JP6536262B2 - 固体触媒 - Google Patents

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本発明は、メソポーラス有機シリカからなる固体触媒に関し、より詳しくは、ビピリジン基を備えるメソポーラス有機シリカからなる固体触媒に関する。
Feにビピリジンが1:1の割合で配位した錯体は、ルイス酸として機能し、エポキシ環の開環反応等の触媒として利用できることが知られている(Chem.Commun.、2012年、第48巻、3806〜3808頁(非特許文献1))。この非特許文献1に記載されているように、ビピリジンが配位したFe錯体を触媒として使用すると、高い収率(最大95%)且つ高いエナンチオ選択性(最大96%)でアニリン誘導体とエポキシ化合物とを反応させることができる。しかしながら、ビピリジンが配位したFe錯体は均一系触媒であり、有機溶媒に対する溶解性が高いため、エポキシ環の開環反応後の触媒の回収及び再利用が困難であった。また、前記Fe錯体は、空気や水分に対して不安定であるため、大気中で単離したり取り扱ったりすることが困難であり、不活性ガス雰囲気中や反応系において調製する必要があった。さらに、前記Fe錯体は、触媒反応中に凝集する性質があり、反応の進行とともに触媒活性が低下するという問題があった。
また、Feにビピリジンを1:1の割合で配位させるには、ビピリジン環の6,6’位に嵩高い置換基(例えばt−ブチル基)を導入する必要があった。ビピリジン環に嵩高い置換基を導入するには、煩雑な有機合成を駆使する必要があり、また、導入された嵩高い置換基は、エポキシ環の開環反応等において、反応基質と触媒活性サイトとの接触を阻害する要因となり、効率的な触媒反応の妨げとなっていた。
一方、特開2014−193457号公報(特許文献1)には、イリジウム原子等の周期表第9族の遷移金属原子を含有する固体触媒として、前記遷移金属原子に配位したビピリジン基を備えるメソポーラス有機シリカからなる固体触媒が開示されており、ベンゼン等の芳香族化合物のホウ素化反応において優れた触媒活性を示すことも記載されている。
特開2014−193457号公報
B.Plancqら、Chem.Commun、2012年、第48巻、3806〜3808頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、Fe原子を含有し、触媒活性に優れた固体触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ビピリジン基を備えるメソポーラス有機シリカとFe原子含有化合物とを混合して、ビピリジン基が前記Fe原子含有化合物中のFe原子に配位したFe錯体を形成することによって、前記Fe原子含有化合物がメソポーラス有機シリカの外表面や細孔内表面に固定化されることを見出し、さらに、得られたFe含有メソポーラス有機シリカが優れた触媒活性を有するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のエポキシ環の開環反応用固体触媒は、下記式(1):
〔前記式(1)中、Lは配位子を表し、nは1〜4の整数であり、nが2〜4の場合、Lは同一であっても異なっていてもよく、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2):
(前記式(2)中、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、Rは水素原子又はシリル基を表し、kは1又は2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する構造との結合部位である。)
で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
で表される構造を備えるFe含有メソポーラス有機シリカからなることを特徴とするものである。
本発明のエポキシ環の開環反応用固体触媒において、前記式(1)で表される構造は、前記Fe含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていること、或いは、メソポーラスシリカの表面に結合していることが好ましい。
また、前記式(1)で表される構造が前記Fe含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれている場合には、前記式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記式(2)で表される基であることがより好ましく、また、前記式(1)で表される構造がメソポーラスシリカの表面に結合している場合には、前記式(1)中の隣接する構造との結合部位が前記メソポーラスシリカの表面のケイ素原子と結合していることがより好ましい。
なお、本発明の固体触媒が優れた触媒活性を有する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、ビピリジンとFe原子含有化合物とを混合すると、ビピリジンが前記Fe原子含有化合物中のFe原子に配位してFe錯体が形成される。このFe錯体においては、ビピリジンが前記Fe原子のすべての配位座に強固に配位するため、触媒活性が発現しない場合が多い。これに対して、ビピリジン基を備えるメソポーラス有機シリカと前記Fe原子含有化合物とを混合すると、ビピリジン基が前記Fe原子に強固に配位するため、Fe種が安定化したFe錯体を含有するメソポーラス有機シリカ(本発明の固体触媒)が形成されるが、この固体触媒においては、配位子であるビピリジン基がメソポーラス有機シリカの細孔壁に組み込まれているため、前記Fe原子のすべての配位座にビピリジン基が配位することはなく、一部の配位座には、触媒反応時に脱離しやすい配位子Lが配位している。このため、これらの配位子Lが脱離した後の配位座を反応に利用することによって反応基質の活性化が可能となり、触媒反応が促進されると推察される。
さらに、前記Fe原子にビピリジンが1:1の割合で配位した錯体(均一系触媒)においては、ビピリジン環の6,6’位に嵩高い置換基(例えばt−ブチル基)が導入されているため、反応基質が触媒活性サイトに取り込まれにくく、高い触媒活性が得られにくいと推察される。一方、本発明の固体触媒においては、触媒活性サイト近傍に嵩高い置換基が存在しないため、反応基質が触媒活性サイトに取り込まれやすく、高い触媒活性が得られると推察される。
また、本発明の固体触媒においては、ビピリジン基が、メソポーラス有機シリカの骨格中に高度に分散した状態で組み込まれていたり、メソポーラスシリカの外表面や細孔内表面に高度に分散した状態で担持されているため、前記Fe錯体もFe含有メソポーラス有機シリカの外表面や細孔内表面に高度に分散した状態で形成(固定化)されていると推察される。このように、本発明の固体触媒においては、触媒活性サイト(前記Fe錯体)が高度に分散した状態で存在するため、優れた触媒活性が得られると推察される。また、高度に分散した前記Fe錯体が凝集しにくいため、反応中において触媒の失活が起こりにくく、優れた触媒活性が維持されると推察される。
さらに、本発明の固体触媒においては、空気(特に、水分)が入り込みにくい疎水性のメソ細孔内に前記Fe錯体が固定化されており、本発明の固体触媒が空気(特に、水分)に曝された場合でも、メソ細孔内の前記Fe錯体は空気(特に、水分)と接触しにくいため、本発明の固体触媒は空気(特に、水分)に対して優れた安定性を示すと推察される。
また、本発明の固体触媒においては、ビピリジン基がシロキサン結合によって三次元的に強固に架橋されているため、機械的作用や化学的作用による前記Fe錯体の脱離が起こりにくく、優れた機械的強度や化学的安定性が得られると推察される。また、前記三次元架橋により前記Fe錯体の反応系へのリーチングも起こりにくいため、触媒の失活も起こりにくいと推察される。
本発明によれば、Fe原子を含有し、触媒活性に優れた固体触媒を得ることが可能となる。
合成例2で得られたFe含有メソポーラス有機シリカのX線回折パターンを示すグラフである。 合成例2で得られたFe含有メソポーラス有機シリカのUV/Vis吸収スペクトルを示すグラフである。 合成例2で得られたFe含有メソポーラス有機シリカの窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 実施例1、4で得られた固体触媒及び比較例1〜6で得られた触媒の触媒回転数を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<固体触媒>
先ず、本発明の固体触媒について説明する。本発明の固体触媒は、下記式(1):
〔前記式(1)中、Lは配位子を表し、nは1〜4の整数であり、nが2〜4の場合、Lは同一であっても異なっていてもよく、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2):
(前記式(2)中、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、Rは水素原子又はシリル基を表し、kは1又は2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する構造との結合部位である。)
で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
で表される構造を備えるFe含有メソポーラス有機シリカからなるものである。
本発明の固体触媒において、前記式(1)で表される構造は、前記Fe含有メソポーラス有機シリカの細孔内表面(細孔壁)に配置されていれば、外表面に配置されていてもよく、また、前記Fe含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていてもよいし(以下、このFe含有メソポーラス有機シリカを「第一のFe含有メソポーラス有機シリカ」ともいう)、通常のメソポーラスシリカの細孔内表面(細孔壁)に結合していてもよい(以下、このFe含有メソポーラス有機シリカを「第二のFe含有メソポーラス有機シリカ」ともいう)。
本発明の固体触媒は、前記式(1)で示されるように、ビピリジン基を含有しており、このビピリジン基がFe原子に配位することによってFe錯体が形成され、このFe錯体が活性サイトとなって触媒作用を示す。なお、本発明の固体触媒においては、全てのビピリジン基が前記Fe原子に配位している必要はない。また、前記第一のFe含有メソポーラス有機シリカにおいては、前記式(2)で表される基は架橋点を有する基(以下、「架橋基」ともいう)であり、この架橋基中のシロキサン結合(Si−O結合)によってビピリジン基が三次元的に架橋されているため、本発明の固体触媒は、機械的作用や化学的作用に対して高い耐久性を示すものとなる。
前記式(1)において、Lは配位子を表し、nは1〜4の整数であり、nが2〜4の場合、Lは同一のものであっても異なるものであってもよい。このような配位子としては、前記Fe原子に配位するものであれば特に制限はないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシル基、アセトキシ基等の酸素系配位子、1,5−シクロオクタジエン、cis−シクロオクテン、テトラメチルシクロペンタジエン、シメン等の炭素系配位子、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィンといったトリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィンといったトリアリールホスフィン等のリン系配位子、シクロヘキシルジアミン、アルキルアミン等の窒素系配位子、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン系配位子、トリフラート、トシラート、メシラート等のスルホン酸系配位子が挙げられる。このような配位子のうち、触媒反応時に脱離しやすいという観点から、ハロゲン系配位子、スルホン酸系配位子が好ましく、スルホン酸系配位子がより好ましい。また、テトラヒドロフラン(THF)やアセトニトリル(CHCN)等の溶媒分子が配位していてもよい。
また、前記式(1)において、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、前記式(2)で表される架橋基である。本発明の固体触媒が前記第一のFe含有メソポーラス有機シリカからなるものである場合には、メソ細孔構造が形成されやすいという観点から、R〜Rのうちの少なくとも1つの基及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記架橋基であることが好ましく、R及びRがそれぞれ独立に前記架橋基であることがより好ましい。また、本発明の固体触媒が前記第二のFe含有メソポーラス有機シリカからなるものである場合には、その結合しやすさの観点から、R〜Rのうちの1つの基が前記架橋基であることが好ましく、R及びRのうちの一方の基が前記架橋基であることがより好ましい。
前記式(2)中のYは、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜6)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜6)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜12)、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合である。
前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、前記アルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられ、前記アルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基等が挙げられ、前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン基等の単環の芳香族環、ナフチレン基、フルオレニレン基等の芳香族縮合環が挙げられる。
このような2価又は3価の有機基及び単結合のうち、固体触媒の機械的強度及び化学的安定性が向上するという観点から、アルキレン基及び単結合が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基及び単結合がより好ましい。
前記式(2)中のRは、炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、前記アリル基はメチル基等の置換基を有していてもよい。また、前記式(2)中のRは水素原子又はシリル基を表し、前記シリル基としては、トリメチルシリル基等のアルキルシリル基が挙げられ、Rとしては、触媒活性サイト付近の嵩高さを減少させるという観点から、水素原子がより好ましい。
また、前記式(2)中の*は、隣接する構造との結合部位である。前記隣接する構造としては、本発明の固体触媒が前記第一のFe含有メソポーラス有機シリカからなるものである場合には、前記Fe含有メソポーラス有機シリカ中の前記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位や後述する有機シラン化合物から誘導される繰り返し単位等が挙げられ、本発明の固体触媒が前記第二のFe含有メソポーラス有機シリカからなるものである場合には、前記メソポーラスシリカの表面構造が挙げられ、前記結合部位は前記メソポーラスシリカの表面のケイ素原子と結合していることが好ましい。
前記式(2)中のkは1又は2であり、iは1〜3の整数(好ましくは2〜3の整数)であり、jは0〜2の整数(好ましくは0〜1の整数)であり、1≦i+j≦3(好ましくは2≦i+j≦3)である。なお、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記架橋基においてそれぞれ独立であり、本発明の固体触媒中の全ての前記架橋基において同じである必要はない。
前記式(1)において、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基(好ましくは炭素数1〜12)、アリール基(好ましくは炭素数6〜12)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12)、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、前記アリール基としては、例えば、フェニル基等の単環の芳香族環、ナフチル基、フルオレニル基等の芳香族縮合環が挙げられ、前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
このような1価又は2価の有機基のうち、固体触媒の機械的強度及び化学的安定性が向上するという観点から、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基、フェノキシ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
前記式(1)で表される構造を備えるFe含有メソポーラス有機シリカにおいて、Fe含有メソポーラス有機シリカ1gあたりのFe含有量としては、前記第一のFe含有メソポーラス有機シリカについては、0.01mmol−Fe/g以上であれば特に制限はないが、触媒活性と鉄の有効活用という観点から、0.01〜3.5mmol−Fe/gが好ましく、0.015〜3.0mmol−Fe/gがより好ましく、0.02〜2.5mmol−Fe/gがさらに好ましく、0.025〜2.0mmol−Fe/gが特に好ましく、0.03〜1.5mmol−Fe/gが最も好ましい。また、前記第二のFe含有メソポーラス有機シリカについても、0.01mmol−Fe/g以上であれば特に制限はないが、触媒活性と鉄の有効活用という観点から、0.01〜3.5mmol−Fe/gが好ましく、0.015〜3.0mmol−Fe/gがより好ましく、0.02〜2.5mmol−Fe/gがさらに好ましく、0.025〜2.0mmol−Fe/gが特に好ましい。
また、前記式(1)で表される構造を備えるFe含有メソポーラス有機シリカにおいては、前記式(1)で表される構造以外の構造(以下、「その他の構造」という)を含んでいてもよい。このようなその他の構造としては、後述する有機シラン化合物(好ましくはアルコキシシラン)から誘導される構造が挙げられ、下記式(3):
で表される構造が好ましい。
前記式(3)において、Rは、2〜4価の有機基であり、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜12)等が挙げられる。Rはそれぞれ独立に炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、前記アリル基はメチル基等の置換基を有していてもよい。Rはそれぞれ独立に水素原子又はシリル基を表し、前記シリル基としては、トリメチルシリル基等のアルキルシリルが挙げられ、Rとしては、触媒活性サイト付近の嵩高さを減少させるという観点から、水素原子がより好ましい。
また、前記式(3)中の*は、隣接する構造との結合部位である。前記隣接する構造としては、前記Fe含有メソポーラス有機シリカ中の前記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位や後述する有機シラン化合物から誘導される繰り返し単位、メソポーラスシリカの表面構造(好ましくは、メソポーラスシリカの表面のケイ素原子)等が挙げられる。
前記式(3)中のrはそれぞれ独立に1又は2であり、pはそれぞれ独立に1〜3の整数(好ましくは2〜3の整数)であり、qはそれぞれ独立に0〜2の整数(好ましくは0〜1の整数)であり、1≦p+q≦3(好ましくは2≦p+q≦3)である。なお、pとqとの組み合わせは、複数存在する前記式(3)で表される構造においてそれぞれ独立であり、本発明の固体触媒中の全ての前記式(3)で表される構造において同じである必要はない。
前記式(1)で表される構造を備えるFe含有メソポーラス有機シリカにおいて、このようなその他の構造の割合としては、前記式(1)で表される構造との合計量に対して、99.5mol%以下であれば特に制限はないが、触媒活性が向上するという観点から、0〜90mol%が好ましく、0〜70mol%がより好ましく、0〜50mol%がさらに好ましく、0〜30mol%が特に好ましい。
本発明にかかるFe含有メソポーラス有機シリカはメソ細孔を有する構造(メソ細孔構造)を有する。このようなメソ細孔構造における細孔径(中心細孔直径)としては、1〜50nmが好ましく、2〜30nmがより好ましい。また、細孔容量としては、0.1cm/g以上が好ましく、0.3cm/g以上がより好ましい。中心細孔直径及び細孔容量が前記下限未満になると、触媒反応における反応基質がメソ細孔内に十分に拡散せず、触媒反応が十分に進行しない傾向にある。さらに、前記Fe含有メソポーラス有機シリカにおいて、BET比表面積としては、100cm/g以上が好ましく、300cm/g以上がより好ましい。BET比表面積が前記下限未満になると、十分な触媒活性が得られない傾向にある。
なお、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径であり、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、試料を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法或いは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
また、本発明にかかるFe含有メソポーラス有機シリカのX線回折パターンには、1〜50nmのd値に相当する回折角度に1本以上の回折ピークが存在していることが好ましい。X線回折ピークは、そのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中に存在することを意味する。従って、1〜50nmのd値に相当する回折角度に1本以上の回折ピークがあることは、細孔が1〜50nmの間隔で規則的に配列している、規則的なメソ細孔構造を備えていることを意味する。このような規則的なメソ細孔構造を備えるFe含有メソポーラス有機シリカは、前記Fe錯体が安定に固定化されており、触媒活性に優れている。
このような本発明の固体触媒は、例えば、下記式(1a):
〔前記式(1a)中、R〜Rは前記式(1)中のR〜Rと同一の基である。〕
で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカとFe原子含有化合物とを混合することによって製造することができる。これにより、前記式(1a)中の窒素原子が前記Fe原子含有化合物中のFe原子に配位し、前記式(1)で表されるFe含有メソポーラス有機シリカが得られる。このような混合は、触媒反応を行う前に、触媒反応系とは異なる系で行なってもよいし、触媒反応系において行なってもよい。
前記Fe原子含有化合物としては特に制限はないが、例えば、下記式(4):
(前記式(4)中、L及びLは配位子を表し、前記式(1)中の配位子Lに対応するものであり、同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるFe(II)化合物、及び下記式(5):
(前記式(5)中、L〜Lは配位子を表し、前記式(1)中の配位子Lに対応するものであり、同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるFe(III)化合物が好ましい。また、前記Fe(II)化合物及び前記Fe(III)化合物においては、配位子L〜L以外に、結晶水等がFe原子に付加していてもよい。
前記Fe(II)化合物の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸鉄(II)、テトラフルオロホウ酸鉄(II)等が挙げられる。また、前記Fe(III)化合物の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)六水和物等が挙げられる。
前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいて、前記式(1a)で表される構造は、前記メソポーラス有機シリカの細孔内表面(細孔壁)に配置されていれば、外表面に配置されていてもよく、また、前記メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていてもよいし(以下、このメソポーラス有機シリカを「第一のメソポーラス有機シリカ」ともいう)、通常のメソポーラスシリカの細孔内表面(細孔壁)に結合していてもよい(以下、このメソポーラス有機シリカを「第二のメソポーラス有機シリカ」ともいう)。
また、上述したように、前記式(1a)中のR〜Rは前記式(1)中のR〜Rと同一の基であるが、前記式(2)中の結合部位*に結合する隣接する構造として、前記第一のメソポーラス有機シリカにおいては、前記メソポーラス有機シリカ中の前記式(1a)で表される構造からなる繰り返し単位や後述する有機シラン化合物から誘導される繰り返し単位等が挙げられ、前記第二のメソポーラス有機シリカにおいては、前記メソポーラスシリカの表面構造が挙げられ、前記結合部位は前記メソポーラスシリカの表面のケイ素原子と結合していることが好ましい。
前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいて、メソポーラス有機シリカ1gあたりの前記式(1a)で表される構造の導入量としては、前記第一のメソポーラス有機シリカについては、0.01mmol/g以上であれば特に制限はないが、Fe錯体の形成のしやすさという観点から、0.05mmol/g以上が好ましく、0.10mmol/g以上がより好ましく、0.15mmol/g以上がさらに好ましく、0.20mmol/g以上が特に好ましい。また、前記第二のメソポーラス有機シリカについても、0.01mmol/g以上であれば特に制限はないが、Fe錯体の形成のしやすさという観点から、0.05mmol/g以上が好ましく、0.075mmol/g以上がより好ましく、0.10mmol/g以上がさらに好ましく、0.20mmol/g以上が特に好ましい。なお、前記式(1a)で表される構造の導入量の上限としては特に制限はないが、前記第一のメソポーラス有機シリカ及び前記第二のメソポーラス有機シリカのいずれについても7mmol/g以下が好ましい。
また、前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいては、前記式(1a)で表される構造以外の構造(以下、「その他の構造」という)を含んでいてもよい。このようなその他の構造としては、後述する有機シラン化合物(好ましくはアルコキシシラン)から誘導される構造が挙げられ、前記式(3)で表される構造が好ましい。
前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいて、このようなその他の構造の割合としては、前記式(1a)で表される構造との合計量に対して、99.5mol%以下であれば特に制限はないが、触媒活性が向上するという観点から、0〜90mol%が好ましく、0〜70mol%がより好ましく、0〜50mol%がさらに好ましく、0〜30mol%が特に好ましい。
前記第一のメソポーラス有機シリカは、例えば、以下のように、下記式(1b):
〔前記式(1b)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2a):
(前記式(2a)中、Y及びRは前記式(1)中のY及びRと同一の基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、kは前記式(2)中のkと同一であり、sは0〜3の整数である。)
で表される基であり、加水分解・縮重合によって前記式(2)で表される基となるものであり、前記式(1b)中のR〜Rのうちの残りの基は前記式(1)及び前記式(1a)中の前記式(2)で表される架橋基以外の基と同一の基である。〕
で表される構造を備える有機シラン化合物(以下、「ビピリジン基含有有機シラン化合物」という)を、加水分解・縮重合させることによって製造することができる。
また、前記第二のメソポーラス有機シリカは、通常のメソポーラスシリカ(ビピリジン基以外の有機基を含有するメソポーラス有機シリカを含む)の外表面及び細孔内表面(細孔壁)のシラノール基に前記ビピリジン基含有有機シラン化合物を加水分解・縮合させることによって製造することができる。
前記式(2a)中のRとしては、ビピリジン基含有有機シラン化合物が加水分解・縮(重)合しやすいという観点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。また、Rがアリル基の場合、アリル基が加水分解により脱離するため、前記式(2a)中の(3−s)の値と前記式(2)中の(3−i−j)の値は必ずしも一致しない。
このようなビピリジン基含有有機シラン化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、このようなビピリジン基含有有機シラン化合物のうち、前記第一のメソポーラス有機シリカを製造する場合においては、前記式(2a)で表される置換基が導入されやすく、得られる第一のメソポーラス有機シリカにメソ細孔構造が形成されやすいという観点から、前記式(1b)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基(より好ましくはR)及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基(より好ましくはR)がそれぞれ独立に前記式(2a)で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基が水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基及びフェノキシ基のうちのいずれか(より好ましくは水素原子)であり、前記式(2a)中のYがアルキレン基及び単結合のうちのいずれか(より好ましくは単結合)であるビピリジン基含有有機シラン化合物が好ましい。また、得られる第一のメソポーラス有機シリカの架橋度を高め、構造を安定化できるという観点から、前記式(2a)中のsは2又は3が好ましく、3が特に好ましい。
一方、前記第二のメソポーラス有機シリカを製造する場合においては、前記式(2a)で表される置換基が導入されやすく、メソポーラスシリカと前記ビピリジン基含有有機シラン化合物とが結合しやすいという観点から、前記式(1b)中のR〜Rのうちの1つの基(より好ましくはR及びRのうちの一方の基)が前記式(2a)で表される基であり、前記式(2a)中のYがアルキレン基及び単結合のうちのいずれか(より好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基)であるビピリジン基含有有機シラン化合物が好ましい。また、メソポーラスシリカと前記ビピリジン基含有有機シラン化合物との結合強度を高めるという観点から、前記式(2a)中のsは2又は3が好ましく、3が特に好ましい。
前記第一のメソポーラス有機シリカを製造する場合においては、得られる第一のメソポーラス有機シリカ1gあたりの前記式(1a)で表される構造の導入量が上述した範囲内の量となるように、前記ビピリジン基含有有機シラン化合物に、必要に応じて、該ビピリジン基含有有機シラン化合物以外の有機シラン化合物(以下、「その他の有機シラン化合物」という)を混合してもよい。
また、前記第二のメソポーラス有機シリカを製造する場合においては、得られる第二のメソポーラス有機シリカ1gあたりの前記式(1a)で表される構造の導入量が上述した範囲内の量となるように、前記ビピリジン基含有有機シラン化合物とメソポーラスシリカと、必要に応じて、その他の有機シラン化合物とを混合してもよい。
このようなその他の有機シラン化合物としては、ジメトキシシラン、ジエトキシシランといったジアルコキシシラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシランといったトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランといったテトラアルコキシシラン;1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エチレン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)アセチレン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニルといった有機基架橋型アルコキシシラン等の公知のアルコキシシラン化合物が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
このようなその他の有機シラン化合物のうち、下記式(3a):
で表される有機基架橋型アルコキシシランが好ましい。
前記式(3a)において、R及びRは前記式(3)のR及びRと同一の基である。Rはそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。rは前記式(3)のrと同一であり、tはそれぞれ独立に0〜3の整数(好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2〜3の整数)である。また、Rがアリル基の場合、アリル基が加水分解により脱離するため、前記式(3a)中の(3−t)の値と前記式(3)中の(3−p−q)の値は必ずしも一致しない。
原料である全有機シラン化合物中の前記その他の有機シラン化合物の割合としては、99.5mol%以下であれば特に制限はないが、得られるメソポーラス有機シリカにおいて前記Fe原子に配位するビピリジン基の量が増加し、触媒活性が向上するという観点から、0〜90mol%が好ましく、0〜70mol%がより好ましく、0〜50mol%がさらに好ましく、0〜30mol%が特に好ましい。
前記加水分解・縮(重)合の条件としては特に制限はないが、溶媒中、酸又は塩基触媒の存在下で前記有機シラン化合物を加水分解及び縮(重)合させることが好ましい。このとき用いられる溶媒としてはアルコール、テトラヒドロフラン、アセトンの有機溶媒、水、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。溶液中の前記有機シラン化合物の濃度としては特に制限はないが、0.05〜5質量%が好ましい。
また、前記酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸といった鉱酸等が挙げられ、酸触媒を使用する場合の溶液は、pHが6以下(より好ましくは2〜5)の酸性であることが好ましい。さらに、前記塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等が挙げられ、塩基触媒を使用する場合の溶液は、pHが8以上(より好ましくは9〜11)の塩基性であることが好ましい。
前記加水分解・縮(重)合における諸条件(温度、時間等)は特に制限されず、用いる有機シラン化合物や目的とするメソポーラス有機シリカ等に応じて適宜選択されるが、一般的には0〜150℃程度の温度で30分間〜72時間程度の時間で前記有機シラン化合物を加水分解及び縮重合させることができる。
また、前記第一のメソポーラス有機シリカを製造する場合、原料である有機シラン化合物に加えて、界面活性剤を混合する。これにより、得られる有機シリカにメソ細孔を形成することが可能となる。すなわち、界面活性剤のミセル又は液晶構造が鋳型となり、メソ細孔を有する有機シリカが形成される。
このような界面活性剤としては特に制限はなく、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリエチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等の塩化物、臭化物、ヨウ化物或いは水酸化物;脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。これらの界面活性剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、一般式C2n+1(OCHCHOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。また、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、或いはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物もポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤として用いることができる。
さらに、ポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤として、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)(PO)(EO)で表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。前記トリブロックコポリマーとしては、(EO)19(PO)29(EO)19、(EO)13(PO)70(EO)13、(EO)(PO)70(EO)、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。これらのトリブロックコポリマーはBASF社、アルドリッチ社等から入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーもポリエチレンオキサイド系ノニオン性界面活性剤として使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)(PO)NCHCHN((PO)(EO)で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
このような界面活性剤のうち、規則的なメソ細孔を有するメソポーラス有機シリカが得られるという観点から、アルキルトリメチルアンモニウム[C2p+1N(CH]の塩(好ましくはハロゲン化物塩)を用いることが好ましい。また、その場合は、アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル基の炭素数は8〜22であることがより好ましい。このようなものとしては、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
前記第一のメソポーラス有機シリカは、このような界面活性剤を含有する溶液中において、前記有機シラン化合物を加水分解及び縮重合させることにより、前記界面活性剤を含有する有機シリカメソ構造体を形成させた後、この有機シリカメソ構造体から前記界面活性剤を除去することによって製造することができる。
前記溶液中の界面活性剤の濃度としては0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。前記界面活性剤の濃度が前記下限未満になると細孔の形成が不完全となりやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶液中に残留する界面活性剤の量が増大して細孔の均一性が低下しやすい傾向にある。また、前記有機シリカメソ構造体中の界面活性剤の含有量としては、20〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が前記下限未満になるとメソ細孔構造の秩序が低下しやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、メソ細孔の均一性が低下しやすい傾向にある。
界面活性剤を除去する方法としては、例えば、(i)界面活性剤に対する溶解度が高い有機溶媒(例えば、エタノール)中に、前記有機シリカメソ構造体を浸漬して前記界面活性剤を除去する方法、(ii)前記有機シリカメソ構造体を250〜550℃で焼成して前記界面活性剤を除去する方法、(iii)前記有機シリカメソ構造体を酸性溶液(例えば、希塩酸)に浸漬して加熱し、前記界面活性剤を水素イオンに交換せしめるイオン交換法、(iv)前記有機シリカメソ構造体を、加熱した酸性蒸気(例えば、塩酸蒸気)に曝露した後、有機溶媒(例えば、エタノール)に浸漬して前記界面活性剤を有機溶媒中に溶出させる方法等が挙げられる。これらの方法における処理条件は、使用する界面活性剤、有機溶媒、酸性蒸気の種類等により適宜設定することができる。
前記有機シラン化合物の加水分解・縮(重)合反応においては、通常、前記式(2a)中及び前記式(3a)中のシリル基が加水分解されてシラノール基(Si−OH)が生成し、その後の縮(重)合反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。このとき、シラノール基の一部がシロキサン結合にまで変換されず、そのまま残存している場合がある。
<エポキシ環の開環反応>
次に、本発明の固体触媒を用いたエポキシ環の開環反応について説明する。本発明の固体触媒は、エポキシ環の開環反応のルイス酸触媒として有用である。このようなエポキシ環の開環反応の反応条件としては特に制限はなく、従来のエポキシ環の開環反応の反応条件をそのまま採用することができる。
エポキシ化合物としては特に制限はなく、例えば、スチレンオキシド、スチルベンオキシド等のエポキシ環含有芳香族化合物、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド等のエポキシ環含有脂肪族化合物などが挙げられる。
また、前記エポキシ化合物と反応させる化合物としては特に制限はなく、例えば、アニリン、ニトロアニリン、シアノアニリン、トルイジン等のアミノ基含有芳香族化合物などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
<ビピリジン基含有メソポーラス有機シリカの合成>
オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl,3.78g,10.8mmol)、蒸留水(202ml)及び6N水酸化ナトリウム水溶液(0.590ml,3.54mmol)を混合して50℃に加熱し、得られた混合物に、激しく撹拌しながら、5,5’−ビス(トリイソプロポキシシリル)−2,2’−ビピリジン(Si−BPy−Si,4.59g,8.12mmol)のエタノール溶液(9.17ml)を90分間かけて滴下した。得られた溶液を50℃で加熱しながら3日間激しく撹拌し、さらに50℃で加熱しながら3日間静置して、下記反応式(I):
で表される反応を行なった。生成した沈殿物を加圧ろ過により回収し、鋳型界面活性剤(C18TMACl)を含むビピリジン基含有有機シリカメソ構造体を得た。この有機シリカメソ構造体を酸性エタノール(エタノール346mlと2M塩酸10.2mlの混合溶液)に添加し、一晩懸濁させて前記鋳型界面活性剤を除去し、薄黄色〜灰色の固体であるビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO)を得た(収量1.65g)。
(合成例2)
<Fe含有メソポーラス有機シリカの合成>
乾燥したフラスコに、無水トリフルオロメタンスルホン酸鉄(II)(Fe(OTf),52.8mg,85質量%,0.127mmol)を量り取り、ガス置換操作によりアルゴン雰囲気に調整した後、無水アセトニトリル(10ml)を加えた。得られた懸濁液を40〜50℃に加熱した後、2分間の超音波処理を行い、Fe(OTf)をアセトニトリルに溶解させた。この溶液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターを通して不溶成分を除去した後、Fe(OTf)のアセトニトリル溶液をシュレンク管に移した。このFe(OTf)のアセトニトリル溶液に、合成例1で得られたビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO,100mg,3.18mmol−BPy/g)を一度に加えた。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で18時間撹拌し、下記反応式(II):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液に遠心分離(5000rpm,3分間)を施し、得られた上澄み液を除去した後、沈殿物をアセトニトリル(10ml)に分散させた。この操作を合計3回繰り返した。得られた懸濁液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、得られた残渣をアセトニトリル(10ml×3回)で洗浄した。得られた固体を減圧下、室温で乾燥し、Fe原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Fe(OTf)−BPy−PMO)を得た(収量92.5mg)。
このFe含有メソポーラス有機シリカ(Fe(OTf)−BPy−PMO)のX線回折パターンを粉末X線回折装置((株)リガク製「Ultima IV」)を用いて測定したところ、図1に示すように、2θ=1.86°(d=4.75nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察された。また、前記Fe(OTf)−BPy−PMOのUV/Vis吸収スペクトルを紫外可視分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定したところ、図2に示すように、Fe原子とビピリジン基が錯配位していることを示す、480nmを極大波長とする吸収ピークが観察された。この吸収ピークは、図2に示すように、対応する均一系触媒である、Fe(OTf)とビス(トリイソプロピルフェニル)ビピリジンとの1:1の錯体(Fe(OTf)TriIsoPhBPy)においても観察されるものであり、前記Fe(OTf)−BPy−PMOにおいても、Fe原子とビピリジン基との1:1の錯配位構造が形成されていることがわかった。さらに、前記Fe(OTf)−BPy−PMOの窒素吸脱着等温線を、自動比表面積/細孔分布測定装置(カンタクローム社製「Autosorb−1 system」)を用い、液体窒素温度(−196℃)条件で定容量式ガス吸着法により求めたところ、図3に示すように、IV型であった。従って、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、前記Fe(OTf)−BPy−PMOは規則的なメソ細孔を有するものであることが確認された。また、このFe(OTf)−BPy−PMOの中心細孔直径をBJH法により算出したところ、2.7nmであり、比表面積をBET法により算出したところ、650m/gであり、全細孔容量をt−プロット検定により算出したところ、0.65cm/gであった。さらに、Fe原子の導入量を蛍光X線分析により求めたところ、0.20mmol−Fe/gであった。
(合成例3)
<ビピリジン基とビフェニル基とを含有するメソポーラス有機シリカの合成>
5,5’−ビス(トリイソプロポキシシリル)−2,2’−ビピリジンのエタノール溶液の代わりに、5,5’−ビス(トリイソプロポキシシリル)−2,2’−ビピリジン(Si−BPy−Si,126mg,0.223mmol)と4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル(Si−BP−Si,960mg,2.00mmol)とを含有するエタノール溶液(1.98ml)を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記式:
で表される、ビピリジン基とビフェニル基とを含有するメソポーラス有機シリカ(BPy−BP−PMO,0.25mmol−BPy/g)を得た。
(合成例4)
<Fe含有メソポーラス有機シリカの合成>
合成例1で得られたビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO)の代わりに、合成例3で得られたビピリジン基とビフェニル基とを含有するメソポーラス有機シリカ(BPy−BP−PMO,100mg,0.25mmol−BPy/g)を用いた以外は、合成例2と同様にして、下記式:
で表される、Fe原子に配位したビピリジン基とビフェニル基とを含有するメソポーラス有機シリカ(Fe(OTf)−BPy−BP−PMO,0.079mmol−Fe/g)を得た。
(合成例5)
<Ru含有メソポーラス有機シリカの合成>
アルゴン雰囲気下、還流管と撹拌子をセットした200mlの三口フラスコに、合成例1で得られたビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO,300mg)とcis−ビス(2,2’−ビピリジルジクロロルテニウム(II)二水和物(300mg)を量り取った後、脱水エタノール(60ml)を加え、90℃で24時間撹拌した。得られた沈殿物をろ過により回収し、ろ液の着色が確認されなくなるまでジクロロメタンで洗浄した。洗浄後の沈殿物を真空下、室温で乾燥し、下記式:
で表される、橙色であるRu(II)原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Ru(bpy)−BPy−PMO,0.20mmol−Ru/g(2質量%Ru))を得た(収量319.9mg)。
(合成例6)
<Fe含有ポリスチレンポリマーの合成>
合成例1で得られたビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO)の代わりに、下記式:
で表される、ビピリジンを固定化したスチレンポリマー(BPy−PS,σアルドリッチ社製「Bipyridine,polymer−bound」,100mg,0.15mmol−BPy/g)を用いた以外は、合成例2と同様にして、下記式:
で表される、Fe原子に配位したビピリジン基を含有するポリスチレンポリマー(Fe(OTf)−BPy−PS,0.042mmol−Fe/g)を得た。
(実施例1)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、固体触媒として合成例2で得られたFe(OTf)−BPy−PMO(20mg,4mol%−Fe,0.20mmol−Fe/g)を量り取り、これにスチレンオキシド/アニリン/n−ウンデカンを1/2/1(モル比)で含有する0.2Mのジクロロメタン溶液(499μl)を加えた。この混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(III):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液にジクロロメタンを加え、1分間の超音波処理を施した後、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施し、固体触媒を沈殿させた。上澄み液を回収した後、固体触媒をジクロロメタン(0.5ml)に懸濁させ、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施した。集めた上澄み液についてガスクロマトカラム分析を行い、内部標準物質(n−ウンデカン)を基準として、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、89%であった。また、Fe基準の触媒回転数TONは22.3であった。
(実施例2)
実施例1の反応終了後、上澄み液を回収した後の沈殿物を真空下で乾燥し、得られた固体成分を固体触媒として用いて、前記式(III)で表される反応を実施例1と同一の条件で実施した。その結果、目的とする前記反応生成物の反応収率は87%であり、前記Fe(OTf)−BPy−PMOは固体触媒として再利用できることが確認された。
(実施例3)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、固体触媒として合成例2で得られたFe(OTf)−BPy−PMO(10mg,4mol%−Fe,0.20mmol−Fe/g)を量り取り、これにアニリン/cis−スチルベンオキシド/trans−スチルベンオキシド/n−ウンデカンを1/1/1/1(モル比)で含有する0.2Mのジクロロメタン溶液(250μl)を加えた。この混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(IV):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液にジクロロメタンを加え、1分間の超音波処理を施した後、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施し、固体触媒を沈殿させた。上澄み液を回収した後、固体触媒をジクロロメタン(0.5ml)に懸濁させ、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施した。この操作を4回繰り返し、集めた有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物に4−安息香酸メチルを標準物質として加え、H−NMRスペクトル測定により、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、82%であった。また、前記反応生成物のtrans/cis生成比は83/17であった。さらに、Fe基準の触媒回転数TONは20.5であった。
(実施例4)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、固体触媒として合成例4で得られたFe(OTf)−BPy−BP−PMO(25.7mg,4mol%−Fe,0.079mmol−Fe/g)を量り取り、これにスチレンオキシド/アニリン/n−ウンデカンを1/2/1(モル比)で含有する0.2Mのジクロロメタン溶液(253μl)を加えた。この混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(V):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液にジクロロメタンを加え、1分間の超音波処理を施した後、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施し、固体触媒を沈殿させた。上澄み液を回収した後、固体触媒をジクロロメタン(0.5ml)に懸濁させ、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施した。集めた上澄み液についてガスクロマトカラム分析を行い、内部標準物質(n−ウンデカン)を基準として、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、59%であった。また、Fe基準の触媒回転数TONは14.8であった。
(実施例5)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、固体触媒として合成例4で得られたFe(OTf)−BPy−BP−PMO(25.0mg,4mol%−Fe,0.079mmol−Fe/g)を量り取り、これにアニリン/cis−スチルベンオキシド/trans−スチルベンオキシド/n−ウンデカンを1/1/1/1(モル比)で含有する0.2Mのジクロロメタン溶液(248μl)を加えた。この混合物を400rpmの回転速度で20時間撹拌して、下記反応式(VI):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液にジクロロメタンを加え、1分間の超音波処理を施した後、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施し、固体触媒を沈殿させた。上澄み液を回収した後、固体触媒をジクロロメタン(0.5ml)に懸濁させ、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施した。集めた上澄み液を濃縮し、得られた粗生成物に4−安息香酸メチルを標準物質として加え、H−NMRスペクトル測定により、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、51%であった。また、Fe基準の触媒回転数TONは12.8であった。
(比較例1)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、スチレンオキシド(33.9mg,0.282mmol)、アニリン(32.6mg,0.338mmol)、内部標準物質としてn−ウンデカン(52.8mg,0.338mmol)を量り取り、これに脱水ジクロロメタン(0.4mL)を加えて溶解させた。この溶液に均一系触媒としてFe(OTf)(10mg,0.0282mmol,5mol%−Fe)を加え、得られた混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(VII):
で表される反応を行なった。得られた反応混合物をシリカゲルカラムに通した後、ジクロロメタンで洗浄した。得られた溶液についてガスクロマトカラム分析を行い、内部標準物質(n−ウンデカン)を基準として、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、反応自体が進行していないことが確認された。
(比較例2)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、スチレンオキシド(154mg,1.28mmol)、アニリン(59.7mg,0.641mmol)、内部標準物質としてn−ウンデカン(100.2mg,0.641mmol)を量り取り、これにFe(OTf)(5mg,0.0141mmol,2.2mol%−Fe)とビス(トリイソプロピルフェニル)ビピリジン(TriIsoPhBPy,7.9mg,0.0141mmol,2.2mol%)とを含有する脱水ジクロロメタン(3.2ml)溶液を加えて溶解させた。得られた混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(VIII):
で表される反応を行なった。なお、前記式中、Fe(OTf)(TriIsoPhBPy)は、下記式:
で表される、Fe(OTf)とビス(トリイソプロピルフェニル)ビピリジンとの錯体(均一系触媒)である。得られた反応混合物をシリカゲルカラムに通した後、ジクロロメタンで洗浄した。得られた溶液についてガスクロマトカラム分析を行い,内部標準物質(n−ウンデカン)を基準として、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、5%以下であった。また、Fe基準の触媒回転数TONは2.3であった。
(比較例3)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、スチレンオキシド(97.3mg,0.81mmol)、アニリン(37.7mg,0.405mmol)、内部標準物質としてn−ウンデカン(63.3mg,0.405mmol)を量り取り、これに脱水ジクロロメタン(2.0ml)を加えて溶解させた。この溶液に、均一系触媒として下記式:
で表される、塩化鉄(II)とビス(トリイソプロピルフェニル)ビピリジンとの錯体(FeCl(TriIsoPhBPy),6mg,8.88μmol,2.2mol%−Fe)を加え、得られた混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(IX):
で表される反応を行なった。得られた反応混合物をシリカゲルカラムに通した後、ジクロロメタンで洗浄した。得られた溶液についてガスクロマトカラム分析を行い,内部標準物質(n−ウンデカン)を基準にして、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、19%であった。また、Fe基準の触媒回転数TONは8.6であった。
(比較例4)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、スチレンオキシド(16.9mg,0.141mmol)、アニリン(15.8mg,0.169mmol)、内部標準物質としてn−ウンデカン(22.0mg,0.141mmol)を量り取り、これにFe(OTf)
5mg,0.0141mmol,10mol%−Fe)と2,2’−ビピリジン(6.5mg,0.0423mmol,30mol%)とを含有する脱水ジクロロメタン(0.3ml)溶液を加えて溶解させた。得られた混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(X):
で表される反応を行なった。なお、前記式中、Fe(bpy)(OTf)は、下記式:
で表される、Fe(OTf)と2,2’−ビピリジンとの錯体(均一系触媒)である。得られた反応混合物をシリカゲルカラムに通した後、ジクロロメタンで洗浄した。得られた溶液についてガスクロマトカラム分析を行い,内部標準物質(n−ウンデカン)を基準にして、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、5%以下であった。また、Fe基準の触媒回転数TONは0.5であった。
(比較例5)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、固体触媒として合成例5で得られたRu(bpy)−BPy−PMO(10mg,2.2mol%−Ru,0.28mmol−Ru/g)を量り取り、これにスチレンオキシド/アニリン/n−ウンデカンを1/2/1(モル比)で含有する0.2Mのジクロロメタン溶液(635μl)を加えた。この混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(XI):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液にジクロロメタンを加え、1分間の超音波処理を施した後、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施し、固体触媒を沈殿させた。上澄み液を回収した後、固体触媒をジクロロメタン(0.5ml)に懸濁させ、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施した。集めた上澄み液についてガスクロマトカラム分析を行い、内部標準物質(n−ウンデカン)を基準として、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、5%以下であった。また、Ru基準の触媒回転数TONは2.3であった。
(比較例6)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、固体触媒として合成例6で得られたFe(OTf)−BPy−PS(10.0mg,4mol%−Fe,0.042mmol−Fe/g)を量り取り、これにスチレンオキシド/アニリン/n−ウンデカンを1/2/1(モル比)で含有する0.2Mのジクロロメタン溶液(53μl)を加えた。この混合物を400rpmの回転速度で4時間撹拌して、下記反応式(XII):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液にジクロロメタンを加え、1分間の超音波処理を施した後、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施し、固体触媒を沈殿させた。上澄み液を回収した後、固体触媒をジクロロメタン(0.5ml)に懸濁させ、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施した。集めた上澄み液についてガスクロマトカラム分析を行い、内部標準物質(n−ウンデカン)を基準として、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、9%であった。また、Fe基準の触媒回転数TONは2.3であった。
(比較例7)
撹拌子をセットしたバイヤル瓶に、固体触媒として合成例6で得られたFe(OTf)−BPy−PS(10.0mg,4mol%−Fe,0.042mmol−Fe/g)を量り取り、これにアニリン/cis−スチルベンオキシド/trans−スチルベンオキシド/n−ウンデカンを1/1/1/1(モル比)で含有する0.2Mのジクロロメタン溶液(248μl)を加えた。この混合物を400rpmの回転速度で20時間撹拌して、下記反応式(XIII):
で表される反応を行なった。得られた懸濁液にジクロロメタンを加え、1分間の超音波処理を施した後、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施し、固体触媒を沈殿させた。上澄み液を回収した後、固体触媒をジクロロメタン(0.5ml)に懸濁させ、得られた懸濁液に遠心分離(4000rpm,5分間)を施した。集めた上澄み液を濃縮し、得られた粗生成物に4−安息香酸メチルを標準物質として加え、H−NMRスペクトル測定により、目的とする前記反応生成物の反応収率を求めたところ、反応自体が進行していないことが確認された。
(比較例8)
Fe(OTf)−BPy−BP−PMOの代わりに、比較例1〜4で使用した均一系触媒又は比較例5で使用したRu−BPy−PMOを用いて、前記反応式(XIII)で表される反応を行なったが、いずれの触媒を用いた場合も反応自体が進行していなかった。
図4に示した結果から明らかなように、本発明の固体触媒(実施例1及び4)の触媒回転数TONは、比較例1〜6で得られた触媒の触媒回転数TONに比べて著しく大きく、本発明の固体触媒は再利用性に優れていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、Fe原子を含有し、触媒活性に優れた固体触媒を得ることが可能となる。また、本発明の固体触媒は、ルイス酸触媒反応等において優れた触媒活性を示すため、エポキシ環の開環反応等における固体触媒として有用である。

Claims (5)

  1. 下記式(1):
    〔前記式(1)中、Lは配位子を表し、nは1〜4の整数であり、nが2〜4の場合、Lは同一であっても異なっていてもよく、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2):
    (前記式(2)中、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、Rは水素原子又はシリル基を表し、kは1又は2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する構造との結合部位である。)
    で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
    で表される構造を備えるFe含有メソポーラス有機シリカからなることを特徴とするエポキシ環の開環反応用固体触媒。
  2. 前記式(1)で表される構造が前記Fe含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ環の開環反応用固体触媒。
  3. 前記式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記式(2)で表される基であることを特徴とする請求項2に記載のエポキシ環の開環反応用固体触媒。
  4. 前記式(1)で表される構造がメソポーラスシリカの表面に結合していることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ環の開環反応用固体触媒。
  5. 前記式(1)中の隣接する構造との結合部位が前記メソポーラスシリカの表面のケイ素原子と結合していることを特徴とする請求項4に記載のエポキシ環の開環反応用固体触媒。
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