JP2007223857A - 多孔質構造体の製造方法及び多孔質構造体 - Google Patents

多孔質構造体の製造方法及び多孔質構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】原料の配合に依らずに所望の気孔径分布の多孔質構造体を得ることが可能な多孔質構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】溶媒と溶媒に分散したシリカ源とを含有する原料組成物をゲル化して湿潤ゲルを生成する工程と、上記湿潤ゲルを凍結乾燥して、含水率を0〜60質量%の範囲で制御した乾燥ゲルを形成する工程と、上記乾燥ゲルを熱処理し、上記含水率に対応する気孔径の気孔を形成した多孔質構造体を形成する工程とを有する多孔質構造体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質構造体の製造方法及び多孔質構造体関し、更に詳しくは、原料の配合に依らずに所望の気孔径分布の多孔質構造体を得ることが可能な多孔質構造体の製造方法、及びその製造方法により得られた多孔質構造体に関する。
触媒体、吸着剤等として広く用いられているシリカゲルは、JIS規格(Z0701)においてRD型、A型、B型、ID型が挙げられるが、これらはいずれも気孔容積と比表面積についてはトレードオフの関係にある。すなわち、高比表面積であるほど気孔径が小さい傾向があり、例えば、触媒用途に適したメソ孔性の気孔径分布を持つシリカゲルは、合成後に水熱処理を加えて気孔径を拡大する必要があるが、この処理により比表面積が400m/g以下にまで小さくなるという問題があった。
気孔径分布は吸着能や触媒能などに密接に関係しており、その制御はそれぞれの性能に大きく影響を及ぼすため、より高い気孔性を有するシリカゲルを、目的とした気孔径分布で得る必要がある。
より高度な気孔性を有するシリカゲルを得る手法に、ゾルゲルプロセスにより合成された湿潤ゲルを乾燥させて多孔質シリカゲル(多孔質構造体)を得る方法がある(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開平8−59223号公報 特開平9−20513号公報 特開平10−67512号公報 特表平9−501371号公報 特表2000−510177号公報
これらの製造方法は、原料の配合比により気孔径を制御するため、ひとつの配合比からひとつの気孔径分布をもった多孔質構造体が得られるものであった。また、多孔質構造体を触媒として使用する場合には、原料に金属を混合した状態でゲル化させる方法もあるが、配合比に制限が生じるため、気孔径の制御はより困難であった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、原料の配合に依らずに所望の気孔径分布の多孔質構造体を得ることが可能な多孔質構造体の製造方法、及びその製造方法により得られた多孔質構造体を提供することを特徴とする。
上記課題を達成するため、本発明によって以下の多孔質構造体の製造方法、及び多孔質構造体が提供される。
[1] 溶媒と溶媒に分散したシリカ源とを含有する原料組成物をゲル化して湿潤ゲルを生成する工程と、前記湿潤ゲルを凍結乾燥して、含水率を0〜60質量%の範囲で制御した乾燥ゲルを形成する工程と、前記乾燥ゲルを熱処理し、前記含水率に対応する気孔径の気孔を形成した多孔質構造体を形成する工程とを有する多孔質構造体の製造方法。
[2] 前記多孔質構造体の気孔の中で、気孔径50nm以下の気孔を全体の80%以上とする[1]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[3] 前記含水率を、前記凍結乾燥を行う際の乾燥時間によって調節する[1]又は[2]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[4] 前記多孔質構造体の、比表面積が500m/g以上であり、気孔容積が0.8ml/g以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の多孔質構造体の製造方法。
[5] 前記多孔質構造体が、二酸化珪素を主成分とする3次元網目構造の多孔質骨格に金属が含有されてなる多孔質構造体である[1]〜[4]のいずれかに記載の多孔質構造体の製造方法。
[6] 前記金属が粒子状のパラジウムである[5]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[7] 前記多孔質骨格の表面に前記粒子状のパラジウムが存在し、前記多孔質骨格の表面に存在する前記粒子状のパラジウムが、その粒子の一部分が前記多孔質骨格の中に埋まった状態である[6]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の多孔質構造体の製造方法によって製造された多孔質構造体。
本発明の多孔質構造体の製造方法によれば、湿潤ゲルを凍結乾燥したときの乾燥ゲルの含水率を0〜60質量%の範囲で所定の値に制御し、その含水率に対応する気孔径の気孔を形成させることができるため、原料の配合に依らずに所望の気孔径分布の多孔質構造体を得ることが可能となる。本発明の多孔質構造体は、上記本発明の多孔質構造体の製造方法によって得られたものであるため、原料の配合に依らずに気孔径分布が形成された多孔質構造体である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本発明の多孔質構造体の製造方法は、溶媒と溶媒に分散したシリカ源とを含有する原料組成物をゲル化して湿潤ゲルを生成する工程と、前記湿潤ゲルを凍結乾燥して、含水率を0〜60質量%の範囲で制御した乾燥ゲルを形成する工程と、前記乾燥ゲルを熱処理し、前記含水率に対応する気孔径の気孔を形成した多孔質構造体を形成する工程とを有するものである。このように、湿潤ゲルを凍結乾燥したときの乾燥ゲルの含水率を0〜60質量%の範囲で所定の値に制御し、その含水率に対応する気孔径の気孔を形成させることができるため、原料の配合に依らずに所望の気孔径分布の多孔質構造体を得ることが可能となる。そして、本発明の多孔質構造体の製造方法により得られる多孔質構造体は、二酸化珪素を主成分とする3次元網目構造の多孔質骨格を形成するものであることが好ましく、触媒として使用する場合には、金属を含有させることが好ましい。
本発明の多孔質構造体の製造方法は、ゾルゲルプロセスにより得られた湿潤ゲルを凍結乾燥する工程を有するものである。ここで、ゾルゲルプロセスとは、アルコキシドなどの液体を出発原料とし、反応により固体質のゾルを合成し、さらにゾル同士を反応により生じた物質で架橋し流動性の無いゲル状物質を得るプロセスをいう。ゾルゲルプロセスにより得られた湿潤ゲル(ヒドロゲル)を乾燥する方法としては、例えば、通常乾燥や凍結乾燥があり、上記湿潤ゲルを通常乾燥したものをキセロゲル、凍結乾燥したものをクリオゲル(クライオゲル)と称している。キセロゲルは乾燥時に生じる溶媒(液体)の毛管力によって、ナノ細孔(気孔)やメソ細孔(気孔)が潰されてしまい、気孔率の低いゲルとなりやすい。これに対しクリオゲルでは、凍結乾燥という毛管力が生じない乾燥方法を用いることにより、通常乾燥(キセロゲル)では潰れてしまうような細い気孔を潰さないようにすることができるため、高い気孔率を保つことができる。そして従来の凍結乾燥によるクリオゲル合成では、高い気孔率を得るために、乾燥を完了させ、含水率をほぼ0質量%としていた。ここで、含水率とは、乾燥させたゲル(乾燥ゲル)中の水分の、乾燥ゲル全体に対する質量割合(質量%)である。
これに対し、本発明の多孔質構造体の製造方法は、この凍結乾燥を途中で終了し、半乾燥状態のクリオゲルを得るものである。凍結乾燥中、水(固体)は気孔の大きい部分から順次昇華していく。すなわち、凍結乾燥を進めていくと気孔の大きい部分から水が無くなり、クリオゲル化していくこととなる。通常は完全に凍結乾燥を完了することでより微細な細孔(ナノ細孔やメソ細孔)までの全てを潰さずにクリオゲル化する。しかしこれを途中で終了すると、終了時に水の気化が終了していない、より細かい細孔は、後の熱処理等のときに潰れる(キセロゲル化する)ことになる。即ち、全体としてより大きな気孔径分布を持つ多孔体が得られる。たとえば凍結乾燥が100時間で完了し、そのときの含水率がほぼ0質量%になるとすると、凍結乾燥を12時間、24時間、50時間等というような中途状態で完了し、乾燥時間が短く、含水率が高いものほど、得られる多孔質構造体の気孔径が、大きな気孔径分布を有するものとなる。つまり、乾燥時間すなわち含水率により気孔径分布を制御することが可能となる。このような本発明の多孔質構造体の製造方法では、上述のように出発原料の配合比や添加物等とは関係無く、一の湿潤ゲルから所望の気孔径分布を持つ乾燥ゲルを得ることが可能となる。また、同一の湿潤ゲルから切り出したサンプルから、異なる気孔径分布を持つ複数の乾燥ゲルを得ることも可能となる。
(1)ゲル化工程:
(1−1)原料組成物;
本発明の多孔質構造体の製造方法で用いる原料組成物は、溶媒と溶媒に分散したシリカ源とを含有するものである。溶媒としては、水を挙げることができる。シリカ源としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。シリカ源を溶媒に分散させる方法は、特に限定されず、ポリエチレングリコールなどの界面活性剤や分散剤を併用し撹拌、分散させればよい。
また、本発明の多孔質構造体の製造方法は、原料組成物に、金属イオン、金属微粒子、金属酸化物微粒子からなる群から選択される少なくとも1種の金属種を含有してもよい。これにより、得られる多孔質構造体は、含有される金属種が粒子状(微粒子状)となって多孔質骨格に分散されたものとなり、そのまま触媒として使用することができる。このようにして得られた多孔質構造体(クリオゲル)は、基材表面に露出している触媒(金属)微粒子が高活性であるため、触媒として使用する場合には、触媒微粒子の活性点当たりの反応速度も従来の含浸法による触媒より速く、触媒能に優れている。さらに、多孔質骨格の表面に粒子状(微粒子状)の金属が存在し、多孔質骨格の表面に存在する粒子状の金属が、その粒子の一部分が多孔質骨格の中に埋まった状態であるため、従来の含浸法による触媒と比較して高温耐熱性に優れ、また、これによっても触媒能が向上している。
本発明の多孔質構造体の製造方法で用いる金属種は、特に限定されないが、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属、又は鉄、コバルト等の遷移金属、又はこれらの化合物であることが、触媒活性の面から好ましく、特に、パラジウム又はその化合物が好ましい。また、上記金属微粒子又は金属酸化物微粒子の粒径は、特に限定されないが、5nm以下であることが、触媒能を向上できるため好ましく、2〜4nmであることが更に好ましい。原料組成物に添加する金属種としては、酢酸パラジウム((CHCOO)Pd)等をあげることができる。
本発明の多孔質構造体の製造方法で用いる原料組成物には、上記物質以外に、尿素等の、その他の添加物を含有してもよい。
本発明の多孔質構造体の製造方法で用いる原料組成物に含有されるシリカ源の含有率は、テトラメトキシシランを用いた場合、溶媒である水100質量部に対し20〜100質量部であることが好ましい。
(1−2)ゲル化工程;
本発明の多孔質構造体の製造方法は、上記原料組成物を調製した後に、その原料組成物をゲル化して湿潤ゲルを生成する工程を有する。ゲル化工程においては、上記原料組成物を加熱してTMOS(テトラメトキシシラン)等のシリカ源を加水分解することにより、シリカ(SiO)をナノ粒子として発生させ、発生したシリカ粒子間が結合し、さらに結合したシリカ粒子上にシリカが析出することにより、微細なネットワークを形成し、ゲル化することになる。ここで、ゲル化反応は、例えば、シリカ源としてTMSOを使用した場合には、TMOSとHOとの反応であり、TMOSの2分子間を結合するものである。これが液相で進行し、結合を繰り返すことで、図1(a)に示すように、中間過程としてシリカナノ粒子(ゾル)10を生じる。このシリカナノ粒子(ゾル)10は、図1(b)に示すように、数・サイズ共に成長し続け、ネットワーク状に結合し、図1(c)に示すゲル骨格構造(多孔質骨格構造)20を形成する。ゲル化時間は、水の量が少ないほど早い傾向があり、水の量の増加とゲル化時間の長時間化は、水の量の増加とともに、ゲル体積が増えることで、ゲルのネットワーク構造が疎になり、強度が発現し難いと考えられる。ここで、図1(a)〜図1(c)は、本発明の多孔質構造体の製造方法における、ゲル化工程(ゲル化過程)を模式的に示す図であり、図1(a)は、シリカナノ粒子(ゾル)の分散状態を示す模式図であり、図1(b)は、シリカナノ粒子(ゾル)がネットワーク状に結合する状態を示す模式図であり、図1(c)は、ゲル骨格構造を示す模式図である。
ゲル化工程において、原料組成物を加熱するときの、加熱温度は、20〜95℃が好ましく、50〜80℃が更に好ましい。20℃より低いとゲル化反応が進行し難いことがあり、95℃より高いと溶媒が沸騰し、ゲル内が不均一になることがある。
(2)凍結乾燥工程:
本発明の多孔質構造体の製造方法は、上記ゲル化工程で得られた湿潤ゲルを、凍結乾燥して、含水率を0〜60質量%の範囲で制御した乾燥ゲルを形成する、凍結乾燥工程を有する。多孔質構造体の気孔径は、含水率が低いほど小さくなるため、所望の気孔径となるような含水率とすることにより、気孔径をコントロールした多孔質構造体を得ることができる。そして、含水率は乾燥時間を長くするほど低くなるため、所望の気孔径となる含水率になるような乾燥時間で凍結乾燥を行うことにより、気孔径をコントロールした多孔質構造体を得ることができる。凍結乾燥により得られた乾燥ゲルの含水率は、0〜60質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることが更に好ましい。含水率は0質量%であってもよいが、実際の操作においては、下限値として5質量%程度となる。また、含水率が60質量%を超えると、触媒や吸着剤として使用する多孔質構造体としては、気孔径が大きくなり過ぎることがある。
凍結乾燥後の乾燥ゲルの含水率と、得られる多孔質構造体の気孔径との関係は、以下の通りである。すなわち、凍結乾燥では、より大口径の細孔(気孔)に含まれる水分から昇華する傾向がある。凍結乾燥が進行しつつあるゲルは、含水率が低下しつつあるが、同時に大口径の細孔から水が抜けていくことになり、その段階で凍結乾燥を終了すると、一定の細孔径(気孔径)以下の細孔には水が含まれることになる。つまり含水率を制御すると、水を含む細孔の範囲を制御することが可能となる。これを通常乾燥すると水を含む細孔は毛管力によりつぶれてしまうため、一定以下の細孔径に水が含まれていた場合、大口径の細孔がつぶれず残存し、全体の細孔径分布はより大となる。微小な細孔が多数つぶれることでより大の細孔を再構築することもある。つまり凍結乾燥後の含水率を制御することにより、後につぶれる細孔の径を制御でき、細孔径分布を制御することが可能となる。
乾燥ゲルの含水率は、凍結乾燥前後のサンプル質量の測定と、後の通常乾燥完了後の質量差分を測定することにより把握することができる。また、凍結乾燥の乾燥時間と、乾燥ゲルの含水率との関係は、湿潤ゲルの大きさ、密度や形状によって異なるが、ゲル組成がほぼ同一であり、凍結乾燥機に詰めるサンプル総量がほぼ同一である条件下においては、同一の凍結乾燥時間によってほぼ同一の含水率となった半乾燥ゲルを得ることが可能となる。従って、例えば、多孔質構造体の気孔径分布について、気孔径2nm以下の気孔を気孔全体の80%以上とする場合には、凍結乾燥時の条件を、チラー部温度−80℃、圧力40Pa以下にして凍結乾燥時間を80〜100時間とすることにより、含水率を0〜5質量%とすればよい。また、気孔径2〜10nmの気孔を気孔全体の80%以上とする場合には、凍結乾燥時の同条件における乾燥時間を10〜15時間とすることにより、含水率を28〜32質量%とすればよい。
湿潤ゲルを凍結乾燥するときには、初めに、湿潤ゲルを、液体窒素(−196℃)で冷却し、湿潤ゲルの凍結を確認した後、真空に引き、真空装置のトラップ部の冷却温度を−80℃以下にて、所望の気孔径の多孔質構造体が得られる乾燥時間だけ保持することが好ましい。湿潤ゲルの冷却温度及びトラップ部の冷却温度が−80℃を超えると、湿潤ゲルの凍結乾燥が不完全となり、乾燥ゲルの含水率を制御し、所望の気孔径の多孔質構造体を得ることが困難となることがある。また、凍結乾燥時において真空に引くときの圧力は、50Pa以下が好ましく、30Pa以下が更に好ましい。凍結乾燥時の圧力が50Paを超えると、サンプルの凍結が解け、微構造の毛管力による破壊が進行する恐れがある。また、湿潤ゲルの初期冷却には、フリーザーを用いてもよいが、ドライアイス−エタノールや液体窒素等の冷媒で、できるだけ瞬間冷却する方が、凍結時間の短縮及び湿潤ゲルの凍結時における気孔の構造破壊を抑制することができるため好ましい。
(3)熱処理工程:
本発明の多孔質構造体の製造方法は、上記凍結乾燥工程で得られた乾燥ゲルを熱処理し、その乾燥ゲルの含水率に対応する気孔径の気孔を形成した本発明の多孔質構造体を形成する工程を有する。熱処理工程では、例えば、金属種としてパラジウム源である酢酸パラジウムを使用した場合には、酢酸パラジウムを加熱により自己分解させ、パラジウム(酸化物を含む)に還元する。還元温度は、金属化合物の自己分解温度(例えば、酢酸パラジウムでは200〜400℃)以上の温度を必要とするため、通常、大気雰囲気下、450〜550℃、5〜10時間で処理を行うことが好ましい。また、熱処理直後では、パラジウム表面が部分的に酸化パラジウムになっているため、水素還元処理を施し、完全な金属パラジウムに還元することにより、Pd/SiOクリオゲル(触媒)を得ることができる。図2に示すように、本発明の製造方法で得られる多孔質構造体30(Pd/SiOクリオゲル(触媒))の主な形態は、二酸化珪素を主成分とする三次元網目構造の多孔質骨格2を有し、多孔質骨格2に粒子状の金属(金属微粒子)1が分散されている。そして、多孔質骨格2の表面に金属微粒子(白金の微粒子)1が存在し、多孔質骨格2の表面に存在する金属微粒子1が、その粒子の一部分が多孔質骨格2の中に埋まった状態であり、残りの一部分が多孔質骨格2の表面側に露出した状態となっている。また、金属種として他の化合物や金属を使用する場合には、適宜、その金属種に合わせた条件で熱処理することが好ましい。得られた多孔質構造体の気孔径分布は、窒素吸着等温線を日本ベル社製BELSORP−miniにてサンプル温度77Kで測定し、得られた吸着等温線をBJH法にて解析し、得ることができる。サンプルは日本ベル社製加熱式前処理装置BELPREP−flowにて、窒素雰囲気下110℃にて2時間処理したものを用いることが好ましい。
(4)多孔質構造体:
上述した本発明の多孔質構造体の製造方法により、本発明の多孔質構造体が得られる。本発明の多孔質構造体は、触媒や吸着剤として使用するために、気孔径50nm以上の気孔が全体の80%以上であることが好ましい。上記本発明の多孔質構造体の製造方法によれば、このように気孔径を調整することが可能である。また、本発明の多孔質構造体は、比表面積が500m/g以上であることが好ましく、600〜1500m/gであることが更に好ましい。500m/gより小さいと、各種吸着能力が小となることがある。比表面積は、窒素吸着等温線を日本ベル社製BELSORP−miniにてサンプル温度77Kで測定し、得られた吸着等温線をBJH法にて解析し、得ることができる。また、本発明の多孔質構造体は、気孔容積が大きいほど好ましいが、具体的には、0.8ml/g以上であることが好ましく、0.8〜1.0ml/gであることが更に好ましい。0.8ml/gより小さいと各種吸着能力が小となることがある。気孔容積をこのような大きさとするために、本発明の製造方法における調合工程で水の質量を大きくすることや、乾燥工程で凍結乾燥後の含水率を高めにすることが好ましい。気孔容積は、窒素吸着等温線を日本ベル社製BELSORP−miniにてサンプル温度77Kで測定し、得られた吸着等温線をBJH法にて解析し、得ることができる。
本発明の多孔質構造体は、触媒体として使用し、臭気成分を燃焼除去する酸化触媒や、有機合成触媒として使用することができる。本発明の多孔質構造体は、耐久性に優れた触媒体として使用することが可能である。
また、本発明の多孔質構造体は、各種ガス成分を吸着するための、吸着剤として使用することができる。本発明の多孔質構造体は、耐久性に優れた吸着剤として使用することが可能である。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
水22ml、尿素12g、ポリエチレングリコール(PEG)1gを混合し、溶媒が透明になるまで撹拌した。さらにWAKO純薬社製の酢酸パラジウム(II)を、63.6mg混合し、茶透明になるまで撹拌した。得られた溶液を、密封した状態で、0℃の水冷バスにて15分間撹拌冷却して原料溶液1を得た。
信越化学社製のテトラメトキシシラン(TMOS)15.2gを密封した状態で、5℃の水冷バスにて15分間撹拌冷却して原料溶液2を得た。
上記原料溶液1と原料溶液2とを混合して混合液とし、密封した状態で0℃の水冷バスにて60分間撹拌した。更にその混合液を、密封状態で、80℃の湯バスにて加熱し、10分間静置した。その後、その混合液を密封状態で50℃のオーブンにて24時間保持し、その後室温まで冷却して原料組成物を得た。
上記原料組成物の密封を解き、液相を捨てた後に、乾燥を防ぐためにビニール袋に封入し、固体相(ヒドロゲル)を粉砕し、液体窒素に漬けて冷凍し、凍結ゲルを得た。その後、ビニール袋からその凍結ゲルを取り出し、真空凍結乾燥機に投入し、チラー部温度−80℃以下、圧力40Pa以下の条件で、凍結乾燥を96時間行い、それを取り出した後48時間以上室温にて乾燥させて、乾燥ゲルを得た。
得られた乾燥ゲルを500℃で加熱処理した。加熱処理の条件を、昇温速度:100℃/Hr、500℃保持時間:10時間、空気開放雰囲気とした。その後、更に、水素雰囲気下で、500℃で加熱処理(昇温速度:100℃/Hr、500℃保持時間:2時間)することにより、多孔質構造体(Pd/SiO触媒)を得た。
(実施例2)
凍結乾燥を48時間行った以外は実施例1と同様の条件で多孔質構造体を得た。
(実施例3)
凍結乾燥を24時間行った以外は実施例1と同様の条件で多孔質構造体を得た。
(実施例4)
凍結乾燥を12時間行った以外は実施例1と同様の条件で多孔質構造体を得た。
得られた多孔質構造体の気孔(細孔)径分布を以下に示すBJH法による吸着等温線解析によって得た。結果を図3に示す。図3において、横軸は、細孔径Rp(nm)を示し、縦軸は、細孔体積変化率dVp/dRpを示す。ここで、Vpは細孔体積を示し、Rpは細孔径を示し、dVp/dRpによって、細孔体積変化率を示す。
(窒素吸着等温線測定およびBJH法による細孔径分布解析)
測定装置:日本ベル社製BELSORP−mini
測定条件:
サンプル前処理条件(機材);日本ベル社製加熱式前処理装置BELPREP−flow
サンプル前処理条件(設定);窒素雰囲気下110℃にて2時間処理
解析条件:BJH法(日本ベル社製BELSORP−mini付属ソフトウエアによる)
図3より、凍結乾燥時間が短いほど、細孔径分布が、細孔径の大きい側にシフトした多孔質構造体となっていることがわかる。
得られた多孔質構造体の比表面積を、BJH法による吸着等温線解析によって得た。実施例1〜4の多孔質構造体の比表面積は、それぞれ、338m/g(実施例1)、591m/g(実施例2)、593m/g(実施例3)、625m/g(実施例4)であった。この結果より、凍結乾燥時間が短いほど、比表面積が大きいことがわかる。
本発明は、触媒や吸着剤として使用する多孔質構造体を得る方法及び多孔質構造体として利用することができ、本発明によれば、原料の配合に依らずに所望の気孔径分布の多孔質構造体を得ることが可能な多孔質構造体の製造方法、及びその製造方法により得られた多孔質構造体を得ることができる。
本発明の多孔質構造体の製造方法における、ゲル化工程(ゲル化過程)を模式的に示す図であり、図1(a)は、シリカナノ粒子(ゾル)の分散状態を示す模式図であり、図1(b)は、シリカナノ粒子(ゾル)がネットワーク状に結合する状態を示す模式図であり、図1(c)は、ゲル骨格構造を示す模式図である。 本発明の多孔質構造体の製造方法で得られる多孔質構造体を示す模式図である。 実施例で得られた多孔質構造体の細孔体積変化率を示すグラフである。
符号の説明
1:金属微粒子、2:多孔質骨格、10:シリカナノ粒子、20:ゲル骨格構造、30:多孔質構造体。

Claims (8)

  1. 溶媒と溶媒に分散したシリカ源とを含有する原料組成物をゲル化して湿潤ゲルを生成する工程と、
    前記湿潤ゲルを凍結乾燥して、含水率を0〜60質量%の範囲で制御した乾燥ゲルを形成する工程と、
    前記乾燥ゲルを熱処理し、前記含水率に対応する気孔径の気孔を形成した多孔質構造体を形成する工程とを有する多孔質構造体の製造方法。
  2. 前記多孔質構造体の気孔の中で、気孔径50nm以下の気孔を全体の80%以上とする請求項1に記載の多孔質構造体の製造方法。
  3. 前記含水率を、前記凍結乾燥を行う際の乾燥時間によって調節する請求項1又は2に記載の多孔質構造体の製造方法。
  4. 前記多孔質構造体の、比表面積が500m/g以上であり、気孔容積が0.8ml/g以上である請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質構造体の製造方法。
  5. 前記多孔質構造体が、二酸化珪素を主成分とする3次元網目構造の多孔質骨格に金属が含有されてなる多孔質構造体である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質構造体の製造方法。
  6. 前記金属が粒子状のパラジウムである請求項5に記載の多孔質構造体の製造方法。
  7. 前記多孔質骨格の表面に前記粒子状のパラジウムが存在し、前記多孔質骨格の表面に存在する前記粒子状のパラジウムが、その粒子の一部分が前記多孔質骨格の中に埋まった状態である請求項6に記載の多孔質構造体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質構造体の製造方法によって製造された多孔質構造体。
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