以下、場合により図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(電子写真感光体)
図1は、本発明の電子写真感光体の一実施形態を示す分解図である。図1に示すように、電子写真感光体100は、円筒状の感光体ドラム1と該感光体ドラム1の端部の開口に嵌合されるフランジ2,3とを備えている。そして、フランジ2にはICタグ(非接触ICタグ)9が取り付けられている。以下、電子写真感光体100を構成する各部材について説明する。
まず、感光体ドラム1について説明する。感光体ドラム1は、円筒状の導電性支持体と該導電性支持体上に配置される感光層とを有してなるものである。ここで、図2(a)は、感光体ドラム1の一例を示す模式断面図である。図2(a)に示した感光体ドラム250は、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性支持体13上には、電荷発生層11及び電荷輸送層12をこの順序で積層して形成された感光層16が設けられている。
導電性支持体13としては、アルミニウム・銅・鉄・ステンレス・亜鉛・ニッケルなどの金属ドラムやプラスチック成型ドラム等を用いることができる。導電性支持体13として金属パイプ基材を用いる場合、表面は素管のままであっても、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。また、導電性支持体13としては、結着樹脂中にカーボンブラック粒子や金属微粉末、金属酸化物微粒子などの導電性微粒子を分散し、遠心成型や押し出し成型機などによりパイプ状に形成した導電性プラスチック基材も用いることができる。
電荷発生層11は、上記の導電性支持体13上に電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、あるいは、電荷輸送物質を有機溶剤及び結着樹脂とともに分散して塗布液を調製し、該塗布液を導電性支持体13上に塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン・結晶性セレン・セレン−テルル合金・セレン−ヒ素合金・その他のセレン化合物及びセレン合金、アモルファスシリコン、硫化カドミウム等の無機系光導電体及びこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、トリスアゾ系、ントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
本発明において、優れた性能が得られる電荷発生材料として以下の化合物が特に好適である。すなわち、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるクロルガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるチタニルフタロシアニンが電荷発生材料として好ましく用いられる。なお、これらの材料は、結晶の形状や測定方法により上記のピーク強度の位置が上記の値から僅かに外れる場合も有るが、X線回折パターンが実質的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。
電荷発生層11における結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。すなわち、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また、有機溶剤としては、上記の結着樹脂を溶解又は分散可能なものであれば特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いもよい。
また、電荷発生材料と結着樹脂と有機溶剤との分散は、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて行うことができる。
塗布液の塗布方法としては、感光体の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
電荷発生層11の厚みは、一般には0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
電荷輸送層12は、電荷輸送物質を有機溶剤及び結着樹脂とともに分散して塗布液を調製し、該塗布液を電荷発生層11上に塗布することにより形成される。
電荷輸送層12に用いられる電荷輸送物質としては、下記に示すものが例示できる。すなわち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質;あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
積層型感光体では、電荷輸送材料の電荷輸送極性により感光体の帯電極性が異なる。正孔輸送物質を用いた場合には感光体は負帯電で用いられ、電子輸送物質を用いた場合には正帯電で用いられる。両者を混合した場合には両帯電極性の感光体が可能である。
電荷輸送層12に用いられる結着樹脂としては、任意のものを用いることができるが、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有するものを用いることが望ましい。このような結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
ポリカーボネート樹脂に関しては上述の構造のものを含めて各種の変性体を用いることが可能である。特に下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものを用いることが好ましい。
式(1)中、Aは、−CR1R2−、アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は、−SO2−を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10(以下、「R1〜R10」と略す)は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は環状炭化水素基を表す。なお、R1とR2とは、互いに結合して環状炭化水素基を形成してもよい。上記Aで表されるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
上記R1〜R10で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜12の直鎖状のアルキル基、及び炭素原子数3〜12の分岐状のアルキル基が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
上記R1〜R10で表される環状炭化水素基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数3〜10の環状炭化水素基が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
また、ポリカーボネート樹脂は、これらの成分が複数個合わさった共重合体構造を有していてもよい。
同様に、ポリアリレート樹脂も各種の変性体を用いることが可能であり、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有するものが好ましく用いられる。なお、下記一般式(2)中のA、R
1〜R
10は、上記一般式(1)中のA、R
1〜R
10と同義である。また、ポリアリレート樹脂は、これらの成分が複数個合わさった共重合体構造を有していてもよい。
これら結着樹脂として用いられる重合体の分子量は、感光層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000〜30万、より好ましくは2万〜20万の範囲とされる。
電荷輸送層12は、上記の電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた塗布液を電荷発生層11上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層12の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。また、塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送材料と結着樹脂と有機溶剤との分散は、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて行うことができる。
塗布液の塗布方法としては、感光体の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
電荷輸送層12の膜厚は、一般には5〜50μm、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜30μmの範囲に設定される。
電荷輸送層12が感光体ドラム1の最表面層となる場合には、表面の潤滑性向上のために電荷輸送層12中にポリテトラフルオロエチレンのような離型性固体粒子を含有させることも可能である。 フッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
フッ素系樹脂粒子の電荷輸送層12中の含有量は、電荷輸送層12全量を基準として、0.1〜40質量%が適当であり、1〜30質量%が特に好ましい。含有量が0.1質量%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が不十分となる傾向にあり、一方、40質量%を越えると光通過性が低下し、かつ、繰り返し使用による残留電位の上昇が生じてくる傾向にある。
フッ素系樹脂粒子の平均一次粒径は0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。平均一次粒径が0.05μm未満であると分散時の凝集が進みやすくなる傾向にある。一方、平均一次粒径が1μmを越えると画質欠陥が発生し易くなる傾向にある。
また、電荷輸送層12には、フッ素系樹脂粒子に加えて、さらには無機粒子を加えてもよい。
無機粒子の電荷輸送層12中の含有量は、電荷輸送層12全量を基準として、0.1〜30質量%が適当であり、1〜20質量%が特に好ましい。含有量が0.1質量%未満では無機粒子の分散による改質効果が不十分となる傾向にあり、一方、30質量%を越えると繰り返し使用による残留電位の上昇が生じてくる傾向にある。
無機粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ(二酸化珪素)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸銅、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ニッケル、アンチモン、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化錫、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、これらのうち1種を、又は必要に応じて2種以上が用いられるが、好ましくはシリカが用いられる。シリカ粒子としては、化学炎CVD法により製造されるのが好ましく、具体例としてはクロルシランガスを酸素−水素混合ガス又は炭化水素−酸素混合ガスの高温火炎中で気相反応させてシリカ微粒子を得る方法が好ましい。
また、無機粒子としては、粒子表面が疎水化されたものが好ましい。疎水化処理剤としては、例えばシロキサン化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等が用いられる。シロキサン化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、無機粒子の平均一次粒径は、0.005〜2.0μmであることが好ましく、0.01〜1.0μmであることがより好ましい。無機微粒子の平均一次粒径が0.005μm未満であると感光体表面の十分な機械的強度が得られない傾向にあり、また、分散時の凝集が進みやすくなる傾向にある。一方、2μmを越えると感光体表面粗さが大きくなりクリーニングブレードが摩耗、損傷してクリーニング特性が悪化し、画像ボケが発生し易くなる傾向にある。
電荷輸送層12中にフッ素系樹脂粒子、さらには無機粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用できる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
これらのフッ素系樹脂粒子や無機粒子を分散させてなる電荷輸送層12を形成する塗布液の分散方法としては、溶媒に溶解した結着樹脂、電荷輸送材料などの溶液中にフッ素系樹脂粒子や無機粒子を分散させる方法が挙げられる。
また、塗布液の分散安定性を向上させるため、および塗膜形成時の凝集を防止するために、塗布液に分散助剤を少量添加することも有効である。分散助剤として、フッ素系界面活性剤、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。これらの中でも、フッ素系ポリマーさらにはフッ素系クシ型グラフトポリマーが分散助剤として有効であり、フッ素系クシ型グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が好ましい。
また、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光や熱による感光体の劣化を防止する目的で、上記の電荷発生層11及び電荷輸送層12により構成される感光層16中には、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加する事ができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例としては、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
図2(b)は、感光体ドラム1の他の例を示す模式断面図である。図2(a)に示した感光体ドラム260は、導電性支持体層13と感光層16との間に下引層14を備えること以外は図2(a)に示した感光体ドラム250と同様の構成を有する。
下引層14は、感光層16の帯電時において、導電性支持体13から感光層16への電荷の注入を阻止する機能を有する。また、この下引層14は、感光層16を導電性支持体層13に対して一体的に接着保持せしめる接着層としても機能する。更に、この下引層14は、導電性支持体13の光反射を防止する機能を有する。
下引層14を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
また、下引層14において樹脂中に適度な抵抗値の金属酸化物を分散させて、適度に塗膜の抵抗値を調整し残留電荷の蓄積を防ぎつつ、かつ一定の膜厚を持つことで感光体の耐リーク性、とくに接触帯電時のリーク防止、能力を上げたタイプの分散型下引層もある。この場合には抵抗制御剤を分散することにより、上述の構成より厚膜化が可能となり、より厚い膜厚で使用される。
この分散型下引層の例として、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、支持体13上に塗布して形成したものが挙げられる。
導電性金属酸化物としては、平均一次粒子径0.5μm以下の微粒子が好ましく用いられる。下引層14はリーク耐性獲得のために適切な抵抗を有していることが必要であり、そのため金属酸化物微粒子は102〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗を有していることが好ましい。中でも上記粉体抵抗を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子を用いることが好ましい。なお、金属酸化物微粒子の粉体抵抗が上記粉体抵抗の範囲の下限値未満であると、十分なリーク耐性が得られない傾向にあり、この範囲の上限値を超えると、残留電位上昇を引き起こしやすくなる傾向にある。
また、金属酸化物微粒子は2種以上混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物微粒子へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体の抵抗を制御することができる。この際使用可能なカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのカップリング剤は2種以上を混合して用いることもできる。
分散型下引層用の結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いることができる。これらの中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
分散型下引層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子と結着樹脂との比率は、所望の電子写真感光体特性が得られる範囲で任意に設定される。
図2(c)は、感光体ドラム1の他の例を示す模式断面図である。図2(c)に示した感光体ドラム270は、感光層16上(感光層16の導電性支持体13から遠い側の面上)に保護層(表面保護層)15を備えること以外は図2(a)に示した感光体ドラム250と同様の構成を有する。
保護層15は、感光体220の耐磨耗性を向上させ感光体寿命を向上させたり、現像剤とのマッチングを向上させたり、感光体220の帯電時における電荷輸送層12の化学的変化を防止するなどの目的で設けられる。
保護層15の例としては、絶縁性の樹脂層、電荷輸送性を付与した高分子化合物による電荷輸送性保護層、若しくは金属酸化物などの抵抗制御用微粒子を分散した抵抗制御型表面保護層などの例が挙げられる。
抵抗制御用微粒子を分散した抵抗制御型表面保護層において、抵抗制御用粒子としては、カーボンブラックや金属、金属酸化物などを用いることができる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン被覆酸化スズ、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、或いは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したものが挙げられる。
抵抗制御型表面保護層は、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物などに上記の抵抗制御用粒子を分散して成膜される。
抵抗制御用粒子の添加量は、保護層15に所望の塗膜抵抗が付与されるように適宜調整され、抵抗制御用粒子の体積が保護層15の全体積を基準として、通常10〜60体積%、好ましくは20〜50体積%となるように調整される。
また、外部から導電性異物が感光体の内部に貫入することを阻止するためには、表面保護層15はある程度以上の高い硬度を有する樹脂によって構成されていることが効果的である。
表面保護層15は、例えば、100nm以下の粒径の金属酸化物を用いるために透明性に優れ、厚膜を形成しても透過率の低下が少ないために感度の減少が少ない。そのため、耐摩耗強度が高いのに加えて、厚膜化が可能な効果を併せて感光体寿命をより一層向上させることが可能である。
また、保護層15に用いられるバインダー樹脂としては、上述したものの他に、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂を用いることができる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
保護層15の厚みは0.1〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。この保護層15を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、リングコーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
また、保護層15を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン、アルコール等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、できるだけこの塗布液が塗布される感光層16を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
また、保護層15には、ポリマー成分中に電荷輸送性機能を織り込んだ高分子電荷輸送剤を用いることや、シリコーンハードコート剤等の強靭なコート剤中に低分子の電荷輸送剤を分子分散させるなどして電荷輸送機能をもたせた樹脂成分を用いることも可能である。ポリマー成分中に電荷輸送機能を織り込んだ表面保護層の例としては、シリコーンポリマー中に電荷輸送材料機能基を織り込んだ表面保護層が挙げられる。
以上、感光体ドラム1の好適な例について詳細に説明したが、感光体ドラム1は図2(a)〜(c)に示したものに限定されるものではない。例えば、図3(a)に示す感光体ドラム280のように、導電性支持体13と感光層16との間に下引層14を備え、更に感光層16上に保護層15を備えるものであってもよい。
また、上記の感光体ドラム1の例では、感光層16が2層構造を有している場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図3(b)に示す感光体ドラム290のように、感光層16が単層構造であってもよい。この場合、感光層16には上述した電荷発生材料と電荷輸送材料の双方が含まれる。また、図3(b)には図示していないが、導電性支持体13と感光層16との間に下引層14を備えるものでもよく、感光層16上に保護層15を備えるものであってもよく、下引層14と保護層15とを共に有するものであってもよい。
次に、上述した感光体ドラム1の端部の開口に嵌合されるフランジ2,3について説明する。
フランジ2,3は通常、金型を用いて所望の形状に成形される。図1に示すように、フランジ2は、感光体ドラム1の端部の開口に嵌合するための円筒状の嵌合部6と、嵌合部6に一体に設けられる円筒状の露出部4と、嵌合部6に一体に設けられる錘部7とを備えており、フランジ2の中心には、シャフトを挿入するための貫通口8が嵌合部6、露出部4及び錘部7を貫通するように形成される。また、フランジ3は、嵌合部6に一体に設けられる円筒状の露出部が、その外周にギアが形成されてギア部5となっている以外はフランジ2と同様の構成を有している。なお、フランジ3には、必要に応じて位置決めガイドが設けられていてもよい。
そして、ICタグ9は、フランジ2を構成する露出部4の感光体ドラム1と反対側の面に取り付けられている。このとき、露出部4のICタグ9を取り付ける位置は、フランジ2と感光体ドラム1との嵌合時や、電子写真感光体100を用いて画像形成を行う際に障害とならない位置とする必要がある。そのため、露出部4の表面にはICタグ9を取り付けるべき位置に予め取り付けしろ等を設けておき、決められた位置にICタグ9を確実に取り付けられるようにすることが好ましい。また、ICタグ9の取り付けは、例えば、接着剤等を用いて露出部4の表面に直接貼り付けることで行うことができる。更に、ICタグ9を含んだ粘着シートを用い、この粘着シートを露出部4の表面に貼り付けることによってもICタグ9の取り付けを行うことができる。
なお、図1に示した電子写真感光体100においては、ICタグ9はフランジ2の感光体ドラム1と反対側の面に取り付けられているが、ICタグ9の取り付け位置は上記の位置に限定されない。例えば、ICタグ9は感光体ドラム1の内表面、すなわち、導電性支持体13の表面(感光層16が形成されている面と反対側の面)に取り付けられていてもよい。また、フランジに取り付ける場合、フランジ2及び3のいずれに取り付けてもよく、フランジ内部にICタグ9を配置可能な埋め込み部を形成し、そこへICタグ9を取り付けてもよい。更に、フランジを射出成型により形成する場合、射出成型時にフランジ内部にICタグ9を封入してもよい。
このICタグ9には、電子写真感光体100に関して予め測定された所定の特性パラメータについての検査情報、好ましくは、感光体100の外周面上の基準位置と、所定位置における所定の特性パラメータとについての検査情報が書き込まれている。この所定の特性パラメータは、感光体100に関して予め測定されたものであり、具体的には、例えば、感光層16の膜厚、帯電特性、I−V特性、暗減衰特性、感度、表面粗度、光反射率、偏心方向等が挙げられる。なお、特性パラメータは上記のものに限定されず、上記以外の項目を含んでいてもよい。更に、検査情報は上記の基準位置及び特性パラメータに限定されず、これら以外の項目に関する情報を含んでいてもよい。
上記の検査情報は、感光体ドラム1の状態で、又は、該感光体ドラム1の両端の開口にフランジ2,3を嵌合した状態で、各検査情報を測定可能な検査装置によって測定することができる。例えば、感光体ドラム1の電気特性に関する特性パラメータの評価項目としては、帯電特性、I−V特性、暗減衰特性、感度などが挙げられるが、これらは感光体ドラム1を装着して電気特性を測定することが可能なユニバーサル測定器等の検査装置にて測定することができる。検査装置で測定したデータは、検査情報として検査装置のコンピュータに登録され、そこからICタグ9に記録される。ここで、ICタグ9は検査情報を書き込んだ後に感光体ドラム1に取り付けてもよく、測定前に予め感光体ドラム1に取り付けておき、そこに測定された検査情報を書き込むようにしてもよい。
図4は、電気特性検査装置の一例を示す図であり、図5は、図4に示した電気特性検査装置のI部の部分拡大断面図である。図4及び5に示すように、感光体ドラム1は検査装置300のハウジング27内にセットされ、感光体ドラム1の回りに、取り付け部材26を介して、帯電器22、露光ユニット23、及び電位測定用プローブ24がセットされている。ここで、感光体ドラム1はその一端が支承部29に固定される。その後、支承部30が設置されたスライド台32を、ハンドル23を回して図4中の矢印Aの方向に移動させることにより、感光体ドラム1の他端が支承部30によって固定される。また、帯電器22、露光ユニット23、及び電位測定用プローブ24のそれぞれは、支持棒25の感光体ドラム1側の端部に取り付けられており、各支持棒25は取り付け部材26に固定されている。
感光体ドラム1の電気特性を測定する際には、感光体ドラム1はモータ21によって図5中の矢印Bの方向に回転するようになっており、更に、取り付け部材26は、スライドレール28に沿って図4中の左右方向に移動するようになっている。すなわち、検査装置300では、感光体ドラム1の外周面全体の電気特性を測定することが可能となっている。
感光体ドラム1の電気特性の測定は、以下のようにして行うことができる。まず、帯電器22により感光体ドラム1を帯電させることにより、その時の帯電条件(帯電電位、電流値)と、暗減衰とを測定することができる。また、露光ユニット23により光量を変えながら感光体ドラム1を露光し、その時の減衰電位を測定することにより、感度や光減衰特性を測定することができる。同様に、I−V特性は、上記の電気特性検査装置300を用い、帯電に用いた電流値と帯電電位との関係を測定することに求めることができる。
また、感光層の膜厚は、渦電流測定装置、光学干渉式膜厚計、剥離面の段差測定などにより測定することができる。感光層の表面粗度は、触針式の表面粗度計やレーザ顕微鏡を用いて測定することができる。
光反射率は、感光体に照射した光の反射光の光量を測定し、照射光量と比較することにより測定することができる。磨耗特性は、感光体を使用する電子写真装置内で繰り返し使用した際の磨耗量を、膜厚変化から測定することにより求めることができる。また、硬度は、ヌープ、ビッカースなどの硬度計やダイナミック硬度計などの装置を用いて測定することができる。
このようにして測定された検査情報は、検査装置300に電気的に接続された制御装置(コンピュータ等)に登録される。そして、感光体ドラム1にICタグ9が取り付けられている場合には、制御装置からそのICタグに検査情報が転送され、記録される。感光体ドラム1にICタグ9が取り付けられていない場合には、感光体ドラム1に取り付けられるべきICタグ9に検査情報が転送された後、このICタグ9が対応する感光体ドラム9に取り付けられる。なお、検査情報は、全体として品質管理システムに登録されるとともに、個々の感光体ドラム1に取り付けられたICタグ9上に固有の情報として記録されることとなる。
この検査情報は、各感光体ドラム1についてそれぞれ測定されたものであってもよく、ロット毎、又は製品バージョン毎に測定を行って設定された規格値であってもよい。ロット毎又は製品バージョン毎に規格値を設定する場合、例えば、抜き取り検査によりロット中又は製品バージョン中の複数個について測定を行い、得られた測定値の平均値を規格値として設定することができる。
また、感光体ドラム1の偏心方向を測定する方法について、図6〜8を参照しながら説明する。図6は、偏心方向検査装置の一例を示す図である。図6に示すように、感光体ドラム1は、その両端部の開口にフランジ2とギア部を有するフランジ3とが嵌合されており、フランジ2及び3の中心を貫通するようにシャフト41が挿入されている。そして、シャフト41の一端は支承部44に固定され、他端はドラム回転駆動部45に固定されている。これによって、感光体ドラム1は定盤46に固定されている。なお、図6における感光体ドラム1では、フランジ3に感光体ドラム1の基準位置を規定するための位置決めガイド42が設けられており、その位置決めガイド42が設けられている位置からフランジ3の内部に埋め込み部43が形成され、当該埋め込み部43内にICタグ9が取り付けられた構成を有している。ICタグ9は例えば1mm以下の微小なICチップであるため、埋め込み部43は極めて小さな切り込みであればよく、フランジ3内部に出っ張りなしに埋め込むことができる。
また、定盤46上には移動ガイド47と、この移動ガイド47に沿って図6中の左右方向に移動可能となっているレーザーセンサ48とが設けられている。ここで、図7はレーザーセンサ48と感光体ドラム1との配置関係を示す部分拡大断面図である。図7に示すように、レーザーセンサ48はレーザー露光部49とレーザー受光部50とを有しており、これらの間に感光体ドラム1が配置されるようになっている。
このような構成を有する検査装置310において、感光体ドラム1の偏心方向を測定する際には、感光体ドラム1はドラム回転駆動部45によりフランジ3のギア部を介して図7中の矢印Cの方向に回転される。そして、レーザー露光部49から平行光Lが照射され、感光体ドラム1により遮光されなかった平行光Lがレーザー受光部50に到達して受光される。感光体ドラム1に遮られないでレーザー受光部50が平行光Lを感知した位置に基づいて、感光体ドラム1の中心からその外表面までの距離を求めることができるため、上記の操作を感光体ドラム1を回転させ、且つ、レーザーセンサ48を移動ガイド47に沿って図6中の左右方向に移動させながら行うことによって、感光体ドラム1の外周面全体の偏心状態を求めることができる。なお、フランジ3には位置決めガイド42が形成されているため、例えば、この位置決めガイド42の位置を基準位置とし、この位置を基準とした感光体ドラム1の偏心方向を求めることができる。また、位置決めガイド42がなくても、例えば、ICタグ9の取り付け位置、感光体ドラムとフランジとの噛み合わせ位置から基準位置を設定し、この基準位置に対して偏心方向を求めることができる。
図8は検査装置310の主要部の構成を説明するための説明図である。図8に示すように、レーザー露光部49及びレーザー受光部50には、これらを制御するためのコンピュータ51が電気的に接続されている。測定時には、コンピュータ51からスキャン・露光制御信号S1がレーザー露光部49に送られ、レーザー受光部50から読み取り信号S2がコンピュータ51に送られる。コンピュータ51に送られた測定情報は、データ処理された後、偏心方向の情報として発信機52からICタグ9に送信され、ICタグ9に記録される。
以上説明した検査装置300及び310によって、感光体ドラム1に関する検査情報が測定され、ICタグ9に書き込まれる。また、ICタグ9には、上述したもの以外の感光体ドラム1に関する情報、例えば、品種、ロット、製造日、機種コード、品番、使用履歴等のデータが書き込まれていてもよい。そして、このような検査情報が書き込まれたICタグを備える本発明の電子写真感光体100によれば、後述するような、ICタグ9に書き込まれた検査情報を読み取って、その検査情報に基づいて画像形成条件の制御を行うことが可能な制御手段を備える画像形成装置に搭載されることにより、感光体100に感度や帯電特性、偏心方向といった品質上のばらつきがあったり、仕様変更により感光体100の特性が変化しても、良好な画質の画像を安定して得ることが可能な画像形成装置を構成することができる。
(画像形成装置)
図9は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図9に示した画像形成装置600は、タンデム型であり、いわゆる中間転写方式の画像形成装置である。図9に示す画像形成装置600は、複写機、レーザービームプリンター等として使用できる。画像形成装置600は、4つの画像形成ユニット120a、120b、120c、及び120dを備えている。4つの画像形成ユニット120a〜120dは、中間転写体108の一部に沿って並列に配置されている。
ここで、各画像形成ユニット120a〜120dは、ドラム状の電子写真感光体101a〜101dを備えており、電子写真感光体101a〜101dは所定の方向(紙面上は反時計回り)に所定の周速度(プロセススピード)で回転可能である。なお、電子写真感光体101a〜101dは、上述した本発明の電子写真感光体である。すなわち、電子写真感光体101a〜101dには、それぞれICタグ(非接触ICタグ)130a〜130dが取り付けられており、それぞれの感光体の検査情報が蓄積されている。このICタグ130a〜130dの取り付け位置は特に限定されない。
各電子写真感光体101a〜101dに対しては、その回転方向に沿って接触帯電方式の帯電装置103a〜103d、現像装置102a〜102d、1次転写装置104a〜104d、クリーニング装置106a〜106dが順次配置されている。現像装置102a〜102dには、トナーカートリッジ(図示せず)に収容されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーが供給可能であり、白黒画像はもちろんのこと、カラー画像も形成できる。また、1次転写装置104a〜104dはそれぞれ中間転写体108を介して電子写真感光体101a〜101dに当接している。
なお、現像装置102a〜102dは、図9ではY、M、C、Kのトナー色の順に配置されている。トナー色の配置は、例えば、M、Y、C、K等システムの画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
さらに、画像形成装置600の所定の位置には露光装置107(ROS;Razer Output Scanner)が配置されている。露光装置107は、原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナーによる走査露光系等を有している。露光装置107から出射されたレーザ光は、レーザ光105a〜105dに分岐されて、各画像形成ユニット120a〜120dにおける帯電後の電子写真感光体101a〜101dの表面に照射されるようになっている。これにより、電子写真感光体101a〜101dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写体108上に重ねて転写される。
中間転写体108は無端ベルト状であり、駆動ロール114、バックアップロール113及びテンションロール115により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく電子写真感光体101a〜101dと同じ周速度で回転可能となっている。中間転写体108は、駆動ロール114及びバックアップロール113の中間に位置するその一部が電子写真感光体101a〜101dと接している。
また、2次転写装置109は、中間転写体108を介してバックアップロール113と当接するように配置されている。また、バックアップロール113と2次転写装置109との間を通過した中間転写体108は、例えば駆動ロール114の近傍に配置されたクリーニングブレード(図示せず)により表面を清浄化された後、次の画像形成プロセスに供される。
また、画像形成装置600内の所定の位置にはトレイ111が設けられている。トレイ111内には被転写媒体112として用紙が入っており、トレイ111内の被転写媒体112は搬送装置(図示せず)により2次転写装置109とバックアップロール113との間に搬送される。被転写媒体112は、さらには相互に当接する2個の定着ロール110の間に順次移送され、画像形成装置600の外部に排出される。
更に、画像形成装置600内の所定の位置には、電子写真感光体101a〜101dのそれぞれの検査情報をICタグ130a〜130dから読み取り、該検査情報に基づいて画像形成条件を制御する制御装置(図示せず)が設けられている。そして、画像形成装置600のはじめての使用時、検査時、あるいは感光体交換時に制御装置が作動し、各感光体の検査情報を読み取ることとなる。
ここで、帯電装置103a〜103dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性又は半導電性の帯電ロール、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器、帯電ロールを感光体近傍で用いる非接触方式のロール帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などのそれ自体公知の帯電器を用いることができる。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が用いられる場合が多くなっている。
接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはロール状等何れでもよいが、特にロール状部材が好ましい。通常、ロール状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
ロール状部材は、感光体に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ロール部材に何らかの駆動手段を取り付け、感光体とは異なる周速度で回転させ、帯電させても良い。
芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、その他導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物が用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いても良い。
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては103〜1014Ωcm、好ましくは105〜1012Ωcm、さらに好ましくは107〜1012Ωcmがよい。また膜厚としては0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.5〜100μmがよい。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。
これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、さらに好ましくは1200〜1600Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20,000Hz、好ましくは100〜5,000Hzである。
露光装置107としては、特に制限はなく、例えば、電子写真感光体101a〜101d表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系機器などが用いられる。なお、上記像露光は、上記像露光装置を用いて好適に行うことができる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。これまで、半導体レーザの波長として780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流であるが、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400〜450nm近傍に発振波長を有するレーザも利用が可能である。またカラー画像形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置102a〜102dは、現像により上記電子写真感光体101a〜101d上に形成した静電潜像を現像してトナー像を形成する機能を有する。現像工程は、上記電子写真感光体101a〜101d上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する工程である。現像は、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤などを接触あるいは非接触させて現像する一般的な現像手段を用いて行うことができる。したがって、現像装置102a〜102dとしては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ロール等を用いて電子写真感光体101a〜101dに付着させる機能を有する公知の現像器などが挙げられる。
1次転写装置104a〜104dは、反転現像により電子写真感光体101a〜101d上に形成したトナー像を中間転写体に転写する機能を有するものである。第1転写工程は、反転現像により電子写真感光体101a〜101d上に形成したトナー像を中間転写体に転写する工程である。第1転写工程は、1次転写装置104a〜104dを用いて好適に行うことができる。なお、以下において、該トナー像の中間転写体への転写を「第1転写」と称することがある。この工程は必要に応じて行われ、場合によっては省略され、感光体から直接紙などの転写材に転写されされる場合もある。
1次転写装置104a〜104dとしては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器などのそれ自体公知の転写帯電器を用いることができる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。なお、本発明においては、転写帯電器のほかに、剥離帯電器等を併用することもできる。また、第1転写の際に、1次転写装置104a〜104dから電子写真感光体101a〜101dに付与される転写電流には、通常直流電流が使用されるが、更に交流電流を重畳させて使用してもよい。1次転写装置104a〜104dにおける設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、1次転写電流としては+100〜+400μA、1次転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
中間転写体108の構造としては、単層構造のものと多層構造のものがある。多層構造の場合には、例えば導電性支持体上に、ゴム、エラストマー、樹脂等から形成される弾性層と、少なくとも1層の被覆層とを設けてなる構造などがある。中間転写体108の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することできるが、例えば、ローラ形状、ベルト形状などが好適に挙げられる。本発明においては、これらの中でも、画像の重ね合わせ時の色ズレ、繰り返しの使用による耐久性、他のサブシステムの配置の自由度の取り易さ等の点で、無端ベルト形状が特に好ましい。無端ベルト形状の中間転写体108は遠心成形、スプレー被覆法、浸漬成膜法などの方式をとることにより形成することができる。またシート形状の導電性フィルムをシーム形成してベルトを形成することもできる。
中間転写体108の材料としては、従来公知の、例えば、導電剤含有のポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等の導電化熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いるのが好ましい。
導電剤としては、カーボンブラック、金属粉や酸化錫、酸化インジウム、チタン酸ブラックなどの金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。これらの中でも、ポリイミド系樹脂にカーボン粒子を分散させたものが好適に用いることができる。
導電剤を分散させたポリイミド樹脂ベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20重量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、更に適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造される。上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行う。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
中間転写体108の表面体積抵抗値としては、例えば、108〜1016Ωcmが好ましい。表面体積抵抗値が、108Ωcm未満であると画像に滲みや太りが生じ、1016Ωcmを越えると画像の飛び散りの発生や、中間転写体シートの除電の必要性が発生し、いずれの場合も好ましくない。中間転写体をベルトとして構成する場合、一般には50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
2次転写装置109は、中間転写体108上のトナー像を一括して、あるいは中間転写体108を用いない場合はドラム上のトナーを順次、紙などの転写材に転写する機能を有する。第2転写工程は、2次転写装置109を用いて好適に行うことができる。なお、以下において、該トナー像の転写材への転写を「第2転写」と称することがある。
2次転写装置109としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、例えば、上記1次転写装置104a〜104dとして例示した接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器、コロトロン転写帯電器などが用いられる。これらの中でも、1次転写装置104a〜104dと同様に接触型転写帯電器が好ましい。また、第2転写の際に、2次転写装置109から中間転写体108に付与される転写電流には、通常直流電流が使用されるが、本発明においては更に交流電流を重畳させて使用してもよい。
2次転写装置109における設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、2次転写電流としては+100〜+400μA、1次転写電圧としては+2000〜+5000Vを設定値とすることができる。
また、画像形成装置600は、更に、電子写真感光体101a〜101dに対して光除電を行う光除電装置、転写材上に第2転写したトナー像を定着させる定着装置等を備えていてもよい。
光除電装置としては、例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられ、光除電を行う際に用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光などが挙げられる。光除電を行う際における照射光強度としては、通常、電子写真感光体101a〜101dの半減露光感度を示す光量の数倍から30倍程度になるように出力設定される。
定着装置としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ロール定着器、オーブン定着器などが挙げられる。
以下、上述した画像形成装置600を用いた画像形成方法について、説明する。
画像形成装置600においては、電子写真感光体101a〜101dを回転駆動させると、これに連動して帯電装置103a〜103dが駆動する。そして、電子写真感光体101a〜101dの表面を所定の極性、電位に一様に帯電させる(帯電工程)。次に、表面が一様に帯電された電子写真感光体101a〜101dは、露光装置107から出射されたレーザ光105a〜105dによって像様に露光され、感光体101a〜101d表面に静電潜像が形成される(露光工程)。
静電潜像は、現像装置(反転現像装置としての単色用の現像装置)102a〜102dのトナーにより現像され、電子写真感光体101a〜101dの表面にトナー像が形成される(現像工程)。このときのトナーは二成分系トナーでも、一成分系トナーでもよい。
このトナー像は、感光体101a〜101dと中間転写体108との界面(ニップ部)を通過する過程で、1次転写装置104a〜104dから中間転写体108に印加される1次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体108の外周面に順次、1次(中間)転写される(中間(一次)転写工程)。なお、感光体101a〜101dから中間転写体108に印加される1次転写バイアスは、上記トナーとは逆極性(+)でバイアス電源から印加される。その印加電圧は、例えば+2kV〜+5kVの範囲である。
このように各画像形成ユニット120a〜120dにより異なる色のトナー像が中間転写体108に重畳転写され、カラートナー像が形成される。そして、このトナー像は、2次転写装置109による接触帯電作用により中間転写体108から被転写媒体112に転写され(二次転写工程)、定着ロール110によりカラートナー像が被転写媒体112に定着され、カラー画像が形成される。
なお、電子写真感光体101a〜101d上に残存するトナーは、クリーニング装置106a〜106dによって清掃・除去される。そして、電子写真感光体101a〜101dは、次の複写サイクルに供される。
本発明の画像形成装置600において、上述した画像形成を行う際の画像形成条件は、電子写真感光体101a〜101dのそれぞれに取り付けられたICタグ130a〜130dから読み取った検査情報に基づいて、上記制御装置により制御される。
具体的には、検査情報が電子写真感光体101a〜101dの偏心方向に関する情報を含む場合、電子写真感光体101a〜101dのそれぞれの偏心方向が同一画像形成位置においてずれ角10°で一致するように位相合わせが行なわれる。すなわち、各感光体の偏心方向に関する情報を基に、各感光体をそれぞれ何度角度をずらせれば、同一画像形成位置上で感光体の偏心最大方向が揃えられるかを制御装置が計算し、例えば、画像形成装置600がウォーミングアップ状態の時に各々の感光体、或いは4本のうちの幾つかを回転させる。各感光体は、クラッチのオンオフなどが各自自由にコントロールできるなどして、個々のドラムが独立に回転駆動が可能な機構になっている。したがって、位相を変えたい感光体のみクラッチを入れて回転させ、他のドラムと位相を揃える方法や、逆に位相を変えたい感光体ドラムのみクラッチを外して回転を止めて、他の3本のドラムを動かして全てのドラムの位相があったところで停止し、全ての感光体でクラッチのオンオフ状態を合わせるなどの方法により位相合わせを行うことができる。かかる位相合わせを行うことにより、色むらが十分に低減された良好な画質の画像を安定して得ることが可能となる。なお、色むらの発生をより十分に低減する観点から、電子写真感光体101a〜101dのそれぞれの偏心方向の同一画像形成位置におけるずれ角は、10°以下であることが好ましく、0°に近いほど好ましい。この位相合わせは、制御装置が自動的に行うようになっており、例えば、電子写真感光体101a〜101dのうちの1つ以上の感光体を交換する際に、新たに装着する感光体がICタグを備えていることにより、この感光体の偏心方向を特に意識せずに定常的な方法で装着しても、制御装置が自動的に各感光体の偏心方向の関係を最適化してくれる。
なお、円筒状の感光体の偏心は、通常で10〜100μm程度ある。そのため、感光体とレーザー光とのなす角度をθとしたときに感光体が深度方向にΔr変化した時には、結像位置の走査方向の変化量Δxは、Δx=Δr/tanθとなって現れる。したがって、変化は感光体端部で最大となり、偏心による画像むらは感光体端部で顕著となる。この各色の感光体ごとの偏心方向を揃えることにより、各色間の画像位置変動を最小化することができる。なお、感光体の基体は通常、旋盤による切削を行うことで偏心量を抑えることができる。
また、検査情報が電子写真感光体101a〜101dのI−V特性に関する情報を含む場合、このI−V特性の情報を基に、帯電装置103a〜103dによる電子写真感光体101a〜101dへの印加電圧を調整する。
また、検査情報が電子写真感光体101a〜101dの感度に関する情報を含む場合、この感度の情報を基に、露光装置107の出力を調整し、電子写真感光体101a〜101dへの露光量を調整する。例えば、電子写真感光体101a〜101dの感度が低い場合には、露光量を増加させるように露光装置107の出力を調整する。
更に、検査情報が上記以外の電子写真感光体101a〜101dに関する情報を含む場合、その検査情報に応じて帯電条件、露光条件、現像条件等の画像形成条件を調整する。ここで、ICタグから検査情報を読み取って画像形成条件を制御する手順を示すフローチャートを図10に示す。
なお、帯電装置103a〜103dの印加電圧や露光装置107の出力等の画像形成条件の調整は、例えば予め調整条件を制御装置にインプットしておき、その調整条件に従って調整することができる。
以上のように、非接触ICタグから読み取った検査情報に基づいて、画像形成時における画像形成条件を制御することにより、感光体に感度や帯電特性、偏心方向といった品質上のばらつきがあったり、仕様変更により感光体の特性が変化しても、良好な画質の画像を安定して得ることができる。
また、画像形成装置600は、現像装置102a〜102dのそれぞれで使用される現像剤に関する検査情報、中間転写体108に関する検査情報、クリーニング装置106a〜106dのそれぞれに関する検査情報等の電子写真感光体101a〜101d以外の構成部材に関する検査情報が書き込まれた非接触ICタグを備えていてもよい。
ここで、現像剤に関する検査情報としては、粒径、粒度分布、トライボ特性、球状係数、電荷分布等が挙げられる。中間転写体に関する検査情報としては、体積抵抗、表面抵抗、表面粗度、表面硬度等が挙げられる。クリーニング装置に関する検査情報としては、弾性力、肉厚、硬度等が挙げられる。もちろん、上記以外の項目を検査情報として含んでいてもよい。
現像剤に関する検査情報が書き込まれた非接触ICタグは、例えば、それぞれの交換現像剤カートリッジ表面若しくは内部等に取り付けることができる。中間転写体に関する検査情報に関する検査情報が書き込まれた非接触ICタグは、例えば、中間転写体カートリッジや中間転写体内部に取り付けることができる。クリーニング装置に関する検査情報が書き込まれた非接触ICタグは、例えば、それぞれのクリーニングブレードの金属部やクリーニングブレードの表面部に取り付けることができる。もちろん、非接触ICタグは、画像形成時に障害にならない限りにおいて、上記以外の部位に取り付けてもよい。
これらの非接触ICタグに書き込まれた検査情報は、上述の制御装置によって読み取られ、それぞれの検査情報に応じて画像形成条件が制御される。例えば、感光体の帯電特性を読み取って、感光体への帯電器の電圧印加条件を調整することができる。また、感光体の感度条件を読み取って、その結果から感光体への露光量照射条件を調整することにより、より安定した画質を獲得することができる。
図11は、本発明の画像形成装置の好適な他の実施形態を示す概略構成図である。図11に示した画像形成装置610は、中間転写体を備えない画像形成装置であり、図9に示す画像形成装置と同様に、4つのドラム状の電子写真感光体201a〜201dが用紙搬送用ベルト206に沿って相互に並列に配置されている。なお、電子写真感光体201a〜201dは、例えば、電子写真感光体201aがイエロー、電子写真感光体201bがマゼンタ、電子写真感光体201cがシアン、電子写真感光体201dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である。すなわち、電子写真感光体201a〜201dには、それぞれICタグ(非接触ICタグ)230a〜230dが取り付けられており、それぞれの感光体の検査情報が蓄積されている。このICタグ230a〜230dの取り付け位置は特に限定されない。
そして、電子写真感光体201a〜201dのそれぞれは所定の方向(紙面上は時計回り)に所定の周速度(プロセススピード)で回転可能であり、その回転方向に沿って帯電装置202a〜202d、露光装置203a〜203d、現像装置204a〜204d、転写装置211a〜211d、クリーニング装置205a〜205dが配置されている。
更に、画像形成装置610内の所定の位置には、電子写真感光体201a〜201dのそれぞれの検査情報をICタグ230a〜230dから読み取り、該検査情報に基づいて画像形成条件を制御する制御装置(図示せず)が設けられている。そして、画像形成装置610のはじめての使用時、検査時、あるいは感光体交換時に制御装置が作動し、各感光体の検査情報を読み取ることとなる。
露光装置203a〜203d、現像装置204a〜204d、転写装置211a〜211d、クリーニング装置205a〜205dとしては、通常使用するものを使用できる。また、画像形成装置610においては、帯電装置202a〜202dとして、スコロトロン帯電装置を使用する。現像装置204a〜204dのそれぞれにはトナーカートリッジ(図示せず)に収容されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーが供給可能である。また、転写装置211a〜211dはそれぞれ用紙搬送用ベルト206を介して電子写真感光体201a〜201dに当接している。
なお、現像装置204a〜204dは、図11ではY、M、C、Kのトナー色の順に配置されているが、これは、例えば、M、Y、C、K等システムの画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
これにより、図9における画像形成装置600と同様にして、電子写真感光体201a〜201dの回転工程において帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程が順次行われる。ここで、画像形成時における画像形成条件は、図10のフローチャートに示したように、電子写真感光体201a〜201dの検査情報に基づいて制御される。
用紙搬送用ベルト206はロール207,208,209,210により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく電子写真感光体201a〜201dと同じ周速度で回転可能となっている。
また、画像形成装置610内の所定の位置にはトレイ213が設けられており、トレイ213内には被転写媒体212である用紙が備えられている。被転写媒体212は、電子写真感光体201a〜201dと転写装置211a〜211dとの間、さらには相互に2つのロールが当接する定着装置215の間に順次移送された後、画像形成装置610の外部に排紙される。これにより、被転写媒体212上に電子写真感光体201a〜201dに形成されたトナー像が順次転写されることによって画像(白黒画像、又はカラー画像)が形成され、その画像が定着される。
かかる構成を有する画像形成装置610においても、電子写真感光体201a〜201dに取り付けられたICタグ230a〜230dから検査情報を読み取り、その検査情報に基づいて画像形成条件を制御して画像形成を行うため、感光体に感度や帯電特性、偏心方向といった品質上のばらつきがあったり、仕様変更により感光体の特性が変化しても、良好な画質の画像を安定して得ることができる。
図12は本発明の画像形成装置の好適な他の実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図12に示す画像形成装置600は、タンデム方式によりカラー画像を形成する画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
4つの電子写真感光体401a〜401dは、上述した本発明の電子写真感光体であり、それぞれICタグ(非接触ICタグ)430a〜430dが取り付けられており、それぞれの感光体の検査情報が蓄積されている。このICタグ430a〜430dの取り付け位置は特に限定されない。
本発明の画像形成装置620において、ハウジング400内には、電子写真感光体401a〜401dのそれぞれの検査情報をICタグICタグ430a〜430dから読み取り、該検査情報に基づいて画像形成条件を制御する制御装置420が設置されている。そして、画像形成装置620のはじめての使用時、検査時、あるいは感光体交換時に制御装置420が作動し、各感光体の検査情報を読み取ることとなる。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
更に、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光手段)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。ここで、画像形成装置620において、画像形成時の画像形成条件は、図10のフローチャートに示したように、電子写真感光体201a〜201dの検査情報に基づいて制御される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合、中間転写体の基材としては、画像形成装置600の説明において先に示したものと同様のものを使用することができる。また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
なお、本発明にかかる被転写媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、紙等が被転写媒体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写媒体である。
かかる構成を有する画像形成装置620においても、電子写真感光体401a〜401dに取り付けられたICタグICタグ430a〜430dから検査情報を読み取り、その検査情報に基づいて画像形成条件を制御して画像形成を行うため、感光体に感度や帯電特性、偏心方向といった品質上のばらつきがあったり、仕様変更により感光体の特性が変化しても、良好な画質の画像を安定して得ることができる。
(プロセスカートリッジ)
図13は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ700は、電子写真感光体707とともに、帯電手段708、現像手段711、クリーニング手段713、露光のための開口部718、及び除電器714を取り付けレール716を用いて組み合せて一体化したものである。そして、このプロセスカートリッジ700は、転写手段712と、定着手段715と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
そして、このプロセスカートリッジ700は、外装体725の内面にICタグ(非接触ICタグ)730が取り付けられており、このICタグ730には、電子写真感光体707に関して予め測定された検査情報が書き込まれている。ここで、ICタグ730の取り付け位置は、画像形成時に障害とならない位置であれば特に制限されず、例えば、電子写真感光体707に取り付けられていてもよい。また、ICタグに書き込まれる検査情報としては、本発明の電子写真感光体の説明において先に示した検査情報が挙げられ、その測定方法も先に示した通りである。
かかるプロセスカーリッジ700によれば、電子写真感光体707に関する検査情報が書き込まれたICタグ730を備えているため、このICタグ730から検査情報を読み取って、その検査情報に基づいて画像形成条件の制御を行うことが可能な制御手段を備える画像形成装置に搭載されることにより、感光体に感度や帯電特性、偏心方向といった特性パラメータのばらつきがあったり、仕様変更により感光体の特性パラメータが変化しても、良好な画質の画像を安定して得ることが可能となる。このようなプロセスカートリッジ730は、例えば図9,11〜12に示した画像形成装置のいずれにも適用することができる。
1…感光体ドラム、2,3…フランジ、4…露出部、5…ギア部、6…嵌合部、7…錘部、8…貫通口、9…ICタグ、11…電荷発生層、12…電荷輸送層、13…導電性支持体、14…下引層、15…保護層、16…感光層、100…電子写真感光体、130a,130b,130c,130d…ICタグ、230a,230b,230c,230d…ICタグ、250,260,270,280,290…感光体ドラム、420…制御装置、430a,430b,430c,430d…ICタグ、600,610,620…画像形成装置、700…プロセスカートリッジ、707…電子写真感光体、708…帯電手段、709…電源、710…露光手段、711…現像手段、712…転写手段、713…クリーニング手段、714…除電器、715…定着手段、716…取り付けレール、718…露光のための開口部、720…被転写体、725…外装体、730…ICタグ。