JP2005219955A - 結晶性無機多孔質材料およびその製造方法 - Google Patents

結晶性無機多孔質材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 マクロ細孔とミクロ細孔の二種類のタイプの細孔を有し、しかもゼオライト構造を有する新規な結晶性無機多孔質材料を提供する。
【解決手段】 マイクロメートル領域の孔径を有するマクロ細孔と、オングストローム領域の孔径を有するミクロ細孔との二種類のタイプの細孔を有してなり、その骨格がゼオライト構造である結晶性無機多孔質材料であって、その構造がMEL型ゼオライトあるいはBEA型ゼオライトである結晶性無機多孔質材料。
【選択図】なし

Description

本発明は結晶性無機多孔質材料に関する。さらに詳しくは、マクロ細孔およびミクロ細孔の二種類のタイプの細孔を有する結晶性無機多孔質材料およびその製造方法に関する。本発明の結晶性無機多孔質材料は、例えば固体触媒、触媒担体、吸着材、分離材などの材料として好適に使用される。
ゼオライトは、オングストロームサイズのミクロ細孔を有する結晶性多孔質材料であり、様々なタイプの結晶系のものが天然鉱物として知られているが、その一部はケイ素とアルミニウムを含む溶液から合成することも可能である。ゼオライトのミクロ細孔構造は結晶系に対応しており、分子篩効果により選択的な吸着・分離挙動を示す。また、シリカアルミナ系のゼオライトでは、イオン交換によりカチオンをプロトン化したものが強い酸性質を示すことが知られており、石油化学においては重要な酸触媒として用いられている。
国際ゼオライト学会による構造を示すコードでいうMEL型ゼオライトは、特許文献1で初めて開示された結晶性アルミノシリケートに代表される結晶性メタロシリケートであり、酸素10員環により形成される2種類の交差した細孔がどちらもストレートチャンネルであり、それらの細孔口が同一の楕円型をしている特徴を有する正方晶系ゼオライトである。
一方、BEA型ゼオライトは、ベータ型ゼオライトと呼ばれ特許文献2で初めて開示された結晶性アルミノシリケートに代表される結晶性メタロシリケートであり、c軸方向に正方形に近い酸素12員環(5.5Åx5.5Å)断面のジグザグな細孔、a軸およびb軸方向に酸素12員環(7.6Åx6.4Å)で直線状の細孔を持ち、これらが交差した3次元細孔を有する特徴を有する正方晶系ゼオライトである。
MEL型ゼオライトおよびBEA型ゼオライトは、種々の化学プロセスにおいて吸着剤や化学反応用に触媒、あるいは触媒担体として利用でき、例えばアミノ化反応触媒、アルキル化反応触媒等に好適に用いられる。
該ゼオライトは、ケイ素とアルミニウムを含む溶液にアルキルアミンなどの添加物を入れて熟成することにより合成できるが、こうして得られるものは微粉末であり、実用化にあたっては、アルミナスラリーなどのバインダーとともに焼結する必要があった。
触媒等への実用化にあたっては、ゼオライトのミクロ細孔中の分子拡散がしばしば律速となることから、ゼオライトの成形体内部の物質輸送を向上するための工夫が必要となる。
成形時に加えられるバインダーとしてのアルミナが触媒機能に悪影響を与えることもあり、バインダーレス成形法の開発が要望されていた。このため、非特許文献1に記載のようにドライゲルコンバージョン法によりバインダーレス成形によるゼオライト成形体の合成がなされている。しかしながら、同法によるゼオライト成形体はミクロ細孔の調整に留まり、物質輸送の改善は十分ではない。ここに、ドライゲルコンバージョン法とは、構造規定剤を含む乾燥ゲルを水蒸気自己圧下で処理することによるゼオライト合成法である。ここで、構造規定剤とはシリカ等をゼオライト構造の結晶質に変換する際、構造誘導、調節、促進、構造決定作用をする有機アンモニウム化合物あるいは有機アミン類等の添加剤の総称である。
例えば、ゼオライトのアルカリ処理により結晶性の低い部分を選択的に溶解し、ナノ細孔を導入する試みがなされている。しかしながらこの方法は個々の結晶内の物質輸送改善には効果的であるが、成形体における物質輸送向上には適さない。
また、非特許文献2に記載のようにゾルゲル法で作製されるマクロ細孔を有するシリカ成形体の細孔内でシリカライト結晶を析出させる試みも進んでいる。ここで用いられるマクロ細孔を有するシリカは、ケイ素アルコキシドを用いたゾルゲル法によるシリカ作製において、高分子化合物を添加し組成およびゲル化条件を最適化することにより得られる。該シリカのマクロ細孔の構造は、誘起されたスピノーダル分解による相分離の過渡構造がゲル化で凍結されることにより決定される。また、このようにして作製したマクロ細孔を有するシリカは、ナノ細孔構造の制御も可能である。このシリカのマクロ細孔を反応場としてシリカライト合成を行った場合、マクロ細孔内にシリカライト結晶が分散した多孔質材料が得られるものの、元のシリカがナノ細孔を有していないとシリカ骨格そのものの結晶化および結晶成長が進まず、材料の機能に悪影響を与えることが懸念される。またシリカライト以外の結晶性ゼオライトの試みはなされていない。
米国特許3,709,979号明細書 米国特許3,308,069号明細書 機能材料No.10,Vol.20,64-73,2000 Journal of Sol-Gel Science and Technology 19,769-773,2000
本発明者らは、十分制御されたマクロ細孔を有しかつその骨格そのものがゼオライトである多孔質材料の研究を進めた。現在のところ、制御された複数のタイプの細孔を有するMEL型ゼオライト、BEA型ゼオライトは知られていない。本発明は、マクロ細孔とミクロ細孔の二種類のタイプの細孔を有する新規な結晶性無機多孔質材料の提供を目的とするものである。
即ち、本発明は、マイクロメートル領域の孔径を有するマクロ細孔と、オングストローム領域の孔径を有するミクロ細孔との二種類のタイプの細孔を有し、その骨格がMEL型ゼオライト構造である結晶性無機多孔質材料、および非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナに、テトラブチルアンモニウムイオンを含む化合物の存在下、必要に応じてアルミニウム源を共存させて水熱処理もしくは水蒸気処理することを特徴とする結晶性無機多孔質材料の製造方法である。また、他の発明は、マイクロメートル領域の孔径を有するマクロ細孔と、オングストローム領域の孔径を有するミクロ細孔との二種類のタイプの細孔を有し、その骨格がBEA型ゼオライト構造である結晶性無機多孔質材料および非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナに、テトラエチルアンモニウムイオンを含む化合物の存在下、必要に応じてアルミニウム源を共存させて水熱処理もしくは水蒸気処理することを特徴とする結晶性無機多孔質材料の製造方法である。
本発明の結晶性無機多孔質材料は、マクロ細孔とミクロ細孔を有し、マクロ細孔による効果的な物質輸送が可能となり、ゼオライトのミクロ細孔の有効性を向上でき、例えば高活性なアルキル化反応触媒、精密な分離体への応用が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の結晶性無機多孔質材料とは、いわゆる結晶性ゼオライト構造を有する構造物の総称であり、結晶の基本単位として〔AlO5−及び〔SiO4−を含むものである。ただし、〔AlO5−単位が存在しないが結晶性ゼオライト構造を有するシリカライトも包含する。本発明の結晶性無機多孔質材料は、〔Al〕/〔SiO〕のモル比が、零の場合も含み、通常0.2以下にあることが好ましく、特に0〜0.1の値のものが実用化の点で好ましい。
ゼオライトを構成する他の成分である陽イオンとしては、調製時にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等とすることができるが、焼成ないしはイオン交換によりプロトンとすることもできる。
本発明の結晶性無機多孔質材料は、それを構成する骨格の一部或いは全部が、MEL構造、またはBEA構造のゼオライト構造を有している。当該結晶性無機多孔質材料を吸着分離材或いは特殊な触媒に利用する場合、必ずしも骨格の全部がゼオライト構造を有している必要はなく、マクロ細孔の孔表面部分(孔壁)がゼオライト構造を有していれば、十分その特性を発揮することができる。
上記結晶性ゼオライト構造については、破断面のSEM観察、X線回折、吸着測定などの分析手段を複合的に利用することで確認できる。
本発明の結晶性無機多孔質材料の最も大きな特徴は、実質的に、マイクロメートル領域の孔径を有するマクロ細孔と、オングストローム領域の孔径を有するミクロ細孔との二種類の細孔を同時に有している点にある。
また、当該結晶性無機多孔質材料は、これら二種類の細孔に加えて、ナノメートル領域の細孔径2〜30nm程度のナノ細孔を有しているものも作製することが可能である。
マクロ細孔の孔径は通常0.1〜30μmの範囲にあり、狭い(鋭い)細孔径分布で任意のサイズに制御できる。ミクロ細孔の孔径は結晶系によって決まり、MEL型ゼオライトは5Å程度、BEA型ゼオライトでは6〜8Å程度の範囲に鋭い細孔径分布を示す。
これら細孔は、多孔質材料の常として特定孔径を中心として孔径分布をもって存在しているが、本発明の結晶性無機多孔質材料は、絡み合ったマクロ細孔が貫通孔として存在することおよび容積が高いのが特徴である。マクロ細孔容積は、グラムあたり0.3〜2cmの範囲で制御可能であり、通常約1cmのものが作製しやすい。
尚、マクロ細孔の容積および孔径分布の測定法としては、水銀圧入法が用いられるが、SEMによる直接観察により細孔径と細孔の連続性が確認できる。ミクロ細孔の孔径及びその孔径分布は、X線回折より定まる結晶構造の原子の空間配列から決定でき、容積は窒素吸着法より求めることができる。
本発明の結晶性無機多孔質材料の製造方法は特に限定されないが、代表的には次の方法で製造しうる。
まず、相分離を利用した手法により非晶質多孔質シリカを作製する。該非晶質多孔質シリカの作製方法は、公知の方法例えば、J. Porous Materials, 4,67−112 (1997)やJournal of the Ceramic Society of Japan 109[7]577-579(2001)に記載の方法で作製できる。
シリカ源としては、メトキシシラン、エトキシシラン等のケイ素アルコキシドや、水ガラスが特に制限なく用いられる。
水ガラスは、一般にはケイ酸アルカリ塩の濃厚水溶液であり、その種類や濃度は特に限定されないが、JIS規格の水ガラスである珪酸ナトリウムJIS3号またはそれと同等のものがシリカ源として取扱いやすい。
相分離とゲル化を同時に起こして湿潤状態のゲルを作製するためには、シリカ源を含む溶液にポリマーおよび酸を存在させてゲル化を進める手段が有効に利用される。
ここでポリマーとは、適当な濃度の溶液を形成することができる有機高分子であって、シリカ源を含有する溶液中において均一に溶解することができるものが好適である。具体的には、高分子金属塩であるポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、高分子酸であって解離してポリアニオンとなるポリアクリル酸、高分子塩基であってポリカチオンを生ずるポリアクリルアミンまたはポリエチレンイミン、中性高分子であって主鎖にエーテル結合を持つポリエチレンオキシド、側鎖にヒドロキシル基を有するポリビニルアルコール、もしくはカルボニル基を有するポリビニルピロリドン等である。
これらのうち、ポリアクリル酸またはポリビニルアルコールが、取扱いが容易であり好ましい。ポリアクリル酸は分子量15,000〜300,000、好ましくは20,000〜150,000のものが好適である。
加水分解反応の触媒として働きゲル化を促進するために添加される酸として、通常硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸または有機酸が使用される。最終反応溶液の酸濃度は1リットルあたり、0.1〜5モル、好ましくは1〜4モルの範囲が好ましく、全体の酸の仕込み量は、例えば、珪酸ナトリウムJIS3号の仕込量の4〜5倍のモル比になるように調整する。
湿潤状態のゲルを得るためのゲル化の代表的方法は、シリカ源、ポリマー、酸等からなる混合溶液(以下、ゾル液と呼ぶ)を密閉容器などに入れ、0〜80℃で、好ましくは10〜30℃で10分〜1週間、さらに好ましくは1時間〜24時間放置することにより行う。
マクロ細孔の孔径や容積はゲル化条件によって制御することができる。
シリカ源に水ガラスを用いる場合は、作製された湿潤ゲルを乾燥する前に洗浄する必要がある。これは、水ガラスにナトリウム等のアルカリ金属が含まれており、湿潤ゲルをそのまま乾燥させると乾燥が進むにつれてゲルの崩壊が進むからである。洗浄は、ゲルを水に漬け、厚さが1cm程度あるゲルでは室温で12時間以上放置することにより行うが、ゲルの厚さがこれより薄ければより短時間で洗浄可能である。
マクロ細孔の他にナノ細孔を有する非晶質多孔質シリカを得るには、水洗後のゲルを塩基性水溶液中で熟成させればよい。非晶質多孔質シリカのナノ細孔の細孔径は、熟成条件によって制御できる。熟成は、0.01〜10規定のアルカリ溶液中で0〜80℃の温度で行うのが好ましい。これら熟成条件は、希望とするナノ細孔の細孔径を適宜選択することにより決定できる。
熟成後のゲルは、30〜80℃で数時間〜数十時間放置して乾燥を行う。乾燥後、マクロ細孔作製の目的で加えられた水溶性高分子化合物等の有機物を除去するため、および強度を向上しマクロ細孔構造を維持するために焼成する。焼成温度は、500〜1,100℃が好ましいが、500℃以下で焼成しても良い。
次に、該非晶質多孔質シリカを結晶形成に必要なアルキルアンモニウムなどの構造規定剤(以下SDAという)の存在下、水熱処理もしくは水蒸気処理を施し、マクロ細孔を形成する骨格をゼオライト結晶に変換する。
本発明の結晶性無機多孔質材料をMEL型ゼオライト構造とする場合のSDAとしては、テトラブチルアンモニウムイオンを含む化合物が好ましく、ハロゲン化物、水酸化物を例示することができ、通常は水酸化物が好適に用いられる。
一方、本発明の結晶性無機多孔質材料をBEA型ゼオライト構造とする場合にはテトラエチルアンモニウムイオンを含む化合物を用いるのが好ましく、ハロゲン化物、水酸化物を例示することができき、通常は水酸化物が好適に用いられる。
該SDAの添加量は、結晶性無機多孔質材料の結晶性を勘案して適宜決定されるものであり、通常、0.1〜50重量%の濃度の水溶液、好ましくは1〜20重量%の水溶液を作製し、通常一回の浸漬操作で非晶質多孔質シリカに添加する。このとき、用いる水溶液中には1〜2重量%程度の水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を添加する。ここで添加する水酸化ナトリウムなどのアルカリは、結晶化の促進の効果がある。
浸漬操作の温度は特に限定されず、室温でも良い。時間は、数秒〜5時間程度であり、必要に応じて減圧して細孔内の気泡を完全にSDA水溶液に置換することができる。その後、必要に応じて乾燥させる。乾燥温度は室温〜100℃程度、乾燥時間は12〜72時間が採用される。
尚、ゼオライト構造のシリカライトを製造する場合には、上記SDA添加非晶質多孔質シリカをそのまま変換すればよいが、アルミニウムを含むゼオライト結晶を製造する場合には、アルミニウム源を、変換前に存在させておかなければならない。配合時期は特に限定されなく、非晶質多孔質シリカ作製時から共存させて非晶質多孔質シリカアルミナとしても良いし、非晶質多孔質シリカ作製後に先に説明したSDAの添加前にあらかじめ含浸操作により加えるか、SDAの添加と同時に添加しても良い。
具体的には、ケイ素アルコキシドのゲル化時に硝酸アルミニウム等のアルミニウム源を共存させて、既報に準じて細孔構造の制御された非晶質多孔質シリカアルミナを作製し(J.Catal. ,200 ,197-202(2001).)、非晶質多孔質シリカの代わりに用いる方法や、非晶質多孔質シリカ作製後、得られた非晶質多孔質シリカの乾燥ゲルを、SDAの添加前にアルミニウム源を含んだ溶液に浸漬して、乾燥、焼成して用いる方法が例示される。
当該アルミニウム源としては、硝酸アルミニウムや塩化アルミニウムなどの水溶性塩が上げられるが、アルミニウムイソプロポキシドやアルミニウム−sec−ブトキシドなどのアルコキシドを用いることも可能である。その添加量は、所望する結晶ゼオライトの結晶系や目的とした応用に最適な〔Al〕/〔SiO〕モル比となるように適宜決定すればよい。
SDAが添加された非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナのゼオライトへ結晶への変換は、水熱処理もしくは水蒸気処理により行われる。
水熱処理もしくは水蒸気処理の方法は特に限定されないが、代表的には以下の方法が挙げられる。
水熱処理の場合、ステンレス製の密閉耐圧容器中、テフロン(登録商標)製内筒を入れその中に、SDAを含む水溶液に浸した非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナを入れる。この容器を100〜200℃の間、好ましくは150℃程度に設定したオーブン中にいれ、数時間〜1週間、好ましくは1〜3日程度静置する。ガラスや金属製の内筒を用いる場合は、処理中の容器からの不純物の溶け出しと試料内への取り込みを考慮する必要がある。また他のプラスチックス製内筒を用いる場合、耐熱性に留意する必要がある。
水蒸気処理の場合も同様の装置を用意し、SDAを含む水溶液に浸漬した後乾燥した非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナを入れ、これと接触しないように容器内部を飽和水蒸気で満たすのに必要な量の水を入れる。この容器を水熱処理と同様の条件で静置する。
この水熱処理もしくは水蒸気処理において、SDAの種類、〔Al〕/〔SiO〕モル比、あるいはアルカリ濃度により生成する結晶系が変化し、SDAの量や処理時間によって結晶性が変化する。例えば、SDAとしてテトラブチルアンモニウムイオンを含む化合物を用いた場合にはMEL型ゼオライト構造、テトラエチルアンモニウムイオンを含む化合物を用いた場合にはBEA型ゼオライト構造とすることができる。ミクロ細孔の孔径は結晶系の変化により制御され、細孔容積は結晶性により変化する。出発物質となる非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナのマクロ細孔の孔径やナノ細孔の孔径も結晶化挙動に影響を及ぼす。従って、これら諸条件を適宜変化させることにより、所望の結晶系、所望のミクロ細孔の孔径や細孔容積の結晶性無機多孔質材料が得られる。
得られる本発明の結晶性無機多孔質材料は、結晶成長の度合いにより強度は多少低下する場合があるが、もとの非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナ成型体の形を保ったまま作製できる。内部構造については、前記各種分析により、マクロ細孔およびミクロ細孔の存在、ゼオライト構造の確認が出来る。
以下実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
平均分子量25,000のポリアクリル酸(HPAA)共存下に水ガラス(3号珪曹)を用いて、マクロ細孔の孔径10μm、ナノ細孔の孔径8nmの非晶質多孔質シリカを作製した。ゲル作製時の組成は、重量比で水:濃硝酸:HPAA:水ガラス=97:37:6.5:60とし、室温で攪拌し均一溶液とした後、25℃で静置しゲル化後、乾燥を行った。該乾燥ゲル0.5gを硝酸アルミニウム水溶液に一時間浸漬した。該ゲルを溶液から取り出した後、二日間乾燥、600℃で焼成した。該焼成非晶質多孔質シリカアルミナに水酸化ナトリウム0.02g、5%テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液1.2gおよび水1.2gからなる5wt%テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液に2.5時間浸漬し、続いて容器ごとデシケータに入れアスピレータを用いて2.5時間減圧下で浸漬し、その後50℃で二日間乾燥させてSDAを添加した後、テフロン(登録商標)製の密閉容器中150℃で二日間、水蒸気処理を行った。
図1に水蒸気処理後の試料の断面SEM写真を、図4に水蒸気処理後の試料のX線回折図を示す。図1および図4に示すように、水蒸気処理後の試料のシリカ骨格は処理前の形を維持しつつ2〜3μm程度のサイズの粒子の集合構造を有している。また図4に示すように、X線回折によりMEL構造を有するゼオライト、すなわちZSM−11であることを確認した。窒素吸着測定により、ゼオライト結晶に由来するミクロ細孔(20Å以下)のみが確認でき、図1に示すようにSEMでマクロ細孔(10μm程度)が観察され、マイクロメートルサイズのマクロ細孔とオングストロームサイズのミクロ細孔の二元階層構造よりなることがわかった。ICP発光分光測定の結果、処理後の試料の〔Al〕/〔SiO〕モル比は0.01であった。
実施例2
実施例1において、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液を用いる代わりにテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド水溶液を用いる以外は実施例1と全く同様に行い結晶性無機多孔質材料を作製した。
図2に水蒸気処理後の試料の断面SEM写真を、図5に水蒸気処理後の試料のX線回折図を示す。図2に示すように、水蒸気処理後の試料のシリカ骨格は処理前の形を維持しつつ1μm以下のサイズの粒子の集合構造を有している。また、実施例2では、図5に示すようにBEA構造に帰属できる結晶の回折が確認され、ベータゼオライト(β)の生成が確認された。窒素吸着測定により、ゼオライト結晶に由来するミクロ細孔(20Å以下)のみが確認でき、図2に示すようにSEMでマクロ細孔(10μm程度)が観察され、マイクロメートルサイズのマクロ細孔とオングストロームサイズのミクロ細孔を有する二元階層構造よりなることがわかった。ICP発光分光測定の結果、処理後の試料の〔Al〕/〔SiO〕モル比は0.04であった。
実施例3
実施例1において、硝酸アルミニウム水溶液に浸漬せずアルミニウムを含まないシリカゲルを用いる以外は、実施例1と全く同様に行った。
図3に水蒸気処理後の試料の断面SEM写真を、図4に水蒸気処理後の試料のX線回折図を示す。図3に示すように、水蒸気処理後の試料のシリカ骨格は処理前の形を維持している。また、実施例3では、図4に示すようにMEL構造に帰属できる結晶の回折が確認され、シリカライト−2(S−2)の生成が確認された。窒素吸着測定により、ゼオライト結晶に由来するミクロ細孔(20Å以下)のみが確認でき、図3に示すようにSEMでマクロ細孔(10μm程度)が観察され、マイクロメートルサイズのマクロ細孔とオングストロームサイズのミクロ細孔を有する二元階層構造よりなることがわかった。
本図は、実施例1で得られた本発明の結晶性無機多孔質材料の細孔状態を示すSEM写真である。 本図は、実施例2で得られた本発明の結晶性無機多孔質材料の細孔状態を示すSEM写真である。 本図は、実施例3で得られた本発明の結晶性無機多孔質材料の細孔状態を示すSEM写真である。 本図は、実施例1および実施例3で得られた本発明の結晶性無機多孔質材料のX線回折図である。 本図は、実施例2で得られた本発明の結晶性無機多孔質材料のX線回折図である。

Claims (4)

  1. マイクロメートル領域の孔径を有するマクロ細孔と、オングストローム領域の孔径を有するミクロ細孔との二種類のタイプの細孔を有し、その骨格がMEL型ゼオライト構造である結晶性無機多孔質材料。
  2. 非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナに、テトラブチルアンモニウムイオンを含む化合物の存在下、必要に応じてアルミニウム源を共存させて水熱処理もしくは水蒸気処理することを特徴とする請求項1記載の結晶性無機多孔質材料の製造方法。
  3. マイクロメートル領域の孔径を有するマクロ細孔と、オングストローム領域の孔径を有するミクロ細孔との二種類のタイプの細孔を有し、その骨格がBEA型ゼオライト構造である結晶性無機多孔質材料。
  4. 非晶質多孔質シリカもしくは非晶質多孔質シリカアルミナに、テトラエチルアンモニウムイオンを含む化合物の存在下、必要に応じてアルミニウム源を共存させて水熱処理もしくは水蒸気処理することを特徴とする請求項3記載の結晶性無機多孔質材料の製造方法。


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