JP2008031015A - 二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】珪酸アルカリ水溶液、水溶性高分子、および酸を含んでなるゾル液を相分離が過渡の状態でゲル化させた後、得られた湿潤シリカゲルに、アルミニウム塩を溶解させた溶液を接触させ、次いで、該溶液を接触させたゲル体を焼成することを特徴とする二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物の製造方法である。
【選択図】なし
Description
1)ケイ素アルコキシド、鉱酸、及び水溶性高分子を混合させ、さらに、アルミニウム塩を加え、混合液を得る。
2)該混合液を温度、pH等を調整しながら、ゾルゲル反応によってゲル化させ、アルミニウムイオンを含んだ塊状の湿潤ゲルを得る。この操作によって、湿潤ゲル中にマクロ細孔が形成される。
3)次いで、必要に応じて、上記湿潤ゲルを、所定濃度のアルカリ溶液中に浸漬させ、放置する。この操作によって、湿潤ゲルが有するナノ細孔を、所望の平均細孔径に制御することが可能となる。また、この操作によって、アルミニウムイオンを湿潤ゲル中により分散させることが可能となる。
4)アルカリ溶液に浸漬させた湿潤ゲルを加熱処理により脱水、乾燥する。
5)乾燥後、焼成を行い、二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物を得る。
本発明で用いる珪素源としては、上記の通り、安価で入手可能な珪酸アルカリ水溶液を使用する。本発明は、この珪酸アルカリ水溶液を原料とするものを対象とする。
本発明において、上記水溶性高分子は、珪素源を含有する溶液中において均一に溶解できるものが好適である。具体的には、高分子金属塩であるポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、高分子酸であって解離してポリアニオンとなるポリアクリル酸、高分子塩基であってポリカチオンを生ずるポリアクリルアミンまたはポリエチレンイミン、中性高分子であって主鎖にエーテル結合を持つポリエチレンオキシド、側鎖にヒドロキシル基を有するポリビニルアルコール、もしくはカルボニル基を有するポリビニルピロリドン、更には、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムも使用可能である。これらのうち、ポリアクリル酸およびポリビニルアルコール、ドデシル硫酸ナトリウムが、取扱いが容易であり好ましい。ポリアクリル酸は分子量15,000〜300,000、好ましくは20,000〜150,000のものが好適である。
本発明において、上記酸は、加水分解反応の触媒として働きゲル化を促進するために添加されるものである。これら酸を具体的に例示すれば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸または有機酸が挙げられる。中でも、硫酸、硝酸等の鉱酸を使用することが好ましい。
本発明においては、先ず、上記珪酸アルカリ水溶液、水溶性高分子、および酸を含むゾル液を調整する。該ゾル液は、酸アルカリ水溶液、水溶性高分子、および酸を混合することにより得ることができる。尚、このゾル液の分散媒は水である。
本発明においては、上記方法により得られるゾル液を、相分離が過渡の状態でゲル化させて湿潤シリカゲルとする。この湿潤シリカゲルは、ゾル液中の相分離、即ち、重合が進行しているシリカ分を含む相と、水溶性高分子を含む溶媒相との相分離が過渡の状態において、該ゾル液をゲル化させ、相分離が完全に起こる前の状態でその構造を固定させて得られるものである。そのため、該湿潤シリカゲルは、シリカを骨格とするゲルであり、本発明においては、脱水、乾燥処理を施していない、水を含むものである。本発明の湿潤シリカゲルは、ゾル液の組成等に影響されるが、水を50〜90質量%含んでいる。この湿潤シリカゲルに含まれる水分量は、該湿潤シリカゲルを少なくとも、600℃以上の温度で2時間処理したものと該湿潤シリカゲルとの重量比から求めることができる。尚、十分なブレンステッド酸点が存在し、高い触媒活性を有する二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物とするためには、上記範囲の水を含む湿潤シリカゲルを処理することが重要となる。
本発明においては、上記湿潤シリカゲルを水洗することが好ましい。上記の通り、珪酸アルカリ水溶液を使用した場合には、得られる湿潤シリカゲルには、アルカリ金属が含まれる。この湿潤シリカゲルに、アルミニウム塩を溶解させた溶液を直接接触させると、不純物であるアルカリ金属(例えば、ナトリム)を多く含んだゲル体となる場合がある。それを防ぐためには、アルミニウム塩を溶解させた溶液を多量に使用しなければならず、廃液量が増大する傾向にある。そのため、湿潤シリカゲルを水洗し、水洗した湿潤シリカゲルに、アルミニウム塩を溶解させた溶液を接触させることにより、廃液量を低減することができる。
本発明においては、上記湿潤シリカゲルおよび/または上記水洗した湿潤シリカゲルに、アルミニウム塩を溶解させた溶液を接触させ、ゲル体を得る。この水を50〜90質量%含む上記湿潤シリカゲルに、アルミニウム塩を溶解させた溶液を接触させることが重要である。理由は明らかではないが、前記範囲の水を含むことが、何らかアルミニウム塩を接触させる際に影響するものと考えられ、このような湿潤シリカゲルを使用することにより、高い触媒活性を有する二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物を得ることができる。水の量が50質量%未満である乾燥、焼成シリカゲルに、アルミニウム塩を溶解させた溶液を接触させても、十分なブレンステッド酸点を発現することができず、高い触媒活性を有する二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物を得ることができない。
本発明において、ゲル体を乾燥させる方法は、特に制限されるものではなく、バッチ方法、連続方法のいずれの方法も採用することができる。乾燥は、ゲル体の大きさ、水分量、温度等に応じて、適宜決定することができるが、通常30〜200℃、好ましくは50〜100℃の温度範囲で3日、好ましくは1日以内の条件で実施することが好ましい。
本発明においては、上記湿潤シリカゲルにアルミニウム塩溶液を接触させたゲル体(一旦、乾燥させたゲル体も含む)を焼成することが重要である。該ゲル体を焼成することにより、二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物を得ることができる。本発明において、この焼成とは、アルミニウム塩を含むゲル体を、十分なブレンステッド酸点が存在し、高い触媒活性を有する二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物とするための操作である。該ゲル体を焼成することにより、高い触媒活性を有する二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物が得られる理由は、明らかではないが、ゲル体に含まれるアルミニウム塩が分解し、シリカ骨格中に取り込まれるためであると考えられる。そのため、かかる焼成の際の温度は、使用したアルミニウム塩が分解する温度以上であり、好ましくは、200℃を超える温度である。
本発明において、ゲル体を焼成して得られた二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物は、必要に応じて、粉砕、分級することにより、所望の粒子径、粒子径分布とすることができる。
湿潤シリカゲルを水洗するに際し、通液による洗浄によって発生した洗浄水を、電気伝導度計(メトラトレド製、MPC−227)により電気伝導度を測定した。
液体窒素温度における窒素の吸着量を絶対平衡吸着圧力0.35MPa以下で、BET法により比表面積計算を行った。高速比表面積/細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社製 ASAP2010)を用い、予め120℃で24時間乾燥し、秤量後200℃で2時間減圧処理した後の測定試料について、吸着等温線から比表面積と細孔径分布を算出した。また、以下の式によって、得られる平均細孔径をナノ細孔の細孔径とした。
平均細孔径=(4・V・1000)/A
A(m2/g):BETによって算出された比表面積
V(cm3/g):窒素吸着によって算出された細孔容積
予め120℃、12時間乾燥させた測定用試料を、水銀圧入法(カンタクローム社製、POREMASTER−60)によりマクロ細孔の細孔径を測定した。測定で得られた細孔径分布において、マイクロメートル領域に現れる最大ピークの孔径をマクロ細孔の細孔径とした。
塊状の二元細孔シリカアルミナ複合酸化物を粉砕した後、120℃で、1日間、乾燥させた。加圧成形を用いて、ペレット状とし、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、ZSX PrimusII)によりアルミニウム、ナトリウム量を測定した。
触媒活性評価法として、パルス法によるクメンのクラッキング反応を用いた。クメンのクラッキング反応は、ブレンステッド酸点が活性点となり、クメンがプロピレンとベンゼンに分解される反応である。
測定試料重量 :0.01g
キャリアガス :H2
前処理 :500℃、2hr
測定温度範囲 :500℃
注入量/回 :1μl
クロマトグラムの結果から、クメン転化率(x)を算出した。その算出方法を、以下に示した。ベンゼンとクメンのピークを予め設定したピーク検出感度(SLOPE)で検出し、積分によって面積を計算し、それぞれをAb、Acとする。物質は、熱伝導度に差があるため、検出感度が異なるので、クロマトグラム上に現れる面積Ab、Acにそれぞれ補正係数をかけてモル基準の相対比にした。ベンゼン、クメンの補正係数fb、fcは、n−ヘプタンの相対補正係数を1.00とすると、それぞれ1.32、0.96である。モル数基準のベンゼン/クメン比をaとすると、下記式1で現すことができる。
3号珪酸ナトリウム水溶液770.0g、平均分子量25,000のポリアクリル酸99.0g、95質量%硫酸227.3g、イオン交換水1903.7gを用いて、プロペラ型攪拌機を用いて50℃で攪拌し均一なゾル液を作製した。ゾル液のpHは、1.5であった。その後、密閉容器内にゾル液を投入し、50℃において静置しゲル化させた。得られた湿潤シリカゲルの成形体に含まれているナトリウムを除去するため、室温で水洗を行った。水洗には、イオン交換水を使用して、水洗によって発生した洗浄水の電気伝導度が1mS/cm以下になるまで水洗を行った。水洗した湿潤ゲルは、80質量%の水を含んでいた。この水洗した湿潤シリカゲル100gを、イオン交換水160gに硝酸アルミニウム2水和物27.97gを溶解させた水溶液中に浸漬させることにより、湿潤シリカゲルにアルミニウム塩溶液を接触させ、ゲル体を得た(接触させる際の温度は50℃、時間は1日とした。)。このゲル体を50℃に設定した送風乾燥機で1日間乾燥して、15質量%の水分量となるまで乾燥させた。乾燥後、100℃/時間で600℃まで昇温し、600℃で2時間保持する条件でゲル体を焼成した。得られた二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物に含まれるナトリウム濃度が1000ppm以下であった。
実施例1と同様の方法で、湿潤シリカゲルを作製した。水洗後、湿潤シリカゲル100gを、イオン交換水160gに硝酸アルミニウム2水和物41.95gを溶解させた水溶液に浸漬させた以外は実施例1と同様に実施した。得られた二元細孔シリカ―アルミナ複合酸化物は、マクロ細孔の平均直径が1μmの連続した貫通孔として存在する多孔体であり、ナノ細孔の平均直径は2nm、比表面積629m2/gであった。また、アルミニウム含有量は9.8質量%であり、ナトリウム濃度は1000ppm以下であった。
3号珪酸ナトリウム水溶液770.0g、平均分子量25,000のポリアクリル酸99.0g、95質量%硫酸227.3g、イオン交換水1903.7gを用いて、プロペラ型攪拌機を用いて50℃で攪拌し、さらに、硝酸アルミニウム2水和物27.97gを溶解させ、均一な混合液を作製した。混合液のpHは、1.5であった。その後、密閉容器内に混合液を投入し、50℃において静置しゲル化させた。得られた湿潤ゲルのナトリウムを除去するため、水洗を行った。水洗には、イオン交換水を使用して、洗浄によって発生した洗浄水の電気伝導度が1mS/cm以下になるまで行った。水洗後、50℃に設定した送風乾燥機で、1日間、湿潤ゲルを乾燥させた。乾燥後、100℃/時間で600℃まで昇温し、600℃、2時間の条件で焼成した。焼成物のアルミニウムの含有量を測定したところ、0.1wt%以下であり、さらには、クメンのクラッキング反応に対して、触媒としての活性を示さなかった。
3号珪酸ナトリウム水溶液770.0g、平均分子量25,000のポリアクリル酸99.0g、95質量%硫酸227.3g、イオン交換水1903.7gを用いて、プロペラ型攪拌機を用いて50℃で攪拌し均一なゾル液を作製した。ゾル液のpHは、1.5であった。その後、密閉容器内にゾル液を投入し、50℃において静置しゲル化させた。得られた湿潤シリカゲルの成形体に含まれているナトリウムを除去するため、水洗を行った。水洗には、イオン交換水を使用して、洗浄によって発生した洗浄水の電気伝導度が1mS/cm以下になるまで行った。水洗後、50℃に設定した送風乾燥機で、1日間、湿潤ゲルを乾燥させた。乾燥後、600℃、2時間の条件で焼成した(焼成後の二元細孔シリカに含まれる水分量は0質量%である。)。得られた二元細孔シリカ100gを、イオン交換水160gに硝酸アルミニウム2水和物27.97gを溶解させた水溶液に浸漬し、二元細孔シリカとアルミニウム塩水溶液とを接触させた。接触時の温度は50℃とし、時間は1日とした。接触後、50℃に設定した送風乾燥機で、1日間、湿潤ゲルを乾燥させた。乾燥後、100℃/時間で600℃まで昇温し、600℃、2時間の条件で焼成した。得られた二元細孔シリカ―アルミナ複合酸化物の物性を評価した。マクロ細孔の平均直径が1μmの連続した貫通孔として存在する多孔体であり、ナノ細孔の平均直径は2nm、比表面積600m2/gであった。また、アルミニウムの含有量を測定したところ、10質量%であった。尚、ナトリウム濃度は1000ppm以下であった。
Claims (1)
- 珪酸アルカリ水溶液、水溶性高分子、および酸を含んでなるゾル液を、相分離が過渡の状態でゲル化させた後、得られた湿潤シリカゲルに、アルミニウム塩を溶解させた溶液を接触させ、次いで、該溶液を接触させたゲル体を焼成することを特徴とする二元細孔シリカ−アルミナ複合酸化物の製造方法。
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