JP2005084623A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】解像度を向上させると共に、画像形成を繰り返しても長期に渡り優れた解像度が安定して維持できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】感光体と、該感光体表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記感光体の表面に、画像情報に応じて露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、前記感光体が、導電性基体上に、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層、および、表面保護層をこの順に積層した正帯電感光体であり、前記感光体表面と当接する表面層を含む2つ以上の層からなる中間転写体を有することを特徴とするカラー画像形成装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は画像形成装置に関するものであり、特にカラー画像の形成に好適な画像形成装置に関するものである。
最近のカラー電子写真プロセスにおいては、印字速度の高速化を狙ってトナー色に対応する複数の感光体ドラムを並べてカラー画像を形成するタンデム方式のカラー画像形成装置が用いられるようになってきている。このタンデム方式のカラー画像形成装置は、カラー画像情報に応じて、各色成分に対応したトナー像を順次積層してカラー画像を形成する画像形成装置として有用である。
また、従来から利用されている画像形成装置としては、1本の感光体ドラム上から形成したイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(YMCK)4色のトナー像を中間転写体上の転写紙に重ね合わせるCTR(Charged Transfer Roll)方式を利用した画像形成装置や、1本の感光体上に4色のトナー像を順次積層して一括して記録紙に転写する多重現像一括方式(Image on Image法)を利用した画像形成装置が知られている。
一方、上述したタンデム方式のカラー画像形成装置は、4色のトナー毎に対応する相異なる感光体ドラムを用いてそれぞれ得られた各色のトナー像を、必要に応じ中間転写体を介し、用紙に転写しカラー画像を得る装置である。タンデム方式のように4本の感光体ドラムを用いた画像形成方法は前述の1本の感光体を用いたカラー画像形成装置と比べて同じ4倍のプロセス速度が得られるといる利点を有している。
このような画像形成技術を適用したカラー画像形成装置としては、様々なものが提案されている。例えば、感光体を複数有するいわゆるタンデム型カラー画像形成装置において、アルミニウム等の導電性基体の外周面上にチタニルフタロシアニン等の電荷発生物質を含有する負帯電構成の積層型感光層を有する負帯電感光体を用いた技術等が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、上記のような負帯電感光体を用いた従来の画像形成装置においては、以下のような問題が生じていた。すなわち、導電性支持体側に設けられた電荷発生層と、感光体表面側に設けられた電荷輸送層とからなる感光体層を有する負帯電感光体において、光励起により電荷発生層(下層)で生じたキャリアは感光体下層から上層(感光体表面側)へと移動し、感光体表面の電荷と中和することにより光減衰する。このキャリアの移動の際にキャリア同士の反発でキャリアの拡散が生じ高い解像度が得られにくくなるという問題があった。
したがって、画像形成装置に用いられる感光体としては、感光体表面で光吸収キャリアを形成し、感光体表面での電荷拡散が生じないため、高い解像度を得ることが可能な上層励起型の感光体(正帯電感光体)が望まれている。
さらに、従来の画像形成技術においては、このような高画質が期待できる正帯電感光体に適した中間転写装置がなく、システム全体として満足な画質を実現するシステムが得られていなかった。
一方、従来の中間転写体方式を採用した画像形成装置用の中間転写体としては、ポリカーボネート樹脂(特許文献4参照)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(特許文献5,6参照)、ポリアルキレンフタレート(特許文献7参照)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料(特許文献8参照)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料(特許文献9参照)等の熱可塑性樹脂からなる導電性の無端ベルトを利用したものが提案されている。
しかし、印刷領域における高画質を実現するためには、ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の熱可塑性樹脂の導電性材料は機械的特性が劣るために、駆動時の応力に対するベルト変形が大きく、高品質の転写画質が安定して得られない。また、駆動時にベルト端部よりクラックが発生するためにベルトライフが短いなどの問題がある。
この様な中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に用いる中間転写体として、例えば、機械的特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献10、11参照)。
しかしながら、これまでに提案されているポリイミド樹脂からなる中間転写体は、可とう性と剛性のバランスが悪く、中間転写ベルトや転写搬送ベルトとしては、特性を満足しているとは言えなかった。
例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと重合物であるポリアミド酸(Uワニス−S)をポリイミド樹脂の原料とし、これに導電性フィラーを分散した中間転写ベルト(特許文献12参照)は、表面微小硬度が40以上であり、機械的特性に優れており、駆動時の応力に対するベルト変形がなく、色ずれのない高品質の転写画質が安定して得られる。
しかし、この中間転写ベルトを構成するポリイミド樹脂材料は、機械的特性に優れる。このため、中間転写体とバイアスローラーとが押圧し接触している転写部において、電界を印加することにより記録媒体にトナー像を転写する際に、中間転写体表面の変形が少ないために、記録媒体表面に転写されるトナー像に押圧力が集中する。この際、トナーが凝集し、電荷密度が高くなることによってトナー層内部で放電を起こし、トナー極性を変化させる等の原因によって、ライン画像が中抜けする画質欠陥(ホロキャラクター)が生じる場合があった。
また、ポリイミド系樹脂を主体となす2層構成のポリイミド系樹脂ベルトとして、外層(外周面側の層)が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと重合物であるポリイミド系の2層構成のベルトが提案されている(特許文献13参照)。このベルトの外層のポリイミド系樹脂材料は、前記したように表面微小硬度が40以上であり、ライン画像が中抜けする画質欠陥(ホロキャラクター)を発生させる場合があった。
このような中間転写体に起因したライン画像が中抜けする画質欠陥(ホロキャラクター)を改善するために、転写面を構成する材料として、トナー離型性のある低表面エネルギーの材料を用いるが知られている。転写面側の層(転写層)を低表面エネルギーの材料で構成したベルトとしては、例えば、トナー離型性に優れる材料を転写面とした2層以上の積層構造で、転写面側をシリコーン樹脂を主体とする材料で構成したベルトが提案されている(特許文献14参照)。
しかし、シリコーン系材料を転写層材料として用いた場合には、転写面が粘着性を有し、転写面に対抗して配置された感光体に対する摩擦係数が大きくなるために、ステックスリップによる微小な変形が転写面に生じる問題がある。
また、ベルトと感光体との間に形成されるニップ領域での応力分布が局所的に不均等となるため、細かい文字や、細部の緻密な画像を形成する場合に、中抜け現象(ホローキャラクラー)を発生する。また、シロキサン等のシリコーン系材料に起因する低分子成分による感光体の汚染が発生する等の問題がある。
また、転写面を構成する材料として、フッ素樹脂微粒子を含んだフッ素系ラテックスを用いる提案がされている(特許文献15参照)。この技術では、フッ素ラテックスを230〜300℃で加硫処理する際に、フッ素系ラテックス中に分散させているフッ素樹脂微粒子を転写面に析出させて薄い層を形成することにより、転写面に離型性を付与することができる。しかし、このフッ素樹脂微粒子を析出させて形成される層の厚みは均一でなく、結果として転写面の表面粗さが大きくなるため、トナー像の転写性が不均一になる等の問題が生じることがある。
特開2001−330975号公報 特開2001−330974号公報 特開2002−341618号公報 特開平6−095521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149081号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−149079号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開平10−63115号公報 特開2002−156835号公報 特開平9−269676号公報 特開平11−15294号公報
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、解像度を向上させると共に、画像形成を繰り返しても長期に渡り優れた解像度が安定して維持できる画像形成装置を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 感光体と、該感光体表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記感光体の表面に、画像情報に応じて露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、
前記感光体が、導電性基体上に、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層、および、表面保護層をこの順に積層した正帯電感光体であり、前記感光体表面と当接する表面層を含む2つ以上の層からなる中間転写体を有することを特徴とするカラー画像形成装置である。
<2> 前記電荷発生層がフタロシアニン化合物を含み、前記フタロシアニン化合物が、ガリウムフタロシアニン又はチタニルフタロシアニンであることを特徴とする<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 前記フタロシアニン化合物が、ブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、、ブラッグ角(θ±0.2°)において少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン、ブラッグ角(θ±0.2°)において少なくとも9.7°,24.2°,27.3°に回折ピークを有するチタニルフタロシアニンからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<2>に記載のカラー画像形成装置である。
<4> 前記表面保護層が、電荷輸送材料を含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<5> 前記表面保護層が、抵抗制御用微粒子を含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<6> 前記導電性基体と、前記電荷輸送層との間に有機金属酸化物を含有する下引層を設けたことを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<7> 前記導電性基体と、前記電荷輸送層との間に金属酸化物微粒子を分散した硬化膜からなる下引層を設けたことを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載のカラー画像形成装置及び感光体である。
<8> 前記導電性基体の表面が、陽極酸化により形成された陽極酸化膜で被覆されていることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1つに記載のカラー画像形成装置である。
<9> 前記中間転写体が、基材と、該基材の外周面側に中間層と、前記表面層とをこの順に設けた層構成からなり、
前記表面層が、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmの範囲内の樹脂材料を含み、前記中間層が、JISA硬度が40〜70°の弾性材料を含み、前記基材が、導電剤が分散された樹脂材料を含み、前記基材のヤング率が3500MPa以上であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<10> 前記基材に含まれる樹脂材料が、ポリイミド系樹脂であることを特徴とする<9>に記載の画像形成装置である。
<11> 前記基材の体積抵抗率が、1×108Ωcm〜1×1013Ωcmであることを特徴とする<9>または<10>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<12> 前記導電剤が、pH5以下の酸化処理カーボンブラックであることを特徴とする<9>〜<11>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<13> 前記表面層が、フッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする<1>〜<12>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<14> 前記表面層が、導電剤として機能するフッ化処理カーボンを分散してなるフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする<1>〜<13>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<15> 前記表面層表面(転写面)の表面微小硬度が10以下であることを特徴とする<1>〜<14>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<16> 解像度が1200dpi以上であることを特徴とする<1>〜<15>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<17> 解像度が2000dpi以上であることを特徴とする<1>〜<16>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
<18> 前記画像形成装置が、感光体と、該感光体表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記感光体の表面に、画像情報に応じて露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、を少なくとも備えた2つ以上の現像ユニットと、
前記2つ以上の現像ユニット毎に形成されたトナー画像を順次被転写体上に重ね合わせるトナー画像重ね合わせ手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、
前記感光体が、前記正帯電感光体であり、前記トナー画像重ね合わせ手段が、前記中間転写体であることを特徴とする<1>〜<17>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
以上に説明したように本発明によれば、解像度を向上させると共に、画像形成を繰り返しても長期に渡り優れた解像度が安定して維持できる画像形成装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置は、感光体と、該感光体表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記感光体の表面に、画像情報に応じて露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、前記感光体が、導電性基体上に、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層、および、表面保護層をこの順に積層した正帯電感光体であり、前記感光体表面と当接する表面層を含む2つ以上の層からなる中間転写体を有することを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、感光体として、上述したような電荷輸送層と電荷発生層とからなる感光層が表面近傍で励起する正帯電感光体を用いているため、光励起により正孔が発生しその正孔が表面に向けて移動しても、同極性の移動電荷との反発が十分に防止され、感光体における解像度を十分に高くすることができる。
さらに、この正帯電感光体に、2層以上の層構成からなる中間転写体を組み合わせて用いることにより、画像形成を繰り返しても長期に渡り優れた解像度を安定して維持することができる。中間転写体が単層の層構成からなる場合には、実質的に表面の硬い基材部分のみから構成されるため、画像形成を繰り返し形成した場合に感光体表面の磨耗が促進されて、感光体が劣化するため時間と共に解像度が低下してしまう。しかしながら、2以上の層構成とし、感光体表面に当接する表面層表面の硬度や、各層の剛性や弾性、厚みを調整して組み合わせることにより、画像を繰り返し形成することにより感光体表面に長時間接触して摺動しても、感光体の劣化、すなわち感光体表面の磨耗や剥離を抑制しつつ、さらに中間転写体として求められる可とう性と剛性とのバランスも高いレベルで満足させることが容易である。
また、本発明に用いられる中間転写体としては、感光体表面と当接する表面層がフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物で構成されることが好ましい。上記フッ素系樹脂材料は、摩擦帯電序列の極性がマイナス側であるため、表面層表面(以下、「転写面」と略す場合がある)上のマイナス電荷をもったトナーをプラスに帯電させることができ、それゆえ逆極性(マイナス電荷を持つ)トナーを効果的に減少させることができる。そのため、このような中間転写体を用いた場合には、2次転写において、逆極性のトナーが転写時に飛び散ることにより、転写効率が低下する問題が発生することがなくなるので、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供できる。
また、このような表面層がフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物で構成された中間転写体は、表面エネルギーの小さい材料であるフッ素系樹脂材料の特性を生かした離型性の向上を目的として、従来の負帯電感光体を用いた画像形成装置にも用いられていた。勿論、本発明においても、従来と同様に離型性を向上させることができる上に、さらにこれに加えて、上述したようなフッ素系樹脂材料の帯電特性を利用してトナー飛散も防止することができるという新なメリットがある。
このように、表面層がフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物で構成された中間転写体は、従来のように負帯電感光体と組み合わせた場合よりも、本発明のように正帯電感光体と組み合わせた場合の方がより画質の向上を図ることが可能である。
なお、中間転写体の詳細については後述するが、中間転写体はベルト状であることが好ましい。この場合、画像形成装置内の部品配置の自由度を大きくすることができるという利点がある。
本発明に用いられる感光体は、電荷発生層が、電荷発生材料として少なくともフタロシアニン化合物を含むことが好ましく、さらに、このフタロシアニン化合物としては具体的にはガリウムフタロシアニンであることが好ましい。
このガリウムフタロシアニンの中でも、CuKα線を用いたX線回折測定により得られるスペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.6°、10.0°、25.2°、28.0°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、又は、ブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.3°、16.5°、25.4°、28.1°に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン、又は、ブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも9.7°、24.2°、27.3°に回折ピークを有するチタニルフタロシアニンのいずれかが特に好適である。
これらの電荷発生材料を用いた感光体は高感度であり、特に高速性が要求される軽印刷領域に用いられるカラー画像形成装置においては、上記のような高い感度を有する電荷発生材料を用いた感光体が有効である。
また、本発明で用いられる感光体においては、感光層上に、表面保護層がさらに形成される必要がある。感光層上に表面保護層を設けて感光層を保護することにより感光体表面の耐摩耗性を向上させ、感光体の帯電時における感光層の化学変化を防止することができる。本発明に用いられる感光体は、感光層の上層側(外周面側)が電荷発生層である正帯電感光体であるため、表面保護層を設けない場合には、上層側の電荷発生層が磨耗剥離しやすくなり、十分な感光体寿命が得られない。なお、このような感光体寿命を考慮しつつ、繰り返し画像形成を行うような経時的、あるいは、環境変化に対して安定且つ優れた電気特性を確保し、感度が十分に取れる範囲で、表面保護層の膜厚はできる限り薄く設定されることが好ましい。
感光体寿命と、電気特性や感度との関係を高いレベルで両立させる方法としては、例えば、表面保護層に電荷輸送材料を含有させることができる。この場合、感光層上に表面保護層が形成された場合であっても表面保護層における電荷の蓄積が防止され、感光体の感度を維持することができる。
また、他の方法としては、表面保護層に抵抗制御用微粒子を含有させてもよい。この場合、感光層上に表面保護層が形成された場合に、帯電用電荷は表面保護層間を移動し、電荷発生層界面に電荷が蓄積し、感光体として求められる帯電性と感度とを維持することができる。
また、本発明の画像形成装置は、感光体を2つ以上備えた所謂タンデム型の画像形成装置であってもよい。具体的には、感光体と、該感光体表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記感光体の表面に、画像情報に応じて露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、を少なくとも備えた2つ以上の現像ユニットと、前記2つ以上の現像ユニット毎に形成されたトナー画像を順次被転写体上に重ね合わせるトナー画像重ね合わせ手段と、を少なくとも備えた画像形成装置であることが好ましい。この場合、感光体としては上述したような正帯電感光体が用いられ、画像重ね合わせ手段として、上述したような2層以上の層構成を有する中間転写体が用いられる。なお、本発明の画像形成装置が上述したようなタンデム型のカラー画像形成装置である場合には、1つの感光体を有するカラー画像形成装置と比較して暗減衰による色ムラの発生を十分に防止することができる。
また、本発明の画像形成装置は、温度変化や湿度変化による光感度の変化が小さいフタロシアニン化合物を、電荷発生層に含まれる電荷発生材料として用いた場合には、温度や湿度等が変化する環境においてカラー画像を繰り返し形成しても、色ムラの発生を十分に防止することができる。また、本発明の画像形成装置においては、解像度を十分に高くすることができる正帯電感光体を用いているため、極めて画質の高いカラー画像を形成することができる。
本発明の画像形成装置の解像度は特に限定されないが、1200dpi以上であってもよい。温度や湿度等が変化する環境下で、1200dpi以上の解像度でカラー画像を繰り返し形成する場合であっても、本発明の画像形成装置は、色ムラの発生を十分に防止することができる。
なお解像度は、2000dpi以上であってもよい。この場合においても温度や湿度等が変化する環境下で、2000dpi以上の解像度でカラー画像を繰り返し形成しても、本発明の画像形成装置は、色ムラの発生を十分に防止することができる。
また、本発明の画像形成装置は、上述したような感光体と中間転写体とを組み合わせて用いているため、プロセススピードをより速くしても、感光体の経時的な劣化を抑制することができる。このため、本発明の画像形成装置は、従来よりもより高速化が可能である。なお、高速化の観点から、本発明の画像形成装置のプロセススピードとしては10mm/s以上であることが好ましく、20mm/s以上であることがより好ましい。また、プロセススピードの上限は特に限定されないが、プロセススピードが速過ぎる場合には、感光体の経時的な劣化が促進される場合があるため、1500mm/s以下であることが好ましい。
以下に、本発明の画像形成装置について、感光体、中間転写体、および、画像形成装置(主に全体の構成等)にわけてより詳細に説明する。
(感光体)
図1〜3はそれぞれ本発明に用いられる感光体の一例を示す模式断面図であり、感光体の積層方向の断面構造について示したものである。
図1〜3中、10a、10b、10cは感光体、2は導電性基体、3は感光層、3aは電荷輸送層、3bは電荷発生層、4は下引層、5は表面保護層、6は電荷注入阻止補助層を示す。
図1〜3に示した感光体10a、10b、10cは、いずれも電荷輸送層3aと、この電荷輸送層3aの外周面側に接して設けられた電荷発生層3bとからなる感光層3を有し、且つ、感光層3上に表面保護層5を設けた感光体である。
より詳しくは、図1に示した感光体10aは、導電性基体2上に感光層3、表面保護層5がこの順に積層された構成を有し、図2に示した感光体10bは、導電性基体2上に下引層4、感光層3、表面保護層5がこの順で積層された構成を有し、図3に示した感光体10cは、導電性基体2上に下引層4、感光層3、電荷注入阻止補助層6、表面保護層5がこの順で積層された構成を有するものである。図3に示す感光体10cは、下引層4を有しない構造であってもよい。
以下、図1〜3に例示したような本発明に用いられる感光体の各構成要素について詳述する。
−導電性基体−
導電性基体としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体2の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
また、導電性基体として金属製パイプ基体を用いる場合、当該金属製パイプ基体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基体表面を粗面化しておくことも可能である。かかる粗面化により、露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラを防止することができる。表面処理の方法としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
特に、感光層との密着性向上や成膜性向上の点で、以下のようにアルミニウム基体の表面に陽極酸化処理を施したものを導電性基体として用いることが好ましい。
以下、表面に陽極酸化処理を施した導電性基体の製造方法について説明する。まず、基体として純アルミ系あるいはアルミニウム合金(例えば、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金)を用意する。次に陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行うが、硫酸浴による処理がよく用いられる。陽極酸化処理は、例えば、硫酸濃度:10〜20重量%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm2、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の条件で行われるが、これに限定するものではない。
このようにしてアルミニウム基体上に成膜された陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高く、表面が非常に不安定であるため、皮膜形成後にその物性値が経時的に変化しやすくなっている。この物性値の変化を防止するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが行われる。封孔処理の方法には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。これらの方法のうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最もよく用いられる。
このようにして封孔処理が行われた陽極酸化皮膜の表面には、封孔処理により付着した金属塩等が過剰に残留している。このような金属塩等が基体の陽極酸化皮膜上に過剰に残存すると、陽極酸化皮膜上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまう傾向にあるため、この基体を感光体に用いて画像を形成した場合に地汚れの発生原因になる。
そこで、封孔処理に引き続き、封孔処理により付着した金属塩等を除去するために陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。洗浄処理は純水により基体の洗浄を1回行うことでも構わないが、多段階の洗浄工程により基体の洗浄を行うのが好ましい。この際、最終の洗浄工程における洗浄液としては、可能な限りきれいな(脱イオンされた)洗浄液が用いられる。また、多段階の洗浄工程のうち、いずれか1工程において、ブラシ等の接触部材を用いた物理的なこすり洗浄を施すことがよりさらに好ましい。
以上のようにして形成される導電性基体表面の陽極酸化皮膜の膜厚は、3〜15μm程度の範囲内であることが好ましい。陽極酸化皮膜上には多孔質陽極酸化膜のポーラスな形状の極表面に沿ってバリア層といわれる層が存在する。バリア層の膜厚は本発明に用いられる感光体においては1〜100nmの範囲内であることが好ましい。以上のようにして、陽極酸化処理された導電性基体を得ることができる。
このように得られた導電性基体は、陽極酸化処理により基体上に成膜された陽極酸化皮膜が高いキャリアブロッキング性を有している。そのため、この導電性基体を用いた感光体を画像形成装置に装着して反転現像(ネガ・ポジ現像)を行う場合に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止することができるとともに、接触帯電時に生じやすい接触帯電器からの電流リーク現象を防止することができる。また、陽極酸化皮膜に封孔処理を施すことにより、陽極酸化皮膜の作製後における物性値の経時変化を防止することができる。また、封孔処理後に導電性基体の洗浄を行うことにより、封孔処理により導電性基体表面に付着した金属塩等を除去することができ、この導電性基体を用いて作製した感光体を備えた画像形成装置により画像を形成した場合に地汚れの発生を十分に防止することができる。
−下引層−
次に、下引層について説明する。下引層を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないため好ましく使用される。また、有機金属化合物は、これを単独または2種以上を混合したり、さらに上述の結着樹脂と混合して用いることが可能である。
有機シリコン化合物(シリコン原子を含有する有機金属化合物)としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が好ましく使用される。
有機ジルコニウム化合物(ジルコニウムを含有する有機金属化合物)としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
有機チタン化合物(チタンを含有する有機金属化合物)としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(アルミニウムを含有する有機金属化合物)としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
また、下引層を形成するための下引層形成用塗布液に用いる溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。なお2種以上の溶媒を混合する場合に使用できる溶媒としては、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば、いかなるものでも使用することができる。
下引層の形成は、まず、下引層用塗布剤および溶媒を分散及び混合して調合された下引層形成用塗布液を用意し、導電性基体表面に塗布することにより行う。下引層形成用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、リング塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。下引層を形成する場合には、その膜厚は0.1〜3μmの範囲内となるように形成することが好ましい。下引層の膜厚をこのような膜厚範囲内とすることにより、電気的な障壁を過剰に強くすることなく減感及び繰り返しによる電位の上昇を防止することができる。
このようにして導電性基体上に下引層を形成することにより、下引層上に形成される層を塗布形成する際の濡れ性の改善を図ることができるとともに、電気的なブロッキング層としての機能を十分に果たすことができる。
上記により形成された下引層の表面粗さは、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)倍(但し、nは下引層よりも外周側に設けられる層の屈折率)〜1倍程度の範囲内の粗度を有するように調整することが可能である。表面粗さの調整は、下引層形成用塗布液中に樹脂粒子を添加することにより行われる。これにより下引層の表面粗さを調整して作製した感光体を画像形成装置に用いた場合に、レーザ光源による干渉縞像をより十分に防止することができる。
なお、樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。また、表面粗さの調整のために下引層表面を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることができる。なお、正帯電構成の画像形成装置に用いられる感光体では、レーザ入射光は感光体の極表面近傍で吸収され、さらに感光層中で散乱されるため、下引層の表面粗さの調整は強くは必要とされない。
また、下引層形成用塗布液に、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を加えることも好ましい。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ジルコニウムキレート化合物の具体例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の具体例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの添加物は、単独で用いることもできるが、複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることもできる。
また、上述した下引層形成用塗布液には、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させておくことが好ましい。電子受容性物質の具体例としては、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体がより好ましく用いられる。これにより、感光層における光感度の向上や残留電位の低減を図るとともに、繰り返し使用した場合の光感度の劣化を低減することができ、下引層に電子受容性物質を含む感光体を備えた画像形成装置により形成したトナー像の濃度ムラを十分に防止することができる。
また、上述した下引層用塗布剤の代わりに下記のような分散型下引層用塗布剤を用いることも好ましい。これにより、適度に下引層の抵抗値を調整することにより残留電荷の蓄積を防ぐことができるとともに、下引層の膜厚をより厚くすることが可能となるため感光体の耐リーク性、とくに接触帯電時のリークの防止を図ることができる。
この分散型下引層用塗布剤としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散したものが挙げられる。導電性金属酸化物としては、平均1次粒径0.5μm以下の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。平均1次粒径が大きすぎる場合には局部的な導電路形成を起こしやすく、電流のリークが発生しやすい。その結果かぶりの発生や帯電器からの大電流のリークが生じうる。下引層はリーク耐性の向上のために適切な抵抗値に調整されることが必要である。そのため、上述の金属酸化物微粒子は、102〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗を有することが好ましい。
なお、上記範囲の下限よりも金属酸化物微粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位上昇を引き起こす場合ある。従って、中でも上記の範囲内の抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子がより好ましく用いられる。また、金属酸化物微粒子は2種以上混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物微粒子にカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体の抵抗を制御することができる。この際使用可能なカップリング剤としては上述の下引層形成用塗布液と同様の材料を用いることができる。また、これらのカップリング剤は2種以上を混合して用いることもできる。
この金属酸化物微粒子の表面処理においては、公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。
乾式法を用いる場合においては、まず、金属酸化物微粒子を加熱乾燥して表面吸着水を除去する。表面吸着水を除去することによって、金属酸化物微粒子表面に均一にカップリング剤を吸着させることができる。次に、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒または水に溶解させたカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理される。カップリング剤を添下あるいは噴霧する際には、50℃以上の温度で行われることが好ましい。カップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。焼き付けの効果によりカップリング剤を硬化させ金属酸化物微粒子と堅固な化学反応を起こさせることができる。焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
湿式法を用いる場合においては、乾式法と同様に、まず、金属酸化物微粒子の表面吸着水を除去する。この表面吸着水を除去する方法として、乾式法と同様の加熱乾燥の他に、表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等が実施できる。次に、金属酸化物微粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、カップリング剤溶液を添加し攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に処理される。溶剤除去した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
金属酸化物微粒子に対する表面処理剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であることが必須である。電子写真特性は表面処理後に金属酸化物微粒子に表面処理剤が付着している量によって影響される。シランカップリング剤の場合、その付着量は蛍光X線分析により測定される(シランカップリング剤に起因する)Si強度と、使用されている金属酸化物の主たる金属元素強度とから求められる。この蛍光X線分析により測定されるSi強度は用いられる金属酸化物の主たる金属元素強度の1.0×10-5〜1.0×10-3倍の範囲であることが好ましい。この範囲を下回った場合、かぶりなどの画質欠陥が発生しやすく、この範囲を上回った場合、残留電位の上昇による濃度低下が発生しやすくなる場合がある。
分散型下引層用塗布剤に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。
中でも下引層上に形成される層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。分散型下引層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子と結着樹脂との比率は所望する感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
上述した方法により表面処理された金属酸化物微粒子を結着樹脂に分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が用いた方法が挙げられる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
この分散型下引層用塗布剤により下引層を形成する方法は、上述した下引層用塗布剤を用いて下引層を形成する方法と同様に行うことができる。
−感光層:電荷輸送層−
次に、感光層について、電荷輸送層と電荷発生層とに分けてこの順に以下に説明する。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示できる。即ち2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、結着樹脂は、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有するものであることが望ましい。
この結着樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂の分子量は、感光層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000〜30万の範囲内が好ましく、2万〜20万の範囲内がより好ましい。
電荷輸送層は、上記電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液の形成に使用される溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範囲内が好ましい。また電荷輸送層の膜厚は一般に5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜40μmの範囲であることがより好ましい。
電荷輸送層および/または後述する電荷発生層は、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を含んでもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物では、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤では、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤では、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
なお、有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われるもので、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより酸化防止効果を相乗的により高めることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤として、2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の光安定剤としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
電荷輸送層は、上記に示した電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液の調整に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2ーブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或るいは直鎖状エーテル等、あるいはこれ等の混合溶媒を用いることができる。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、重量比で10:1〜1:5であることが好ましい。また電荷輸送層の膜厚は一般には5〜50μmの範囲内とすることが好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布は、感光体の形状や用途に応じて、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度域で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
−感光層:電荷発生層−
電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物;セレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体;又はこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン化合物;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料;又は染料が用いられる。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
なお、上述した電荷発生材料の中でも、フタロシアニン化合物が好ましい。この場合、感光層に光が照射されると、感光層に含まれるフタロシアニン化合物がフォトンを吸収してキャリアを発生させる。このとき、フタロシアニン化合物は、高い量子効率を有するため、吸収したフォトンを効率よく吸収してキャリアを発生させることができる。
更にフタロシアニン化合物の中でも、下記(1)〜(3)に示すようなフタロシアニンがより好ましい。すなわち、
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型のクロルガリウムフタロシアニン、
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン。
これらのフタロシアニン化合物は、特に、光感度が高いだけでなく、その光感度の安定性も高いため、これらフタロシアニン化合物を含む感光層を有する感光体は、高速な画像形成及び繰り返し再現性が要求されるカラー画像形成装置の感光体として好適である。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度や位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。即ちビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独であるいは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(電荷発生材料:結着樹脂)は、重量比で、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また電荷発生層の厚みは、一般には0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく0.05〜2.0μmの範囲内であることがより好ましい。
また電荷発生層は、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。電荷発生層に用いられる電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピークリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
電荷発生層を形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
また、これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。2種類以上の溶媒を混合して用いる場合には、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば使用することができる。但し、電荷発生層は電荷輸送層上に形成されるために、浸漬塗布のように下層を溶解しやすい塗布方法を利用して電荷発生層を形成する場合には、電荷輸送層等の下層を溶解しないような溶媒を用いることが望ましい。また、比較的下層の侵食性の少ないスプレー塗布塗布法やリング塗布法を利用して電荷発生層を形成する場合には溶媒の選択範囲を広げることができる。
−表面保護層−
次に、表面保護層について説明する。本発明に用いられる感光体は、その最外周に表面保護層が形成される。
この表面保護層は、感光体表面を保護する機能を有するものであればその構成は特に限定されないが、この層の抵抗値を制御するために、結着樹脂に抵抗制御用微粒子や電荷輸送材料を分散させたものであることが好ましい。また、強固な機械的/化学的耐久性を付与するために、金属アルコキシド基等の反応性基を有する市販のシランカップリング剤のような被覆処理剤を用いて表面保護層を形成することも好ましい。
抵抗制御用微粒子としては、カーボンブラックや金属、金属酸化物などを用いることができる。
金属酸化物の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン被覆酸化スズ、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、或いは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したものが挙げられる。
また、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物などを抵抗制御用微粒子の調整剤として用いることができる。
また、これらの抵抗制御用微粒子として用いられる金属酸化物は、必要に応じて分散性等諸特性の改善のためシランカップリング剤やチタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤などの有機化合物で表面処理を行うことも可能である。
なお、本発明に用いられる抵抗制御用微粒子は、粒径が100nm以下の金属酸化物を用いることが好ましい。これにより、表面保護層が透明性に富み、厚膜を形成しても透過率の低下が少ないために感度の減少を抑えることができる。このため、感光体の光感度を低下させることなく表面保護層の厚膜化が可能であり、感光体の長寿命化が一層可能となる。
表面保護層を形成するために用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物などが挙げられる。
外部から感光体に貫入する導電性異物を表面保護層で阻止するために、ある程度以上の高い硬度を有する樹脂が好ましく用いられる。具体的にはビッカース硬度で30以上の樹脂が望ましい。
表面保護層を形成する際に用いられる塗布液の溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン、アルコール等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、できるだけこの塗布液が塗布される感光層を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
表面保護層の形成は、抵抗制御用微粒子、結着樹脂及び溶剤を分散及び混合して調合された表面保護層形成用塗布液を用意し、導電性基体上に形成された感光層(図3に示す感光体においては電荷注入補助層)上に塗布することにより行う。分散配合の方法は、上述した下引層の形成の方法と同様の方法で行う。また、表面保護層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、リングコーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
表面保護層の厚みは0.1〜20μmの範囲内であることが好ましく、1〜10μmの範囲内であることがより好ましい。抵抗制御用微粒子は結着樹脂中に分散した状態で成膜されるが、表面保護層が適当な抵抗値に調整されるように、表面保護層中に含まれる抵抗制御用微粒子の含有率は10〜60体積%の範囲内とすることが好ましく、20〜50体積%の範囲内とすることがより好ましい。
このように感光層上を表面保護層で保護することにより感光体表面の耐摩耗性を向上させたり、現像剤と感光体のマッチングを向上させたり、感光体の帯電時における感光層の化学変化を防止することができる。
また、上述した抵抗制御用微粒子の代わりに電荷輸送材料を用いることもできる。表面保護層用の電荷輸送材料としては、ポリマー成分中に電荷輸送性機能を織り込んだ高分子電荷輸送剤、シリコーンハードコート剤等の強靭なコート剤中に低分子の電荷輸送剤を分子レベルで分散させるなどして電荷輸送機能機能をもたせた樹脂成分が挙げられる。
ポリマー成分中に電荷輸送機能を織り込んだ高分子電荷輸送剤の具体例としては、シリコーンポリマー中に電荷輸送材料機能基を織り込んだ化合物が一例として挙げられる。高分子電荷輸送剤の他の例としては、ポリビニカルバゾール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む高分子化合物、特開平5−232727号公報等に開示されているような電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高分子化合物、又はポリシラン等も挙げられる。また、高分子電荷輸送剤として、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックとからなるブロック共重合体またはグラフト共重合体を使用することもできる。
これらの中でも高分子電荷輸送剤としては、トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有することが電荷輸送能と機械的特性との向上の点で好ましい。この場合、トリアリールアミン構造がペンダント型ではなく、主鎖中に含有されていることが好ましい。
トリアリールアミン構造がペンダント型であると、ペンダント同士が会合し、電荷トラップを形成して電荷輸送性が悪化する場合が多いが、主鎖中にトリアリールアミン構造が含有されている場合にはこのような問題を回避することできる。
さらに、高分子電荷輸送剤が、主鎖中にトリアリールアミン構造が含有されているものである場合には、主鎖中には下記一般式(1)または(2)で表される構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位として含むトリアリールアミン構造が含有されていることが好ましい。
Figure 2005084623
但し、一般式(1)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基を示し、X1は芳香族環構造を有する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を示し、X2及びX3はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリーレン基を示し、L1は枝分れもしくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を示し、m及びnは、それぞれ0または1から選ばれる整数を意味する。
Figure 2005084623
但し、一般式(2)中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基を示し、L2は芳香族環構造を有する3価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を示す。
前記一般式(1)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基から選ばれるが、このアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。また、置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
1は芳香族環構造を有する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる。X1の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、メチレンジフェニル基、シクロヘキシリデンジフェニル基、オキシジフェニル基、チオジフェニル基等、およびこれらのメチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体、またはハロゲン置換体等が挙げられ、この中でも特に置換もしくは未置換のビフェニレン基が電荷輸送性の点で、特に好ましい。
2及びX3はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリーレン基から選ばれ、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基等、およびこれらのメチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体、またはハロゲン置換体等が挙げられる。
1は、枝分れもしくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮するかぎり任意であるが、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、シロキサン結合等から選ばれる結合基を含み、且つ、炭素数が20以下であるものが好ましい。L1その具体例としては、下記式(3−1)〜(3−8)で示される2価の化合物が挙げられる。
上記一般式(2)中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基から選ばれ、該アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。また、置換基としては、炭素数1〜12個のアルキル基またはアルコキシ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
2は芳香族環構造を有する3価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮するかぎり任意であるが、炭素数が20以下のものが好ましい。その具体例としては、下記式(3−9)〜(3−13)のものが挙げられる。
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
Figure 2005084623
また、前記一般式(1)中のL1または一般式(2)中のL2がエステル結合を有する場合が、機械的特性及び電荷輸送能の点で特に好ましい。
この表面保護層用の電荷輸送材料を用いる場合の結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
また、結着樹脂をマトリックス成分として、これに電荷輸送材料や抵抗制御用粒子を分散させて表面保護層を形成する以外にも、金属アルコキシド基等の反応性基を有する市販のシランカップリング剤のような被覆処理剤を用いて表面保護層を形成することもできる。
被覆処理剤としては、例えば、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物などの有機金属化合物や、シランカップリング剤やポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物を挙げることができ、これらの化合物は、単独または2種類以上を併用して使用することができる。
これらの被覆処理剤の中でも、シランカップリング剤を好適に用いることができる。シランカップリング剤の具体例としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ペンタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
−電荷注入阻止補助層−
電荷注入阻止補助層は、帯電器により感光体表面を帯電させる際に、帯電電荷が感光体表面から対抗電極である感光体基材にまで注入して帯電電位が得られなくなることを防止するために必要に応じて表面保護層と電荷発生層との間に必要に応じて形成される。
電荷注入阻止補助層の材料としては上記に列挙したようなシランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、その他の有機金属化合物、ポリエステル、ポリビニルブチラールなどの汎用樹脂を用いることができる。電荷注入阻止補助層の膜厚は0.001〜5μm程度の範囲内で成膜性及びキャリアブロッキング性を考慮して適宜設定される。
(中間転写体)
次に、上述したような正帯電感光体と組み合わせて用いられる中間転写体について以下に詳細に説明する。
本発明に用いられる中間転写体は、既述したように、感光体表面と当接する表面層を含む2つ以上の層からなるものであれば特に限定されない。また、中間転写体の形状は特に限定されないが例えば、ロール状、ベルト状等とすることができる。なお、以下の説明においては、特に説明の無い限り基本的にベルト状を前提として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、表面層がフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物で構成されることが好ましい。上記フッ素系樹脂材料は、摩擦帯電序列の極性がマイナス側であるため、転写面上のマイナス電荷をもったトナーをプラスに帯電させることができ、それゆえ逆極性(マイナス電荷を持つ)トナーを減少させることがでる。そのため、このような中間転写体を用いた場合には、2次転写において、逆極性のトナーが転写時に飛び散ることにより、転写効率が低下する問題が発生することがなくなるので、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供できる。
なお、本発明に用いられる中間転写体は、基材と、該基材の外周面側に中間層と、前記表面層とをこの順に設けた少なくとも3つの層からなるものであることが好ましい。なお、中間層は2層以上から構成されていてもよい。
なお、表面層は、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmの範囲内の樹脂材料で構成されていることが好ましく、中間層は、JISA硬度が40〜70°の範囲内の弾性材料から構成されていることが好ましく、基材は導電剤が分散されたヤング率が3500MPa以上の樹脂材料で構成されていることが好ましく、さらに転写面の表面微小硬度が10以下であることが好ましい。
各々の層が、上述したような条件を満たすことにより、単一の材料/層構成からなる中間転写体では得られない、可とう性と剛性とのバランスを高いレベルで満足させることができる。また、転写面の表面硬度を低く、かつ、高体積抵抗とすることによって、ライン画像が中抜けする(ホロキャラクター)、トナーが飛び散る(ブラー)などの画質欠陥を発生することがなく、高画質の転写画質を安定して得ることができる。
次に、本発明に用いられる中間転写体の物性や構成材料ついて以下により詳細に説明する。
−表面層材料−
本発明に用いられる中間転写体の表面層は、フッ素系樹脂材料を主成分とする非粘着性を有する樹脂組成物から構成されていることが好ましい。
この場合に用いられるフッ素系樹脂材料としてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンおよびこれと共重合可能な少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体(たとえばエチレン、プロピレンなどのオレフィン類、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、ビニルフルオライドなどのハロゲン化オレフィン類、パーフルオロアルキルビニルエーテル類など)との共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどがあげられる。とくに好ましいフッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテルおよびパーフルオロプロピルビニルエーテルの少なくとも1種(通常テトラフルオロエチレンに対し40モル%以下含まれる)との共重合体などである。
導電剤としては、導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。本発明では、好ましくは、導電性カーボンブラックをフッ素ガスによりフッ素化したフッ素化カーボンが好ましく用いられる。
フッ素化カーボンは、特開平07−149448号公報に記載されている方法によって製造することができ、フッ素化カーボンは、ポリ(カーボンモノフルオライド)が主成分をなすものであり、平均粒径1μm以下、好ましくは0.1μm以下の炭素材料をフッ素ガスによりフッ素化したものが好ましい。炭素材料として適するものは前記の平均粒径を有するカーボンブラックである。カーボンブラックのうち、とくに一般に導電性カーボンブラックと称されているものが好ましく用いられる。
導電性カーボンブラックは、平均粒径が小さい(平均粒径0.1μm以下)、表面積が大きい(N2表面積50m2/g以上)、ストラクチャーが発達している(吸油量100cc/g以上)、不純物が少ない(灰分0.1%未満)、グラファイト化が進んでいる、というファクターで定義されるものであり、比較的少ない配合量で材料に導電性を付与できるため、広く使用されているものである。 具体例としては、たとえばケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC−600 JD(以上、ケッチェンブラックインターナショナル(株))、ブラックパールズ2000、バルカンXC−72、CSX−99(以上、キャブラック(株))、デンカブラック(電気化学工業(株))、コンダクテックス950 (コロンビアカーボン(株))などを用いることができる。
表面をフッ化処理してなるカーボンブラックは、フッ素樹脂との密着性に優れており、均一に分散させることができ、抵抗バラツキの少ない、経時での安定性に優れる表面層を得ることができる。
フッ素化カーボンを添加してなるフッ素樹脂を主成分となる樹脂組成物は、また、適宜水または有機溶剤に分散ないし溶解した形態で液状組成物としても使用することができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、酢酸アミルエステル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
導電剤として用いられるフッ化カーボンの添加量は、塗料の用途、フッ化カーボンの種類とフッ素化度により変えうるが、表面層の体積抵抗率が1×108〜1×1014Ωcmの範囲内となるように添加すればよい。さらに、通常各種の塗料で用途に応じて配合される添加剤を加えてもよい。そうした添加剤としては、たとえば顔料、密着性向上剤(有機樹脂粉末など)、潤滑性付与剤(フッ素系オイルなど)、耐摩耗性向上剤(無機セラミックス粉体など)、増粘剤、造膜剤、界面活性剤などがあげられる。配合量は塗料の用途、塗装方法などによって適宜選定すればよいが、表面層の導電性や、表面層表面(転写面)の非粘着性が損われないように注意する必要がある。
なお上述したようなフッ化カーボンを添加したフッ素系樹脂材料としては、具体的には、フッ素化カーボンを添加してなる4フッ化エチレン樹脂を主たる樹脂組成物とするにダイキン工業(株)製の導電性塗料TD−C2102−A、NF−7035−Aなどをあげることができる。
−表面層の摩擦係数−
本発明に用いられる中間転写体の表面層の摩擦係数は0.5以下であることが好ましく、0.2〜0.4であることがより好ましい。摩擦係数が0.5を超えると、弾性材料からなる中間層を設けた層構成の場合には、感光体との間に応力が発生すると感光体とのステックスリップによる転写面に微小な変形が生じることで、細部の転写画質が悪くなることがある。
摩擦係数は、図5に示すような構成を有する静動摩擦係数計(協和界面科学社製)を用いて測定することができる。図5は動摩擦係数の測定に用いられる静動摩擦係数計の概略模式図について示したものであり、この静動摩擦係数計は、鋼球(直径3mm)303、零点調整用天秤304、ロードセル305、荷重(100g)306を備えている。具体的には、中間転写体の表面層を構成する材料301を用いて、厚み20μmの膜を作製し、これを固定台302の上にセットし、移動速度0.1cm/秒、荷重100gの条件下で摩擦係数を測定することができる。
−表面微小硬度−
本発明に用いられる中間転写体の転写面の表面微小硬度は10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。
但し、当該表面微小硬度とは、金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース硬さのように、くぼみの対角線長さを求めるという方法はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求めることができる。
表面微小硬度は、具体的には図4に示す測定原理を利用して求めることができる。図4は、表面微小硬度の測定原理を示す模式断面図であり、図4中、60は表面層を、61は針状圧子を表し、矢印Pは、針状圧子61に加わる荷重を意味する。
表面微小硬度の測定に際しては、表面層60の最表面部分に所定形状の針状圧子51の先端を、荷重L(mN)を荷重0から所定荷重Pとなるまで押圧する。この時の針状圧子61の表面層60中への垂直方向の食い込み深さをD(μm)とした場合、表面微小硬度DHは下式(1)で表される。
・式(1) DH=α・P/D
但し、式(1)中、αは、針状圧子61の形状や測定条件などによって予め決められる係数を意味し、Pは所定荷重(mN)を意味し、Dは針状圧子61の表面層60中への垂直方向の食い込み深さ(μm)を意味する。
なお本発明においては、表面微小硬度の測定にはα=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である針状圧子を用いた。
この表面微小硬度は、圧子を押し込んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより正確な硬度の測定が可能になる。
転写面の表面微小硬度は、ホロキャラクターの発生レベルには極めて正確な相関があり、中間転写体の転写面の表面微小硬度が好ましくは10以下、より好ましくは8以下の場合には、中間転写体上のトナー画像を、中間転写体と当接するように設けられたバイアスローラ等を利用して転写する場合に、バイアスローラ等の押圧力によって中間転写体の転写面の変形が起こり、これにより中間転写体上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥の発生を抑制することができる。
尚、中間転写体の転写面における表面微小硬度は、下記の方法によって求めたものである。まず、転写面を構成する材料のシートを5mm角程度に切り、その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定する。この試料の表面の表面微小硬度を超微小硬度計DUH−201S(株式会社島津製作所製)を用いて測定する。この際の測定条件は、以下の通りである。
・測定環境:23℃、55%RH
・使用圧子:三角錐圧子
・試験モード:3(軟質材料試験)
・試験荷重:0.70gf
・負荷速度:0.0145gf/sec
・保持時間:5sec
−弾性材料−
中間層として用いる弾性材料としては、JISA硬度が40〜70°の範囲内であることが好ましく、また、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmの範囲内であることが好ましい。
このような弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。また、これらの弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加することができる。
中間層として用いる弾性材料として用いるゴム生地は、液状や糊状のものではなく、未加硫ゴムの固形シ−トが好ましくは用いられる。未加硫ゴムはキャレンダーロール等で精度良くシート状に分出し、その生地を使用する。固形ゴムをシート状に形成し、この固形ゴムを基材と貼合わせてシームレスに一体成形するようにすることで、中間層と接して設けられる基材や表面層との密着性に優れる中間転写ベルトを得ることができる。
−基材のヤング率−
中間転写体(ベルト状の基材に用いられる材料)のヤング率とベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量との関係は、下記式(2)で表すことができる。
・式(2) Δl=P・l・α/(t・w・E)
ここで、
Δl:ベルトの変位量(μm)
P:負荷(N)
l:2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm)
α:係数
t:ベルト厚み(mm)
w:ベルト幅(mm)
E:ベルト材料のヤング率(N/mm2
を表す。
中間転写体がベルト形状である場合には、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮み(変位量)は、ベルト材料のヤング率と厚みに逆比例する。高ヤング率のベルト材料を用いると、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量が少なくなり、駆動時の応力に対するベルト変形が小さくなり、良好な画質を安定して得ることができる。但し、ベルトの厚みは、厚くなると、駆動系ロールなどのベルト屈曲部でのベルトの外側表面の変形量が大きくなり、良好な画質を得られ難い、また、ベルトの外側と内側との変形量が大きくなり、局部的な繰り返し応力のためにベルトが破断するなどの問題が生じる場合がある。
なお、本発明において、ヤング率はJISK6251に準じて求めた。具体的には、中間転写体をJIS3号形状に打ち抜き、引張試験に供した。得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きによりヤング率を求めた。
−各層の厚み−
本発明に用いられる中間転写体(但し、ベルト状およびベルト状以外の場合も含む)が、表面層、中間層、基材からなる層構成の場合、表面層及び中間層の厚みの割合は、総厚みの10〜80%であることが好ましい。表面層及び中間層の厚みが、上記範囲であれば、基材の樹脂材料に影響させずに、中間転写体上のトナーに集中していた押圧力を効率的に分散することができる。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥の発生を抑制することができる。
また、中間転写体がベルト状の場合は、ベルトの総厚が0.05〜0.5mmの範囲内であることが好ましく、0.06〜0.30mmの範囲内であることが好ましく、0.06〜0.15mmの範囲内であることが更に好ましい。ベルトの総厚みが、0.05mm未満の場合には、中間転写体(ベルト)として、必要な機械的特性を満足させることが難しくなり、0.5mmを超える場合には、ロール屈曲部での変形によって、ベルト表面の応力が集中して、表面層にクラックが発生するなどの問題が生じる場合がある。
基材のヤング率は、ベルト厚みによっても異なるが、ベルト状の基材として求められる機械的特性を満足させるためには、2000MPa以上であることが好ましく、3500MPa以上であることがより好ましく、4000MPa以上であることが更に好ましい。
−基材を構成する樹脂材料−
基材を構成する樹脂材料は、そのヤング率が2000MPa以上であることが好ましく、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなる樹脂などを利用することができる。
これらの樹脂材料の中でも特に、機械的特性に優れるポリイミド樹脂を利用することが好ましい。このようなポリイミド樹脂としては、例えば芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させて得られるものが利用できる。
芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルポキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)ヘキサフオロプロパン等があり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。
また、前記の芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、上記有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等をあげることができる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノ−ル等のフェノ−ル類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、これらの溶剤も、単独で、または2種類以上の混合物として用いられる。
これらのうち、特に芳香族テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用い、芳香族ジアミン成分として、p−フェニレンを用いてなる重合体を主成分とするポリイミド樹脂は、剛直となり、そのヤング率を2000MPa以上とすることができる。
本発明に用いられる中間転写体は、導電剤が分散されたポリイミド樹脂を含有することが好ましい。
導電剤としては、電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、導特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。
これらの導電剤の中でも、樹脂中への分散性がよく良好な分散安定性が得られ、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらく、電気抵抗の経時での安定性を向上させることができる点から、pH5以下の酸化処理カーボンブラックを用いることが特に好ましい。
−酸化処理カーボンブラック−
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。
この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸化処理カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガスまたはオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。
なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも利用することができる。
なお、酸化処理カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5.0以下の酸化処理カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基が存在するため、樹脂中への分散性がよく良好な分散安定性が得られ、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中を抑制することができる。
酸化処理カーボンブラックのpH値は、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分の含有量が1〜25重量%の範囲内であることが好ましく、2〜20重量%の範囲内であることがより好ましく、3.5〜15重量%の範囲内であることがさらに好ましい。揮発成分が1重量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。
一方、25重量%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解してしまう、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることが出来る。
また中間転写体には、カーボンブラックが2種類以上含まれていてもよい。この場合、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類に酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
酸化処理カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0重量%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2重量%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2重量%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0重量%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0重量%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0重量%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0重量%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5重量%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0重量%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0重量%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5重量%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0重量%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0重量%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5重量%)等が挙げられる。
−酸化処理カーボンブラックの添加量−
上記のような酸化処理カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、添加量を高くすることが可能である。これにより、中間転写体中に含まれるカーボンブラックの量が多くなるため、電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
中間転写体に添加される酸化処理カーボンブラックの含有量は、具体的には10〜30重量%の範囲内とすることが好ましい。この含有量が10重量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる場合がある。一方、30重量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる場合がある。さらに、酸化処理カーボンブラックの含有量は18〜30重量%の範囲内とした場合には、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性をより顕著に向上させることができる。
−体積抵抗率−
本発明に用いられる中間転写体は、体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmの範囲内であることが好ましく、1×109〜1×1012Ωcmの範囲内であることがより好ましい。
この体積抵抗率が1×108ΩCm未満である場合には、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散する現象(ブラー)が発生したり、ノイズの大きい画像が形成される場合がある。
一方、体積抵抗率が1×1013Ωcmより高い場合には、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となる場合がある。従って、中間転写体の体積抵抗率を、上記範囲とすることで、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題を解消することができる。
本発明に用いられる中間転写体において、体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。この体積抵抗率の測定方法を図を用いて説明する。
図6は、中間転写体の体積抵抗率の計測方法の一例を示す概略模式図であり、(a)は円形電極の一例を示す概略平面図であり、(b)は(a)に示す円形電極の概略断面図である。図6に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と板状絶縁体B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ、円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’と、を備える。
体積抵抗率の測定は、第一電圧印加電極A’の円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と、板状絶縁体B’と、の間に中間転写体Tを挟持した状態で、第一電圧印加電極Aの円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定することにより行う。
この際、下記式(3)により、中間転写体Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(3)中、tは、中間転写体Tの厚さを示す。
・式(3) ρv=19.6×(V/I)×t
本発明に用いられる中間転写体は、以上に説明したような構成とすることにより転写電圧による抵抗の低下がなく、経時による形状の変形等の問題がなく、かつ、電界依存性がなく、環境による電気抵抗の変化が少ないという優れた性質を有する。本発明に用いられる中間転写体がベルト形状である場合には、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置に用いる用紙搬送ベルトとして用いることもできる。
本発明に用いられる中間転写体は、前述の如きポリイミド系樹脂を主体とする基材と中間層と表面層とを有し、外層と中間層は少なくとも導電性物質を含有す構成とすることが好ましく、導電性物質以外の添加剤を含有してもよい。
なお、ベルト状の中間転写体を構成する基材を、シームレスベルトとして形成する場合、例えばポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式や更に遠心する方式、或いは注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。シームレスベルトの形成に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
(画像形成装置)
次に、本発明の画像形成装置の全体的な構成の具体例について図面を用いて説明する。
図7は本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図であり、具体的にはいわゆる中間転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置について示したものである。
図7に示す画像形成装置101は、4つの画像形成部(現像ユニット)120a、120b、120c、120dを備えており、4つの画像形成部120a、120b、120c、120dは、中間転写体108の外周面に当接するように並列に配置されている。ここで、各画像形成部(120a〜120d)は、それぞれ感光体(1a〜1d)を備えており、感光体(1a〜1d)は図1〜3に例示したような構成からなる正帯電感光体からなる。
感光体1a〜1dは所定の方向(紙面上は反時計回り)に所定の周速度(プロセススピード)で回転可能であり、各感光体(1a〜1d)に対しては、その回転方向に沿って帯電手段(103a〜103d)、現像手段(102a〜102d)、1次転写手段(104a〜104d)、感光体クリーナ(106a〜106d)が順次配置されている。現像手段102a〜102dにはトナーカートリッジ(図示せず)に収容されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写手段104a〜104dはそれぞれ中間転写体108を介して感光体1a〜1dに当接している。
なお、現像手段102a〜102dは、図7ではY、M、C、Kのトナー色の順に配置されているが、これは、例えば、M、Y、C、Kなどシステムの画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
さらに、カラー画像形成装置101の所定の位置には露光手段107が配置されている。露光手段107から出射されたレーザ光がレーザ光105a〜105dに分岐されて、各画像形成ユニット120a,120b,120c,120dにおける帯電後の感光体1a〜1dの表面に照射されるようになっている。これにより、感光体1a〜1dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写体108上に重ねて転写される。
中間転写体108は、2層以上の層構成からなり、駆動ロール114、バックアップロール113及びテンションロール115により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく感光体1a〜1dと同じ周速度で回転可能となっている。また、2次転写手段109は、中間転写体108を介してバックアップロール113と当接するように配置されている。バックアップロール113と2次転写手段109との間を通過した中間転写体108は、例えば駆動ロール114の近傍に配置されたクリーニングブレード(図示せず)により表面を清浄化された後、次の画像形成プロセスに供される。
また、カラー画像形成装置101内の所定の位置にはトレイ(画像出力媒体トレイ)111が設けられており、トレイ111内に収納された紙などの画像出力媒体112が中間転写体108と2次転写手段109との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール110の間に順次移送された後、カラー画像形成装置101の外部に排紙される。
このようなカラー画像形成装置101においては、各画像形成ユニット120a〜120dにより、異なる色のトナー像が中間転写体108に重畳転写され、カラートナー像が形成される。そして、このカラートナー像は、2次転写手段109による接触帯電作用により中間転写体108から画像出力媒体112に転写され、定着ロール110によりカラートナー像が画像出力媒体112に定着され、カラー画像が形成される。
このカラー画像の形成時においては、各感光体1a〜1dにおいて、電荷発生材料として高感度なフタロシアニン顔料を用いた場合には感光体1a〜1dの光感度が高くなり、高速で使用される軽印刷用途の画像形成装置として利用可能である。
このため、温度や湿度等が変化する環境においてカラー画像を繰り返し形成しても、色ムラの発生を十分に防止することができる。即ちカラー画像形成装置101は、画像の繰り返し安定性に優れ、多数枚のカラー画像を連続して出力しても、安定した画質の画像を形成することができる。従って、このカラー画像形成措置101は、軽印刷の用途にも十分に使用可能である。
また、カラー画像形成装置101においては、解像度を十分に高くし得る正帯電構成の感光体1a〜1dが使用されているため、カラー画像形成装置101により、極めて画質の高いカラー画像を形成することができる。
加えて、正帯電構成の感光体1a〜1dと組み合わせて、2層以上の層構成からなる中間転写体108を用いているために、カラー画像を繰り返し形成しても長期に渡り、高い解像度のカラー画像を安定して得ることができる。更に、カラー画像形成装置101によれば、カラー画像を繰り返し形成しても、1つの感光体を有するカラー画像形成装置と比較して暗減衰による色ムラの発生も十分に防止することができる。
なお、カラー画像形成装置101の解像度は1200dpi以上に設定しても良い。カラー画像形成装置101は、解像度を十分に向上させることができ且つ環境安定性に優れた感光体1a〜1dを備えているため、温度や湿度等が変化する環境下で、1200dpi以上の解像度に設定されてカラー画像を繰り返し形成する場合であっても、色ムラの発生を十分に防止することができる。
カラー画像形成装置101の解像度は2000dpi以上に設定しても良い。この場合、温度や湿度等が変化する環境下で、2000dpi以上の解像度に設定されてカラー画像を繰り返し形成する場合であっても、色ムラの発生を十分に防止することができる。
以下、カラー画像形成装置101における各構成要素についてさらに詳細に説明する。
[帯電手段]
帯電手段103a〜103dは、感光体1a〜1dの表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる部分である。
帯電手段103a〜103dとしては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器、帯電ローラーを感光体近傍で用いる非接触方式のローラー帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などの公知の帯電器が挙げられる。
これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が広く利用されうる。接触型帯電器を用いた場合、感光体1a〜1dの表面に接触する帯電器の導電性部材に電圧を印加することにより感光体1a〜1dの表面を帯電させることができる。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等何れでもよいが、特にローラー状が好ましい。このようなローラー状部材は通常、外側の抵抗層とそれらを支持する内部の弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
ローラー状部材は、感光体1a〜1dに接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体と同じ周速度で回転し、帯電手段103として機能する。また、ローラー状部材に何らかの駆動手段を取り付け、感光体1a〜1dとは異なる周速度で回転させ、感光体1a〜1dを帯電させても良い。
芯材の材質としては導電性を有するもので、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が挙げられる。またその他導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが挙げられる。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等を用いることができる。
導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgO等の金属酸化物を用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いても良い。
抵抗層および保護層としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したものが挙げられる。抵抗層および保護層の抵抗率は通常、103〜1014Ωcmであり、105〜1012Ωcmであることが好ましく、107〜1012Ωcmであることがさらに好ましい。また、抵抗層および保護層の膜厚は0.01〜1000μmとし、0.1〜500μmとするのが好ましく、0.5〜100μmとするのがさらに好ましい。結着樹脂としては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が挙げられる。
導電性粒子あるいは半導電性粒子としては、弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が挙げられる。また、抵抗層および保護層には、必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。これらの層を形成する方法としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
これらの導電性部材を用いて感光体1a〜1dを帯電させるには、導電性部材に電圧を印加するが、その際の印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。直流電圧の範囲としては、要求される感光体1a〜1dの帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vであることが好ましく、100〜1500Vであることがさらに好ましい。直流電圧に交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧は通常、400〜1800Vとし、800〜1600Vとすることが好ましく、1200〜1600Vとすることがさらに好ましい。この際の交流電圧の周波数は50〜20,000Hzとし、100〜5,000Hzとすることが好ましい。
また、感光体に導電性金属酸化物を用いた保護層を用いた場合には、接触型の帯電装置から放電現象を経ないで電荷を直接注入させ帯電させる方式も使用可能である。
[露光手段]
露光手段107としては、原稿画像を色分解して結像露光する光学系露光装置や、原稿画像情報の時系列電気デジタル画素信号を生成しその信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系露光装置等が挙げられる。光学系露光装置としては、特に制限はなく、例えば、前記感光体1a〜1dの表面に、半導体レーザー光、LED光、液晶シャッタ光等を、所望の像様に露光できる光学系露光機器などが挙げられる。光源の波長は感光体1a〜1dの分光感度領域にあるものが使用され、半導体レーザーの波長として、780nm付近に発振波長を有する近赤外レーザー、600nm台の発振波長を有するレーザー、400〜450nm近傍に発振波長を有する青色レーザー等が利用できる。またカラー画像の形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザー光源も好適に使用することができる。この露光手段107により、感光体1a〜1dの表面が露光され静電潜像が形成される。
[現像手段]
現像手段102a〜102dは、露光手段107により感光体1a〜1d上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する部分である。
現像手段102a〜102dとしては、例えば、磁性若しくは非磁性のトナーを接触あるいは非接触させて現像する一般的な現像器が挙げられる。現像手段102a〜102dとしては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トナーをブラシ、ローラ、ゴムブレード等を用いて前記感光体に付着させる機能を有する公知の現像器などが挙げられる。
次に、上述した現像手段において用いられるトナーについて説明する。本発明の画像形成装置にトナーは公知のトナーであれば特に限定されないが、トナー粒子とその他の外添剤からなることが好ましい。また、トナー粒子は、結着樹脂と着色剤と離型剤と必要応じてシリカや帯電制御剤が混合されたものであることが好ましい。
トナー粒子は、所望の形状指数と粒径を満足する範囲のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法により得られるもの;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法で得られるもの;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法により得られるもの;結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法により得られるもの;結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法により得られるもの等が挙げられる。
また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法により得られたトナーを使用することができる。これらの製造方法で得られたトナーのうち、形状制御、粒度分布制御の観点から、水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法により得られたトナーが好ましく、乳化重合凝集法により得られたトナーがさらに好ましい。
湿式製法でトナー粒子を製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナー粒子は、磁性材料を内包する磁性トナー粒子および磁性材料を含有しない非磁性トナー粒子のいずれであってもよい。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα一メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロベニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレット、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1,C.I.ピグメント・レッド122,C.1.ピグメント・レッド57:1,C. I.ピグメント・イエロー97,C.I.ピグメント・イエロー17,C.I.ピグメント・ブルー15:1,C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルテバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。
また、トナー粒子には必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が挙げられる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
トナー粒子は、上述した結着樹脂と着色剤と離型剤を含むが、必要に応じてシリカや上述した帯電制御剤が混合されたものが使用される。トナー粒子の平均粒径は2〜12μmの範囲内であることが好ましく、3〜9μmの範囲内とすることがより好ましい。また、トナー粒子の平均形状指数(ML2/A)が115〜140のものを用いることが好ましい。これにより高い現像感度及び転写性が得られ、高画質の画像を得ることができる。
また、上記のトナー粒子に添加される外添剤としては、滑性粒子、無機微粒子、有機微粒子、複合微粒子、その他の無機酸化物が挙げられる。
滑性粒子は、感光体表面に潤滑性を付与するためのものである。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用しても良い。滑性粒子の平均粒径としては0.1〜10μmの範囲内であることが好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は0.05〜2.0重量%が好ましく、0.1〜1.5重量%がより好ましい。
また、トナーには、感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などを加えることができる。このうち、研磨性に優れる点において無機微粒子が特に好ましい。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
上記無機微粒子に対しては、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンセンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ一メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルシシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理されたものも好ましく使用される。
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
これら無機微粒子や有機微粒子の粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると感光体表面に傷を発生しやすくなるため、その平均粒子径は5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜800nmの範囲内であることがより好ましく、5nm〜700nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、滑性粒子の添加量との和が0.6重量%以上であることが好ましい。
また、トナーには、その他の無機酸化物を添付することができる。無機酸化物は、粉体流動性、帯電制御等の点で、1次粒径が40nm以下の小径の無機酸化物を用いることが好ましく、付着力低減や帯電制御の点で、それより大径の無機酸化物をさらに添加することが好ましい。これらの無機酸化物としては、公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行うためにシリカと酸化チタンを併用して添加することが好ましい。また、小径の無機微粒子については、分散性、粉体流動性を上げるために表面処理することが好ましい。
上記のトナー粒子に外添剤を混合する方法としては、トナー粒子及び外添剤をヘンジェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造する方法を使用することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて混合することも可能である。
上述した方法によって得られたトナーには、使用に際してキャリアを混合して使用する。キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが挙げられる。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
現像手段102a〜102dによって感光体1a〜1dを現像する際には、安定剤を使用することもできる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤が挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系酸化防止剤が特に好ましく、構造としては広く公知のものが使用できる。
感光体1a〜1dの表面に、外部より安定剤を含有する物質を接触させる方法としては、トナー中に含有させる方法;ステアリン酸亜鉛やワックスなどに添加しトナーに加える方法;キャリア表面に安定剤を所望により樹脂と一緒に塗布、あるいは、機械的に付着させる方法、などが挙げられる。また、シリカ、酸化チタンなどの外添剤表面などに添加してもよい。また、感光体のクリーニング等に用いるゴムブレード中に成型時に混合してもよい。また、ステアリン酸亜鉛やワックスなどの潤滑剤中に安定剤を練りこみ、ブラシ、ローラなどにより供給してもよく、中間転写体108、帯電手段103にブラシ、ローラなどを用いて安定剤を供給し、感光体1a〜1dの表面に供給してもよい。
トナーに粉体として安定剤を添加する場合には、安定剤の粒子径は0.01〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.8μmであることがより好ましい。トナーに外添される安定剤の量は、帯電の安定性の点から、トナー100重量部に対して0.01〜3重量%とすることが好ましく、0.02〜2重量%とすることがより好ましい。また、トナーを形成する結着樹脂中に直接混合してもよい。トナー中に内添される安定剤の量は、帯電の安定性の点から、トナー100重量部に対して0.01〜5重量%とし、0.02〜3重量%とすることが帯電の安定性からより好ましい。
キャリアや無機外添剤の表面に安定剤を付着させる方法としては、安定剤をキャリアや外添剤の無機粉体1重量部に対し0.01〜0.2重量部、好ましくは0.1〜0.1重量部加え、ボールミルや、ヘンジェルミキサーあるいはVブレンダー等で機械的に混合する方法;安定剤を必要によっては樹脂とともに適当な溶剤に溶解させ、これに無機粉体を混合し、乾燥させるなどのWet法を用いてもよい。
潤滑剤に安定剤を混合する方法としては、潤滑剤1重量部に対し、安定剤を0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.8重量部加えて加熱融解して解砕し、所望の形に成型する。必要によっては、安定剤を0.05〜1μmに微粒子化し、これをトナーに添加してもよい。この際、安定剤の添加量は、トナー1重量部に対し0.0001〜0.05重量部が好ましく、0.005〜0.03重量部がより好ましい。感光体1a〜1dの表面への安定剤の供給量としては、画像の安定性が得られる範囲であればいかなる量でも構わないが、多すぎると表面への堆積物が多く、少なすぎると効果が充分に得られないため、実際にマシン内にて画像安定性をテストし、決定される。
[1次転写手段]
1次転写手段104a〜104dは、現像手段102a〜102dにより前記感光体1a〜1d上に形成したトナー像を中間転写体108に1次転写する部分である。中間転写体108が、感光体1a〜1dとの界面(ニップ部)を通過する過程で、1次転写手段104a〜104dから中間転写体108に印加される1次転写電圧により電界が形成される。この電界により、中間転写体108の外周面に順次、トナー像が1次転写される。なお、感光体1a〜1dから中間転写体108に印加される1次転写電圧は、トナーとは逆極性(+)でバイアス電源から印加される。
1次転写手段104a〜104dとしては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器などのそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。なお、本発明の画像形成装置においては、転写帯電器のほか、剥離帯電器等を併用することもできる。また、1次転写時において、1次転写手段104a〜104dから感光体1a〜1dに付与される転写電流には、通常直流電流が使用されるが、本発明においては更に交流電流を重畳させて使用してもよい。
1次転写手段104a〜104dにおける設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、1次転写電流としては+100〜+400μAの範囲内、1次転写電圧としては+500〜+2000Vの範囲内に設定することができる。
[2次転写手段]
2次転写手段109は、中間転写体108上のトナー像を一括して、紙などの転写材に転写する機能を有する。
第2転写手段109としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、例えば、接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器、コロトロン転写帯電器などを利用することができるがこれらの中でも、1次転写手段104a〜104dと同様に接触型転写帯電器が好ましい。また、2次転写手段109による転写を行なう際に、2次転写手段109から中間転写体108に付与される転写電流には、通常直流電流が使用されるが、本発明においては更に交流電流を重畳させて使用してもよい。
2次転写手段109における設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、2次転写電流としては+100〜+400μAの範囲内とし、この場合の1次転写手段104a〜104dにおける1次転写電圧としては+2000〜+5000Vを設定値とすることができる。
[その他の構成要素]
図7に例示したような本発明の画像形成装置には、図面中に図示されていないその他の公知の部材を必要に応じて設けることができ、例えば、感光体1a〜1dに対して光除電を行う光除電手段や、中間転写体108をクリーニングする中間転写体クリーナを設けることができる。
例えば、光除電手段としては、例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられ、該光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光などが挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、感光体1a〜1dの半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるように出力設定される。
次に、上述した図7に示すカラー画像形成装置以外の他の例について図面を用いて説明する。
図8は本発明の画像形成装置の他の実施形態の基本構成を概略構成図であり、具体的には用紙搬送ベルトとして機能する中間転写体を有するカラー画像形成装置について示したものである。
なお、本発明に用いられる中間転写体は、画像形成に際し、図7に示す画像形成装置のように、感光体上に形成されたトナー像が外周面に直接転写されるもののみに限定されるものではなく、外周面に接して搬送される記録媒体上に間接的に転写されるものも含まれる。
このような用紙搬送ベルトを用いる画像形成装置においても、画像形成に際しては感光体表面が、記録媒体に接触するのみならず、記録用紙が通過した後に断続的に用紙搬送体表面と接触することにより感光体の劣化を招いてしまうため、解像度に優れた正帯電感光体を用いていたとしても長期に渡り優れた解像度を維持することができなくなる。しかし、2層以上の層構成からなる中間転写体を用紙搬送ベルトとして用いれば、このような劣化を抑制することができ、画像形成を繰り返しても長期に渡り優れた解像度を安定して維持することができる。
図8に示すカラー画像形成装置は、図7に示すカラー画像形成装置と同様に、4つのドラム状の感光体2a〜2dをそれぞれ含む4つの画像形成部(現像ユニット)を備えており、4つの感光体2a〜2d(例えば、感光体2aがイエロー、感光体2bがマゼンタ、感光体2cがシアン、感光体2dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が用紙搬送用ベルト(中間転写体)206の外周面に沿って相互に並列に配置されている。なお、この用紙搬送ベルト206は2層以上の層構成を有するものである。
ここで、カラー画像形成装置201に搭載されている感光体(2a〜2d)は図1〜3に例示したような構成からなる正帯電感光体からなる。
そして、感光体2a〜2dのそれぞれは所定の方向(紙面上は時計回り)に所定の周速度(プロセススピード)で回転可能であり、その回転方向に沿ってスコロトロン帯電器(202a〜202d)、露光手段(203a〜203d)、現像手段(204a〜204d)、転写帯電器(211a〜211d)、感光体クリーナー(205a〜205d)が配置されている。
露光手段203a〜203d、現像手段204a〜204d、転写帯電器211a〜211d、感光体クリーナー205a〜205dとしては、図7に示すカラー画像形成装置における露光手段107、現像手段102a〜102d、1次転写手段104a〜104dと同様なものを使用することができる。
また、カラー画像形成装置201においては、感光体2a〜2dの表面を帯電させる手段として、スコロトロン帯電器202a〜202dを使用することができる。現像手段204a〜204dのそれぞれにはトナーカートリッジ(図示せず)に収容されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーが供給可能であり、また、転写帯電器211a〜211dはそれぞれ用紙搬送用ベルト206を介して感光体2a〜2dに当接している。
なお、現像手段204a〜204dは、図8ではY、M、C、Kのトナー色の順に配置されているが、これは、例えば、M、Y、C、Kなどシステムの画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
これにより、図7におけるカラー画像形成装置101と同様にして、感光体2a〜2dの回転工程において帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程が順次行われる。
用紙搬送用ベルト206は、その内周面に接するように配置されたロール207、208、209、210により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく感光体2a〜2dと同じ周速度で回転可能となっている。
また、カラー画像形成装置201内の所定の位置にはトレイ(画像出力媒体トレイ)213が設けられており、トレイ213内の紙などの画像出力媒体212が感光体2a〜2dと転写帯電器211a〜211dとの間、さらには相互に2つのロールが当接する定着器215の間に順次移送された後、カラー画像形成装置201の外部に排紙される。これにより、画像出力媒体212上に感光体2a〜2dに形成されたトナー像を順次転写することによってカラー画像が形成され、そのカラー画像が定着される。
このようなカラー画像形成装置201においては、異なる色のトナー像が画像出力媒体212に重畳転写され、カラートナー像が形成される。そして、このカラートナー像は、定着ロール215により画像出力媒体212に定着されることによりカラー画像とされる。
このカラー画像の形成時においては、各感光体2a〜2dにおいて、電荷発生材料として正孔輸送性が高いガリウムフタロシアニンが用いた場合には感光体2a〜2dの光感度を高くできると共に、温度変化や湿度変化等による光感度の変化も十分に防止できる。この場合、カラー画像形成装置201では、感光体2a〜2dにおいて温度変化や湿度変化による光感度の変化が十分に防止できる。
このため、温度や湿度等が変化する環境においてカラー画像を繰り返し形成しても、色ムラの発生を十分に防止することができる。即ちカラー画像形成装置201は、画像の繰り返し安定性に優れ、多数枚のカラー画像を連続して出力しても、安定した画質の画像を形成することができる。従って、このカラー画像形成措置201は、軽印刷の用途にも十分に使用可能である。
また、カラー画像形成装置201においては、解像度を十分に高くし得る正帯電構成の感光体2a〜2dが使用されているため、カラー画像形成装置201により、極めて画質の高いカラー画像を形成することができる。
加えて、正帯電構成の感光体1a〜1dと組み合わせて、2層以上の層構成からなる用紙搬送ベルト(中間転写体)206を用いているために、カラー画像を繰り返し形成しても長期に渡り、高い解像度のカラー画像を安定して得ることができる。更に、カラー画像形成装置201によれば、カラー画像を繰り返し形成しても、1つの感光体を有するカラー画像形成装置と比較して暗減衰による色ムラの発生を十分に防止することができる。
なお、カラー画像形成装置201の解像度は1200dpi以上に設定しても良い。カラー画像形成装置201は、解像度を十分に向上させることができ且つ環境安定性に優れた感光体2a〜2dを備えているため、温度や湿度等が変化する環境下で、1200dpi以上の解像度に設定されてカラー画像を繰り返し形成する場合であっても、色ムラの発生を十分に防止することができる。
カラー画像形成装置201の解像度は2000dpi以上に設定しても良い。この場合、温度や湿度等が変化する環境下で、2000dpi以上の解像度に設定されてカラー画像を繰り返し形成する場合であっても、色ムラの発生を十分に防止することができる。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
−感光体1の作製−
酸化亜鉛(MZ300:テイカ社製:比表面積値30m2/g)60重量部と硬化剤;ブロック化イソシアネート、スミジュール3175)(住友バイエルンウレタン社製):15重量部とブチラール樹脂BM−1(積水化学社製):15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部とメチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005重量部、シリコーンオイルSH29PA(東レダウコーニングシリコーン社製):0.01重量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径84mmΦ、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、160℃、20分の乾燥硬化を行い厚さ5μmの下引層を得た。
次に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2重量部と、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン2重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート(分子量4万)6重量部とを、それぞれテトラヒドロフラン80重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を加えて溶解した。この液を用いて、塗布し120℃で40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
次に、電荷発生材料として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン15重量部、結着樹脂としてのブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)10重量部、n−ブチルアルコール300重量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを電荷輸送層上にスプレー塗布し、乾燥し、厚さ(0.2)μmの電荷発生層を得た。
また、さらに感光層上に電荷注入阻止補助層を形成した。電荷注入阻止補助層の形成は、有機ジルコニウム化合物(松本製薬製ZA60)80重量部、シランカップリング剤(信越シリコーン製KBM503)20重量部をブタノールに溶解し、膜厚0.05μmの塗膜をスプレー塗布により形成した。
さらに、以下のようにして、電荷注入阻止補助層上に表面保護層を形成した。即ち酸化スズ粉末(三菱マテリアル製S1)45重量部、ポリエステル樹脂(関西ペイント製レタンクリアー)48重量部をボールミルで24時間分散したのち硬化剤7重量部を加えた組成物を塗布形成した後、135℃、60分で乾燥硬化し、膜厚2μmの表面保護層を形成した。
このようにして、図3に示す感光体10cと同様の層構成からなる感光体1を得た。
−中間転写体1の作製−
中間転写体は、基材、中間層、および、表面層の3層構成のベルトを以下の手順で作製した。
(基材)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18重量%)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合しカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.3mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に400℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行い皮膜を形成した。
その後、皮膜が形成された金型を室温に冷却した後、皮膜を金型から剥離し、目的とする中間転写体の基材を得た。この基材の厚さは0.05mmであり、体積抵抗率は、3×1010Ωcmであり、ヤング率は6000Mpaであった。
(中間層)
NBRとEPDMを重量比で4:6にブレンドしたゴム材料(NE40;日本合成ゴム(株)製)100重量部に対してアセチレンブラック(前記粒状アセチレンブラック)を7重量部およびサーマルブラック(前記アサヒサーマルFT)を20重量部の割合で配合して、3本ロールで混練した。上記混練物をキャレンダーロールにてシーティングシート状に加工して、厚さ0.2mmのシート形状に形成する。このシート状物を前記ポリイミドフィルム基材の外周面上に圧接して、温度150℃,圧力5.5kg/cm2の加圧下に60分間加熱して、弾性材料を加硫して、基材の外周面に中間層を形成した2層構成のベルトを得た。
この中間層の硬度は、JIS硬度で、70度、体積抵抗率は、5×1010Ωcmであった。
(表面層)
前記2層構成のベルトの外周面側にフッ化カーボンを添加してなるフッ素樹脂系導電性塗料NF−7035−Aを厚さが20μmとなるように塗布して、150℃で10分加熱することにより表面層を形成し、基材の外周面上に中間層と、表面層とをこの順に設けた3層構成のベルト(中間転写体1)を得た。
なお、得られた、3層構成ベルトの諸物性は以下の通りである。
・表面層の体積抵抗率は、1×1011Ωcm
・表面微小硬度:4
・摩擦係数:0.4
・中間層の硬度:70
・中間層の体積抵抗率:5×1010Ωcm
・基材のポリイミド樹脂材料の体積抵抗率:3×1010Ωcm
・基材のポリイミド樹脂材料のヤング率:6000MPa
−電子写真装置−
次に、感光体1および中間転写体1を用いて、図7に示すような構成を有する画像形成装置(富士ゼロックス製カラードキュテック60の改造機)の感光体と中間転写体とを、上述したように作製した(正帯電構成の)感光体1と、中間転写体1(フッ素系樹脂/弾性材/ポリイミド樹脂からなる3層構成ベルト)とに交換した。
また、正帯電感光体である感光体1を用いることに対応させて、必要に応じて画像形成装置内の各部材(帯電器、現像剤等)を正帯電用のものに変更し、作動条件(印加電圧の極性等)も正帯電感光体に対応できるように設定した。
なお、このような正帯電感光体の対応も考慮した主な作動条件の詳細は以下の通りである。
――作動条件――
・プロセス・スピード:264mm/sec
・解像度(設定値):1200dpi
・帯電器:スコロトロン、正帯電
また、暗部電位(VH)が650Vになるように帯電器の条件を調整した後、露光部電位(VL)が300Vになるように露光量を調整した。さらに、上述したような1200dpiの解像度に設定できるように画像形成装置の光学系を改造した。
以上のように調整した画像形成装置により、上述した作動条件にて10000枚のカラー画像を形成し、初期および10000枚後の画像濃度、濃度むら、かぶり、画像抜け、初期および10000枚後の画像解像能を評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
−感光体2の作製−
4重量部のポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)を溶解したn−ブチルアルコール170重量部、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物の混合物(γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン)3重量部を混合し、攪拌し、下引層形成用塗布液を得た。
次に、この下引層形成用塗布液を、鏡面切削した84mmφのアルミニウム製(JIS1050)の導電性基体上に塗布し、室温で5分間風乾を行った後、50℃で7分間の導電性基体の昇温を行い、50℃で85%RH(露点47℃)の恒温恒湿槽中に入れ、10分間、加湿硬化促進処理を行った後、熱風乾燥機に入れて135℃で10分間乾燥を行った。以上により、導電性基体上に下引層を形成した。
次に、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン20重量部とN,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20重量とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量40,000)60重量部とをテトロヒドロフラン280重量部及びトルエン120重量部に十分に溶解混合した後、洗浄した4フッ化エチレン樹脂粒子10重量部を加え、さらに混合した後、ガラスビーズを用いたサンドグラインダーにて分散し、4フッ化エチレン樹脂粒子分散液を作製した。
得られた4フッ化エチレン樹脂粒子分散液を上記下引層の上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。
次に、電荷発生材料として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)で7.4°,16.6°,25.5°,28.3°の位置に強い回折ピークを有する塩化ガリウムフタロシアニン15重量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部、n−ブチルアルコール300重量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚さ0.20μmの電荷発生層を形成した。
さらに電荷発生層上に電荷注入阻止補助層を次のように形成した。すなわち、電荷注入阻止補助層の形成は、有機ジルコニウム化合物(松本製薬製ZA60)80重量部、シランカップリング剤(信越シリコーン製KBM503)20重量部をブタノールに溶解し、膜厚0.05μmの塗膜をスプレー塗布により形成することにより得た。
さらに、以下のようにして、電荷注入阻止補助層上に表面保護層を形成した。即ち酸化スズ粉末(三菱マテリアル製S1)45重量部、ポリエステル樹脂(関西ペイント製レタンクリアー)48重量部をボールミルで24時間分散したのち硬化剤7重量部を加えた組成物をスプレー塗布形成した後、135℃、60分で乾燥硬化し、膜厚2μmの表面保護層を得た。
このようにして、図3に示す感光体10cと同様の層構成からなる感光体2を得た。
次に、実施例1において用いた感光体1の代りに感光体2を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
−感光体3−
84mmΦアルミニウム支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温10゜C、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50゜C)にて封孔処理を行った。その後純水によるこすり洗浄を経て7μmの陽極酸化皮膜が形成された導電性基体を得た。この陽極酸化膜のバリア層膜厚は15nmであった。
次に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2重量部と、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン2重量部とビスフェノールZポリカーボネート(分子量4万)6重量部とを、それぞれテトラヒドロフラン80重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を加えて溶解させた塗布液を調整した。次に、この塗布液を導電性基体上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を120℃40分で乾燥させることにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
次に、電荷発生材料として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)で9.7°,24.2°,27.3°の位置に強い回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン15重量部9.7°、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部、n−ブチルアルコール300重量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散させて分散液を作製した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを電荷輸送層上にスプレー塗布し、乾燥して、厚さ0.25μmの電荷発生層を形成した。
次に下記式(4)に示す化合物2重量部、及び、下記式(5)に示す化合物2重量部をイソプロピルアルコール5重量部、テトラヒドロフラン3重量部、蒸留水3重量部に溶解させ、イオン交換樹脂(0.5重量部)を加え室温で24時間加水分解させてから、イオン交換樹脂をろ過分離後、アルミニウムトリスアセチルアセトナートを0.1重量部、3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)を0.4重量部加えてコーティング液を生成した。このコーティング液を電荷発生層上に浸漬塗布し、その後150℃で1時間の乾燥を行うことにより厚さ3μmの表面保護層を得た。
このようにして、図1に示す感光体10aと同様の層構成からなる感光体3を得た。
Figure 2005084623
Figure 2005084623
次に、実施例1において用いた感光体1の代りに感光体3を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
−感光体4の作製−
実施例3と全く同様にして、陽極酸化皮膜が形成された導電性基体を作製した後、この導電性基体上に、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に形成した。
さらに実施例2と全く同様にして、電荷発生層上に電荷注入阻止補助層及び表面保護層をこの順に形成した。
このようにして、図3に示す感光体10cと同様の層構成からなる感光体4を得た。
次に、実施例1において用いた感光体1の代りに感光体4を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
感光体として実施例1の感光体を用い、中間転写体として、以下に示す中間転写体2を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
−中間転写体2の作製−
中間転写体2は、表面層材料として、ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製:商品名[#850]100質量部に導電剤として、フッ化カーボン15質量部添加してなる厚さ0.1mmの樹脂シートを用い、基材として実施例1で用いた材料からなる基材を用いて、円筒形状の金型を利用し、接着剤を介して、樹脂シート(表面層)と基材とを圧接(圧接条件:圧力5.5kg/cm2の加圧下で、温度150℃で60分間加熱)して、表面層/基材からなる2層構成のベルトを形成した。なお、接着剤としては、ウレタン系の接着剤(日本ポリウレタン(株)製、ニッポラン2301)を用いた。また、得られたベルトの接着剤からなる層の厚みは0.005mmとした。この2層構成ベルトの各層の厚みは、表面層0.1mm、基材0.08mmであった。
なお、得られた、2層構成ベルトの諸物性は以下の通りである。
・表面層の体積抵抗率は、1×1011Ωcm
・表面微小硬度:13
・摩擦係数:0.3
・基材のポリイミド樹脂材料の体積抵抗率:3×1010Ωcm
・基材のポリイミド樹脂材料のヤング率:6000MPa
(比較例1)
−比較感光体1の作製−
感光体1の作製に際し、電荷注入阻止層及び表面保護層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして感光体を作製し、導電性基体上に、下引層、電荷輸送層、電荷発生層がこの順に設けられた層構成からなる比較感光体1を得た。
−比較中間転写体1の作製−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18重量%)に、アセチレンブラック(電気化学工業社製pH5.7、揮発分0.89%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合しカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱して皮膜を形成し、次いで常温に冷却した。
次に、形成された皮膜を金型より剥離した後、鉄芯の外側に被覆して、更に400℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から皮膜を剥離して、単層構成の比較中間転写体1を得た。
この比較中間転写体1の厚さは0.08mmであり、主な物性値は以下の通りであった。
・表面微小硬度:40
・摩擦係数:0.5
・体積抵抗率:2×1010Ωcm
・ヤング率:6000Mpa
次に、実施例1において用いた感光体1の代りに比較感光体1を用い、また、中間転写体1の代りに比較中間転写体1を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
−比較感光体2の作製−
感光体2の作製に際し、電荷注入阻止層及び表面保護層を形成しなかった以外は実施例2と同様にして感光体を作製し、導電性基体上に、下引層、電荷輸送層、電荷発生層がこの順に設けられた層構成からなる比較感光体2を得た。
次に、実施例1において用いた感光体1の代りに比較感光体2を用い、また、中間転写体1の代りに比較中間転写体1を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
−比較感光体3の作製−
感光体3の作製に際し、電荷注入阻止層及び表面保護層を形成しなかった以外は実施例3と同様にして感光体を作製し、導電性基体上に、下引層、電荷輸送層、電荷発生層がこの順に設けられた層構成からなる比較感光体3を得た。
次に、実施例1において用いた感光体1の代りに比較感光体3を用い、また、中間転写体1の代りに比較中間転写体1を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において用いた感光体1の代りに比較感光体3を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例3において用いた中間転写体1の代りに比較中間転写体1を用いた以外は、実施例1と同様にして、カラー画像を形成し同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(画像評価)
上述したような感光体と中間転写体との組合せを変えた画像形成装置により得られた画像について、初期および10000枚後の画像濃度、濃度むら、かぶり、画像抜け、初期および10000枚後の画像解像能を測定し、結果を表1にまとめて示した。なお、表1に示す各々の評価項目の評価方法および評価基準は以下の通りである。
−初期および10000枚後の画像濃度−
画像濃度は、通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、一辺が5mmの正方形のべた画像をプリントアウトしたものについて、初期および10000枚画像形成後のべた画像部分を画像濃度をX−Rite社製 X-Rite504により読み取ることにより評価した。なお、この評価は、画像形成初期における画像濃度を1.4に設定して行なった。
−濃度むら−
濃度むらは、以下のようにして評価した。まず、評価用のプリントサンプルとして一辺が5mmの正方形のべた画像をA4サイズ用紙の両端および中央部の3箇所にプリントしたものを準備した。次に、このプリントサンプルを用いて、3箇所のベタ画像の10000枚画像形成後の濃度を測定し、その濃度差を濃度むらの評価として判定した。
なお、表1に示す濃度むらの評価基準は以下の通りである。
○:濃度差0.1未満
△:濃度差0.1〜0.3未満
X:濃度差0.3以上
−かぶり−
かぶりは、ベタ白画像を画出する際において、現像工程後、転写工程前の感光体上のトナーをマイラーテープによって剥ぎ取り、それを紙上に貼ったものの反射濃度をX-Rite504で測定して得られた反射濃度から、マイラーテープをそのまま紙上に貼った時の反射濃度を差し引いた数値を用いて評価した。
なお、表1に示すかぶりの評価基準は以下の通りである。
○:良好(反射濃度の差が0.07未満)
△:ややかぶりあり(反射濃度の差が0.07以上、0.15未満)
X:実用上問題あり(反射濃度の差が0.15以上)
−画像ぬけ−
画像ぬけは、1ドットライン−1ドットスペースで構成されるハーフトーン画像をプリントして、プリントサンプルから限度見本表を作製し、画像抜けのないものを○、やや薄い部分が認められるが実用上問題ないものを△、実用上許容できないものをXとして定め、評価サンプルの画質を限度見本表と比較してどれに該当するかで判定を行った。なお、表1に示す画像ぬけの評価基準は以下の通りである。
○:画像抜けなし
△:やや薄い部分が認められるが実用上問題なし
X:実用上許容できないもの
−初期および10000枚後の画像解像能−
画像解像能は、顕微鏡観察にてプリント像を観察して、解像度チャートのどこまでを再現できているかによって評価した。
Figure 2005084623
表1に示すように、本発明の画像形成装置によれば、実施例1〜4の結果より、繰り返しカラー画像を形成しても画像再現性が極めて高く色ムラの発生が十分に防止できることが分かった。これに対し、比較例1〜6の結果によれば、画像再現性が十分でないことが分かった。
また、実施例1〜4によれば、画像形成装置の解像度をさらに2000dpi以上に設定してカラー画像を10000枚連続して出力しても、画像の再現性が極めて良好であるのに対し、比較例1〜5の結果によれば、カラー画像を10000枚連続して出力しても、画像再現性が十分でないことが分かった。
本発明に用いられる感光体の一例を示す模式断面図である。 本発明に用いられる感光体の他の例を示す模式断面図である。 本発明に用いられる感光体の他の例を示す模式断面図である。 表面微小硬度の測定原理を示す模式断面図である。 動摩擦係数の測定に用いられる静動摩擦係数計の概略模式図である。 中間転写体の体積抵抗率の計測方法の一例を示す概略模式図である。 本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1a〜1d,2a〜2d 感光体
2 導電性基体
3 感光層
3a 電荷輸送層
3b 電荷発生層
4 下引層
5 表面保護層
6 電荷注入阻止補助層
10a、10b、10c 感光体
60 表面層
61 針状圧子
101 画像形成装置
102a〜102d 現像手段
103a〜103d 帯電手段
104a〜104d 1次転写手段
105a〜105d レーザ光
106a〜106d 感光体クリーナ
107 露光手段
108 中間転写体
109 2次転写手段
110 定着ロール
111 トレイ
112 画像出力媒体
113 バックアップロー
114 駆動ロール
115 テンションロール
201 画像形成装置
202a〜202d スコロトロン帯電器
203a〜203d 露光手段
204a〜204d 現像手段
205a〜205d 感光体クリーナー
206 用紙搬送用ベルト(中間転写体)
207、208、209、210 ロール
211a〜211d 転写帯電器
212 画像出力媒体
215 定着ロール
303 鋼球(直径3mm)
304 零点調整用天秤
305 ロードセル
306 荷重(100g)

Claims (13)

  1. 感光体と、該感光体表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記感光体の表面に、画像情報に応じて露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、
    前記感光体が、導電性基体上に、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層、および、表面保護層をこの順に積層した正帯電感光体であり、前記感光体表面と当接する表面層を含む2つ以上の層からなる中間転写体を有することを特徴とするカラー画像形成装置。
  2. 前記電荷発生層がフタロシアニン化合物を含み、前記フタロシアニン化合物が、ガリウムフタロシアニン又はチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記フタロシアニン化合物が、ブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、ブラッグ角(θ±0.2°)において少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン、ブラッグ角(θ±0.2°)において少なくとも9.7°,24.2°,27.3°に回折ピークを有するチタニルフタロシアニンからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載のカラー画像形成装置。
  4. 前記表面保護層が、電荷輸送材料を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  5. 前記表面保護層が、抵抗制御用微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  6. 前記中間転写体が、基材と、該基材の外周面側に中間層と、前記表面層とをこの順に設けた層構成からなり、
    前記表面層が、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmの範囲内の樹脂材料を含み、前記中間層が、JISA硬度が40〜70°の弾性材料を含み、前記基材が、導電剤が分散された樹脂材料を含み、前記基材のヤング率が3500MPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  7. 前記基材の体積抵抗率が、1×108Ωcm〜1×1013Ωcmであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記導電剤が、pH5以下の酸化処理カーボンブラックであることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
  9. 前記表面層が、フッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  10. 前記表面層表面(転写面)の表面微小硬度が10以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  11. 解像度が1200dpi以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  12. 解像度が2000dpi以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  13. 前記画像形成装置が、感光体と、該感光体表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電させられた前記感光体の表面に、画像情報に応じて露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、を少なくとも備えた2つ以上の現像ユニットと、
    前記2つ以上の現像ユニット毎に形成されたトナー画像を順次被転写体上に重ね合わせるトナー画像重ね合わせ手段と、を少なくとも備えた画像形成装置において、
    前記感光体が、前記正帯電感光体であり、前記トナー画像重ね合わせ手段が、前記中間転写体であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の画像形成装置。
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