めて新しい知見である。
(二元細孔シリカの製造方法)
二元細孔シリカの製造方法は特に限定されないが、例えば珪素源、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を相分離の過渡構造の状態でゲル化して固定させ、シリカ骨格が絡み合った構造より成るナノ細孔及びマクロ細孔が形成されたゲル体を得、次いで、このゲル体を水熱処理することによって製造することができる。
珪素源、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を相分離させ、シリカ骨格が絡み合った構造のゲル体を得る方法としては、例えば上記の特許文献1記載のような定法を用いることができる。
ゾル液は、水等の極性溶媒を溶媒とし、これに珪素源、水溶性高分子、酸触媒を所定量含有せしめることによって調製される。また、ゾル液を相分離の過渡構造のままゲル化により固定させる方法は、このゾル液を密閉容器などに入れ、0〜80℃の範囲内で、より望ましくは10〜30℃の範囲内で10分〜1週間放置することによって行うことができ、より望ましくは1時間〜24時間放置することにより行う。
相分離は、上記ゾル液を放置することによって徐々に開始させるが、相分離が完全に起こる前の状態、即ち、相分離の過渡構造にしてゲル化により固定するため、酸触媒の量、放置温度、放置時間を調整してゲル化時間を制御することが有用である。かかる過渡構造においては、シリカの重合体と溶媒相とが絡み合った状態で混在しており、これによりシリカ骨格が絡み合った構造を有するナノ細孔及びマクロ細孔が形成されたゲル体を得ることができる。
ここで珪素源としては、メトキシシラン、エトキシシラン等のケイ素アルコキシドや、水ガラス等が特に制限なく用いられる。なお水ガラスは、ケイ酸アルカリ塩の濃厚水溶液である限りにおいてその種類や濃度は特に限定されないが、JIS規格の水ガラスである珪酸ナトリウムJIS3号またはそれと同等のものがシリカ源として取扱い易い。なおマクロ細孔径の制御は、珪素源等の組成重量比により行うことができるため、マクロ細孔が上記所望の範囲内となるよう適宜調整することが望ましい。
上記の水溶性高分子及び酸触媒は珪素源を含む溶液において相分離とゲル化を同時に起こして湿潤状態のゲルを作成するために有用なものであって、水溶性高分子は、水を溶媒としたとき適当な濃度の溶液を形成することができ、珪素源を含有する溶液中において均一に溶解することができるものが好適に使用される。
水溶性高分子としては、高分子金属塩であるポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、高分子酸であって解離してポリアニオンとなるポリアクリル酸、高分子塩基であってポリカチオンを生ずるポリアクリルアミンまたはポリエチレンイミン、中性高分子であって主鎖にエーテル結合を持つポリエチレンオキシド、側鎖にヒドロキシル基を有するポリビニルアルコール、もしくはカルボニル基を有するポリビニルピロリドン等が挙げられる。なおこれらのうち、ポリアクリル酸およびポリビニルアルコールが、取扱いが容易であり好ましく、ポリアクリル酸の場合は分子量15000〜300000の範囲内にあることが望ましく、より望ましくは20000〜150000の範囲内である。
酸触媒は、上述のように、珪素源の加水分解反応の触媒として働きゲル化を促進するために添加されるものであり、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸または有機酸が好適に使用される。かかる酸触媒の反応系における濃度は0.1〜5モル/Lの範囲内にあることが望ましく、より望ましくは1〜4モル/Lの範囲内である。
ゲル体は、乾燥後のナノ細孔の径が1〜5nmの範囲内、マクロ細孔の径が0.1〜20μmの範囲内、ナノ細孔とマクロ細孔との総容積が0.3〜3.0cm/gの範囲内となるように製造条件を制御しておくことが望ましく、ゲル体のナノ細孔径、マクロ細孔径、充填密度等の制御方法は、公知の方法に従って、適宜実施することができる。例えばマクロ細孔径の制御は、上述のとおり珪素源の組成重量比により行うことができ、ナノ細孔の径は、上記得たゲル体を塩基性溶媒に浸漬させることによって制御することができる。なおナノ細孔およびマクロ細孔の容積の制御も、塩基性溶媒に浸漬させることによりにより行うことができ、充填密度も、塩基性溶媒に含浸により制御することができる。
なお、珪素源として水ガラスを用いた場合は、作製された湿潤ゲルを乾燥する前に洗浄する必要がある。これは、水ガラスからの湿潤ゲルをそのまま乾燥させると乾燥が進むにつれてゲルの崩壊が進んでしまう虞があるからである。従って、乾燥の前に湿潤ゲル内のナトリウム等のアルカリ金属を除去するために洗浄を行い、アルカリ金属塩として取り除くことが極めて望ましい。
またこの場合において洗浄は、ゲルを水に漬けることによって行う。その時間としては例えば厚さ1cm程度のゲルの場合、室温で12時間以上放置することにより行うが、これより薄い場合はより短時間で洗浄可能である。
洗浄後のゲルは、30〜80℃で数時間〜数十時間放置して乾燥を行う。乾燥後、有機物を除去し、マクロ細孔構造を維持するために焼成する。焼成温度は、500〜1100℃が好ましい。
また、本二元細孔シリカの製造方法では、ゲル体の破壊荷重を低下させることなくナノ細孔の直径を優先的に大径化すべく、ゲル体を水熱処理することが必要である。
ゲル体の水熱処理は、水洗後のゲル、乾燥後のゲル、焼成後のゲルのいずれの段階で水熱処理することも可能であるが、焼成後のゲルに対して行うことが最も効果的である。
水熱処理の方法の具体的な態様としては、水熱処理を行うゲル体の重量に対し20〜40%の範囲内でイオン交換水を使用して、オートクレーブ内で行う態様が望ましい。温度条件としては100〜150℃の範囲内が望ましい。水熱処理の温度が100℃未満では十分に二元細孔シリカを溶解させることが出来ず、ナノ細孔を大きくすることはできないためであり、150℃を超えると、二元細孔シリカを激しく溶解させてしまうため、ナノ細孔の制御を行うことが困難となるためである。
また、水熱処理時間は適宜調整可能であり、目的のナノ細孔が得られるまでの時間を予め実験によって決定しておくことは好ましい態様であり、望ましくは1時間〜24時間の範囲内である。
水熱処理後のゲルは、二元細孔シリカに含まれる水分を除去するために乾燥を行うことが望ましい。乾燥温度としては、シリカ骨格に悪影響を与えない条件であれば特に制限されないが、50〜100℃の範囲内であることが望ましい。
以下、実施例を示して更に具体的に説明する。
(ナノ細孔の平均直径及び細孔容積の測定)
ここでは、窒素吸着法により、ナノ細孔の容積及び平均直径を測定する。窒素吸着法は、平均直径が70nm以下の細孔に対して極めて好適に適用できるため、ナノ細孔の容積及び平均直径という場合は窒素吸着法により求めた値を意味する。
液体窒素温度における窒素の吸着量を、絶対平衡吸着圧力0.35MPa以下の条件で、BET法により比表面積計算を行った。装置としては、高速比表面積/細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社製 ASAP2010)を用いた。測定試料は、予め120℃で24時間乾燥し、秤量後200℃で2時間減圧処理し、吸着等温線から比表面積と細孔径分布を算出した。また、以下の式によって、得られる平均細孔径をナノ細孔の平均直径とした。
平均細孔径=(4・V・1000)/A
A(m/g):BETによって算出された比表面積
V(cm/g):窒素吸着によって算出された細孔容積
(マクロ細孔の平均直径及び細孔容積の測定)
ここでは、水銀圧入法により、マクロ細孔の容積及び平均直径を測定する。水銀圧入法は、平均直径が70nm以上の細孔に対して極めて好適に適用できるため、マクロ細孔の容積及び平均直径という場合は水銀圧入法により求めた値を意味する。
予め120℃、12時間乾燥させた測定用試料を、細孔径分布測定装置(カンタクローム社製、POREMASTER−60)を用いて、水銀圧入法によりマクロ細孔の細孔径を測定した。測定で得られた細孔径分布において、マイクロメートル領域に現れる最大ピークの孔径をマクロ細孔の平均直径とした。
(破壊荷重の測定)
木屋式硬度計を用いて、試料の二元細孔シリカを破壊し、その破壊された際の加重を破壊荷重とした。なお、測定する二元細孔シリカの直径を4φとし、破壊荷重は、5回の測定を行い、その平均値とした。その破壊荷重から、下記の式を利用し、圧縮強度を測定した。
圧縮強度=Lc/A
Lc(kg):木屋式硬度計で測定した破壊荷重
A(cm):対象とする構造体の断面積
特に、対象とする構造体が球状の構造体の場合は、下記の式より圧縮強度を算出した。
圧縮強度=(4・Lc)/(π・X
Lc(kg):木屋式硬度計で測定した破壊荷重
X(cm):球状の構造体の直径
(実施例1)
平均分子量25,000のポリアクリル酸(以下「HPAA」という)共存下、水ガラス(3号珪曹)を用いて二元細孔シリカを作製した。仕込組成は、重量比で水:濃硝酸:HPAA:水ガラス=97:37:6.5:55とし、室温で攪拌し均一なゾル液とした。この時、ゾル液の比重は1.2であった。
ゾル液を撹拌後、有機溶媒が満たされたマイクロプレートに滴下し、直径4φの球状の二元細孔シリカゲルを得た。そして有機溶媒と二元細孔シリカゲルとを分離し、ナトリウムを除去するために水洗した後、50℃で乾燥し、更に600℃で2時間焼成を行った。(表1参照)
焼成後、二元細孔シリカを15g、イオン交換水5gをオートクレーブに入れ、120℃、6時間、水熱処理を行った。オートクレーブを冷却し、二元細孔シリカを取り出し、50℃で乾燥させ、物性を評価した。
図1に実施例1に係る試料の断面SEM写真を、図2に試料の水銀圧入法測定及び窒素吸着法測定結果をそれぞれ示す。
本実施例に係る二元細孔シリカは、図1に示すようにマクロ細孔が連続した貫通孔として存在すし、シリカ骨格が絡み合った構造であることを確認した。また、図2の結果によると、マクロ細孔は約1μmの平均直径を有し、ナノ細孔は約6nmの平均直径を有していることを確認した。
さらに、木屋式硬度計にて、破壊荷重を測定した。測定は5回行い、その平均値を破壊荷重とした。さらに、破壊荷重から圧縮強度を算出し、圧縮強度は15kg/cmであった。(表2参照)
(実施例2)
水熱処理の条件を、120℃、24時間に変更した以外は、実施例1と同様の組成、方法で二元細孔シリカビーズを作製した(表1参照)。水熱処理後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に測定したところ、マクロ細孔の平均直径が約1μm、ナノ細孔の平均直径が約8nm、圧縮強度が12kg/cmの二元細孔シリカであった(表2参照)。
(実施例3)
水熱処理の条件を、150℃、2時間に変更した以外は、実施例1と同様の組成、方法で、二元細孔シリカビーズを作製した(表1参照)。
水熱処理後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に測定したところ、マクロ細孔の平均直径が1μm、ナノ細孔の平均直径がは約8nm、圧縮強度は12kg/cmの二元細孔シリカであった。
(比較例1)
水熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の組成、方法で、二元細孔シリカを作製した(表1参照)。
焼成後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に測定したところ、マクロ細孔の平均直径が約1μm、ナノ細孔の平均直径が約2nmであった、圧縮強度は23kg/cmであった(表2参照)。
(比較例2)
水熱処理条件を、上記の特許文献2に記載の熟成条件を0.1規定のアンモニアに浸漬し、50℃、1日間、熟成した以外は、実施例1と同様の組成、方法で、二元細孔シリカを作製した(表1参照)。
図3に試料の水銀圧入法測定結果を示す。熟成処理後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に、測定したところマクロ細孔の平均直径が約1μmで、ナノ細孔の平均直径が約8nmとなっており、ナノ細孔の平均直径を5nm以上に拡大することが可能であったが、圧縮強度は8kg/cmと低下していた(表2参照)。
水熱処理後の二元細孔シリカの断面SEM写真 水熱処理を行った二元細孔シリカの細孔分布 アンモニアで熟成した二元細孔シリカの細孔分布

Claims (4)

  1. 平均直径が5〜50nmの範囲内にあるナノ細孔と、平均直径が0.1〜20μmの範囲内であるマクロ細孔が形成され、且つ、前記ナノ細孔の容積が0.4〜1.5cm/gの範囲内にあり、前記マクロ細孔の容積が0.6〜2.0cm/gの範囲内にあり、更に、圧縮強度が10kg/cm以上20kg/cm以下の範囲内にあることを特徴とする二元細孔シリカ。
  2. 珪素源、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を相分離の過渡構造においてゲル化させ、ゲル体を得る工程、
    前記ゲル体を水熱処理する工程、を有する二次細孔シリカの製造方法。
  3. 前記水熱処理する工程は、100〜150℃の範囲内で行うことを特徴とする請求項2記載の二元細孔シリカの製造方法。
  4. 前記ゲル体を得る工程の後、前記ゲル体を水熱処理する工程の前に、前記ゲル体を乾燥及び焼結する工程を有することを特徴とする請求項2記載の二元細孔シリカの製造方法。
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