JP6880532B2 - 固体触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、メソポーラス有機シリカからなる固体触媒に関し、より詳しくは、ビピリジン基を備えるメソポーラス有機シリカからなる固体触媒に関する。
卑金属錯体は、オレフィンの酸化反応の触媒として利用できることが知られている。このような卑金属錯体を用いた均一系反応では、反応中に卑金属錯体同士が衝突しやすいため、触媒成分のダイマー化が起こりやすく、触媒性能が直ちに低下することも知られている。
そこで、このような触媒成分のダイマー化を抑制するために、卑金属錯体を触媒担体に固定化した、いわゆる固体触媒が提案されている。例えば、J.Mater.Chem.、2002年、第12巻、1735〜1742頁(非特許文献1)には、ビピリジン基をグラフトしたメソポーラスシリカ(MCM−41)にMoOClを固定化した固体触媒が記載されている。また、非特許文献1には、この固体触媒がシクロオクテンのエポキシ化反応に利用でき、反応中に溶出したMo成分が触媒活性種であることも記載されている。しかしながら、非特許文献1に記載の固体触媒においては、Mo成分が強固に固定化されていないため、反応中にMo成分が溶出しやすく、触媒性能が低下したり、また、反応生成物にMo成分が不純物として含まれるという問題があった。
また、J.Catal.、2014年、第316巻、201〜209頁(非特許文献2)には、ビピリジン基を有する有機金属構造体(MOF)にMoOClを固定化した固体触媒が記載されており、シクロオレフィンのエポキシ化反応に利用できることも記載されている。しかしながら、非特許文献2に記載の固体触媒は触媒性能が低く、特に、Mo成分の固定化量を増加させると、細孔直径が小さくなったり、細孔が閉塞したりするため、細孔内の反応基質の拡散性が低下し、触媒反応が効率的に進行しないという問題があった。
C.D.Nunesら、J.Mater.Chem.、2002年、第12巻、1735〜1742頁 K.Leusら、J.Catal.、2014年、第316巻、201〜209頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、Mo原子又はV原子を含有し、触媒性能に優れた固体触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ビピリジン基を備えるメソポーラス有機シリカとMo原子含有化合物又はV原子含有化合物とを混合して、ビピリジン基が前記Mo原子含有化合物中のMo原子又は前記V原子含有化合物中のV原子に配位したMo錯体又はV錯体を形成することによって、前記Mo原子含有化合物又は前記V原子含有化合物がメソポーラス有機シリカの外表面や細孔内表面に固定化されることを見出し、さらに、得られたMo又はV含有メソポーラス有機シリカが優れた触媒性能を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の固体触媒は、下記式(1):
Figure 0006880532
〔前記式(1)中、Mは、配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい、Mo又はVを表し、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2):
Figure 0006880532
(前記式(2)中、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、Rは水素原子又はシリル基を表し、kは1又は2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する構造との結合部位である。)
で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
で表わされる構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカからなることを特徴とするオレフィンのエポキシ化反応又はアルコールの酸化反応における酸化反応用固体触媒である。
本発明の固体触媒において、前記式(1)で表される構造が前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていることが好ましく、前記式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記式(2)で表される基であることがより好ましい。
また、本発明に固体触媒において、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカが、下記式(3):
Figure 0006880532
〔前記式(3)中、Mは、配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい、Mo及びV以外の他の金属原子を表し、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、前記式(2)で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
で表わされる構造を更に備えるものであることが好ましく、前記他の金属原子がCuであることがより好ましい。
なお、本発明の固体触媒が優れた触媒性能を有する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、ビピリジン基を有するメソポーラス有機シリカとMo原子含有化合物又はV原子含有化合物とを混合すると、ビピリジン基が前記Mo原子含有化合物中のMo原子又は前記V原子含有化合物中のV原子に強固に配位するため、Mo原子又はV原子(触媒成分)が安定化したMo錯体又はV錯体を含有するメソポーラス有機シリカ(本発明の固体触媒)が形成される。このとき、前記触媒成分は個々に孤立した状態で細孔壁に固定化されているため、反応中に触媒成分のダイマー化が起こりにくくなり、触媒性能の低下が抑制されると推察される。また、前記触媒成分は細孔壁に強固に固定化されているため、触媒担体との不要な相互作用が起こりにくく、触媒劣化が抑制されると推察される。さらに、メソポーラス有機シリカの細孔直径が大きいため、細孔壁に触媒成分を固定化しても、反応基質や反応生成物の拡散性が低下しにくく、細孔内の活性サイトへの反応基質の輸送や細孔外への反応生成物の輸送が効率的に行なわれ、高い触媒活性が発現すると推察される。
また、本発明の固体触媒において、Mo原子又はV原子(触媒成分)の固定化量を増大しても触媒性能が低下しない理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の固体触媒においては、多量の触媒成分を固定化した場合でも、個々に孤立した状態で細孔壁に固定化されているため、反応中に触媒成分のダイマー化が起こりにくくなり、触媒性能の低下が抑制されると推察される。また、触媒成分が細孔壁に強固に固定化されているため、触媒担体との不要な相互作用が起こりにくく、触媒劣化が抑制されると推察される。さらに、メソポーラス有機シリカの細孔直径が大きいため、細孔壁に多量の触媒成分を固定化しても、反応基質や反応生成物の拡散性が低下しにくく、細孔内の活性サイトへの反応基質の輸送や細孔外への反応生成物の輸送が効率的に行なわれ、高い触媒活性が発現すると推察される。
本発明によれば、Mo原子又はV原子を含有し、触媒性能に優れた固体触媒を得ることが可能となる。
調製例1で得られたビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ及び合成例1〜4で得られたMo含有メソポーラス有機シリカのX線回折パターンを示すグラフである。 調製例1で得られたビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ及び合成例1〜4で得られたMo含有メソポーラス有機シリカの窒素吸着等温線を示すグラフである。 合成例5で得られたMo及びCu含有メソポーラス有機シリカのX線回折パターンを示すグラフである。 合成例5で得られたMo及びCu含有メソポーラス有機シリカの窒素吸着等温線を示すグラフである。 合成例6で得られたV含有メソポーラス有機シリカのX線回折パターンを示すグラフである。 合成例6で得られたV含有メソポーラス有機シリカの窒素吸着等温線を示すグラフである。 比較合成例2で得られたMo含有メソポーラスシリカのX線回折パターンを示すグラフである。 比較合成例2で得られたMo含有メソポーラスシリカの窒素吸着等温線を示すグラフである。 合成例1〜4で得られたMo含有メソポーラス有機シリカ及び比較合成例1で得られた均一系Mo錯体のXANESスペクトルを示すグラフである。 合成例1〜4で得られたMo含有メソポーラス有機シリカ及び比較合成例1で得られた均一系Mo錯体の動径分布関数を示すグラフである。 実施例1及び比較例1〜2で用いた固体触媒のMo基準の触媒回転頻度(TOF)を示すグラフである。 実施例1〜4及び比較例1、3〜5で用いた固体触媒のMo固定化量とMo基準の触媒回転頻度(TOF)との関係を示すグラフである。 実施例5〜6」及び比較例6〜8で用いた固体触媒のMo基準の触媒回転数(TON)を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の固体触媒について説明する。本発明の固体触媒は、下記式(1):
Figure 0006880532
〔前記式(1)中、Mは、配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい、Mo又はVを表し、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2):
Figure 0006880532
(前記式(2)中、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、Rは水素原子又はシリル基を表し、kは1又は2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する構造との結合部位である。)
で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
で表わされる構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカからなるものである。
本発明の固体触媒において、前記式(1)で表される構造は、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカの細孔内表面(細孔壁)に配置されていれば、外表面に配置されていてもよく、また、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていてもよい。
本発明の固体触媒は、前記式(1)で示されるように、ビピリジン基を含有しており、このビピリジン基がMo原子又はV原子に配位することによってMo錯体又はV錯体が形成され、このMo錯体又はV錯体が活性サイトとなって触媒作用を示す。なお、本発明の固体触媒においては、全てのビピリジン基が前記Mo原子又は前記V原子に配位している必要はない。また、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカにおいては、前記式(2)で表される基は架橋点を有する基(以下、「架橋基」ともいう)であり、この架橋基中のシロキサン結合(Si−O結合)によってビピリジン基が三次元的に架橋されているため、本発明の固体触媒は、機械的作用や化学的作用に対して高い耐久性を示すものとなる。
前記式(1)において、MはMo又はVを表し、このMには配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい。Mに配位している配位子Lの数は1又は2以上であり、2以上の配位子Lが配位している場合、それらは同一のものであっても異なるものであってもよい。また、Mに結合している酸素原子の数は1又は2以上である。前記配位子Lとしては、前記Mo原子又はV原子に配位するものであれば特に制限はないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシル基、アセトキシ基等の酸素系配位子、カルボニル、1,5−シクロオクタジエン、cis−シクロオクテン、テトラメチルシクロペンタジエン、シメン等の炭素系配位子、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィンといったトリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィンといったトリアリールホスフィン等のリン系配位子、アンモニア、シクロヘキシルジアミン、アルキルアミン等の窒素系配位子、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン系配位子、トリフラート、トシラート、メシラート等のスルホン酸系配位子が挙げられる。このような配位子のうち、触媒反応時に脱離しやすいという観点から、ハロゲン系配位子、スルホン酸系配位子が好ましく、スルホン酸系配位子がより好ましい。また、テトラヒドロフラン(THF)やアセトニトリル(CHCN)等の溶媒分子が配位していてもよい。
また、前記式(1)において、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、前記式(2)で表される架橋基であり、メソ細孔構造が形成されやすいという観点から、R〜Rのうちの少なくとも1つの基及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記架橋基であることが好ましく、R及びRがそれぞれ独立に前記架橋基であることがより好ましい。
前記式(2)中のYは、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜6)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜6)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜12)、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合である。
前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられ、前記アルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられ、前記アルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基等が挙げられ、前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン基等の単環の芳香族環、ナフチレン基、フルオレニレン基等の芳香族縮合環が挙げられる。
このような2価又は3価の有機基及び単結合のうち、固体触媒の機械的強度及び化学的安定性が向上するという観点から、アルキレン基及び単結合が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基及び単結合がより好ましい。
前記式(2)中のRは、炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、前記アリル基はメチル基等の置換基を有していてもよい。また、前記式(2)中のRは水素原子又はシリル基を表し、前記シリル基としては、トリメチルシリル基等のアルキルシリル基が挙げられ、Rとしては、細孔表面の疎水性の向上という観点から、シリル基が好ましい。
また、前記式(2)中の*は、隣接する構造との結合部位である。前記隣接する構造としては、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカ中の前記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位、後述する式(3)で表される構造からなる繰り返し単位、後述する式(4)で表される構造、後述する式(5)で表される構造等が挙げられる。
前記式(2)中のkは1又は2であり、iは1〜3の整数(好ましくは2〜3の整数)であり、jは0〜2の整数(好ましくは0〜1の整数)であり、1≦i+j≦3(好ましくは2≦i+j≦3)である。なお、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記架橋基においてそれぞれ独立であり、本発明の固体触媒中の全ての前記架橋基において同じである必要はない。
前記式(1)において、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基(好ましくは炭素数1〜12)、アリール基(好ましくは炭素数6〜12)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12)、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基(好ましくは炭素数1〜4)、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、前記アリール基としては、例えば、フェニル基等の単環の芳香族環、ナフチル基、フルオレニル基等の芳香族縮合環が挙げられ、前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、前記カルボン酸エステル基としては、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、カルボン酸ブチル基等が挙げられる。
このような1価又は2価の有機基のうち、固体触媒の機械的強度及び化学的安定性が向上するという観点から、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基、フェノキシ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
前記式(1)で表される構造を備えるMo含有メソポーラス有機シリカにおいて、Mo含有メソポーラス有機シリカ1gあたりのMo固定化量としては、0.01mmol−Mo/g以上であれば特に制限はないが、触媒活性とモリブデンの有効活用という観点から、0.01〜3.0mmol−Mo/gが好ましく、0.02〜2.5mmol−Mo/gがより好ましく、0.05〜2.0mmol−Mo/gがさらに好ましく、0.075〜1.5mmol−Mo/gが特に好ましく、0.10〜1.0mmol−Mo/gが最も好ましい。
また、前記式(1)で表される構造を備えるV含有メソポーラス有機シリカにおいて、V含有メソポーラス有機シリカ1gあたりのV固定化量としては、0.01mmol−V/g以上であれば特に制限はないが、触媒活性とバナジウムの有効活用という観点から、0.01〜3.0mmol−V/gが好ましく、0.02〜2.5mmol−V/gがより好ましく、0.05〜2.0mmol−V/gがさらに好ましく、0.075〜1.5mmol−V/gが特に好ましく、0.10〜1.0mmol−V/gが最も好ましい。
このようなMo又はVの固定化量は、ビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ中のビピリジン基の含有量に応じて任意に調整することができ、また、前記ビピリジン基の含有量も任意に調整することができる。特に、本発明の固体触媒においては、細孔直径が比較的大きいメソポーラス有機シリカを担体として用いているため、細孔が閉塞したり、細孔直径が小さくなったりしにくいため、触媒性能を低下させることなく、Mo又はVの固定化量を増加させることができる。
また、前記式(1)で表される構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカは、下記式(3):
Figure 0006880532
〔前記式(3)中、Mは、配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい、Mo及びV以外の他の金属原子を表し、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、前記式(2)で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
で表わされる構造を更に備えていることが好ましい。
前記式(3)で表される構造は、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカの細孔内表面(細孔壁)に配置されていれば、外表面に配置されていてもよく、また、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていてもよい。また、前記式(3)で表される構造は、ビピリジン基を含有しており、このビピリジン基がMo原子又は及びV原子以外の他の金属原子に配位することによってMo錯体及びV錯体以外の他の金属錯体が形成され、この他の金属錯体とMo錯体又はV錯体との間の電子移動等の協同効果により触媒活性が更に向上するという観点から、前記式(1)で表される構造に隣接していることが好ましい。
前記式(3)において、MはMo及びV以外の他の金属原子を表す。このようなMとしては、ビピリジン基が配位することによって、Mo錯体又はV錯体との間で電子移動等の協同効果を発現する金属錯体を形成できるものであれば特に制限はないが、例えば、Cu、Fe、Co、Niが挙げられ、中でも、電子移動の円滑な進行という観点から、Cuが好ましい。
また、前記Mには配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい。Mに配位している配位子Lの数は1又は2以上であり、2以上の配位子Lが配位している場合、それらは同一のものであっても異なるものであってもよい。また、Mに結合している酸素原子の数は1又は2以上である。前記配位子Lとしては、前記他の金属原子に配位するものであれば特に制限はないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシル基、アセトキシ基等の酸素系配位子、カルボニル、1,5−シクロオクタジエン、cis−シクロオクテン、テトラメチルシクロペンタジエン、シメン等の炭素系配位子、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィンといったトリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィンといったトリアリールホスフィン等のリン系配位子、アンモニア、シクロヘキシルジアミン、アルキルアミン等の窒素系配位子、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン系配位子、トリフラート、トシラート、メシラート等のスルホン酸系配位子が挙げられる。このような配位子のうち、触媒反応時に脱離しやすいという観点から、ハロゲン系配位子、スルホン酸系配位子が好ましく、スルホン酸系配位子がより好ましい。また、テトラヒドロフラン(THF)やアセトニトリル(CHCN)等の溶媒分子が配位していてもよい。
前記式(3)において、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、前記式(2)で表される架橋基であり、メソ細孔構造が形成されやすいという観点から、R〜Rのうちの少なくとも1つの基及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記架橋基であることが好ましく、R及びRがそれぞれ独立に前記架橋基であることがより好ましい。
また、前記式(3)において、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基(好ましくは炭素数1〜12)、アリール基(好ましくは炭素数6〜12)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12)、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。
本発明の固体触媒において、前記式(1)中のR〜Rと前記式(3)中のR〜Rはそれぞれ同じ基であることが好ましい。
前記式(3)で表される構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカにおいて、Mo又はV含有メソポーラス有機シリカ1gあたりの他の金属原子の固定化量としては、0.01mmol−M/g以上であれば特に制限はないが、電子移動の円滑な進行という観点から、0.01〜3.0mmol−M/gが好ましく、0.02〜2.5mmol−M/gがより好ましく、0.10〜2.0mmol−M/gがさらに好ましく、0.30〜1.5mmol−M/gが特に好ましく、0.60〜1.2mmol−M/gが最も好ましい。
このような他の金属原子の固定化量は、ビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ中のビピリジン基の含有量に応じて任意に調整することができる。特に、本発明の固体触媒においては、細孔直径が比較的大きいメソポーラス有機シリカを担体として用いているため、細孔が閉塞したり、細孔直径が小さくなったりしにくいため、触媒性能を低下させることなく、他の金属原子の固定化量を増加させることができる。
さらに、前記式(1)で表される構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカにおいては、前記式(1)で表される構造及び前記式(3)で表される構造以外の構造(以下、「その他の構造」という)を含んでいてもよい。このようなその他の構造としては、下記式(4)及び(5):
Figure 0006880532
で表される構造が好ましく、これらの構造はいずれか一方が含まれていても両方が含まれていてもよい。
前記式(4)において、Rは、2〜4価の有機基であり、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜12)等が挙げられる。前記式(4)及び(5)において、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、前記アリル基はメチル基等の置換基を有していてもよい。また、前記式(4)及び(5)において、Rはそれぞれ独立に水素原子又はシリル基を表し、前記シリル基としては、トリメチルシリル基等のアルキルシリルが挙げられ、Rとしては、細孔表面の疎水性の向上という観点から、シリル基が好ましい。
また、前記式(4)及び(5)中の*は、隣接する構造との結合部位である。前記隣接する構造としては、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカ中の前記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位、前記式(3)で表される構造からなる繰り返し単位、前記式(4)で表される構造、前記式(5)で表される構造等が挙げられる。
前記式(4)及び(5)中のrはそれぞれ独立に1又は2であり、pはそれぞれ独立に1〜3の整数(好ましくは2〜3の整数)であり、qはそれぞれ独立に0〜2の整数(好ましくは0〜1の整数)であり、1≦p+q≦3(好ましくは2≦p+q≦3)である。なお、pとqとの組み合わせは、複数存在する前記式(4)又は(5)で表される構造においてそれぞれ独立であり、本発明の固体触媒中の全ての前記式(4)又は(5)で表される構造において同じである必要はない。
前記式(1)で表される構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカにおいて、このようなその他の構造の割合としては、前記式(1)で表される構造とその他の構造との合計量、又は、前記式(1)で表される構造と前記式(3)で表される構造とその他の構造との合計量に対して、99.5mol%以下であれば特に制限はないが、触媒活性が向上するという観点から、0〜90mol%が好ましく、0〜70mol%がより好ましく、0〜50mol%がさらに好ましく、0〜30mol%が特に好ましい。
本発明にかかるMo又はV含有メソポーラス有機シリカはメソ細孔を有する構造(メソ細孔構造)を有する。このようなメソ細孔構造における細孔径(中心細孔直径)としては、1〜50nmが好ましく、2〜30nmがより好ましい。また、全細孔容量としては、0.1cm/g以上が好ましく、0.2cm/g以上がより好ましい。中心細孔直径及び細孔容量が前記下限未満になると、触媒反応における反応基質がメソ細孔内に十分に拡散せず、触媒反応が十分に進行しない傾向にある。さらに、前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカにおいて、BET比表面積としては、100cm/g以上が好ましく、300cm/g以上がより好ましい。BET比表面積が前記下限未満になると、十分な触媒活性が得られない傾向にある。
なお、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径であり、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、試料を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法或いは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、DFT(Density−Functional−Theory)法、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
また、本発明にかかるMo又はV含有メソポーラス有機シリカのX線回折パターンには、1〜50nmのd値に相当する回折角度に1本以上の回折ピークが存在していることが好ましい。X線回折ピークは、そのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中に存在することを意味する。従って、1〜50nmのd値に相当する回折角度に1本以上の回折ピークがあることは、細孔が1〜50nmの間隔で規則的に配列している、規則的なメソ細孔構造を備えていることを意味する。このような規則的なメソ細孔構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカは、前記Mo錯体又は前記V錯体が安定に固定化されており、触媒活性に優れている。
このような本発明の固体触媒は、例えば、下記式(1a):
Figure 0006880532
〔前記式(1a)中、R〜Rは前記式(1)中のR〜Rと同一の基である。〕
で表される構造を備えるビピリジン基含有メソポーラス有機シリカとMo原子含有化合物又はV原子含有化合物とを混合することによって製造することができる。これにより、前記式(1a)中の窒素原子が前記Mo原子含有化合物中のMo原子又は前記V原子含有化合物中のV原子に配位し、前記式(1)で表される構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカが得られる。このような混合は、触媒反応を行う前に、触媒反応系とは異なる系で行なってもよいし、触媒反応系において行なってもよい。
また、前記式(3)で表される構造を更に備える本発明の固体触媒は、例えば、前記(1)で表される構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカと、Mo及びV以外の他の金属原子を含有する化合物とを混合することによって製造することができる。これにより、前記(1)で表される構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカ中のMo又はVが配位していない部分(残りの前記式(1a)で表される構造)の窒素原子が前記他の金属原子を含有する化合物中の他の金属原子に配位し、前記式(1)で表される構造と前記式(3)で表される構造とを備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカが得られる。このような混合は、触媒反応を行う前に、触媒反応系とは異なる系で行なってもよいし、触媒反応系において行なってもよい。また、このような前記式(1)で表される構造と前記式(3)で表される構造とを備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカは、前記式(1a)で表される構造を備えるビピリジン基含有メソポーラス有機シリカとMo原子含有化合物又はV原子含有化合物と前記他の金属原子を含有する化合物とを同時に混合することによっても製造することができる。このような混合も、触媒反応を行う前に、触媒反応系とは異なる系で行なってもよいし、触媒反応系において行なってもよい。
前記Mo原子含有化合物としては特に制限はないが、例えば、Mo原子に配位子L及び/又は酸素原子が結合した化合物が挙げられる。前記Mo原子含有化合物中の配位子Lは前記式(1)においてMに結合していてもよい配位子Lに対応するものである。このようなMo原子含有化合物の具体例としては、MoOCl、MoCl、Mo(η−C)(CO)等が挙げられる。
また、前記V原子含有化合物としては特に制限はないが、例えば、V原子に配位子L及び/又は酸素原子が結合した化合物が挙げられる。前記V原子含有化合物中の配位子Lは前記式(1)においてMに結合していてもよい配位子Lに対応するものである。このようなV原子含有化合物の具体例としては、VOSO、VOCl、VOCl等が挙げられる。
さらに、前記他の金属原子を含有する化合物としては特に制限はないが、例えば、他の金属原子に配位子L及び/又は酸素原子が結合した化合物が挙げられる。前記他の金属原子を含有する化合物中の配位子Lは前記式(3)においてMに結合していてもよい配位子Lに対応するものである。このような他の金属原子を含有する化合物の具体例としては、CuCl、FeCl、CoCl、NiCl、Cu(OAc)、等が挙げられる。
前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいて、前記式(1a)で表される構造は、前記メソポーラス有機シリカの細孔内表面(細孔壁)に配置されていれば、外表面に配置されていてもよく、また、前記メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていてもよい。
また、上述したように、前記式(1a)中のR〜Rは前記式(1)中のR〜Rと同一の基である。前記式(1a)における前記式(2)中のRとしては、細孔表面の疎水性の向上という観点から、シリル基が好ましい。また、前記式(1a)における前記式(2)中の結合部位*に結合する隣接する構造としては、前記メソポーラス有機シリカ中の前記式(1a)で表される構造からなる繰り返し単位や前記式(4)で表される構造等が挙げられる。
前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいて、メソポーラス有機シリカ1gあたりの前記式(1a)で表される構造の導入量としては、0.01mmol/g以上であれば特に制限はないが、Mo錯体又はV錯体や他の金属錯体の形成のしやすさという観点から、0.05mmol/g以上が好ましく、0.10mmol/g以上がより好ましく、0.15mmol/g以上がさらに好ましく、0.20mmol/g以上が特に好ましい。なお、前記式(1a)で表される構造の導入量の上限としては特に制限はないが、4mmol/g以下が好ましい。本発明の固体触媒においては、このような前記式(1a)で表される構造の導入量(すなわち、ビピリジン基の導入量)を適宜調整することができ、その結果、Mo又はVの固定化量や他の金属原子の固定化量を容易に制御することが可能となる。
また、前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいては、前記式(1a)で表される構造以外の構造(以下、「その他の構造」という)を含んでいてもよい。このようなその他の構造としては、前記式(4)及び(5)で表される構造が好ましく、これらの構造はいずれか一方が含まれていても両方が含まれていてもよい。
前記式(1a)で表される構造を備えるメソポーラス有機シリカにおいて、このようなその他の構造の割合としては、前記式(1a)で表される構造との合計量に対して、99.5mol%以下であれば特に制限はないが、触媒活性が向上するという観点から、0〜90mol%が好ましく、0〜70mol%がより好ましく、0〜50mol%がさらに好ましく、0〜30mol%が特に好ましい。
前記メソポーラス有機シリカは、例えば、J.Am.Chem.Soc.、2014年、第136巻、第10号、4003〜4011頁、特開2014−193457号公報、特開2017−029926号公報等に記載の方法により製造することができる。
<酸化反応>
次に、本発明の固体触媒を用いた酸化反応について説明する。本発明の固体触媒は、酸化反応、例えば、オレフィンやアルコールの酸化反応(特に、シクロオレフィンのエポキシ化反応やアルコールのアルデヒド化反応)の触媒として有用である。このような酸化反応の条件としては特に制限はなく、従来の酸化反応の条件をそのまま採用することができる。
オレフィンとしては特に制限はなく、例えば、シクロオクテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、シクロペンテン等の環状オレフィン;1−オクテン、2−オクテン、ヘプテン、ヘキセン、ペンテン等の脂肪族オレフィン;スチレン等の芳香族オレフィン;リモネン、ピネン等のテルペンが挙げられる。
アルコールとしては特に制限はなく、例えば、ベンジルアルコール、1−フェニルアルコール等の芳香族アルコール;オクタノール等の脂肪族アルコール、シクロヘキサノール等の環状脂肪族アルコールが挙げられる。
また、酸化反応に使用される酸化剤としては特に制限はなく、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、酸素(O)、過酸化水素水(H)、2−ヨードキシ安息香酸等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
<アルキルシリル処理されたビピリジン基含有メソポーラス有機シリカの調製>
トリメチルシリル(TMS)処理したビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO−TMS)を、M.Wakiら、J.Am.Chem.Soc.、2014年、第136巻、第10号、4003〜4011頁に記載の方法に従って調製した。すなわち、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C18TMACl、2.43g、6.98mmol)、6N水酸化ナトリウム水溶液(0.77ml)及び蒸留水(132ml)を混合して50℃に加熱し、得られた界面活性剤水溶液に5,5’−ビス(トリイソプロポキシシリル)−2,2’−ビピリジン(Si−BPy−Si、2.97g、5.26mmol)のエタノール溶液(5ml)を50℃で激しく攪拌しながらシリンジポンプを用いてピペットから一定の速度(最初の1時間は2.0ml/h、その後2.5〜3.0ml/h)で直接添加した。得られた白色懸濁液に50℃で2時間超音波処理を施し、さらに、3日間攪拌した後、50℃に加熱しながら3日間静置して、下記反応式(P1):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。生成した沈殿物をろ過により回収し、蒸留水で洗浄した後、鋳型界面活性剤(C18TMACl)を含むビピリジン基含有有機シリカメソ構造体を得た。このビピリジン基含有有機シリカメソ構造体(2.39g)を、C18TMACl水溶液(C18TMACl(8.70g)を蒸留水(433ml)に溶解したもの)に再度添加し、95℃で加熱しながら24時間静置して熱処理を行い、有機シリカ骨格の縮合度を増大させた。得られた沈殿物(1.56g)をろ過により回収した後、酸性エタノール溶液(エタノール(260ml)に2N塩酸(7.2ml)を添加したもの)を用いて室温で12時間抽出処理を行うことによって前記鋳型界面活性剤を除去し、白色粉末状のビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO)を得た(1.39g、3.18mmol−BPy/g)。
このBPy−PMOの外表面および細孔表面に残存しているシラノール基を保護するために、アルゴン雰囲気下で、前記ビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(500mg)にN−トリメチルシリルイミダゾール(2ml)を添加し、得られた混合物を60℃で12時間撹拌して、下記反応式(P2):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。得られた反応生成物をトルエン(10ml)で希釈した後、ろ過により回収し、さらに、トルエン及びメタノールを順に用いて洗浄した後、減圧乾燥して、TMS処理した白色粉末状のビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO−TMS)を得た(2.92mmol−BPy/g)。
このBPy−PMO−TMSのX線回折パターンを、粉末X線回折装置(株式会社リガク製「RINT−TTR」を用い、Cu−KαをX線源とし、電流値50mA、電圧値300mVの条件で測定したところ、図1に示すように、2θ=1.78°(d=4.97nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察され、さらに、2θ=7.56°(d=1.17nm)、15.20°(d=0.58nm)及び22.88°(d=0.39nm)にビピリジン基の層状配列構造に由来する回折ピークが観察された。また、このBPy−PMO−TMSの窒素吸脱着等温線を、比表面積/細孔分布測定装置(カンタクローム社製「Nova3000e」を用いて測定したところ、図2に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、このBPy−PMO−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであることが確認された。
(合成例1)
<Mo含有メソポーラス有機シリカの合成>
調製例1で得られたTMS処理したビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO−TMS、0.069g、2.92mmol−BPy/g、0.20mmol−BPy)をアセトニトリル(8ml)に分散した。得られた分散液に、予め調製した10mMのMoOClアセトニトリル溶液(2ml、0.02mmol−Mo)を添加し、室温で24時間撹拌して、下記反応式(S1):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。得られた分散液をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)に通して固体成分を回収した。得られた固体成分をアセトニトリル(30ml)で洗浄した後、減圧下、60℃で一晩乾燥して、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)を得た(収量0.070g)。
このMo−BPy−PMO−TMSのX線回折パターンを調製例1と同様にして測定したところ、図1に示すように、2θ=1.78°(d=4.97nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察され、さらに、2θ=7.56°(d=1.17nm)、15.20°(d=0.58nm)及び22.88°(d=0.39nm)にビピリジン基の層状配列構造に由来する回折ピークが観察された。また、このMo−BPy−PMO−TMSの窒素吸脱着等温線を調製例1と同様にして測定したところ、図2に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、このMo−BPy−PMO−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであり、調製例1で得られたBPy−PMO−TMSにMoを固定化しても、規則的なメソ細孔構造が維持されていることが確認された。
さらに、前記窒素吸脱着等温線に基づいて、このMo−BPy−PMO−TMSの中心細孔直径dDFTをDFT(Density−Functional−Theory)法により、比表面積SBETをBET(Brunauer−Emmett−Teller)法(P/P=0.1〜0.25の範囲で計算)により、全細孔容量Vをt−プロット法(P/P=0.6〜0.8の範囲で計算)により算出した。また、このMo−BPy−PMO−TMSにおけるMoの固定化量をICP発光分光分析(ICP−AES)法により測定した。これらの結果を表1に示す。
(合成例2)
<Mo含有メソポーラス有機シリカの合成>
前記BPy−PMO−TMSを分散させたアセトニトリルの量を6mlに変更し、10mMのMoOClアセトニトリル溶液の添加量を4ml(0.04mmol−Mo)に変更した以外は合成例1と同様にして、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)を得た(収量0.070g)。
このMo−BPy−PMO−TMSのX線回折パターンを調製例1と同様にして測定したところ、図1に示すように、2θ=1.78°(d=4.97nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察され、さらに、2θ=7.56°(d=1.17nm)、15.20°(d=0.58nm)及び22.88°(d=0.39nm)にビピリジン基の層状配列構造に由来する回折ピークが観察された。また、このMo−BPy−PMO−TMSの窒素吸脱着等温線を調製例1と同様にして測定したところ、図2に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、このMo−BPy−PMO−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであり、調製例1で得られたBPy−PMO−TMSにMoを固定化しても、規則的なメソ細孔構造が維持されていることが確認された。
さらに、このMo−BPy−PMO−TMSの中心細孔直径dDFT、比表面積SBET、全細孔容量V、及びMoの固定化量を合成例1と同様にして求めた。これらの結果を表1に示す。
(合成例3)
<Mo含有メソポーラス有機シリカの合成>
前記BPy−PMO−TMSを分散させたアセトニトリルの量を4mlに変更し、10mMのMoOClアセトニトリル溶液の添加量を6ml(0.06mmol−Mo)に変更した以外は合成例1と同様にして、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)を得た(収量0.070g)。
このMo−BPy−PMO−TMSのX線回折パターンを調製例1と同様にして測定したところ、図1に示すように、2θ=1.78°(d=4.97nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察され、さらに、2θ=7.56°(d=1.17nm)、15.20°(d=0.58nm)及び22.88°(d=0.39nm)にビピリジン基の層状配列構造に由来する回折ピークが観察された。また、このMo−BPy−PMO−TMSの窒素吸脱着等温線を調製例1と同様にして測定したところ、図2に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、このMo−BPy−PMO−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであり、調製例1で得られたBPy−PMO−TMSにMoを固定化しても、規則的なメソ細孔構造が維持されていることが確認された。
さらに、このMo−BPy−PMO−TMSの中心細孔直径dDFT、比表面積SBET、全細孔容量V、及びMoの固定化量を合成例1と同様にして求めた。これらの結果を表1に示す。
(合成例4)
<Mo含有メソポーラス有機シリカの合成>
前記BPy−PMO−TMSを分散させたアセトニトリルの量を9mlに変更し、10mMのMoOClアセトニトリル溶液の添加量を1ml(0.01mmol−Mo)に変更した以外は合成例1と同様にして、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)を得た(収量0.070g)。
このMo−BPy−PMO−TMSのX線回折パターンを調製例1と同様にして測定したところ、図1に示すように、2θ=1.78°(d=4.97nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察され、さらに、2θ=7.56°(d=1.17nm)、15.20°(d=0.58nm)及び22.88°(d=0.39nm)にビピリジン基の層状配列構造に由来する回折ピークが観察された。また、このMo−BPy−PMO−TMSの窒素吸脱着等温線を調製例1と同様にして測定したところ、図2に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、このMo−BPy−PMO−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであり、調製例1で得られたBPy−PMO−TMSにMoを固定化しても、規則的なメソ細孔構造が維持されていることが確認された。
さらに、このMo−BPy−PMO−TMSの中心細孔直径dDFT、比表面積SBET、全細孔容量V、及びMoの固定化量を合成例1と同様にして求めた。これらの結果を表1に示す。
(合成例5)
<Mo及びCu含有メソポーラス有機シリカの合成>
合成例1と同様にして、下記反応式(S2):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)を得た。このMo−BPy−PMO−TMS(0.070g)をアセトニトリル(4ml)に分散した。得られた分散液に、予め調製した10mMのCuClアセトニトリル溶液(6ml、0.06mmol−Cu)を添加し、室温で2時間撹拌して、下記反応式(S3):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。得られた分散液をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)に通して固体成分を回収した。得られた固体成分をアセトニトリル(30ml)で洗浄した後、減圧下、60℃で一晩乾燥して、Mo原子に配位したビピリジン基とCu原子に配位したビピリジン基とを含有するメソポーラス有機シリカ((Mo,Cu)−BPy−PMO−TMS)を得た(収量0.070g)。
この(Mo,Cu)−BPy−PMO−TMSのX線回折パターンを調製例1と同様にして測定したところ、図3に示すように、2θ=1.78°(d=4.97nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察され、さらに、2θ=7.56°(d=1.17nm)、15.20°(d=0.58nm)及び22.88°(d=0.39nm)にビピリジン基の層状配列構造に由来する回折ピークが観察された。また、この(Mo,Cu)−BPy−PMO−TMSの窒素吸脱着等温線を調製例1と同様にして測定したところ、図4に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、この(Mo,Cu)−BPy−PMO−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであり、調製例1で得られたBPy−PMO−TMSにMo及びCuを固定化しても、規則的なメソ細孔構造が維持されていることが確認された。
さらに、この(Mo,Cu)−BPy−PMO−TMSの中心細孔直径dDFT、比表面積SBET、全細孔容量Vを合成例1と同様にして求めたところ、中心細孔直径dDFTは3.8nm、比表面積SBETは545m/g、全細孔容量Vは0.33cm/gであった。また、この(Mo,Cu)−BPy−PMO−TMSについて、エネルギー分散型X線分光分析装置を備えた走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「3600−N」)を用いて結晶形態の観察と組成分析を行い、これらの結果からMo及びCuの固定化量を求めたところ、それぞれ0.30mmol−Mo/g及び0.87mmol−Cu/gであった。
(合成例6)
<V含有メソポーラス有機シリカの合成>
調製例1で得られたTMS処理したビピリジン基含有メソポーラス有機シリカ(BPy−PMO−TMS、0.069g、2.92mmol−BPy/g、0.20mmol−BPy)をアセトニトリル(5ml)に分散した。得られた分散液に、予め調製した10mMのVOSO水溶液(10ml、0.10mmol−V)を添加し、室温で24時間撹拌して、下記反応式(S4):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。得られた分散液をメンブレンフィルター(孔径0.45μm)に通して固体成分を回収した。得られた固体成分をアセトニトリル(30ml)で洗浄した後、減圧下、60℃で一晩乾燥して、V原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(V−BPy−PMO−TMS)を得た(収量0.070g)。
このV−BPy−PMO−TMSのX線回折パターンを調製例1と同様にして測定したところ、図5に示すように、2θ=1.78°(d=4.97nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察され、さらに、2θ=7.56°(d=1.17nm)、15.20°(d=0.58nm)及び22.88°(d=0.39nm)にビピリジン基の層状配列構造に由来する回折ピークが観察された。また、このV−BPy−PMO−TMSの窒素吸脱着等温線を調製例1と同様にして測定したところ、図6に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、このV−BPy−PMO−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであり、調製例1で得られたBPy−PMO−TMSにVを固定化しても、規則的なメソ細孔構造が維持されていることが確認された。
さらに、このV−BPy−PMO−TMSの中心細孔直径dDFT、比表面積SBET、全細孔容量Vを合成例1と同様にして求めたところ、中心細孔直径dDFTは3.8nm、比表面積SBETは669m/g、全細孔容量Vは0.40cm/gであった。また、このV−BPy−PMO−TMSにおけるVの固定化量を合成例5と同様にして求めたところ、0.19mmol−V/gであった。
(比較合成例1)
<Mo含有ビピリジンの合成>
MoOCl(0.43g、2.2mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解した。得られた溶液に2,2’−ビピリジン(0.34g、2.2mmol)を添加し、室温で2時間撹拌して、下記反応式(S5):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。生成した沈殿物をメンブレンフィルター(孔径0.20μm)を用いて吸引ろ過により回収し、ヘキサン(40ml)及びジエチルエーテル(40ml)を順に用いて洗浄した後、一晩風乾して固体成分を得た(収量0.32g)。
この固体成分の赤外吸収スペクトルを、赤外分光光度計(Nicolet社製「AVATAR」)を用いて測定したところ、MoOClのMo原子にビピリジンが配位した均一系Mo錯体(Mo−BPy)であることが確認された。
(比較合成例2)
<Mo含有メソポーラスシリカの合成>
特開2014−193457号公報の合成例3に記載の方法に従って、TMS処理したビピリジン基含有メソポーラスシリカ(BPy−FSM−TMS)を調製した。調製例1で得られたBPy−PMO−TMSの代わりに、このBPy−FSM−TMS(0.069g、0.43mmol−BPy/g、0.03mmol−BPy)をアセトニトリル(8ml)に分散した以外は合成例1と同様にして、下記反応式(S6):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラスシリカ(Mo−BPy−FSM−TMS)を得た(収量0.070g)。
このMo−BPy−FSM−TMSのX線回折パターンを調製例1と同様にして測定したところ、図7に示すように、2θ=1.76°(d=5.02nm)に規則的なメソ構造に由来する回折ピークが観察された。また、このMo−BPy−FSM−TMSの窒素吸脱着等温線を調製例1と同様にして測定したところ、図8に示すように、IV型であった。したがって、X線回折パターン及び窒素吸脱着等温線から、このMo−BPy−FSM−TMSは規則的なメソ細孔を有するものであることが確認された。
さらに、このMo−BPy−FSM−TMSの中心細孔直径dDFT、比表面積SBET、全細孔容量V、及びMoの固定化量を合成例1と同様にして求めたところ、中心細孔直径dDFTは4.1nm、比表面積SBETは662m/g、全細孔容量Vは0.37cm/g、Moの固定化量は0.29mmol−Mo/gであった。
(比較合成例3)
<Mo含有スチレンポリマーの合成>
調製例1で得られたBPy−PMO−TMSの代わりに、ビピリジンを固定化したスチレンポリマー(BPy−PS、アルドリッチ社製「Bipyridine,polymer−bound」)を用い、このBPy−PS(0.069g、1.5mmol−BPy/g、0.10mmol−BPy)をアセトニトリル(4ml)に分散し、10mMのMoOClアセトニトリル溶液の添加量を6ml(0.06mmol−Mo)に変更した以外は合成例1と同様にして、下記反応式(S7):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するスチレンポリマー(Mo−BPy−PS)を得た(収量0.070g)。このMo−BPy−PSにおけるMoの固定化量を合成例1と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
(比較合成例4)
<Mo含有スチレンポリマーの合成>
前記BPy−PSを分散させたアセトニトリルの量を9mlに変更し、10mMのMoOClアセトニトリル溶液の添加量を1ml(0.01mmol−Mo)に変更した以外は比較合成例3と同様にして、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するスチレンポリマー(Mo−BPy−PS)を得た(収量0.070g)。このMo−BPy−PSにおけるMoの固定化量を合成例1と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
(比較合成例5)
<Mo含有スチレンポリマーの合成>
前記BPy−PSを分散させたアセトニトリルの量を8mlに変更し、10mMのMoOClアセトニトリル溶液の添加量を2ml(0.02mmol−Mo)に変更した以外は比較合成例3と同様にして、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するスチレンポリマー(Mo−BPy−PS)を得た(収量0.070g)。このMo−BPy−PSにおけるMoの固定化量を合成例1と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
(比較合成例6)
<Mo含有スチレンポリマーの合成>
前記BPy−PSを分散させたアセトニトリルの量を6mlに変更し、10mMのMoOClアセトニトリル溶液の添加量を4ml(0.04mmol−Mo)に変更した以外は比較合成例3と同様にして、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するスチレンポリマー(Mo−BPy−PS)を得た(収量0.070g)。このMo−BPy−PSにおけるMoの固定化量を合成例1と同様にして求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0006880532
〔X線吸収微細構造(XAFS)解析〕
合成例1〜4で得られたMo−BPy−PMO−TMS及び比較合成例1で得られたMo−BPyのX線吸収微細構造(XAFS)解析を、SPring−8(BL14B2)を利用して透過法により行なった。すなわち、Si(311)二結晶分光器により単色化されたX線を用いて、室温でMoのK吸収端付近のXAFSスペクトルを測定した。得られたX線吸収端近傍構造(XANES)スペクトルを図9に示す。また、得られたX線広域微細構造(EXAFS)スペクトルについて、Athenaを用いてデータ処理を行なった。すなわち、EXAFS振動χ(k)にkの重みをかけて2Å−1<k<12Å−1の領域においてフーリエ変換を行い、動径分布関数を得た。その結果を図10に示す。
図9及び図10に示した結果から明らかなように、合成例1〜4で得られたMo−BPy−PMO−TMSは、XANESスペクトル及び動径分布関数が比較合成例1で得られた均一系Mo錯体(Mo−BPy)と同様の形状を有していることから、Mo原子にビピリジン基が配位していることが確認された。
(実施例1)
攪拌子をセットした50mlの二口フラスコに、固体触媒として合成例1で得られたMo−BPy−PMO−TMS(20mg、0.30mmol−Mo/g、6.0μmol−Mo)、基質としてシクロオクテン(0.65ml、5mmol)、酸化剤として5〜6Mのtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP、デカンで希釈したもの、0.96ml、5mmol)、内部標準物質としてトルエン(3.19ml、30mmol)、及び溶媒としてデカン(5.2ml)を秤量し、75℃の温度条件下、回転速度650rpmで攪拌して、下記反応式(E1):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。反応中、所定時間毎に反応溶液(150μl)を採取し、遠心分離(12000rpm、3分間)により固体成分を除去した後、得られた上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−FID)により分析した。なお、GC−FID分析は、カラムとしてアジレント・テクノロジー株式会社製のHP−5(カラム長30m、内径0.53mm、膜厚1.5μm)を用い、試料溶液注入量0.20μl、カラム温度130℃、インジェクト/ディテクター温度220℃の条件を行なった。また、反応生成物は、GC−FID分析において保持時間を標準試料(別途購入した1,2−エポキシシクロオクタン)と比較するとともに、ガスクロマトグラフ質量(GC−MS)分析を行うことにより同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始30分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、382.1h−1であった。
(比較例1)
固体触媒として比較合成例2で得られたMo−BPy−FMS−TMS(20mg、0.29mmol−Mo/g、5.8μmol−Mo)を用いた以外は実施例1と同様にして、下記反応式(C1):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始60分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、141.1h−1であった。
(比較例2)
固体触媒として比較合成例3で得られたMo−BPy−PS(20mg、0.23mmol−Mo/g、4.6μmol−Mo)を用いた以外は実施例1と同様にして、下記反応式(C2):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始60分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、115.6h−1であった。
図11は、実施例1及び比較例1〜2で用いた触媒のMo基準の触媒回転頻度(TOF)を示すグラフである。図11に示した結果から明らかなように、実施例1のMo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)は、比較例1のMo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラスシリカ(Mo−BPy−FSM−TMS)及び比較例2のMo原子に配位したビピリジン基を含有するスチレンポリマー(Mo−BPy−PS)に比べて、高い触媒回転頻度TOFを有しており、触媒活性に優れた酸化反応用固体触媒であることが確認された。
(実施例2)
固体触媒として合成例2で得られたMo−BPy−PMO−TMS(20mg、0.58mmol−Mo/g、11.6μmol−Mo)を用いた以外は実施例1と同様にして前記反応式(E1)で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始30分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、333.9h−1であった。
(実施例3)
固体触媒として合成例3で得られたMo−BPy−PMO−TMS(20mg、0.67mmol−Mo/g、13.4μmol−Mo)を用いた以外は実施例1と同様にして前記反応式(E1)で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始30分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、407.7h−1であった。
(実施例4)
固体触媒として合成例4で得られたMo−BPy−PMO−TMS(20mg、0.15mmol−Mo/g、3.0μmol−Mo)を用いた以外は実施例1と同様にして前記反応式(E1)で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始30分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、285.9h−1であった。
(比較例3)
固体触媒として比較合成例4得られたMo−BPy−PS(20mg、0.09mmol−Mo/g、1.8μmol−Mo)を用いた以外は比較例2と同様にして前記反応式(C2)で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始60分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、245.8h−1であった。
(比較例4)
固体触媒として比較合成例5得られたMo−BPy−PS(20mg、0.15mmol−Mo/g、3.0μmol−Mo)を用いた以外は比較例2と同様にして前記反応式(C2)で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始60分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、137.3h−1であった。
(比較例5)
固体触媒として比較合成例6得られたMo−BPy−PS(20mg、0.18mmol−Mo/g、3.6μmol−Mo)を用いた以外は比較例2と同様にして前記反応式(C2)で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、主成分として1,2−エポキシシクロオクタンが生成していることが確認された。また、反応開始60分間におけるMo基準の触媒回転頻度(TOF)を算出したところ、133.0h−1であった。
図12は、実施例1〜4及び比較例1、3〜5で用いた触媒のMo固定化量とMo基準の触媒回転頻度(TOF)との関係を示すグラフである。図12に示した結果から明らかなように、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)においては、Mo固定化量が0.30mmol−Mo/g以下ではMo固定化量の増加とともにTOFが増大し、0.30mmol−Mo/g以上ではTOFがほぼ一定となることがわかった。このことから、ビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(BPy−PMO−TMS)には、触媒性能を低下させることなく、多量のMoを固定化できることが確認された。
一方、Mo原子に配位したビピリジン基を含有するスチレンポリマー(Mo−BPy−PS)においては、Mo固定化量の増加とともにTOFが著しく低下することがわかった。このことから、ビピリジン基を含有するスチレンポリマー(BPy−PS)には、触媒性能を低下させることなく、多量のMoを固定化することは困難であることがわかった。
(実施例5)
攪拌子をセットした50mlの二口フラスコに、固体触媒として合成例1で得られたMo−BPy−PMO−TMS(20mg、0.30mmol−Mo/g、6.0μmol−Mo)、基質としてベンジルアルコール(0.03ml、0.3mmol)、内部標準物質としてメシチレン(0.70ml、5mmol)、及び溶媒としてトルエン(4.27ml)を秤量し、1L酸素バルーンを装着した後、110の温度条件下、回転速度650rpmで攪拌して、下記反応式(E2):
Figure 0006880532
で表される反応を行なった。反応中、所定時間毎に反応溶液(150μl)を採取し、遠心分離(12000rpm、3分間)により固体成分を除去した後、得られた上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−FID)により分析した。なお、GC−FID分析は、カラムとしてアジレント・テクノロジー株式会社製のCP−Wax52 CB(カラム長30m、内径0.53mm、膜厚1.0μm)を用い、試料溶液注入量0.2μl、カラム温度170℃、インジェクト/ディテクター温度220℃の条件を行なった。また、反応生成物は、GC−FID分析において保持時間を標準試料(別途購入したベンズアルデヒド)と比較することにより同定した。その結果、ベンズアルデヒドが生成していることが確認された。また、反応開始10時間後のベンズアルデヒドの収率は33.5%であった。さらに、Mo基準の触媒回転数(TON)は15.2であった。
(実施例6)
固体触媒として合成例5で得られた(Mo,Cu)−BPy−PMO−TMS(20mg、0.30mmol−Mo/g、6.0μmol−Mo、0.87mmol−Cu/g、17.4μmol−Cu)を用いた以外は実施例5と同様にして、下記反応式(E3):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、ベンズアルデヒドが生成していることが確認された。また、反応開始10時間後のベンズアルデヒドの収率は54.7%であった。さらに、Mo基準の触媒回転数(TON)は29.8であった。
(比較例6)
固体触媒として比較合成例1で得られたMo−BPy(4mg、0.012mmol−Mo)を用いた以外は実施例5と同様にして、下記反応式(C3):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、ベンズアルデヒドが生成していることが確認された。また、反応開始10時間後のベンズアルデヒドの収率は3.7%であった。さらに、Mo基準の触媒回転数(TON)は0.9であった。
(比較例7)
固体触媒として比較合成例2で得られたMo−BPy−FMS−TMS(20mg、0.29mmol−Mo/g、5.8μmol−Mo)を用いた以外は実施例5と同様にして、下記反応式(C4):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、ベンズアルデヒドが生成していることが確認された。また、反応開始10時間後のベンズアルデヒドの収率は19.6%であった。さらに、Mo基準の触媒回転数(TON)は9.9であった。
(比較例8)
固体触媒として比較合成例3で得られたMo−BPy−PS(20mg、0.23mmol−Mo/g、4.6μmol−Mo)を用いた以外は実施例5と同様にして、下記反応式(C5):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、ベンズアルデヒドが生成していることが確認された。また、反応開始10時間後のベンズアルデヒドの収率は11.8%であった。さらに、Mo基準の触媒回転数(TON)は6.1であった。
図13は、実施例5〜6及び比較例6〜8で用いた触媒のMo基準の触媒回転数(TON)を示すグラフである。図13に示した結果から明らかなように、実施例5のMo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラス有機シリカ(Mo−BPy−PMO−TMS)及び実施例6のMo原子に配位したビピリジン基とCu原子に配位したビピリジン基とを含有するメソポーラス有機シリカ((Mo,Cu)−BPy−PMO−TMS)は、比較例6のMoOClのMo原子にビピリジンが配位したもの(Mo−BPy)、比較例7のMo原子に配位したビピリジン基を含有するメソポーラスシリカ(Mo−BPy−FMS−TMS)及び比較例8のMo原子に配位したビピリジン基を含有するスチレンポリマー(Mo−BPy−PS)に比べて、高い触媒回転数TONを有しており、劣化しにくい酸化反応用固体触媒であることが確認された。
(実施例7)
固体触媒として合成例6で得られたV−BPy−PMO−TMS(20mg、0.19mmol−V/g、3.9μmol−V)を用いた以外は実施例5と同様にして、下記反応式(E4):
Figure 0006880532
で表される反応を行い、反応生成物を同定した。その結果、ベンズアルデヒドが生成していることが確認された。また、反応開始10時間後のベンズアルデヒドの収率は6.8%であった。さらに、V基準の触媒回転数(TON)は4.9であった。
以上説明したように、本発明によれば、Mo原子又はV原子を含有し、触媒性能に優れた固体触媒を得ることが可能となる。また、本発明の固体触媒は、酸化反応(特に、オレフィンやアルコールの酸化反応)において優れた触媒活性を示すため、オレフィンやアルコールの酸化反応等における酸化反応用固体触媒して有用である。

Claims (5)

  1. 下記式(1):
    Figure 0006880532
    〔前記式(1)中、Mは、配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい、Mo又はVを表し、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、下記式(2):
    Figure 0006880532
    (前記式(2)中、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基及びイミド基からなる群から選択される2価又は3価の有機基或いは単結合であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリル基を表し、Rは水素原子又はシリル基を表し、kは1又は2であり、iは1〜3の整数であり、jは0〜2の整数であり、1≦i+j≦3であり、iとjとの組み合わせは、複数存在する前記式(2)で表される基においてそれぞれ独立であり、*は隣接する構造との結合部位である。)
    で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
    で表わされる構造を備えるMo又はV含有メソポーラス有機シリカからなることを特徴とするオレフィンのエポキシ化反応又はアルコールの酸化反応における酸化反応用固体触媒。
  2. 前記式(1)で表される構造が前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカの骨格中に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の固体触媒。
  3. 前記式(1)中のR〜Rのうちの少なくとも1つの基及びR〜Rのうちの少なくとも1つの基がそれぞれ独立に前記式(2)で表される基であることを特徴とする請求項2に記載の固体触媒。
  4. 前記Mo又はV含有メソポーラス有機シリカが、下記式(3):
    Figure 0006880532
    〔前記式(3)中、Mは、配位子L及び/又は酸素原子が結合していてもよい、Mo及びV以外の他の金属原子を表し、R〜Rのうちの少なくとも1つの基は、前記式(2)で表される基であり、R〜Rのうちの残りの基はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、或いはアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される1価又は2価の有機基である。〕
    で表わされる構造を更に備えるものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の固体触媒。
  5. 前記他の金属原子がCuであることを特徴とする請求項4に記載の固体触媒。
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