JP4801399B2 - 樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法 - Google Patents

樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4801399B2
JP4801399B2 JP2005257161A JP2005257161A JP4801399B2 JP 4801399 B2 JP4801399 B2 JP 4801399B2 JP 2005257161 A JP2005257161 A JP 2005257161A JP 2005257161 A JP2005257161 A JP 2005257161A JP 4801399 B2 JP4801399 B2 JP 4801399B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica
resin
volume
composite structure
macropores
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005257161A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007070144A (ja
Inventor
智司 佐藤
亮治 高橋
正成 石附
勝博 松谷
直樹 三上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP2005257161A priority Critical patent/JP4801399B2/ja
Publication of JP2007070144A publication Critical patent/JP2007070144A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4801399B2 publication Critical patent/JP4801399B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)

Description

本発明は、新規な樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法に関する。詳しくは、
細孔直径が0.1〜50μmの連通孔に、50体積%以上で樹脂が充填された樹脂−シリカ複合構造体であって、高い曲げ強度と曲げ弾性率と、を有すると共に生体活性を有する樹脂−シリカ複合構造体及びその製造方法を提供する。
非晶質シリカは、高い生体活性を有することは知られており、工業的には、沈降シリカ(ホワイトカーボンともいう。)のような粉体、顆粒体として得られる一方、シリカゲルの如きモノリシックなゲル体として得られる。しかし、そのゲル体はある程度の曲げ強度は有するものの、脆く、曲げ強度と高い曲げ弾性率において満足するものではなかった。
そのため、前記人工骨のように一定の形状の構造体として取扱う際の破損や、生体への取付け後の欠けや割れ等の問題が懸念される。
この原因は、非晶質シリカの構造体は、前記シリカゲルに見られるように、一般にゲル化によって得られる場合が多く、得られるシリカ構造体は、多孔質であることにある。そのため、一般に曲げ強度が弱く、さらに、曲げ弾性率も低いものとなる。
上記シリカゲルの曲げ強度や曲げ弾性率を改善するための処理として、高温で焼成することにより、焼結を行う方法も考えられるが、この処理によれば、曲げ強度は向上するが、併せて曲げ弾性率も上昇するため、曲げ強度を十分高くすると、曲げ弾性率が上昇し過ぎ、骨の曲げ弾性率を超えてしまうという問題を有することが確認された。
従って、本発明の目的は、曲げ強度が高く、また、曲げ弾性率が骨と同程度であり、しかも、生体活性を示すシリカ構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、珪酸アルカリ、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を、ゲル化の進行による相分離の過渡状態でゲル化を完了させて得られるシリカは、モノリシックなゲル体として得られ、マクロ細孔がシリカ骨格に三次元網目状に形成された連通構造と、該マクロ細孔に連通するナノ細孔とを有するシリカ多孔質構造体であること、及び、上記マクロ細孔は、従来のシリカゲルの有するメソ細孔に比べて大きく、また、三次元網目状に連通していることに着目し、該マクロ細孔にモノマーを含浸させた後、これを重合させることにより、構造体中に均一に樹脂を存在させることができ、高い曲げ強度と曲げ弾性率と、を同時に達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、1cm 以上の容量を有し、全細孔容積が2〜3cm/gであり、細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔よりなるマクロ細孔と細孔直径が0.1μm未満のナノ細孔を有し、且つ、上記マクロ細孔を全細孔中の50〜98体積%の割合で有するシリカ多孔質構造体の上記マクロ細孔に樹脂が充填された構造を有することを特徴とする樹脂−シリカ複合構造体である。
また、本発明は、上記樹脂−シリカ複合構造体を再現性良く製造する方法として、細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔を、50〜98体積%の割合で有するシリカ多孔質構造体の上記連通孔にモノマーを含浸せしめた後、重合することを特徴とする樹脂−シリカ複合構造体の製造方法をも提供する。
本発明の樹脂−シリカ複合構造体は、非晶質シリカにより構成されるため、生体活性を示すと共に、従来のシリカゲルよりなるシリカ構造体には見られない高い曲げ強度と曲げ弾性率とを有する材料である。
従って、前記人工骨のように、曲げ強度と曲げ弾性率が望まれる用途において、優れた効果を発揮することが可能である。そして、かかる樹脂−シリカ複合構造体の実現により、従来のシリカ構造体の用途をさらに拡大することができ、その産業への寄与は極めて大きいものであるといえる。
本発明のように、構造体の強度を低下させるおそれのあるマクロ細孔を多く有するシリカ多孔質構造体を使用し、その構造を利用して構造体中に樹脂を充填することにより強度を向上させるという発想は極めて斬新なものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(樹脂−シリカ複合構造体)
本発明の樹脂−シリカ複合構造体は、細孔直径が0.1〜50μm、好ましくは、0.5〜10μmの範囲にある連通孔(マクロ細孔)を、全細孔中の50〜98体積%、好ましくは、50〜80体積%、更に好ましくは、60〜70体積%の割合で有するシリカ多孔質構造体の上記連通孔に樹脂が充填された構造を有する。
尚、本発明において、上記のシリカ多孔質構造体の連通孔を形成する細孔の細孔直径の測定は、水銀圧入法により測定した値をいう。
本発明において、前記シリカ多孔質構造体中に連通孔として存在する細孔の細孔直径が0.1μm以下の場合、後述する製造方法において、連通孔の内部にモノマー溶液を浸透させることが困難となり、目的とする樹脂−シリカ複合構造体を得ることが困難となる。また、シリカ多孔質構造体の連通孔の細孔直径が50μmを超えた場合、シリカ多孔質構造体中に連通孔を細かく存在させることが困難となり、樹脂−シリカ複合構造体の曲げ強度と曲げ弾性率とを十分向上することが困難となる。また、後述する製造方法においても、連通孔の内部に、モノマー溶液を保持することができない領域が存在し、均一な強度を有する樹脂−シリカ複合構造体を得ることが困難となる。
また、本発明において、前記シリカ多孔質構造体の連通孔の割合が50体積%未満の場合、連通孔に充填される樹脂が少なくなるため、曲げ弾性率を十分高くすることができない。また、連通孔は、全細孔の98体積%を占めることも可能であるが、工業的には、全細孔の80体積%程度が一般的である。
また、本発明のシリカ多孔質構造体の細孔容積は、70nm以上の細孔容積については水銀圧入法により、70nm以下の細孔容積については窒素吸着法により測定した値をいい、全細孔容積は上記の2つの細孔容積を足した値をいう。
本発明において、樹脂−シリカ複合構造体を構成するシリカ多孔質構造体の全細孔容積は、2〜3cmgである。
本発明の樹脂−シリカ複合構造体において、使用する樹脂は、重合前には液状で取扱うことができ、重合開始剤によって重合が開始される樹脂であれば何でもよい。例えば、ポリスチレン、ポリアクリレートなどが好適に使用される。
上記樹脂は、樹脂の充填率がシリカ多孔質構造体の全細孔容積に対して50体積%以上、好ましくは、70〜90体積%の割合となるように充填されていることが、本発明の効果をより高めるために好ましい。
また、この場合、樹脂はシリカ多孔質構造体における細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔よりなるマクロ細孔に主として存在することが好ましいが、0.1μm未満のナノ細孔内に存在してもよい。
本発明の樹脂−シリカ複合構造体の大きさや形状は特に制限されないが、1cmの容量を有するものが一般的であるが、製造上、100cm以下が好ましい。また、形状は、用途に応じて適宜決定される。
本発明の樹脂−シリカ複合構造体を構成するシリカ多孔質構造体は、シリカより成ることが好ましいが、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の金属酸化物成分を含有していてもよい。
(樹脂−シリカ複合構造体の製造方法)
本発明の樹脂−シリカ複合構造体の製造方法は、特に制限されるものではないが、細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔を、全細孔の50〜98体積%、好ましくは、50〜80体積%、更に好ましくは、60〜70体積%の割合で有するシリカ多孔質構造体の上記連通孔にモノマーを含浸せしめた後、重合することを特徴とする樹脂−シリカ複合構造体の製造方法が好適である。
上記製造方法において、シリカ多孔質構造体としては、珪酸アルカリ、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を、ゲル化の進行による相分離の過渡状態でゲル化を完了させて得られるシリカが好適である。かかるシリカは、二元細孔シリカとも言われ、マクロ細孔がシリカ骨格に三次元網目状に形成された連通構造と、該マクロ細孔に連通するナノ細孔とを有するシリカ多孔質構造体である。
上記二元細孔シリカの製造方法は、特に制限されない。例えば、特開2005−162504号公報によりかかる製造方法は公知であり、本発明においても、かかる反応を利用して目的のシリカ多孔質構造体を製造することができる。具体的には、まず、珪素源、水溶性高分子及び酸触媒を含むゾル液を、相分離を利用した手法により非晶質の多孔質シリカを作製する。
上記シリカ源としては、メトキシシラン、エトキシシラン等のケイ素アルコキシドや、水ガラスが特に制限なく用いられる。
また、水ガラスは、一般にはケイ酸アルカリ塩の濃厚水溶液であり、その種類や濃度は特に限定されないが、JIS規格の水ガラスである珪酸ナトリウムJIS3号またはそれと同等のものがシリカ源として取扱い易い。
尚、相分離とゲル化を同時に進行させて湿潤状態のゲルを作製するためには、シリカ源を含む溶液に水溶性高分子および酸触媒を存在させてゲル化を進める手段が有効に利用される。
更に、上記水溶性高分子は、水を溶媒としたとき適当な濃度の溶液を形成することができる有機高分子であって、シリカ源を含有する溶液中において均一に溶解することができるものが使用される。例えば、高分子金属塩であるポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、高分子酸であって解離してポリアニオンとなるポリアクリル酸、高分子塩基であってポリカチオンを生ずるポリアクリルアミンまたはポリエチレンイミン、中性高分子であって主鎖にエーテル結合を持つポリエチレンオキシド、側鎖にヒドロキシル基を有するポリビニルアルコール、もしくはカルボニル基を有するポリビニルピロリドン等が挙げられる。
これらのうち、ポリアクリル酸およびポリビニルアルコールが、取扱いが容易であり好ましい。ポリアクリル酸は分子量15000〜300000、好ましくは20000〜150000のものが好適である。
また、前記本発明の樹脂−シリカ複合構造体の製造方法において、酸触媒は、シリカ源の加水分解反応の触媒として働きゲル化を促進するために添加されるものであり、通常硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸または有機酸が使用される。かかる酸触媒の反応系における濃度は、0.1〜5モル/L、好ましくは1〜4モル/Lの範囲が好ましい。
本発明の二元細孔シリカよりなるシリカ多孔質構造体の製造方法において、ゾル液は、水等の極性溶媒を溶媒とし、これにシリカ源、水溶性高分子、酸触媒を所定量含有せしめることによって調製されることが好ましい。また、上記ゾル液を相分離の過渡状態でゲル化を完了してその構造を固定させる方法は、該ゾル液を密閉容器などに入れ、0〜80℃で、好ましくは10〜30℃で10分〜1週間、さらに好ましくは1時間〜24時間放置することにより行うことができる。
ここで、相分離は、上記ゾル液を放置することによって徐々に開始し、ここで、酸触媒の量、放置温度、放置時間を調整してゲル化時間を制御することによって、相分離が完全に起こる前の状態、即ち、相分離の過渡状態をゲル化により固定する。かかる過渡構造においては、シリカの重合体と溶媒相とが絡み合った状態で混在しており、これにより、シリカ骨格に三次元網目状に連通したマクロ細孔とこれに連通するナノ細孔とが形成されたゲル体が形成される。
上記方法によって得られるゲル体は、乾燥後、細孔直径が0.1〜50μm、好ましくは、0.5〜10μmの範囲にある連通孔を、全細孔の50〜98体積%、好ましくは、50〜80体積%、更に好ましくは、60〜70体積%の割合で有するように、後記の諸条件により調整される。また、ナノ細孔は特に制限されないが、細孔直径1〜50nm程度が一般的である。
上記ゲル体のナノ細孔径、マクロ細孔径、充填密度等の制御方法は、公知の方法に従って、適宜実施することができる。例えば、ナノ細孔径の制御は、塩基性溶媒に含浸漬させることにより、マクロ細孔径の制御は、珪素源の組成重量比により行うことができ、また、ナノ細孔およびマクロ細孔の容積の制御は、塩基性溶媒に含浸により行うことができる。また、充填密度は、塩基性溶媒に含浸により制御することができる。
また、ナノ細孔をより成長させるためには、前記ゲル体を水熱処理することが好ましい。かかる水熱処理は、水熱処理を行うゲル体の重量に対して、20〜40%のイオン交換水を使用して、オートクレーブ内で行うのが好ましい。また、温度条件は、100〜150℃の条件下でゲル体を処理する方法が、好適に採用される。
尚、ゾル液からゲル体を得るための前記方法において、シリカ源として水ガラスを用いる場合は、作製された湿潤ゲルを乾燥する前に洗浄する必要がある。これは、水ガラスからの湿潤ゲルをそのまま乾燥させると乾燥が進むにつれてゲルの崩壊が進むからである。従って、乾燥の前に湿潤ゲル内のナトリウム等のアルカリ金属を除去するために洗浄を行い、アルカリ金属塩として取り除くことが必要である。
洗浄は、ゲルを水に漬け、厚さが1cm程度あるゲルでは室温で12時間以上を目安に放置することにより行うが、ゲルの厚さがこれより薄ければより短時間で洗浄可能である。
水洗後のゲルは、30〜80℃で数時間〜数十時間放置して乾燥を行う。乾燥後、有機物を除去し、なおかつマクロ細孔構造を維持するために焼成する。焼成温度は、500〜1100℃が好ましい。
本発明の樹脂−シリカ複合構造体の製造方法において、前記の焼成後のシリカ多孔質構造体への樹脂の充填は、前記連通孔にモノマー溶液を含浸させることによって充填する方法が好適である。この場合、真空減圧下で行うことがモノマー溶液を効率よく含浸させるために好ましい。真空減圧にする方法は、特に限定されないが、例えば、アスピレーター、ダイヤフラムポンプ等を使用し真空減圧にするのが好ましい。
モノマー溶液を充填後、重合開始剤を作用せしめて、モノマー溶液を重合させ、樹脂にすることで、樹脂−シリカ複合構造体を得ることが出来る。その際の重合条件は使用する樹脂の公知の条件を採用することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(ナノ細孔の平均直径及び細孔容積の測定)
ここでは、窒素吸着法の測定限界のため、ナノ細孔を含む70nm以下の細孔についてのみに窒素吸着法を適用する。
高速比表面積/細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社製 ASAP2000)を用い、予め120℃で24時間乾燥し、秤量後200℃で2時間減圧処理した後の測定試料について吸着等温線を得、その結果から比表面積と細孔径分布を算出した。また、以下の式によって、得られる平均細孔径をナノ細孔径とした。
平均細孔径=(4・V・1000)/A
A(m/g):BETによって算出された比表面積
V(cm/g):窒素吸着によって算出された細孔容積
(マクロ細孔の細孔直径及び細孔容積の測定)
ここでは、水銀圧入法の測定限界のため、マクロ細孔を含む70nmを超える細孔についてのみに水銀圧入法を適用する。
予め120℃、12時間乾燥させた測定用試料を、細孔径分布測定装置(カンタクローム社製、POREMASTER−60)を用いて、水銀圧入法によりマクロ細孔の細孔径および細孔容積を測定した。測定で得られた細孔径分布において、70nm以上の領域に現れる細孔径分布の面積によって、平均細孔径を算出し、その平均細孔径をマクロ細孔の平均直径とした。
また、細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔の全細孔中の割合は、以下の式によって算出した。
Figure 0004801399
(樹脂の充填率の測定)
熱重量分析測定装置(差動型示差熱天秤 TG 8120:理学電機製)を使用して、試料の重量変化を測定した。その試料の重量変化量を樹脂の充填重量とみなし、以下の式を使用してポリスチレンの体積充填率を算出した。ただし、ポリスチレンの密度を、1.05g/cmとして、ポリスチレンの体積を算出した。
Figure 0004801399
(曲げ強度、および曲げ弾性率の測定)
曲げ強度、および曲げ弾性率は以下の式で算出される。
Figure 0004801399
Figure 0004801399
δ(MPa):曲げ強度
(GPa):曲げ弾性率
P(N):破壊時の荷重
L(mm):下部支点間距離
w(mm):試験片の幅
t(mm):試験片の厚さ
(N/mm):荷重−変位プロットの勾配
Figure 0004801399
破壊試験機として、小型卓上試験機 EZ Test(島津製作所製)を使用した。また、試料片は、金属製の型を用いて、幅4mm、厚さ:3mm、長さ40mmの直方体に削りだし、試料とした。削りだしについては、回転砥石で削りだした後、紙ヤスリの200番、400番、1000番の順に使用して、仕上げとした。
(生体活性の確認)
一般に、擬似体液(Simulated Body Fluid:SBF)と呼ばれる液体に試料を浸漬し、その試料表面にアパタイト層の形成が確認できれば、生体活性があると言える。擬似体液の組成を、表1に示す。表1に示した擬似体液を1.5倍の濃度にし、36.5℃の雰囲気にて、試料を1週間、浸漬させた。擬似体液から取り出し後、蒸留水で洗浄した。その後、50℃の恒温槽で乾燥させ、SEMで表面を観察し、生体活性を評価した。
Figure 0004801399
実施例1
平均分子量25,000のポリアクリル酸(以下HPAAという)共存下、水ガラス(3号珪曹)より、二元細孔シリカを作製した。仕込み組成は、重量比で水:濃硝酸:HPAA=97:37:6.5となる酸性の水溶液に、水ガラス:水=55:60の溶液を室温で攪拌し、均一なゾル液とした。この時、ゾル液の比重は1.2であった。
撹拌後、ナトリウムを除去するために該ゲルを水洗した。水洗後、0.1mol/lのアンモニア溶液に浸漬し、熟成を行った。熟成温度は50℃、熟成時間は1日とした。熟成後、50℃で乾燥させ、600℃で2時間焼成を行った。
焼成後、真空減圧下にし、ポリスチレンのモノマー溶液に得られたゲル体を含浸させた。ゲル体にモノマーを充填後、重合開始剤を投入し、モノマーを重合させ、ポリスチレン−シリカ複合構造体を得た。
その後、得られた樹脂−シリカ複合構造体の諸物性を評価し、表2に示した。表2に示すように、細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔が全細孔中に対して、65体積%の割合であった。また、曲げ強度は、20.9MPaであり、曲げ弾性率は1.6GPaであった。更に、ポリスチレンの体積充填率は、シリカ多孔質構造体に対して80体積%であった。
図1に、試料の断面SEM写真を示す。図1に示すように、連通孔には、ポリスチレンが充填されていることが分かる。また、図2に、樹脂−シリカ複合構造体を擬似体液に浸漬させた試料の表面のSEM写真を示す。図2に示すように、試料の表面に、全体にわたってアパタイト層が形成されており、生体に対して活性があることが確認された。
比較例1
焼成後のゲルにモノマー溶液を含浸させなかった以外は、実施例1と同様にして、シリカ構造体を作製した。
結果を表2に示す。表2に示したように、曲げ強度と曲げ弾性率は低いことが確認された。
比較例2
焼成温度が600℃から1000℃に変更された以外は、比較例1と同様にして、シリカ構造体を作製した。
結果を表2に示す。焼成温度を変更しても、曲げ強度、曲げ弾性率はほとんど改善されなかった。
Figure 0004801399
樹脂−シリカ複合構造体の断面SEM写真 擬似体液浸漬後の樹脂−シリカ複合構造体の表面SEM写真

Claims (4)

  1. 1cm 以上の容量を有し、全細孔容積が2〜3cm/gであり、細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔よりなるマクロ細孔と細孔直径が0.1μm未満のナノ細孔を有し、且つ、上記マクロ細孔を全細孔中の50〜98体積%の割合で有するシリカ多孔質構造体の上記マクロ細孔に樹脂が充填された構造を有することを特徴とする樹脂−シリカ複合構造体。
  2. 樹脂の充填率がシリカ多孔質構造体の細孔容積に対して50体積%以上である請求項1記載の樹脂−シリカ複合構造体。
  3. 1cm 以上の容量を有し、全細孔容積が2〜3cm/gであり、細孔直径が0.1〜50μmの範囲にある連通孔よりなるマクロ細孔と細孔直径が0.1μm未満のナノ細孔を有し、上記マクロ細孔を全細孔中の50〜98体積%の割合で有するシリカ多孔質構造体の上記マクロ細孔にモノマーを含浸せしめた後、重合することを特徴とする樹脂−シリカ複合構造体の製造方法。
  4. モノマーの含浸を、真空減圧下にて請求項1記載のシリカ多孔体とモノマー溶液を接触させることによって行う請求項2記載の樹脂−シリカ複合構造体の製造方法。
JP2005257161A 2005-09-05 2005-09-05 樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法 Active JP4801399B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005257161A JP4801399B2 (ja) 2005-09-05 2005-09-05 樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005257161A JP4801399B2 (ja) 2005-09-05 2005-09-05 樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007070144A JP2007070144A (ja) 2007-03-22
JP4801399B2 true JP4801399B2 (ja) 2011-10-26

Family

ID=37931924

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005257161A Active JP4801399B2 (ja) 2005-09-05 2005-09-05 樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4801399B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8961661B1 (en) * 2012-10-24 2015-02-24 Hrl Laboratories, Llc Polymer/scaffold nanocomposites for hydrogen storage
KR101567779B1 (ko) 2014-09-16 2015-11-11 부산대학교 산학협력단 금속 이온 고선택성 유기-무기 하이브리드 나노 세공 실리카 물질과 이의 제조방법

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6191082A (ja) * 1984-10-12 1986-05-09 旭化成株式会社 新規なる無機・有機複合体とその製造方法
JP2644681B2 (ja) * 1994-07-05 1997-08-25 工業技術院長 連結シリカ球状粒子からなる三次元網状構造体と樹脂とによる相互貫入型複合体およびその製造方法
JP2003246811A (ja) * 2001-12-07 2003-09-05 Merck Patent Gmbh シリカ粒子を含むポリマー系材料、その製造方法、その利用
JP2005162504A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Tokuyama Corp 二元細孔シリカ粒子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007070144A (ja) 2007-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6911192B2 (en) Method for preparing inorganic porous material
JP4361278B2 (ja) 無機多孔質材料の製造法
JP4641813B2 (ja) 二元細孔シリカ及びその製造方法
冨田由美子 et al. Humidity control ability of silica with bimodal pore structures prepared from water glass
JP4801399B2 (ja) 樹脂−シリカ複合構造体およびその製造方法
CN102309928A (zh) 防止热裂解的沸石分离膜及其制作方法
Wang et al. Hierarchical zeolite structures with designed shape by gel-casting of colloidal nanocrystal suspensionsElectronic supplementary information (ESI) available: nickel doping procedure. S-Fig. 1: pore size distributions. S-Fig. 2: nickel and silicon mapping images. see http://www. rsc. org/suppdata/cc/b1/b104275k
KR20120137111A (ko) 메조기공을 갖는 코어-쉘 실리카 입자 제조방법
JP2007182341A (ja) メソポーラスシリカ前駆体溶液、その製造方法及びメソポーラスシリカ
JP4427545B2 (ja) 水/アルコール分離用チタニア複合膜とこれの製造方法
CN107973615B (zh) 一种介孔γ-Al2O3陶瓷膜及其制备方法
Nakanishi et al. Dual-porosity silica gels by polymer-incorporated sol-gel process
JP5059428B2 (ja) 二元細孔シリカの製造方法
JP4693531B2 (ja) 二元細孔シリカの製造方法
JP4684813B2 (ja) 二元細孔シリカの製造方法
CN107398304B (zh) 乙烯环氧化用银催化剂的α-氧化铝载体及其制备方法
Ahmad et al. Fabricating sol–gel glass monoliths with controlled nanoporosity
JP5354577B2 (ja) リン吸着剤及び製造方法
KR20170121469A (ko) 다공성 유/무기 복합체 및 이의 제조방법
JP2005219955A (ja) 結晶性無機多孔質材料およびその製造方法
JP4268548B2 (ja) 二元細孔シリカの製造方法
JP4559813B2 (ja) 二元細孔シリカビーズの製造方法
JP2006124204A (ja) 大細孔径繊維状多孔質シリカ粒子とその製造方法
JP4606035B2 (ja) マクロ細孔を有する結晶性シリカ系多孔質材料
JP4606340B2 (ja) 結晶性シリケート多孔質体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070312

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A681

Effective date: 20100112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100323

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100629

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110719

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110805

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140812

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350