JP2010228629A - 鉄道車両の台車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 台車の軸箱3の外面下部には、車両の脱線時にレールの外側面に接する台車ガイド用ストッパ20が突設されている。また、軸箱3の上面には、突出部材30が立設されており、軸バネ5はこの突出部材30に外嵌されている。突出部材30は、軸箱3の上面からバネケース8の孔8aを貫通して延びる軸部31と、軸部31の頂部に設けられた、孔8aよりも大径のフランジ部35を有する。車輪脱線時にストッパ20に前方向から衝撃が加わって、軸箱3とともに突出部材30が前方向に傾斜しようとすると、突出部材30が、軸バネ5・バネケース8を介して側梁7にサポートされるため、台車枠に対する軸箱3の傾斜・変位が抑制される。
【選択図】 図1
Description
この図は、Sミンデン式の軸箱支持方式の台車を示す。Sミンデン式とは、上下2枚の板バネで、軸箱を台車枠の中心から片持ち式に支持する方式である。
鉄道車両の車輪1は車軸(図示されず)に固定されており、この車軸の軸受(図示されず)は、軸箱3に収められている。軸箱3は、軸バネ5(コイルスプリング)によって、台車枠の側梁7に対して上下方向に支持されている。軸バネ5は、側梁7の先端に設けられたバネケース8に収容されている。また、軸箱3は、前後方向において、側梁7に対して軸箱支持装置10で片持ち式に支持されている。この例では、軸箱支持装置は上下に平行に配置された2枚の板バネ11である。
この図は、軸梁式の軸箱支持方式の台車を示す。軸梁式とは、軸箱に一体に設けられた腕を、台車枠の側梁と接合した方式である。
軸梁式の場合、軸箱3は、前後方向において、軸箱3に固定されたガイドアーム12と、側梁7に固定されて、ガイドアーム12とゴムを介してリンク接続するガイドアーム13からなる軸箱支持装置10Aで支持されている。なお、上下方向においては、軸バネ5とオイルダンパ14により弾性・減衰支持されている。この例においても、軸箱3の下面に、図10と同様のストッパ20を取り付けることができる。
しかし、片持ち式の場合、前後両方向から両持ちで支持する場合に比べて、軸箱の支持力が弱くなる。このため、軸箱が前後方向などから衝撃を受けると、軸箱の転倒や支持装置の座屈変形などが起こりやすいと予想される。例えば、車輪の脱線後に図10(C)に示すように、前方にレールRの継ぎ目板Jなどが存在した場合、ストッパ20に前方向から衝撃が加わる。すると、軸箱支持装置10である2枚の板バネ11が座屈し、軸箱3が前方向に傾斜してしまい、ストッパ20がレールRから外れてしまうような事態が起こりうる。
車両脱線時に、前記突出部材により、前記台車枠に対する前記軸箱の傾斜・変位が抑制されることを特徴とする。
この場合、ボルト固定などでなく、ステーの部材そのものが軸箱や台車枠に対して嵌合する形態で固定されているので強度が高い。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る鉄道車両台車の軸箱付近の構造を模式的に説明する図であり、図1(A)は通常走行時の側面図、図1(B)はストッパ作用時の側面図である。
この例は、軸箱支持方式が図10と同様のSミンデン式の場合を示す。
鉄道車両の車輪1の車軸軸受(図示されず)は、軸箱3に収められている。軸箱3は、軸バネ5(コイルスプリング)によって、側梁7に対して上下方向に支持されている。この軸バネ5は、台車枠の側梁7の先端に設けられた、下面が開口したバネケース8に収容されている。また、軸箱3は、前後方向において、側梁7に対して、上下2枚の板バネ11からなる軸箱支持装置10で支持されている。
さらに、脱線時に、軸箱が台車枠に対して大傾斜及び/又は大変位することを防止する軸箱姿勢保持手段が設けられている。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る鉄道車両台車の軸箱付近の構造を模式的に説明する図であり、図2(A)は側面図、図2(B)は正面図である。
この例の軸箱姿勢保持手段は、軸箱3の前面に固定されたステー40と、側梁7の前面に設けられた、ステー40の先端に挿入される突起45(係合部)とを有する。ステー40は、図2(A)に示すように、軸箱3の前面にボルトなどにより固定された固定部40aと、固定部40aの上端から前方に延びる水平部40bと、水平部40bの先端から上方に延びる垂直部40cとを有する。垂直部40cの先端部には、長孔41が開けられている。一方、側梁7の前面には、前方に延びる突起45が設けられている。この突起45は、ステー40の垂直部40cに開けられた長孔41に挿入される(係合する)。長孔41の周囲と突起45との間にはクリアランスが開いている。
この例の軸箱姿勢保持手段は、側梁7の前面に固定されたステー50と、軸箱3の前面に設けられた、ステー50の先端に挿入される突起55(係合部)とを有する。ステー50の上端部には、後方向に開口した凹部51が形成されており、下端には、後方向に延びる水平片52が設けられている。凹部51には、側梁7の先端が嵌合しており、凹部51と側梁7の前面とはボルト53により固定されている。水平片52は、軸箱3の下面よりやや下方に位置している。水平片52の上面には、ゴムなどの緩衝部材54が貼り付けられている。ステー50の中央付近には、長孔55が開けられている。
この例の軸箱姿勢保持手段は、側梁7の前面と軸箱3の前面との間に架け渡された可撓性の拘束部材60である。拘束部材60は、例えば、メッシュ状に編んだワイヤを使用できる。この場合、軸箱3と側梁7との間の電気結線やアース線として活用できる。また、ケブラーファイバー樹脂などの絶縁部材を使用した場合、軸箱3と側梁7とを絶縁できる。拘束部材60の長さは、通常走行状態において、側梁7の前面と軸箱3の前面間の距離よりもやや長く設定されており、軸箱3の上下変動を吸収できるようにされている。
この例の軸箱姿勢保持手段は、バネケース8の側面と軸箱3の側面とを接続するダンパー70である。ダンパー70は、例えばシリンダ71とロッド72とからなる油圧シリンダを使用できる。シリンダ71の後端部は、バネケース8の側面に固定されたブラケット75にゴムブッシュ73を介して支持されている。ロッド72の先端部は、軸箱3の側面に固定されたブラケット76にゴムブッシュ74を介して支持されている。バネケース8に固定されたブラケット75は、上面が開口した箱状の部材であり、軸箱3に固定されたブラケット76は、下面が開口した箱状の部材である。ブラケット75、76をこのような形状とすることにより、これらのブラケットに取り付けられるダンパー70の両端部の前後方向の過大な動きや傾斜を抑制できるようになっている。つまり、ダンパー70の両端が傾斜しようとしても、ブラケット75、76の前後の壁に係止されて、ダンパー70全体の傾斜を抑制できる。ダンパー通常走行時の上下振動はダンパー70で減衰され、軸箱3の前後方向の移動はブラケット75、76内におけるゴムブッシュ73、74で許容されている。
この例の軸箱姿勢保持手段は、図5の例と同じく、油圧シリンダを使用したダンパー70Aであるが、この例では、ダンパー70Aを側梁7の前面と軸箱3の前面との間に設けている。車輪脱線時の作用は、図5の例と同様である。
この例の軸箱姿勢保持手段は、図5の例と同じダンパー80であるが、ダンパーとして、油圧シリンダではなく、両端にヘッド82を有するロッド81を使用している。上側のヘッド82は、側梁7の前面に固定されたブラケット85に支持されており、下側のヘッド83は、軸箱3の前面に固定されたブラケット86に支持されている。ブラケット85、86は、図5のブラケット75、76と同様の、上下面が開口した箱状の部材である。ブラケット85、86の底面にはゴムなどの緩衝部材87、88が敷かれている。ヘッド82、83とブラケット85、86の緩衝部材87、88との間にはクリアランスが開いている。
この例の軸箱姿勢保持手段は、軸箱3の側面に固定されたステー90と、側梁7の先端部の側面から側方に延びるように立設された突起91である。ステー90は、軸箱3から上方に延びるように、ボルトで固定されている。突起91はステー90の前方に立設されている。
この例の軸箱姿勢保持手段は、図8と同様に、軸箱3の側面に設けられたステー90Aと、側梁7の先端部の側面に立設された突起91であるが、ステー90Aが、軸箱3と一体に設けられている。車輪脱線時の作用は、図8の例と同様である。この例では、ステー90Aを軸箱3と一体化したので、図8の例と比べて高い剛性が得られる。
5 軸バネ 7 側梁
8 バネケース 10 軸箱支持装置
11 板バネ 20 ストッパ
21 固定片 22 ストッパ片
30 突出部材 31 軸部
32 筒状部 33 中実部
35 フランジ部 36 緩衝部材
40 ステー 41 長孔
45 突起
50 ステー 51 凹部
52 水平片 53 ボルト
55 長孔 57 突起
60 拘束部材
70、70A ダンパー 71 シリンダ
72 ロッド 73、74 ゴムブッシュ
75、76 ブラケット
80 ダンパー 81 ロッド
82 ヘッド 85、86 ブラケット
87、88 緩衝部材
90、90A ステー 91 突起
Claims (7)
- 車軸軸受を収めた軸箱と、
該軸箱上に配置された軸バネと、
該軸バネ上に搭載された台車枠と、
該台車枠に対して前記軸箱を主に前後方向に支持する軸箱支持装置と、
を備える鉄道車両の台車であって、
前記軸箱の外面下部には、車両の脱線時にレールの外側面に接する台車ガイド用ストッパが突設されているとともに、
脱線時に、前記軸箱が前記台車枠に対して大傾斜及び/又は大変位することを防止することにより、前記ストッパが前記レールから外れて台車ガイド機能を喪失することを防止する軸箱姿勢保持手段が設けられていることを特徴とする鉄道車両の台車。 - 前記軸箱姿勢保持手段として、
前記軸バネの内部に配置された、前記軸箱の上面から突出し、前記台車枠若しくはバネケースに開けられた孔を貫通して上に延び、頂部に前記孔よりも大径のフランジ部を有する突出部材を備え、
車両脱線時に、前記突出部材により、前記台車枠に対する前記軸箱の傾斜・変位が抑制されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の台車。 - 前記軸箱姿勢保持手段として、
前記軸箱又は台車枠の前後面にステーが固定されており、
前記台車枠又は軸箱の前後面に、前記ステーの先端が係合する係合部が設けられており、
車両脱線時に、前記ステーにより、前記台車枠に対する前記軸箱の傾斜・変位が抑制されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の台車。 - 前記ステーが、前記軸箱及び/又は台車枠の前後面に対して嵌合する形態で固定されていることを特徴とする請求項3記載の鉄道車両の台車。
- 前記軸箱姿勢保持手段として、
前記軸箱の前後面と前記台車枠の前後面とが、可撓性拘束部材で接続されており、
車両脱線時に、前記拘束部材により、前記台車枠に対する前記軸箱の傾斜・変位が抑制されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の台車。 - 前記軸箱の側面又は前後面と、前記台車枠の側面又は前後面との間に、上下方向に延びるダンパーが設けられており、
このダンパーが前記軸箱姿勢保持手段としても用いられ、
車両脱線時に、前記ダンパーにより、前記台車枠に対する前記軸箱の傾斜・変位が抑制されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の台車。 - 前記軸箱姿勢保持手段として、
前記軸箱又は台車枠の側面にステーが固定されており、
前記台車枠又は軸箱の側面に、前記ステーの先端が当接する当接部が設けられ、
車両脱線時に、前記ステーが前記当接部により移動を抑制されることにより、前記台車枠に対する前記軸箱の傾斜・変位が抑制されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の台車。
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