JP2011241331A - 有機シリカ系材料 - Google Patents

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Michihiro Mizoshita
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康友 後藤
Takao Tani
孝夫 谷
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Abstract

【課題】高い電気伝導性を示す有機シリカ系材料を提供すること。
【解決手段】下記式(1):
【化1】
Figure 2011241331

(式(1)中、R〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2):
−Z−[Si(OR 3−n (2)
(式(2)中、Rはアルキル基、Rはアルキル基またはアリル基、Zはアルキレン基、アリーレン基、エテニレン基、エチニレン基、単結合などを表す。)
で表されるゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有する置換基であり、
〜Rのうちの残りの基は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基などである。)
で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物の縮重合体により形成されたメソ構造体と界面活性剤とを備えることを特徴とする有機シリカ系材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機シリカ系材料に関し、より詳しくは、架橋型有機シラン化合物の縮重合体を含有する有機シリカ系材料に関する。
メソ構造を有する有機シラン化合物の縮重合体は、発光材料や光触媒、太陽電池などへの応用が期待できる有機/無機ハイブリッド材料として注目されており、従来から様々な有機シラン化合物の重合体が提案されている。
例えば、Chem.Commun.、1999年、2539−2540ページ(非特許文献1)には、架橋有機基としてチオフェン基を有する有機シリカ材料が提案されており、この有機シリカ系材料が規則的なメソ構造を有することが開示されている。しかしながら、この有機シリカ系材料は可視光線を吸収することができず、また、電気伝導性も高いものではなかった。
また、Polymer、2009年、第50巻、6198−6201ページ(非特許文献2)には、ポリシルセスキオキサンにオリゴチオフェン(チオフェンの8量体)基を導入した有機シリカ系材料が提案されており、この有機シリカ系材料が波長500nm以上の可視光線を吸収でき、また、塩化鉄(III)をドープした場合に10−2〜10−3S/cmの電気伝導度を示すことが開示されている。しかしながら、この有機シリカ系材料においては海島構造が形成されており、メソ構造を形成させることが困難であった。
一方、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有する有機材料としては、国際公開第2006/077888号(特許文献1)に、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有する化合物を有機半導体材料として用いた薄膜デバイスが開示されており、オクチルトリクロロシランで表面処理されたシリコン基板上に形成された前記有機半導体材料が室温で0.40cm/(Vs)の電界効果移動度を示すことも開示されている。また、国際公開第2008/047896号(特許文献2)には、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有する化合物を有機半導体材料として用いた電界効果トランジスタが開示されており、SiO熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー上に形成された前記有機半導体材料が4×10−5〜4.5cm/(Vs)のキャリア移動度を示すことも開示されている。
しかしながら、このような[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有機シラン化合物の縮重合体に導入しても、得られる有機シリカ系材料が必ずしも電気伝導性を示すものとなるとは限らなかった。
国際公開第2006/077888号 国際公開第2008/047896号
Ishii-Yoshina C.ら、Chem.Commun.、1999年、2539−2540ページ Imae I.ら、Polymer、2009年、第50巻、6198−6201ページ
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高い電気伝導性を示す有機シリカ系材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、有機シラン化合物の縮重合体と界面活性剤とを含有する有機シリカ系材料において、前記有機シラン化合物の縮重合体に[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を導入することによって、前記有機シリカ系材料が電気伝導性を示すことを見出し、さらに、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格の2つの芳香族環にそれぞれ少なくとも1つのゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を備える有機シラン化合物を使用することによって、前記有機シラン化合物の縮重合体がメソ構造を形成し、電気伝導性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機シリカ系材料は、下記式(1):
Figure 2011241331
(式(1)中、R〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、それぞれ独立に下記式(2):
−Z−[Si(OR 3−n (2)
(式(2)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基または置換もしくは無置換のアリル基を表し、Zは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜20の複素環基、エテニレン基、エチニレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基およびイミド基からなる群から選択される少なくとも1種を含む基または単結合であり、kは1または2であり、nは0〜3の整数である。)
で表されるゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有する置換基であり、
〜Rのうちの残りの基は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される1種である。)
で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物の縮重合体により形成されたメソ構造体と界面活性剤とを備えることを特徴とするものである。
このような有機シリカ系材料としては、前記式(1)中のRおよびRが前記式(2)で表される置換基であるものが好ましく、また、前記式(2)中のnが1であり、Rが炭素数1〜8のアルキル基であり、Rが置換もしくは無置換のアリル基であるものが好ましい。
なお、本発明の有機シリカ系材料を構成する有機シラン化合物の縮重合体がメソ構造を形成する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、大きな架橋有機基である[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有する有機基の2つの芳香族環にそれぞれ少なくとも1つのゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基(シリカ骨格形成部位)を導入すると、加水分解後の有機シラン前駆体中のシラノール基の密度が増加し、このシラノール基と鋳型界面活性剤ミセルとの相互作用が強まり、有機シラン化合物の縮重合体はメソ構造を形成しやすくなると推察される。
また、本発明の有機シリカ系材料が高い電気伝導性を示す理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、有機シラン化合物の縮重合体がメソ構造を形成すると、有機シリカ系材料中に、高い正孔移動性を有する[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格が高密度に充填された状態となるため、電気伝導性が向上すると推察される。
本発明によれば、メソ構造を有し、高い電気伝導性を示す有機シリカ系材料を得ることが可能となる。
実施例で得た有機シリカ系薄膜のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例で得た有機シリカ系薄膜の電流−電圧特性を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の有機シリカ系材料は、下記式(1):
Figure 2011241331
で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物の縮重合体(以下、「Si系縮重合体」という。)により形成されたメソ構造体と界面活性剤とを備えるものである。このように、本発明の有機シリカ系材料は、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有するSi系縮重合体を含有しているため、電気伝導性を発現する。
前記(1)で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物において、前記式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、それぞれ独立に下記式(2):
−Z−[Si(OR 3−n (2)
で表されるゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有する置換基である。このようなシリル基を含有する置換基を2つの芳香族環のそれぞれに1つ以上有する前記有機シラン化合物を縮重合させることによって、メソ構造を有するSi系縮重合体を形成させることが可能となる。これにより、電気伝導性に優れた有機シリカ系材料が得られ、五塩化アンチモンをドープした有機シリカ系材料においては、好ましくは10−3S/cmオーダー以上の電気伝導度を示すものとなる。
前記式(2)中のRは炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基を表し、中でもメチル基またはエチル基がより好ましい。Rは炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基またはアリル基を表し、前記アリル基はメチル基などの置換基を有していてもよい。前記式(2)中のkは1または2であり、nは0〜3の整数であり、n=0の場合、Rはアリル基である。
前記式(2)中のZは炭素数1〜12(好ましくは1〜6)のアルキレン基、炭素数6〜20(好ましくは6〜15)のアリーレン基、炭素数2〜20(好ましくは4〜15)の複素環基、エテニレン基、エチニレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基およびイミド基からなる群から選択される少なくとも1種の基を含むk価以上の基(好ましくは、k+1価の基)または単結合である。
前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。前記アリーレン基としては、フェニレン基などの単環の芳香族基;ナフチレン基、フルオレニレン基などの芳香族縮合環が挙げられる。前記複素環基としては、チエニレン基などの含硫黄五員環;ピリジレン基などの含窒素芳香族環;カルバゾリレン基などの含窒素縮合環などが挙げられる。これらの基のうち、縮重合反応時の化学的安定性と疎水性低減の観点から、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、エテニレン基、エチニレン基、エーテル基、アミノ基が好ましい。
また、前記式(2)中のZに前記所定の基が複数含まれている場合、それらは同種の基であっても異種の基であってもよい。同種の基を含むZとしては、ビフェニル骨格を有するk価以上の基(好ましくは、2価の基)、トリフェニルアミン骨格を有するk価以上の基(好ましくは、2価または3価の基)などが挙げられる。また、異種の基を含むZとしては、アリーレン基(好ましくは、フェニレン基)とアルキレン基が結合したk価以上の基(好ましくは、2価の基)などが挙げられる。
前記(1)で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物において、R〜Rのうちの残りの基、すなわち、前記ゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有する置換基以外の基は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12(好ましくは1〜6)のアルキル基、炭素数1〜12(好ましくは1〜6)のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される1種である。これらの基のうち、化学的安定性と縮重合物中の[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格の高密度化の観点から、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基、フェノキシ基が好ましい。
このような[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、このような[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物として、具体的には、前記式(1)中のRおよびRが前記式(2)で表される置換基である有機シラン化合物が挙げられ、より具体的には、さらに前記式(2)中のnが1であり、Rが炭素数1〜8のアルキル基であり、Rが置換もしくは無置換のアリル基である有機シラン化合物が挙げられる。
前記(1)で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン化合物は、Maegawa Y.ら、Tetrahedron、2007年、第63巻、11467−11474ページなどに記載の方法を参照して、ジハロゲン化[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン類と、ハロゲン原子と反応可能な官能基およびゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有するシラン化合物を反応させることにより製造することができる。前記ジハロゲン化[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン類は、例えば、国際公開第2006/077888号に記載の方法により調製することができる。また、前記ハロゲン原子と反応可能な官能基およびゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有するシラン化合物は、例えば、特開2008−214314号公報やMaegawa Y.ら、Tetrahedron、2007年、第63巻、11467−11474ページなどに記載の方法により調製することができる。
本発明に用いられるSi系縮重合体は、このような[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物の縮重合体であり、メソ構造を有するものである。このようなSi系縮重合体の構造式は、縮重合される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物の種類に依存する。例えば、前記式(1)中のRおよびRが前記式(2)で表される置換基である有機シラン化合物、すなわち、下記式(3):
Figure 2011241331
で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物を縮重合させた場合には、前記Si系縮重合体は、下記式(4):
Figure 2011241331
で表される繰り返し単位を有するものとなる。
前記式(3)および(4)中のR、R〜RおよびRは、それぞれ前記式(1)中の前記ゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有する置換基以外の基であるR、R〜RおよびRと同義である。前記式(3)および(4)中のZ、kおよびRはそれぞれ前記式(2)中のZ、kおよびRと同義である。前記式(3)中のRおよびnはそれぞれ前記式(2)中のRおよびnと同義である。前記式(4)中のiは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3である。なお、iとjとの組み合わせは、Si系縮重合体中の全てのシリル基において同じである必要はない。また、Rがアリル基の場合、アリル基が加水分解により脱離するため、前記式(3)中の(3−n)の値と前記式(4)中の(3−i−j)の値は必ずしも一致しない。
前記式(3)で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物のうち、前記式(2)で表されるシリル基を含有する置換基を導入しやすいという観点から、前記式(3)中のR、R〜RおよびRが水素原子であるものが好ましい。
また、本発明においては、前記Si系縮重合体として、前記式(1)で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物とその他の有機シラン化合物との共重合体を使用することもできる。前記その他の有機シラン化合物としては、ジメトキシシラン、ジエトキシシランといったジアルコキシシラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシランといったトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランといったテトラアルコキシシラン;1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エチレン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)アセチレン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニルといった有機基架橋型アルコキシシランなどの公知のアルコキシシラン化合物が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
ただし、前記[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物を電気伝導性が低い有機シラン化合物と共重合させると、得られる有機シリカ系材料の電気特性が低下する傾向にあるため、前記その他の有機シラン化合物の割合としては、前記[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物と前記その他の有機シラン化合物(以下、これらを総称して「シランモノマー」という)の総量に対して50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
前記(共)重合反応の条件は特に制限されないが、溶媒中、酸または塩基触媒の存在下で前記シランモノマーを加水分解および縮重合させることが好ましい。このとき用いられる溶媒としてはアルコール、テトラヒドロフラン、アセトンの有機溶媒、水、およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。また、前記酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸といった鉱酸などが挙げられ、酸触媒を使用する場合の溶液は、pHが6以下(より好ましくは2〜5)の酸性であることが好ましい。さらに、前記塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、塩基触媒を使用する場合の溶液は、pHが8以上(より好ましくは9〜11)の塩基性であることが好ましい。
このような(共)重合工程における前記シランモノマーの濃度は、ケイ素濃度換算で0.0055〜0.33mol/L程度であることが好ましい。また、上記(共)重合工程における諸条件(温度、時間など)は特に制限されず、用いるシランモノマーや目的とするSi系縮重合体などに応じて適宜選択されるが、一般的には0〜100℃程度の温度で1〜48時間程度の時間で前記シランモノマーを加水分解および縮重合させることが好ましい。
前記[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物を(共)重合させると、通常、前記式(1)中のシリル基が加水分解されてシラノール基(Si−OH)が生成し、その後の縮重合反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。このとき、シラノール基の一部がシロキサン結合にまで変換されず、そのまま残存していたり、Siに結合したアリル基がそのまま残存していても本発明の有機シリカ系材料の電気特性に大きく影響しない。
本発明の有機シリカ系材料は、前記Si系縮重合体の他に、界面活性剤を含有する。この界面活性剤は、前記Si系縮重合体と複合化することによって重合体の形態を容易に制御できるという効果を有するものである。すなわち、界面活性剤の存在下で前記(共)重合を実施することにより、前記Si系縮重合体は、細孔径分布曲線における中心細孔直径が1〜30nmのメソ細孔を備える構造(メソ構造)を有するメソ構造体を形成する。
なお、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径であり、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、メソ構造体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法などの計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
このようなメソ構造体は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。この条件を満たすメソ構造体は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。また、メソ構造体の比表面積については特に制限はないが、700m/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
さらに、このようなメソ構造体は、そのX線回折(XRD)パターンにおいて1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、メソ細孔(メソ構造)が1.5〜30.5nmの間隔で規則的に配列していることを意味する。
本発明の有機シリカ系材料に含まれる界面活性剤としては特に制限はなく、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のうちのいずれの界面活性剤でもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリエチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物;脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤、一級アルキルアミンなどが挙げられる。これらの界面活性剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤のうちのポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤などが挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、一般式C2n+1(OCHCHOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。また、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物もポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤として用いることができる。
さらに、ポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤として、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)(PO)(EO)で表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。前記トリブロックコポリマーとしては、(EO)19(PO)29(EO)19、(EO)13(PO)70(EO)13、(EO)(PO)70(EO)、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。これらのトリブロックコポリマーはBASF社、アルドリッチ社などから入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーもポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤として使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)(PO)NCHCHN((PO)(EO)で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
本発明の有機シリカ系材料は、このような界面活性剤を含有する溶液中において、前記シランモノマー(すなわち、前記式(1)で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物および必要に応じて前記他の有機シラン化合物)を加水分解および縮重合させることにより製造することができる。
前記溶液中の界面活性剤の濃度としては0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。前記界面活性剤の濃度が前記下限未満になると細孔の形成が不完全となりやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶液中に残留する界面活性剤の量が増大して細孔の均一性が低下しやすい傾向にある。
本発明の有機シリカ系材料において、前記界面活性剤の含有率としては、前記有機シリカ系材料全体に対して20〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。界面活性剤の含有率が前記下限未満になるとメソ構造の秩序が低下しやすく、また、Si系縮重合体中の有機基の会合を十分に抑制できない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる有機シリカ系材料の電気特性が低下しやすい傾向にある。
本発明の有機シリカ系材料の形態は特に限定されず、例えば、粒子状、薄膜状、さらにはその薄膜を所定の形状にパターニングしたパターン状などが挙げられる。
また、薄膜状の有機シリカ系材料を製造する場合には、先ず、前記界面活性剤と前記シランモノマーを含む溶液(例えば、アルコール溶液)に酸(例えば、塩酸、硝酸)を添加し、この溶液を攪拌して部分的に反応(部分加水分解および部分縮合反応)させてその部分重合体を含有するゾル溶液を製造する。このような前記シランモノマーの加水分解反応はpHが低い領域で起こりやすいことから、系のpHを低くすることにより部分重合を促進させることができる。このとき、pHは6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。また、その際の反応温度は0〜100℃程度が好ましく、反応時間は30分間〜24時間程度が好ましい。
次に、このようにして得られたゾル溶液を基板に塗布することにより薄膜状の有機シリカ系材料を作製することができる。前記ゾル溶液を基板に塗布する方法としては特に制限はなく、各種コーティング方法を適宜採用することができる。例えば、溶液キャスト法や、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーターなどを用いて塗布する方法、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティングといった方法などが挙げられる。さらに、ゾル溶液をインクジェット法により塗布することにより、基板にパターン状の有機シリカ系材料を形成することも可能である。
次に、得られた薄膜を25〜120℃程度で乾燥させ、前記部分重合体の縮重合反応を進めて三次元的な架橋構造を形成させることが好ましい。得られる薄膜の平均膜厚としては特に制限はないが、100μm以下が好ましく、0.01〜10μmがより好ましい。
また、このような薄膜状の有機シリカ系材料は、特開2001−130911号公報などに記載の方法に準拠して得ることも可能である。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例)
<2,7−ジアミノ[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンの合成>
先ず、2,7−ジニトロ[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(6.6g,20.0mmol)、スズ粉末(12.0g,101mmol)、酢酸(30ml)を混合した。得られた混合物を100℃で10分間加熱しながら撹拌した後、濃塩酸(24.0ml)を添加して100℃で30分間加熱しながら撹拌し、さらに濃塩酸(24.0ml)を添加して100℃で1.5時間加熱しながら撹拌して下記反応式(I):
Figure 2011241331
で表される反応を行なった。反応後の溶液を室温まで冷却した後、生成した白色沈殿をろ過により回収し、蒸留水で洗浄した。得られた白色沈殿を10%水酸化ナトリウム水溶液(160ml)に懸濁した後、ろ過により回収し、蒸留水で洗浄した。その後、減圧下で一晩乾燥して白色粉末(収量6.46g,収率100%)を得た。
この白色粉末をH−NMR測定により同定し、2,7−ジアミノ[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(約80%)とそのモノ塩酸塩(約20%)との混合物であることを確認した。なお、以下の反応においては、この混合物を使用した。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ5.34(s,4H)、6.72(dd,J=8.4Hz,2.0Hz,2H)、7.06(d,J=2.0Hz,2H)、7.46(d,J=8.4Hz,2H)。
<2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンの合成>
次に、2,7−ジアミノ[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンとその塩酸塩との前記混合物(1.0g)に、エタノール(30ml)および濃硫酸(2.0ml)を添加した後、0℃に冷却した。この溶液に亜硝酸ナトリウム(624mg,9.0mmol)/蒸留水(10ml)を、溶液の温度が5℃以上にならないように冷却しながら滴下し、0℃で1時間撹拌した後、0℃でヨウ化カリウム(3.1g,18.7mmol)/蒸留水(40ml)を滴下し、75℃で3時間加熱しながら撹拌して下記反応式(II):
Figure 2011241331
で表される反応を行なった。反応後の溶液に亜硫酸水素ナトリウムを添加し、生成した茶褐色沈殿をろ過により回収し、蒸留水およびメタノールで順次洗浄した。その後、減圧下で乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を熱クロロホルム(300ml)で3回抽出した後、有機層をシリカゲルカラム(展開溶媒:クロロホルム,直径9cm×高さ15cm)に通した。得られた有機層を減圧下で留去して茶褐色粉末(収量440mg,収率30%)を得た。
この茶褐色粉末をH−NMR測定により同定し、2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.62(d,J=8.4Hz,2H)、7.60(dd,J=8.4Hz,1.6Hz,2H)、8.26(d,J=1.6Hz,2H)。
<1−(ジアリルエトキシシリル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチニル)ベンゼンの合成>
一方、アルゴン雰囲気下で、4−(ジアリルエトキシシリル)−1−ヨードベンゼン(15.0g,41.9mmol)に、脱水テトラヒドロフラン(250ml)、脱水トリエチルアミン(250ml)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(883mg,1.26mmol,3mol%Pd)、ヨウ化銅(I)(242mg,1.26mmol,3mol%Cu)および2−メチル−3−ブチン−2−オール(4.85ml,49.7mmol)を添加し、50℃で1.5時間加熱しながら撹拌して下記反応式(III):
Figure 2011241331
で表される反応を行なった。反応後の溶液をろ過して不溶物を除去した後、減圧下で溶媒を留去して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精製して無色透明液体(収量12.07g,収率92%)を得た。
この無色透明液体をH−NMR測定により同定し、1−(ジアリルエトキシシリル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチニル)ベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.20(t,J=7.0Hz,3H)、1.62(s,6H)、1.92(d,J=8.1Hz,4H)、2.09(s,1H)、3.76(q,J=7.0Hz,2H)、4.86−4.96(m,4H)、5.71−5.87(m,2H)、7.41(d,J=8.1Hz,2H)、7.51(d,J=8.1Hz,2H)。
<4−(ジアリルエトキシシリル)フェニルアセチレンの合成>
次に、アルゴン雰囲気下で、前記1−(ジアリルエトキシシリル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチニル)ベンゼン(11.6g,36.9mmol)に、脱水トルエン(200ml)および水素化ナトリウム(148mg,60%流動パラフィンに分散させたもの、3.7mmol)を添加して還流下で1時間撹拌し、さらに水素化ナトリウム(148mg,60%流動パラフィンに分散させたもの,3.7mmol)を添加し、還流下で1.5時間撹拌して下記反応式(IV):
Figure 2011241331
で表される反応を行なった。反応後の溶液を室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製して無色透明液体(収量6.63g,収率70%)を得た。
この無色透明液体をH−NMR測定により同定し、4−(ジアリルエトキシシリル)フェニルアセチレンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.21(t,J=7.0Hz,3H)、1.92(d,J=7.8Hz,4H)、3.12(s,1H)、3.77(q,J=7.0Hz,2H)、4.87−4.99(m,4H)、5.72−5.88(m,2H)、7.49(d,J=8.1Hz,2H)、7.54(d,J=8.1Hz,2H)。
<2,7−ビス[4−(ジアリルエトキシシリル)フェニルエチニル][1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンの合成>
次に、アルゴン雰囲気下で、前記2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(400mg,0.81mmol)および前記4−(ジアリルエトキシシリル)フェニルアセチレン(532mg,2.07mmoll)を混合し、さらに脱水ベンゼン(16ml)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(57mg,0.081mmol,10mol%Pd)、ヨウ化銅(I)(15.6mg,0.081mmol,10mol%Cu)および脱水ジイソプロピルアミン(16ml)を添加した。得られた混合物を室温で22時間撹拌して下記反応式(V):
Figure 2011241331
で表される反応を行なった。反応終了後,生成した塩をろ過により除去した後、有機層を減圧下で留去して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精製して橙色粉末(収量382mg,収率60%)を得た。
この橙色粉末をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、2,7−ビス[4−(ジアリルエトキシシリル)フェニルエチニル][1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.24(t,J=7.2Hz,6H)、1.96(ddd,J=8.4Hz,1.2Hz,0.8Hz,8H)、3.80(q,J=7.2Hz,4H)、4.94(ddt,J=10.4Hz,1.6Hz,0.8Hz,4H)、4.97(ddt,J=16.0Hz,1.6Hz,1.2Hz,4H)、5.83(ddt,J=16.0Hz,10.4Hz,8.4Hz,4H)、7.58(dd,J=8.4Hz,2.8Hz,8H)、7.62(dd,J=8.4Hz,1.6Hz,2H)、7.86(d,J=8.4Hz,2H)、8.11(d,J=1.6Hz,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ18.4、21.2、59.4、99.5、99.3、115.0、120.1、121.5、127.2、128.5、130.7、131.3、132.6、132.9、134.0、134.6、135.8、142.4。
(実施例)
<[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格含有Si系縮重合体/界面活性剤からなる有機シリカ系薄膜の調製>
ノニオン性界面活性剤Brij76(商品名、アルドリッチ社製、化学式:C1837(OCHCH10OH,10mg)、テトラヒドロフラン(1.0ml)、前記合成例で得た2,7−ビス[4−(ジアリルエトキシシリル)フェニルエチニル][1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(10mg)および濃塩酸(40μl)を均一に混合し、得られた溶液を70℃で20時間加熱しながら撹拌してゾル溶液を調製した。
このゾル溶液をガラス基板上にキャストして24時間風乾し、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格含有Si系縮重合体/界面活性剤からなる薄黄色の有機シリカ系薄膜を得た。この有機シリカ系薄膜のX線回折パターンを図1に示す。なお、X線回折パターンはX線回折装置((株)リガク製「RINT−TTR」)を用いて測定した。図1に示した結果から明らかなように、前記有機シリカ系薄膜は周期6.50nmの規則的なメソ構造を有するものであることが確認された。
また、エッチング処理を施したITO基板(電極間距離0.5mm,サンプル幅10mm)上に前記ゾル溶液をキャストして24時間風乾し、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格含有Si系縮重合体/界面活性剤からなる薄黄色の有機シリカ系薄膜(膜厚:4μm)を作製した。この有機シリカ系薄膜上に、五塩化アンチモンの脱水ジクロロメタン溶液(30mg/ml)をキャストして10分間風乾し、前記有機シリカ系薄膜に五塩化アンチモンをドープした。このアンチモンドープ有機シリカ系薄膜の電流−電圧特性を以下の方法により測定した。その結果を図2に示す。
(電流−電圧特性)
得られたアンチモンドープ有機シリカ系薄膜を備えるITO基板を、ソースメータ(Keithley Instruments社製「システムソースメータ2636A」)に接続し、二端子法により電圧+50V〜−50Vを印加したときの電流値を測定した。
図2に示した結果からアンチモンドープ有機シリカ系薄膜の電気伝導度を求めたところ、3.1×10−3S/cmであった。
(比較例)
ノニオン性界面活性剤Brij76(商品名、アルドリッチ社製、化学式:C1837(OCHCH10OH,10mg)、テトラヒドロフラン(1.0ml)、特開2009−235200号公報に記載の調製例1に従って合成した1,3,5−トリス(4−トリエトキシシリルスチリル)ベンゼン(10mg)、2mol/Lの塩酸(2μl)および蒸留水(6μl)を均一に混合し、得られた溶液を室温で24時間撹拌してゾル溶液を調製した。
このゾル溶液をガラス基板上にキャストして24時間風乾し、オリゴフェニレンビニレン骨格含有Si系縮重合体/界面活性剤からなる薄黄色の有機シリカ系薄膜を得た。X線回折パターンから、この有機シリカ系薄膜は周期5.74nmの規則的なメソ構造を有するものであることがわかった。
また、2,7−ビス[4−(ジアリルエトキシシリル)フェニルエチニル][1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンのゾル溶液の代わりに、1,3,5−トリス(4−トリエトキシシリルスチリル)ベンゼンのゾル溶液を用いた以外は前記実施例と同様にしてITO基板上にアンチモンドープ有機シリカ系薄膜(膜厚:7μm)を作製した。このアンチモンドープ有機シリカ系薄膜の電流−電圧特性を実施例1と同様にして測定し、電気伝導度を求めたところ、10−4S/cmオーダーの電気伝導度であった。
以上の結果から明らかなように、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有する本発明の有機シリカ系材料(実施例)は、規則的なメソ構造を有し、優れた電気伝導性を示すものであった。一方、本発明にかかる[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を備えていない有機シリカ系材料(比較例)は、規則的なメソ構造を有するものの、電気伝導性に劣ったものであった。
以上説明したように、本発明によれば、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格を有する有機シリカ系メソ構造体と界面活性剤とを備える有機シリカ系材料を得ることができる。
したがって、本発明の有機シリカ系材料は電気伝導性に優れているため、素子性能に優れた光電変換素子などとして有用である。

Claims (3)

  1. 下記式(1):
    Figure 2011241331
    (式(1)中、R〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、それぞれ独立に下記式(2):
    −Z−[Si(OR 3−n (2)
    (式(2)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基または置換もしくは無置換のアリル基を表し、Zは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数2〜20の複素環基、エテニレン基、エチニレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基およびイミド基からなる群から選択される少なくとも1種を含む基または単結合であり、kは1または2であり、nは0〜3の整数である。)
    で表されるゾルゲル重縮合反応が可能なシリル基を含有する置換基であり、
    〜Rのうちの残りの基は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基およびシアノ基からなる群から選択される1種である。)
    で表される[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン系有機シラン化合物の縮重合体により形成されたメソ構造体と界面活性剤とを備えることを特徴とする有機シリカ系材料。
  2. 前記式(1)中のRおよびRが前記式(2)で表される置換基であることを特徴とする請求項1に記載の有機シリカ系材料。
  3. 前記式(2)中のnが1であり、Rが炭素数1〜8のアルキル基であり、Rが置換もしくは無置換のアリル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機シリカ系材料。
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