JP5057019B2 - 球状シリカ系メソ多孔体及びその製造方法、並びにそれを用いた酸触媒 - Google Patents

球状シリカ系メソ多孔体及びその製造方法、並びにそれを用いた酸触媒 Download PDF

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Description

本発明は、酸触媒、吸着材量等として有用な球状シリカ系メソ多孔体及びその製造方法に関する。
従来から酸触媒としてメソポーラスシリカにスルホン酸基を導入したものを用いることが検討されてきた。このようなスルホン酸基が導入されたメソポーラスシリカとしては、例えば、MCMやHMS等のメソポーラスシリカにスルホン酸が導入されたものが知られており(W.M.V.Rhijn,et al.,Chem.Commun.,1998年発行、第317〜318頁(非特許文献1))、更には、前述のようなメソポーラスシリカに強力な酸であるフッ素系スルホン酸が導入されたものも知られている(D.J.Macquarrie,et al.,Chem.Commun.,2005年発行、第2363〜2365頁(非特許文献2)参照)。しかしながら、このようなスルホン酸基が導入された従来のメソポーラスシリカは、酸触媒としての性能が十分なものではなかった。例えば、非特許文献2によると酸触媒として用いた場合に2−メチルフランとアセトンとのFriedel−Craftsアルキル化反応において、最も優れている酸触媒で24時間後の収率85%、選択率96%であり、副生成物が確認されていた。
一方、メソポーラスシリカとしては、球状のものが種々研究されている。例えば、特開2004−197018号公報(特許文献1)においては、平均粒径が50〜500μmの範囲にあり、細孔径が0.5〜5nm以下であり且つ有機メルカプト基がシリケート中のケイ素(Si)原子に配位されている球状シリカ系メソ多孔体が開示されている。また、このような球状シリカ系メソ多孔体の製造方法としては、特開2005−89218号公報(特許文献2)においては、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、特定の界面活性剤を用いて特定の条件下で球状のシリカ系メソ多孔体を得る方法が開示されており、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシランをシリカ原料として用いることができる旨が記載されている。
しかしながら、このような特許文献1に記載のような球状シリカ系メソ多孔体及び特許文献2に記載のような製造方法で得られる球状シリカ系メソ多孔体は、塩基性触媒として機能するものであり、酸触媒としては必ずしも十分に機能しないものであった。
特開2004−197018号公報 特開2005−89218号公報 W.M.V.Rhijn,et al.,Chem.Commun.,1998年発行、第317〜318頁 D.J.Macquarrie,et al.,Chem.Commun.,2005年発行、第2363〜2365頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高度な酸触媒性能を発揮できる球状シリカ系メソ多孔体、並びにその球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、先ず、上述のような非特許文献1及び2に記載のようなスルホン酸基が導入されたメソポーラスシリカにおいては、担体として用いられているMCMやHMS等のメソポーラスシリカが不定形でメソ細孔がロッド状になっているため、外表面が多く、酸触媒として利用した場合に反応物の移動が制限されて酸触媒性能が十分なものとならないということを見出した。また、特許文献1に記載のような球状シリカ系メソ多孔体を担体として利用した場合には、粒子径が50〜500μmと大きく細孔の内部まで利用することが困難であるため、スルホン酸基が導入してもその酸触媒性能が必ずしも十分なものとはならないということを見出した。そこで、本発明者らは、更に鋭意研究を重ねた結果、平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が1nm以上の放射状細孔を有する球状シリカ系メソ多孔体を用い、これにスルホン酸基を含有する有機官能基を導入することによって、驚くべきことに、酸触媒として主生成物の収率及び選択率が飛躍的に向上し、高度な酸触媒性能を発揮できる球状シリカ系メソ多孔体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が1nm以上の放射状細孔を有する球状シリカ系メソ多孔体であって、前記球状シリカ系メソ多孔体がスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾されていることを特徴とするものである。
上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体としては、前記スルホン酸基を含有する有機官能基が、前記球状シリカ系メソ多孔体を構成するシリケート骨格中のケイ素原子に配位されていることが好ましい。
また、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体としては、前記スルホン酸基を含有する有機官能基がアルキルスルホン酸基、フェニルスルホン酸基であることが好ましい。
さらに、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体としては、前記球状シリカ系メソ多孔体の全粒子の90重量%以上が、前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることが好ましい。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第一の製造方法は、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
前記シリカ原料の少なくとも一部がメルカプト基を含有する有機アルコキシシランであり、且つ、
前記界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは7〜25の整数をそれぞれ示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が80容量%以下である水系溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.0001〜0.03mol/L、前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lとすることによって、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする方法である。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第二の製造方法は、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、酸化剤を用いて酸化せしめる第3の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
前記界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは7〜25の整数をそれぞれ示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が80容量%以下である水系溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.0001〜0.03mol/L、前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lとすることによって、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする方法である。
さらに、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第三の製造方法は、第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
第二の界面活性剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る第2の工程と、
前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る第3の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
前記シリカ原料の少なくとも一部がメルカプト基を含有する有機アルコキシシランであり、
第1の工程において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは7〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
第2の工程において、前記第二の界面活性剤として下記一般式(2):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは20〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第二の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のzの値が、前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(1)中のnの値以上であり、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記第二の界面活性剤の濃度が0.05〜0.2mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜90℃の温度条件下で混合することによって、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする方法である。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第四の製造方法は、第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
第二の界面活性剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る第2の工程と、
前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得る第3の工程と、
前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、酸化剤を用いて酸化せしめる第4の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
第1の工程において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは7〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
第2の工程において、前記第二の界面活性剤として下記一般式(2):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは20〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第二の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のzの値が、前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(1)中のnの値以上であり、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記第二の界面活性剤の濃度が0.05〜0.2mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜90℃の温度条件下で混合することによって、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする方法である。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第一〜第三の製造方法においては、前記酸化剤が、過酸化水素であることが好ましい。
さらに、本発明のFriedel−Craftsアルキル化反応に用いる酸触媒は、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、高度な酸触媒性能を発揮できる球状シリカ系メソ多孔体、並びにその球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<球状シリカ系メソ多孔体>
先ず、本発明の球状シリカ系メソ多孔体について説明する。すなわち、本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が1nm以上の放射状細孔を有する球状シリカ系メソ多孔体であって、前記球状シリカ系メソ多孔体がスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾されていることを特徴とするものである。
上述のように本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、球状シリカ系メソ多孔体がスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾されている。このように球状シリカ系メソ多孔体がスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾されていることによって、本発明の球状シリカ系メソ多孔体には酸触媒性能が付与される。
このようなスルホン酸基を含有する有機官能基としては、スルホン酸基を備える有機基であれば特に制限されず、例えば、アルキルスルホン酸基、フェニルスルホン酸基等が挙げられる。このようなスルホン酸基を含有する有機官能基の中でも、より高い酸触媒性能が得られるという観点から、炭素数が8以下の直鎖又は分岐鎖状のアルキルスルホン酸基が好ましい。このようなアルキルスルホン酸基の炭素数が前記上限を超えると、分子が大きくなって、細孔の閉塞によって酸触媒の低下が起こり易くなる傾向にある。
さらに、本発明の球状シリカ系メソ多孔体においては、このようなスルホン酸基を含有する有機官能基が前記球状シリカ系メソ多孔体を構成するシリケート骨格中のSi原子に配位されていることが好ましい。このようにスルホン酸基を含有する有機官能基が前記球状シリカ系メソ多孔体を構成するシリケート骨格中のSi原子に配位されていることにより、球状シリカ系メソ多孔体の酸触媒性能が向上する傾向にある。なお、後述する本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第一又は第三の製造方法(共重合法を採用する方法)によって、細孔の閉塞を最小限にし、より確実に前記スルホン酸基を含有する有機官能基をシリケート骨格中のSi原子に配位させることができる。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の平均粒径は、0.01〜3μmである。このような平均粒径が0.01μm未満では、粒子が凝集してしまい、反応効率が低くなり、他方、3μmを超えると、球状粒子が形成しにくくなると同時に酸触媒として使用した場合に触媒内部への反応物の拡散に時間がかかり反応効率が低くなる。
さらに、本発明においては、球状シリカ系メソ多孔体の全粒子の90重量%以上が、前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることが好ましい。前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有している粒子が全粒子の90重量%未満では、粒子の凝集が多くなるため反応効率が低下する傾向にある。
また、本発明においては、球状シリカ系メソ多孔体は放射状細孔を有している。このように球状シリカ系メソ多孔体が放射状細孔を有していることにより、外表面が少なくなり細孔が内部まで有効に利用できることとなる。さらに、このような放射状細孔の中心細孔直径が1nm以上(共重合法である第一又は第三の製造方法を採用した場合、より好ましくは1nm〜5nm)である。中心細孔直径が1nm未満では、かさ高い分子の反応物に対しては十分な酸触媒性能を発揮することができない。他方、共重合法である本発明の第一又は第三の製造方法を採用して球状シリカ系メソ多孔体を製造した場合において、前記中心細孔直径が5nmを超えると、球状粒子を形成することが困難になる傾向にある。
なお、本発明でいう「球状」とは、真の球体に限定されるものではなく、最小直径が最大直径の80%以上(好ましくは90%以上)である略球体も包含するものである。また、略球体の場合、その粒径は原則として最小直径と最大直径との平均値をいう。さらに、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、シリカ系メソ多孔体粒子を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Dollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体おいては、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。この条件を満たすシリカ系メソ多孔体粒子は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。また、このような球状シリカ系メソ多孔体の比表面積については特に制限はないが、600m/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
さらに、このような球状シリカ系メソ多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd100値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd100値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd100値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
また、本発明にかかる球状シリカ系メソ多孔体が有する放射状細孔とは、細孔が中心部から外側に向かって放射状に配列されている、いわゆるラジアル型構造を有する細孔である。このように、細孔が規則性を保ちながら粒子の中心部から外側に向かって配置されていることにより、外表面が少なくなり触媒や吸着剤として適した構造となる。なお、球状シリカ系メソ多孔体がいわゆるラジアル型構造を有していることは、細孔内に金や白金等の金属を導入し、その断面を走査型電子顕微鏡により観察することによって確認することが可能である。また、本発明の球状シリカ系メソ多孔体における細孔の全てが中心部から外側に向かって放射状に配列されている必要はなく、全ての細孔のうち50%以上(より好ましくは70%以上)がこのように配列されていることが好ましい。
さらに、本発明の球状シリカ系メソ多孔体における細孔の配列状態(細孔配列構造又は構造)は特に制限されないが、2d−ヘキサゴナル構造、3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造であることが好ましい。また、このような細孔配列構造は、ディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。
ここで、多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki,et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,680,1993;S.Inagaki,et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,69,1449,1996、Q.Huo,et al.,Science,268,1324,1995参照)。また、多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli,et al.,Chem.Mater.,6,2317,1994;Q.Huo,et al.,Nature,368,317,1994参照)。また、多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev,et al.,Science,267,865,1995;S.A.Bagshaw,et al.,Science,269,1242,1995;R.Ryoo,et al.,J.Phys.Chem.,100,17718,1996参照)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n、Im−3m又はFm−3m対称性であることが好ましい。前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。
以上説明したような球状シリカ系メソ多孔体においては、スルホン酸基を含有する有機官能基の導入方法が後述する本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第一又は第三の製造方法のように共重合法を利用する方法であっても、後述する本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第二又は第四の製造方法のようにグラフト法を利用する方法であってもよい。これらの方法の中でも、グラフト法を利用する方法を採用した場合には細孔が閉塞したり、最終的なスルホン酸基を含有する有機官能基の導入量の制御が難しいという観点から、共重合法を利用する製造方法が好ましい。
このような球状シリカ系メソ多孔体は、粉末のまま使用してもよいが、必要に応じて成形して使用してもよい。成形する手段はどのようなものでも良いが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIP等が好ましい。その形状は使用箇所、方法に応じて決めることができ、たとえば円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。また、このような球状シリカ系メソ多孔体は、形状が球状で放射状細孔のため高い酸触媒作用を示し固体酸触媒として非常に有用であるとともに、スルホン酸基特有の性質より、金属イオンの吸着材料やプロトン伝導性材料としても有用である。そして、このような球状シリカ系メソ多孔体は、いわゆる一般的な酸触媒として、例えば、Friedel−Craftsアルキル化及びアシル化反応、Mukaiyama−Aldol反応、Diels−Alder反応、エステルの加水分解等に用いる触媒として利用すること等が挙げられる。
<球状シリカ系メソ多孔体の製造方法>
次に、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法について説明する。
(第一の製造方法)
本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第一の製造方法は、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
前記シリカ原料の少なくとも一部がメルカプト基を含有する有機アルコキシシランであり、且つ、
前記界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは7〜25の整数をそれぞれ示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が80容量%以下である水系溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.0001〜0.03mol/L、前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lとすることによって、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする方法である。
このような第一の製造方法においては、先ず、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る(第1の工程:共重合法を採用)。
このような第一の製造方法において用いられるシリカ原料の少なくとも一部が、メルカプト基を含有する有機アルコキシシランである必要がある。このようなメルカプト基を含有する有機アルコキシシランは、アルコキシ基を3個有するトリアルコキシシラン、アルコキシ基を2個有するジアルコキシシラン、アルコキシ基を1個有するモノアルコキシシランを用いることができる。アルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないものが反応性の点から有利である。
また、このようなメルカプト基を含有する有機アルコキシシランとしては、特に限定されず、メルカプト基を含有する従来公知の種々の有機アルコキシシランを用いることができ、触媒反応に必要な細孔形成の観点から、炭素数が8以下の直鎖又は分岐鎖状のメルカプトアルキル基を含有する有機アルコキシシランが好ましい。このようなメルカプト基を含有する有機アルコキシシランとしては、例えば、トリアルコキシシランの場合であると3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのメルカプト基を含有する有機アルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
また、本発明において用いられるシリカ原料としては、前記メルカプト基を含有する有機アルコキシシランの他に、その他のアルコキシシランを用いることができる。このようなその他のアルコキシシランとしては、アルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、アルコキシ基を3個有するトリアルコキシシラン、アルコキシ基を2個有するジアルコキシシランを用いることができる。アルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のようにアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数として1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。また、アルコキシシランが有するアルコキシ基が3または2個である場合は、アルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよい。
このようなテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等が挙げられ、このようなトリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が挙げられる。また、このようなジアルコキシシランとしては、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン等が挙げられる。
これらのアルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。また、上記のアルコキシ基を2〜4個有するアルコキシシランは、アルコキシ基を1個有するモノアルコキシシランと組み合わせて使用することも可能である。このようにして用いることのできるモノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
アルコキシシランは、加水分解によりシラノール基を生じ、生じたシラノール基同士が縮合することによりケイ素酸化物が形成される。この場合において、分子中のアルコキシ基の数が多いアルコキシシランは、加水分解および縮合で生じる結合が多くなる。したがって、本発明において、アルコキシ基の多いテトラアルコキシシランをアルコキシシランとして用いることが好ましく、テトラアルコキシシランとしては、反応速度の観点からテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いることが特に好ましい。
なお、前記メルカプト基を含有する有機アルコキシシランの比率は、シリカ原料の全量に対して0.1〜30モル%の比率であることが好ましい。前記メルカプト基を含有する有機アルコキシシランの比率が0.1モル%未満では、触媒性能が低下する傾向にあり、他方、30モル%を超えると、細孔が閉塞し、細孔内に反応物が入りにくくなり、触媒性能が低下する傾向にある。
また、第一の製造方法において用いられる界面活性剤は、下記一般式(1)で表されるアルキルアンモニウムハライドである。
このような一般式(1)におけるR、R、Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。このようなアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、これらが一分子中に混在してもよいが、界面活性剤分子の対称性の観点からR、R、Rは全て同一であることが好ましい。界面活性剤分子の対称性が優れる場合は、界面活性剤同士の凝集(ミセルの形成等)が容易となる傾向にある。更に、R、R、Rのうち少なくとも1つはメチル基であることが好ましく、R、R、Rの全てがメチル基であることがより好ましい。
また、一般式(1)におけるnは7〜25の整数を示し、9〜17の整数であることがより好ましい。前記nが6以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、球状の多孔体は得られなくなる。また、中心細孔直径が1.0nmより小さくなってしまい、細孔内での触媒反応性が低下する。他方、前記nが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、界面活性剤の疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物が生成してしまい、球状の多孔体を得ることができなくなる。
さらに、一般式(1)におけるXはハロゲン原子を示し、このようなハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入手の容易さの観点からXは塩素原子または臭素原子であることが好ましい。
したがって、上記一般式(1)で表される界面活性剤としては、R、R、Rの全てがメチル基であり且つ炭素数10〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであることが好ましく、中でもデシルトリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、エイコシルトリメチルアンモニウムハライド、ドコシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
このような界面活性剤は、シリカ原料と共に溶媒中で複合体を形成する。複合体中のシリカ原料は反応によりケイ素酸化物へと変化するが、界面活性剤が存在している部分ではケイ素酸化物が生成しないため、界面活性剤が存在している部分に孔が形成されることになる。すなわち、界面活性剤はシリカ原料中に導入されて孔形成のためのテンプレートとして機能する。本発明において、界面活性剤は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることが可能であるが、上記のように界面活性剤はシリカ原料の反応生成物に孔を形成させる際のテンプレートとして働き、その種類は多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な球状多孔体が得るためには、界面活性剤は1種類のみを用いることが好ましい。
本発明においては、前記シリカ原料および前記界面活性剤を混合するための溶媒として、アルコールを含有する水系溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリンが挙げられ、シリカ原料の溶解性の観点からメタノールまたはエタノールが好ましい。
そして、本発明においては、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を合成する際に、アルコールの含有量が80容量%以下の水系溶媒を用いることが重要であり、アルコールの含有量が10〜70容量%のものを用いることがより好ましい。アルコールの含有量が80容量%を超える場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。なお、比較的多量のアルコールを含有する水系溶媒を使用することにより、均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が高度に均一に制御されることとなる。
また、本発明においては、前記の水とアルコールとの比率を変化させることにより、粒径の均一性は高水準に保持しつつ、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径を容易に制御することができる。すなわち、水の比率が高い場合は多孔体が析出し易くなるために粒径が小さくなり、逆にアルコールの比率が高い場合は大きい粒径の多孔体を得ることができる。
さらに、本発明においては、前記シリカ原料及び前記界面活性剤を前記水系溶媒中で混合して多孔体前駆体粒子を得る際に、上述した界面活性剤の濃度を溶液の全容量を基準として0.0001〜0.03mol/L(好ましくは、0.0005〜0.02mol/L)とし、上述したシリカ原料の濃度を溶液の全容量を基準として0.0005〜0.03mol/L(好ましくは、0.003〜0.015mol/L)とする。このように界面活性剤およびシリカ原料の濃度を厳密に制御することによって、前述の水系溶媒を使用することと相俟って均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径が高度に均一に制御されることとなる。
このような界面活性剤の濃度が0.0001mol/L未満の場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の量が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、前記界面活性剤の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。また、前記シリカ原料の濃度が0.0005mol/L未満の場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。他方、前記シリカ原料の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、テンプレートとなるべき界面活性剤の比率が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、本発明においては、前記シリカ原料及び前記界面活性剤を混合する際に、塩基性条件下で混合することが好ましい。シリカ原料は、一般に塩基性条件下においても酸性条件下においても反応が生じケイ素酸化物へと変化するが、本発明におけるシリカ原料と界面活性剤の濃度は従来技術の方法に比較してかなり低いものとなっているため、酸性条件下では反応がほとんど進行しない。したがって、本発明においては塩基性条件下でシリカ原料を反応させることが好ましい。なお、シリカ原料は、酸性条件で反応させる場合よりも塩基性条件で反応させる場合の方がケイ素原子の反応点が増加し、耐湿性や耐熱性等の物性に優れたケイ素酸化物を得ることができるため、塩基性条件下で混合することはこの点においても有利である。
上記水系溶媒を塩基性にするためには、通常、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性物質を添加する。反応時の塩基性条件に関しては特に制限されないが、添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1〜0.9となるようにすることが好ましく、0.2〜0.5となるようにすることがより好ましい。添加する塩基性物質のアルカリ当量を全シリカ原料中のケイ素原子モル数で除した値が0.1未満である場合は、収率が低下してしまう傾向があり、他方、0.9を超える場合は、多孔体の形成が困難となる傾向がある。
以上説明したような第1の工程における反応条件(反応温度、反応時間等)は特に制限されず、反応温度としては、例えば−20℃〜100℃(好ましくは0℃〜80℃、より好ましくは10℃〜40℃)とすることができる。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。
なお、このような第1の工程の具体例としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、先ず、アルコールを含有する水系溶媒に対して、界面活性剤および塩基性物質を添加して界面活性剤の塩基性溶液を調製し、この溶液にシリカ原料を添加する。添加されたシリカ原料は溶液中で加水分解(または、加水分解および縮合)するために、添加後数秒〜数十分で白色粉末が析出する。この場合において、反応温度は0℃〜80℃とすることが好ましく、10℃〜40℃とすることがより好ましい。また、溶液は攪拌することが好ましい。
沈殿物が析出した後、0℃〜80℃(好ましくは10℃〜40℃)で1時間〜10日、溶液をさらに攪拌してシリカ原料の反応を進行させる。攪拌終了後、必要に応じて室温で一晩放置して系を安定化させ、得られた沈殿物を必要に応じてろ過および洗浄することによって本発明にかかる多孔体前駆体粒子が得られる。
そして、第一の製造方法においては、次に、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る(第2の工程)。すなわち、第2の工程においては、先ず、前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去して、メルカプト基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た後、その球状シリカ系メソ多孔体のメルカプト基を酸化剤を用いて酸化せしめてスルホン酸基に変換し、これによってスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得る。
このように界面活性剤を除去する方法としては、例えば、有機溶媒で処理する方法、イオン交換法を挙げることができる。
有機溶媒で処理する場合は、用いた界面活性剤に対する溶解度が高い良溶媒中に多孔体前駆体粒子を浸漬して界面活性剤を抽出する。イオン交換法においては多孔体前駆体粒子を酸性溶液(少量の塩酸を含むエタノール等)に浸漬し、例えば50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。これにより、多孔体前駆体粒子の孔中に存在する界面活性剤が水素イオンでイオン交換される。なお、イオン交換により孔中には水素イオンが残存することになるが、水素イオンのイオン半径は十分小さいため孔の閉塞の問題は生じない。
また、酸化剤を用いて酸化する方法としては特に制限されず、メルカプト基を酸化してスルホン酸基に変換することが可能な方法であればよい。また、前記酸化剤としては、メルカプト基を酸化してスルホン酸基に変換することが可能なものであればよく、特に制限されず、例えば、過酸化水素、硝酸、硫酸、クラウンエーテル等が挙げられる。このような酸化剤の中でも、反応性の高さ、細孔の保持等の観点から、過酸化水素が好ましい。また、このような酸化剤を用いて酸化する方法における反応温度、反応時間等の条件は特に制限されるものではないが、反応温度は100℃以下(より好ましくは10〜80℃)であることが好ましく、反応時間は30分〜6時間以内であることが好ましい。このような反応温度及び反応時間が前記下限未満では、メルカプト基の酸化が起こりにくく、メルカプト基を酸化してスルホン酸基に変換することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、球状シリカ系メソ多孔体の細孔が一部崩壊し、酸触媒として利用した場合に酸触媒性能が低下する傾向にある。
(第二の製造方法)
本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第二の製造方法は、溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、酸化剤を用いて酸化せしめる第3の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法である。
このような本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第二の製造方法における第1の工程及び第2の工程は、シリカ原料として前述のその他のアルコキシシランを用いること以外は前述の本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第一の製造方法と同様の方法を採用して球状シリカ系メソ多孔体を得る工程である。
なお、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第二の製造方法においては、界面活性剤を除去する方法として、前述した有機溶媒で処理する方法、イオン交換法の他に焼成による方法を採用することができる。このような焼成による方法においては、多孔体前駆体粒子を300〜1000℃、好ましくは400〜700℃で加熱する。加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。また、焼成は空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。
そして、第二の製造方法においては、第1及び第2の工程により得られた前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、酸化剤を用いて酸化せしめる(第3の工程)。すなわち、第3の工程においては、前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、メルカプト基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た後、そのメルカプト基を酸化剤を用いて酸化せしめてスルホン酸基に変換し、スルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得る。
このようなグラフト重合せしめる方法(グラフト法)としては、例えば、球状メソポーラスシリカとメルカプト基を含有する有機アルコキシシランと有機溶媒とを混合した後に加熱する方法が挙げられる。メルカプト基を含有する有機アルコキシシランの使用量としては、前記球状メソポーラスシリカの表面シラノール基に対して0.01〜10等量であることが好ましい。メルカプト基を含有する有機アルコキシシランの使用量が前記下限未満では、メルカプト基の量が不十分な量であるため、酸化して得られる本発明の球状シリカ系メソ多孔体の酸触媒活性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、過剰量の有機アルコキシシランが結合し、細孔が閉塞される傾向にある。また、このような有機溶媒の使用量は、前記球状メソポーラスシリカ1重量部に対して1〜1000重量部であることが好ましい。さらに、加熱の条件としては、加熱温度が40〜150℃、加熱時間が0.5〜48時間であることが好ましい。なお、第二の製造方法において用いられるメルカプト基を含有する有機アルコキシシランは、前述の第一の製造方法において説明したメルカプト基を含有する有機アルコキシシランと同様のものである。
また、酸化剤を用いて酸化せしめる方法は、前述の第一の製造方法において説明した酸化剤を用いて酸化する方法と同様の方法である。
(第三の製造方法)
本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第三の製造方法は、第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
第二の界面活性剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る第2の工程と、
前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る第3の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
前記シリカ原料の少なくとも一部がメルカプト基を含有する有機アルコキシシランであり、
第1の工程において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは7〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
第2の工程において、前記第二の界面活性剤として下記一般式(2):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは20〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第二の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のzの値が、前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(1)中のnの値以上であり、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記第二の界面活性剤の濃度が0.05〜0.2mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜90℃の温度条件下で混合することによって、上記本発明の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする方法である。
このような第三の製造方法においては、第一の多孔体前駆体粒子を前記第二の溶媒中で混合し、水熱処理を行うことで細孔径を拡大(ポストシンセシスによる細孔径の拡大)した後に、球状シリカ系メソ多孔体を得る。そして、本発明においては、このような水熱処理を施す方法であるにも拘らず、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも大きな中心細孔直径(好ましくは2.6nm以上)を有する球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることが可能となる。
このような第三の製造方法がいわゆる水熱処理を採用する方法であるにも拘らず、細孔構造が崩れたり、多孔体の規則性が低くなったりすることなく、上述のような球状シリカ系メソ多孔体を効率良く且つ確実に得ることができる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、第三の製造方法においては、第一の多孔体前駆体粒子に導入されているアルキルアンモニウムハライド(第一の界面活性剤)のアルキル基の炭素鎖の長さとアルキル基の炭素鎖の長さが同じかそれよりも長いアルキルアンモニウムハライド(第二の界面活性剤)を含む溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子に対して水熱処理を施す。ここで、第二の界面活性剤のアルキル基が第一の界面活性剤のアルキル基の鎖長よりも長い場合には、第一の界面活性剤の方が溶媒に対する溶解度が高いため、前記第一の多孔体前駆体粒子中の第一の界面活性剤は、溶媒中に存在する第二の界面活性剤と容易に置換して溶媒中に溶出する。このように、従来の水熱処理を施す技術とは異なり、本発明においては、水熱処理によって置換反応が引き起こり、前記第一の多孔体前駆体粒子のシリカネットワーク中に第二の界面活性剤を導入することができ、更には、前記第一の多孔体前駆体粒子のシリカネットワークが非常に柔軟であるため水熱処理により細孔径を拡大することが可能となる。そして、多孔体前駆体粒子中に第二の界面活性剤が十分に導入されていることから、第一及び第二の界面活性剤を除去する際に細孔構造が崩れることがないものと本発明者らは推察する。
また、第二の界面活性剤のアルキル基と第一の界面活性剤のアルキル基との鎖長が同じである場合においても、第二の界面活性剤の濃度を十分に調節していることから、加熱によって第一の多孔体前駆体粒子の細孔内部への第二の界面活性剤の導入が促進されるため細孔径の拡大が図れ、更には、多孔体前駆体粒子中に第二の界面活性剤が十分に導入されていることから第一及び第二の界面活性剤を除去する際に細孔構造が崩れることがない。そのため、本発明においては、得られる全粒子の粒径の均一性及び細孔配列の規則性が極めて高く、しかも大きな中心細孔直径(好ましくは2.6nm以上)を有する球状シリカ系メソ多孔体を得ることが可能となる。
そして、このようにして得られた細孔径が拡大された球状シリカ系メソ多孔体中のメルカプト基を、酸化剤を用いて酸化することでスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された本発明の球状シリカ系メソ多孔体を得ることが可能となる。以下、このような第三の製造方法を、工程ごとに説明する。
このような第三の工程においては、先ず、第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る(第1の工程:共重合法を採用)。
ここで、第三の工程において用いられるシリカ原料は、シリカ原料の少なくとも一部にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランであり、前述の第一の製造方法に用いられるシリカ原料と同様のものである。
前記第一の界面活性剤は、下記一般式(1):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは7〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドである。
このような一般式(1)におけるR、R及びR及びXは、前述のR、R及びR及びXと同義のものである。また、一般式(1)におけるnは7〜25の整数を示し、13〜21の整数であることがより好ましい。前記nが6以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、球状の第一の多孔体前駆体粒子は得られるものの、中心細孔直径が小さくなって、第2の工程において第一の界面活性剤と第二の界面活性剤とを置換反応させることが困難となる。他方、前記nが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、第一の界面活性剤の疎水性相互作用が強すぎるため、層状の化合物が生成され、球状の多孔体を得ることができなくなる。
従って、上記一般式(1)で表される第一の界面活性剤としては、R、R、Rの全てがメチル基であり且つ炭素数8〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであることが好ましく、中でもデシルトリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、エイコシルトリメチルアンモニウムハライド、ドコシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
このような第一の界面活性剤は、シリカ原料と共に溶媒中で複合体を形成する。複合体中のシリカ原料は反応によりケイ素酸化物へと変化するが、第一の界面活性剤が存在している部分ではケイ素酸化物が生成しないため、第一の界面活性剤が存在している部分に孔が形成されることになる。すなわち、第一の界面活性剤はシリカ原料中に導入されて孔形成のためのテンプレートとして機能する。本発明において、第一の界面活性剤は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることが可能であるが、上記のように第一の界面活性剤はシリカ原料の反応生成物に孔を形成させる際のテンプレートとして働き、その種類は多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるため、より均一な球状多孔体を得るためには、界面活性剤は1種類のみを用いることが好ましい。
また、第1の工程において、前記シリカ原料及び前記第一の界面活性剤を混合するための第一の溶媒としては、水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられ、シリカ原料の溶解性の観点からメタノールまたはエタノールが好ましい。また、前記エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等が挙げられ、シリカ原料の溶解性の観点から、ジエチルエーテルが好ましい。
そして、第三の製造方法においては、前記シリカ原料中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を合成する際に、前記第一の溶媒中のアルコール及び/又はエーテルの含有量は85容量%以下である必要があり、アルコール及び/又はエーテルの含有量が20〜85容量%であることがより好ましく、25〜75容量%であることがより好ましい。このように比較的多量のアルコール及び/又はエーテルを含有する混合溶媒を使用することにより、均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径が高度に均一に制御されることとなる。アルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%を超える場合には、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。他方、アルコール及び/又はエーテルの含有量が20容量%未満の場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となり、得られる第一の多孔体前駆体粒子の均一性が低くなる傾向にある。
また、第三の製造方法においては、前記第一の溶媒中の水と、アルコール及び/又はエーテルとの比率を変化させることにより、粒径の均一性を高水準に保持しつつ、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径を容易に制御することができる。すなわち、水の比率が高い場合は多孔体が析出し易くなるために粒径が小さくなり、逆にアルコールの比率が高い場合は大きい粒径の第一の多孔体前駆体粒子を得ることができる。
さらに、第三の製造方法においては、前記第一の溶媒中で前記シリカ原料及び前記第一の界面活性剤を混合して第一の多孔体前駆体粒子を得る際に、上述した第一の界面活性剤の濃度を溶液の全容量を基準として0.0001〜0.03mol/L(好ましくは、0.0003〜0.02mol/L)とし、上述したシリカ原料の濃度を溶液の全容量を基準としてSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/L(好ましくは、0.001〜0.02mol/L)とする必要がある。また、第三の製造方法においては、このように第一の界面活性剤及びシリカ原料の濃度を厳密に制御することと、前述の第一の溶媒を使用することとが相俟って、均一な球状体の発生及び成長が実現され、得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径が高度に均一に制御されることとなる。
前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001mol/L未満の場合は、テンプレートとなるべき第一の界面活性剤の量が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。他方、前記第一の界面活性剤の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。
また、前記シリカ原料の濃度が0.0005mol/L未満の場合は、形状が球状である多孔体を高比率で得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第一の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。他方、前記シリカ原料の濃度が0.03mol/Lを超える場合は、テンプレートとなるべき第一の界面活性剤の比率が不足するために良好な多孔体を得ることができず、更に粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる球状シリカ系メソ多孔体の粒径の均一性が低くなる。
また、第1の工程において、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを混合する際には、0〜40℃の温度条件下で混合する必要があり、5〜30℃の温度条件下で混合することが好ましい。このような温度が0℃未満ではシリカ原料の反応が非常に遅くなるために粒径の均一性が低くなり、他方、40℃を超えるとシリカ原料の反応が速くなるために形状が球状である多孔体を高比率で得ることが困難となる。
第1の工程における前記温度以外のその他の条件(反応時間等)は特に制限されず、具体的な反応条件は、メルカプト基を含有する有機アルコキシシランとともに用いる他のシリカ原料の種類や、メルカプト基を含有する有機アルコキシシランの濃度等に基づいて適宜決定することが好ましい。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。
また、第1の工程においては、前記シリカ原料及び前記第一の界面活性剤を混合する際に、塩基性条件下で混合することが好ましい。シリカ原料は、一般に塩基性条件下においても酸性条件下においても反応が生じケイ素酸化物へと変化するが、本発明におけるシリカ原料と第一の界面活性剤の濃度は従来技術の方法に比較して低いものとなっているために、酸性条件下では反応がほとんど進行しない。したがって、第1の工程(A)においては、塩基性条件下でシリカ原料を反応させることが好ましい。なお、シリカ原料は、酸性条件で反応させる場合よりも塩基性条件で反応させる場合の方がケイ素原子の反応点が増加し、耐湿性や耐熱性等の物性に優れたケイ素酸化物を得ることができるため、塩基性条件下で混合することはこの点においても有利である。なお、前記第一の溶媒を塩基性にする方法としては、前述の第一の製造方法において水系溶媒を塩基性にする方法と同様の方法を採用できる。
このような第1の工程においては、例えば、以下のようにして第一の多孔体前駆体粒子を得ることができる。先ず、水とアルコール及び/又はエーテルの混合溶媒に対して第一の界面活性剤及び塩基性物質を添加して、第一の界面活性剤を含有する塩基性溶液を調製し、この溶液にシリカ原料を添加する。添加されたシリカ原料は溶液中で加水分解(又は、加水分解及び縮合)するために、添加後数秒〜数十分で白色粉末が析出する。この場合において、反応温度は0℃〜40℃である。また、溶液は攪拌することが好ましい。
沈殿物が析出した後、0℃〜40℃(好ましくは5℃〜30℃)で1時間〜10日、溶液をさらに攪拌してシリカ原料の反応を進行させる。攪拌終了後、必要に応じて室温で一晩放置して系を安定化させ、得られた沈殿物を必要に応じてろ過及び洗浄することによって本発明にかかる第一の多孔体前駆体粒子が得られる。
次に、第三の製造方法においては、第二の界面活性剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る(第2の工程)。そして、第三の製造方法においては、第2の工程で行う水熱処理によって、細孔径が拡大される。
このような第二の界面活性剤は、下記一般式(2):
[式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは20〜25の整数を示す。]
で表されるアルキルアンモニウムハライドである。
このような一般式(2)におけるR、R及びR及びXは、前述の一般式(1)におけるR、R及びR及びXと同義のものである。また、一般式(2)におけるzは20〜25の整数を示し、21〜24の整数であることがより好ましい。前記zが19以下であるアルキルアンモニウムハライドでは、第2の工程において、第一の多孔体前駆体粒子の細孔径を十分に拡大することが困難となる。他方、前記zが26以上のアルキルアンモニウムハライドでは、アルキル鎖が大きくなりすぎて、第一の界面活性剤と置換反応させてシリカ中に第二の界面活性剤を導入することが困難となる。
また、前記第二の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの前記一般式(2)中のzの値が、前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(1)中のnの値以上である必要がある。実際に選択されるzの値がnの値よりも小さいと、第二の界面活性剤のアルキル基の鎖長の方が第一の界面活性剤のアルキル基の鎖長よりも短くなってしまい、第一の界面活性剤の溶解度が第二の界面活性剤の溶解度よりも小さくなるため、水熱反応によっても第一の界面活性剤と第二の界面活性剤との置換反応が起こらず、細孔径の拡大が図れなくなる。
このような一般式(2)で表される第一の界面活性剤としては、R、R、Rの全てがメチル基であり且つ炭素数21〜26の長鎖アルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウムハライドであることが好ましく、中でもドコシルトリメチルアンモニウムハライド、テトラコシルトリメチルアンモニウムハライドがより好ましい。
また、第2の工程における第二の溶媒は、水とアルコールとの混合溶媒である。このようなアルコールとしては、第一の溶媒に用いられるアルコールと同様のものが用いられる。
このような第2の工程においては、前記第二の溶媒中のアルコールの含有量が40〜90容量%である必要があり、アルコールの含有量が50〜85容量%であることが好ましく、55〜75容量%であることがより好ましい。前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が90容量%を超える場合には、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤の置換反応が十分に進まなくなる。他方、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40容量%未満の場合は、水の割合が多くなるため長いアルキル鎖を有するアルキルアンモニウムハライドが第二の溶媒中に十分に溶解しなくなり、更に、高温の水によって、シリカネットワークの再構築が促進されて得られるシリカ多孔体の形状が変化してしまったり、多孔体前駆体粒子のシリカネットワークが崩壊したりする。
更に、第三の製造方法においては、前記第二の溶媒中における前記第二の界面活性剤の濃度は、溶液の全容量を基準として0.05〜0.2mol/L(好ましくは、0.1〜0.18mol/L)とする必要がある。第二の界面活性剤の濃度が0.05mol/L未満の場合は、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤の置換反応が十分に進行せず、得られる粒子の粒径や細孔構造の規則性が低下し、更には細孔径を十分に拡大することができない。他方、第二の界面活性剤の濃度が0.2mol/Lを超える場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となって得られる第二の多孔体前駆体粒子の粒径の均一性が低くなる。
第2の工程において、前記第一の多孔体前駆体粒子を第二の溶媒中で混合する際には、60〜90℃の温度条件下で混合する必要があり、70〜80℃の温度条件下で混合することが好ましい。このような温度が60℃未満では多孔体前駆体粒子に含有されている第一の界面活性剤と第二の界面活性剤の置換反応が十分に進行せず、他方、90℃を超えると、粒径及び粒径分布の制御が困難となる。
第2の工程における前記温度条件以外のその他の条件は特に制限されず、第一の多孔体前駆体粒子の種類等に基づいて適宜決定することが好ましい。また、反応は攪拌状態で進行させることが好ましい。
第2の工程においては、例えば、以下のようにして第二の多孔体前駆体粒子を得ることができる。先ず、水とアルコールとの混合溶媒に対して第二の界面活性剤を添加して溶液を調製し、この溶液に第一の多孔体前駆体粒子を添加し、オートクレーブ等で60〜90℃に加熱し、その温度条件下において20時間〜14日程度、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤との置換反応を進行させて第一の多孔体前駆体中に第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得ることができる。
次いで、第三の製造方法においては、前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る(第3の工程)。すなわち、第3の工程においては、先ず、前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去して、メルカプト基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た後、その球状シリカ系メソ多孔体のメルカプト基を酸化剤を用いて酸化せしめてスルホン酸基に変換し、これによってスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得る。
このような第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去する方法としては、前述の第一の製造方法の第2の工程において説明した界面活性剤を除去する方法と同様の方法を採用することができる。また、酸化剤を用いて酸化せしめる方法としては、前述の第一の製造方法の第2の工程において説明した酸化剤を用いて酸化せしめる方法と同様の方法を採用することができる。そして、このような第三の製造方法においては、細孔径が拡大され且つスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得ることができる。
(第四の製造方法)
本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第四の製造方法は、第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
第二の界面活性剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る第2の工程と、
前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得る第3の工程と、
前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、酸化剤を用いて酸化せしめる第4の工程と、
を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法である。
このような本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第四の製造方法における第1〜第2の工程は、シリカ原料として前述のその他のアルコキシシランを用いること以外は前述の第三の製造方法の第1〜第2の工程と同じ工程である。また、第四の製造方法における第3の工程は、酸化剤を用いて酸化する工程を含まない以外は前述の第三の製造方法の第3の工程と同じ工程である。更に、第四の製造方法における第4の工程は、前述の第二の製造方法の第3の工程と同様の工程である。そして、このような第1〜4の工程により、スルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得ることができる。
以上説明したように、本発明の球状シリカ系メソ多孔体の第一〜第四の製造方法により、平均粒径が0.01〜3μmである球状シリカ系メソ多孔体であって、中心細孔直径が1nm以上と比較的大きい球状シリカ系メソ多孔体であって、スルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体が効率良く且つ確実に得られる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド3.52gを水/メタノール混合溶液800g(50/50=w/w)に溶解し、恒温水槽中で25℃に保って攪拌して溶液を得た。次に、得られた溶液に1mol/L水酸化ナトリウム溶液2.28mLを添加した後、これに、テトラメトキシシラン(TMOS)と3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)とをモル比(TMOS/MPTMS)が4/1、全Si量が8.68×10−3molとなるようにして予め乾燥窒素気流中で混合したもの(シリカ原料)を添加した。このようにしてシリカ原料を添加したところ、数分で粒子の析出が見られ、溶液が白濁した。次いで、この溶液を約8時間攪拌し、一晩静置し、生成物を得た。このようにして得られた生成物をろ過し、水に再分散させる操作を2回繰り返した後に、45℃で一晩乾燥させて多孔体前駆体粒子(シリカ/界面活性剤複合体)を得た。
次に、得られた多孔体前駆体粒子0.5gをエタノール50mLに分散させ、更に塩酸0.5mLを加えてオイルバス中において60℃で3時間攪拌することにより、界面活性剤を抽出した。このようにして界面活性剤を抽出した後の多孔体をエタノールで十分に洗浄した後、45℃で乾燥して、3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。その後、この球状シリカ系メソ多孔体0.35gを30%過酸化水素水(酸化剤)10mlに添加し、50℃で6時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
酸化剤で酸化する前の3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体と、酸化剤で酸化した後(メルカプト基をスルホン酸基へと変換した後)のプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体とのラマンスペクトル分析を行った。得られたラマンスペクトルを図1に示す。図1に示すラマンスペクトルからも明らかなように、酸化剤で酸化した後においては、メルカプト基に由来するピークが完全に消失してスルホン酸基に由来するピークが観測されていることから、スルホン酸基を含有する有機官能基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体が得られたことが確認された。
また、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は、33.4オングストローム(Å)にd100値のピークを有しており、細孔の規則性が高いことが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体の任意の粒子50個の粒径分布は0.39〜0.51μmであり、平均粒径は0.45μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の98重量%であって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は単分散の状態であった。また、透過電子顕微鏡(TEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、放射状細孔が形成されていることが確認された。なお、このような物性の測定方法については後述する。
(実施例2)
シリカ原料として、テトラメトキシシラン(TMOS)と、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)とをモル比(TMOS:MPTMS)が9/1、全Si量が8.68×10−3molとなるようにして予め乾燥窒素気流中で混合したものを用い、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させる際の攪拌時間を3時間にした以外は実施例1と同様にして、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。
酸化剤で酸化する前の3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体、及び酸化剤で酸化した後(メルカプト基をスルホン酸基へと変換した後)のプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体のX線回折パターンを図2に示す。図2に示す結果からも明らかなように、得られた球状シリカ系メソ多孔体は、33.3オングストローム(Å)にd100値のピークを有しており、しかも細孔のヘキサゴナル配列に対応する(100)、(110)、(200)のピークを有していることが確認された。したがって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は、細孔の規則性が高いことが確認された。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体の走任意の粒子50個の粒径分布は0.43〜0.56μmであり、平均粒径は0.50μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の98重量%であって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は単分散の状態であった。なお、実施例2で得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体のSEM写真を図3に示す。また、透過電子顕微鏡(TEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、放射状細孔が形成されていることが確認された。なお、このような物性等の測定方法については後述する。
(実施例3)
界面活性剤としてオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド3.36gを用いた以外は実施例2と同様にして、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。
得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は、36.3オングストローム(Å)にd100値のピークを有しており、細孔の規則性が高いことが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体の任意の粒子50個の粒径分布は0.57〜0.72μmであり、平均粒径は0.64μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の96重量%であって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は単分散の状態であった。また、透過電子顕微鏡(TEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、放射状細孔が形成されていることが確認された。なお、このような物性等の測定方法については後述する。
(実施例4)
先ず、実施例3で採用した多孔体前駆体粒子を得る工程と同様の工程を採用して第一の多孔体前駆体粒子を得た。次に、得られた第一の多孔体前駆体粒子1gに0.1Mドコシルトリメチルアンモニウムクロリド溶液(水/エタノール=1/1)60mlを加え、80℃で1週間放置し、ポストシンセシスによる細孔径拡大を行い、第二の多孔体前駆体粒子を得た。
次いで、得られた第二の多孔体前駆体粒子をろ過、乾燥した。その後、第二の多孔体前駆体粒子0.8gをエタノール80mLに分散させ、塩酸0.8mLを加えてオイルバス中において60℃で3時間攪拌することにより、界面活性剤を抽出した。このようにして界面活性剤を抽出した後の多孔体をエタノールで十分に洗浄した後、45℃で乾燥して、3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。その後、この球状シリカ系メソ多孔体0.35gを30%過酸化水素水(酸化剤)10mlに添加し、50℃で3時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は、39.8オングストローム(Å)にd100値のピークを有しており、細孔の規則性が高いことが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体の任意の粒子50個の粒径分布は0.66〜0.78μmであり、平均粒径は0.71μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の96重量%であって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は単分散の状態であった。また、透過電子顕微鏡(TEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、放射状細孔が形成されていることが確認された。なお、このような物性等の測定方法については後述する。
(実施例5)
先ず、シリカ原料として全Si量が8.68×10−3molとなるようにしたTMOSを用いた以外は、実施例1で採用した3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得る工程と同様の工程を採用して球状シリカ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ多孔体0.7gを脱水トルエン70mlと3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)2.06gに混合し、90℃で15時間還流した後、ろ過し、45℃で一晩乾燥させ、3−メルカプトプロピル基をグラフトした球状シリカ系メソ多孔体を得た。次いで、このようにして得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体0.5gを30%過酸化水素水10mlに添加し、室温で3時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は、33.7オングストローム(Å)にd100値のピークを有しており、細孔の規則性が高いことが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体の任意の粒子50個の粒径分布は0.49〜0.62μmであり、平均粒径は0.56μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の98重量%であって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は単分散の状態であった。また、透過電子顕微鏡(TEM)による測定の結果、得られた3−スルホプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、放射状細孔が形成されていることが確認された。なお、このような物性等の測定方法については後述する。
(実施例6)
先ず、シリカ原料として全Si量が8.68×10−3molとなるようにしたTMOSを用いた以外は、実施例3で採用した3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得る工程と同様の工程を採用して球状シリカ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ多孔体0.7gを脱水トルエン70mlと3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)2.47gに混合し、90℃で15時間還流した後、ろ過し、45℃で一晩乾燥させ、3−メルカプトプロピル基をグラフトした球状シリカ多孔体を得た。次いで、このようにして得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体0.5gを30%過酸化水素水10mlに添加し、50℃で3時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は、36.5オングストローム(Å)にd100値のピークを有しており、細孔の規則性が高いことが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体の任意の粒子50個の粒径分布は0.48〜0.62μmであり、平均粒径は0.56μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の97重量%であって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は単分散の状態であった。また、透過電子顕微鏡(TEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、放射状細孔が形成されていることが確認された。なお、このような物性等の測定方法については後述する。
(実施例7)
先ず、シリカ原料として全Si量が8.68×10−3molとなるようにしたTMOSを用いた以外は、実施例4で採用した3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得る工程と同様の工程を採用してポストシンセシス後の球状シリカ多孔体を得た。
次に、得られた球状シリカ多孔体0.6gを脱水トルエン60mlと3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)2.12gに混合し、90℃で15時間還流した後、ろ過し、45℃で一晩乾燥させ、3−メルカプトプロピル基をグラフトした球状シリカ多孔体を得た。次いで、このようにして得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体0.5gを30%過酸化水素水10mlに添加し、50℃で3時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を得た。なお、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体は、40.9オングストローム(Å)にd100値のピークを有しており、細孔の規則性が高いことが確認された。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体の任意の粒子50個の粒径分布は0.59〜0.74μmであり、平均粒径は0.67μmであった。さらに、平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有する粒子の割合は全粒子の98重量%であって、得られた球状シリカ系メソ多孔体は単分散の状態であった。また、透過電子顕微鏡(TEM)による測定の結果、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、放射状細孔が形成されていることが確認された。なお、このような物性等の測定方法については後述する。
(比較例1)
メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させる工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして3−メルカプトプロピル基を導入したシリカ多孔体を得た。
(比較例2)
メソポーラス構造を持たない球状シリカ(球状微粉体シーホースター、日本触媒製、粒径500nm)1gを脱水トルエン20mlと3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(APTMS)0.24gに混合し、90℃で15時間還流した後、ろ過し、45度で一晩乾燥させ、3−メルカプトプロピル基をグラフトした球状シリカを得た。次いで、このようにして得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ0.5gを30%過酸化水素水10mlに添加し、50℃で3時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカを得た。なお、得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカは酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
(比較例3)
先ず、テトラエトキシシラン(TEOS)と3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)とのモル比(TEOS:MPTMS)が5/1となるようしたシリカ原料を用い、Org.Chem.,1997年発行,vol.62,p74に記載されている方法と同様の方法を採用して、MCM−41を得た。
次いで、得られたMCM−41の0.5gを30%過酸化水素水10mlに添加し、50℃で3時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された不定形のシリカを得た。なお、得られた不定形のシリカは酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
(比較例4)
テトラエトキシシラン(TEOS)のみをシリカ原料として用い、Org.Chem.,1997年発行,vol.62,p74に記載されている方法と同様の方法を採用して、MCM−41を得た。
次いで、得られたMCM−41の0.7gを脱水トルエン70mlと3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)2.47gに混合し、90℃で15時間還流した後、ろ過し、45℃で一晩乾燥させ、3−メルカプトプロピル基をグラフトした不定形のシリカを得た。
次に、得られた不定形のシリカ0.5gを30%過酸化水素水10mlに添加し、50℃で3時間攪拌することにより、メルカプト基を酸化せしめてスルホン酸基へと変換させて、プロピルスルホン酸基で修飾された不定形のシリカを得た。なお、得られた不定形のシリカは酸化反応後に、ろ過し、45℃で乾燥した。
[実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた多孔体の物性の評価]
実施例1〜7で得られた球状シリカ系メソ多孔体の物性を表1に示し、比較例1〜4で得られたシリカ系メソ多孔体の物性を表2(比較例1〜4)に示す。なお、表1及び表2に示す物性は以下のようにして測定した。
<X線回折による分析>
実施例1〜7で得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体に対して、理学製の粉末XRD装置RINT−2200を用いてX線回折パターンによりメソ細孔構造の規則性(d100値のピーク)を測定した。得られた結果を表1(実施例1〜7)に示す。
<走査型電子顕微鏡(SEM)による測定>
実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた多孔体の走査型電子顕微鏡(SEM:明石製作所製の商品名「SIGMA−V」)による観察を行い、任意の粒子50個の直径を計測し、平均粒子径及び標準偏差を算出した。得られた結果を表1(実施例1〜7)及び表2(比較例1〜4)に示す。
<N吸着等温線の測定>
また、N吸着等温線を日本ベル製Belsorp−miniにより、液体N温度(77K)で定容量法にて測定した。なお、測定前に試料を100℃で2時間真空脱気処理した。そして、得られたN吸着等温線からBJH法により細孔径を算出するとともに、細孔容量及び比表面積を算出した。得られた結果を表1(実施例1〜7)及び表2(比較例1〜5)に示す。なお、比較例1〜5に関しては細孔容量のみを示す。
<透過電子顕微鏡(TEM)による測定>
実施例1〜7で得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体に対して、その細孔内に部分的に金属を導入し、透過電子顕微鏡(TEM:日本分光製の商品名「Joel−200CX」)による測定を行った。このような測定の結果、実施例1〜7で得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体においては、ヘキサゴナル細孔が球の中心から外側に向かっており、放射状細孔が形成されていることが確認された。
<酸触媒性能の評価>
実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた多孔体を下記反応式:
に示すFriedel−Craftsアルキル化反応の触媒としてそれぞれ用い、各多孔体の酸触媒性能を評価した。すなわち、先ず、実施例1〜7及び比較例1〜4で得られた多孔体を触媒としてそれぞれ用い、各触媒60mgの存在下において2−メチルフラン0.6gとアセトン1.39mlとを50℃で1時間及び8時間反応させて反応混合物を得た。次に、このようにして得られた反応混合物をろ過して触媒を除去した後、これをアセトンで洗浄して溶液を得た。そして、このようにして得られた溶液を用いてGC−MS測定により主生成物であるbis−furan(2,2−bis(5−methylfuryl)propane)の収率及び選択率を測定した。なお、このような測定に際しては2−メチルフラン標準液を用いた。得られた結果を表3に示す。
表3に示す結果からも明らかなように、本発明の球状シリカ系メソ多孔体(実施例1〜7)を触媒として用いた場合においては、非常に高い収率が得られるとともに選択率が非常に高かった(98〜99%)。このような結果から、本発明の球状シリカ系メソ多孔体(実施例1〜7)は、酸触媒として非常に優れた特性を示すものであることが確認された。特に、不定形シリカを用いた比較例3〜4に比べて1時間後の収率が高く、これは放射状細孔を有しているため、反応物のアクセスが容易であることに起因するものと推察される。なお、このようにして選択率が向上した理由は必ずしも定かではないが、細孔形状の違い(細孔が細孔直径が1nm以上で且つ放射状の形状であること)により、本発明の球状シリカ系メソ多孔体においては高い選択率が得られるものと推察される。
一方、3−メルカプトプロピル基で修飾された比較のための球状シリカ系メソ多孔体(比較例2)の粒子は、収率が大変低く酸触媒としては十分に機能しなかった。また、球状であるものの細孔を有しない比較のための球状シリカ系メソ多孔体(比較例3)の粒子は、プロピルスルホン酸基で修飾されているため酸触媒として若干は機能するものの、本発明の球状シリカ系メソ多孔体(実施例1〜7)と比べると収率が低かった。このような結果から触媒反応は細孔内で効率良く起こることが示唆された。また、代表的な不定形のメソポーラスシリカであるMCMにスルホン酸基を導入したもの(比較例3〜4)は、酸触媒としてある程度の触媒性能を示すものの、主生成物の収率及び選択率が十分なものではなかった。また、形状がロッド状のため、反応初期(1時間)の収率が実施例の球状シリカ系メソ多孔体に比べて低かった。
以上説明したように、本発明によれば、高度な酸触媒性能を発揮できる球状シリカ系メソ多孔体、並びにその球状シリカ系メソ多孔体の製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明の球状シリカ系メソ多孔体は、高度な酸触媒性能を発揮できるため、特にFriedel−Craftsアルキル化反応等に用いる酸触媒として有用である。また、スルホン酸基特有の性質により、金属イオンの吸着材料やプロトン伝導性材料としても有用である。
実施例1で得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体と、実施例1で得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体(メルカプト基をスルホン酸基へと変換した後のもの)のラマンスペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られた3−メルカプトプロピル基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体と、実施例2で得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体(メルカプト基をスルホン酸基へと変換した後のもの)のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例2で得られたプロピルスルホン酸基で修飾された球状シリカ系メソ多孔体を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。

Claims (9)

  1. 平均粒径が0.01〜3μmであり、中心細孔直径が1nm以上の放射状細孔を有する球状シリカ系メソ多孔体であって、前記球状シリカ系メソ多孔体がスルホン酸基を含有する有機官能基で修飾されていることを特徴とする球状シリカ系メソ多孔体。
  2. 前記スルホン酸基を含有する有機官能基が、前記球状シリカ系メソ多孔体を構成するシリケート骨格中のケイ素原子に配位されていることを特徴とする請求項1に記載の球状シリカ系メソ多孔体。
  3. 前記球状シリカ系メソ多孔体の全粒子の90重量%以上が、前記平均粒径の±10%の範囲内の粒径を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の球状シリカ系メソ多孔体。
  4. 溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
    前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
    を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
    前記シリカ原料の少なくとも一部がメルカプト基を含有する有機アルコキシシランであり、且つ、
    前記界面活性剤として下記一般式(1):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは7〜25の整数をそれぞれ示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が80容量%以下である水系溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.0001〜0.03mol/L、前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lとすることによって、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  5. 溶媒中でシリカ原料と界面活性剤とを混合し、前記シリカ原料中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
    前記多孔体前駆体粒子に含まれる前記界面活性剤を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得る第2の工程と、
    前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、酸化剤を用いて酸化せしめる第3の工程と、
    を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
    前記界面活性剤として下記一般式(1):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは7〜25の整数をそれぞれ示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記溶媒としてアルコール含有量が80容量%以下である水系溶媒を用い、前記溶媒中における前記界面活性剤の濃度を0.0001〜0.03mol/L、前記シリカ原料の濃度をSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lとすることによって、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  6. 第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
    第二の界面活性剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る第2の工程と、
    前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去し、酸化剤を用いて酸化せしめて球状シリカ系メソ多孔体を得る第3の工程と、
    を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
    前記シリカ原料の少なくとも一部がメルカプト基を含有する有機アルコキシシランであり、
    第1の工程において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(1):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは7〜25の整数を示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
    第2の工程において、前記第二の界面活性剤として下記一般式(2):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは20〜25の整数を示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第二の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のzの値が、前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(1)中のnの値以上であり、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記第二の界面活性剤の濃度が0.05〜0.2mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜90℃の温度条件下で混合することによって、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  7. 第一の溶媒中でシリカ原料と第一の界面活性剤とを混合し、シリカ中に前記第一の界面活性剤が導入されてなる第一の多孔体前駆体粒子を得る第1の工程と、
    第二の界面活性剤を含む第二の溶媒中で、前記第一の多孔体前駆体粒子中に前記第二の界面活性剤が導入されてなる第二の多孔体前駆体粒子を得る第2の工程と、
    前記第二の多孔体前駆体粒子に含まれる前記第一及び第二の界面活性剤を除去し、球状シリカ系メソ多孔体を得る第3の工程と、
    前記球状シリカ系メソ多孔体にメルカプト基を含有する有機アルコキシシランをグラフト重合させ、酸化剤を用いて酸化せしめる第4の工程と、
    を含む球状シリカ系メソ多孔体の製造方法であって、
    第1の工程において、前記第一の界面活性剤として下記一般式(1):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、nは7〜25の整数を示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第一の溶媒として水と、アルコール及び/又はエーテルとの混合溶媒を用い、前記第一の溶媒中におけるアルコール及び/又はエーテルの含有量が85容量%以下であり、前記第一の溶媒中における前記第一の界面活性剤の濃度が0.0001〜0.03mol/Lであり、前記第一の溶媒中における前記シリカ原料の濃度がSi濃度換算で0.0005〜0.03mol/Lであり、且つ、前記シリカ原料と前記第一の界面活性剤とを0〜40℃の温度条件下で混合すること、及び、
    第2の工程において、前記第二の界面活性剤として下記一般式(2):
    [式中、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、zは20〜25の整数を示す。]
    で表されるアルキルアンモニウムハライドを用い、前記第二の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(2)中のzの値が、前記第一の界面活性剤として選択されたアルキルアンモニウムハライドの式(1)中のnの値以上であり、前記第二の溶媒として水とアルコールとの混合溶媒を用い、前記第二の溶媒中におけるアルコールの含有量が40〜90容量%であり、前記第二の溶媒中における前記第二の界面活性剤の濃度が0.05〜0.2mol/Lであり、且つ、前記第二の溶媒中で前記第一の多孔体前駆体粒子を60〜90℃の温度条件下で混合することによって、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体を得ることを特徴とする球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  8. 前記酸化剤が、過酸化水素であることを特徴とする請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体の製造方法。
  9. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の球状シリカ系メソ多孔体からなることを特徴とするFriedel−Craftsアルキル化反応に用いる酸触媒。
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