JP5572854B2 - 有機シラン化合物およびメソポーラス有機シリカ - Google Patents

有機シラン化合物およびメソポーラス有機シリカ Download PDF

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Description

本発明は、有機シラン化合物およびメソポーラス有機シリカに関する。
孔径1〜30nm程度のメソサイズの細孔(メソ孔)が規則的に配列したシリカ系メソ多孔体は、様々な物質を吸着、貯蔵、担持などをするための材料として注目されている。近年、このようなシリカ系メソ多孔体において、吸着特性などを高めるために、様々な官能基を有する有機基を導入する研究が行なわれている。
例えば、メソポーラスシリカにピリジン基やビピリジン基を導入する方法としては、メソポーラスシリカにクロロプロピルトリメトキシシランをグラフトせしめ、塩素原子をジメチルビピリジンで置換する方法(C.D.Nunesら、J.Mater.Chem.,2002,12,1735〜1742(非特許文献1))や、ビス(トリエトキシシリル)エタンとトリメトキシシリルエチルピリジンとを反応させる方法(M.C.Burleighら、J.Phys.Chem.B.,2001,105,9935〜9942(非特許文献2))などが知られている。
しかしながら、前者の方法では、メソポーラスシリカにクロロプロピルトリメトキシシランをグラフトせしめ、塩素原子をジメチルビピリジンで置換しているため、得られるビピリジン基含有メソポーラスシリカにおいては、メソ細孔構造は形成されているが、細孔内におけるビピリジン基同士の立体障害などの影響によりビピリジン基を多量に導入することは困難であった。また、後者の方法では、ビス(トリエトキシシリル)エタンの量を多くすると規則的なメソ細孔構造を形成することは可能であるが、多量のピリジン基を導入することは困難であり、一方、トリメトキシシリルエチルピリジンの量を多くすると多量のピリジン基を導入することは可能であるが、規則的なメソ細孔構造を形成することは困難であった。
従って、メソポーラスシリカ骨格の側鎖にピリジン環やビピリジン基を導入するという従来の方法では、規則的なメソ細孔構造を有し且つ多量のピリジン基やビピリジン基が導入されたメソポーラスシリカを得ることは困難であった。
C.D.Nunesら、J.Mater.Chem.,2002,12,1735〜1742 M.C.Burleighら、J.Phys.Chem.B.,2001,105,9935〜9942
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、規則的なメソ細孔構造を有し且つ多量のピリジン基やビピリジン基が導入され、金属イオンや金属錯体などの吸着特性や担持特性などに優れたメソポーラス有機シリカ、およびそれを形成するための有機シラン化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ピリジン基やビピリジン基と複数のシリル基とを単結合や炭素数の少ない炭化水素鎖で共有結合させた有機シラン化合物を縮合させることによって、規則的なメソ細孔構造を有する有機シリカにピリジン基やビピリジン基を多量に導入することが可能であり、さらに、金属イオンや金属錯体などの吸着特性や担持特性などに優れたメソポーラス有機シリカが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のメソポーラス有機シリカは、下記式():
Figure 0005572854
(式(2)中、X は下記式:
Figure 0005572854
で表される2価のピリジン基および2価のビピリジン基のうちのいずれかを表し、Yは単結合、またはエチレン基、エテニレン基およびエチニレン基からなる群から選択される1種の2価の基を表し、*は隣接する構成単位との結合部位を表し、mはであり、複数存在するYは同じであっても異なっていてもよい。)
で表される繰り返し単位を含有し、比表面積が500m/g以上であることを特徴とするものである。
発明のメソポーラス有機シリカにおいて、ピリジン環の含有量は2.5mmol/g以上であることが好ましい。また、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれていることが好ましい。さらに、本発明のメソポーラス有機シリカは、X線回折パターンにおいて1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するものであることが好ましい。
なお、本発明の有機シラン化合物によって、規則的なメソ細孔構造を有する有機シリカに多量のピリジン基やビピリジン基を導入することができる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の有機シラン化合物においては、ピリジン基やビピリジン基が複数のシリル基と単結合や炭素数の少ない炭化水素鎖合で共有結合されているため、このような有機シラン化合物を縮合させることによってそれ自身で規則的なメソ細孔構造を形成することができ、さらに、このメソ細孔構造の基本骨格にピリジン基やビピリジン基が導入されるため、メソポーラス有機シリカに多量のピリジン基やビピリジン基を含有させることが可能になるものと推察される。
また、本発明のメソポーラス有機シリカが金属イオンや金属錯体などの吸着特性を担持特性などに優れたものとなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明のメソポーラス有機シリカは規則的なメソ細孔構造を有するため、比表面積が非常に大きく、また、細孔骨格が薄いため、導入されたピリジン基やビピリジン基の多くは細孔骨格の表面に存在する。その結果、吸着サイトや担持部位などが細孔骨格の表面に多く存在し、多量の金属イオンや金属錯体などを吸着したり担持したりすることが可能になったものと推察される。
本発明によれば、規則的なメソ細孔構造を有し且つ多量のピリジン基やビピリジン基が導入され、金属イオンや金属錯体などの吸着特性や担持特性などに優れたメソポーラス有機シリカを得ることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<有機シラン化合物>
先ず、本発明の有機シラン化合物について説明する。本発明の有機シラン化合物は、下記式(1):
Figure 0005572854
で表されることを特徴とするものである。
前記式(1)において、Xはm価のピリジン基またはm価のビピリジン基を表し、mは2〜4の整数である。すなわち、本発明の有機シラン化合物は、ピリジン基またはビピリジン基がYによって2〜4個のシリル基と結合したものである。前記式(1)においてmが1の場合にはメソ細孔構造の基本骨格にピリジン基またはビピリジン基を導入することができず、他方、mが5以上になると目的とする有機シラン化合物を合成することが困難となる。
このようなピリジン基としては、例えば、下記式:
Figure 0005572854
で表される2価のピリジン基(m=2)が挙げられる。また、前記ビピリジン基としては、例えば、下記式:
Figure 0005572854
で表される2価のビピリジン基(m=2)、および下記式:
Figure 0005572854
で表される4価のビピリジン基(m=4)が挙げられる。このようなピリジン基およびビピリジン基のうち、目的とする有機シラン化合物が合成しやすく、有機シリカを合成する際に規則的なメソ細孔構造を形成しやすいという観点から、前記式で表される2価のピリジン基(m=2)が好ましい。
また、前記式(1)において、Yは単結合、またはエチレン基、エテニレン基およびエチニレン基からなる群から選択される1種の2価の基を表し、複数存在するYは同じものであって異なるものであってもよい。Yが炭素数3以上の2価の炭化水素基であると有機シリカを合成する際に規則的なメソ細孔構造を形成することが困難となる。また、前記単結合および2価の基のうち、有機シリカを合成する際に規則的なメソ細孔構造を形成しやすいという観点からエテニレン基が好ましい。
前記式(1)中のRは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、加水分解、重縮合による有機シリカの効率的な合成という観点からメチル基またはエチル基が好ましい。
また、前記式(1)中のRは置換または無置換のアリル基を表す。前記置換アリル基としては、無置換のアリル基中の少なくとも1個の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基に置換されたものが挙げられる。置換アリル基における置換基の炭素数が7以上になると有機シリカを合成する際に置換アリル基がシリカ骨格から脱離し難くなるため、安定なシロキサン結合(Si−O−Si)を十分に形成させることが困難となる傾向にある。置換アリル基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。
前記式(1)において、nは0〜3の整数である。中でも、有機シラン化合物の縮合反応が進行しやすく、縮合後の構造が安定するという観点からnは1〜3が好ましく、2〜3がより好ましい。また、nが0〜1の場合にはRが複数存在するがこれらは同じであっても異なっていてもよい。同様に、nが2〜3の場合にはRが複数存在するがこれらは同じであっても異なっていてもよい。
次に、このような本発明の有機シラン化合物の好適な製造方法について説明する。例えば、前記式(1)中のYがエテニレン基、Xがピリジン基である有機シラン化合物は以下の方法により好適に製造することができる。すなわち、先ず、下記式(3):
Figure 0005572854
(式(3)中、Aはハロゲン原子を表し、Xはピリジン基を表し、mは前記式(1)中のmと同義である。)
で表わされるハロゲン化ピリジンと、PdCl(PPhおよびCuIとを混合し、さらにi−PrNHおよびテトラヒドロフランを添加して均一に溶解させる。この溶液に下記式(4):
Figure 0005572854
(式(4)中、Rはアルキル基を表す。)
で表わされるトリアルキルシリルアセチレンを滴下し、前記ハロゲン化ピリジンとトリアルキルシリルアセチレンとを反応させることによって下記式(5):
Figure 0005572854
(式(5)中、Xはピリジン基を表し、mは前記式(3)中のmと同義であり、Rは式(4)中のRと同義である。)
で表わされるポリ(トリアルキルシリルエチニル)ピリジンを合成する。
前記式(3)中のAはハロゲン原子を表し、トリアルキルシリルアセチレンとの反応性の観点から臭素原子またはヨウ素原子であることが好ましい。また、前記式(4)および(5)中のRはアルキル基を表し、後述する反応におけるトリアルキルシリル基の脱離性の観点からメチル基またはエチル基であることが好ましい。
次に、前記ポリ(トリアルキルシリルエチニル)ピリジンと、テトラヒドロフランおよび水とを混合する。この混合溶液にフッ化テトラブチルアンモニウムを滴下し、前記ポリ(トリアルキルシリルエチニル)ピリジンからトリアルキルシリル基を脱離させることによって下記式(6):
Figure 0005572854
(式(6)中、Xはピリジン基を表し、mは前記式(3)中のmと同義である。)
で表わされるポリエチニルピリジンを合成する。
このポリエチニルピリジンと、[Rh(cod)Cl]およびPPhとを混合し、さらにCHCNを添加して均一に溶解させる。この溶液にトリアルコキシシランを滴下し、前記ポリエチニルピリジンとトリアルコキシシランとを反応させることによって下記式(7):
Figure 0005572854
(式(7)中、Xはピリジン基を表し、mは前記式(3)中のmと同義であり、Rは前記式(1)中のRと同義である。)
で表わされるポリ(トリアルコキシシリルエテニル)ピリジンを合成する。また、必要に応じてこのポリ(トリアルコキシシリルエテニル)ピリジンをアリル化することによって下記式(8):
Figure 0005572854
(式(8)中、Xはピリジン基を表し、kは0〜2の整数であり、RおよびRは前記式(1)中のRおよびRと同義である。)
で表わされる有機シラン化合物を得ることができる。
また、前記式(1)中のYがエテニレン基、Xがビピリジン基である有機シラン化合物は以下の方法により好適に製造することができる。すなわち、先ず、下記式(3):
Figure 0005572854
(式(3)中、Aはハロゲン原子を表し、Xはビピリジン基を表し、mは前記式(1)中のmと同義である。)
で表わされるハロゲン化ビピリジンと、Pd(PPhとを混合し、さらにトリエチルアミンおよびN,N−ジメチルホルムアミドを添加して均一に溶解させる。この溶液に下記式(9):
Figure 0005572854
(式(9)中、Rは前記式(1)中のRと同義である。)
で表わされるトリアルコキシビニルシランを滴下し、前記ハロゲン化ビピリジンとトリアルコキシビニルシランとを反応させることによって下記式(7):
Figure 0005572854
(式(7)中、Xはビピリジン基を表し、mは前記式(3)中のmと同義であり、Rは前記式(9)中のRと同義である。)
で表わされるポリ(トリアルコキシシリルエテニル)ビピリジンを合成する。また、必要に応じてこのポリ(トリアルコキシシリルエテニル)ビピリジンをアリル化することによって下記式(8):
Figure 0005572854
(式(8)中、Xはビピリジン基を表し、kは0〜2の整数であり、RおよびRは前記式(1)中のRおよびRと同義である。)
で表わされる有機シラン化合物を得ることができる。
アリル化する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、アリルマグネシウムブロマイド〔CH=CH−CHMgBr〕などのアリル化剤を用いる方法などが挙げられる。
<メソポーラス有機シリカ>
次に、本発明のメソポーラス有機シリカについて説明する。本発明の有機シラン化合物は、下記式(2):
Figure 0005572854
で表されることを特徴とするものである。
前記式(2)において、Xはm価のピリジン基またはm価のビピリジン基を表し、mは2〜4の整数である。すなわち、本発明のメソポーラス有機シリカは、ピリジン基またはビピリジン基がYによって2〜4個のシリル基と結合した繰り返し単位を有するものである。前記式(2)においてmが1の場合にはメソ細孔構造の基本骨格にピリジン基またはビピリジン基を導入することができず、他方、mが5以上になると原料である有機シラン化合物の合成が困難である。
このようなピリジン基としては、前記本発明の有機シラン化合物において例示した2価のピリジン基(m=2)、2価のビピリジン基(m=2)および4価のビピリジン基(m=4)などが挙げられる。このようなピリジン基およびビピリジン基のうち、規則的なメソ細孔構造の形成と多量のピリジン基やビピリジン基の導入が可能であるという観点から、前記2価のピリジン基(m=2)が好ましい。
前記式(2)において、Yは単結合、またはエチレン基、エテニレン基およびエチニレン基からなる群から選択される1種の2価の基を表し、複数存在するYは同じものであっても異なるものであってもよい。Yが炭素数3以上の2価の炭化水素基であると規則的なメソ細孔構造を形成しにくい。また、前記単結合および2価の基のうち、規則的なメソ細孔構造を形成しやすいという観点からエテニレン基が好ましい。
また、前記式(2)において、*は隣接する構成単位との結合部位を表す。前記式(2)においては、繰り返し単位中のすべての酸素原子が隣接する構成単位と結合しているように表わされているが、本発明のメソポーラス有機シリカにおいては、メソ細孔構造形成を阻害しない範囲において、繰り返し単位中の酸素原子の一部が隣接する構成単位と結合せず、OH基として存在していてもよい。
本発明のメソポーラス有機シリカにおいては、ピリジン環の含有量が2.5mmol/g以上であることが好ましく、3.0mmol/g以上であることがより好ましく、4.0mmol/g以上であることが特に好ましい。ピリジン環の含有量が前記下限未満になると金属イオンや金属錯体などの吸着特性や担持特性などが低下する傾向にある。また、ピリジン環の含有量の上限については特に制限はないが、規則的なメソ細孔構造が形成されるという観点から7.7mmol/g以下が好ましく、5.5mmol/g以下がより好ましい。
また、本発明のメソポーラス有機シリカにおいては、ピリジン環の含有量が前記範囲であれば、前記式(2)で表わされる繰り返し単位の他に、その他の有機シラン化合物から誘導される繰り返し単位(以下、「その他の繰り返し単位」という)が含まれていてもよい。このようなその他の有機シラン化合物としては、ジメトキシシラン、ジエトキシシランといったジアルコキシシラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシランといったトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランといったテトラアルコキシシランなどの公知のアルコキシシラン化合物が挙げられる。
さらに、本発明のメソポーラス有機シリカが前記その他の繰り返し単位を含むものである場合において、その含有率としては、メソポーラス有機シリカ中の全繰り返し単位に対して70%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、25%以下が特に好ましい。前記その他の繰り返し単位の含有率が前記上限を超えるとピリジン環の含有量が低下して金属イオンや金属錯体などの吸着特性や担持特性などが低下する傾向にある。
次に、本発明のメソポーラス有機シリカの好適な製造方法について説明する。本発明のメソポーラス有機シリカは、例えば、前記本発明の有機シラン化合物を重合せしめることによって好適に製造することができる。
前記有機シラン化合物を重合せしめると、前記式(1)中のシリル基が加水分解されてシラノール基(Si−OH)が生成し、その後の縮合反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。このとき、シラノール基の一部がシロキサン結合にまで変換されず、そのまま残存していたり、Siに結合したアルコキシ基やアリル基がそのまま残存したりしていてもメソポーラス有機シリカの吸着特性や担持特性などには影響しない。
本発明のメソポーラス有機シリカを製造する際、前記本発明の有機シラン化合物の他に、上述したその他の有機シラン化合物を共重合させてもよい。この場合、前記その他の有機シラン化合物の割合としては、すべての有機シラン化合物100mol%に対して70mol%以下が好ましく、50mol%以下がより好ましく、25mol%以下が特に好ましい。前記その他の有機シラン化合物の割合が前記上限を超えると有機シリカ中のピリジン環の含有量が低下して、有機シリカの金属イオンや金属錯体などの吸着特性や担持特性などが低下する傾向にある。
前記有機シラン化合物を(共)重合せしめる際、水、または水と有機溶媒との混合溶媒を溶媒として使用し、酸または塩基触媒の存在下で前記有機シラン化合物を加水分解および縮合反応せしめることが好ましい。このとき用いられる有機溶媒としてはアルコール、アセトンなどが好ましく、混合溶媒として用いる場合の有機溶媒の含有率は5〜99重量%程度であることが好ましい。また、前記酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸といった鉱酸などが挙げられ、酸触媒を使用する場合の溶液は、pHが6以下(より好ましくは2〜5)の酸性であることが好ましい。一方、前記塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、塩基触媒を使用する場合の溶液は、pHが8以上(より好ましくは9〜11)の塩基性であることが好ましい。
前記(共)重合の際の前記有機シラン化合物の濃度としては、ケイ素濃度換算で0.0055〜0.33mol/L程度であることが好ましい。また、(共)重合せしめる際の諸条件(温度、時間など)は特に制限されず、用いる有機シラン化合物や目的とするメソポーラス有機シリカなどに応じて適宜選択されるが、一般的には0〜100℃程度の温度で1〜48時間程度の時間で前記有機シラン化合物を加水分解および縮合反応せしめることが好ましい。
また、前記有機シラン化合物を(共)重合せしめる際に、界面活性剤を混合することにより、得られる有機シリカにメソ細孔を形成させることが可能となる。すなわち、界面活性剤のミセルまたは液晶構造が鋳型となり、メソ細孔を有する有機シリカが形成される。
このように前記有機シラン化合物を(共)重合せしめる際に界面活性剤を用いると、細孔径分布曲線における中心細孔直径が1〜30nmのメソ孔を有するメソポーラス有機シリカを得ることができる。なお、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径であり、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、メソポーラス有機シリカを液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法などの計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
このようなメソポーラス有機シリカは、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。この条件を満たすメソポーラス有機シリカは、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。また、メソポーラス有機シリカの比表面積については特に制限はないが、500m/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。メソポーラス有機シリカの細孔容積としては0.2〜0.8cm/gが好ましい。細孔容積は、t−プロット検定により算出することができる。
さらに、このようなメソポーラス有機シリカは、そのX線回折(XRD)パターンにおいて1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1.5〜30.5nmの間隔で規則的に配列していることを意味する。
前記有機シラン化合物を(共)重合せしめる際に用いられる界面活性剤は特に制限されないが、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリエチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物;脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤、一級アルキルアミンなどが挙げられる。これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤などが挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、一般式C2n+1(OCHCHOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。また、このような界面活性剤としては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることもできる。
さらに、このような界面活性剤としては、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)(PO)(EO)で表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。上記のトリブロックコポリマーとしては、(EO)19(PO)29(EO)19、(EO)13(PO)70(EO)13、(EO)(PO)70(EO)、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。これらのトリブロックコポリマーはBASF社、アルドリッチ社などから入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)(PO)NCHCHN((PO)(EO)で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
このような界面活性剤の中では、規則的なメソ細孔を有するメソポーラス有機シリカを得ることができることから、アルキルトリメチルアンモニウム[C2p+1N(CH]の塩(好ましくはハロゲン化物塩)を用いることが好ましい。また、その場合は、アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル基の炭素数は8〜22であることがより好ましい。このようなものとしては、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドコシルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
上記のような界面活性剤を用いて本発明のメソポーラス有機シリカを製造する場合においては、前記界面活性剤を含有する溶媒中において前記式(1)で表される有機シラン化合物を加水分解および縮合反応せしめることにより前記メソポーラス有機シリカ中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体を得る。特に、前記有機シラン化合物と前記界面活性剤とを混合した後、前記有機シラン化合物を重合せしめることが好ましい。また、前記溶液中の界面活性剤の濃度は1〜20質量%であることが好ましい。前記界面活性剤の濃度が前記下限未満になると細孔の形成が不完全となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると未反応で溶液中に残留する界面活性剤の量が増大して細孔の均一性が低下する傾向にある。
本発明のメソポーラス有機シリカは、このようにして得た多孔体前駆体から界面活性剤を除去することによって製造することができる。界面活性剤を除去する方法としては、例えば、(i)界面活性剤に対する溶解度が高い有機溶媒(例えば、エタノール)中に、前記多孔体前駆体を浸漬して前記界面活性剤を除去する方法、(ii)前記多孔体前駆体を250〜550℃で焼成して前記界面活性剤を除去する方法、(iii)前記多孔体前駆体を酸性溶液(例えば、希塩酸)に浸漬して加熱し、前記界面活性剤を水素イオンに交換せしめるイオン交換法、(iv)前記多孔体前駆体を、加熱した酸性蒸気(例えば、塩酸蒸気)に曝露した後、有機溶媒(例えば、エタノール)に浸漬して前記界面活性剤を有機溶媒中に溶出させる方法、などを挙げることができる。これらの方法における処理条件は、使用する界面活性剤、有機溶媒、酸性蒸気の種類などにより適宜設定することができる。
本発明のメソポーラス有機シリカの形態は特に限定されず、例えば、粒子状、薄膜状、さらにはその薄膜を所定の形状にパターニングしたパターン状などが挙げられる。また、本発明のメソポーラス有機シリカを粉末として製造した場合、これをそのまま使用してもよいし、必要に応じて成形して使用してもよい。成形する手段は特に制限されないが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIPなどが好ましい。その形状は使用箇所、方法などに応じて決めることができ、例えば、円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<2,5−ビス(トリエトキシシリルエテニル)ピリジンの合成>
下記反応式:
Figure 0005572854
に従って、2,5−ビス(トリエトキシシリルエテニル)ピリジンを合成した。すなわち、先ず、100mlの二口フラスコを乾燥した後、フラスコ内をアルゴン置換し、これに2,5−ジブロモピリジン(3.08g、13.01mmol)、PdCl(PPh(0.37g、0.52mmol)およびCuI(0.050g、0.26mmol)を仕込んだ。そこにi−PrNH(60ml)およびテトラヒドロフラン(THF、30ml)を添加して均一に溶解させた。氷浴を用いて0℃に冷却してトリメチルシリルアセチレン(5.11g、52.05mmol)を滴下した。その後、室温で6時間攪拌した後、析出した塩を減圧ろ過により除去した。ろ液をエバポレーターにより濃縮した後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=20/1(質量比))により精製し、2,5−ビス(トリメチルシリルエチニル)ピリジン(収量3.19g、収率90%)を得た。
次に、100mlのナス型フラスコに前記2,5−ビス(トリメチルシリルエチニル)ピリジン(3.1g、11.42mmol)、THF(80ml)およびHO(10滴)を仕込んだ。氷浴を用いて0℃に冷却してテトラブチルアンモニウムフルオリド(25.12ml、25.12mmol)を滴下した。その後、室温で4時間攪拌した後、水を加えてジエチルエーテルを用いて抽出を行った。分離した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥してろ過し、次いでエバポレーターにより濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1(質量比))により精製し、2,5−ジエチニルピリジン(収量1.2g、収率83%)を得た。
次に、50mlの二口フラスコを乾燥した後、フラスコ内をアルゴン置換し、これに前記2,5−ジエチニルピリジン(0.30g、2.36mmol)、[Rh(cod)Cl](0.023g、0.047mmol)およびPPh(0.050g、0.19mmol)を仕込んだ。そこにCHCN(27ml)を添加して均一に溶解させた後、トリエトキシシラン(1.55g、9.44mmol)を滴下した後、100℃で24時間攪拌した。室温に冷却した後、活性炭を用いてセライトろ過を行い、混合液中の触媒を除去した。ろ液をエバポレーターにより濃縮した後、得られた粗生成物をクーゲルロール(60Pa、200℃)により精製し、2,5−ビス(トリエトキシシリルエテニル)ピリジン(収量0.47g、収率44%)を得た。
この2,5−ビス(トリエトキシシリルエテニル)ピリジンをH−NMR測定および13C−NMR測定により同定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl、400MHz):δ1.25−1.29(m,18H)、3.86−3.92(m,12H)、6.27(d,J=19.24Hz,1H)、6.70(d,J=19.24Hz,1H)、7.19(d,J=19.68Hz,1H)、7.29(d,J=16.48Hz,1H)、7.40(d,J=8.24Hz,1H)、7.77−7.79(m,1H)、8.64(d,J=2.28Hz,1H)。
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ18.2、58.7、120.9、121.7、123.3、133.5、145.0、147.9、148.9、155.1。
(実施例2)
蒸留水(11ml)と6Nの水酸化ナトリウム水溶液(0.25ml)を混合し、これに界面活性剤(オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、0.17g)を添加して溶解させた。この溶液を実施例1で得た2,5−ビス(トリエトキシシリルエテニル)ピリジン(0.2g、0.44mmol)に添加し、室温で22時間攪拌し、次いで、95℃で24時間静置した。得られた懸濁液を室温に冷却した後、減圧ろ過を施して白色固体を得た。この白色固体を十分に真空乾燥した後、エタノール/塩酸(質量比:27/1)中、60℃で24時間攪拌した。その後、減圧ろ過を行なって界面活性剤を除去し、ピリジン基含有メソポーラス有機シリカを得た。
<X線回折測定および窒素吸着量測定>
このピリジン基含有メソポーラス有機シリカについて粉末X線回折(XRD)測定(線源:CuKα線)および窒素吸着量測定を実施し、メソ細孔構造を評価した。図1にはXRDパターンを、図2には窒素吸着等温線を示す。図1に示したように、前記ピリジン基含有メソポーラス有機シリカにおいては、2θ=1.96°(d=4.51nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察された。また、2θ=7.48°(d=1.18nm)、2θ=14.98°(d=0.59nm)、2θ=22.5°(d=0.40nm)および2θ=30.1°(d=0.30nm)に有機基の層状配列由来する回折ピークが観察された。
また、図2に示したように、吸着等温線はIV型のものであり、前記ピリジン基含有メソポーラス有機シリカは規則的なメソ細孔を有していることが確認された。このメソポーラス有機シリカの比表面積をBET法により算出したところ640m/gであり、中心細孔直径をBJH法により算出したところ29.2Åであり、細孔容積をt−プロット検定により算出したところ0.342cm/gであった。
<NMR測定>
前記ピリジン基含有メソポーラス有機シリカについて29Si−MAS NMR測定を実施し、縮合度および結合状態を評価した。図3には29Si−MAS NMRスペクトルを示す。図3に示したように、−81.33ppmおよび−72.7ppmにシグナルが観測され、それぞれT〔(SiO)−Si−C〕およびT〔(HO)(SiO)−Si−C〕に帰属された。一方、Q〔(HO)4−n(SiO)Si〕に由来するシグナルは観測されず、前記メソポーラス有機シリカを作製する際にはSi−C結合の切断は起こっていないことが確認された。
<ピリジン環含有量測定>
前記ピリジン基含有メソポーラス有機シリカについてCHN元素分析を実施し、ピリジン環の含有量を定量した。その結果、ピリジン環含有量を、前記メソポーラス有機シリカ中の繰り返し単位が下記式(2a):
Figure 0005572854
で表されるものであるとして、炭素原子(1つの繰り返し単位中に9個(含有率40.1質量%))の含有量から計算すると3.71mmol/gであり、窒素原子(1つの繰り返し単位中に1個(含有率4.7質量%))の含有量から計算すると3.36mmol/gであった。これらの値は、前記2,5−ビス(トリエトキシシリルエテニル)ピリジンの縮合反応が完全に進行した場合の理論値(4.18mmol/g)より若干小さいが、縮合度や吸着水などの影響を考慮すると妥当な値であると考えられ、目的とするピリジン基含有メソポーラス有機シリカが得られたことが確認された。
<金属イオン吸着特性>
酢酸銅のジクロロメタン/メタノール(質量比:50/1)溶液(濃度:4.0×10−4mol/L)を調製し、この溶液の紫外可視光(UV−VIS)吸収スペクトルを測定した。次に、この溶液5mlに前記ピリジン基含有メソポーラス有機シリカ0.5mgを添加して30分間攪拌した。その後、ろ過(孔径0.2μmのメンブレンフィルターを使用)により固形分を除去し、ろ液のUV−VIS吸収スペクトルを測定した。これらの結果を図4に示す。
(比較例1)
界面活性剤(セチルトリメチルアンモニウムブロミド、3.64g)をイオン交換水(530g)に溶解させ、この溶液に12Nの塩酸(175ml)を添加した。得られた溶液を氷浴中で攪拌しながら、予め氷浴で冷却したビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(10.1g)を添加し、さらに30分間攪拌した。その後、45℃の湯浴中で20時間攪拌した後、ろ過し、ろ滓を洗浄、乾燥して白色粉末を得た。この白色粉末(8g)をエタノール(300ml)中に分散させ、60℃で2時間攪拌した。その後、減圧ろ過を行なって界面活性剤を除去し、ベンゼン環含有メソポーラス有機シリカを得た。
<金属イオン吸着特性>
このベンゼン環含有メソポーラス有機シリカの金属イオン吸着特性を評価するために、実施例と同様にしてUV−VIS吸収スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。
(比較例2)
蒸留水(40ml)と6Nの水酸化ナトリウム水溶液(4ml)を混合し、これに界面活性剤(オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、0.73g)を添加して溶解させた。この溶液に4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル(0.8g、1.7mmol)を添加し、室温で22時間攪拌し、次いで、97℃で24時間静置した。得られた懸濁液を室温に冷却した後、減圧ろ過を施して白色粉末を得た。この白色粉末を十分に真空乾燥した後、エタノール/塩酸(質量比:28/1)中、60℃で24時間攪拌した。その後、減圧ろ過を行なって界面活性剤を除去し、ビフェニル基含有メソポーラス有機シリカを得た。
<金属イオン吸着特性>
このビフェニル基含有メソポーラス有機シリカの金属イオン吸着特性を評価するために、実施例と同様にしてUV−VIS吸収スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。
(比較例3)
4−アセチル−3−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン(0.04g、0.13mmol)および比較例2で得たビフェニル基含有メソポーラス有機シリカ(0.10g)をトルエンに添加し、24時間還流させた。その後、得られた懸濁液を室温に冷却した後、減圧ろ過を施して白色粉末を得た。この白色粉末を酢酸エチルで十分に洗浄し、減圧ろ過を施してピリジン基を15質量%担持させたビフェニル基含有メソポーラス有機シリカを得た。
<金属イオン吸着特性>
このピリジン基を担持させたビフェニル基含有メソポーラス有機シリカの金属イオン吸着特性を評価するために、実施例と同様にしてUV−VIS吸収スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。
図4に示した結果から明らかなように、酢酸銅溶液に各種メソポーラス有機シリカを添加することによって波長682nmにおける吸光度が減少した。波長682nmの吸収スペクトルはCu2+に由来するものであり、この吸光度(682nm)の減少はメソポーラス有機シリカへのCu2+の吸着に起因するものである。従って、溶液(ろ液)の吸光度(682nm)の減少量が大きいものほどメソポーラス有機シリカへのCu2+の吸着量が多く、金属イオン吸着性能に優れるものであることを示している。
そこで、図4に示した結果から、各メソポーラス有機シリカについて波長682nmにおける吸光度の減少率を算出したところ、図5に示すように、本発明のピリジン基含有メソポーラス有機シリカの場合(実施例)には53%であり、ベンゼン環含有メソポーラス有機シリカの場合(比較例1)には18%であり、ビフェニル基含有メソポーラス有機シリカの場合(比較例2)には18%であり、ピリジン基を担持させたビフェニル基含有メソポーラス有機シリカの場合(比較例3)には2%であった。このことから、実施例のピリジン基含有メソポーラス有機シリカは、比較例1〜3の他のメソポーラス有機シリカに比べて、メソポーラス有機シリカへのCu2+の吸着量が多く、金属イオン吸着性能に優れるものであることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、規則的なメソ細孔構造を有し且つ多量のピリジン基やビピリジン基が導入されたメソポーラス有機シリカを得ることが可能となる。
したがって、本発明のメソポーラス有機シリカは、金属イオンや金属錯体などの吸着特性や担持特性などに優れるため、吸着剤や触媒担体などとして有用である。
実施例2で得たピリジン基含有メソポーラス有機シリカのXRDパターンを示すグラフである。 実施例2で得たピリジン基含有メソポーラス有機シリカの窒素吸着等温線を示すグラフである。 実施例2で得たピリジン基含有メソポーラス有機シリカの29Si−MAS NMRスペクトルを示すグラフである。 実施例2および比較例1〜3で得たメソポーラス有機シリカ添加前後の酢酸銅溶液のUV−VIS吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例2および比較例1〜3で得たメソポーラス有機シリカ添加による酢酸銅溶液の吸光度(682nm)の減少率を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 下記式(2):
    Figure 0005572854
    (式(2)中、Xは下記式:
    Figure 0005572854
    で表される2価のピリジン基および2価のビピリジン基のうちのいずれかを表し、Yは単結合、またはエチレン基、エテニレン基およびエチニレン基からなる群から選択される1種の2価の基を表し、*は隣接する構成単位との結合部位を表し、mはであり、複数存在するYは同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を含有し、比表面積が500m/g以上であることを特徴とするメソポーラス有機シリカ。
  2. 細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれていることを特徴とする請求項1に記載のメソポーラス有機シリカ。
  3. X線回折パターンにおいて1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のメソポーラス有機シリカ。
  4. ピリジン環の含有量が2.5mmol/g以上であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のメソポーラス有機シリカ。
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