JP2002080216A - 多孔体およびその製造方法 - Google Patents

多孔体およびその製造方法

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JP2002080216A
JP2002080216A JP2000273368A JP2000273368A JP2002080216A JP 2002080216 A JP2002080216 A JP 2002080216A JP 2000273368 A JP2000273368 A JP 2000273368A JP 2000273368 A JP2000273368 A JP 2000273368A JP 2002080216 A JP2002080216 A JP 2002080216A
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macropores
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pore
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JP2000273368A
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Yasutomo Goto
康友 後藤
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
Shinichi Ogata
眞一 小形
Yoshihiro Sugi
義弘 杉
Yoshihiro Kubota
好浩 窪田
Yasuki Imada
安紀 今田
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸着材や分離材として用いた場合に、吸着・
分離の選択性および速度を高くすることが可能な多孔体
を提供すること。また、吸着材や分離材として用いた場
合に、吸着・分離の選択性および速度を高くすることが
可能な多孔体を製造可能な製造方法を提供すること。 【解決手段】 中心細孔直径が1〜10nmのメソ細孔
と、細孔直径が0.05〜0.5μmのマクロ細孔とを
有する多孔体であって、前記多孔体の全細孔容積に占め
る、前記中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有す
る細孔の全容積の割合が、窒素吸着法に基いて60〜9
8%であり、前記多孔体の全細孔容積に占める前記マク
ロ細孔の全容積の割合が、水銀圧入法に基いて20〜5
0%であることを特徴とする多孔体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔体およびその
製造方法に関し、より詳しくは、メソ細孔およびマクロ
細孔を有する多孔体、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】直径2〜50nmのメソ細孔が非常に規
則的に配列したシリカ系の多孔体が、特定のシリカ原料
と界面活性剤から得られることが見出されて以来(例え
ば、C.T. Kresge et al., Nature, vol.359, p710, 199
2、S. Inagaki et al., J. Chem. Soc., Chem. Commu
n., 680, 1993等参照)、細孔のサイズの均一性に優れ
た多孔体の研究が積極的に行われている。
【0003】それに伴って、サイズの異なる細孔が共存
する多孔体の研究も進められている。例えば、特開平1
1−128744号公報には、細孔径が40〜200Å
のメソ細孔と0.1〜5μmのマクロ細孔を有するγ−
アルミナを主成分とする多孔体が開示されており、特開
平9−295811号公報には、細孔径が0.35〜2
nmのミクロ細孔と、2〜50nmのメソ細孔と、50
nm〜1000μmのマクロ細孔とがフラクタル規則に
従って分布している多孔体が開示されている。また、特
開平7−187846号公報には、ミクロ細孔、メソ細
孔およびマクロ細孔を特定の割合有する網状多孔体が開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された多孔体は、例えば、吸着材や分離材とし
て用いた場合に、選択吸着性や選択分離性が十分でな
く、吸着・分離の速度も遅いという問題があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
なされたものであり、吸着材や分離材として用いた場合
に、吸着・分離の選択性および速度を高くすることが可
能な多孔体および該多孔体を製造する方法を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、上記従来技術の
問題点は、以下に示すように細孔径の不均一性に起因す
るものであることを見出した。すなわち、特開平11−
128744号公報に開示されたγ−アルミナ系の多孔
体においては、その製造方法から明らかなようにメソ細
孔およびマクロ細孔の細孔径の均一性に劣るものであっ
た。また、特開平9−295811号公報に開示された
多孔体は、吸着等温線(当該公報における図15)に示
されているように相対圧が0.20〜0.80の範囲に
おいて曲線に立ち上がり部分がなく、メソ細孔の細孔径
の均一性に劣るものであった。さらに、特開平7−18
7846号公報に開示された網状多孔体は、細孔径と積
算細孔容積との関係図(当該公報における図1)に示さ
れているように、200Å(20nm)以下の領域では
曲線の立ち上がりが見られず、このような範囲の径を有
した細孔の均一性に劣るものであった。
【0007】本発明者らは上記の知見に基づいてさらに
研究を進めた結果、特定サイズのメソ細孔の均一性が高
く、且つ、特定サイズのマクロ細孔の容積率がある一定
の範囲内にある多孔体を用いることによって、上記目的
が達成可能であることを見出した。また、マクロ細孔を
有する多孔体を特定の濃度の塩基性水溶液に添加し、こ
れに界面活性剤を加えた後、加熱することにより上記特
性を有する多孔体を製造可能であることを見出し、本発
明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明の多孔体は、中心細孔直
径が1〜10nmのメソ細孔と、細孔直径が0.05〜
0.5μmのマクロ細孔とを有する多孔体であって、前
記多孔体の全細孔容積に占める、前記中心細孔直径の±
40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が、
窒素吸着法に基いて60〜98%であり、前記多孔体の
全細孔容積に占める前記マクロ細孔の全容積の割合が、
水銀圧入法に基いて20〜50%であることを特徴とす
る。
【0009】本発明の多孔体は、上記のように、中心細
孔直径1〜10nmのメソ細孔を有しているために多く
の低分子化合物の包接に適しており、また、細孔径の均
一性が優れているために、例えば、吸着材や分離材とし
て用いた場合に優れた選択吸着性や選択分離性を発揮す
る。さらに、全細孔容積に占める、細孔直径0.05〜
0.5μmのマクロ細孔の全容積の割合が上記の範囲で
あるために、吸着や分離の対象となる物質が多孔体内で
迅速に拡散し、吸着・分離の速度が向上する。すなわ
ち、特定量含まれるマクロ細孔により多孔体内部に迅速
に吸着・分離の対象物が拡散し、拡散した対象物が高い
選択性でメソ細孔に取り込まれる。
【0010】本発明においては、前記多孔体は針状物質
の集合体であり、隣接する該針状物質に仕切られること
により前記マクロ細孔が形成されており、さらに、前記
メソ細孔は該針状物質に形成されていることが好まし
い。多孔体がこのような構造を有している場合は、吸着
・分離の選択性や速度がより優れるようになる傾向にあ
る。
【0011】本発明の多孔体の製造方法は、(1)塩基
性物質の濃度が0.01〜5mol/Lである塩基性水
溶液にマクロ細孔を有する多孔体を添加し多孔体含有溶
液を得る工程と、(2)前記多孔体含有溶液に界面活性
剤を添加し、前記マクロ細孔を有する多孔体と前記界面
活性剤との複合体を含む溶液を得る工程と、(3)前記
複合体を含む溶液を40℃以上で加熱し、前記マクロ細
孔を有する多孔体にメソ細孔を形成せしめる工程とを含
むことを特徴とする。上記の工程を含む多孔体の製造方
法により、前記本発明の多孔体を得ることができる。
【0012】本発明の多孔体の製造方法においては、前
記マクロ細孔を有する多孔体は、該多孔体の全細孔容積
に占める、細孔直径0.05〜0.5μmのマクロ細孔
の全容積の割合が、水銀圧入法に基いて20〜50%で
ある多孔体であることが好ましい。本発明の製造方法に
よれば、原料である多孔体のマクロ細孔を維持しつつ該
多孔体にメソ細孔を形成することが可能であるため、細
孔直径0.05〜0.5μmのマクロ細孔の全容積の割
合が上記のような範囲である多孔体を原料として用いる
ことにより、本発明の多孔体の製造がより容易となり、
また、この結果得られる多孔体の吸着・分離の選択性や
速度がより向上する傾向にある。
【0013】本発明の多孔体の製造方法においては、前
記マクロ細孔を有する多孔体は、繊維状カルシウムシリ
ケート結晶からカルシウムを除去して得られる多孔体で
あることが好ましい。原料である多孔体として上記のよ
うな種類のものを用いることにより、最終的に得られる
多孔体を針状物質の集合体とすることができる。また、
この場合において、隣接する針状物質で仕切られる部分
をマクロ細孔とすることができ、針状物質にメソ細孔を
形成することが可能となる。したがって、吸着・分離の
選択性や速度がより優れた多孔体を得ることが可能にな
る。
【0014】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の多孔体について説
明する。本発明の多孔体は、中心細孔直径が1〜10n
mのメソ細孔と、細孔直径が0.05〜0.5μmのマ
クロ細孔とを有する多孔体であって、前記多孔体の全細
孔容積に占める、前記中心細孔直径の±40%の範囲内
の直径を有する細孔の全容積の割合が、窒素吸着法に基
いて60〜98%であり、前記多孔体の全細孔容積に占
める前記マクロ細孔の全容積の割合が、水銀圧入法に基
いて20〜50%であることを特徴とするものである。
【0015】本発明においてメソ細孔の中心細孔直径と
は、以下に述べるような操作(窒素吸着法)により求め
られる細孔直径をいう。すなわち、多孔体を液体窒素温
度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、導入す
る窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する
窒素ガスの吸着量をプロットして吸着等温線を得る。こ
の吸着等温線から、BJH法を用いることにより、細孔容
積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)
を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分
布曲線)を求める。中心細孔直径とはこの細孔径分布曲
線の最大ピークにおける細孔直径である。
【0016】本発明の多孔体は、上記の方法に基いて測
定した中心細孔直径が1〜10nmであるメソ細孔を有
している。中心細孔直径が1nm未満である場合は、多
孔体を吸着材や分離材に用いたときに、吸着や分離の対
象となる物質が非常に分子サイズの小さいものに限定さ
れるため、用途が非常に制限されてしまう。一方、中心
細孔直径が10nmを超える場合は、多孔体を吸着材や
分離材に用いた場合に、吸着や分離の対象となる多くの
低分子化合物の分子サイズに比較して細孔径が大きくな
りすぎ、吸着・分離の効率が低下してしまう。すなわ
ち、本発明においては中心細孔直径が1〜10nmのメ
ソ細孔を有することにより、多孔体は多くの低分子化合
物の吸着や分離に適するようになる。
【0017】本発明においては、多孔体の全細孔容積に
占める、上記中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を
有する細孔の全容積の割合は、上記の窒素吸着法に基い
て60〜98%である。ここで、「中心細孔直径の±4
0%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60
〜98%である」とは、例えば、上記の窒素吸着法によ
り求めた中心細孔直径が3.00nmである場合、この
3.00nmの±40%の範囲内、すなわち1.80〜
4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔
容積の60〜98%を占めていることを意味する。した
がって、窒素吸着法に基く本発明の多孔体の細孔径分布
曲線は、細孔径1〜10nmを中心として鋭いピークを
持った曲線となり、細孔径の分布が非常に狭いものとな
る。
【0018】中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を
有する細孔の全容積の割合が全細孔容積の60%未満で
ある場合は、細孔径の均一性が劣るため、例えば、多孔
体を吸着材や分離材として用いた場合における、吸着・
分離の選択性が低下する。一方、この割合が98%を超
える場合は、マクロ細孔の容積が不十分となる。本発明
においては、多孔体の全細孔容積に占める、上記中心細
孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積
の割合は70〜98%であることが好ましく、80〜9
8%であることがより好ましい。
【0019】本発明の多孔体は、上記のようなメソ細孔
を有するとともに細孔直径0.05〜0.5μmのマク
ロ細孔を有するものであり、多孔体の全細孔容積に占め
る該マクロ細孔の全容積の割合は、水銀圧入法に基いて
20〜50%である。
【0020】ここで、水銀圧入法に基くマクロ細孔の全
容積の割合とは、以下のようにして求められるものをい
う。すなわち、室温で多孔体を水銀に浸漬し、細孔に導
入する水銀の圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する
水銀の吸着量から細孔径と積算細孔容積の関係をプロッ
トする。多孔体の全細孔容積はこのプロットにおける積
算細孔直径の最大値であり、細孔直径0.05〜0.5
μmのマクロ細孔の全容積は、このプロットにおける細
孔径0.05μmの積算細孔容積と細孔径0.5μmの
積算細孔容積との差であるから、後者を前者で除して1
00倍することにより、細孔直径0.05〜0.5μm
のマクロ細孔の全容積の割合を求めることができる。
【0021】細孔直径0.05〜0.5μmのマクロ細
孔の全容積の割合が20%未満である場合は、本発明の
多孔体を吸着材や分離材として用いた場合、吸着や分離
の対象となる物質が多孔体内で拡散する速度が低下し、
吸着・分離の性能が劣るようになる。一方、上記割合が
50%を超す場合は、メソ細孔の容積率が相対的に低く
なり、吸着・分離の選択性が不十分となる。
【0022】なお、水銀圧入法に基いて本発明の多孔体
におけるマクロ細孔の細孔径分布曲線を求めることが可
能であり、その細孔径分布曲線の最大ピークにおける細
孔直径を本発明の多孔体のマクロ細孔の中心細孔直径と
することができる。ただし、中心細孔直径を求めるにあ
たり、細孔以外(例えば、隣り合う細孔間の空隙)に水
銀が圧入されたことに基くピークは除外する必要があ
る。このようにして求められる本発明の多孔体における
マクロ細孔の中心細孔直径は、0.05〜0.5μmが
好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましい。
【0023】上記のように、本発明においては細孔がメ
ソ細孔である場合とマクロ細孔である場合で細孔径やそ
の分布を求める方法が異なる。これは、メソ細孔とマク
ロ細孔の両方を同一の手法により評価することが困難で
あることによる。すなわち、メソ細孔の場合に適用され
る窒素吸着法ではマクロ細孔の細孔径やその分布を正確
に求めることが困難であり、逆に、マクロ細孔の場合に
適用される水銀圧入法ではメソ細孔の細孔径やその分布
を正確に求めることが困難であることによる。また、こ
れらの方法は細孔に導入する物質の性質が大きく異なる
ことから、窒素吸着法で求めたメソ細孔の全容積の割合
(%)と、水銀圧入法で求めたマクロ細孔の全容積の割
合(%)との和が100%を超えることもありうる。
【0024】本発明の多孔体は上記のようなメソ細孔と
マクロ細孔を有するものであればよく、その構成元素は
特に制限されない。多孔体の構成元素としては、例え
ば、ケイ素酸化物、ケイ素複酸化物、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化タングステン等の酸化物を
挙げることができる。ケイ素複酸化物としては、ケイ素
とアルミニウムとの複酸化物、ケイ素とマグネシウムと
の複酸化物を挙げることができる。本発明においては、
多孔体の構成元素はケイ素酸化物またはケイ素複酸化物
であることが好ましい。
【0025】本発明の多孔体の形状は特に制限されない
が、粒子状であることが好ましく、また、針状物質の集
合体であることが好ましい。多孔体が針状物質の集合体
である場合は、隣接する針状物質に仕切られることによ
りマクロ細孔が形成され、メソ細孔は針状物質に形成さ
れていることが好ましい。多孔体が粒子状である場合
は、その粒径は0.1〜10μmであることが好まし
い。また、針状物質の形状は特に制限されないが、長径
が1〜10μm程度、短径が0.05〜1μm程度の針
状物質であることが好ましい。この針状物質は、上記例
示したような構成元素からなるものが好ましく、繊維状
カルシウムシリケートから、酸処理等によりカルシウム
を除去して得られるシリケート(ケイ素酸化物)である
ことがより好ましい。
【0026】次に、本発明の多孔体の製造方法について
説明する。本発明の多孔体の製造方法は、塩基性物質の
濃度が0.01〜5mol/Lである塩基性水溶液にマ
クロ細孔を有する多孔体を添加し多孔体含有溶液を得る
工程(以下、場合により第1の工程と呼ぶ)と、前記多
孔体含有溶液に界面活性剤を添加し、前記マクロ細孔を
有する多孔体と前記界面活性剤との複合体を含む溶液を
得る工程(以下、場合により第2の工程と呼ぶ)と、前
記複合体を含む溶液を40℃以上で加熱し、前記マクロ
細孔を有する多孔体にメソ細孔を形成せしめる工程(以
下、場合により第3の工程と呼ぶ)と、を含むものであ
る。この製造方法により、上述した本発明の多孔体を製
造することが可能となる。
【0027】第1の工程において、塩基性水溶液にマク
ロ細孔を有する多孔体を添加し多孔体含有溶液を得る。
塩基性物質の濃度が0.01〜5mol/Lである塩基
性水溶液は非常に塩基性の高い水溶液であり、通常12
以上のpHを示す。このような高塩基性水溶液にマクロ
細孔を有する多孔体を添加することにより、多孔体の構
成成分の化学結合の一部が切断される。このとき、切断
される化学結合は一部であるためマクロ細孔は維持され
る。例えば、マクロ細孔を有する多孔体としてケイ素酸
化物からなる多孔体を用いた場合は、−Si−O−Si
−結合の一部が切断される。このように、化学結合の一
部が切断されることにより、マクロ細孔を有する多孔体
にメソ細孔を形成することが可能となる。塩基性物質の
濃度が0.01mol/L未満である場合は、化学結合
の切断が生じないためメソ細孔が形成されない。一方、
塩基性物質の濃度が5mol/Lを超す場合は、化学結
合の切断が過剰に進みマクロ細孔が消失してしまう。し
たがって、塩基性物質の濃度は0.01〜5mol/L
に制御されなければならない。
【0028】第1の工程において用いられる塩基性物質
は特に制限されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カルシウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリ
エチルアミンを挙げることができる。また、マクロ細孔
を有する多孔体は特に制限されないが、ケイ素酸化物
(ケイ素複酸化物を含む)からなる多孔体であることが
好ましく、繊維状カルシウムシリケート結晶から、酸処
理等によりカルシウムを除去して得られた多孔体である
ことがより好ましい。このような多孔体としては、リー
チドカルシウムシリケート(Leached Calcium Silicat
e)が挙げられ、この多孔体を原料として用いることに
より、最終的に得られる多孔体を針状物質の集合体とす
ることができる。
【0029】マクロ細孔を有する多孔体としては、さら
に、多孔体の全細孔容積に占める、細孔直径0.05〜
0.5μmのマクロ細孔の全容積の割合が、水銀圧入法
に基いて20〜50%である多孔体を用いることが好ま
しい。本発明においては、原料である多孔体のマクロ細
孔を維持しつつ該多孔体にメソ細孔を形成することが可
能であるため、細孔直径0.05〜0.5μmのマクロ
細孔の全容積の割合が上記のような範囲である多孔体を
原料として用いることにより、本発明の多孔体の製造が
より容易となる。
【0030】なお、第1の工程においては、塩基性水溶
液はメタノール等のアルコールやその他の有機溶剤を含
むものであってもよい。また、マクロ細孔を有する多孔
体を塩基性水溶液に添加して得られる溶液は、室温〜5
0℃で10分〜1時間攪拌することが好ましい。
【0031】第2の工程においては、第1の工程で得ら
れた多孔体含有溶液に界面活性剤を添加し、第1の工程
で添加したマクロ細孔を有する多孔体と、この界面活性
剤との複合体を含む溶液を得る。
【0032】第1の工程によりマクロ細孔を有する多孔
体の構成成分の化学結合の一部が切断される。第2の工
程において添加される界面活性剤は、このように化学結
合が切断された多孔体と複合体を形成する。このとき、
界面活性剤は複合体中で凝集しミセル等を形成すると考
えられ、界面活性剤が凝集した部分が最終的にメソ細孔
となる。したがって、界面活性剤は、マクロ細孔を有す
る多孔体にメソ細孔を形成するためのテンプレートとし
て機能する。
【0033】第2の工程において添加される界面活性剤
の量は特に制限されないが、第1の工程において用いら
れるマクロ細孔を有する多孔体が、ケイ素酸化物(また
はケイ素複酸化物)からなる場合は、界面活性剤のモル
数は該多孔体中のケイ素原子のモル数の1/10〜1/
1倍とすることが好ましい(以下、場合により、界面活
性剤のモル数と多孔体中のケイ素原子のモル数の比を、
界面活性剤/Siと呼ぶ)。上述のように、界面活性剤
はメソ細孔を形成させるためのテンプレートとして働く
ために、界面活性剤/Siが1/10未満である場合
は、テンプレートが形成されなかったり形成されても不
安定になったりすることがあるため、メソ細孔が形成さ
れ難くなる傾向にある。一方、界面活性剤/Siが1/
1を超す場合は、界面活性剤に余剰分が生じる傾向にあ
る。本発明においては、界面活性剤/Siは1/2であ
ることがさらに好ましい。
【0034】第2の工程において用いられる界面活性剤
の種類は特に制限されないが、下記一般式(1)で表さ
れるアルキルアンモニウムハライドであることが好まし
い。
【0035】
【化1】 [式中、R1、R2およびR3は同一でも異なっていても
よい炭素数1〜3のアルキル基、Xはハロゲン原子、n
は5〜21の整数をそれぞれ示す。]
【0036】一般式(1)におけるR1、R2、R3は同
一でも異なっていてもよいが、界面活性剤分子の対称性
の観点から同一であることが好ましい。界面活性剤分子
の対称性が優れる場合は、界面活性剤同士の凝集(ミセ
ルの形成等)が容易となる傾向にある。また、R1
2、R3のうち少なくとも1つはメチル基であることが
好ましく、R1、R2、R3の全てがメチル基であること
がより好ましい。R1、R 2、R3の全てがメチル基であ
る場合は、一般式(1)はアルキルトリメチルアンモニ
ウムハライドとなる。また、上記一般式(1)における
nは7〜17の整数であることが好ましく、7、9、1
1、13、15または17であることがさらに好まし
い。Xのハロゲン原子の種類は特に制限されないが、入
手の容易さの観点からXは塩素原子または臭素原子であ
ることが好ましい。
【0037】好適な界面活性剤としては、例えば、オク
チルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメ
チルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニ
ウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミ
ド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシ
ルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリ
メチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチル
アンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモ
ニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
ブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリ
ド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が
挙げられる。
【0038】第2の工程においては、界面活性剤を添加
した後、室温〜50℃で30分〜2時間攪拌することに
より、多孔体と界面活性剤との複合体を含む溶液を調製
することが好ましい。
【0039】第3の工程においては、第2の工程で得ら
れた複合体を含む溶液を40℃以上で加熱し、マクロ細
孔を有する多孔体にメソ細孔を形成せしめる。複合体を
含む溶液を加熱する温度は、40〜200℃であること
が好ましい。加熱温度が40℃未満である場合は反応が
進行しない。または、反応の進行が遅すぎて実用的では
ない。加熱温度が200℃を超す場合は界面活性剤の構
造が壊れる場合がある。加熱の方法は特に制限されない
が、第2の工程において得られた複合体を含む溶液を密
閉容器に入れ、40〜200℃で1〜150時間加熱し
水熱合成することが好ましい。
【0040】本発明の多孔体の製造方法においては、第
1の工程と第2の工程の間に、第1の工程で得られた多
孔体含有溶液に、該多孔体含有溶液が含む塩基性物質1
モル当たり1/10〜1/2モルの酸性物質を添加し酸
添加溶液を得る工程を実施してもよい。第1の工程によ
りマクロ細孔を有する多孔体の構成成分の化学結合の一
部が切断されるが、第1の工程において塩基性が高い場
合は上記のように酸性物質を添加することにより、化学
結合の切断が過度に進行しないように維持することがで
きる。また、酸性物質の添加により、第1の工程で用い
る多孔体の形状を残したままでのメソ細孔の形成がより
容易となる。本工程において、塩基性物質1モルに対し
て添加する酸性物質のモル数が1/10未満である場合
は、塩基性低下の度合いが不十分となる傾向にある。一
方、塩基性物質1モルに対して添加する酸性物質のモル
数が1/2を超える場合は、系が中性に近づくためにメ
ソ細孔を形成し難くなる傾向にある。なお、本工程にお
いて酸性物質を添加するが、添加量が上記の比率である
ため、添加後においても系は塩基性を示す(典型的に
は、pH11以上)。本工程において用いられる酸性物
質は特に制限されない。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リ
ン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸等を好適に用いること
ができる。また、本工程においては、酸添加溶液を得る
にあたり室温〜50℃で10分〜1時間攪拌することが
好ましい。
【0041】本発明においては、第2の工程で得られた
多孔体と界面活性剤との複合体を含む溶液に対して、さ
らに水を添加する工程を実施した後、第3の工程を行う
こともできる。水を添加することにより、マクロ細孔を
有する多孔体としてケイ素酸化物(またはケイ素複酸化
物)からなる多孔体を用いた場合における加水分解重縮
合反応をより進行させることができる。
【0042】本発明においては、また、第3の工程終了
後、第3の工程において得られた、メソ細孔およびマク
ロ細孔を有する多孔体を含有する溶液に対して、酸性物
質を添加してpHを5〜12に調整する工程を実施し、
さらに、pHが5〜12に調整された溶液を、40℃以
上で加熱する工程を実施することが好ましい。
【0043】pHを5〜12に調整して40℃以上で加
熱することにより、第3の工程で得られた、メソ細孔お
よびマクロ細孔を有する多孔体の構造をより強固なもの
にすることができる。例えば、第1の工程においてマク
ロ細孔を有する多孔体としてケイ素酸化物(またはケイ
素複酸化物)からなる多孔体を用いた場合においては、
第1の工程で−Si−O−Si−結合の一部が切断さ
れ、シラノール基(−Si−OH)等が生じている。シ
ラノール基等は第3の工程において縮合し、再び−Si
−O−Si−結合が生じるものの、第3の工程だけでは
この結合の生成が不十分になることがある。したがっ
て、第3の工程後、系のpHを5〜12に調整して40
℃以上で加熱することにより、縮合反応をさらに進行さ
せることが可能になる。
【0044】pHを5〜12に調整する時に用いられる
酸性物質は特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸等を用いること
ができる。pHを5〜12に調整した後の加熱は40〜
200℃で実施することがより好ましい。加熱が40℃
未満である場合は反応が進行しなかったり、反応の進行
が遅すぎて実用的ではなかったりすることがある。加熱
温度が200℃を超す場合は界面活性剤の構造が壊れる
場合がある。加熱の方法は特に制限されないが、密閉容
器中で40〜200℃にて1〜150時間加熱し水熱合
成することが好ましい。
【0045】上記第3の工程終了後、水等の揮発成分を
除去し、蒸留水や脱イオン水等で洗浄後乾燥するするこ
とにより本発明の多孔体を得ることができる。第3の工
程終了後、上記のpH調整および加熱を行った場合は、
同様に、加熱終了後、水等の揮発成分を除去し、脱イオ
ン水等で洗浄後乾燥することによって、本発明の多孔体
を得ることができる。
【0046】上記いずれの場合においても、得られた多
孔体のメソ細孔および/またはマクロ細孔の中には、第
2の工程で添加した界面活性剤が存在する。本発明の多
孔体は、メソ細孔および/またはマクロ細孔内部に界面
活性剤が存在した状態でも各種用途に使用することが可
能であるが、大きな比表面積が必要な、吸着材や分離材
等の用途に用いる場合は、界面活性剤を除去する工程を
実施することが好ましい。
【0047】多孔体から界面活性剤を除去する方法とし
ては、例えば、焼成による方法、有機溶媒で処理する方
法、イオン交換法等を挙げることができる。焼成による
方法においては、多孔体を300〜1000℃、好まし
くは400〜700℃で加熱する。加熱時間は30分程
度でもよいが、完全に界面活性剤を除去するには1時間
以上加熱することが好ましい。焼成は空気中で行うこと
が可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素
等の不活性ガスを導入して行ってもよい。
【0048】有機溶媒で処理する場合は、用いた界面活
性剤の良溶媒中に多孔体を浸漬して界面活性剤を抽出す
る。イオン交換法においては多孔体を酸性溶液(少量の
塩酸を含むエタノール等)に浸漬し、例えば50〜70
℃で加熱しながら攪拌を行う。これにより、多孔体の孔
中に存在する界面活性剤が水素イオンでイオン交換され
る。なお、イオン交換により孔中には水素イオンが残存
することになるが、水素イオンのイオン半径は十分小さ
いため孔の閉塞の問題は生じない。
【0049】上述した本発明の方法により、第1の工程
において用いる、マクロ細孔を有する多孔体にメソ細孔
を形成することができる。メソ細孔の細孔配列構造は特
に制限されないが、2次元ヘキサゴナル、3次元ヘキサ
ゴナル、キュービック等の規則的配列構造を有している
ことが好ましい。
【0050】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0051】(実施例1)水酸化ナトリウム1.152
gを水15gに溶解した水溶液に、細孔直径が0.05
〜0.5μmのマクロ細孔を有した多孔体であるLeache
d Calcium Silicate(日本インシュレーション株式会社
製、シリカマイクロカプセル)2.77gを加え30分
攪拌した。この溶液に硫酸を0.6g加え30分攪拌し
た。これに対して、界面活性剤であるヘキサデシルトリ
メチルアンモニウムクロリド7.2gを水21.6gに
溶解した溶液を全量加え、30分攪拌した。次いで、水
10gをさらに添加し10分攪拌した後、溶液を全て密
閉容器(容量:110mL)に導入し、110℃で48
時間加熱した。加熱終了後、室温まで冷却して、濾過を
行い、得られた固形物を蒸留水で3回洗浄し、45℃で
24時間乾燥させ、粉末を得た。得られた粉末を550
℃で6時間焼成し、界面活性剤等の有機成分を除去し多
孔体を得た。
【0052】(実施例2)実施例1の「室温まで冷却す
る操作」と「濾過する操作」との間に、2規定塩酸を添加
することにより溶液のpHを8.5に調整した後、上記
の密閉容器に再度導入して110℃で48時間加熱し、
加熱終了後、室温まで冷却する操作を加えた以外は実施
例1と同様にして多孔体を得た。
【0053】(比較例1)原料の多孔体を、マクロ細孔
もメソ細孔も有していないフュームドシリカ(Aldrich
社製、Fumed Silica)に変えた以外は実施例1と同様に
して多孔体を得た。
【0054】(走査型電子顕微鏡観察)実施例1および
比較例1で得られた多孔体の走査型電子顕微鏡観察を行
った。実施例1で得られた多孔体の走査型電子顕微鏡写
真を図1(4500倍)および図2(9000倍)に示
す。また、比較例1で得られた多孔体の走査型電子顕微
鏡写真を図3(9000倍)に示す。図1に示されるよ
うに、実施例1で得られた多孔体の粒径は約30μmで
あり、この多孔体は針状結晶の集合体であり、隣接する
多孔体で仕切られることによりマクロ細孔が形成されて
いた。また、図2に示されるように、この針状結晶の長
径は約1μmであり、短径は約0.1μmであった。一
方、図3に示されるように、比較例1で得られた多孔体
は、マクロ細孔が観察されなかった。
【0055】(細孔配列構造の評価)実施例1および比
較例1で得られた多孔体のX線回折を行った。得られた
X線回折パターンを図4に示す。図4に示されるパター
ンから、実施例1および比較例1で得られた多孔体は、
細孔配列構造が2次元ヘキサゴナルであるメソ多孔体で
あることがわかった。
【0056】(窒素吸着法によるメソ細孔の評価)実施
例1、2または比較例1で得られた多孔体を用いて、以
下のようにして窒素吸着法による評価を行い、多孔体の
中心細孔直径、全細孔容積、全細孔容積に占める中心細
孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積
の割合を求めた。すなわち、多孔体を液体窒素温度(−
196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、重量法により
その吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を
徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量を
プロットして吸着等温線を得た。この吸着等温線から、
BJH法を用いることにより細孔径分布曲線を得た。吸着
等温線において、実施例1、2および比較例1のいずれ
においてもミクロ細孔が観察されなかったため、細孔径
分布曲線を求めるに際して補正を行った。
【0057】実施例1、実施例2および比較例1におい
て得られた多孔体の窒素吸着法による細孔径分布曲線
を、図5、図6および図7にそれぞれ示す。また、窒素
吸着法による多孔体の中心細孔直径、全細孔容積、全細
孔容積に占める中心細孔直径の±40%の範囲内の直径
を有する細孔の全容積の割合をまとめて以下の表1に示
す。なお、全細孔容積は、吸着等温線のP0/P=0.
99の値を用いて計算した。
【0058】
【表1】
【0059】(水銀圧入法によるマクロ細孔の評価)実
施例1、2または比較例1で得られた多孔体を用いて、
以下のようにして水銀圧入法による評価を行い、多孔体
の全細孔容積、細孔直径が0.05〜0.5μmのマク
ロ細孔の全細孔容積に占める割合を求めた。
【0060】すなわち、多孔体を室温で水銀に浸漬して
重量法によりその吸着量を求め、次いで、細孔に導入す
る水銀の圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する水銀
の吸着量をプロットし、吸着等温線を得た。次に、この
吸着等温線を用いBJH法により細孔径分布曲線を求め、
さらに細孔径と積算細孔容積の関係をプロットした。
【0061】実施例1、実施例2で得られた多孔体の細
孔径分布曲線を、それぞれ図8、図10に示し、実施例
1、実施例2で得られた多孔体の細孔径と積算細孔容積
の関係を、それぞれ図9、図11に示す。図8および図
10においては、細孔直径0.05〜0.5μmの範囲
にピークが見られ、実施例1および実施例2で得られた
多孔体にはこの範囲の細孔直径のマクロ細孔が存在して
いることが示された。なお、図8および図10の細孔径
分布曲線において、細孔直径約5〜約10μmの範囲に
ピークが見られるが、これは実施例1および実施例2で
得られた多孔体の粒子間に圧入された水銀を示すもので
ある。また、図9および図11に示されるように、実施
例1および実施例2で得られた多孔体については、全細
孔容積に占める細孔直径0.05〜0.5μmのマクロ
細孔の全容積の割合は、それぞれ33.6%、34.3
%であった。
【0062】また、比較例1で得られた多孔体の細孔径
分布曲線を図12に示し、比較例1で得られた多孔体の
細孔径と積算細孔容積の関係を図13に示す。図12に
おいては、細孔直径約0.05〜約100μmの範囲に
ブロードなピークが見られ、細孔直径約100〜約20
0μmの範囲に別のピークが見られた。細孔直径約10
0〜約200μmの範囲のピークは、比較例1で得られ
た多孔体の粒子間に圧入された水銀を示すものである。
また、図13に示されるように、比較例1で得られた多
孔体については、全細孔容積に占める細孔直径0.05
〜0.5μmのマクロ細孔の全容積の割合は、13.2
%であった。
【0063】実施例1、実施例2および比較例1におい
て得られた多孔体の水銀圧入法による全細孔容積と、細
孔直径0.05〜0.5μmのマクロ細孔の全容積と、
全細孔容積に占める細孔直径0.05〜0.5μmのマ
クロ細孔の全容積の割合をまとめて以下の表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
吸着材や分離材として用いた場合に、吸着・分離の選択
性および速度を高くすることが可能な多孔体が提供され
る。また、吸着材や分離材として用いた場合に、吸着・
分離の選択性および速度を高くすることが可能な多孔体
を製造可能な製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた多孔体の走査型電子顕微鏡
写真である(4500倍)。
【図2】実施例1で得られた多孔体の走査型電子顕微鏡
写真である(9000倍)。
【図3】比較例1で得られた多孔体の走査型電子顕微鏡
写真である(9000倍)。
【図4】実施例1および比較例1で得られた多孔体のX
線回折パターンを示す図である。
【図5】実施例1において得られた多孔体の窒素吸着法
による細孔径分布曲線を示す図である。
【図6】実施例2において得られた多孔体の窒素吸着法
による細孔径分布曲線を示す図である。
【図7】比較例1において得られた多孔体の窒素吸着法
による細孔径分布曲線を示す図である。
【図8】実施例1で得られた多孔体の水銀圧入法による
細孔径分布曲線を示す図である。
【図9】実施例1で得られた多孔体の水銀圧入法による
細孔径と積算細孔容積の関係を示す図である。
【図10】実施例2で得られた多孔体の水銀圧入法によ
る細孔径分布曲線を示す図である。
【図11】実施例2で得られた多孔体の水銀圧入法によ
る細孔径と積算細孔容積の関係を示す図である。
【図12】比較例1で得られた多孔体の水銀圧入法によ
る細孔径分布曲線を示す図である。
【図13】比較例1で得られた多孔体の水銀圧入法によ
る細孔径と積算細孔容積の関係を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 小形 眞一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉 義弘 岐阜県岐阜市長良3091 岐阜大学宿舎1010 号 (72)発明者 窪田 好浩 岐阜県岐阜市正木1980−5 正木公務員宿 舎204 (72)発明者 今田 安紀 岐阜県岐阜市古市場831−1 ジュネスシ マベ308 Fターム(参考) 4G066 AA17A AA22B BA23 BA24 BA32 FA03 FA11 FA21 FA37 4G072 AA25 BB05 GG01 GG03 JJ26 LL06 MM04 MM22 MM31 MM36 RR12 TT08 UU11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心細孔直径が1〜10nmのメソ細孔
    と、細孔直径が0.05〜0.5μmのマクロ細孔とを
    有する多孔体であって、 前記多孔体の全細孔容積に占める、前記中心細孔直径の
    ±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合
    が、窒素吸着法に基いて60〜98%であり、 前記多孔体の全細孔容積に占める前記マクロ細孔の全容
    積の割合が、水銀圧入法に基いて20〜50%であるこ
    とを特徴とする多孔体。
  2. 【請求項2】 前記多孔体は針状物質の集合体であり、
    隣接する該針状物質に仕切られることにより前記マクロ
    細孔が形成されており、さらに、前記メソ細孔は該針状
    物質に形成されていることを特徴とする請求項1記載の
    多孔体。
  3. 【請求項3】 塩基性物質の濃度が0.01〜5mol
    /Lである塩基性水溶液にマクロ細孔を有する多孔体を
    添加し多孔体含有溶液を得る工程と、 前記多孔体含有溶液に界面活性剤を添加し、前記マクロ
    細孔を有する多孔体と前記界面活性剤との複合体を含む
    溶液を得る工程と、 前記複合体を含む溶液を40℃以上で加熱し、前記マク
    ロ細孔を有する多孔体にメソ細孔を形成せしめる工程
    と、を含むことを特徴とする多孔体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記マクロ細孔を有する多孔体は、該多
    孔体の全細孔容積に占める、細孔直径0.05〜0.5
    μmのマクロ細孔の全容積の割合が、水銀圧入法に基い
    て20〜50%である多孔体であることを特徴とする請
    求項3記載の多孔体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記マクロ細孔を有する多孔体は、繊維
    状カルシウムシリケート結晶からカルシウムを除去して
    得られる多孔体であることを特徴とする請求項3または
    4記載の多孔体の製造方法。
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