JP4693531B2 - 二元細孔シリカの製造方法 - Google Patents

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本発明は、二元細孔シリカの新規な製造方法に関する。詳しくは、製造過程におけるゲル体の収縮率の抑制と得られたゲル体において高い破壊荷重の実現とを両立した二元細孔シリカの製造方法を提供する。
二元細孔シリカは、シリカ骨格が絡み合った構造を持つことによって、マイクロメートル領域の細孔径を有するマクロ細孔と、ナノメートル領域の細孔径を有するナノ細孔との二種類のタイプの細孔を有するものであり、従来から、触媒担体、カラムなどの用途に広く利用されている。上記用途において、マクロ細孔は反応液或いは処理液の流路として作用し、また、該マクロ細孔に付随して形成されるナノ細孔は、必要に応じて触媒等の機能物質を充填することによって反応領域或いは吸着領域として作用する。
上記二元細孔シリカの製造方法は公知であり、例えば、下記の方法が一般に知られている。即ち、珪素源、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を調製した後、温度、pH等を調整しながら該ゾル液のゲル化を進行せしめ、得られたシリカゲルを水洗し、硝酸ナトリウムなどの水溶性の塩類を除去し、次いで、乾燥、焼成により、二元細孔シリカを得る方法である(特許文献1参照)。
ところが、上記方法によって製造される二元細孔シリカは、一般に強度が弱く、強度向上させるための処理が必要となる。そのため、従来、二元細孔シリカの強度向上を図る方法として、焼成温度を高温にする方法が提案されている。
しかしながら、かかる方法では、得られる二元細孔シリカは焼成温度を高温にするにつれて細孔が潰れ、ナノ細孔およびマクロ細孔の存在割合、比表面積が低下し、触媒担体として使用した場合、反応の活性や反応の収率が低下し、また、カラムとして使用した場合は、吸着効率の低下や通過する流体の圧損が上昇するなどの問題を有することが確認された。
特開平3−8729号公報
従って、本発明の目的は、得られる二元細孔シリカの細孔容積、比表面積を高く維持しながら、強度、特に、圧縮強度が高く、これにより、充填時或いは使用時における微粉化を防止し得る、二元細孔シリカの改良された製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、珪酸アルカリ、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液の相分離の過渡構造をゲル化により固定させて、ナノ細孔及びマクロ細孔が形成されたゲル体を得る方法において、該ゾル液に溶解してシリカ濃度を増大させる、溶解性シリカ粒子を添加することにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、珪酸アルカリ、溶解性シリカ粒子、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液をの相分離の過渡構造をゲル化により固定させて、ナノ細孔及びマクロ細孔が形成されたゲル体を得ることを特徴とする二元細孔シリカの製造方法を提供する。
本発明の二元細孔シリカの製造方法によれば、マクロ孔及びナノ孔の細孔容積が均一に、且つ十分確保され、また、高い比表面積を有しながら、高い圧縮強度を併せ持つ、優れた二元細孔シリカを製造することが可能である。
そして、得られた二元細孔シリカは、前記触媒やカラム等の用途において、高い圧縮強度により、充填時或いは使用時における粒子の微粉化を防止することができ、また、高い性能を発揮することができる。
また、前記製造方法は、二元細孔シリカの製造過程において、ゲル体の乾燥による収縮率を抑制させることが可能であり、これによって、上記二元細孔シリカを再現性良く、工業的に製造することが可能である。
さらに、珪酸アルカリに対し、溶解性シリカ粒子を添加することにより、原料のゾル液が適度に増粘し、ゾル液のハンドリングが向上するので、ゲル体の仕込みや成形工程の再現性も向上するという特徴を有する。
本発明の方法において、ゾル液に溶解性シリカ粒子を添加することによって上述の効果が発揮される作用は明らかではないが、本発明者らは、溶解性シリカ粒子が、少なくともゲル体の形成過程の初期において、ゾル液中で完全に溶解することなく、ゲル体の形成過程で一定の珪酸イオンを放散しながらゾル液中に存在することによって、ゲル体に十分な強度を与えるシリカ骨格を形成することができるためであると推定している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、珪酸アルカリは、その種類や濃度は特に限定されないが、JIS規格の水ガラスである珪酸ナトリウムJIS3号に相当するモル比、珪酸濃度を有するものがシリカ源として取扱い易く好ましい。具体的には、SiO/NaOモル比が2.5〜3.5、珪酸濃度がSiOとして25〜35g/100ccのものが好適である。
また、ゾル液の相分離とゲル化を同時に起こして湿潤状態のゲルを作製するために、水溶性高分子及び酸触媒が使用される。
上記水溶性高分子は、水を溶媒としたとき相分離を誘起するために適当な濃度の溶液を形成することができる有機高分子であって、珪酸アルカリを含有する溶液中において均一に溶解することができるものが使用される。例えば、高分子金属塩であるポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、高分子酸であって解離してポリアニオンとなるポリアクリル酸、高分子塩基であってポリカチオンを生ずるポリアクリルアミンまたはポリエチレンイミン、中性高分子であって主鎖にエーテル結合を持つポリエチレンオキシド、側鎖にヒドロキシル基を有するポリビニルアルコール、もしくはカルボニル基を有するポリビニルピロリドン等が挙げられる。
これらのうち、ポリアクリル酸およびポリビニルアルコールが、取扱いが容易であり好ましい。このポリアクリル酸は分子量15000〜300000、好ましくは20000〜150000のものが好適である。上記水溶性高分子の添加重量は、ゾル液中に対し1〜10重量%、好ましくは3〜5重量%の範囲となるように調整することが好ましい。
また、酸触媒は、シリカ源の加水分解反応の触媒として働きゲル化を促進するために添加されるものであり、通常硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸または有機酸が使用される。かかる酸触媒の添加濃度は、ゾル液中の濃度で0.1〜5モル/L、好ましくは1〜4モル/Lの範囲となるように調整することが好ましい。
本発明の二元細孔シリカの製造方法は、前記珪酸アルカリ、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を相分離の過渡構造をゲル化により固定させて、ナノ細孔及びマクロ細孔が形成されたゲル体を得る、従来の二元細孔シリカの製造方法において、上記ゾル液に溶解性シリカ粒子を添加する点で、その構成が従来技術と大きく異なる。
かかる溶解性シリカは、前記ゾル液に溶解するものであれば、特に制限されない。かかる溶解性のレベルは、室温、かつ、pH9の水溶液において、200ppm以上1000ppm以下の溶解度を持つ溶解性シリカが好適である。
上記溶解性シリカを具体的に例示すれば、沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。また、その粒子径は、ゾル液中で沈降し難いよう、レーザー回折散乱法にて測定した平均粒子径で0.01〜10μm、特に、0.1〜1μmのものを添加することが好ましい。
上記溶解性シリカ粒子の添加割合は、珪酸アルカリに対して0.5〜20重量%となるように添加することが好ましい。好ましくは、3〜20重量%が好適である。上記添加量が0.5重量%未満の場合、得られる二元細孔シリカの圧縮強度の低下や乾燥時の収縮率の低下を招く場合がある。また、20重量%を超えた場合、原料ゾル液を相分離の過渡構造をゲル化により固定させる際に、溶解性シリカ粒子の存在が相分離の過渡構造を破壊し易くなり、マクロ細孔の形成を低下させる傾向がある。
また、ゾル液中での溶解性シリカの形態は、一部が固体として存在することが、ゲル化時に適度な珪酸成分を系に供給できるため好ましい。即ち、ゾル液に多量の珪酸成分を溶解せしめるためには、原料として使用する珪酸アルカリのモル比を高める方法も考えられるが、かかる方法によれば、珪酸成分の一部が固体として存在できず、強度が強いゲルを得ることが困難となる。
さらに、前記溶解性シリカの添加により、珪酸成分の濃度を高める方法によれば、原料として使用する珪酸アルカリのモル比を高めたゲルに対しても、強度を高めることが可能であるというメリットを有する。
本発明の二元細孔シリカの製造方法において、ゾル液の調製は、水を溶媒とし、これに珪酸アルカリ、溶解性粒子、水溶性高分子及び酸触媒を前記量比で含有せしめることによって調製される。
また、上記ゾル液を相分離の過渡構造をゲル化により固定させる方法は、該ゾル液を密閉容器などに入れ、0〜80℃で、好ましくは10〜30℃で10分〜1週間、さらに好ましくは1時間〜24時間放置することにより行うことができる。
ここで、相分離は、前記組成のゾル液を放置することによって徐々に開始し、ここで、酸触媒の量、放置温度、放置時間を調整して、ゲル化時間を制御することによって、相分離が完全に起こる前の状態、即ち、相分離の過渡構造の状態をゲル化により固定することができる。かかる過渡構造においては、シリカの重合体と溶媒相とが絡み合った状態で混在しており、これにより、シリカ骨格が絡み合った構造より成る、ナノ細孔及びマクロ細孔が形成されたゲル体が形成される。この時、溶解性シリカ粒子の作用により、得られるゲル体の細孔容積、比表面積を適度に維持しながら、圧縮強度を向上させることができる。
上記方法によって得られるゲル体は、乾燥後のナノ細孔の直径が5nm以下、マクロ細孔の直径が0.1〜20μm、充填密度が0.3〜0.5g/mlの二元細孔を形成するように、その製造時の条件を公知の方法に準じて制御すればよい。
さらに、ナノ細孔径の制御は、塩基性溶媒に含浸漬させる、及び、水熱処理することにより、マクロ細孔径の制御は、珪素源の組成重量比により行うことができ、また、ナノ細孔およびマクロ細孔の容積の制御は、塩基性溶媒に含浸(熟成)、及び、水熱処理により行うことができる。また、充填密度は、塩基性溶媒に含浸により制御することができる。
尚、ゾル液からゲル体を得るための前記方法において、作製された湿潤ゲルを乾燥する前に洗浄することが好ましい。これは、水ガラスからの湿潤ゲルをそのまま乾燥させると乾燥が進むにつれてゲルの崩壊が進む虞があるからである。従って、乾燥の前に湿潤ゲル内のナトリウム等のアルカリ金属を除去するために洗浄を行い、アルカリ金属塩として取り除く。
洗浄は、ゲルを水に漬け、厚さが1cm程度あるゲルでは室温で12時間以上放置することにより行うが、ゲルの厚さがこれより薄ければより短時間で洗浄可能である。
塩基性溶媒に含浸(熟成)は、0.01〜10規定のアルカリ溶液中で0〜80℃の温度で行うのが好ましい。これら熟成条件は、希望とするナノ細孔の平均細孔径を適宜選択することにより決定できる。
水洗後のゲルは、30〜80℃で数時間〜数十時間放置して乾燥を行う。乾燥後、有機物を除去し、なおかつマクロ細孔構造を維持するために焼成する。焼成温度は、500〜1100℃が好ましい。
ゲル体の水熱処理は、前記水洗後のゲル、乾燥後のゲル、焼成後のゲルのいずれの段階で水熱処理しても良いが、焼成後のゲルに対して行うことが最も効果的である。
水熱処理の方法を具体的に示せば、水熱処理を行うゲル体の重量に対して、20〜40%のイオン交換水を使用して、オートクレーブ内で行うのが好ましい。また、温度条件は、100〜150℃が適当である。即ち、前記水熱処理の温度が100℃未満では、十分に二元細孔シリカを溶解させることが出来ず、ナノ細孔を大きくすることはできない。また、150℃を超える場合は、二元細孔シリカを激しく溶解させるため、ナノ細孔の制御を行うことが困難となる。
また、水熱処理時間は、目的のナノ細孔が得られるまでの時間を予め実験によって決定することが好ましい。一般には、1時間〜24時間で行うことによって目的のナノ細孔を有する二元細孔シリカを得ることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(ナノ細孔の平均直径及び細孔容積の測定)
ここでは、窒素吸着法の測定限界のため、ナノ細孔を含む70nm以下の細孔についてのみに窒素吸着法を適用する。
液体窒素温度における窒素の吸着量を絶対平衡吸着圧力0.35MPa以下で、BET法により比表面積計算を行った。高速比表面積/細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社製 ASAP2010)を用い、予め120℃で24時間乾燥し、秤量後200℃で2時間減圧処理した後の測定試料について、吸着等温線から比表面積と細孔径分布を算出した。また、以下の式によって、得られる平均細孔径をナノ細孔径とした。
平均細孔径=(4・V・1000)/A
A(m/g):BETによって算出された比表面積
V(cm/g):窒素吸着によって算出された細孔容積
(マクロ細孔の細孔直径及び細孔容積の測定)
ここでは、水銀圧入法の測定限界のため、マクロ細孔を含む70nmを超える細孔についてのみに水銀圧入法を適用する。
予め120℃、12時間乾燥させた測定用試料を、細孔径分布測定装置(カンタクローム社製、POREMASTER−60)を用いて、水銀圧入法によりマクロ細孔の細孔径および細孔容積を測定した。測定で得られた細孔径分布において、70nm以上の領域に現れる細孔径分布の面積によって、平均細孔径を算出し、その平均細孔径をマクロ細孔の平均直径とした。
(圧縮強度の測定)
木屋式硬度計を用いて、試料の二元細孔シリカを破壊し、その破壊された際の加重を破壊荷重とした。なお、測定する二元細孔シリカの直径を4φとし、破壊荷重は、5回の測定を行い、その平均値とした。
その破壊荷重から、下記の式を利用し、圧縮強度を算出した。
圧縮強度=Lc/A
Lc(kg):木屋式硬度計で測定した破壊荷重
A(cm):対象とする構造体の断面積
特に、対象とする構造体が球状の構造体の場合は、下記の式より圧縮強度を算出した。
圧縮強度=(4・Lc)/(π・X
Lc(kg):木屋式硬度計で測定した破壊荷重
X(cm):球状の構造体の直径
実施例1
平均分子量25,000のポリアクリル酸(以下HPAAという)共存下、水ガラス(3号珪曹)より、二元細孔シリカを作製した。水ガラスには、溶解性シリカ粒子として、シリカ(株式会社トクヤマ製、QS−102)を、重量比で、水ガラス:シリカ=55:9.9(アルカリ珪素源に対し、18.0重量%)となるように添加し、マグネティックスターラーで混合した。その後、仕込組成が、重量比で水:濃硝酸:HPAA=97:37:6.5となる酸性の水溶液に、溶解性シリカ粒子が溶解した水ガラスを、室温で攪拌し均一なゾル液とした。この時、ゾル液の比重は1.2であった。
撹拌後、ゾル液を、有機溶媒を満たしたマイクロプレートに滴下し、相分離の過渡構造をゲル化により固定させ、直径が4φである球状の二元細孔シリカゲルを得た。ゲル化後、有機溶媒と二元細孔シリカゲルを分離し、ナトリウムを除去するために該ゲルを水洗した後、50℃で乾燥した後、600℃で2時間焼成を行った。
焼成後、得られた二元細孔シリカの物性を評価した。
図1に試料の断面SEM写真を、図2に試料の水銀圧入法および窒素吸着法による細孔分布測定結果を示す。図1に示すように、溶解性シリカ粒子を添加した二元細孔シリカは、マクロ細孔の平均直径が0.3μmの連続した貫通孔として存在する多孔体である。また、図2に示すように、マクロ細孔とナノ細孔が共に存在し、そのナノ細孔の平均直径は5nmであることを確認した。さらに、木屋式硬度計にて、破壊荷重を測定した。測定は5回行い、その平均値を破壊荷重とした。さらに、破壊荷重から圧縮強度を算出した。圧縮強度は40.4kg/cmであった。
結果を表1に示す。
実施例2
平均分子量25,000のポリアクリル酸(以下HPAAという)共存下、水ガラス(4号珪曹)より、二元細孔シリカを作製した。水ガラスには、溶解性シリカ粒子として、シリカ(株式会社トクヤマ製、QS−102)を、重量比で、水ガラス:シリカ=65:10.3(アルカリ珪素源に対し、15.8重量%)となるように添加し、マグネティックスターラーで混合した。その後、仕込組成が、重量比で水:濃硝酸:HPAA=97:37:7.0となる酸性の水溶液に、溶解性シリカ粒子が溶解した水ガラスを、室温で攪拌し均一なゾル液とした。その他の操作は、実施例1と同様にして、得られたゾル液を使用して二元細孔シリカを作製した。
焼成後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に、マクロ細孔の平均直径が1.7μmであった。一方、ナノ細孔の平均直径は5nmとなり、圧縮強度は51.0kg/cmであった。
結果を表1に示す。
実施例3
平均分子量25,000のポリアクリル酸(以下HPAAという)共存下、水ガラス(3号珪曹)より、二元細孔シリカを作製した。水ガラスには、溶解性シリカ粒子として、シリカ(株式会社トクヤマ製、QS−102)を、重量比で、水ガラス:シリカ=55:5.9(アルカリ珪素源に対し、10.7重量%)となるように添加し、マグネティックスターラーで混合した。その後、仕込組成が、重量比で水:濃硝酸:HPAA=97:37:6.5となる酸性の水溶液に、溶解性シリカ粒子が溶解した水ガラスを、室温で攪拌し均一なゾル液とした。その他の操作は、実施例1と同様にして、得られたゾル液を使用して二元細孔シリカを作製した。
焼成後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に、マクロ細孔の平均直径が0.3μmであった。一方、ナノ細孔の平均直径は5nmとなり、圧縮強度は37.3kg/cmであった。
結果を表1に示す。
実施例4
平均分子量25,000のポリアクリル酸(以下HPAAという)共存下、水ガラス(3号珪曹)より、二元細孔シリカを作製した。水ガラスには、溶解性シリカ粒子として、シリカ(株式会社トクヤマ製、QS−102)を、重量比で、水ガラス:シリカ=55:1.8(アルカリ珪素源に対し、3.3重量%)となるように添加し、マグネティックスターラーで混合した。その後、仕込組成が、重量比で水:濃硝酸:HPAA=97:37:6.5となる酸性の水溶液に、溶解性シリカ粒子が溶解した水ガラスを、室温で攪拌し均一なゾル液とした。その他の操作は、実施例1と同様にして、得られたゾル液を使用して二元細孔シリカを作製した。
焼成後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に、マクロ細孔の平均直径が0.3μmであった。一方、ナノ細孔の平均直径は5nmとなり、圧縮強度は60.3kg/cmであった。
比較例1
溶解性シリカ粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、得られたゾル液を使用して二元細孔シリカを作製した。
焼成後の二元細孔シリカは、実施例1と同様に、マクロ細孔の平均直径が0.3μmであった。一方、ナノ細孔の平均直径は2nmとなり、圧縮強度は26.9kg/cmであった。
結果を表1に示す。
比較例2
溶解性シリカ粒子を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして、得られたゾル液を使用して二元細孔シリカを作製した。
焼成後の二元細孔シリカは、実施例2と同様に、マクロ細孔の平均直径が1.7μmであった。一方、ナノ細孔の平均直径は2nmとなり、圧縮強度は15.5kg/cmであった。
結果を表1に示す。
Figure 0004693531
溶解性シリカ粒子を添加した二元細孔シリカの断面SEM写真 溶解性シリカ粒子を添加した二元細孔シリカの細孔分布

Claims (2)

  1. 珪酸アルカリ、溶解性シリカ粒子、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を相分離の過渡構造をゲル化により固定させて、ナノ細孔及びマクロ細孔が形成されたゲル体を得ることを特徴とする二元細孔シリカの製造方法。
  2. 溶解性シリカ粒子の含有量が、珪酸アルカリに対して、0.5〜20重量%となるゾル液を使用する請求項1記載の方法。
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