JP2006124230A - シリコン溶融用容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリコン溶融用容器1の側壁3の底部肉厚を厚く、側壁上方に行くにつれて、肉厚が薄くなるテーパ状の形状とした。得られる多結晶シリコンのインゴットの歩留まりの観点から、テーパ角度は、0.5〜2度が好ましい。また、容器内面のうねりを3mm以下、表面粗さRaを10μm以下、更に好ましくは6μm以下の平滑な表面とすることによってシリコンの食い込みを低減して発生応力を逃げ易くし、シリコン内部歪の残留を軽減し、多結晶シリコンの光電変換効率を向上させる。
【選択図】図1
Description
従来、この凝固時の体積膨張に基づく内部応力を緩和するため、容器の底部のみを冷却して多結晶シリコンを凝固していく手法が採られている。
図1に示すように、容器1の内面は、溶融したシリコンが凝固する際の体積膨張による応力を上方へ逃がすために、上方に向かって、内部の水平断面積が徐々に大きくなるテーパ形状とした。このような形状とすることによって図2に示すように、膨張圧を壁面に沿って上方に逃がすことができ、体積膨張が拘束されず、シリコンインゴットに残留歪が生成されず、電気特性の良好な多結晶シリコンが得られる。
容器内面のうねりを3mm以下、表面粗さをRa10μm以下、更に好ましくは6μm以下の平滑な表面とすることによってシリコンの食い込みを低減し、発生応力を逃げ易くして内部歪の残留を軽減し、ひいては剥離剤塗布量の軽減も可能となる。
なお、容器の内表面の粗さは、容器製作時に球状シリカ粉を原料として用い、このシリカ粉末スラリーを鋳込む成形型を、石膏などの吸水性鋳型ではなく非吸水性鋳型とするなど、型枠の性状を選択することで平滑な表面を有する容器を製作することができる。また、容器製作後に内面を流体研磨等で所定の面粗さに仕上げても良い。
容器1の側壁3の肉厚は、容器1の高さが変わると容積が変わり、容器に作用する圧力も変わるため、容器の高さを勘案し、強度シミユレーションによって容器の壁厚を決定する。
すなわち、容器の側壁底部において、溶融したシリコンの高さに応じた圧力に耐えると共に、溶融シリコンが凝固するときの膨張圧によって変形する厚さとし、凝固したシリコンに膨張圧による残留歪が生成されないように容器の壁厚を決定する。
具体例を示すと、内容積700mm×700mm×400mm(H)の石英ガラス製容器の場合、容器製作時の破損危険性を踏まえ、側壁底部の肉厚を15〜20mm、側壁上端の肉厚10〜15mmである。
容器が500mm角以上の大型になると、底部外周部はさめ易く、中央部がさめにくいので、冷却速度に差がでてしまい、図3(1)に示すように、壁面付近で盛り上がり、凝固したシリコンの表面が水平とならず、歩留まりを低下させる。これを防止するためには、容器底部の熱伝導度を向上させることが有効である。
熱伝導度を向上させるには、容器底部の肉厚を容器外周部となる側壁部の肉厚より薄くすることで対応することができるが、あまり薄くすると強度が不十分となるので、溶融シリコンの重量に耐える厚さとする必要がある。
また、容器の製造に使用するシリカ粉を球状シリカ粉とすると熱伝導度が高くなりより有効である。
下記にシリカ粉の種類と作製したシリコン溶融用容器の熱伝導度の測定結果を示す。
容器の種類 熱伝導度
球状シリカ粉容器 1.44 〔w/(m.k)〕 温度800℃
破砕シリカ粉容器 1.10
(透明石英ガラス) (1.77)
この結果より、球状シリカ粉を用いて作製した容器が、破砕シリカ粉を用いて作製した容器より熱伝導度が高く有効であることがわかる。また、熱伝導度の観点からは透明石英ガラス板を底部に貼ることも有効といえる。
このように、底部肉厚を10mmにし、球状シリカ粉を使用することで底部の熱伝導を向上させた容器を得ることができ、図3(2)に示すように、表面が水平なシリコンインゴットを得ることができる。
シリコン溶融時の強度としては底部肉厚が10mmでも問題ないが、底部肉厚を薄くすることは、製作時の破損危険性が高くなるため、10mm以上とし、熱伝導向上のために15mm以下とするのが望ましい。
容器の原料であるシリカ粉は汚染物質を多く含んでいることが多いので、シリカ粉で容器を成形した後、含有している不純物を除去するものである。そして不純物の中でも特に多結晶シリコンの電気特性を悪化させるものとしてFeに着目し、本願ではこの影響の大きなFe不純物を減少、除去したものである。
(1)シリカ粉末で、容器を成形して乾燥させる。これを焼結中、雰囲気中に塩素を導入するとシリカの純化がなされる。高温の塩素雰囲気処理は、Fe除去効果が高く、シリコン中の不純物として特に問題となるFeに対して有効である。
シリカ粉で成形した容器を1200℃で5時間の焼成中、焼成炉内に塩素40ml/分、窒素2l/分で供給して純化処理を行うことにより、シリカ中のFeが22ppmから5ppmに減少した。以上のように、高価な高純度シリカ粉を使用しなくても不純物であるFe含有量を低減させた容器が得られる。
高純度シリカ粉は、容器の内壁表面より1mm程度になり、シリコン溶融時、この高純度のシリカ層が容器面とシリコンの接触を防ぎ、シリコンヘの不純物の溶出を防止する。
なお、高純度のシリカ粉末の容器への塗布は、エアーブラシでの塗布の他に、溶射等によって高純度シリカ層を形成するようにしても良い。
更に、容器の内面のうねりを3mm以下にすることによっても同様にシリコンの残留歪の発生を防止できる。
また、不純物を含有するシリカ粉で製造する容器を簡単に純化することができ、特に多結晶シリコンの電気特性に悪影響を与えるFeを容易に除去することができるので、電気特性の良好な多結晶シリコンを低コストで製造することが可能となった。
2 底部
3 壁
Claims (13)
- 石英ガラス製の容器の側壁面の肉厚が底部から上部に向かって薄くしてあり、かつ、容器上面に向かって内部の水平断面積が徐々に大きくなるように内壁面をテーパ状としたシリコン溶融用容器。
- 請求項1において、テーパが側壁底部から上端部にかけて垂直面に対して0.5〜2度のテーパ角度であるシリコン溶融用容器。
- 請求項1〜2のいずれかにおいて、容器内面の表面粗さRaが10μm以下であるシリコン溶融用容器。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、容器内面のうねりが3mm以下であるシリコン溶融用容器。
- 石英ガラス製容器の側壁底部において、溶融したシリコンの高さに応じた圧力に耐えると共に、溶融シリコンが凝固するときの膨張圧によって変形する厚さとし、凝固したシリコンに膨張圧による残留歪が生成されないようにしたシリコン溶融用容器。
- 石英ガラス製容器の側壁厚tが、容器高さをHとしたとき、側壁底部においてt=0.037H〜0.050Hであり、側壁上端において、t=0.025H〜0.037Hである溶融シリコン用容器。
- 石英ガラス製容器の底部の熱伝導度を容器側壁より高くしたシリコン溶融用容器。
- 球状シリカ粉で成形した容器であって、容器底部の厚さを側壁面の肉厚より薄い肉厚としたシリコン溶融用容器。
- 石英ガラス製容器の底部のみに、原料であるシリカ粉に炭化珪素粉、炭素粉を混入させて成形したシリコン溶融用容器。
- シリカ粉で容器を成形し、塩素雰囲気中で焼成したシリコン溶融用容器。
- シリカ粉で容器を成形し、焼成雰囲気中に塩素を導入するシリコン溶融用容器の製造方法。
- 容器内壁に高純度シリカ粉を塗布して焼成したシリコン溶融用容器。
- 請求項12において、塗布した高純度シリカの厚さが1〜2mmであるシリコン溶融用容器。
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