JP2006182261A - 車両の衝突転倒防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車輪を備える台車で車体を支持し、レール上を走行する車両の前記車輪がレールから逸脱した際に、前記車両の衝突や転倒を防止する装置であって、前記台車の下端に車輪がレールから逸脱した時のみ前記レールに接触して、前記車両が前記レールから車幅方向に一定距離以上逸脱することを防止するとともに、前記車輪のレールに対する高さ方向の変位を最小にしつつ車両の走行を許容する案内部材を設けたので、脱輪が発生した場合であっても、他の健全車両の更なる脱輪や、脱輪車両自体の衝突や転覆を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
ここで、この種の鉄道車両には、他の鉄道車両との衝突を防止する手段が設けられている。例えば、先頭車両の先端に突出部を有する鉄道車両では、突出部に流体バックを装備させたものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、衝突時には、流体バックによって衝撃エネルギが吸収される。また、図5に示すように車体を支える台車の下部、例えば車軸カバー1に片爪状のストッパ2を設け、脱線時に車両が車幅方向に一定距離以上変位しないように構成したものがある(例えば、特許文献2等)。この場合には、ストッパ片2が脱線時にレール3に接触して、車両の走行を許容しつつ車両の転倒を防止する。
また、ストッパ片が脱線時にレールに接触して、車両の走行を許容しつつ車両の転倒を防止するする場合であっても、例えば、レール3を枕木6に固定する締結装置5が、図6に示すように脱線した車輪4によって踏み潰されて、破壊されてしまうと、レール3自体に脱線車両の転倒防止の機能がなくことも考えられる。
また、上記ストッパ片は、レール3の枕木6に対する締結が破壊されると、後続或いは先行する健全車両の脱線を誘引する虞も存在した。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、脱輪が発生した場合であっても、車両の衝突や転覆を防止するとともに後続或いは先行する健全車両の脱線を防止することである。
この車両の衝突転倒防止装置では、車両が脱輪したときに、車体の下部に設けられた案内部材がレールに接触し、車両の幅方向および高さ方向の変位を最小限に規制するので、車体の転倒を防止することができる。
また、車体は脱輪してから停止するまでの間、レールに沿ってガイドされるようになるので、レールから大きく逸脱することなく、対向車両や構造物との衝突を防止できる。更に、健全車両に対するアタック角を抑制して、健全車両の脱輪、転倒を防止する。
この車両の衝突転倒防止装置では、脱輪時には、凹部にレールが入り込んで、車体の移動をガイドする。車体は、左右方向に最大でも凹部の幅に相当する距離以上逸脱することがない。したがって、対向車両や構造物と衝突したり、車体が転倒するのを防止できる。また、脱輪車両の変位を最小限に抑えることで、他の健全車両に対するアッタク角を増すことなく、脱輪車両の拡大を防止することができる。
この車両の衝突転倒防止装置では、案内部材の凹部に摩擦係数の大きなレジン系材料を配設したので、車体は脱輪してから停止するまでの距離を短縮することができる。
この車両の衝突転倒防止装置では、脱輪が生じた場合に、軸箱の下端に設けた案内部材がレールに当接して車両の幅方向および高さ方向の変位を最小限に規制するので、車体の転倒を防止することができる。また、車輪がレールの締結装置を破壊する虞がなく、レールによる転倒防止効果を最後まで期待することができる。更に、後続或いは先行する健全車輪の脱線も防止できる。
この車両の衝突転倒防止装置では、案内部材がギアケースの下端に設けたので車体が軌道内側に脱線した場合に車両の幅方向および高さ方向の変位を最小限に規制して、車体の転倒を防止することができる。
更に、車輪がレールの締結装置を破壊する虞がなく、レールによる転倒防止効果を最後まで期待することができる。
鉄道車両10は、軌道を構成する2本の平行なレール3上を走行するもので、レール3上に配置される複数対の車輪4を有し、車輪4は台車7に回転自在に支持されている。台車7は、鉄道車両10の前後方向に少なくとも2つ設けられており、各台車7上に車体11が載置されている。車体11の内部には、座席等(不図示)が設けられ、乗員を搭乗させらることができるようになっている。台車7と車体11とは垂直な中心ピン(不図示)を介して回動自在に連結されている。さらに、台車7と車体11との間には、車体11の回動を規制するダンパ装置(不図示)が架け渡されており、回動方向の衝撃を吸収するようになっている。また、台車7の上側両側部と、車体11の下側両側部との間には、軸バネ装置12が架け渡されており、上下方向の振動を吸収するようになっている。
また、案内部材17は、左右の軸箱15に設けてもよく、一方のみであってもよい。
まず、通常走行時には、レール3上を車輪4が回転し、鉄道車両10がレール3に沿って走行する。この際に、案内部材17は、レール3から所定距離だけ上方に位置しており、レール3とは干渉することはない。
ここで、鉄道車両10の走行中に、地震が発生するなどして鉄道車両10がレール3から脱輪すると、台車7の車輪4がレール3から外れる。これに伴って台車7及び車体11の位置が低くなる。この際に、案内部材17の凹部16にレール3の頂部が入り込む。また、図3に示すように、案内部材17によって車輪4は、地面まで落下することなく所定の高さ位置を保持することができる。これによって、鉄道車両10は、レール3に案内部材17を引っ掛かるようにして接触させつつ、走行する。車体11がレール3から離れる方向に走行した場合には、レール3の側面と、案内部材17の凹部両端に形成された突起部17a、17bとが当接し、ストッパとして働くので、車体11がそれ以上、レール3から逸脱しない。つまり、案内部材17は、凹部16の幅の範囲内でのみ、車体11の幅方向における車体11とレール3とのずれを許容するので、その結果、鉄道車両10はレール3に略沿って走行し、台車7側のブレーキや、案内部材17のブレーキ部材18とレール3との摩擦などによって減速され、やがて停止する。
したがって、脱線した鉄道車両が停止するまで、レール3が車輪によって破壊されることなく、脱線していない編成車両の通常ブレーキを有効にすることができる。
図4は、本発明の他の実施の形態における脱輪時の作動状態を示す説明図である。本実施の形態では、案内部材117は、台車7に備えられたギアケース100の下端に配設されている。ギアケース100は、電動機を装備した台車において車軸13に直結された車軸大歯車を保護するためのものである。案内部材117の構成は、上述したものと同様で案内部材117は、下に開口したの凹部116を有しており、両端に突起部117a、117bを備えているので、車両10が車幅の左右いずれの方向へ移動する場合も規制することができる。また、凹部116には、軽量のレジン系のブレーキ部材118が配設されている
この実施の形態では、軌道外側に脱線した車輪の内側でレール3を案内部材117でガイドすることができ、前記第1の実施の形態における案内部材17と同様の効果が得られる。
7 台車 10 車両 11 車体
12 軸バネ装置 13 車軸 14 軸受
15 軸箱 16、116 凹部
17、117 案内部材 17a、18b 突起部
18、118 ブレーキ部材
Claims (5)
- 車輪を備える台車で車体を支持し、レール上を走行する車両の前記車輪がレールから逸脱した際に、前記車両の衝突や転倒を防止する装置であって、
前記台車に、車輪がレールから逸脱した時に前記レールに接触して、前記車両が前記レールから車幅方向に一定距離以上逸脱することを防止するとともに、前記車輪のレールに対する高さ方向の変位を最小にしつつ車両の走行を許容する案内部材を設けてなり、
該案内部材の前記レールとの接触面は前記車輪の踏面より上方に位置することを特徴とする車両の衝突転倒防止装置。 - 前記案内部材は、前記車輪がレールから逸脱した時に前記レールに接触して、前記車両が車幅の左右いずれの方向への移動も規制する凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両の衝突転倒防止装置。
- 前記案内部材は、前記レールと当接する凹部に該案内部材本体よりも摩擦係数の大きなレジン材料を配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の衝突転倒防止装置。
- 前記案内部材は、前記台車に備えられた軸箱の下端に設けたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両の衝突転倒防止装置。
- 前記案内部材は、前記台車に備えられたギアケースの下端に設けたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両の衝突転倒防止装置。
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