JP5896339B2 - 有機シリカ系材料 - Google Patents

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Description

本発明は、有機シリカ系材料に関し、より詳しくは、ジチエニルジケトピロロピロール骨格を有する有機シリカ系材料に関する。
ジケトピロロピロール化合物は、従来から、光電変換材料における増感色素として用いられている。また、Adv.Mater.、2010年、22巻、E242〜E246頁(非特許文献1)には、ジチエニルジケトピロロピロール骨格とフェニレン基とが交互に結合した高分子材料が開示されており、この高分子材料からなる有機薄膜は500nm以上の可視光を吸収できることも開示されている。
しかしながら、ジチエニルジケトピロロピロール骨格とフェニレン基とが交互に結合した高分子材料は、熱分解や酸化分解されやすく、熱や酸素により変性しやすいという問題があった。
Johan C.Bijleveldら、Adv.Mater.、2010年、22巻、E242〜E246頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、可視光吸収特性を有し且つ酸素や熱に対して高い耐久性を示す材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ジチエニルジケトピロロピロール骨格(以下、「DPP骨格」と略す。)をシロキサン結合によって三次元的に架橋することによって、可視光吸収特性を有し且つ酸素や熱に対して高い耐久性を示す有機シリカ系材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機シリカ系材料は、下記式(1)で表される繰り返し単位:
〔式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、それぞれ独立に下記式(2)で表される基:
(式(2)中、Zは、芳香族縮合環を含まない炭素数6〜20のアリーレン基を含む基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基または置換もしくは無置換のアリル基を表し、kは1または2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する繰り返し単位との結合部位である。)
であり、式(1)中のR〜Rのうちの残りの基およびR〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、およぶシアノ基からなる群から選択される1種である。〕
を有することを特徴とするものである。
本発明の有機シリカ系材料において、前記式(2)中のZとしては単環の芳香族環とアルキレン基とが結合した基がより好ましい。また、本発明の有機シリカ系材料としては、前記式(1)中のRおよびRが前記式(2)で表される基であるものが好ましい。
なお、本発明の有機シリカ系材料が酸素や熱に対して高い耐久性を示す理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、従来のDPP骨格を有する高分子材料においては、DPP骨格が炭素−炭素結合により連結されており、この炭素−炭素結合が熱や酸素によって切断されるため、熱や酸素に対して高い耐久性を示す高分子材料を形成することが困難であったと推察される。
一方、本発明の有機シリカ系材料においては、DPP骨格がシロキサン結合(Si−O結合)によって三次元的に架橋されているため、熱や酸素による結合の切断が起こりにくく、熱や酸素に対して高い耐久性を発現すると推察される。
本発明によれば、可視光吸収特性を有し且つ酸素や熱に対して高い耐久性を示す有機シリカ系材料を得ることが可能となる。
実施例1で得られた有機シリカ系薄膜(DPP−2SiP)の加熱前後の可視/紫外吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られた有機シリカ系薄膜(DPP−4SiP)の加熱前後の可視/紫外吸収スペクトルを示すグラフである。 比較例1で得られた高分子薄膜(pDPP−Ph)の加熱前後の可視/紫外吸収スペクトルを示すグラフである。 比較例1で得られた高分子薄膜(pDPP−Ph)の可視/紫外吸収スペクトルを最大吸収極大波長の吸光度で規格化した吸収スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の有機シリカ系材料は、下記式(1)で表される繰り返し単位:
〔式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、それぞれ独立に下記式(2)で表される基:
であり、式(1)中のR〜Rのうちの残りの基およびR〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、およぶシアノ基からなる群から選択される1種である。〕
を有するものである。
本発明の有機シリカ系材料は、このようなDPP骨格を有しているため、吸収スペクトルの長波長側の吸収端の波長が600nm以上となり、500nm以上の可視光を効率的に吸収することが可能となる。また、前記式(2)で表される基は架橋点を有する基(以下、「架橋基」という。)であり、この架橋基中のシロキサン結合(Si−O結合)によってDPP骨格が三次元的に架橋されているため、熱や酸素による結合の切断が起こりにくく、熱や酸素に対して高い耐久性を示すものとなる。
前記式(1)で表される繰り返し単位においては、前記式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記式(2)で表される架橋基であるが、本発明の有機シリカ系材料の原料である有機シラン化合物を合成しやすいという観点から、RおよびRが前記架橋基であることが好ましい。
前記式(2)中のZは、炭素数6〜20(好ましくは6〜15)のアリーレン基、炭素数2〜20(好ましくは4〜15)の複素環基、エテニレン基、エチニレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基およびイミド基からなる群から選択される少なくとも1種を含むk価以上の基(好ましくはk+1価の基)または単結合である。
前記アリーレン基としては、フェニレン基などの単環の芳香族環;ナフチレン基、フルオレニレン基などの芳香族縮合環が挙げられる。前記複素環基としては、チエニレン基などの含硫黄五員環;ピリジレン基などの含窒素芳香族環;カルバゾリレン基などの含窒素縮合環などが挙げられる。
これらの基のうち、前記式(2)中のZとしては、化学的安定性の観点から、芳香族縮合環を含まない基が好ましく、単環の芳香族環(さらに好ましくはフェニレン基)、エテニレン基、エチニレン基、エーテル基、アミノ基を含み、芳香族縮合環を含まない基がより好ましい。
また、前記式(2)中のZに前記所定の基が複数含まれている場合、それらは同種の基であっても異種の基であってもよい。同種の基を含むZとしては、ビフェニル骨格を有するk価以上の基(好ましくは、2価の基)、トリフェニルアミン骨格を有するk価以上の基(好ましくは、2価または3価の基)などが挙げられる。また、異種の基を含むZとしては、アリーレン基(好ましくは単環の芳香族環、より好ましくはフェニレン基)とアルキレン基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6)が結合したk価以上の基(好ましくは、2価の基)などが挙げられる。
前記式(2)中のRは炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基またはアリル基を表し、前記アリル基はメチル基などの置換基を有していてもよい。また、*は隣接する繰り返し単位との結合部位である。前記式(2)中のkは1または2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3である。なお、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記架橋基においてそれぞれ独立であり、有機シリカ系材料中の全ての前記架橋基において同じである必要はない。
前記式(1)で表される繰り返し単位において、R〜Rのうちの残りの基およびR〜R、すなわち、前記式(2)で表されるシリル基を含有する基以外の基は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6)、アリール基(好ましくは炭素数6〜12)、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、およぶシアノ基からなる群から選択される1種である。これらの基のうち、R〜Rのうちの残りの基としては、化学的安定性と有機シリカ系材料中のDPP骨格の高密度化の観点から、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基、フェノキシ基が好ましく、R〜Rとしては2−エチルヘキシル基が好ましい。
このような有機シリカ系材料のうち、前記架橋基に対する有機骨格の体積分率を低減し、高い光吸収率(特に、可視光吸収率)を達成するという観点から、前記式(1)中のR〜Rのうちのいずれか1つの基(より好ましくはR)およびR〜Rのうちのいずれか1つの基(より好ましくはR)が前記式(2)で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基およびR〜Rが水素原子であり、前記式(2)中のZが単環の芳香族環(より好ましくはフェニレン基)とアルキレン基が結合した基である有機シリカ系材料が好ましい。
本発明の有機シリカ系材料は、例えば、以下のように、下記式(1a):
〔式(1a)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、それぞれ独立に下記式(2a):
で表されるシリル基を含有する置換基であり、前記式(1a)中のR〜Rのうちの残りの基およびR〜Rは、前記式(1)中のR〜Rのうちの残りの基およびR〜Rである前記式(2)で表される架橋基以外の基と同義である。〕
で表されるDPP骨格を有する有機シラン化合物を加水分解・重縮合させることによって製造することができる。
前記式(2a)中のZ、Rおよびkは、前記式(2)中のZ、Rおよびkと同義である。前記式(2a)中、Rは、炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基を表し、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。nは0〜3の整数である。なお、Rがアリル基の場合、アリル基が加水分解により脱離するため、前記式(2a)中の(3−n)の値と前記式(2)中の(3−i−j)の値は必ずしも一致しない。
本発明の有機シリカ系材料を製造する場合、このようなDPP骨格を有する有機シラン化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、このようなDPP骨格を有する有機シラン化合物のうち、前記式(2a)で表される置換基が導入されやすく、また、得られる有機シリカ系材料において、前記架橋基に対する有機骨格の体積分率を低減し、高い光吸収率(特に、可視光吸収率)を達成するという観点から、前記式(1a)中のR〜Rのうちのいずれか1つの基(より好ましくはR)およびR〜Rのうちのいずれか1つの基(より好ましくはR)が前記式(2a)で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基およびR〜Rが水素原子であり、前記式(2a)中のZが単環の芳香族環(より好ましくはフェニレン基)とアルキレン基(より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜6)が結合した基である有機シラン化合物が好ましい。また、有機シラン化合物が加水分解・重縮合しやすいという観点から、前記式(2a)中のRとしては炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。さらに、得られる有機シリカ系材料の架橋度を高め、構造を安定化できるという観点から、前記式(2a)中のnは2または3が好ましく、3が特に好ましい。
このようなDPP骨格を有する有機シラン化合物は、例えば、Maegawa Y.ら、Tetrahedron、2007年、第63巻、11467−11474ページなどに記載の方法を参照して、各チエニル骨格に少なくとも1つのハロゲン原子が置換したハロゲン化ジチエニルジケトピロロピロール類と、ハロゲン原子と反応可能な官能基および加水分解・重縮合が可能なシリル基を含有するシラン化合物とを反応させることによって製造することができる。前記ハロゲン化ジチエニルジケトピロロピロール類は、例えば、Tamayo A.B.ら、J.Phys.Chem.C、2008年、第112巻、15543〜15552頁などに記載の方法により調製することができる。また、前記ハロゲン原子と反応可能な官能基および加水分解・重縮合が可能なシリル基を含有するシラン化合物は、例えば、特開2008−214314号公報やMaegawa Y.ら、Tetrahedron、2007年、第63巻、11467−11474ページなどに記載の方法により調製することができる。
また、本発明の有機シリカ系材料を製造する場合、前記DPP骨格を有する有機シラン化合物とその他の有機シラン化合物とを共重合させてもよい。前記その他の有機シラン化合物としては、ジメトキシシラン、ジエトキシシランといったジアルコキシシラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシランといったトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランといったテトラアルコキシシラン;1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エチレン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)アセチレン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニルといった有機基架橋型アルコキシシランなどの公知のアルコキシシラン化合物が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記その他の有機シラン化合物の割合としては、前記DPP骨格を有する有機シラン化合物100質量部に対して、90質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
前記加水分解・重縮合(共重合を含む)の条件としては特に制限はないが、溶媒中、酸または塩基触媒の存在下で前記シランモノマーを加水分解および縮重合させることが好ましい。このとき用いられる溶媒としてはアルコール、テトラヒドロフラン、アセトンの有機溶媒、水、およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。溶液中の前記シランモノマーの濃度としては特に制限はないが、0.05〜5質量%が好ましい。
また、前記酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸といった鉱酸などが挙げられ、酸触媒を使用する場合の溶液は、pHが6以下(より好ましくは2〜5)の酸性であることが好ましい。さらに、前記塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、塩基触媒を使用する場合の溶液は、pHが8以上(より好ましくは9〜11)の塩基性であることが好ましい。
前記加水分解・重縮合(共重合を含む)における諸条件(温度、時間など)は特に制限されず、用いるシランモノマーや目的とする有機シリカ系材料などに応じて適宜選択されるが、一般的には0〜150℃程度の温度で30分間〜48時間程度の時間で前記シランモノマーを加水分解および縮重合させることができる。
本発明の有機シリカ系材料の形態は特に限定されず、例えば、粒子状、薄膜状、さらにはその薄膜を所定の形状にパターニングしたパターン状などが挙げられる。例えば、薄膜状の有機シリカ系材料を製造する場合、先ず、前記シランモノマーを含む溶液(例えば、テトラヒドロフラン溶液)に酸(例えば、塩酸、硝酸)を添加し、この溶液を攪拌して部分的に反応(部分加水分解および部分縮合反応)させてその部分重合体を含有するゾル溶液を製造する。このような前記シランモノマーの加水分解反応はpHが低い領域で起こりやすいことから、系のpHを低くすることにより部分重合を促進させることができる。このとき、pHは6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。また、その際の反応温度は0〜100℃程度が好ましく、反応時間は30分間〜24時間程度が好ましい。
次に、このようにして得られたゾル溶液を基板に塗布することにより薄膜状の有機シリカ系材料を作製することができる。前記ゾル溶液を基板に塗布する方法としては特に制限はなく、各種コーティング方法を適宜採用することができる。例えば、溶液キャスト法や、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーターなどを用いて塗布する方法、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティングといった方法などが挙げられる。さらに、ゾル溶液をインクジェット法により塗布することにより、基板にパターン状の有機シリカ系材料を形成することも可能である。
次に、得られた薄膜を25〜120℃程度で乾燥させ、前記部分重合体の縮重合反応を進めて三次元的な架橋構造を形成させることが好ましい。得られる薄膜の平均膜厚としては特に制限はないが、100μm以下が好ましく、0.01〜10μmがより好ましい。また、このような薄膜状の有機シリカ系材料は、特開2001−130911号公報などに記載の方法に準拠して得ることも可能である。
このように、前記DPP骨格を有する有機シラン化合物を加水分解・重縮合させると、通常、前記式(2a)中のシリル基が加水分解されてシラノール基(Si−OH)が生成し、その後の縮重合反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。このとき、シラノール基の一部がシロキサン結合にまで変換されず、そのまま残存していたり、Siに結合したアリル基がそのまま残存していても本発明の有機シリカ系材料の光吸収特性(特に、可視光吸収特性)に大きく影響しない。
また、本発明の有機シリカ系材料を製造する場合において、界面活性剤の存在下で前記シランモノマーを加水分解・重縮合させることによって、DPP骨格を有し、細孔径分布曲線における中心細孔直径が1〜30nmのメソ細孔を備える構造(メソ構造)を有する有機シリカ系メソ多孔体を製造することも可能である。具体的には、前記加水分解・重縮合によって、本発明の有機シリカ系材料と界面活性剤を含有するメソ多孔体前駆体を作製し、このメソ多孔体前駆体から界面活性剤を除去することによって有機シリカ系メソ多孔体を得ることができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
<1−ヨード−4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)ベンゼンの合成>
先ず、1−アリル−4−ヨードベンゼン(6.53g,26.8mmol)とジ−μ−クロロジクロロビス(エチレン)二白金(II)(2.0mg,3.4μmol,Pt含量:0.025mol%)とを混合し、得られた混合物に、アルゴン雰囲気下、0℃でトリクロロシラン(10ml,99.0mmol)を滴下した。得られた溶液を0℃で10分間撹拌した後、室温でさらに18時間撹拌して、下記反応式(I):
で表される反応を行なった。反応後の溶液を少量採取し、脱水重クロロホルムに溶解した後、H−NMR測定により1−アリル−4−ヨードベンゼンの消失と1−ヨード−4−(3−(トリクロロシリル)プロピル)ベンゼンの生成を確認した。その後、減圧下で、反応後の溶液から過剰量のトリクロロシランを留去した。
次に、得られた1−ヨード−4−(3−(トリクロロシリル)プロピル)ベンゼンを脱水ジクロロメタン(40ml)に再溶解した後、0℃に冷却した脱水2−プロパノール(10.0ml,130mmol)と脱水ピリジン(10.5ml,130mmol)とを含む脱水ジクロロメタン(100ml)溶液にゆっくり滴下した。得られた溶液を室温で5時間撹拌して、下記反応式(II):
で表される反応を行なった。その後、減圧下で、反応後の溶液から溶媒を留去し、生じた無機塩をセライトろ過により除去し、さらに残渣をヘキサンで洗浄した。得られた有機層を濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製して無色透明の液体(収量10.3g,収率86%)を得た。
この無色透明の液体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、1−ヨード−4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)ベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.57−0.61(m,2H)、1.17(d,J=6.4Hz,18H)、1.57−1.73(m,2H)、2.57(t,J=7.6Hz,2H)、4.18(sept,J=6.4Hz,3H)、6.92(d,J=8.4Hz,2H)、7.57(d,J=8.4Hz,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ11.6、24.9、25.6、38.7、64.9、90.5、130.7、137.2、142.2。
<4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−1−トリメチルスタンニルベンゼンの合成>
1−ヨード−4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)ベンゼン(1.03g,2.29mmol)を脱水テトラヒドロフラン(THF,18ml)に溶解し、得られた溶液を0℃に冷却した後、アルゴン雰囲気下でイソプロピルマグネシウムクロリド(5.17ml,10.3mmol)をテトラヒドロフラン溶液(濃度:2.0mol/L)として滴下した。得られた溶液を室温で4時間撹拌して、下記反応式(III):
で表される反応を行い、4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルマグネシウムクロリド溶液を得た。
この4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルマグネシウムクロリド溶液を−78℃に冷却した後、トリメチスズクロリド(2.05g,10.3mmol)を一度に加え、室温で17時間撹拌して、下記反応式(IV):
で表される反応を行い、得られた溶液を、0℃に冷却した飽和塩化アンモニウム水溶液に加えて反応を停止した。有機層と水層とを分離した後、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過・濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製して無色透明の液体(収量965mg,収率87%)を得た。
この無色透明の液体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−1−トリメチルスタンニルベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.27(t,J=27.6Hz,9H)、0.62−0.66(m,2H)、1.18(d,J=6.4Hz,18H)、1.69−1.76(m,2H)、2.61(t,J=8.0Hz,2H)、4.19(sept,J=6.4Hz,3H)、7.17(d,J=7.6Hz,2H)、7.40(d,J=7.6Hz,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ−9.6、11.9、25.1、25.6、39.4、64.8、128.4、135.7、138.6、142.7。
<3,6−ビス(5−(4−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルチオフェン−2−イル)−2,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオンの合成>
3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(198mg,0.29mmol)、4−(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−1−トリメチルスタンニルベンゼン(420mg,0.86mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba),13.3mg,0.015mmol,Pd含量:10mol%)、およびトリ(2−フリル)ホスフィン(TFP,14.6mg,0.058mmol,20mol%)を混合し、得られた混合物にアルゴン雰囲気下で脱水テトラヒドロフラン(30ml)を加えた。得られた溶液を70℃で20時間撹拌して、下記反応式(V):
で表される反応を行なった。その後、減圧下で、反応後の溶液から溶媒を留去し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/クロロホルム=1/1)およびフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=40/1)により精製して暗青色固体(収量289mg、収率85%)を得た。
この暗青色固体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、3,6−ビス(5−(4−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルチオフェン−2−イル)−2,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(DPP−2SiP)であることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.62−0.66(m,4H)、0.87(t,J=6.8Hz,6H)、0.91(t,J=7.2Hz,6H)1.19(d,J=6.4Hz,36H)、1.24−1.42(m,16H)、1.72−1.80(m,4H)、1.90−2.00(m,2H)、2.67(t,J=7.6Hz,4H)、4.03−4.13(m,4H)、4.20(sept,J=6.4Hz,6H)、7.23(d,J=8.4Hz,4H)、7.42(d,J=4.0Hz,2H)、7.58(d,J=8.4Hz,4H)、8.96(d,J=4.0Hz,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ10.6、11.8、14.1、23.1、23.7、25.0、25.6、28.6、30.4、39.0、39.2、46.0、64.9、108.0、124.0、126.0、128.3、129.3、130.7、136.8、139.8、143.8、150.0、161.7。
(合成例2)
<1−アリル−3,5−ジブロモベンゼンの合成>
先ず、1,3,5−トリブロモベンゼン(25.4g,80.7mmol)の脱水シクロペンチルメチルエーテル(CPME,120ml)溶液を−5℃に冷却した後、アルゴン雰囲気下でイソプロピルマグネシウムクロリド(16.2ml,32.4mmol)をテトラヒドロフラン溶液(濃度:2.0mol/L)として、n−ブチルリチウム(25.8ml,64.5mmol)をヘキサン溶液(濃度:2.5mol/L)として滴下した。得られた溶液を−5℃で8時間撹拌して、下記反応式(VI):
で表される反応を行い、3,5−ジブロモフェニルマグネシウムクロリド溶液を得た。
この3,5−ジブロモフェニルマグネシウムクロリド溶液にシアン化銅(I)(723mg,8.0mmol,10mol%)を一度に加え、−5℃にて5分間撹拌した後、アリルブロミド(10.2ml,120.6mmol)を−5℃で滴下し、室温で15時間撹拌して、下記反応式(VII):
で表される反応を行い、生成した無機塩をセライトろ過により除去し、得られた溶液を、0℃に冷却した飽和塩化アンモニウム水溶液に加えて反応を停止した。有機層と水層とを分離した後、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過・濃縮してほぼ純粋の褐色で透明な液体(収量21.4g,収率96%)を得た。
この褐色で透明な液体をH−NMR測定により同定し、1−アリル−3,5−ジブロモベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ3.33(d,J=6.8Hz,2H)、5.08−5.15(m,2H)、5.83−5.94(m,1H)、7.27(d,J=1.6Hz,2H)、7.50(t,J=1.6Hz,1H)。
<1−ブロモ−3,5−ジアリルベンゼンの合成>
1−アリル−3,5−ジブロモベンゼン(21.4g,77.5mmol)を脱水シクロペンチルメチルエーテル(100ml)に溶解し、得られた溶液を−5℃に冷却した後、アルゴン雰囲気下でイソプロピルマグネシウムクロリド(16.2ml,32.4mmol)をテトラヒドロフラン溶液(濃度:2.0mol/L)として、n−ブチルリチウム(25.8ml,64.5mmol)をヘキサン溶液(濃度:2.5mol/L)として滴下した。得られた溶液を−5℃で8時間撹拌して、下記反応式(VIII):
で表される反応を行い、3−アリル−5−ブロモフェニルマグネシウムクロリド溶液を得た。
この3−アリル−5−ブロモフェニルマグネシウムクロリド溶液にシアン化銅(I)(705mg,7.8mmol,10mol%)を一度に加え、−5℃で5分間撹拌した後、アリルブロミド(10.2ml,120.6mmol)を−5℃で滴下し、室温で15時間撹拌して、下記反応式(IX):
で表される反応を行い、生成した無機塩をセライトろ過により除去し、得られた溶液を、0℃に冷却した飽和塩化アンモニウム水溶液に加えて反応を停止した。有機層と水層とを分離した後、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物を減圧蒸留(150Pa,100℃)により精製して無色透明の液体(収量17.5g、収率96%)を得た。
この無色透明の液体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、1−ブロモ−3,5−ジアリルベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ3.33(d,J=6.8Hz,4H)、5.05−5.11(m,4H)、5.86−5.96(m,2H)、6.92(s,1H)、7.25(s,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ39.8、116.5、122.4、127.7、129.3、136.5、142.3。
<1,3−ジアリル−5−ヨードベンゼンの合成>
1−ブロモ−3,5−ジアリルベンゼン(4.74g,20.0mmol)を脱水シクロペンチルメチルエーテル(20ml)に溶解し、得られた溶液を0℃に冷却した後、アルゴン雰囲気下でイソプロピルマグネシウムクロリド(6.6ml,13.2mmol)をテトラヒドロフラン溶液(濃度:2.0mol/L)として、n−ブチルリチウム(10.6ml,26.5mmol)をヘキサン溶液(濃度:2.5mol/L)として滴下した。得られた溶液を0℃で6時間撹拌して、下記反応式(X):
で表される反応を行い、1,3−ジアリルフェニルマグネシウムクロリド溶液を得た。
この1,3−ジアリルフェニルマグネシウムクロリド溶液にヨウ素(11.0g,43.3mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液(40ml)を滴下し、室温で13時間撹拌して。下記反応式(XI):
で表される反応を行い、得られた溶液を、0℃に冷却した飽和塩化アンモニウム水溶液に加えて反応を停止した。有機層と水層とを分離した後、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物を減圧蒸留(200Pa,110℃)により精製して無色透明の液体(収量4.36g、収率77%)を得た。
この無色透明の液体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、1,3−ジアリル−5−ヨードベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ3.30(d,J=6.8Hz,4H)、5.05−5.11(m,4H)、5.85−5.95(m,2H)、6.96(s,1H)、7.38(d,J=1.2Hz,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ39.6、94.6、116.4、128.3、135.3、136.5、142.4。
<1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−5−ヨードベンゼンの合成>
1,3−ジアリル−5−ヨードベンゼン(4.5g,15.8mmol)を脱水ジエチルエーテル(12ml)/脱水ジクロロメタン(15ml)の混合溶液に溶解し、得られた溶液に、アルゴン雰囲気下でヘキサクロロ白金酸(IV)テトラブチルアンモニウム(14.1mg,15.8μmol,Pt含量:0.1mol%)の脱水ジクロロメタン溶液(3ml)を加え、0℃でトリクロロシラン(7.5ml,74.3mmol)を滴下した。得られた溶液を0℃で10分間撹拌した後、室温でさらに15時間撹拌して、下記反応式(XII):
で表される反応を行なった。反応後の溶液を少量採取し、脱水重クロロホルムに溶解した後、H−NMR測定により1,3−ジアリル−5−ヨードベンゼンの消失と1,3−ビス(3−(トリクロロシリル)プロピル)−5−ヨードベンゼンの生成を確認した。その後、減圧下で、反応後の溶液から過剰量のトリクロロシランを留去した。
次に、得られた1,3−ビス(3−(トリクロロシリル)プロピル)−5−ヨードベンゼンを脱水ジクロロメタン(75ml)に再溶解した後、0℃に冷却した脱水2−プロパノール(13.0ml,170mmol)と脱水ピリジン(14.0ml,170mmol)とを含む脱水ジクロロメタン(150ml)溶液にゆっくり滴下した。得られた溶液を室温で3時間撹拌して、下記反応式(XIII):
で表される反応を行なった。その後、減圧下で、反応後の溶液から溶媒を留去し、生じた無機塩をセライトろ過により除去し、さらに残渣をヘキサンで洗浄した。得られた有機層を濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製して無色透明の液体(収量9.27g、収率84%)を得た。
この無色透明の液体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−5−ヨードベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.57−0.62(m,4H)、1.18(d,J=6.0Hz,36H)、1.64−1.72(m,4H)、2.53(t,J=7.6Hz,4H)、4.19(sept,J=6.0Hz,6H)、6.92(s,2H)、7.33(s,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ11.7、24.9、25.6、38.8、64.9、94.3、128.3、134.8、144.7。
<1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−5−(トリメチルスタンニル)ベンゼンの合成>
1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−5−ヨードベンゼン(340mg,0.49mmol)を脱水テトラヒドロフラン(3ml)に溶解し、得られた溶液を0℃に冷却した後、アルゴン雰囲気下でイソプロピルマグネシウムクロリド(2.0ml,4.00mmol)をテトラヒドロフラン溶液(濃度:2.0mol/L)として滴下した。得られた溶液を室温で6時間撹拌して、下記反応式(XIV):
で表される反応を行い、1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルマグネシウムクロリド溶液を得た。
この1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルマグネシウムクロリド溶液にトリメチルスズクロリド(797mg,4.00mmol)を一度に加え、室温で17時間撹拌して、下記反応式(XV):
で表される反応を行い、得られた溶液を、0℃に冷却した飽和塩化アンモニウム水溶液に加えて反応を停止した。有機層と水層とを分離した後、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過・濃縮してほぼ純粋の無色透明な液体(収量341mg、収率95%)を得た。
この無色透明の液体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−5−(トリメチルスタンニル)ベンゼンであることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.26(t,J=28.0Hz,9H)、0.63−0.67(m,4H)、1.18(d,J=6.4Hz,36H)、1.66−1.76(m,4H)、2.59(t,J=8.0Hz,4H)、4.91(sept,J=6.4Hz,6H)、6.93(s,1H)、7.10(d,J=1.2Hz,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ−9.6、12.0、25.2、25.6、39.5、64.8、128.9、133.3、141.5、142.0。
<3,6−ビス(5−(3,5−ビス(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルチオフェン−2−イル)−2,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオンの合成>
3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(264mg,0.39mmol)、1,3−ビス(3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル)−5−(トリメチルスタンニル)ベンゼン(710mg,0.97mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba),17.7mg,0.020mmol,Pd含量:10mol%)、およびトリ(2−フリル)ホスフィン(TFP,19.5mg,0.077mmol,20mol%)を混合し、得られた混合物にアルゴン雰囲気下で脱水テトラヒドロフラン(30ml)を加えた。得られた溶液を70℃で3時間撹拌して、下記反応式(XVI):
で表される反応を行なった。その後、減圧下で、反応後の溶液から溶媒を留去し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=40/1)および分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製して暗青色固体(収量207mg、収率46%)を得た。
この暗青色固体をH−NMR測定および13C−NMR測定により同定し、3,6−ビス(5−(3,5−ビス(トリイソプロポキシシリル)プロピル)フェニルチオフェン−2−イル)−2,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(DPP−4SiP)であることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.64−0.68(m,8H)、0.87(t,J=7.2Hz,6H)、0.92(t,J=7.2Hz,6H)、1.19(d,J=6.4Hz,72H)、1.24−1.42(m,16H)、1.72−1.80(m,8H)、1.91−2.01(m,2H)、2.66(t,J=8.0Hz,8H)、4.08−4.11(m,4H)、4.21(sept,J=6.4Hz,12H)、7.00(s,2H)、7.29(d,J=1.2Hz,4H)、7.43(d,J=4.0Hz,2H)、8.96(d,J=4.0Hz,2H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ10.6、11.8、14.1、23.1、23.7、25.1、25.6、28.6、30.3、39.2、39.2、45.9、64.8、108.0、123.8、124.2、128.4、129.6、132.9、136.8、139.9、143.5、150.4、161.7.
(合成例3)
<[{2,5−ビス(2−エチルヘキシル)−2,3,5,6−テトラヒドロ−3,6−ジオキソピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジイル}−{[2,2’−(1,4−フェニレン)ビスチオフェン]−5,5’−ジイル}]交互共重合体の合成>
3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(250mg,0.37mmol)、1,4−フェニレンジボロン酸(60.7mg,0.37mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba),16.7mg,18.5μmol,Pd含量:10mol%)、トリフェニルホスフィン(9.60mg,37.0μmol,10mol%)、およびリン酸三カリウム(331.5mg,1.56mmol)を混合し、得られた混合物にアルゴン雰囲気下で脱水トルエン(10ml)、50vol%のアリコート336のトルエン溶液(0.75ml)、および脱気した蒸留水(0.75ml)を加えた。得られた溶液を120℃で3日間撹拌して、下記反応式(XVII):
で表される反応を行なった。その後、反応後の溶液をメタノールに滴下して重合成分を沈殿させた。沈殿物をろ過により回収し、得られた残渣をソックスレー抽出操作(メタノール、ヘキサン、クロロホルム)により精製した。クロロホルムに溶解した留分を濃縮し、得られた残渣を再度メタノールで洗浄し、真空下で乾燥して、暗黒色固体(収量70mg、収率32%)を得た。
この暗黒色固体をH−NMR測定により同定し、[{2,5−ビス(2−エチルヘキシル)−2,3,5,6−テトラヒドロ−3,6−ジオキソピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジイル}−{[2,2’−(1,4−フェニレン)ビスチオフェン]−5,5’−ジイル}]交互共重合体(pDPP−Ph)であることを確認した。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.89−1.38(m,28H)、1.93(br,2H)、4.08(br,4H)、7.26−7.78(m,6H)、8.98(br,2H)。
(実施例1)
合成例1で得られたDPP−2SiPをテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液(DPP−2SiP濃度:0.33質量%,200μl)に2mol/Lの塩酸水溶液(5μl)を加え、室温で45分間撹拌した。得られたゾル溶液を石英基板上にキャストして青紫色のキャスト膜を作製した。得られたキャスト膜を真空下、130℃で5分間加熱して残存する溶媒を完全に除去し、青紫色の有機シリカ薄膜(DPP−2SiP,膜厚:50μm)を得た。
この有機シリカ薄膜(DPP−2SiP)の可視/紫外(UV−vis)吸収スペクトルを測定したところ、図1の実線で示したように、有機シリカ薄膜(DPP−2SiP)は、波長630nm付近に吸収極大を有し、500nm以上の可視光を吸収できるもの(長波長側の吸収端の波長が600nm以上のもの)であることが確認された。
次に、有機シリカ薄膜(DPP−2SiP)を大気中、130℃で48時間加熱した。加熱後の有機シリカ薄膜(DPP−2SiP)のUV−vis吸収スペクトルを測定したところ、図1の破線で示したように、加熱後の有機シリカ薄膜(DPP−2SiP)も、波長630nm付近に吸収極大を有し、500nm以上の可視光を吸収できるもの(長波長側の吸収端の波長が600nm以上のもの)であった。以上の結果から、有機シリカ薄膜(DPP−2SiP)は、加熱後も光吸収特性が維持され、熱安定性に優れたものであることが確認された。
(実施例2)
DPP−2SiPの代わりに合成例1で得られたDPP−4SiPを用いた以外は実施例1と同様にして青紫色の有機シリカ薄膜(DPP−4SiP,膜厚:30μm)を得た。この有機シリカ薄膜(DPP−4SiP)のUV−vis吸収スペクトルを測定したところ、図2の実線で示したように、有機シリカ薄膜(DPP−4SiP)は、波長630nm付近に吸収極大を有し、500nm以上の可視光を吸収できるもの(長波長側の吸収端の波長が600nm以上のもの)であることが確認された。
次に、有機シリカ薄膜(DPP−4SiP)を大気中、130℃で48時間加熱した。加熱後の有機シリカ薄膜(DPP−4SiP)のUV−vis吸収スペクトルを測定したところ、図2の破線で示したように、加熱後の有機シリカ薄膜(DPP−4SiP)も、波長630nm付近に吸収極大を有し、500nm以上の可視光を吸収できるもの(長波長側の吸収端の波長が600nm以上のもの)であった。以上の結果から、有機シリカ薄膜(DPP−4SiP)は、加熱後も光吸収特性が維持され、熱安定性に優れたものであることが確認された。
(比較例1)
合成例3で得られたpDPP−Phをクロロホルムに溶解し、得られた溶液(DPP−2SiP濃度:約1質量%,100μl)を石英基板上にキャストした。得られたキャスト膜を真空下、130℃で5分間加熱して残存する溶媒を完全に除去し、青色の高分子薄膜(pDPP−Ph,膜厚:120μm)を得た。
この高分子薄膜(pDPP−Ph)のUV−vis吸収スペクトルを測定したところ、図3の実線で示したように、高分子薄膜(pDPP−Ph)は、波長647nm付近に吸収極大を有し、500nm以上の可視光を吸収できるもの(長波長側の吸収端の波長が600nm以上のもの)であることが確認された。
次に、高分子薄膜(pDPP−Ph)を大気中、130℃で48時間加熱した。加熱後の高分子薄膜(pDPP−Ph)のUV−vis吸収スペクトルを測定したところ、図3の破線で示したように、加熱後の高分子薄膜(pDPP−Ph)は、500nm以上の可視光領域で吸光度の顕著な減少が見られ、加熱前の光吸収特性を維持できず、熱安定性に劣るものであることがわかった。また、図3に示した吸収スペクトルを最大吸収極大波長(647nm)の吸光度で規格化したところ、図4に示すように、加熱後の高分子薄膜(pDPP−Ph)においては、350nm以下の短波長領域の吸光度が増大していた。これは、加熱後の高分子薄膜(pDPP−Ph)中に分解物が存在していることを意味しており、高分子薄膜(pDPP−Ph)は大気中での加熱により分解していることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、可視光吸収特性を示すジチエニルジケトピロロピロール骨格を有する有機シリカ系材料を得ることができる。この有機シリカ系材料は、可視光吸収特性を示す骨格がシロキサン結合により架橋されているため、酸素や熱に対して高い耐久性を示し、且つ、構造的な安定性にも優れている。
したがって、本発明の有機シリカ系材料は、可視光吸収特性を有し且つ酸素や熱に対して高い耐久性を示すため、有機薄膜太陽電池用材料などとして有用である。具体的には、本発明の有機シリカ系材料を有機薄膜太陽電池の有機系p型材料として使用すると、有機系p型材料により構成される素子の長寿命化を図ることが可能となる。また、優れ構造安定性により、有機薄膜太陽電池のバルクヘテロ接合型構造のように、素子中で有機系p型材料自体が構造形成している場合にも有用である。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位:
    〔式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基およびR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、それぞれ独立に下記式(2)で表される基:
    (式(2)中、Zは、芳香族縮合環を含まない炭素数6〜20のアリーレン基を含む基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基または置換もしくは無置換のアリル基を表し、kは1または2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する繰り返し単位との結合部位である。)
    であり、式(1)中のR〜Rのうちの残りの基およびR〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、およぶシアノ基からなる群から選択される1種である。〕
    を有することを特徴とする有機シリカ系材料。
  2. 前記式(2)中のZが、単環の芳香族環とアルキレン基とが結合した基であることを特徴とする請求項に記載の有機シリカ系材料。
  3. 前記式(1)中のRおよびRが、前記式(2)で表される基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機シリカ系材料。
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