JP3691492B2 - 9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル基を主鎖に含む重合体と金属化合物とからなる複合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格を主鎖に含む重合体と1種以上の金属化合物とからなる複合体、及びその製造法並びにその発光素子の構成材料としての用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子化合物と金属化合物とからなる複合体は、成型性に優れ、光学的特性が微細に制御できることが期待されるため、種々検討がなされている。
従来、2,2’−ビピリジル−4,4’−ジイル骨格を含む重合体と金属化合物とからなる複合体において、金属の種類によりその蛍光ピーク波長が変化することが知られている(非特許文献1及び非特許文献2等参照)。
しかしながら、金属化合物の量を変化させることにより高分子化合物と金属化合物とからなる複合体の蛍光ピーク波長を変化させることができると言う報告はこれまでに無く、複合体の光学的特性を細かく制御することは困難であると考えられていた。
【0003】
【非特許文献1】
Journal of The American Chemical Society,119,12(1997)
【非特許文献2】
Journal of Materials,10,263(2000)
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属化合物の種類及び/又は金属化合物の量を変化させることにより光学的特性(発光特性)を細かくコントロールすることが可能な、高分子化合物と金属化合物とからなる複合体及びその製造法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式[1]
【化4】
[式中のRは水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アルコキシ基、同シクロアルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アリール基、同アラルキル基、同アリーロキシ基、同アラルキロキシ基、又は同複素環式基を示す。−Q−は単結合、−Ar−(但し、Arはアリーレン基を示す)、−Th−(但し、Thはチオフェニレンジイル基を示す)又は下記一般式[2]
【化5】
(式中のR’は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、同シクロアルキル基、同アリール基、同アラルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を示し、上記式中のオレフィン結合の何れの炭素原子に結合していてもよい。)で示されるビニレン基を示す。nは3〜30000の整数を示す。]で表される、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格を主鎖に含む重合体と1種以上の金属化合物とを溶媒中で混合するか、又は一般式[1]で表される9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体を含む溶液と該金属化合物を含む溶液とを混合することにより、該重合体と該金属化合物とからなる複合体が製造し得ること、及び該複合体の発光ピーク波長が該金属化合物の種類又は該重合体及び該金属化合物の混合比により変化し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明によれば、下記一般式[1]
【化6】
(式中のR、Q及びnは前記と同じ。)で示される重合体と金属化合物とからなる複合体、及びその製造方法、並びにその発光素子の構成材料としての用途が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
前記一般式[1]において、−Q−が単結合の場合、下記一般式[3]
【化7】
(式中のR及びnは前記と同じ。)で表される、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格を主鎖に含む重合体となる。
【0008】
また、前記一般式[1]において−Q−が−Ar−の場合、下記一般式[4]
【化8】
(式中のR及びnは前記と同じ。)で表される、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格とアリーレン骨格を主鎖に含む重合体となる。
【0009】
更に、下記一般式[1]において、−Q−が−Th−の場合、下記一般式[5]
【化9】
(式中のR及びnは前記と同じ。)で表される、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格とチオフェンジイル骨格を主鎖に含む重合体となる。
【0010】
更にまた、前記一般式[1]において、−Q−が前記一般式[2]で表されるビニレン基の場合、下記一般式[6]
【化10】
(式中のR及びnは前記と同じ。)で表される、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格とビニレン骨格を主鎖に含む重合体となる。
【0011】
前記一般式[1]、[3]、[4]、[5]及び[6]において、Rが置換基を有していても良いアルキル基の場合のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−、iso−、sec−、又はtert−ブチル基、n−、iso−、sec−、tert−、又はneo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−オクチル基、2ーエチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルキル基の場合のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の単環又は複合環式のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルケニル基の場合のアルケニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の二重結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルケニル基の場合のシクロアルケニル基としては、例えば、前記したシクロアルキル基に1個以上の二重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルキニル基の場合のアルキニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の三重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。
【0012】
Rが置換基を有していても良いアルコキシ基の場合のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜40、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−、iso−、sec−、又はtert−ブトキシ基、n−、iso−、sec−、tert−、又はneo−ペンチロキシ基、n−ヘキシロキシ基、n−オクチロキシ基、2−オクチロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、n−ノニロキシ基、n−デシロキシ基、n−ドデシロキシ基、セチロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルキロキシ基の場合のシクロアルキロキシ基としては、例えば、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の単環又は複合環式のシクロアルキロキシ基が挙げられ、具体的には、シクロペンチロキシ基、シクロヘキシロキシ基、シクロオクチロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアルケニロキシ基の場合のアルケニロキシ基としては、例えば、炭素数2〜40、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜15の直鎖状又は分岐状のアルケニロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニロキシ基、1−プロペニロキシ基、アリロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いシクロアルケニロキシ基の場合のシクロアルケニロキシ基としては、例えば、前記したシクロアルキロキシ基に1個以上の二重結合等の不飽和結合を有するものが挙げられ、具体的には、例えば、シクロペンテニロキシ基、シクロヘキセニロキシ基等が挙げられる。
【0013】
Rが置換基を有していても良いアリール基の場合のアリール基としては、例えば、炭素数6〜42、好ましくは6〜26、より好ましくは6〜22の単環、多環又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアラルキル基の場合のアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアリーロキシ基の場合のアリーロキシ基としては、例えば、炭素数6〜42、好ましくは6〜26、より好ましくは6〜22の単環、多環又は縮合環式のアリーロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、フェノキシ基、ナフチロキシ基、ビフェニロキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良いアラルキロキシ基の場合のアラルキロキシ基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキロキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、ナフチルメトキシ基、ナフチルエトキシ基等が挙げられる。
Rが置換基を有していても良い複素環式基の場合の複素環式基としては、例えば、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5〜20員、好ましくは5〜10員、より好ましくは5〜7員であって、前記したシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基を縮合していても良い飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式の複素環式基が挙げられ、具体的には、例えば、ピリジル基、チエニル基、フェニルチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、ピロリル基、モルホリノ基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、ピリミジニル基等が挙げられる。
【0014】
これらアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、及び複素環式基の置換基としては、本発明化合物の製造法において支障を来さないものであればどのような置換基でも良いが、例えば、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、トリ置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、トリ置換シロキシ基(例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等)、例えば、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、例えば、メチレンジオキシ基、ジメチルメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0015】
また、一般式[1]中の前記したアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキロキシ基、アルケニロキシ基、シクロアルケニロキシ基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アラルキロキシ基、及び複素環式基が、相互に置換することができる場合には、これらの基が相互に置換したものであっても良い。そのようなものとしては、例えば、アルキル置換シクロアルキル基、アルキル置換アリール基、アルキル置換シクロアルケニル基、アルキル置換アラルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルキル置換アルケニル基、シクロアルキル置換アルキニル基、アルケニル置換アリール基、アリール置換アルケニル基、アリール置換アルキニル基、アルコキシ置換シクロアルキル基、アルコキシ置換アリール基、アルコキシ置換シクロアルケニル基、アルコキシ置換アラルキル基、シクロアルコキシ置換アルキル基、シクロアルコキシ置換アルケニル基、シクロアルコキシ置換アルキニル基、アルケニロキシ置換アリール基、アリーロキシ置換アルケニル基等が挙げられる。
【0016】
前記一般式[4]において、Arで示されるアリーレン基としては、例えば、アリーレン基の炭素数が6〜14の置換又は無置換のアリーレン基が挙げられ、具体例としては、例えば、1,4−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、2,3−ジメチル−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン基、2,5−ジヘキシロキシ−1,4−フェニレン基、2,5−ビス(1−ヘプチロキシ)−1,4−フェニレン基等が挙げられる。
【0017】
前記一般式[5]において、Thで示されるチオフェンジイル基としては、例えば、チオフェンジイル基の炭素数が4〜42、好ましくは4〜26、より好ましくは4〜22の単環又は複合環式の置換又は無置換のチオフェンジイル基が挙げられ、具体例としては、例えば、チオフェン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,3−ジイル基、チオフェン−2,4−ジイル基、チオフェン−3,4−ジイル基、チオフェン−3,5−ジイル基、チオフェン−4,5−ジイル基等が挙げられる。
【0018】
これらのチオフェンジイル基の置換基としては、本発明の複合体の製造法において支障を来さないものであればどのような置換基でも良いが、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アルコキシ基、同シクロアルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アリール基、同アラルキル基、同アリーロキシ基、同アラルキロキシ基、同複素環式基の他、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、トリ置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、トリ置換シロキシ基(例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等)、例えば、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子、例えば、メチレンジオキシ基、ジメチルメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0019】
チオフェンジイル基の置換基において、置換基を有していてもよいアルキル基、同シクロアルキル基、同アルケニル基、同シクロアルケニル基、同アルキニル基、同アルキロキシ基、同シクロアルキロキシ基、同アルケニロキシ基、同シクロアルケニロキシ基、同アリール基、同アラルキル基、同アリーロキシ基、同アラルキロキシ基、同複素環式基の定義及び具体例、並びに置換基の定義及び具体例等は、Rについてそれぞれ前記したものと同じである。
【0020】
前記一般式[2]及び[6]において、R’で示される、置換基を有していてもよいアルキル基、同シクロアルキル基、同アリール基、同アラルキル基の定義及び具体例、並びに置換基の定義及び具体例等は、Rについてそれぞれ前記したものと同じである。
一般式[2]及び[6]において、R’で示されるアルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜15のアルコキシ基を含むものが挙げられ、具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−又はiso−プロポキシカルボニル基、n−、iso−、sec−又はtert−ブトキシカルボニル基、n−、iso−、sec−、tert−又はneo−ペンチロキシカルボニル基、n−ヘキシロキシカルボニル基、n−ヘプチロキシカルボニル基、n−オクチロキシカルボニル基、2−オクチロキシカルボニル基などが挙げられる。
これらのR’はオレフィン結合の何れの炭素原子に結合していてもよい。
【0021】
前記一般式[3]、[4]及び[6]で表される重合体は国際公開WO02/072661号公報に記載の方法により容易に製造することができる。
【0022】
前記一般式[5]で表される重合体は、例えば、一般式[7]
【化11】
(式中のRは前記と同じ。Xは脱離基を示す。)で表される9−オキソ−9−ホスファフルオレン誘導体に、一般式[8]
(HO)2B−Th−B(OH)2 [8]
(式中のThは前記と同じ。)で表されるチオフェニレンビスボロン酸化合物を作用させて一般に鈴木反応として知られる重縮合反応させることにより製造することができる。
【0023】
前記一般式[7]において、Xで示される脱離基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子の他、アセトキシフェニルヨードニオ基やフェニルトリフルオロメタンスルホキシヨードニオ基等のヨードニオ基、メタンスルホニル基やトリフルオロメタンスルホニル基等のスルホニル基等の各種脱離基が例示される。前記一般式[7]において、Rは既に述べた前記一般式[1]、[3]、[4]、[5]及び[6]におけるRと同じである。
また、前記一般式[8]における、Thは前記一般式[5]におけるThと同じである。
【0024】
前記一般式[5]で表される重合体は、遷移金属化学種、特に鈴木−宮浦反応に一般に用いられる遷移金属化学種の存在下に効率的に製造することができる。遷移金属としては、周期律表第8〜10族のいわゆる後周期遷移金属が好ましく、低原子価のもの、特に、ニッケル、パラジウムを含む低原子価のものが効果的である。
低原子価遷移金属化学種は、予め調製して用いても良いが、反応系中で容易に低原子価遷移金属化学種に変換される適当な前駆体を用いることも好ましい態様である。これらの予め調製して用いる態様、前駆体を用いる態様の何れかの態様で用いられる遷移金属化学種としては、金属粉末等の金属単体、活性炭等に担持した金属、各種の配位子を配位した金属塩又は金属錯体が挙げられる。3級ホスフィンや3級ホスファイト、イミン類、ピリジン誘導体を配位子とする錯体や、上記の後周期の金属化学種にこれらの配位子を添加して発生する化学種は特に好ましく用いられる。
【0025】
前記一般式[5]で表される重合体の製造に好適に用いることができる配位子を例示すると、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、フェニル亜ホスホン酸ジメチル、ジフェニル亜ホスホン酸メチル、エチレン−1,2−ビスオキサゾリン、ジフェニルホスフィノメチルオキサゾリン、ピリジン、2,2’−ビピリジル、オルトフェナントロリン等が挙げられる。
【0026】
前記一般式[5]で表される重合体の製造おいて、前記した、予め調製して用いる態様、前駆体を用いる態様の何れかの態様で用いられる遷移金属化学種として、好適に用いられる遷移金属化学種を具体的に例示すると、パラジウム粉末、活性炭担持パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)ビスヘキサフルオロペンタンジオナート、パラジウム(II)ビスペンタンジオナート、ジメチルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジメチル[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、ジメチル[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(オルトフェナントロリン)パラジウム、ジクロロ[エチレン−1,2−ビスオキサゾリン]パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
また、低原子価遷移金属化学種を予め調製して用いる代りに、低原子価でない遷移金属化学種に還元剤を加えて低原子価遷移金属化学種を生成させ、それをそのまま反応に用いることも出来る。この場合の還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、金属亜鉛、ヒドラジン等が挙げられる。
【0028】
前記一般式[5]で表される重合体の製造おいて、遷移金属化学種は、前記一般式[7]で表される化合物に対して0.00001〜20当量、好ましくは0.0001〜2当量の割合で用いられる。
【0029】
前記一般式[5]で表される重合体の製造おいて、前記一般式[8]で示されるチオフェニレンビスボロン酸化合物の用いる量には制限はないが、より高い収率を実現するためには一般的には前記一般式[7]で表される化合物に対して0.3当量以上が好ましく、より好ましくは0.66−2当量である。
【0030】
前記一般式[5]で表される重合体の製造における重縮合反応は、塩基を用いることにより好ましい速度が達成される。塩基としては種々の無機又は有機塩基を用いることができるが、その具体例としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トルブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等が例示される。
用いられる塩基の量は、一般式[7]で表される化合物に対して0.01〜100当量、好ましくは0.1〜20当量の割合で用いられる。また、これらの塩基はそれぞれ単独で用いても、複数の塩基を必要に応じて適宜組み合わせて用いても何れでも良い。
【0031】
前記一般式[5]で表される重合体の製造における重縮合反応は、種々の温度で実施できるが、通常−70〜180℃、特に0℃〜150℃が好ましい。
【0032】
前記一般式[5]で表される重合体の製造における重縮合反応は、溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては種々の炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、プロトン性又は非プロトン性高極性溶媒を用いることができるが、その具体例としては、例えば、ヘキサン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、水、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド等が例示される。
用いられる溶媒の量に制限はないが、一般式[7]で表される化合物1mmolに対して通常は0.1〜100mL、好ましくは1〜20mLである。また、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いても、複数の溶媒を必要に応じて適宜組み合わせて用いても何れでも良い。更に、用いる塩基が前記の反応温度において液体である場合には、このものを溶媒として用いることも出来る。
【0033】
前記一般式[5]で表される重合体の単離及び精製は、重縮合が完結した後に、再沈澱や遠心分離等の常法によって容易に行うことができる。
【0034】
本発明の、9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格を主鎖に含む重合体と1種以上の金属化合物とからなる複合体は、該重合体と該金属化合物とを溶媒中で混合することによって製造することができる。また、該重合体を含む溶液と該金属化合物を含む溶液との混合によっても製造することができる。
【0035】
本発明の複合体の製造に用いられる金属化合物としては、ルイス酸性を有し、且つ前記一般式[1]に表される重合体を酸化も還元もしないものが好ましい。
具体例としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、フッ化ホウ素、臭化ホウ素、テトラフルオロホウ酸トリフェニルメチル、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、塩化スカンジウム、臭化スカンジウム、ヨウ化スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、過塩素酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸チタン(IV)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ガリウム、塩化スズ(IV)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(IV)、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化イットリウム、臭化イットリウム、ヨウ化イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、過塩素酸イットリウム、塩化ジルコニウム(IV)、臭化ジルコニウム(IV)、ヨウ化ジルコニウム(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸ジルコニウム(IV)、過塩素酸ジルコニウム(IV)、塩化ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス、塩化ランタノイド(III)、臭化ランタノイド(III)、ヨウ化ランタノイド(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ランタノイド(III)、過塩素酸ランタノイド(III)、塩化ハフニウム(IV)、臭化ハフニウム(IV)、ヨウ化ハフニウム(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)、過塩素酸ハフニウム(IV)等が例示される。
これらの金属化合物はそれぞれ単独で用いても、また、2種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0036】
本発明の複合体の製造法において用いられる溶媒に特に制限はないが、容易に入手することができ、溶解性が大きいという点でクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフランのような極性溶媒が好ましい。これら本発明の複合体の製造において用いられる溶媒は、それぞれ単独で用いても、また、2種以上適宜組み合わせて用いても何れでも良い。
【0037】
本発明の複合体の製造法において用いられる、前記の重合体及び前記の金属化合物の濃度に特に制限はないが、前記の重合体及び/又は前記の金属化合物の濃度がこれらの飽和濃度未満であることが好ましい。
【0038】
本発明の複合体の製造法において用いられる金属化合物の、前記の重合体に対する当量比に特に制限はないが、通常は0.001〜100、好ましくは0.05〜10である。
【0039】
本発明の複合体の製造法において、前記の重合体と金属化合物とを混合する温度は、通常は−116〜200℃、好ましくは−78〜125℃である。
【0040】
本発明の複合体は、そのまま、又は、スピンコーティングやキャスト法等の簡便な成形加工手法による薄膜化により、発光体とすることができる。
【0041】
【実施例】
以下、参考例、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの参考例、実施例により何ら限定されるものではない。
【0042】
参考例1
窒素雰囲気下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.0155g(0.01mmol)と2,7−ジブロモ−9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレン(一般式[7]において、R=ノニル基、X=臭素原子)0.484g(0.5mmol)、チオフェニレン−2,5−ビスボロン酸(一般式[8]において、Th=チオフェン−2,5−ジイル基)0.171g(1.00mmol)、リン酸カリウム2.0g及びN,N−ジメチルホルムアミド10mLの混合物を125℃に加熱し、この温度で24時間攪拌した。反応混合物を水100mL中に注ぎ、得られた粉末を濾取し、この粉末を水50mLで洗浄した後にクロロホルム5mLに溶解してジエチルエーテル100mLで再沈澱させることにより、重合体(一般式[1]において、R=ノニル基、Q=Th=チオフェン−2,5−ジイル基、nの平均値=5.6)0.317gを単離した。
【0043】
参考例1で得られた重合体のスペクトルデータ及び元素分析の結果は以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3):0.82(3H,brs),1.19(10H,brs),1.33(2H,brs),1.55(2H,brs),2.16(2H,brs),7.33(2H,brs),7.51−7.73(4H,m),8.05(2H,brs)ppm。
31P−NMR(CDCl3):δ43.8ppm。
元素分析:C161H176.2O6.6P6.6S5.6Br2(n=5.6)としての計算値(%):C,70.04;H,6.43;Br,5.80。実測値(%):C,70.01;H,6.69:Br,5.56。
【0044】
比較例1
数平均分子量10100のポリ[2,7−(9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレニレン)−1,4−(2,5−ジヘキシロキシフェニレン)](一般式[1]において、R=ノニル基、Q=Ar=2,5−ジヘキシロキシフェニレン−1,4−ジイル基、nの平均値=16.8)0.0060gをテトラヒドロフラン100mLに溶解し、得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。
【0045】
実施例1〜5
比較例1で用いた重合体と同じ重合体0.0015gをテトラヒドロフラン25mLに溶解し、この溶液1.0mLと所定量(AmL)の2.0×10−5mol/Lのトリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)のテトラヒドロフラン溶液を混合すると、該重合体と該金属化合物の複合体が得られた。得られた複合体の溶液をテトラヒドロフランで10mLに希釈して、複合体の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を比較例1の結果と併せて表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1から明らかなように、本発明の複合体においては、複合体中の金属化合物の量を変化させることにより各種光学的特性(発光特性)を細かくコントロールすることが可能であることが判る。
【0048】
実施例6〜11
比較例1で用いた重合体と同一の重合体0.0015gをテトラヒドロフラン25mLに溶解し、この溶液1.0mLと2.0×10−5mol/Lのトリフルオロメタンスルホン酸希土類(III)[Ln(OTf)3]のテトラヒドロフラン溶液1.0mLを混合すると、該重合体と該金属化合物の複合体が得られた。得られた複合体の溶液をテトラヒドロフランで10mLに希釈して複合体の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を比較例1の結果と併せて表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
実施例12
比較例1で用いた重合体と同一の重合体0.0060gとトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム0.0049gをクロロホルム100mL中で混合して、25℃で24時間静置すると、該重合体と該金属化合物の複合体の溶液が得られた。この溶液中の複合体の紫外線領域における吸収極大波長は400.2nm、モノマー単位あたりのモル吸光係数は20900、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長は482nmであった。該重合体のみのクロロホルム溶液中での紫外線領域における吸収極大波長は384nm、モノマー単位あたりのモル吸光係数は19200、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長は431nmであり、該複合体の形成により、該重合体の蛍光波長が51nm長くなっていることがわかった。
【0051】
比較例2
比較例1で用いた重合体と同一の重合体0.0012gをテトラヒドロフラン4mLとクロロベンゼン2mLの混合溶媒中に溶解し、この溶液を石英板上に展開して溶媒を蒸発させると、該重合体の薄膜が得られた。得られた該重合体の薄膜の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)と紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。
【0052】
実施例13〜15
比較例1で用いた重合体と同一の重合体0.0012gとトリフルオロメタンスルホン酸希土類(III)[Ln(OTf)3]0.002mmolをテトラヒドロフラン4mL中で混合して25℃で30分間静置すると、該重合体と該金属化合物の複合体の溶液が得られた。得られた溶液にクロロベンゼン2mLを加え、この溶液を石英板上に展開して溶媒を蒸発させると、該複合体の薄膜が得られた。得られた該複合体の薄膜の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)と紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を比較例2の結果と併せて表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
表2及び表3の結果から、本発明の複合体においては、複合体中の金属化合物の種類を変化させることにより各種光学的特性(発光特性)を細かくコントロールすることが可能であることが判る。
【0055】
比較例3
参考例1で得られた重合体0.0041gをクロロホルム100mLに溶解し、得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を表4に示す。
【0056】
実施例16
比較例3で用いた重合体と同一の重合体0.0041gとトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム0.0049gをクロロホルム100mL中で混合して、25℃で24時間静置すると、該重合体と該金属化合物の複合体の溶液が得られた。得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を表4に示す。
【0057】
比較例4
数平均分子量3980のポリ[2,7−(9−ノニル−9−オキソ−9−ホスファフルオレニレン)](一般式[1]において、R=ノニル基、Q=単結合、nの平均値=16.8)0.0032gをクロロホルム100mLに溶解し、得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を表4に示す。
【0058】
実施例17
比較例4で用いた重合体と同一の重合体0.0032gとトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム0.0049gをクロロホルム100mL中で混合して、25℃で24時間静置すると、該重合体と該金属化合物の複合体の溶液が得られた。得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を表4に示す。
【0059】
比較例5
数平均分子量2260のポリ[2,7−(9−オキソ−9−ホスファ−9−プロピルフルオレニレン)−1,2−ビニレン](一般式[1]において、R=ノニル基、Q=1,2−ビニレン基、nの平均値=8.5)0.0027gをクロロホルム100mLに溶解し、得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を表4に示す。
【0060】
実施例18
比較例5で用いた重合体と同一の重合体0.0027gとトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム0.0049gをクロロホルム100mL中で混合して、25℃で24時間静置すると、該重合体と該金属化合物の複合体の溶液が得られた。得られた溶液の光学的特性について評価した。測定項目としては、紫外線領域における吸収極大波長(UVλmax)とモノマー単位あたりのモル吸光係数(ε)、紫外光照射による蛍光スペクトルの極大波長(EMλmax)を求めた。結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】
本発明は、発光素子の構成材料等として有用な9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格を主鎖に含む重合体と金属化合物とからなる複合体及びその製造法を提供するものであり、本発明の複合体においては、金属化合物の種類及び/又は金属化合物の量を変化させることにより各種光学的特性(発光特性)をコントロールすることができる点に顕著な効果を奏する。
Claims (4)
- 一般式[1]
- 金属化合物がルイス酸性を有し、且つ一般式[1]で表される9−オキソ−9−ホスファフルオレン−2,7−ジイル骨格を主鎖に含む重合体を酸化も還元もしないものである、請求項1に記載の複合体。
- 請求項1又は2に記載の複合体を含んでなる発光素子。
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