JP3848270B2 - 9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基を主鎖に含む新規重合体及びその製造法並びにその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基を有する新規重合体、より詳しくは、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基及びチオフェンジイル基を主鎖に含む新規重合体、及びその製造法並びにその発光素子の構成材料としての用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
9−オキソ−9−ホスファフルオレン化合物の製造法は公知である。しかしながら、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基及びチオフェンジイル基を主鎖に含む重合体、及びその製造法、並びに該重合体の発光材料としての挙動は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発光素子の構成材料等として利用可能な、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基を主鎖に含む新規な重合体とその簡便且つ効果的な製造法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一般式[2]
【化5】
(式中のRは水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アルコキシ基、同シクロアルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アリール基、同アラルキル基、同アリーロキシ基、同アラルキロキシ基、又は同複素環式基を示す。また、Xは脱離基を示す。)で表される、2,7−位に脱離基を有する9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体と一般式[3]
(HO)2B−Th−B(OH)2 [3]
(式中のThは置換基を有していても良いチオフェンジイル基を示す。)で表されるチオフェニレンビスボロン酸化合物とを重縮合反応させることにより、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基及びチオフェンジイル基を主鎖に含む新規重合体が容易に製造し得ること、並びに該重合体が発光素子の構成材料として利用し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明によれば、下記一般式[1]
【化6】
(式中のRは水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アルコキシ基、同シクロアルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アリール基、同アラルキル基、同アリーロキシ基、同アラルキロキシ基、又は同複素環式基を示し、Thは置換基を有していても良いチオフェンジイル基を示す。nは3以上の自然数を示す。)で表される、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基及びチオフェンジイル基を主鎖に含む重合体、及びその製造法、並びにその発光素子の構成材料としての用途が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
前記一般式[1]において、Rが置換基を有していても良いアルキル基の場合のアルキル基としては、炭素数1〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−、iso−、sec−、又はtert−ブチル基、n−、iso−、sec−、tert−、又はneo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−オクチル基、2ーエチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルキル基の場合のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の単環又は複合環式のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルケニル基の場合のアルケニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の二重結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルケニル基の場合のシクロアルケニル基としては、例えば、前記したシクロアルキル基に1個以上の二重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルキニル基の場合のアルキニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の三重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。
【0007】
Rが置換基を有していても良いアルコキシ基の場合のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−、iso−、sec−、又はtert−ブトキシ基、n−、iso−、sec−、tert−、又はneo−ペンチロキシ基、n−ヘキシロキシ基、n−オクチロキシ基、2−オクチロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、n−ノニロキシ基、n−デシロキシ基、n−ドデシロキシ基、セチロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルキロキシ基の場合のシクロアルキロキシ基としては、例えば、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の単環又は複合環式のシクロアルキロキシ基が挙げられ、具体的には、シクロペンチロキシ基、シクロヘキシロキシ基、シクロオクチロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルケニロキシ基の場合のアルケニロキシ基としては、例えば、炭素数2〜40、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜15の直鎖状又は分岐状のアルケニロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニロキシ基、1−プロペニロキシ基、アリロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルケニロキシ基の場合のシクロアルケニロキシ基としては、例えば、前記したシクロアルキロキシ基に1個以上の二重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、シクロペンテニロキシ基、シクロヘキセニロキシ基等が挙げられる。
【0008】
Rが置換基を有していても良いアリール基の場合のアリール基としては、例えば、炭素数6〜42、好ましくは6〜26、より好ましくは6〜22の単環、多環又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアラルキル基の場合のアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアリーロキシ基の場合のアリーロキシ基としては、例えば、炭素数6〜42、好ましくは6〜26、より好ましくは6〜22の単環、多環又は縮合環式のアリーロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、フェノキシ基、ナフチロキシ基、ビフェニロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアラルキロキシ基の場合のアラルキロキシ基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、ナフチルメトキシ基、ナフチルエトキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良い複素環式基の場合の複素環式基としては、例えば、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5〜20員、好ましくは5〜10員、より好ましくは5〜7員であって、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基を縮合していても良い飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式の複素環式基が挙げられ、具体的には、例えば、ピリジル基、チエニル基、フェニルチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、ピロリル基、モルホリノ基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、ピリミジニル基等が挙げられる。
【0009】
これらアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、及び複素環式基の置換基としては、本発明化合物の製造法において支障を来さないものであればどのような置換基でも良いが、例えば、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、ジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、トリ置換シリル基(例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、トリ置換シロキシ基(例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等)、例えば塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、例えばメチレンジオキシ基、ジメチルメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0010】
また、一般式[1]中の前記したアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、及び複素環式基が、相互に置換することができる場合には、これらの基が相互に置換したものであっても良い。そのようなものとしては、例えば、アルキル置換シクロアルキル基、アルキル置換アリール基、アルキル置換シクロアルケニル基、アルキル置換アラルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルキル置換アルケニル基、シクロアルキル置換アルキニル基、アルケニル置換アリール基、アリール置換アルケニル基、アリール置換アルキニル基、アルコキシ置換シクロアルキル基、アルコキシ置換アリール基、アルコキシ置換シクロアルケニル基、アルコキシ置換アラルキル基、シクロアルコキシ置換アルキル基、シクロアルコキシ置換アルケニル基、シクロアルコキシ置換アルキニル基、アルケニロキシ置換アリール基、アリーロキシ置換アルケニル基等が挙げられる。
【0011】
前記一般式[1]において、Thで示される、置換基を有していても良いチオフェンジイル基としては、例えば、炭素数4〜42、好ましくは4〜26、より好ましくは4〜22の単環又は複合環式のチオフェンジイル基が挙げられ、具体的には、例えば、チオフェン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,3−ジイル基、チオフェン−2,4−ジイル基、チオフェン−3,4−ジイル基、チオフェン−3,5−ジイル基、チオフェン−4,5−ジイル基等が挙げられる。
【0012】
これらのチオフェンジイル基の置換基としては、本発明化合物の製造法において支障を来さない物であればどのような置換基でも良いが、例えば、前述したアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、複素環式基の他、ジアルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、トリ置換シリル基(例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、トリ置換シロキシ基(例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等)、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子、例えばメチレンジオキシ基、ジメチルメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0013】
前記一般式[1]で表される重合体は、例えば、一般式[2]
【化7】
(式中のRは前記と同じ。Xは脱離基を示す。)で表される2,7位に脱離基を有する9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体に、一般式[3]
(HO)2B−Th−B(OH)2 [3]
(式中のThは前記と同じ。)で表されるチオフェニレンビスボロン酸化合物を反応させて一般に鈴木−宮浦反応として知られる重縮合反応を起こさせることにより製造することができる。
【0014】
前記一般式[2]において、Xで示される脱離基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子の他、アセトキシフェニルヨードニオ基やフェニルトリフルオロメタンスルホキシヨードニオ基等のヨードニオ基、メタンスルホニル基やトリフルオロメタンスルホニル基等のスルホニル基等の各種脱離基が例示される。
前記一般式[2]において、Rは既に述べた前記一般式[1]におけるRと同じである。
また、前記一般式[3]において、Thは前記一般式[1]におけるThと同しである。
【0015】
本発明の重縮合反応は、遷移金属化学種、特に鈴木−宮浦反応に一般に用いられる遷移金属化学種の存在下に効率的に進行する。
遷移金属としては、周期律表第8〜10族のいわゆる後周期遷移金属が好ましく、低原子価のもの、特に、ニッケル、パラジウムを含む低原子価のものが効果的である。
低原子価遷移金属化学種は、予め調製して用いても良いが、反応系中で容易に低原子価遷移金属化学種に変換される適当な前駆体を用いることも好ましい態様である。これらの予め調製して用いる態様、前駆体を用いる態様の何れかの態様で用いられる遷移金属化学種としては、金属粉末等の金属単体、活性炭等に担持した金属、各種の配位子を配位した金属塩又は金属錯体が挙げられる。3級ホスフィンや3級ホスファイト、イミン類、ピリジン誘導体を配位子とする錯体や、上記の後周期の金属化学種にこれらの配位子を添加して発生する化学種は特に好ましく用いられる。
【0016】
本発明において、好適に用いることができる配位子を例示すると、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、フェニル亜ホスホン酸ジメチル、ジフェニル亜ホスホン酸メチル、エチレン−1,2−ビスオキサゾリン、ジフェニルホスフィノメチルオキサゾリン、ピリジン、2,2’−ビピリジル、オルトフェナントロリン等が挙げられる。
【0017】
本発明の反応においてこれらの予め調製して用いる態様、前駆体を用いる態様何れかの態様で用いられる遷移金属化学種として、好適に用いられる遷移金属化学種を具体的に例示すると、パラジウム粉末、活性炭担持パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)ビスヘキサフルオロペンタンジオナート、パラジウム(II)ビスペンタンジオナート、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジメチル[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、ジメチル[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(オルトフェナントロリン)パラジウム、ジクロロ[エチレン−1,2−ビスオキサゾリン]パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
また、低原子価遷移金属化学種を予め調製して用いる代りに、低原子価でない遷移金属化学種に還元剤を加えて低原子価遷移金属化学種を生成させ、それをそのまま反応に用いることも出来る。この場合の還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、金属亜鉛、ヒドラジン等が挙げられる。
【0019】
遷移金属化学種は、前記一般式[2]で表される化合物に対して0.00001〜20当量、好ましくは0.0001〜2当量の割合で用いられる。
【0020】
本発明の重縮合反応の生起には、前記一般式[3]で示されるチオフェニレンビスボロン酸化合物の用いる量には制限はないが、より高い収率を実現するためには一般的には前記一般式[2]で表される化合物に対して0.3当量以上が好ましく、より好ましくは0.66〜2当量である。
【0021】
本発明の重縮合反応においては、塩基を用いることにより好ましい速度が達成される。塩基としては種々の無機又は有機塩基を用いることができるが、その具体例としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トルブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等が例示される。
用いられる塩基の量は、一般式[2]で表される化合物に対して0.01〜100当量、好ましくは0.1〜20当量の割合で用いられる。また、これらの塩基はそれぞれ単独で用いても、複数の塩基を必要に応じて適宜組み合わせて用いても何れでも良い。
【0022】
本発明の重縮合反応は、種々の温度で実施できるが、通常−70〜180℃、特に0℃〜150℃が好ましい。
【0023】
本発明の重縮合反応においては、溶媒を用いることが好ましい。
本発明の重縮合反応のおいて用いられる溶媒としては種々の炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、プロトン性又は非プロトン性高極性溶媒を用いることができるが、その具体例としては、例えば、ヘキサン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、水、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド等が例示される。
用いられる溶媒の量に制限はないが、一般式[2]で表される化合物1mmolに対して通常は0.1〜100mL、好ましくは1〜20mLである。また、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、複数の溶媒を必要に応じて適宜組み合わせて用いても何れでも良い。さらに、用いる塩基が前記の反応温度において液体である場合には、このものを溶媒として用いることも出来る。
【0024】
生成物の単離及び精製は再沈澱や遠心分離等、常法により容易に行うことができる。
【0025】
本発明の、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基及びチオフェンジイル基を主鎖に含む重合体は、スピンコーティングやキャスト法等の簡便な成形加工手法により、薄膜化が可能であり、有機発光素子の構成材料とすることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0027】
実施例1
窒素雰囲気下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.0155g(0.01mmol)と2,7−ジブロモ−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[2]において、R=ノニル基、X=臭素原子)0.484g(0.5mmol)、チオフェニレン−2,5−ビスボロン酸(一般式[3]において、Th=チオフェン−2,5−ジイル基)0.171g(1.00mmol)、リン酸カリウム2.0g及びN,N−ジメチルホルムアミド10mLの混合物を125℃に加熱し、この温度で24時間攪拌した。反応混合物を水100mL中に注ぎ、得られた粉末を濾取し、この粉末を水50mLで洗浄した後にクロロホルム5mLに溶解してジエチルエーテル100mLで再沈澱させることにより、重合体(一般式[1]において、R=ノニル基、Th=チオフェン−2,5−ジイル基)0.317gを単離した。
【0028】
実施例1で得られた重合体のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ0.82(3H,brs),1.19(10H,brs),1.33(2H,brs),1.55(2H,brs),2.16(2H,brs),7.33(2H,brs),7.51−7.73(4H,m),8.05(2H,brs)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ43.8ppm。
元素分析:C161H176.2O6.6P6.6S5.6Br2(n=5.6)としての計算値(%):C,70.04;H,6.43;Br,5.80。実測値(%):C,70.01;H,6.69:Br,5.56。
【0029】
実施例2
2,7−ジブロモ−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレンの代わりに2,7−ジブロモ−9−(2−オクチル)−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[2]において、R=2−オクチル基、X=臭素原子)0.470g(1.0mmol)を使用した以外は実施例1と同様にして、重合体(一般式[1]において、R=2−オクチル基、Th=チオフェン−2,5−ジイル基)0.362gを単離した。
【0030】
実施例2で得られた重合体のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):δ0.80(3H,brs),0.99(3H,brs),1.18(8H,brs),1.41(1H,brs),1.80(1H,brs),2.23(1H,brs),7.29(2H,brs),7.74(4H,brs),7.99(2H,brs)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ50.3ppm。
元素分析:C212H223O9P9S8Br2(n=8)としての計算値(%):C,70.53;H,6.23;Br,4.43。実測値(%):C,70.73;H,6.33;Br,4.68。
【0031】
実施例3(重合体の溶解性の評価)
実施例1及び2で得られた重合体について、溶媒1mLに対する重合体1mgの溶解性を評価した。結果を表1に示す。なお、評価基準としては、可溶なものを◎、一部可溶なものを○又は△(溶解性:○>△)、不溶なものを×とした。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例4(光学的特性)
実施例1及び2で得られた各化合物の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(λUV)と繰り返し単位当たりのモル吸光係数の常用対数値(log ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(λEM)、溶液状態における量子効率を求めた。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、発光素子の有用な構成材料として使用し得る、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基及びチオフェンジイル基を主鎖に含む重合体と、その簡便且つ効果的な製造方法を提供することができる点に顕著な効果を奏する。
Claims (9)
- 遷移金属化学種の存在下に重縮合反応を行う請求項2に記載の製造法。
- 遷移金属化学種が低原子価遷移金属化学種である請求項3に記載の製造法。
- 低原子価遷移金属化学種が、低原子価でない遷移金属化学種に還元剤を加えて生成させた低原子価遷移金属化学種である請求項4に記載の製造法。
- 遷移金属がパラジウムである請求項3〜5の何れかに記載の製造法。
- パラジウム触媒が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子とする2価の錯体である請求項6に記載の製造法。
- パラジウム触媒が、反応系中で容易に低原子価錯体に変換し得る前駆体錯体である請求項6に記載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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