JP4391907B2 - 車両の衝突転倒防止装置 - Google Patents
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Description
ここで、この種の鉄道車両には、他の鉄道車両との衝突を防止する手段が設けられている。例えば、先頭車両の先端に突出部を有する鉄道車両では、突出部に流体バックを装備させたものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、衝突時には、流体バックによって衝撃エネルギが吸収される。また、軌道の起点からの鉄道車両の絶対位置を、鉄道車両ごとに検知できるように構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。この場合には、各鉄道車両の絶対位置から他の鉄道車両との相対距離を算出することで衝突が防止される。
また、鉄道車両の絶対位置を検出することで車両衝突を防止する場合であっても、データ処理を行う間に空走時間が生じるので、この間に脱線が起き、大きな車両横変位が生じる可能性があった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、脱線が発生した場合であっても、車両の衝突や転覆を防止することである。
この車両の衝突転倒防止装置では、車両が脱線したときに、車体の下部に設けられたガイド部が軌道に接触し、車両の移動方向を規制する。車体は、台車よりも大型で脱線時に大きく変位するが、このような車体にガイド部が設けられることで、車体は脱線してから停止するまでの間、車体が軌道に沿ってガイドされるようになるので、軌道から大きく逸脱しなくなる。
また、脱線時には、凹部にレールが入り込んで、車体の移動をガイドする。車体は、最大でも凹部の幅に相当する距離以上逸脱することはなくなる。
また、台車の間に相当する位置にガイド部が設けられており、脱線時には車体の長さ方向の中央付近で車体がガイドされるようになるので、軌道から大きく逸脱しなくなる。
上記構成よれば、特に、車両の先端側で脱線が生じた場合に、先端側で車両がガイドされるようになるので、軌道から大きく逸脱しなくなる。
上記構成によれば、特に、通常走行時は、異物を排除し、脱線時には切り欠きが軌道に接触し、車両の走行をガイドするように機能する。
この車両の衝突転倒防止装置では、切り欠きに蓋体が設けられているので、通常走行時には蓋体で異物を排除することができる。脱線時には蓋体を押し上げるようにして軌道が切り欠き内に収まり、車両の走行をガイドする。
また、排障器にガイド部を設けることで、通常時は異物を取り除くことができ、脱線時は車両の衝突や転倒を防止できるので、車両の走行をさらに安全に行わせることができる。
図1及び図2に第1の実施の形態における鉄道車両の概略構成を示す。
鉄道車両1は、軌道を構成する2本の平行なレール2上を走行するもので、レール2上に配置される一対の車輪3を有し、車輪3は台車4に回転自在に支持されている。台車4は、鉄道車両1の前後方向に少なくとも2つ設けられており、各台車4上には、車体5が載置されている。車体5は、中空構造を有し、その内部に座席等(不図示)が設けられ、乗員を搭乗させられるようになっている。台車4と車体5とは不図示の中心ピンで回動自在に連結されている。さらに、台車4と車体5との間には、車体5の回動を規制するダンパ装置7が架け渡されており、回動方向の衝撃を吸収するようになっている。また、台車4の上側両側部と、車体5の下側両側部との間には、軸バネ装置8が架け渡されており、上下方向の衝撃を吸収するようになっている。
まず、通常走行時には、レール2上を車輪3が回転し、鉄道車両1がレール2に沿って走行する。この際に、各ガイド部11,18は、レール2から所定距離だけ上方に位置しており、レール2とは干渉しない。この間、排障器15及び第2ガイド部18は、レール2に乗っている石などの異物を排除する。
ここで、鉄道車両1の走行中に、地震が発生するなどして鉄道車両1がレール2から脱線すると、台車4の車輪3がレール2から外れ、地面に落ちる。これに伴って台車4及び車体5の位置が低くなる。この際に、第1ガイド部11の切り欠き12にレール2が入り込む。また、図4に示すように、第2ガイド部18の蓋体20がレール2に押し上げられ、切り欠き19にレール2が入り込む。これによって、鉄道車両1は、レール2に各ガイド部11,18を引っ掛かるようにして接触させつつ、走行する。車体5がレール2から離れる方向に走行した場合には、レール2の側面と、切り欠き12,19の側片とが当接し、ガイド部11,18がストッパとして働くので、車体5をそれ以上、レール2から逸脱しない。つまり、各ガイド部11,18は、各切り欠き12,19の幅の範囲内でのみ、車体5の幅方向における車体5とレール2とのずれを許容するので、その結果、鉄道車両1はレール2に略沿って走行し、台車4側のブレーキや、各ガイド部11,18とレール2との摩擦などによって減速され、やがて停止する。
また、第1ガイド部11は、車体5の床下搭載機器などの強度を上げることで形成できるので、安価で、かつ容易に製造することができる。なお、第1ガイド部11は、2つの平行なガイド部材を切り欠き12の幅と同じ間隔で配設した構成であっても良い。この場合には、2つのガイド部材と、突出部10の底部10aとで車体5をガイドする凹部が形成される。
図5には、鉄道車両の一例として、新幹線用の先頭車両が図示されている。
鉄道車両30は、台車4上に支持された車体31を有し、車体31の先端は、前方に向かって突出しており、この突出部31aの下方には、排障器32が取り付けられている。
排障器32は、突出部31aの外形に沿って、台車4の近傍まで延設されている。このような排障器32は、可塑性のプレートの前面に、例えば、ゴムなどの可撓性を有する部材33を貼り付けて製造されており、その下端は、通常走行時にはレール2と接触しないが、レール2上の異物を排除できるように設定されている。
この実施の形態では、前記第1の実施の形態における第2ガイド部18と同様の効果が得られる。
図6には、鉄道車両の先頭車両が図示されている。
鉄道車両40の車体5の先端には、雪かき用のスノープラウ41が取り付けられている。スノープラウ41は、平面視で幅方向の中央が最も前方に突出するように屈曲させられた略くの字形状を有しており、スノープラウ41の下端は、通常走行時には、雪は排除するが、レール2には干渉しないような位置に設定されている。
例えば、ガイド部11,18,35,42の幅方向の中心間距離は、レール2の中心間距離に略等しいことが好ましいが、ガイド部11,18,35,42の幅方向の中心間距離をレール2の中心間距離よりも僅かに大きく設定しても良い。この場合には、通常走行時に、レール2の鉛直上方に切り欠き12,19,36,43が配置されるように、切り欠き12,19,36,43の幅が設定される。
車両の衝突転倒防止装置は、第1ガイド部11又は第2ガイド部18の一方のみを有する構成であっても良い。ただし、脱線箇所の近傍にガイド部があることが望ましいので、各鉄道車両1に少なくとも1つのガイド部11,18が設けられていることが好ましい。
図1に示す排障器15は、クロスフレーム17を有しない構成しても良い。すなわち、2本のガイドフレーム16のそれぞれの先端部に切り欠き19を設け、これに蓋体20をヒンジ21で回動自在に取り付けて、第2ガイド部18としても良い。
2 レール(軌道)
3 車輪
4 台車
5 車体
5a 下部
10a 底面(下部)
11 第1ガイド部
12,19,36,43 切り欠き(凹部)
15,32 排障器
18 第2ガイド部
20,44 蓋体
35,42 ガイド部
41 スノープラウ(排障器)
Claims (4)
- 車輪を備える台車で車体を支持し、軌道上を走行する車両が前記軌道から逸脱した際に、前記車両の衝突や転倒を防止する装置であって、
前記車体の下部に、前記車両の脱線時においてのみ前記軌道に接触し、前記車両が前記軌道から車幅方向に一定距離以上逸脱することを防止しつつ、前記車両の走行を許容するガイド部を設けた衝突転倒防止装置であって、
前記ガイド部は、前記軌道を構成するレールの幅よりも大きい凹部が下向きに設けられ、
前記車体は、複数の前記台車に支持されており、前記ガイド部は、前記車両の進行方向に沿って配設される2つの前記台車の間の前記車体に設けられていることを特徴とする衝突転倒防止装置。 - 車輪を備える台車で車体を支持し、軌道上を走行する車両が前記軌道から逸脱した際に、前記車両の衝突や転倒を防止する装置であって、
前記車体の下部に、前記車両の脱線時においてのみ前記軌道に接触し、前記車両が前記軌道から車幅方向に一定距離以上逸脱することを防止しつつ、前記車両の走行を許容するガイド部を設けた衝突転倒防止装置であって、
前記ガイド部は、前記軌道を構成するレールの幅よりも大きい凹部が下向きに設けられ、
前記ガイド部は、前記車体の先端部の下方に設けられていることを特徴とする衝突転倒防止装置。 - 車輪を備える台車で車体を支持し、軌道上を走行する車両が前記軌道から逸脱した際に、前記車両の衝突や転倒を防止する装置であって、
前記車体の下部に、前記車両の脱線時においてのみ前記軌道に接触し、前記車両が前記軌道から車幅方向に一定距離以上逸脱することを防止しつつ、前記車両の走行を許容するガイド部を設けた衝突転倒防止装置であって、
前記ガイド部は、前記軌道を構成するレールの幅よりも大きい凹部が下向きに設けられ、
前記ガイド部は、排障器に設けられていることを特徴とする衝突転倒防止装置。 - 前記凹部には、蓋体が回動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の衝突転倒防止装置。
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